JP2016223468A5 - - Google Patents

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無段変速装置
この発明は、例えば車両(自動車)用、建設機械用、航空機等で使用される発電機用、ポンプ等の各種産業機械用の自動変速装置等として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関する。
自動車用変速機としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、従来から広く知られ、一部で実施されている。又、例えば特許文献1には、航空機等の発電機を一定の回転速度で回転駆動する為に、トロイダル型無段変速機を使用する事が記載されている。又、変速比の変動幅をより大きくすべく、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置も、特許文献2に記載される等により従来から広く知られている。又、例えば特許文献3には、所謂ギヤードニュートラルと呼ばれ、入力部材を一方向に回転させたまま、出力部材の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる無段変速装置が記載されている。前記特許文献3に記載された無段変速装置は、クラッチ装置(低速用クラッチ及び高速用クラッチ)の断接を制御する事により、変速状態を、ギヤードニュートラル状態(変速比無限大の状態)を実現する低速モードと、この低速モードと比べて前記入力部材と前記出力部材との間の減速比が小さい高速モードとの何れかのモードで運転する。
図4は、前記各特許文献に記載される等して従来から知られているトロイダル型無段変速機の第1例を示している。このトロイダル型無段変速機は、入力回転軸1の両端寄り部分の周囲に1対の入力側ディスク2a、2bを、それぞれがトロイド曲面である内側面同士を互いに対向させた状態で、ボールスプライン18、18を介して支持し、遠近動可能に、且つ、前記入力回転軸1と同期して回転する様にしている。又、この入力回転軸1の中間部周囲に出力筒3を、この入力回転軸1に対する相対回転を可能に支持している。又、この出力筒3の外周面には、軸方向中央部に出力歯車4を固設すると共に、軸方向両端部に1対の出力側ディスク5、5を、スプライン係合により、前記出力筒3と同期した回転を可能に支持している。又、この状態で、それぞれがトロイド曲面である、前記両出力側ディスク5、5の内側面を、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面に対向させている。
又、前記両入力側ディスク2a、2bと前記両出力側ディスク5、5との間に、それぞれの周面を球状凸面とした複数個のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニオン42、42に回転自在に支持されており、前記両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから前記両出力側ディスク5、5に動力を伝達する。即ち、トロイダル型無段変速機の運転時には、駆動軸43により一方(図4の左方)の入力側ディスク2aを、押圧装置9(図示の構造はローディングカム式の押圧装置)を介して回転駆動する。この結果、前記入力回転軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2a、2bが、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、前記各パワーローラ6、6を介して前記両出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
又、前記入力回転軸1の両端部近傍で前記両入力側ディスク2a、2bを軸方向両側から挟む位置に、それぞれ予圧ばね10a、10bを設けている。そして、前記押圧装置9の非作動時(前記駆動軸43の停止時)にも、前記各パワーローラ6、6の周面と、前記入力側、出力側各ディスク2a、2b、5の内側面との転がり接触部(トラクション部)の面圧を、必要最低限だけは確保する様にしている。従って、これら各転がり接触部は、トロイダル型無段変速機の運転開始直後から、過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する。尚、前記必要最低限の面圧を確保する為の弾力は、前記押圧装置9の内径側に配置した予圧ばね10aにより得る。前記入力回転軸1の先端部に螺着したローディングナット11と入力側ディスク2bの外側面との間に配置した予圧ばね10bは、前記押圧装置9の急な作動時に加わる衝撃を緩和するものであって、省略する事もできる。設ける場合には、十分に(大きなトルクを伝達する際にも完全に押し潰されない程度に)大きな弾力を持たせる。
又、特許文献4には、ローディングナットに代えてコッタと呼ばれる係止環を用いて、入力側ディスク(押圧装置を設けた側と反対側の入力側ディスク)を支持する構造が記載されている。図5は、この様な係止環を組み込んだ従来構造の第2例を示している。この従来構造の第2例の場合、入力側ディスク2bの中心部にスプライン孔12を形成し、このスプライン孔12と、入力回転軸1aの先端寄り部分の外周面に形成したスプライン軸部13とを係合している。又、この入力回転軸1aの先端部外周面で、このスプライン軸部13から軸方向に外れた部分に、全周に亙って係止溝14を形成し、この係止溝14に、複数(2〜4個)の部分円弧状の素子から成る係止環15の径方向内半部を係止している。そして、この係止環15の内側面(図5の左側面)のうちの径方向外端寄り部分を、入力側ディスク2bの外側面のうちの径方向内端部に当接させる。油圧式の押圧装置9aの非作動時に、各パワーローラ6、6(図4参照)の周面と、入力、出力側各ディスク2a、2b、5aの内側面との転がり接触部の面圧を必要最低限確保する為の、予圧ばね10aの弾力の調整は、前記係止環15として、適正な軸方向の厚さ寸法を有するものを選択する事により図る。又、前記入力回転軸1aの先端部に断面L字形の抑え環16を外嵌し、この抑え環16の内周面を、前記係止環15の外周面に当接或いは近接対向させる事により、この係止環15(を構成する各素子)が前記係止溝14から抜け出るのを防止している。この様な抑え環16は、前記入力回転軸1aの先端部に係止した止め輪17により軸方向の変位を阻止する。以上の様な構成により、前記入力側ディスク2bを前記入力回転軸1aに、この入力回転軸1aと同期した回転を可能に支持している。尚、前記従来構造の第2例の場合、出力側ディスク5aとして一体型のものを使用する事により、トロイダル型無段変速機全体として小型・軽量化を図っている。但し、この部分の構造及び作用に就いては、本発明の要旨とは関係しない為、詳しい説明は省略する。
上述の様な従来構造の第1例及び第2例の何れの構造の場合でも、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが小さい場合のこのトロイダル型無段変速機の伝達効率を確保しつつ、極低温環境下においても、このトロイダル型無段変速機の運転開始直後からトラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する為には、更なる改良の余地がある。即ち、前記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが小さい場合には、前記各トラクション部で過大な滑りを生じる事なく、トルクの伝達を行う為に必要な、これら各トラクション部の面圧(これら各トラクション部の為の押圧装置が発生すべき押圧力)は小さい。この為、この押圧装置の非作動時に、これら各トラクション部の面圧を必要最低限確保する為の予圧ばねの弾力が大きいと、前記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが小さい場合に、前記各トラクション部の面圧が過大になり、これら各トラクション部で発生する、スピンロスを始めとする伝達ロスが大きくなり、前記トロイダル型無段変速機の伝達効率が低下する。これに対し、極低温環境下(例えば−40℃以下)では、前記各トラクション部に存在する(トラクション部を潤滑する)トラクションオイルのトラクション係数μ(=接線力/法線力)が小さくなる。この為、極低温環境下では、前記トロイダル型無段変速機の運転開始に伴い、前記押圧装置の発生する押圧力、延いては、前記各トラクション部の面圧が上昇する事により上昇する、これら各トラクション部で伝達可能なトルクの上昇量が、前記トラクションオイルの温度が高い(常温である)場合に比べて、小さくなる。従って、極低温環境下で、前記トロイダル型無段変速機の運転開始直後から前記各トラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する為には、前記予圧ばねの弾力をある程度以上確保する必要がある。
特開2001−158400号公報 特開平11−63146号公報 特開2002−139124号公報 特開2000−205361号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、トロイダル型無段変速機の伝達効率を確保しつつ、極低温環境下においても、運転開始直後からこのトロイダル型無段変速機のトラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始できる無段変速装置の構造を実現する事を目的としている。
本発明の無段変速装置は、エンジン等の駆動源により回転駆動される入力部材と、発電機の回転子(ロータ)やデファレンシャルギヤの入力部等の被駆動部を回転駆動する為の出力部材と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構と、これらトロイダル型無段変速機と差動機構との動力の伝達状態を切り換える為のクラッチ装置とを備える。
このうちのクラッチ装置は、低速用クラッチと、高速用クラッチとから構成される。
この低速用クラッチは、前記入力部材と前記出力部材との間の減速比が大きい低速モードを実現する際に接続され、同じく減速比が小さい高速モードを実現する際に接続を断たれるものである。
前記高速用クラッチは、前記高速モードを実現する際に接続され、前記低速モードを実現する際に接続を断たれるものである。
特に本発明の無段変速装置においては、前記トロイダル型無段変速機の変速比を、前記低速モードと前記高速モードとを切り換える際の変速比(モード切換ポイント、MC値)に一致させると共に、前記低速用、高速用両クラッチを同時に接続した状態で、前記駆動源を始動する。
上述の様な本発明の無段変速装置に組み込まれるトロイダル型無段変速機は、入力側ディスクと、出力側ディスクと、複数個のパワーローラと、押圧装置とを備える。
このうちの入力側ディスクは、前記差動機構の第一の入力部と共に前記入力部材により回転駆動される。
前記出力側ディスクは、前記入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持され、前記差動機構の第二の入力部に動力の伝達を可能に接続される。
前記各パワーローラは、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されて、これら入力側ディスクと出力側ディスクとの間で動力を伝達する。
前記押圧装置は、前記各パワーローラの周面と、前記入力側ディスク及び出力側ディスクの側面との転がり接触部であるトラクション部の面圧を確保する為、これら入力側ディスクと出力側ディスクとを互いに近づく方向に押圧するものである。この様な押圧装置としては、ローディングカム式或いは油圧式の押圧装置を使用する事ができる。
上述の様なトロイダル型無段変速機は、前記各パワーローラを、前記入力側ディスク及び前記出力側ディスクの中心軸に対し捩れの位置に存在する枢軸を中心に揺動させて、これら入力側ディスクと出力側ディスクとの間の変速比(トロイダル型無段変速機の変速比)を変える。
又、この様なトロイダル型無段変速機は、必要に応じて、予圧ばねを更に備える。この予圧ばねは、前記各トラクション部で、このトロイダル型無段変速機の運転開始(駆動源の始動)直後から、過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始できる様にする為のもので、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとを互いに近づける方向の弾力を有する。この様な予圧ばねとして、例えば皿ばねを使用する事ができる。
上述の様な本発明の無段変速装置を実施する場合に好ましくは、前記出力部材と前記被駆動部との間に、これら出力部材と被駆動部との間の動力伝達の断接状態を切り換える為の出力側クラッチ機構を設ける。
上述の様な本発明の無段変速装置によれば、トロイダル型無段変速機の伝達効率を確保しつつ、極低温環境下においても、運転開始直後からこのトロイダル型無段変速機のトラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する事ができる。
即ち、本発明の場合、前記トロイダル型無段変速機の変速比をモード切換ポイントに一致させると共に、低速用、高速用両クラッチを同時に接続した状態で、駆動源を始動する様にしている為、この駆動源の始動時(トロイダル型無段変速機の運転開始直後)に、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクを小さくする(理想的には、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを0にする)事ができる。この為、押圧装置の非作動時にも、前記トロイダル型無段変速機のトラクション部の面圧を必要最低限確保する為の予圧ばねの弾力を小さく抑える事ができる(理想的には予圧ばねを省略できる)。従って、前記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが小さい場合に、前記各トラクション部の面圧が過大になる事を防止して、前記トロイダル型無段変速機の伝達効率を確保する事ができる。又、トラクションオイルのトラクション係数が小さくなる、極低温環境下においても、前記トロイダル型無段変速機の運転開始直後から前記各トラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する事ができる。
本発明の実施の形態の第1例を示す略断面図。 トロイダル型無段変速機の変速比と無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示す線図。 本発明の実施の形態の第2例を示す略断面図。 トロイダル型無段変速機の従来構造の第1例を示す断面図。 同じく第2例を示す断面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の無段変速装置は、図示しないエンジン等の駆動源により一方向に回転駆動される、入力部材である駆動軸43aと、被駆動部であるデファレンシャルギヤ19の入力部を回転駆動する為の出力部材である、中空状の出力軸20と、トロイダル型無段変速機21と、差動機構である遊星歯車式変速機22と、これらトロイダル型無段変速機21と遊星歯車式変速機22との動力の伝達状態を切り換える為のクラッチ装置23と、出力側クラッチ機構24とを備える。
このうちのトロイダル型無段変速機21は、1対の入力側ディスク2a、2bと、出力側ディスク5aと、複数個のパワーローラ6、6と、複数個のトラニオン42、42(図4参照)と、押圧装置9bと、予圧ばね10a(図4〜5参照)とを備える。このうちの入力側ディスク2a、2bは、前記駆動軸43aと同軸に設けられた入力側回転軸1bの両端寄り部分に、それぞれがトロイド曲面である内側面同士を互いに対向させた状態で、遠近動可能に、且つ、前記入力回転軸1bと同期した回転を可能に支持している。前記出力側ディスク5aは、この入力回転軸1bの軸方向に関して、前記両入力側ディスク2a、2b同士の間位置に、それぞれがトロイド曲面である両側面をこれら両入力側ディスク2a、2bの内側面に対向させた状態で、これら両入力側ディスク2a、2bと同軸に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を可能に支持している。尚、出力側ディスクを、前述の図4に示す様な1対の素子を結合して成るものとする事もできる。
前記各パワーローラ6、6は、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面と前記出力側ディスク5aの両側面との間に挟持されて、これら両入力側ディスク2a、2bと出力側ディスク5aとの間で動力(トルク)を伝達する。前記各トラニオン42、42は、前記各パワーローラ6、6を回転自在に支持しており、前記両入力側ディスク2a、2b及び前記出力側ディスク5aの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を可能に支持されている。前記押圧装置9bは、前記駆動軸43aと、前記両入力側ディスク2a、2bのうちの一方(図1の右方)の入力側ディスク2aとの間に設けられ、この一方の入力側ディスク2aを、これら両入力側ディスク2a、2bのうちの他方(図1の左方)の入力側ディスク2bに向け押圧するものである。この様な押圧装置9bとしては、例えば、図4に示す様なローディングカム式、又は、図5に示す様な油圧式のものを使用する事ができる。前記予圧ばね10aは、前記入力回転軸1bと前記一方の入力側ディスク2aとの間に設けられ、この一方の入力側ディスク2aを前記他方の入力側ディスク2bに向け押圧する方向の弾力を有する。これにより、前記押圧装置9bの非作動時にも、前記各パワーローラ6、6の周面と、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面及び前記出力側ディスク5bの両側面との転がり接触部の面圧を、必要最低限だけは確保する様にしている。この結果、これら各転がり接触部は、前記トロイダル型無段変速機21の運転開始直後から、過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する事ができる。この様な予圧ばね10aとしては、例えば、図4〜5に示す様な皿ばねを使用する事ができる。又、この予圧ばね10aの弾力は、図4に示す様なローディングナット11の締め付け量を調節したり、図5に示す様な係止環15の厚さ寸法を適宜選択する事により調整する。
前記無段変速装置の運転時には、前記駆動軸43aにより、前記トロイダル型無段変速機21を構成する一方の入力側ディスク2aを、前記押圧装置9bを介して回転駆動する。この結果、前記入力回転軸1bの両端寄り部分に支持された1対の入力側ディスク2a、2bが、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、前記各パワーローラ6、6を介して前記出力側ディスク5aに伝わり、この出力側ディスク5aの外周面に設けられた出力歯車4aから取り出される。前記入力回転軸1bとこの出力歯車4aとの間の変速比(トロイダル型無段変速機21の変速比)を変える場合は、図示しないアクチュエータにより前記各トラニオン42、42をそれぞれの枢軸の軸方向に変位させる。この結果、前記各パワーローラ6、6の周面と、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面及び前記出力側ディスク5aの両側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化する(転がり接触部にサイドスリップが発生する)。そして、この力の向きの変化に伴って前記各トラニオン42、42が、それぞれの枢軸25、25を中心に揺動し、前記各パワーローラ6、6の周面と、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面及び前記出力側ディスク5aの両側面との接触位置が変化する。前記各パワーローラ6、6の周面を、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面の径方向外寄り部分と、前記出力側ディスク5aの両側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、前記入力回転軸1bと前記出力歯車4aとの間の変速比が増速側になる。これに対して、前記各パワーローラ6、6の周面を、前記両入力側ディスク2a、2bの内側面の径方向内寄り部分と、前記出力側ディスク5aの両側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、前記入力回転軸1bと前記出力歯車4aとの間の変速比が減速側になる。
前記遊星歯車式変速機22は、前記駆動軸43a及び前記トロイダル型無段変速機21の出力歯車4aと、前記出力軸20との間に設けられている。この様な遊星歯車式変速機22は、遊星歯車機構26と、この出力軸20の内側に回転自在に挿通された中間軸27と、この中間軸27の片端部(図1の左端部)に、この中間軸27と同期した回転を可能に支持された中間歯車28とを備えている。このうちの遊星歯車機構26は、キャリア29に回転可能に支持された遊星歯車30、30を、太陽歯車31に噛合させると共に、リング歯車32にも噛合させる、シングルピニオン式である。この太陽歯車31は、前記中間軸27の他端部(図1の右端部)に、この中間軸27と同期した回転を可能に支持されている。前記キャリア29は、複数の歯車を組み合わせて成る入力側歯車伝達機構33を介して、前記駆動軸43aにより回転駆動される。前記リング歯車32は、前記クラッチ装置23を構成する低速用クラッチ7を介して、前記出力軸20を回転駆動可能としている。前記中間歯車28は、前記出力歯車4aと噛合すると共に、前記クラッチ装置23を構成する高速用クラッチ8を介して、前記出力軸20を回転駆動可能としている。
この出力軸20の動力は、複数の歯車を組み合わせて成る出力側歯車伝達機構34を介して、前記デファレンシャルギヤ19の入力部に伝達可能としている。本例の場合、この出力側歯車伝達機構34内に、湿式クラッチである前記出力側クラッチ機構24を組み込んで、前記出力軸20と前記デファレンシャルギヤ19の入力部との間の動力伝達の断接状態を切り換え可能としている。この為に、前記出力側歯車伝達機構34は、第一〜第三歯車35〜37と、互いに同軸に、且つ、相対回転を可能に支持された1対の回転軸38a、38bとを備える。前記第一歯車35は、前記出力軸20の中間部に、この出力軸20と同期した回転を可能に支持されている。前記第二歯車36は、前記第一歯車35と噛合した状態で、前記両回転軸38a、38bのうちの一方(図1の右方)の回転軸38aの周囲に、この一方の回転軸38aと同期した回転を可能に支持されている。前記第三歯車37は、前記デファレンシャルギヤ19の入力部に動力伝達を可能とした状態で、前記両回転軸38a、38bのうちの他方(図1の左方)の回転軸38bの周囲に、この他方の回転軸38bと同期した回転を可能に支持されている。そして、前記出力側クラッチ機構24を構成するクラッチディスク39を前記一方の回転軸38aの端部に、この一方の回転軸38aと同期した回転を可能に支持固定すると共に、前記出力側クラッチ機構24を構成するフライホイール40を前記他方の回転軸38bの端部に、この他方の回転軸38bと同期した回転を可能に支持固定している。この様な出力側クラッチ機構24は、前記無段変速装置を構成する他の部分(トロイダル型無段変速機21、遊星歯車式変速機22、クラッチ装置23等)と共にハウジング内に収納する事もできるし、ハウジングの外に設ける事もできる。
上述の様な本例の無段変速装置は、前記クラッチ装置23(を構成する低速クラッチ7及び高速クラッチ8)の断接状態を切り換える事により、前記駆動軸43aを一方向に回転させた状態のまま前記出力軸20の回転状態を、停止状態(所謂ギヤードニュートラル状態)を挟んで正転、逆転に切り換えられる低速モードと、この低速モードと比べて前記駆動軸43aと前記出力軸20との間の減速比が小さい高速モードとの何れかのモードで運転する。
図2は、前記トロイダル型無段変速機21の変速比と無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。例えば、前記低速用クラッチ7が接続され、前記高速用クラッチ8の接続が断たれた低速モードでは、実線αで示す様に、トロイダル型無段変速機21の変速比を、ギヤードニュートラル状態を実現できる値(GN値、ギヤードニュートラルポイント)から減速側に変化させる程、無段変速装置全体としての速度比を停止状態(変速比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に、増速する方向に変化させられる。又、同じくGN値から増速側に変化させる程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速する方向に変化させられる。一方、前記高速用クラッチ8が接続され、前記低速用クラッチ7の接続が断たれた高速モードでは、実線βで示す様に、前記トロイダル型無段変速機21の変速比を増速側に変化させる程、前記無段変速装置全体としての速度比を(前進方向に)増速側に変化させられる。即ち、本例の場合には、前記低速モードと前記高速モードとの切換を、前記トロイダル型無段変速機21の変速比の最小変速比(最も減速側の変速比)で行う様にしている。
尚、一般的には、「変速比」は減速比であり、「速度比」は増速比であり、「変速比」の逆数が「速度比」となる(「速度比」=1/「変速比」)。但し、本明細書では、トロイダル型無段変速機に関する入力側と出力側との間の比について「変速比」の言葉を用い、無段変速装置全体に関する入力側と出力側との間の比について「速度比」の言葉を用いている。この理由は、トロイダル型無段変速機の比なのか、無段変速装置全体としての比なのかを明確にし易くする為である。従って、本明細書では、「変速比」が減速比に、「速度比」が増速比に、必ずしも対応するものではない。
特に本例の無段変速装置の場合は、前記トロイダル型無段変速機21の変速比を、前記低速モードと前記高速モードとを切り換える際の変速比(MC値、モード切換ポイント)に一致させる(トロイダル型無段変速機21の変速比を最小変速比にする)と共に、前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とを同時に接続し、且つ、前記出力側クラッチ機構24を切断した状態で、前記駆動源を始動する様にしている。そして、この駆動源の回転が十分に上昇し(駆動源の回転数が安定し)、前記押圧装置9bの油圧室に導入される油圧が十分に(トラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始できる面圧を確保できる程度に)上昇するまで待機する。前記押圧装置9bの油圧室に導入される油圧が十分に上昇したら、その時点での無段変速装置の運転状態に応じて、前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とのうちの何れか一方のクラッチを接続したままの状態で、他方のクラッチを切断すると共に、前記トロイダル型無段変速機21の変速比を前記運転状態に応じた最適な値に調節する。具体的には、前記低速用クラッチ7を接続したままの状態で、前記高速用クラッチ8を切断すると共に、前記トロイダル型無段変速機21の変速比を、ギヤードニュートラル状態を実現できる値に調節する。そして、前記出力側クラッチ機構24を接続して、前記駆動源の動力を、前記無段変速装置により変速して、前記デファレンシャルギヤ19の入力部に伝達する。
上述の様な無段変速装置の運転を停止する際には、先ず、前記出力側クラッチ機構24を切断する。次に、前記トロイダル型無段変速機21の変速比を前記モード切換ポイントに一致させる(トロイダル型無段変速機21の変速比を最小変速比にする)。そして、前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とを何れも接続した状態とする。
上述の様な本例の無段変速装置によれば、前記トロイダル型無段変速機21の伝達効率を確保しつつ、極低温環境下においても、運転開始直後からこのトロイダル型無段変速機21のトラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する事ができる。
即ち、本例の場合、前記トロイダル型無段変速機21の変速比をモード切換ポイントに一致させると共に、前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とを同時に接続した状態で、前記駆動源を始動する様にしている。この為、この駆動源の始動時(トロイダル型無段変速機21の運転開始直後)に、このトロイダル型無段変速機21を通過するトルクを小さくする(理想的には、トロイダル型無段変速機21を通過するトルクを0にして、1対の入力側ディスク2a、2bと出力側ディスク5aとの間でトルクが伝達されない様にする)事ができる。この為、前記予圧ばね10aの弾力を小さく抑える事ができる。この結果、この予圧ばね10aの突き当て部の摩耗を少なく抑える事ができる。又、前記トロイダル型無段変速機21の運転開始直後であるか否かにかかわらず、このトロイダル型無段変速機21を通過するトルクが小さい場合に、前記各トラクション部の面圧が過大になる事を防止して、前記トロイダル型無段変速機21の伝達効率を確保する事ができる。尚、このトロイダル型無段変速機21の運転開始直後に、このトロイダル型無段変速機21を通過するトルクをほぼ0にできる場合には、予圧ばね10aを省略する事もできる。
更に、本例の場合には、前記トロイダル型無段変速機21の運転開始直後に、このトロイダル型無段変速21を通過するトルクを小さくできる為、前記予圧ばね10aの弾力を小さく抑えても、前記各トラクション部に存在する(トラクション部を潤滑する)トラクションオイルのトラクション係数が小さくなる、極低温環境下(例えば−40℃以下)においても、前記トロイダル型無段変速機21の運転開始直後から前記各トラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始する事ができる。
尚、本例の場合には、前記駆動源の始動時に、前記出力側クラッチ機構24を切断している為、この駆動源の回転が安定し、前記押圧装置9bの油圧室に導入される油圧が十分に上昇するまで(前記トロイダル型無段変速機21のトラクション部で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始できる面圧を確保できるまで)、前記駆動源の動力は前記デファレンシャルギヤ19の入力部に伝達される事はない。
尚、本発明の無段変速装置を実施する場合に、トロイダル型無段変速機21は、1対の出力側ディスクを回転軸の両端寄り部分に、互いに同期した回転を可能に支持すると共に、この回転軸の軸方向に関して、前記両出力側ディスクの間位置に、一体型又は1対の素子を結合して成る入力側ディスクを、これら両出力側ディスクと同軸に、且つ、これら両出力側ディスクに対する相対回転を可能に支持する様に構成しても良い。又、トロイダル型無段変速機21を、入力側ディスクと出力側ディスクとを1個ずつ設けた、所謂シングキャビティ型とする事もできる。又、前記トロイダル型無段変速機21は、ハーフトロイダル型に限らず、フルトロイダル型としても良い。更に、本発明は、ギヤードニュートラル状態を実現できないトロイダル型無段変速機で実施する事もできる。
[実施の形態の第2例]
図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の無段変速装置は、出力軸20の動力をデファレンシャルギヤ19の入力部に伝達する為の出力側歯車伝達機構34a内に、ドグクラッチ41を組み込む事により、前記出力軸20と前記デファレンシャルギヤ19の入力部との間の動力伝達の断接状態を切り換え可能としている。この様な本例によれば、駆動源を始動し、押圧装置9bの油圧室に導入される油圧が十分に上昇した後、速やかに、前記出力軸20の動力を前記デファレンシャルギヤ19の入力部に伝達する事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様である。
本発明の無段変速装置は、車両用や建設機械用、ポンプ等の各種産業機械用の自動変速装置として利用するだけでなく、航空機等で使用される発電機用の自動変速装置として利用する事もできる。即ち、航空機の駆動源であるエンジンは、通常約4500〜9200[min−1]の速度で回転するのに対し、前記航空機に搭載される発電機(交流発電機)の回転子(ロータ)は、約24000[min−1]の速度で回転する必要がある。この様な発電機が発電する電力の周波数を安定させる為には、この発電機の回転子を一定の速度で回転させる必要がある。そこで、前記航空機のエンジンと発電機との間に、本発明の無段変速装置を組み込めば、前記発電機の回転子を一定の速度で回転させて、電力の周波数を安定させる事ができる。尚、航空機は、寒冷地でエンジンを始動しなければならない場合があり、エンジンと発電機との間に、本発明の無段変速装置を組み込む事が有効である。
1、1a 入力回転軸
2a、2b 入力側ディスク
3 出力筒
4 出力歯車
5、5a 出力側ディスク
6 パワーローラ
低速用クラッチ
高速用クラッチ
9、9a、9b 押圧装置
10a、10b 予圧ばね
11 ローディングナット
12 スプライン孔
13 スプライン軸部
14 係止溝
15 係止環
16 抑え環
17 止め輪
18 ボールスプライン
19 デファレンシャルギヤ
20 出力軸
21 トロイダル型無段変速機
22 遊星歯車式変速機
23 クラッチ装置
24 出力側クラッチ機構
25 枢軸
26 遊星歯車機構
27 中間軸
28 中間歯車
29 キャリア
30 遊星歯車
31 太陽歯車
32 リング歯車
33 入力側歯車伝達機構
34 出力側歯車伝達機構
35 第一歯車
36 第二歯車
37 第三歯車
38a、38b 回転軸
39 クラッチディスク
40 フライホイール
41 ドグクラッチ
42 トラニオン
43、 43a 駆動軸

Claims (1)

  1. 駆動源により回転駆動される入力部材と、被駆動部を回転駆動する為の出力部材と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構と、これらトロイダル型無段変速機と差動機構との動力の伝達状態を切り換える為のクラッチ装置とを備え、
    このうちのクラッチ装置は、前記入力部材と前記出力部材との間の減速比が大きい低速モードを実現する際に接続され、同じく減速比が小さい高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続され、前記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとから成る、
    無段変速装置において、
    前記トロイダル型無段変速機の変速比を、前記低速モードと前記高速モードとを切り換える際の変速比に一致させると共に、前記低速用、高速用両クラッチを同時に接続した状態で、前記駆動源を始動する、
    事を特徴とする無段変速装置。
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