JP2004239301A - 無段変速装置 - Google Patents

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慎司 宮田
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Abstract

【課題】第一の遊星歯車式変速ユニット28を構成する第一の太陽歯車41と、第一のキャリア42を構成する支持板58との距離を徒に長くせずに、これら第一の太陽歯車41と支持板58とが擦れ合いにくくする。そして、小型・軽量化と信頼性及び耐久性の確保とを両立させる。
【解決手段】上記第一の太陽歯車41と、この第一の太陽歯車41と噛合する第一の遊星歯車素子43とを、左捩れのはすば歯車とする。これら第一の太陽歯車41と第一の遊星歯車素子43との噛合部で、この第一の太陽歯車41を、上記支持板58から離す方向の力が加わる。この為、トロイダル型無段変速ユニット11aを通過するトルクが大きく、入力軸31が上記第一のキャリア42を強く引っ張る場合でも、上記第一の太陽歯車41と支持板58とが擦れ合いにくくなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用自動変速機として、或は各種産業機械用の変速機して利用する無段変速装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速機として、図6に示す様なトロイダル型無段変速ユニットを使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速ユニットは、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に、それぞれが特許請求の範囲に記載した外側ディスクに相当する入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に、特許請求の範囲に記載した内側ディスクに相当する出力側ディスク5、5を、スプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
【0003】
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図6の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸(図示せず)を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、図示しない油圧式のアクチュエータによりこれら各トラニオン7、7を上記枢軸の軸方向に変位させる事により行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
【0004】
上述の様なトロイダル型無段変速ユニットの運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸9により一方(図6の左方)の入力側ディスク2を、ローディングカム式の押圧装置10を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
【0005】
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度の比を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図6に示す位置に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面をこの図6に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図6と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、図6に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の速度比(変速比)を得られる。
【0006】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速ユニットを実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特許文献1〜5等に記載されて、従来から知られている。図7は、この様な従来から提案されている無段変速装置のうち、特許文献2に記載されたものを示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速ユニット11と遊星歯車式変速ユニット12とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速ユニット11は、入力軸1と、1対の入力側ディスク2、2と、出力側ディスク5aと、複数のパワーローラ6、6とを備える。図示の例では、この出力側ディスク5aは、1対の出力側ディスクの外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有する。
【0007】
又、上記遊星歯車式変速ユニット12は、上記入力軸1及び一方(図7の右方)の入力側ディスク2に結合固定されたキャリア13を備える。このキャリア13の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子14a、14bを固設した第一の伝達軸15を、回転自在に支持している。又、上記キャリア13を挟んで上記入力軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車16a、16bを固設した第二の伝達軸17を、上記入力軸1と同心に、回転自在に支持している。そして、上記第一の伝達軸15の両端部に固設した上記各遊星歯車素子14a、14bと、上記出力側ディスク5aにその基端部(図7の左端部)結合した中空回転軸18の先端部(図7の右端部)に固設した太陽歯車19又は上記第二の伝達軸17の一端部(図7の左端部)に固設した太陽歯車16aとを、それぞれ噛合させている。又、一方(図7の左方)の遊星歯車素子14aを、別の遊星歯車素子20を介して、上記キャリア13の周囲に回転自在に設けたリング歯車21に噛合させている。
【0008】
一方、上記第二の伝達軸17の他端部(図7の右端部)に固設した太陽歯車16bの周囲に設けた第二のキャリア22に遊星歯車素子23a、23bを、回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア22は、上記入力軸1及び第二の伝達軸17と同心に配置された、出力軸24の基端部(図7の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車素子23a、23bは、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子23aを上記太陽歯車16bに、他方の遊星歯車素子23bを、上記第二のキャリア22の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車25に、それぞれ噛合させている。又、上記リング歯車21と上記第二のキャリア22とを低速用クラッチ26により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車25とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ27により係脱自在としている。
【0009】
上述の様な、図7に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ26を接続すると共に上記高速用クラッチ27の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記リング歯車21を介して上記出力軸24に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速ユニット11の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸1と上記出力軸24との間の変速比が変化する。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速ユニット11の変速比を調節する事により、上記入力軸1を回転させた状態のまま上記出力軸24の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0010】
尚、この様な低速モード状態での加速若しくは定速走行時に、上記トロイダル型無段変速ユニット11を通過するトルクは、上記入力軸1からキャリア13及び第一の伝達軸15と太陽歯車19と中空回転軸18とを介して出力側ディスク5aに加わり、更にこの出力側ディスク5aから各パワーローラ6、6を介して各入力側ディスク2、2に加わる。即ち、加速若しくは定速走行時に上記トロイダル型無段変速ユニット11を通過するトルクは、上記各入力側ディスク2、2が上記各パワーローラ6、6からトルクを受ける方向に循環する。
【0011】
これに対して、上記低速用クラッチ26の接続を断ち、上記高速用クラッチ27を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記第一、第二の伝達軸15、17を介して上記出力軸24に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速ユニット11の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。この場合には、上記トロイダル型無段変速ユニット11の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
尚、この様な高速モード状態での加速若しくは定速走行時に、上記トロイダル型無段変速ユニット11を通過するトルクは、各入力側ディスク2、2が各パワーローラ8、8にトルクを付加する方向に加わる。
【0012】
図8は、上記トロイダル型無段変速ユニット11の変速比(左縦軸)と、無段変速装置全体としての変速比(横軸)と、このトロイダル型無段変速ユニット11を通過するトルク(右縦軸)との関係の1例を示している。上記図8のうちの実線aは上記トロイダル型無段変速ユニット11の変速比と無段変速装置全体としての変速比との関係を、破線bは無段変速装置全体としての変速比と上記トルクとの関係を、それぞれ示している。尚、この無段変速装置全体としての変速比は、入力軸1が3400min−1 で回転すると仮定した場合に於ける車速として、上記トルクは、入力軸1に加わるトルクが450N・mの一定値であると仮定した場合での値として、それぞれ示している。但し、無段変速装置全体としての変速比の絶対値が大きい(車速の絶対値が小さい)場合には、エンジンの出力制御を行なって、上記入力軸1に加わるトルクを低く抑える様にしている。
【0013】
又、図9は、上記トロイダル型無段変速ユニット11を通過するトルク(左縦軸)と、無段変速装置全体としての変速比(横軸)と、このトロイダル型無段変速ユニット11の入力軸1に(引っ張り方向に)加わる軸力(右縦軸)との関係の1例を示している。上記図9のうちの実線aは上記軸力と無段変速装置全体としての変速比との関係を、破線bは上記トルクと無段変速装置全体としての変速比との関係を、それぞれ示している。尚、上記軸力は、前記押圧装置10が発生する推力に基づくもので、前記各ディスク2、5aの側面と前記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部で過大な滑りが発生するのを防止すべく、上記トロイダル型無段変速ユニット11を通過するトルクが大きくなる程大きくなる。又、このトルクは、上述の様に、無段変速装置全体としての変速比の絶対値が大きい場合には、エンジンの出力制御により低く抑える様にしているが、それでも、上記軸力の最大値は160000N(約16トン)にも達する。
【0014】
【特許文献1】
特開平6−174033号公報
【特許文献2】
特開2000−220719号公報
【特許文献3】
特開2002−139124号公報
【特許文献4】
米国特許第5607372号明細書
【特許文献5】
米国特許第6099431号明細書
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜5に記載される等により従来から知られている無段変速装置に関する発明は、この無段変速装置の基本構造に関するものであって、実際に自動車用自動変速機を構成する場合に就いて考慮した、具体的なものではない。これに対して、上記無段変速装置を実際に自動車用自動変速機として使用する場合に就いて考慮した場合には、十分な信頼性及び耐久性を確保する為に、遊星歯車式変速ユニット12の構造を工夫する必要がある。この点に就いて、以下に説明する。
【0016】
図7に示す様な無段変速装置の場合、前述した通り、変速比の絶対値が大きい場合に入力軸1に、160000Nもの軸力が、押圧装置10が発生する推力に基づいて加わる。この軸力は、遊星歯車式変速ユニット12を構成するキャリア13を、この遊星歯車式変速ユニット12側(図7の右側)の入力側ディスク2と共に、反対側(図7の左側)の入力側ディスク2に向け引っ張る。これに対して出力側ディスク5aは、これら1対の入力側ディスク2、2間の中立位置に存在したまま軸方向に変位しない。従って、上記軸力に基づいて、上記キャリア13と上記遊星歯車式変速ユニット12の太陽歯車19とが近づき合う。この為、通常状態でこれらキャリア13と太陽歯車19との軸方向距離が不十分であると、これらキャリア13と太陽歯車19とが擦れ合って、当該部分での摩擦損失に基づき、上記無段変速装置の伝達効率が低下したり、著しい場合には焼き付きによる故障が発生する原因ともなる。
【0017】
この様な不都合の発生を防止する為に、上記キャリア13と太陽歯車19との軸方向距離を十分に確保する事も考えられるが、無段変速装置の軸方向寸法が嵩み、大型化、重量の増大の原因となる為、好ましくない。
本発明の無段変速装置は、この様な事情に鑑みて、上記キャリア13と太陽歯車19との軸方向距離を徒に大きくしなくても、これらキャリア13と太陽歯車19との擦れ合いを防止できる構造を実現すべく発明したものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の無段変速装置は、前述した従来から知られている無段変速装置と同様に、トロイダル型無段変速ユニットと複数の遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて成る。
このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、回転軸を介して互いに同心に且つ同期した回転を自在として結合された1対の外側ディスクと、これら両外側ディスク同士の間にこれら両外側ディスクと同心に且つこれら両外側ディスクとは独立した回転を自在として支持された内側ディスクと、この内側ディスクの両側面と上記両外側ディスクの内側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されてこれら内側ディスクと両外側ディスクとの間で動力を伝達する複数のパワーローラとを備える。
又、上記各遊星歯車式変速ユニットは、上記1対の外側ディスクにこれら両外側ディスクと同心に結合固定されてこれら両外側ディスクと共に回転するキャリアと、このキャリアの両側面のうちで一方の外側ディスクに対向する片面に回転自在に支持された複数の遊星歯車と、上記回転軸の周囲に配置された中空回転軸により上記内側ディスクに結合された状態で上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられ、上記各遊星歯車と噛合した太陽歯車とを備える。
そして、上記トロイダル型無段変速ユニットの変速比を調節して上記遊星歯車式変速ユニットを構成する上記キャリアと上記太陽歯車との相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とするモードを備える。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記太陽歯車及び上記各遊星歯車ははすば歯車である。そして、上記キャリアを構成する支持板の片側面と一方の外側ディスクの外側面との間に支持されており、上記太陽歯車及び上記各遊星歯車の歯の傾斜方向は、上記停止状態を実現するモード状態でこの太陽歯車を上記支持板から離れさせる方向の分力を発生させる方向である。
【0019】
【作用】
上述の様に構成する本発明の無段変速装置によれば、遊星歯車式変速ユニットを構成するキャリアの支持板と太陽歯車との軸方向距離を特に大きくしなくても、これら支持板と太陽歯車とを干渉しにくくできる。即ち、トロイダル型無段変速ユニットを通過するトルクが大きくなり、このトロイダル型無段変速ユニットの回転軸に加わる軸力が大きくなって、上記支持板が上記太陽歯車に向け変位する傾向となる場合には、この太陽歯車がこの支持板に支持した遊星歯車との噛合に基づいて、この支持板から離れる方向に変位する傾向になる。この結果、この支持板と上記太陽歯車とが干渉しにくくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の無段変速装置は、トロイダル型無段変速ユニット11aと、第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット28〜30とを組み合わせて成り、入力軸31と出力軸24aとを有する。図示の例では、これら入力軸31と出力軸24aとの間に伝達軸32を、これら両軸31、24aと同心に、且つ、これら両軸31、24aに対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット28、29を上記入力軸31と上記伝達軸32との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速ユニット30をこの伝達軸32と上記出力軸24aとの間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0021】
このうちのトロイダル型無段変速ユニット11aは、1対の入力側ディスク2a、2bと、一体型の出力側ディスク5bと、複数のパワーローラ6、6(図6、7参照)とを備える。そして、特許請求の範囲に記載した外側ディスクに相当する上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力軸31を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、特許請求の範囲に記載した内側ディスクに相当する上記出力側ディスク5bは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ6、6は、上記出力側ディスク5bの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク5bに動力を伝達する。
【0022】
又、本例の場合には、上記出力側ディスク5bの軸方向両端部を、1対のスラストアンギュラ玉軸受33、33により、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、各トラニオン7、7(図6参照)の両端部を支持する為の支持板34a、34bを支持する為にケーシング35の内面に固設した支持ポスト36a、36bの構造を工夫している。即ち、前記入力軸31を挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた、各キャビティ毎に1対ずつの支持ポスト36a、36bを、円環状の保持環37により連結している。上記入力軸31は、この保持環37の内側を挿通している。そして、各キャビティ毎に設けたこれら各保持環37、37と、上記出力側ディスク5bの軸方向両端面、即ち、この出力側ディスク5bの両側面に設けた出力側面38、38よりも内径側部分との間に、上記各スラストアンギュラ玉軸受33、33を設けている。そして、上記出力側ディスク5bを、各キャビティ内に設けた上記各保持環37、37同士の間に、径方向及び軸方向に関する位置決めを図った状態で、回転自在に支持している。
【0023】
又、図示の無段変速装置の場合、上記入力軸31の基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、トーションダンパ39を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力軸31を回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク5bの両側面と上記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置10aとして、油圧式のものを使用している。又、上記入力軸31の基端部周囲にはギヤポンプ40を設けて、上記押圧装置10a及び変速の為にトラニオン7、7を変位させる為の油圧式のアクチュエータ(図示省略)、並びに後述する低速用クラッチ26a及び高速用クラッチ27aを断接させる為の油圧シリンダに圧油を供給自在としている。
【0024】
又、上記出力側ディスク5bに中空回転軸18aの基端部(図1の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸18aを、エンジンから遠い側(図1の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク5bの回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸18aの先端部(図1の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速ユニット28を構成する為の、第一の太陽歯車41を固設している。
【0025】
一方、上記入力軸31の先端部(図1の右端部)で上記中空回転軸18aから突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、特許請求の範囲に記載したキャリアに相当する第一のキャリア42を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力軸31とが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア42の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット28、29を構成する為の第一〜第三の遊星歯車素子43〜45を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア42の片半部(図1〜2の右半部)周囲に第一のリング歯車46を、回転自在に支持している。上記第一のキャリア42に対し上記各遊星歯車素子43〜45を回転自在に支持する為、この第一のキャリア42の軸方向両側面に第一〜第三の遊星支持軸48〜50を設けている。そして、これら各遊星支持軸48〜50の周囲に上記各遊星歯車素子43〜45を、ラジアルニードル軸受51を介して、回転自在に支持している。尚、これら各遊星歯車素子43〜45の軸方向両端面と相手面との間には、それぞれスラストニードル軸受57、57を設けて、それぞれがはすば歯車である、上記各遊星歯車素子43〜45に加わるスラスト荷重を支承自在としている。
【0026】
上記各遊星歯車素子43〜45のうち、前記トロイダル型無段変速ユニット11a寄り(図1の左寄り)で上記第一のキャリア42の径方向に関して内側に設けた第一の遊星歯車素子43は、上記第一の遊星支持軸48に支持された状態で、図1、3に示す様に、上記第一の太陽歯車41に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速ユニット11aから遠い側(図1の右側)で上記第一のキャリア42の径方向に関して内側に設けた第三の遊星歯車素子45は、上記第三の遊星支持軸50に支持された状態で、図1、4に示す様に、前記伝達軸32の基端部(図1の左端部)に固設した第二の太陽歯車47に噛合している。又、上記第一のキャリア42の径方向に関して外側に設けた残りの第二の遊星歯車素子44は、上記内側に設けた遊星歯車素子43、45よりも軸方向寸法を大きくして、上記第二の遊星支持軸49に支持された状態で、図1、3、4に示す様に、これら両歯車43、45に噛合させている。そして、上記残りの遊星歯車素子44と上記第一のリング歯車46とを、図1、4に示す様に噛合させている。
【0027】
特に、本例の無段変速装置の場合、前記第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット28〜30を構成する各歯車41、46、47、53、54及び各歯車素子43〜45、55、56としてはすば歯車を使用する事により、これら各歯車41、46、47、53、54及び各歯車素子43〜45、55、56同士の噛合部で発生する音並びに振動の低減を図っている。更に、このうちの第一の太陽歯車41と第一の遊星歯車素子43との歯の傾斜方向を規制している。そして、これら第一の太陽歯車41と第一の遊星歯車素子43との噛合部で発生するアキシアル方向の分力が、この第一の太陽歯車41を上記トロイダル型無段変速ユニット11aに向け押し付ける方向に作用する様にしている。
【0028】
具体的には、本例の場合には、上記第一の太陽歯車41及び第一の遊星歯車素子43の歯を、図2(A)に示す様に、一般的なはすば歯車とは逆方向に傾斜させて(左捩じれとして)いる。又、本例の場合、前記入力軸31は、一般的な自動車用エンジンの回転方向と同じく、図1の矢印イで示す様に、同図の左方から見た場合に時計方向に回転する。上記入力軸31の回転は、前記各入力側ディスク2a、2bから、前記各パワーローラ6、6を介して前記出力側ディスク5bに伝わり、この出力側ディスク5bが、上記入力軸31と逆方向に回転する。そして、前記中空回転軸18aを介してこの中空回転軸18aと結合された上記第一の太陽歯車41が、図2の矢印ロ方向に回転し、この第一の太陽歯車41と噛合した上記第一の遊星歯車43が同図の矢印ハ方向に、それぞれ回転する。
【0029】
これら第一の太陽歯車41と第一の遊星歯車素子43との噛合部には、この噛合部を構成する歯の側面に直角方向の力が作用するが、このうちの軸方向の分力が、図2(A)に矢印ニで示す様に、上記第一の太陽歯車41を前記第一のキャリア42を構成する支持板58から離す方向に加わる。この第一の太陽歯車41をその先端部に固設した上記中空回転軸18aは、上記出力側ディスク5bに対し、この中空回転軸18aの中間部と基端部との2個所位置に係止したストップリング59、59により上記出力側ディスク5bを軸方向両側から挟持する状態で結合している。又、これら両ストップリング59、59の組み付け作業を可能にする為に、これら両ストップリング59、59の片側面同士の間隔は、上記出力側ディスク5bの軸方向両端面同士の間隔よりも多少なりとも大きくなっている。従って、上記中空回転軸18a及び第一の太陽歯車41は、上記両間隔の差だけ、軸方向の変位可能である。そして、上記噛合部で発生する上記矢印ニ方向の分力は、上記中空回転軸18aの中間部に係止した(図1の右側の)ストップリング59が上記出力側ディスク5bの軸方向片端面(図1の右端面)に当接する状態にまで、上記中空回転軸18a及び第一の太陽歯車41を、図1の左方に変位させる。
【0030】
従って、これら第一の太陽歯車41と第一のキャリア42との間の隙間を小さくしても、低速モードでの運転時に前記入力軸31により上記第一のキャリア42が上記第一の太陽歯車41の側に強く引っ張られた場合に、これら第一の太陽歯車41と第一のキャリア42を構成する支持板58とが干渉しにくくできる。この為、この第一のキャリア42と上記第一の太陽歯車41との軸方向距離を徒に大きくしなくても、これら第一のキャリア42と第一の太陽歯車41との擦れ合いを防止できる。この結果、信頼性及び耐久性を確保しつつ、無段変速装置の小型・軽量化を図れる。
【0031】
これに対して、前記図1の矢印イ方向に回転する一般的なエンジンと、図2(B)に示す様な、一般的な(右捩じれとした)はすば歯車である第一の太陽歯車41a及び第一の遊星歯車素子43aとを組み合わせると、これら第一の太陽歯車41aと第一の遊星歯車素子43aとの噛合部に、図2(B)に矢印ホで示す様に、この第一の太陽歯車41を前記第一のキャリア42を構成する支持板58に押し付ける方向に加わる。従って、回転方向が一般的なエンジンと、一般的なはすば歯車との組み合わせでは、上記第一のキャリア42と上記第一の太陽歯車41aとの軸方向距離を大きくする事なく、これら第一のキャリア42と第一の太陽歯車41aとの擦れ合いを防止できない。この結果、信頼性及び耐久性を確保しつつ、無段変速装置の小型・軽量化を図れない。
【0032】
尚、上述の説明は、上記第一の太陽歯車41を上記支持板58から引き離す方向の分力を発生させる、この第一の太陽歯車41と前記第一の遊星歯車素子43との噛合部を中心に説明した。但し、何れもはすば歯車である、この第一の遊星歯車素子43と噛合する第二の遊星歯車素子44、更にはこの第二の遊星歯車素子44と噛合する前記第一のリング歯車46及び前記第三の遊星歯車素子45等、他の歯車及び遊星歯車素子に関しても、上記第一の太陽歯車41及び第一の遊星歯車素子43の歯の傾斜方向に合わせて傾斜させる事は勿論である。
【0033】
又、本例の無段変速装置の場合には、上記各第一〜第三の遊星歯車素子43〜45の配設方向を、前記入力軸31の回転方向との関係で規制し、後述する高速モード時に、上記各遊星歯車素子43〜45に加わるラジアル荷重が過大にならない様にしている。
先ず、第一の遊星歯車式変速ユニット28を構成する第一、第二の遊星歯車素子43、44に就いて、図3により説明する。本例の場合、上記入力軸31は図1の左端部に矢印イで示す様に、同図の左方から見た場合に時計方向に回転し、前記各入力側ディスク2a、2bも同方向に回転する。そして、前記第一の太陽歯車41は、前記出力側ディスク5bと共に、図3の反時計方向に回転する。この様な場合に、上記第一の遊星歯車素子43を支持する為の第一の遊星支持軸48を上記第二の遊星歯車素子44を支持する為の第二の遊星支持軸49よりも、上記入力軸31の回転方向に関して前側(上記第一の太陽歯車41の回転方向に関して後側)に位相をずらせて配置している。
【0034】
即ち、本例の無段変速装置の場合には、各部の回転方向を適切に規制する為に、第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット28〜30を何れもダブルピニオン型とした構造で、各遊星歯車素子の強度を確保すると共に回転速度を抑えるべく、これら各遊星歯車素子の直径を確保する為に、これら各遊星歯車素子を円周方向にずらせて配置している。本例の場合、上記第一の遊星歯車素子43を支持する為の第一の遊星支持軸48を上記第二の遊星歯車素子44を支持する為の第二の遊星支持軸49よりも、上記入力軸31の回転方向に関して前側に、上記第一の太陽歯車41の回転方向に関して後側に、それぞれ配置している。
又、上記第二の遊星歯車式変速ユニット29に関しても、図4に示す様に、第二、第三の遊星歯車素子44、45を、上記第一の遊星歯車式変速ユニット28を構成する第一、第二の遊星歯車素子43、44と同方向に位相をずらせた状態で配置している。
【0035】
更に、前記第三の遊星歯車式変速ユニット30を構成する為の第二のキャリア52を、前記出力軸24aの基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア52と前記第一のリング歯車46とを、前記低速用クラッチ26aを介して結合している。又、上記伝達軸32の先端寄り(図1の右端寄り)部分に第三の太陽歯車53を、スプライン係合等により固設している。又、この第三の太陽歯車53の周囲に、第二のリング歯車54を配置し、この第二のリング歯車54と前記ケーシング35等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ27aを設けている。更に、上記第二のリング歯車54と上記第三の太陽歯車53との間に配置した復数組の遊星歯車素子55、56を、上記第二のキャリア52に回転自在に支持している。これら各遊星歯車素子55、56は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア52の径方向に関して内側に設けた遊星歯車素子55を上記第三の太陽歯車53に、同じく外側に設けた遊星歯車素子56を上記第二のリング歯車54に、それぞれ噛合させている。
【0036】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、前記入力軸31から1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ6、6を介して一体型の出力側ディスク5bに伝わった動力は、前記中空回転軸18aを通じて取り出される。そして、前記低速用クラッチ26aを接続し、前記高速用クラッチ27aの接続を断った低速モード状態では、前記トロイダル型無段変速ユニット11aの変速比を変える事により、上記入力軸31の回転速度を一定にしたまま、前記出力軸24aの回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。
【0037】
即ち、この状態では、上記入力軸31から上記出力軸24aに向けて、図1の矢印xで示す様に動力が送られ、上記入力軸31と共に正方向に回転する第一のキャリア42と、上記中空回転軸18aと共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車41との差動成分が、前記第一のリング歯車46から、前記低速用クラッチ26a、前記第二のキャリア52を介して、上記出力軸24aに伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット11aの変速比を所定値にする事で上記出力軸24aを停止させられる他、このトロイダル型無段変速ユニット11aの変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸24aを、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速ユニット11aの変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸24aを、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0038】
更に、上記低速用クラッチ26aの接続を断ち、上記高速用クラッチ27aを接続した高速モード状態では、図1の矢印yで示す様に動力が送られ、上記出力軸24aを、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力軸31と共に正方向に回転する第一のキャリア42と、上記中空回転軸18aと共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車41との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速ユニット28の第一の遊星歯車素子43の回転が、第二の遊星歯車素子44を介して、前記第二の遊星歯車式変速ユニット29の第三の遊星歯車素子45に伝わり、前記第二の太陽歯車47を介して、前記伝達軸32を回転させる。そして、この伝達軸32の先端部に設けた第三の太陽歯車53と、この第三の太陽歯車53と共に前記第三の遊星歯車式変速ユニット30を構成する第二のリング歯車54及び遊星歯車素子55、56との噛合に基づき、前記第二のキャリア52及びこの第二のキャリア52に結合した上記出力軸24aを、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット11aの変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸24aの回転速度を速くできる。
【0039】
この様な高速モード状態では、上記第一の遊星歯車式変速ユニット28を構成する第一、第二の各遊星歯車素子43、44同士の噛合部、並びにこれら第一、第二の各遊星歯車素子43、44と第一の太陽歯車41又は第一のリング歯車46との噛合部からこれら第一、第二の遊星歯車素子43、44に加わるラジアル荷重を互いに相殺する事ができる。この為、これら第一、第二の遊星歯車素子43、44を支持するラジアルニードル軸受51、51の負荷を小さくして、これら各ラジアルニードル軸受51、51の耐久性の確保を図れる。この点に就いて、図5により説明する。
【0040】
上記高速モード時には、第一のキャリア42(図1、3、4)に支持された上記第一、第二の遊星歯車素子43、44及び上記第一の太陽歯車41が駆動側となり、上記第一のリング歯車46が被駆動側となる。この状態で、図5(A)に示す様に、上記第一のキャリア42が時計方向に、上記第一の太陽歯車41が反時計方向に、それぞれ駆動され、上記第一のリング歯車46が時計方向に回転すると、上記各噛合部に、動力の伝達に基づく作用、反作用により、或は傾斜面同士の噛合に基づく径方向の反力により、上記第一の遊星歯車素子43に、図5(A)に矢印a 〜a に示す方向の力が加わる。このうち、上記第一の太陽歯車41から上記第一の遊星歯車素子43に加わる矢印a 方向の力と、上記第一、第二の遊星歯車素子43、44同士の噛合部からこのうちの第一の遊星歯車素子43の径方向に加わる矢印a 方向の力とが、互いに相殺し合う。又、上記第一の太陽歯車41と上記第一の遊星歯車素子43との噛合部からこのうちの第一の遊星歯車素子43の径方向に加わる矢印a 方向の力と、上記第一、第二の遊星歯車素子43、44同士の噛合部からこの噛合部の接線方向に加わる矢印a 方向の力とが互いに相殺し合う。この為、上記高速モード時に上記第一の遊星歯車素子43に加わるラジアル荷重を小さく抑える事ができて、この第一の遊星歯車素子43を前記第一の遊星支持軸48に対し支持する為のラジアルニードル軸受51の耐久性を確保できる。
【0041】
これに対して、本発明とは逆に、図5(B)に示す様に、第一の遊星歯車素子43を第二の遊星歯車素子44よりも、入力軸31の回転方向に関して後側に、上記第一の太陽歯車41の回転方向に関して前側に、それぞれ配置すると、上記第一の遊星歯車素子43に加わるラジアル荷重が大きくなる。即ち、上記両素子43、44を図5(B)に示す様に配置すると、上記高速モード状態で上記第一の遊星歯車素子43に矢印b 〜b に示す方向の力が足し合わされる。この結果、この第一の遊星歯車素子43に加わるラジアル荷重が大きくなり、この第一の遊星歯車素子43を第一の遊星支持軸48に対し支持する為のラジアルニードル軸受51の耐久性確保が難しくなる。
【0042】
尚、第二の遊星歯車式変速ユニット29に関しては、上記第一の遊星歯車式変速ユニット28と同様に考える事ができる。即ち、前述の図4に示す様に、第二、第三の遊星歯車素子44、45を、上記第一の遊星歯車式変速ユニット28を構成する第一、第二の遊星歯車素子43、44と同方向に位相をずらせる。上記両素子44、45をこの様に配置する事で、前記第一のキャリア42の内径側に設けた第三の遊星歯車素子45に大きなラジアル荷重が加わる事を防止して、この第三の遊星歯車素子45を前記第三の遊星支持軸50に支持する為のラジアルニードル軸受51の耐久性を確保できる。
【0043】
又、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット28、29を構成する第二の遊星歯車素子44に関しては、次の様な理由により、大きなラジアル荷重が加わる事はない。即ち、高速モード状態では、上記第二の遊星歯車素子44と、第一、第三の遊星歯車素子43、45との噛合に基づいて上記第二の遊星歯車素子44に加わるラジアル方向の力は、次の▲1▼▲2▼である。
▲1▼ 上記第一、第三の遊星歯車素子43、45との噛合部での動力伝達に基づいて、各噛合部の接線方向に加わる力。
▲2▼ 傾斜面同士の係合に基づき、同じく径方向に加わる力。
【0044】
このうちの▲1▼の力は、上記第一の遊星歯車素子43との噛合部と、上記第三の遊星歯車素子45との噛合部とで、互いに逆方向に加わる。この為、これら両噛合部で上記第二の遊星歯車素子44に加わる力が互いに相殺し合う。又、上記▲2▼の力は上記両噛合部で発生する力が足し合わされるが、この▲2▼の力は小さいので、特に問題とはならない。
【0045】
上述の様に本例の無段変速装置によれば、高速モード状態で、第一、第二、第三の各遊星歯車素子43、44、45同士の噛合部、並びにこれら各遊星歯車素子43、44、45と第一、第二の太陽歯車41、47又は第一のリング歯車46との噛合部から上記各遊星歯車素子43、44、45に加わるラジアル荷重を互いに相殺する事ができる。この為、これら各遊星歯車素子43、44、45を支持するラジアルニードル軸受51、51の負荷を小さくして、これら各ラジアルニードル軸受51、51の耐久性の確保を図れる。
【0046】
尚、本例の無段変速装置の運転時、前記低速モードの状態では、上記第一、第三の各遊星歯車素子43、45に関して、各噛合部から加わるラジアル荷重が足し合わされる。この結果、これら各遊星歯車素子43、45を支承したラジアルニードル軸受51、51に加わる荷重が大きくなる。但し、本例の無段変速装置の場合、上記低速モードで運転される頻度は上記高速モードで運転される頻度に比べて遥かに低い。従って、高速モード状態で上記各ラジアルニードル軸受51、51に加わるラジアル荷重を低く抑えれば、低速モード状態でこれら各ラジアルニードル軸受51、51に加わるラジアル荷重が高くなっても、全体としてこれら各ラジアルニードル軸受51、51の耐久性向上を図れる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、特にコストを上昇させたり、大型化する事なく、無段変速装置の耐久性及び信頼性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】それぞれがはすば歯車である、太陽歯車と遊星歯車素子との噛合状態の2例を示す斜視図。
【図3】図1の略A−A断面図。
【図4】同略B−B断面図。
【図5】遊星歯車素子に加わるラジアル荷重を低くできる理由を説明する為の部分略断面図。
【図6】従来から知られているトロイダル型無段変速ユニットの1例を示す断面図。
【図7】従来から知られている無段変速装置の1例を示す略断面図。
【図8】無段変速装置全体としての変速比(車速)と、トロイダル型無段変速ユニットの変速比及びこのトロイダル型無段変速ユニットを通過するトルクとの関係を示す線図。
【図9】無段変速装置全体としての変速比と、トロイダル型無段変速ユニットを通過するトルク及びこのトロイダル型無段変速ユニットの入力軸に加わる軸力との関係を示す線図。
【符号の説明】
1 入力軸
2、2a、2b 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5、5a、5b 出力側ディスク
6 パワーローラ
7 トラニオン
8 支持軸
9 駆動軸
10、10a 押圧装置
11、11a トロイダル型無段変速ユニット
12 遊星歯車式変速ユニット
13 キャリア
14a、14b 遊星歯車素子
15 第一の伝達軸
16a、16b 太陽歯車
17 第二の伝達軸
18、18a 中空回転軸
19 太陽歯車
20 遊星歯車素子
21 リング歯車
22 第二のキャリア
23a、23b 遊星歯車素子
24、24a 出力軸
25 第二のリング歯車
26、26a 低速用クラッチ
27、27a 高速用クラッチ
28 第一の遊星歯車式変速ユニット
29 第二の遊星歯車式変速ユニット
30 第三の遊星歯車式変速ユニット
31 入力軸
32 伝達軸
33 スラストアンギュラ玉軸受
34a、34b 支持板
35 ケーシング
36a、36b 支持ポスト
37 保持環
38 出力側面
39 トーションダンパ
40 ギヤポンプ
41、41a 第一の太陽歯車
42 第一のキャリア
43、43a 第一の遊星歯車素子
44 第二の遊星歯車素子
45 第三の遊星歯車素子
46 第一のリング歯車
47 第二の太陽歯車
48 第一の遊星支持軸
49 第二の遊星支持軸
50 第三の遊星支持軸
51 ラジアルニードル軸受
52 第二のキャリア
53 第三の太陽歯車
54 第二のリング歯車
55 遊星歯車素子
56 遊星歯車素子
57 スラストニードル軸受
58 支持板
59 ストップリング

Claims (1)

  1. トロイダル型無段変速ユニットと複数の遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて成り、このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、回転軸を介して互いに同心に且つ同期した回転を自在として結合された1対の外側ディスクと、これら両外側ディスク同士の間にこれら両外側ディスクと同心に且つこれら両外側ディスクとは独立した回転を自在として支持された内側ディスクと、この内側ディスクの両側面と上記両外側ディスクの内側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されてこれら内側ディスクと両外側ディスクとの間で動力を伝達する複数のパワーローラとを備えたものであり、上記各遊星歯車式変速ユニットは、上記1対の外側ディスクにこれら両外側ディスクと同心に結合固定されてこれら両外側ディスクと共に回転するキャリアと、このキャリアの両側面のうちで一方の外側ディスクに対向する片面に回転自在に支持された複数の遊星歯車と、上記回転軸の周囲に配置された中空回転軸により上記内側ディスクに結合された状態で上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられ、上記各遊星歯車と噛合した太陽歯車とを備えたものであり、上記トロイダル型無段変速ユニットの変速比を調節して上記遊星歯車式変速ユニットを構成する上記キャリアと上記太陽歯車との相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とするモードを備えた無段変速装置に於いて、上記太陽歯車及び上記各遊星歯車ははすば歯車であって、上記キャリアを構成する支持板の片側面と一方の外側ディスクの外側面との間に支持されており、上記太陽歯車及び上記各遊星歯車の歯の傾斜方向は、上記停止状態を実現するモード状態でこの太陽歯車を上記支持板から離れさせる方向の分力を発生させる方向である事を特徴とする無段変速装置。
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