JP4894698B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車用自動変速装置として、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する無段変速装置の改良に関し、伝達効率の向上と耐久性の確保とを図るものである。
自動車用自動変速装置としてトロイダル型無段変速機が研究され、一部で実施されている。又、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて、変速度比{変速比(減速比)、速度比(増速比)=1/変速比}の幅を広くする無段変速装置も、例えば特許文献1〜5に記載されている様に、従来から知られている。図3は、このうちの特許文献1に記載された、図4は、同じく特許文献2に記載された、図5、6は、同じく特許文献3に記載された、図7は、同じく特許文献4に記載された、図8は、同じく特許文献5に記載された、それぞれ無段変速装置を示している。何れの無段変速装置の場合も、トロイダル型無段変速機1A〜1Fと、第一遊星歯車式変速機2A〜2Fと、第二遊星歯車式変速機3A〜3Fとを組み合わせて成る。
又、動力の伝達状態を高速モードと低速モードとに切り換える、高速用クラッチ4A〜4Fと低速用クラッチ5A〜5Fとを備える。そして、このうちの高速用クラッチ4A〜4Fの接続を断って低速用クラッチ5A〜5Fを接続した低速モード状態では、上記トロイダル型無段変速機1A〜1Fの変速度比の調節に基づいて、入力軸6A〜6Fを一方向に回転させた状態のまま出力軸7A〜7Fを、停止状態(ギヤードニュートラル状態)を挟んで両方向に回転駆動自在とする。これに対して、上記高速用クラッチ4A〜4Fを接続して上記低速用クラッチ5A〜5Fの接続を断った高速モード状態では、上記入力軸6A〜6Fに加えられた動力を、上記トロイダル型無段変速機1A〜1Fをバイパスして上記第一遊星歯車式変速機2A〜2Fに送る、所謂パワースプリット状態を実現する。そして、このトロイダル型無段変速機1A〜1Fの変速度比の調節に基づいて、上記第一遊星歯車式変速機2A〜2Fの変速度比を変更する。
上述の様な機能を持たせる為に、上記特許文献1に記載された無段変速装置(図3)の場合は、第一遊星歯車式変速機2Aを、ステップピニオンと呼ばれる、両端部にそれぞれ一端側、他端側各第一遊星歯車8、9を設けた、組み合わせ(第一)遊星歯車10を備えたものとしている。尚、一端側とは図1、3〜8で左(端)側に、他端側とは同じく右(端)側に、それぞれ対応する{駆動源に近い側(入力側)を前側とすれば、一端側は前(端)側に、他端側が後(端)側に、それぞれ対応する}。又、第二遊星歯車式変速機3Aを、一端側第二遊星歯車式変速機11と他端側第二遊星歯車式変速機12とから構成している。これら一端側、他端側各第二遊星歯車式変速機11、12はそれぞれ、互いに同期して回転する一端側、他端側各第二太陽歯車13、14を備える。そして、低速モード状態では、上記他端側第二遊星歯車式変速機12を構成する他端側第二キャリア15を介して、出力軸7Aに動力を送り出す様にしている。又、高速モード状態では、上記一端側第二遊星歯車式変速機11を構成する一端側第二リング歯車16を介して、上記出力軸7Aに動力を送り出す様にしている。尚、この様な特許文献1に記載された無段変速装置(図3)の場合は、上記第一遊星歯車式変速機2Aを構成する、一端側第一太陽歯車17と他端側第一太陽歯車18との間の減速比(ギヤ比、歯数比)を規制する事で、高速モードの状態を、前述した様なパワースプリット状態の他、トロイダル型無段変速機1Aを通過する動力をそのまま出力軸7Aに伝達する、直結状態にする事もできる。
又、前記特許文献2に記載された無段変速装置(図4)の場合は、第一遊星歯車式変速機2Bを、ステップピニオンと呼ばれる、両端部にそれぞれ一端側、他端側各第一遊星歯車8a、9aを設けた、組み合わせ(第一)遊星歯車10aを備えたものとしている。又、これら各組み合わせ遊星歯車10aのうち、トロイダル型無段変速機1Bに近い側の一端側各第一遊星歯車8aを、それぞれ別の一端側各第一遊星歯車19と噛合させる事により、ダブルピニオンと呼ばれる、互いに噛合した1対ずつの(内径側、外径側各第一)遊星歯車8a、19により構成された(第一)遊星歯車組20を構成している。そして、低速モード状態では、上記別の(外径側の)一端側各第一遊星歯車19と噛合した一端側第一リング歯車21を通じて取り出した動力を、第二遊星歯車式変速機3Bを構成する第二キャリア22を介して、出力軸7Bに送り出す様にしている。又、高速モード状態では、上記組み合わせ遊星歯車10aと噛合する他端側第一太陽歯車23を通じて取り出した動力を、上記第二遊星歯車式変速機3Bを構成する第二太陽歯車24並びに上記第二キャリア22を介して(反転減速させた状態で)、上記出力軸7Bに送り出す様にしている。
又、前記特許文献3に記載された無段変速装置(図5、6)のうち、図5に示した無段変速装置の場合は、第一遊星歯車式変速機2Cを、第一キャリア25を構成する支持部材26に、この支持部材26を軸方向両側から挟む状態でそれぞれ支持されて、それぞれ幅広である同じ第一リング歯車27に噛合させた、一端側、他端側各(第一)遊星歯車組28、29により構成している。これら各(第一)遊星歯車組28、29は、ダブルピニオンと呼ばれるもので、それぞれが互いに噛合した1対ずつの(外径側、内径側の)一端側、他端側各第一遊星歯車30、31により構成している。そして、低速モード状態では、上記幅広のリング歯車27を通じて取り出した動力を、第二遊星歯車式変速機3Cを構成する第二キャリア22を介して、出力軸7Cに送り出す様にしている。又、高速モード状態では、トロイダル型無段変速機1Cから遠い側の他端側遊星歯車組29(内径側の他端側各第一遊星歯車31)に噛合する他端側第一太陽歯車32を通じて取り出した動力を、上記第二遊星歯車式変速機3Cを構成する第二太陽歯車24並びに上記第二キャリア22を介して(反転減速させた状態で)、上記出力軸7Cに送り出す様にしている。
又、上記特許文献3に記載された無段変速装置(図5、6)のうち、図6に示した無段変速装置の場合は、第一遊星歯車式変速機2Dを構成する一端側、他端側各遊星歯車組28a、29aのうち、外径側に配置された第一遊星歯車33を、軸方向寸法の長いものとしている。そして、この外径側に配置された第一遊星歯車33に、内径側に配置された一端側、他端側両第一遊星歯車30、31を噛合させると共に、幅寸法(軸方向寸法)の小さい他端側第一リング歯車34を噛合させている。そして、低速モード状態では、この幅寸法の小さい他端側第一リング歯車34を通じて取り出した動力を、第二遊星歯車式変速機3Dを構成する第二キャリア22を介して、出力軸7Dに送り出す様にしている。又、高速モード状態では、トロイダル型無段変速機1Dから遠い側の他端側遊星歯車組29aに噛合する他端側第一太陽歯車32を通じて取り出した動力を、上記第二遊星歯車式変速機3Dを構成する第二太陽歯車24並びに上記第二キャリア22を介して(反転減速させた状態で)、上記出力軸7Dに送り出す様にしている。
又、前記特許文献4に記載された無段変速装置(図7)の場合には、第一遊星歯車式変速機2Eを、前記特許文献2に記載された無段変速装置(図4)を構成する第一遊星歯車式変速機2Bと同様のものとしている。そして、低速モード状態では、上記第一遊星歯車式変速機2Eを構成する一端側第一リング歯車21を通じて取り出した動力を、第二遊星歯車式変速機3Eに組み込んだ、ステップピニオンと呼ばれる組み合わせ(第二)遊星歯車35、35を通じて、出力軸7Eに送り出す様にしている。この組み合わせ(第二)遊星歯車35、35は、無段変速装置を構成するハウジング等の固定の部分に支持固定された第二キャリア22aに、回転自在に支持されている。又、高速モード状態では、上記第一遊星歯車式変速機2Eを構成する組み合わせ(第一)遊星歯車10a、10a(の他端側第一遊星歯車9a)と噛合する他端側第一太陽歯車23を通じて取り出した動力を、同じく第二遊星歯車式変速機3Eに組み込んだ、上記組み合わせ(第二)遊星歯車35、35を通じて(反転減速させた状態で)、出力軸7Eに送り出す様にしている。
更に、前記特許文献5に記載された無段変速装置(図8)の場合には、第一遊星歯車式変速機2Fを構成する組み合わせ(第一)遊星歯車10aのうち、トロイダル型無段変速機1Fから遠い側の他端側各第一遊星歯車9aに、それぞれ別の(外径側の)他端側各第一遊星歯車36を噛合させている。そして、低速モード状態では、上記第一遊星歯車式変速機2Fを構成する他端側第一リング歯車37を通じて取り出した動力を、第二遊星歯車式変速機3Fを構成する第二キャリア22b、並びに、この第二キャリア22bに回転自在に支持された、ダブルピニオンと呼ばれる(第二)遊星歯車組38、更に、第二太陽歯車39を通じて、出力軸7Fに送り出す様にしている。上記第二遊星歯車式変速機3Fを構成する第二リング歯車40は、無段変速装置を構成するハウジング等の固定の部分に回転不能に支持されている。又、高速モード状態では、上記第一遊星歯車式変速機2Fを構成する上記他端側各第一遊星歯車9aと噛合する他端側第一太陽歯車23を通じて取り出した動力を、そのまま出力軸7Fに送り出す様にしている。
上述の様な、特許文献1〜5に記載された無段変速装置の場合には、低速モード状態では、前述の様に、入力軸6A〜6Fを一方向に回転させた状態のまま出力軸7A〜7Fを、停止状態を挟んで両方向に回転駆動自在である。従って、トルクコンバータ等の発進装置や、前後進切り換え機構を省略して、小型且つ軽量に構成できる。そして、車体の床下等の限られた空間部分への組み付け性が向上する他、発進装置部分での(トルクコンバータがロックアップする以前の状態での空転に基づく)回転力の低下を防止して、運転性能の向上(ダイレクト感の向上)を図れる。又、高速モード状態では、上記入力軸6A〜6Fに加えられた動力を、トロイダル型無段変速機1A〜1Fをバイパスさせる、パワースプリット状態を実現して、このトロイダル型無段変速機1A〜1Fを通過するトルクを低減できる。この為、このトロイダル型無段変速機1A〜1Fを大型化せずに、このトロイダル型無段変速機1A〜1Fの耐久性を確保できる。
又、何れの構造の場合も、トロイダル型無段変速機1A〜1Fと第一、第二両遊星歯車式変速機2A〜2F、3A〜3Fとを、互いに同心(同軸状)に配置すると共に、上記トロイダル型無段変速機1A〜1Fを通過する動力を、このトロイダル型無段変速機1A〜1Fを構成する外側ディスクの内側に回転自在に設けた中空回転軸41A〜41Fを通じて取り出す様にしている。この為、例えば動力を伝達する為の伝達軸を、上記トロイダル型無段変速機1A〜1F並びに第一、第二両遊星歯車式変速機2A〜2F、3A〜3Fと平行に設ける構造に比べ、小型に構成できる。
ところで、上述の図3〜8にそれぞれ示した従来構造のうち、図8に示した従来構造の場合、残りの図3〜7に示した各従来構造に比べ、伝達効率の確保を図り易い。即ち、上記図3〜7に示した無段変速装置の場合、高速モードの状態で、トロイダル型無段変速機1A〜1Eに近い側に設けた第一遊星歯車式変速機2A〜2Eから出力される動力を、上記トロイダル型無段変速機1A〜1Eから遠い側に設けた第二遊星歯車式変速機3A〜3Eにより、回転方向を反転した状態で出力軸7A〜7Eに出力させている。そして、この様に回転方向を反転させる分、上記第二遊星歯車式変速機3A〜3E部分での摩擦損失が増大して、高速モード状態での伝達効率が低下し、その分、高速走行時の燃費悪化(消費燃料の増大)を招く。これに対して、上記図8に示した構造の場合は、第一遊星歯車式変速機2Fから出力される動力を、そのまま(回転方向を反転する事なく)出力軸7Fに出力させる。この為、上記図3〜7に示した構造に比べ、伝達効率の確保、延いては高速走行時の燃費の向上を図れる。
但し、この様な図8に示した構造の場合でも、次の様な問題を生じる可能性がある。即ち、この図8に示した構造の場合は、トロイダル型無段変速機1Fから遠い側に設けた第二遊星歯車式変速機3Fを、ダブルピニオン型のものとしている。この為、構造が複雑になり、軽量化や、耐久性の確保、伝達効率の確保を図りにくくなる。即ち、ダブルピニオン型の遊星歯車式変速機3Fの場合、噛合部が多くなり、噛合部での摩擦損失の合計が多くなる為、無段変速装置全体としての伝達効率を確保する面からは不利になる。しかも、低速モードの状態で、出力軸7Fと接続される第二太陽歯車39は、第二キャリア22bに対し逆方向に回転する為、各(第二)遊星歯車組38を構成する(内径側、外径側)各第二遊星歯車68a、68bが高速で回転する(伝達動力が大きくなる)。この為、伝達効率の面から不利になる(効率が低下する)だけでなく、これら(内径側、外径側)各第二遊星歯車68a、68bを支持する遊星軸及びラジアルニードル軸受に大きな負荷が加わり、これら遊星軸及びラジアルニードル軸受の耐久性を確保しにくくなる可能性もある。
尚、特許文献4に記載された無段変速装置(図7)の場合は、第二遊星歯車式変速機3Eをシングルピニオン型のものとしている為、上述の図8に示した構造に比べ、低速モードの状態での高効率化を図れる。更に、特許文献1〜3に記載された無段変速装置(図3〜6)の場合は、低速モードの状態で、出力軸7A〜7Dにそのまま動力(差動成分)が伝達される為、低速モードの状態での高効率化をより高度に図れる。但し、前述した様に、これら各従来構造(図3〜7の構造)は、使用頻度が高い高速モードの状態で、第二遊星歯車式変速機3A〜3Eに入力された動力を、この第二遊星歯車式変速機3A〜3Eで反転させた状態で出力軸7A〜7Eに送り出す。この様な高速モード状態での動力の反転に伴う伝達効率の低下は大きく、上述の様に低速モードの状態での高効率化を図れても、両方のモードを合わせて考えると、十分な伝達効率を確保できるとは言えない。
米国特許第5607372号明細書 特開2000−220719号公報 特開2003−307266号公報 特開2003−4117号公報 特開2006−283871号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、高速モードでの伝達効率を確保でき(燃費向上を図れ)、しかも、軽量化並びに耐久性の確保も図れる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、このトロイダル型無段変速機と同心に配置された第一、第二各遊星歯車式変速機と、これら第一、第二各遊星歯車式変速機を通過する動力の伝達経路を切り換える為の複数のクラッチ装置(クラッチ、ブレーキ)とを組み合わせて成る。
そして、これら各クラッチ装置の断接状態の切り換えに基づいて、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させるギヤードニュートラル状態を実現する低速モードと、この低速モードに比べて減速比の小さい状態を実現する高速モードとのうちの何れかの運転モードに切り換え自在としている。
尚、この高速モードとしては、例えば、上記入力軸から上記出力軸に伝達する動力よりも上記トロイダル型無段変速機を通過する動力が小さくなるパワースプリット状態を実現する運転モードや、上記トロイダル型無段変速機を通過する動力がそのまま上記出力軸に伝達される直結状態を実現する運転モードを採用する事ができる。
尚、上記トロイダル型無段変速機は、入力軸と共に回転する入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を可能に設けられた出力側ディスクと、これら両ディスクに設けられて互いに対向する、それぞれがトロイド曲面である軸方向側面同士の間に挟持された複数のパワーローラとを備えたものとする。
又、この様なトロイダル型無段変速機としては、動力の伝達を、互いに並列な2系統で行なう、所謂ダブルキャビティ型のものを採用する事ができる。この様なダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機は、1対の外側ディスク(例えば入力側ディスク)と、(1対或は単一の)内側ディスク(例えば出力側ディスク)と、複数のパワーローラとを備える。このうちの両外側ディスクは、入力軸を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合される。又、上記内側ディスクは、上記両外側ディスク同士の間に、これら両外側ディスクと同心に、且つ、これら両外側ディスクとは独立した回転を自在として支持される。又、上記各パワーローラは、上記内側ディスクの両側面と上記両外側ディスクの側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されて、これら内側ディスクと外側ディスクとの間で動力を伝達する。そして、この様なダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機を採用する場合には、このトロイダル型無段変速機を構成する内側ディスクと、前記第一遊星歯車式変速機を構成する部材(例えば第一太陽歯車)とを、これら両部材と同心に設けた部材(例えば中空回転軸)を介して回転力を伝達可能に連結する。
更に、本発明の無段変速装置の場合は、上記高速モードの状態で、上述の様なトロイダル型無段変速機に近い側に設けた第一遊星歯車式変速機から出力される動力を、上記トロイダル型無段変速機から遠い側に設けた第二遊星歯車式変速機を通じて、回転方向を同じまま上記出力軸に出力させる。又、これと共に、上記低速モードの状態で、上記第一遊星歯車式変速機から出力される動力を、上記第二遊星歯車式変速機を通じて回転方向を反転して上記出力軸に出力させる。更に、上記第二遊星歯車式変速機を構成する各遊星歯車(例えば第二遊星歯車)を、それぞれが同じくこの第二遊星歯車式変速機を構成する太陽歯車(例えば第二太陽歯車)とリング歯車(例えば第二リング歯車)との両方に噛合するシングルピニオン型のものとする。
又、上述の様な無段変速装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、上記第二遊星歯車式変速機を構成する上記キャリアを、低速モードの状態を実現する為の低速用クラッチにより、固定の部材(例えばケーシング、ハウジング等)に対し回転が阻止される状態と、同じく回転が許容される状態とを切り換えられるものとする。そして、上記低速モードの状態では、上記低速用クラッチにより上記キャリアを、上記固定の部材に対し回転を阻止した状態で、上記第二遊星歯車式変速機を構成する上記リング歯車に入力された動力が、同じく上記第二太陽歯車を通じて出力軸に(回転方向が反転された状態で)出力される様にする。
上述の様に構成する本発明の無段変速装置によれば、使用頻度が高い、高速モードでの伝達効率を確保でき(燃費向上を図れ)、しかも、軽量化並びに耐久性の確保も図れる。
即ち、上記高速モードの状態で、第一遊星歯車式変速機から出力される動力を、第二遊星歯車式変速機を通じて、回転方向を同じまま出力軸に出力する(第二遊星歯車式変速機により動力の回転方向を反転させない)為、高速モードでの伝達効率の確保を図れる(高速走行時の燃費向上を図れる)。しかも、上記第二遊星歯車式変速機を構成する各第二遊星歯車を、シングルピニオン型のものとしている為、この第二遊星歯車式変速機を簡素、軽量にできる他、噛合部の数の低減による伝達効率の更なる確保も図れる。又、これと共に、上記各第二遊星歯車の回転速度を低く抑えられる為、この面からも伝達効率の向上を図れる他、これら各第二遊星歯車を支持する遊星軸及びラジアルニードル軸受の耐久性の確保も図れる。
又、請求項2に記載した構成を採用した場合には、低速用クラッチに圧油を導入する為の油圧配管の取り回しの容易化を図れると共に、遠心油圧をキャンセルする為の機構が不要になる。しかも、低速モード時に、上記低速用クラッチにより上記第二遊星歯車式変速機を構成するキャリアが固定される(第二遊星歯車式変速機を構成するリング歯車に入力される動力を同じく太陽歯車を通じて取り出す)為、このキャリアが回転する場合(キャリアを介して動力伝達する場合)に比べ、より伝達効率の確保を図れる。
図1は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の無段変速装置は、入力軸42と、出力軸43と、中空回転軸44と、伝達筒45と、伝達軸46と、トロイダル型無段変速機47と、このトロイダル型無段変速機47と同心に配置された第一、第二各遊星歯車式変速機48、49と、これら各遊星歯車式変速機48、49を通過する動力の伝達経路を切り換える為のクラッチ装置を構成する、高速用クラッチ50及び低速用クラッチ51とを組み合わせて成る。
このうちのトロイダル型無段変速機47は、前述の特許文献1〜5に記載される等により従来から知られている、ダブルキャビティ型のもので、1対の入力側ディスク(外側ディスク)52a、52bと、1個の出力側ディスク(内側ディスク)53と、複数のパワーローラ54、54とを備える。このうちの両入力側ディスク52a、52bは、上記入力軸42を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在としている。この為に本例の場合には、前段側(エンジンのクランクシャフトと接続される入力側で、図1の左側)の入力側ディスク52aを上記入力軸42の中間部前寄り部分に、例えば図示しないボールスプラインを介して、この入力軸42と同期した回転及びこの入力軸42に対する軸方向の変位を可能に支持する。
又、この入力軸42と上記前段側の入力側ディスク52aとの間には、例えば油圧式の押圧装置(図示省略)を設ける。そして、無段変速装置の運転時には、この押圧装置に圧油を供給する事により、上記前段側の入力側ディスク52aを後段側(上記エンジンから遠い側で、図1の右側)の入力側ディスク52bに押圧しつつ、回転駆動する。又、この後段側の入力側ディスク52bは上記入力軸42に対し、上記第一遊星歯車式変速機48を構成する第一キャリア55により、結合固定している。従って、上記両入力側ディスク52a、52bは、上記ボールスプラインと、上記入力軸42と、上記第一キャリア55とを介して結合されており、互いに同期して回転する。この様な両入力側ディスク52a、52bの互いに対向する内側面は、それぞれトロイド曲面としている。
又、上記出力側ディスク53は、軸方向両側面をトロイド曲面とした一体型のもので、上記入力軸42の中間部で上記両入力側ディスク52a、52b同士の間部分の周囲に、これら両入力側ディスク52a、52bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク52a、52bとは独立した回転を自在として支持されている。又、上記出力側ディスク53の中心部には、上記入力軸42の後半部(図1の右半部)周囲にこの入力軸42に対する相対回転を自在に支持した中空回転軸44の基端部を、回転力の伝達を自在に、且つ、上記出力側ディスク53と同心に結合している。又、上記中空回転軸44は、上記後段側の入力側ディスク52bの内周面と上記入力軸42の外周面との間の円筒状隙間を挿通してこの入力側ディスク52bの外側面側に突出させ、上記出力側ディスク53の回転力を取り出し自在としている。
又、前記各パワーローラ54、54は、それぞれの周面を部分球面状の凸面としたもので、図示しない支持部材(トラニオン)の内側面に、それぞれ支持軸及び複数の転がり軸受により、回転自在に支持されている。この状態で上記各パワーローラ54、54は、上記出力側ディスク53の両側面と上記両入力側ディスク52a、52bの内側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。言い換えれば、上記各パワーローラ54、54の周面と上記各ディスク52a、52b、53の側面とを転がり接触させている。無段変速装置の運転時には、上記各パワーローラ54、54が上記支持部材(トラニオン)に対し、上記支持軸を中心として回転しつつ、上記両入力側ディスク52a、52bと上記出力側ディスク53との間で動力を伝達する。又、上記各支持部材(トラニオン)の傾斜角度を変える事により、前記トロイダル型無段変速機47の変速度比を調節する。
又、前記第一、第二各遊星歯車式変速機48、49のうち、上記トロイダル型無段変速機47に近い側である、前段側に設けた第一遊星歯車式変速機48は、前記第一キャリア55に加えて、一端側第一太陽歯車56と、他端側第一太陽歯車57と、複数の(第一)遊星歯車組58と、複数の(第一)組み合わせ遊星歯車59と、一端側第一リング歯車60とを備える。このうちの一端側第一太陽歯車56は、上記中空回転軸44の先端部に、この中空回転軸44と同心に結合している。従って、上記一端側第一太陽歯車56は、上記出力側ディスク53に対し同心に結合されて、この出力側ディスク53と共に回転する。一方、上記他端側第一太陽歯車57は、上記一端側第一太陽歯車56と同心に、且つ、この一端側第一太陽歯車56に対する相対回転を自在に支持されている。この為に、本例の場合は、上記第一、第二各遊星歯車式変速機48、49同士の間で、これら各遊星歯車式変速機48、49と同心に設けられた、前記伝達軸46の一端部(図1の左端部)に、上記他端側第一太陽歯車57を(直接)設けている。
又、上記各(第一)遊星歯車組58は、ダブルピニオンと呼ばれるもので、それぞれ1対ずつの一端側第一遊星歯車61a、61bから成る。これら各(第一)遊星歯車組58を構成する各遊星歯車61a、61bは、互いに噛合すると共に、上記第一キャリア55の内径側の一端側第一遊星歯車61aを上記一端側第一太陽歯車56に、同じく外径側の一端側第一遊星歯車61bを上記一端側第一リング歯車60に、それぞれ噛合させている。又、上記各(第一)組み合わせ遊星歯車59は、ステップピニオンと呼ばれるもので、軸方向に長い遊星軸の両端部にそれぞれ一端側第一遊星歯車61aと他端側第一遊星歯車62とを設けて成り、上記第一キャリア55に回転自在に支持されている。このうちの一端側第一遊星歯車61aは、上記各(第一)遊星歯車組58の内径側の遊星歯車61aとしての機能も有する。又、上記他端側第一遊星歯車62を、上記他端側第一太陽歯車57と噛合させている。これら一端側第一遊星歯車61aと他端側第一遊星歯車62とは、互いに同期して回転する。又、上記一端側第一リング歯車60は、上記一端側第一太陽歯車56の周囲に、この一端側第一太陽歯車56と同心に配置され、上記各(第一)遊星歯車組58を構成する外径側の一端側第一遊星歯車61bと噛合している。
又、前記トロイダル型無段変速機47から遠い側である、後段側に設けた第二遊星歯車式変速機49は、特許請求の範囲に記載したキャリアに相当する第二キャリア63と、同じく太陽歯車に相当する第二太陽歯車64と、同じくそれぞれが遊星歯車に相当する複数の第二遊星歯車65と、同じくリング歯車に相当する第二リング歯車66とを備える。このうちの第二キャリア63は、無段変速装置を収納したケーシング67等の固定の部分に対し、回転自在に支持されている。尚、この第二キャリア63は、後述する様に、前記低速用クラッチ51の断接(係脱)に基づいて、上記ケーシング67に対し回転が許容される状態と同じく不能とされる(阻止される)状態とを切り換えられる。
又、上記第二太陽歯車64は、前記出力軸43の一端部(図1の左端部)に(直接)設けられている。尚、この第二太陽歯車64は、後述する様に、前記高速用クラッチ50の断接(係脱)に基づいて、前記伝達軸46との間で動力が伝達される状態と同じく伝達されない状態とを切り換えられる。又、上記各第二遊星歯車65を、上記第二太陽歯車64と上記第二リング歯車66との両方に噛合させ、上記第二遊星歯車式変速機49を、シングルピニオン型のものとしている。又、上記第二リング歯車66と前記一端側第一リング歯車60とを、前記伝達筒45を介して、動力の伝達を可能に(同期した回転を自在に)接続している。
更に、前記高速用クラッチ50及び低速用クラッチ51とのうちの低速用クラッチ51を、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する第二キャリア63と前記ケーシング67との間に設けている。この様な低速用クラッチ51は、このケーシング67に対し、上記第二キャリア63の回転を不能とする状態(後述する低速モードを実現する状態)と、同じく許容する状態(後述する高速モードを実現する状態)とを切り換える。一方、上記高速用クラッチ50は、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する第二太陽歯車64と上記伝達軸46との間に設けている。この様な高速用クラッチ50は、この伝達軸46との間で動力が伝達される状態(後述する高速モードを実現する状態)と、同じく伝達されない状態(後述する低速モードを実現する状態)とを切り換える。尚、上記高速用、低速用両クラッチ50、51は、一方が接続された場合には他方の接続が断たれる。
例えば、上記高速用クラッチ50の接続を断つと共に、上記低速用クラッチ51を接続した(第二キャリア63の回転を不能とした)低速モードを選択した状態では、前記トロイダル型無段変速機47の出力側ディスク53の回転を、前記第一遊星歯車式変速機48並びに前記伝達筒45、上記第二遊星歯車式変速機49を通じて、上記出力軸43に取り出す。
即ち、上記出力側ディスク53の回転を、
出力側ディスク53→中空回転軸44→一端側第一太陽歯車56→(第一)遊星歯車組58(一端側第一遊星歯車61a、61b)→一端側第一リング歯車60→伝達筒45→→第二リング歯車66→第二遊星歯車65→第二太陽歯車64→出力軸43
の順番で、この出力軸43に伝達する。
この様な経路で動力を伝達する低速モード状態の場合に、上記一端側第一リング歯車60に伝達される動力の速度は、上記第一遊星歯車式変速機48を構成する、上記一端側第一太陽歯車56の回転速度と前記第一キャリア55の回転速度との関係で決まる。即ち、上記一端側第一リング歯車60には、上記一端側第一太陽歯車56の回転速度と上記第一キャリア55の回転速度との差動分が取り出される。前記入力軸42の回転速度を一定とした場合、上記第一キャリア55の回転速度はこの入力軸42と同じ一定のままである。これに対して、上記一端側第一太陽歯車56の回転速度は、上記トロイダル型無段変速機47の変速度比(速度比eV )を変える事により調節できる。従って、上記第一遊星歯車式変速機48を構成する(一端側)各歯車56、58(61a、61b)、60の歯数を、上記トロイダル型無段変機47で実現可能な変速度比eV との関係で適切に規制すれば、このトロイダル型無段変速機47の変速度比eV の調節に基づいて、上記入力軸42を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸43を、停止状態(ギヤードニュートラル状態)を挟んで両方向に回転駆動自在にできる。
上述の様な低速モード状態に対して、高速用クラッチ50を接続すると共に、低速用クラッチ51の接続を断った(第二キャリア63をケーシング67に対し回転可能とした)高速モードを選択した状態では、上記入力軸42と共に回転する上記第一キャリア55の回転を、上記第一遊星歯車式変速機48を構成する組み合わせ(第一)遊星歯車59の他端側第一遊星歯車62から取り出して、この第一遊星歯車式変速機48並びに前記伝達軸46、高速用クラッチ50、第二遊星歯車式変速機49の太陽歯車64を通じて、上記出力軸43に取り出す。
即ち、上記第一キャリア55の公転運動を、
第一キャリア55→組み合わせ(第一)遊星歯車59の他端側第一遊星歯車62→他端側第一太陽歯車57→伝達軸46→高速用クラッチ50→第二太陽歯車64→出力軸43
の順番で、この出力軸43に伝達する。
又、高速モード状態では、同時に、上述の様な経路中に含まれる、上記組み合わせ(第一)遊星歯車59の他端側第一遊星歯車62を、次の経路で回転(自転)させる。
出力側ディスク53→中空回転軸44→一端側第一太陽歯車56→(第一)遊星歯車組み58(内径側の一端側第一遊星歯車61a)=組み合わせ(第一)遊星歯車59の一端側第一遊星歯車61a→組み合わせ(第一)遊星歯車59の他端側第一遊星歯車62
上記他端側第一太陽歯車57は上記組み合わせ(第一)遊星歯車59の他端側第一遊星歯車62との噛合により、これら各他端側第一遊星歯車62の公転運動と自転運動とを合成した回転速度で回転駆動される。上記入力軸42の回転速度が一定とした場合、このうちの公転運動の回転速度は一定であるが、自転運動の回転速度は、前記トロイダル型無段変速機47の出力側ディスク53の回転速度に応じて変化する。従って、このトロイダル型無段変速機47の変速度比eV を調節すれば、上記入力軸42と上記出力軸43との間(無段変速装置全体として)の変速度比を調節できる。
上述の様に、高速モードを選択した状態では、上記入力軸42に加えられた動力を、上記トロイダル型無段変速機47をバイパスして、上記第一遊星歯車式変速機48を構成する上記第一キャリア55に送る。そして、同じく第一遊星歯車式変速機48を構成する他端側第一太陽歯車57により取り出した動力を、そのまま(第二遊星歯車式変速機49の第二太陽歯車64を介して)上記出力軸43に伝達する。これと共に、上記トロイダル型無段変速機47の変速度比eV の調節に基づいて、上記第一遊星歯車式変速機48部分の変速比を変更する。
下記の表1は、上記第一遊星歯車式変速機48に関する歯数の1例を、同じく表2は、上記第二遊星歯車式変速機49に関する歯数の1例を、それぞれ示している。
Figure 0004894698
Figure 0004894698
又、下記の表3は、上記第一、第二各遊星歯車式変速機48、49の減速比(ギヤ比、歯数比)の1例を、同じく表4は、低速、高速各モードでの無段変速装置全体としての速度比eT/M 、並びに、トロイダル型無段変速機47を通過する動力Tvin を、それぞれ示している。尚、無段変速装置全体としての速度比(増速比)eT/M は、eT/M =(出力軸43の回転速度/入力軸42の回転速度)に対応する。又、下記表4中のトロイダル型無段変速機47の速度比(増速比)eV は、eV =|外側ディスク(入力側各ディスク52a、52b)の回転速度/内側ディスク(出力側ディスク53)の回転速度|(絶対値)に対応する。
Figure 0004894698
Figure 0004894698
上記表1〜4に示す様な関係を有する本例の無段変速装置の場合、前述した様に、低速モード状態では、前記高速用クラッチ50の接続を断ち、前記低速用クラッチ51を接続(締結)する。即ち、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する第二キャリア63を、前記ケーシング67に固定する(回転不能とする)。この様な低速モード状態では、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する第二リング歯車66が、第一遊星歯車式変速機48の一端側第一リング歯車60と共に、この第一遊星歯車式変速機48の第一キャリア55の回転速度と一端側第一太陽歯車56の回転速度とに応じた回転速度で回転する。そして、上記第二遊星歯車式変速機49の第二リング歯車66の回転が、この第二遊星歯車式変速機49で反転減速され、同じくこの第二遊星歯車式変速機49の第二太陽歯車64を介して出力軸43に伝達される。一方、高速モード状態では、前述した様に、上記高速用クラッチ50を接続し、上記低速用クラッチ51の接続(締結)を断つ。即ち、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する第二キャリア63を、上記ケーシング67に対し回転可能とする(回転が許容される)。この様な高速モード状態では、上記第一遊星歯車式変速機48の他端側第一太陽歯車57の回転が、上記高速用クラッチ50並びに上記第二遊星歯車式変速機49の第二太陽歯車64を介して、そのまま(第二遊星歯車式変速機49を空転させた状態で)出力軸43に伝達される。
図2は、前述の表1、2に記載した歯数に規制した場合の、トロイダル型無段変速機47の速度比eV (の絶対値)と無段変速装置全体としての速度比eT/M との関係を示している。上記低速用クラッチ51を接続し、上記高速用クラッチ50の接続を断った低速モードでは、実線αに示す様に、トロイダル型無段変速機47の速度比eV を、GN状態を実現できる値(GN値)から減速する程、無段変速装置全体としての変速度比を停止状態(速度比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に増速させられる。又、同じくGN値から増速する程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速させられる。一方、上記高速用クラッチ50を接続し、上記低速用クラッチ51の接続を断った高速モードでは、破線βに示す様に、上記トロイダル型無段変速機47の変速度比eV を増速する程、上記無段変速装置全体としての速度比eT/M を(前進方向に)増速させられる。この様な高速モード時には、上記トロイダル型無段変速機47を通過する動力を低減できる、パワースプリット状態が実現される。
尚、図1に示した本例の無段変速装置の場合、第一遊星歯車式変速機48の一端側第一太陽歯車56と他端側第一太陽歯車57との間の減速比(ギヤ比、歯数比)i12 を規制する事で、高速モードの状態を、上述の様なパワースプリット状態の他、トロイダル型無段変速機47を通過する動力をそのまま出力軸43に伝達する、直結状態にする事もできる。即ち、前記表3の減速比i12 =(Zs2・Zp11 )/(Zs1・Zp2)を、i12 <1に規制する事で、上記高速モード状態をパワースプリット状態にできる。又、i12 =1に規制すれば、上記高速モード状態を直結状態にできる。
上述の様に構成する本例の無段変速装置によれば、高速モードでの伝達効率を確保でき(高速走行時の燃費向上を図れ)、しかも、軽量化並びに耐久性の確保も図れる。
即ち、上記高速モードの状態で、第一遊星歯車式変速機48から出力される動力を、第二遊星歯車式変速機49を通じて、回転方向を同じまま出力軸43に出力する(第二遊星歯車式変速機49により動力の回転方向を反転させない)為、高速モードでの伝達効率の確保を図れる(高速走行時の燃費向上を図れる)。しかも、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する各第二遊星歯車65を、シングルピニオン型のものとしている為、この第二遊星歯車式変速機49を簡素、軽量にできる他、噛合部の数の低減による伝達効率の更なる確保を図れる。又、これと共に、上記各第二遊星歯車65の回転速度を低く抑えられる為、この面からも伝達効率の向上を図れる他、これら各第二遊星歯車65を支持する遊星軸及びラジアルニードル軸受の耐久性の確保も図れる。
又、本例の場合は、低速用クラッチ51を、上記第二遊星歯車式変速機49を構成する第二キャリア63と前記ケーシング67との間に設けている為、この低速用クラッチ51に圧油を導入する為の油圧配管の取り回しの容易化を図れると共に、遠心油圧をキャンセルする為の機構が不要になる。しかも、低速モード時に、上記低速用クラッチ51により上記第二キャリア63が固定される(第二リング歯車66に入力される動力を第二太陽歯車64を通じて取り出す)為、例えば前述の図8に示した様な、第二のキャリア22b(図8)が回転する場合(第二のキャリア22bを介して動力伝達する場合)に比べ、より伝達効率の確保を図れる。尚、図示は省略するが、低速用クラッチを、第一遊星歯車式変速機を構成するリング歯車(一端側第一リング歯車)と第二遊星歯車式変速機を構成するリング歯車(第二リング歯車)との間、即ち、伝達筒に設ける事もできる。この場合には、第二遊星歯車式変速機を構成するキャリア(第二キャリア)をケーシングに対して固定する(回転不能とする)。
本発明を実施する場合に利用するトロイダル型無段変速機は、図1に示す様なハーフトロイダル型のものに限らず、前述の図7、8に示した様なフルトロイダル型のものも利用できる。
本発明の実施の形態の1例を示す半部略断面図。 無段変速装置全体としての速度比とトロイダル型無段変速機の速度比との関係の1例を示す線図。 従来構造の第1例を示す略断面図。 同第2例を示す略断面図。 同第3例を示す半部略断面図。 同第4例を示す半部略断面図。 同第5例を示す略断面図。 同第6例を示す半部略断面図。
符号の説明
1A〜1F トロイダル型無段変速機
2A〜2F 第一遊星歯車式変速機
3A〜3F 第二遊星歯車式変速機
4A〜4F 高速用クラッチ
5A〜5F 低速用クラッチ
6A〜6F 入力軸
7A〜7F 出力軸
8、8a 一端側第一遊星歯車
9、9a 他端側第一遊星歯車
10、10a 組み合わせ遊星歯車
11 一端側第二遊星歯車式変速機
12 他端側第二遊星歯車式変速機
13 一端側第二太陽歯車
14 他端側第二太陽歯車
15 他端側第二キャリア
16 一端側第二リング歯車
17 一端側第一太陽歯車
18 他端側第二太陽歯車
19 別の一端側第一遊星歯車
20 遊星歯車組
21 一端側第一リング歯車
22、22a、22b 第二キャリア
23 他端側第一太陽歯車
24 第二太陽歯車
25 第一キャリア
26 支持部材
27 第一リング歯車
28、28a 一端側遊星歯車組
29、29a 他端側遊星歯車組
30 一端側第一遊星歯車
31 他端側第一遊星歯車
32 他端側第一太陽歯車
33 第一遊星歯車
34 他端側第一リング歯車
35 組み合わせ遊星歯車
36 他端側第一遊星歯車
37 他端側第一リング歯車
38 遊星歯車組
39 第二太陽歯車
40 第二リング歯車
41A〜41F 中空回転軸
42 入力軸
43 出力軸
44 中空回転軸
45 伝達筒
46 伝達軸
47 トロイダル型無段変速機
48 第一遊星歯車式変速機
49 第二遊星歯車式変速機
50 高速用クラッチ
51 低速用クラッチ
52a、52b 入力側ディスク
53 出力側ディスク
54 パワーローラ
55 第一キャリア
56 一端側第一太陽歯車
57 他端側第一太陽歯車
58 遊星歯車組
59 組み合わせ遊星歯車
60 一端側第一リング歯車
61a、61b 一端側第一遊星歯車
62 他端側第一遊星歯車
63 第二キャリア
64 第二太陽歯車
65 第二遊星歯車
66 第二リング歯車
67 ケーシング
68a、68b 第二遊星歯車

Claims (2)

  1. 入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、このトロイダル型無段変速機と同心に配置された第一、第二各遊星歯車式変速機と、これら第一、第二各遊星歯車式変速機を通過する動力の伝達経路を切り換える為の複数のクラッチ装置とを組み合わせて成り、
    これら各クラッチ装置の断接状態の切り換えに基づいて、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させるギヤードニュートラル状態を実現する低速モードと、この低速モードに比べて減速比の小さい状態を実現する高速モードとのうちの何れかの運転モードに切り換え自在とした
    無段変速装置であって、
    上記高速モードの状態で、上記トロイダル型無段変速機に近い側に設けた第一遊星歯車式変速機から出力される動力を、上記トロイダル型無段変速機から遠い側に設けた第二遊星歯車式変速機を通じて、回転方向を同じまま上記出力軸に出力させると共に、
    上記低速モードの状態で、上記第一遊星歯車式変速機から出力される動力を、上記第二遊星歯車式変速機を通じて回転方向を反転して上記出力軸に出力させ、
    更に、上記第二遊星歯車式変速機を構成する各遊星歯車を、それぞれが同じくこの第二遊星歯車式変速機を構成する太陽歯車とリング歯車との両方に噛合する、シングルピニオン型のものとした、
    無段変速装置。
  2. 第二遊星歯車式変速機を構成するキャリアは、低速モードの状態を実現する為の低速用クラッチにより、固定の部材に対し回転が阻止される状態と、同じく回転が許容される状態とを切り換えられるものであり、上記低速モードの状態では、上記低速用クラッチにより第二キャリアが上記固定の部材に対し回転が阻止された状態で、上記第二遊星歯車式変速機を構成するリング歯車に入力された動力が、同じく太陽歯車を通じて出力軸に出力される、請求項1に記載した無段変速装置。
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