JP4696770B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車用自動変速装置として、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する無段変速装置の改良に関する。具体的には、無段変速装置に組み込む遊星歯車式変速ユニットを構成する遊星歯車の回転速度を低く抑え、伝達効率の向上と耐久性の確保とを図るものである。
自動車用自動変速装置としてトロイダル型無段変速機が研究され、一部で実施されている。又、トロイダル型無段変速ユニットと遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて、変速比の幅を広くする無段変速装置も、例えば特許文献1〜3に記載されている様に、従来から知られている。図3は、このうちの特許文献1に記載された、図4は、同じく特許文献2に記載された、図5は、同じく特許文献3に記載された、それぞれ無段変速装置を示している。何れの無段変速装置の場合も、1組のトロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cと、第一組の遊星歯車式変速ユニット2A、2B、2Cと、第二組の遊星歯車式変速ユニット3A、3B、3Cと、第三組の遊星歯車式変速ユニット4A、4B、4Cとを組み合わせて成る。又、動力での伝達状態を高速モードと低速モードとに切り換える、高速用クラッチ5A、5B、5Cと低速用クラッチ6A、6B、6Cとを備える。
そして、このうちの高速用クラッチ5A、5B、5Cの接続を断って低速用クラッチ6A、6B、6Cを接続した低速モード状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cの変速比の調節に基づいて、入力軸7A、7B、7Cを一方向に回転させた状態のまま出力軸8A、8B、8Cを、停止状態(ギヤードニュートラル状態)を挟んで両方向に回転駆動自在とする。これに対して、上記高速用クラッチ5A、5B、5Cを接続して上記低速用クラッチ6A、6B、6Cの接続を断った高速モード状態では、上記入力軸7A、7B、7Cに加えられた動力を、上記トロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cをバイパスして上記第一組の遊星歯車式変速ユニット2A、2B、2Cに送る、所謂パワースプリット状態を実現する。そして、このトロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cの変速比の調節に基づいて、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット2A、2B、2Cの変速比を変更する。
上述の様な機能を持たせる為に、前記特許文献1に記載された無段変速装置(図3)では、第一組の遊星歯車式変速ユニット2Aと第二組の遊星歯車式変速ユニット3Aとに掛け渡す状態で、ステップピニオンと呼ばれる、両端部にそれぞれ遊星歯車を設けた、組み合わせ遊星歯車9aを設けている。そして、高速モード状態では、この組み合わせ遊星歯車9aを通じて取り出した動力を、第三組の遊星歯車式変速ユニット4Aを通じて、出力軸8Aに送り出す様にしている。又、前記特許文献2に記載された無段変速装置(図4)では、第一組の遊星歯車式変速ユニット2Bと第二組の遊星歯車式変速ユニット3Bとに掛け渡す状態で、幅広のリング歯車10を設けている。そして、高速モード状態では、このリング歯車10を通じて取り出した動力を、第三組の遊星歯車式変速ユニット4Bを通じて、出力軸8Bに送り出す様にしている。尚、上記両特許文献1、2に記載された無段変速装置では、第一組〜第三組の遊星歯車式変速ユニット2A、2B、3B、4A、4B(特許文献1の第二組の遊星歯車式変速ユニット3Aを除く)として、各遊星歯車が、互いに噛合した1対ずつの遊星歯車素子である、所謂ダブルピニオン型のものを使用している。
更に、前記特許文献3に記載された無段変速装置(図5)の場合には、高速モード状態で、ステップピニオンと呼ばれる組み合わせ遊星歯車9b、並びに、第二組の遊星歯車式変速ユニット3Cの太陽歯車11を通じて取り出した動力を、第三組の遊星歯車式変速ユニット4Cに組み込んだ、組み合わせ遊星歯車9cを通じて、出力軸8Cに送り出す様にしている。この組み合わせ遊星歯車9cは、無段変速装置を構成するハウジング等の固定の部分に支持固定されたキャリア13Cに、回転自在に支持されている。
上述の様な、特許文献1〜3に記載された無段変速装置の場合には、低速モード状態では、前述の様に、入力軸7A、7B、7Cを一方向に回転させた状態のまま出力軸8A、8B、8Cを、停止状態を挟んで両方向に回転駆動自在である。従って、トルクコンバータ等の発進装置や、前後進切り換え機構を省略して、小型且つ軽量に構成できる。そして、車体の床下等の限られた空間部分への組み付け性が向上する他、発進装置部分での(トルクコンバータがロックアップする以前の状態での空転に基づく)回転力の低下を防止して、運転性能の向上を図れる。又、高速モード状態では、入力軸7A、7B、7Cに加えられた動力を、トロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cをバイパスさせる、パワースプリット状態を実現して、このトロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cを通過するトルクを低減できる。この為、このトロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cを大型化せずに、このトロイダル型無段変速ユニット1A、1B、1Cの耐久性を確保できる。
ところが、上述の様な特許文献1〜3に記載された無段変速装置の場合、次の様な点を改良する事が望まれている。
先ず、特許文献1〜2に記載された構造(図3、図4)の場合、出力軸8A、8Bの直前に設けている第三組の遊星歯車式変速ユニット4A、4Bがダブルピニオン型である為、構造が複雑になる他、この第三組の遊星歯車式変速ユニット4A、4Bの軽量化と耐久性の確保とを両立させる事が難しい。即ち、高速モード状態では、高速用クラッチ5A、5Bを接続してリング歯車10A、10Bを固定し、第一組、第二組の遊星歯車式変速ユニット2A、2B、3A、3Bを介して太陽歯車12A、12Bを回転させる。すると、上記第三組の遊星歯車式変速ユニット4A、4Bを構成する、ダブルピニオン型の遊星歯車素子が高速で回転しつつ、これら各遊星歯車素子を支持したキャリア13A、13Bを、上記太陽歯車12A、12Bと逆方向に回転させる。
この様な構造の場合、上記第三組の遊星歯車式変速ユニット4A、4Bを構成する歯車の噛合部が多くなり、噛合部での摩擦損失の合計が多くなる為、無段変速装置全体としての伝達効率を確保する面からは不利になる。又、上記キャリア13A、13Bが上記出力軸8A、8Bと共に高速で回転しつつ、上記各遊星歯車素子が非常に高速で回転する。この為、これら各遊星歯車素子を支持している遊星軸及びラジアルニードル軸受に大きな負荷が加わり、これら遊星軸及びラジアルニードル軸受の耐久性確保が難しくなる。
一方、特許文献3に記載された構造(図5)の場合、上述した特許文献1、2に記載された構造とは異なり、第三組の遊星歯車式変速ユニット4Cを構成するキャリア13Cが回転しない(固定の部分に支持固定されている)。又、この第三組の遊星歯車式変速ユニット4Cが、同一の遊星歯車14をリング歯車15及び太陽歯車16に噛合させる、所謂シングルピニオン型である。この為、上記特許文献1、2に記載された構造に比べて、無段変速装置全体としての伝達効率の確保と上記第三組の遊星歯車式変速ユニット4Cに組み込んだ遊星軸及びラジアルニードル軸受の耐久性確保の面からは有利になる。
但し、上記特許文献3に記載された構造の場合には、動力伝達経路の取り回しが複雑で、実際の構造として実現する事が難しいものと考えられる。例えば、高速用クラッチ5Cが、低速モード状態で、第一組の遊星歯車式変速ユニット2Cから第三組の遊星歯車式変速ユニット4Cに動力を伝達する為の、筒状の伝達軸17の内径側に存在する。従って、上記高速用クラッチ5Cの油圧室への圧油の給排を行なう構造を実現する事は難しいものと考えられる。
特開2000−220719号公報 特開2003−307266号公報 特開2002−139124号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、遊星歯車式変速ユニットを構成する歯車同士の噛合部の数を抑えると共に、この遊星歯車式変速ユニットを構成する遊星歯車の回転速度を低く抑え、伝達効率の向上と耐久性の確保とを図れる、実現可能な構造を提供すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、1組のトロイダル型無段変速ユニットと、第一組〜第三組の3組の遊星歯車式変速ユニットと、これら各組の遊星歯車式変速ユニットを通過する動力の伝達経路を切り換える為のクラッチ装置とを組み合わせて成る。
このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、1対の入力側ディスクと、出力側ディスクと、複数のパワーローラとを備える。そして、これら両入力側ディスクは、入力軸を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスクは、上記両入力側ディスク同士の間に、これら両入力側ディスクと同心に、且つ、これら両入力側ディスクとは独立した回転を自在として支持されている。又、上記各パワーローラは、上記出力側ディスクの両側面と上記両入力側ディスクの側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されて、これら出力側ディスクと入力側ディスクとの間で動力を伝達する。
又、上記各組の遊星歯車式変速ユニットのうち、最も上記トロイダル型無段変速ユニット寄りに設けた第一組の遊星歯車式変速ユニットは、少なくとも、第一太陽歯車と、複数の第一遊星歯車と、第一キャリアとを備える。このうちの第一太陽歯車は、上記出力側ディスクに対しこの出力側ディスクと同心に結合されて、この出力側ディスクと共に回転する。又、上記各第一遊星歯車は、それぞれが上記第一太陽歯車と噛合している。又、上記第一キャリアは、上記各第一遊星歯車を回転自在に支持する。
又、上記第一組の遊星歯車式変速ユニットの隣、即ち、この第一組の遊星歯車式変速ユニットを挟んで上記トロイダル型無段変速ユニットと逆側に設けた第二組の遊星歯車式変速ユニットは、第二太陽歯車と、複数の第二遊星歯車と、第二キャリアとを備える。このうちの第二太陽歯車は、上記第一組の遊星歯車式変速ユニットを構成する上記第一太陽歯車と同心に、この第一太陽歯車に対する相対回転を自在に支持されている。又、上記各第二遊星歯車は、それぞれが上記第二太陽歯車と噛合している。又、上記第二キャリアは、上記各第二遊星歯車を回転自在に支持する。尚、この第二キャリアは、上記第一組の遊星歯車式変速ユニットを構成する上記第一キャリアと一体であっても良い。
又、最も上記トロイダル型無段変速ユニットから遠い側に設けた第三組の遊星歯車式変速ユニットは、第三キャリアと、複数組の第三遊星歯車組と、複数個の第三太陽歯車と、第三リング歯車とを備える。このうちの第三キャリアは、無段変速装置を収納したケーシング等の固定の部分に支持されて、回転しない。又、上記各第三遊星歯車組は、上記第三キャリアに回転自在に設けられている。又、上記各第三太陽歯車は、上記第一組、第二組の遊星歯車式変速ユニットを構成する上記第一、第二両太陽歯車と同心に、これら第一、第二両太陽歯車に対する相対回転を自在に支持されている。又、上記第三リング歯車は、上記各第三太陽歯車のうちの一部の第三太陽歯車の周囲に、当該第三太陽歯車と同心に、且つ、相対回転を可能に支持している。そして、このうちの何れかの第三太陽歯車の回転を、上記入力軸と同心にこの入力軸に対する相対回転を自在に設けた、出力軸に伝達自在としている。
更に、前記クラッチ装置は、上記第一組〜第三組の遊星歯車式変速ユニット同士の間、並びに、上記各第三太陽歯車と上記出力軸との間の動力の伝達状態を切り換える事により、低速モードと高速モードとの2通りのモードを選択するものである。
このうちの低速モードを選択した状態では、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する複数個の第三太陽歯車のうちの一部の太陽歯車の回転を、上記複数組の第三遊星歯車組のうちの一部の第三遊星歯車組を介して上記出力軸に伝達する。これと共に、前記トロイダル型無段変速ユニットの変速比の調節に基づいて、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を、停止状態を挟んで両方向に回転駆動自在とする。
又、高速モードを選択した状態では、上記入力軸に加えられた動力を、上記トロイダル型無段変速ユニットをバイパスして上記第一組の遊星歯車式変速ユニットに送る。そして、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する複数個の第三太陽歯車のうちの残部の太陽歯車の回転を、上記複数組の第三遊星歯車組のうちの残部の第三遊星歯車組及び上記第三のリング歯車を介して、上記出力軸に伝達する。
上述の様に構成する本発明の無段変速装置によれば、高速モードと低速モードとで、第三組の遊星歯車式変速ユニット部分での動力の伝達経路を互いに異ならせている(各モード毎に独立した伝達経路を設定している)ので、これら各経路の設計の自由度が向上する。この為、低速モード状態に比べて使用頻度が高い高速モード状態で、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する歯車同士の噛合部の数を抑えられる。従って、使用頻度が高い、上記高速モード状態での伝達効率を向上させて、自動車の走行性能及び燃費性能の向上を図れる。
又、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する第三キャリアが回転せず、従って、高速、低速、何れのモードでも、第三太陽歯車の回転方向と各第三遊星歯車組の公転方向とが逆になる事はなく(各第三遊星歯車組は公転運動をする事がなく)、これら各第三遊星歯車組の自転速度が抑えられる。この為、これら各第三遊星歯車組を支持している軸受に加わる遠心力を、転動体の公転運動に基づくだけの小さな値に抑えられる他、この軸受の運転速度を抑えられて、この軸受の耐久性確保を図れる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、第一組の遊星歯車式変速ユニットを、第一太陽歯車の周囲にこの第一太陽歯車と同心に、この第一太陽歯車に対する相対回転を自在に支持された第一リング歯車を備えたものとする。又、各第一遊星歯車はそれぞれ、互いに噛合した1対ずつの遊星歯車素子から成るダブルピニオン型とする。そして、一方の遊星歯車素子を上記第一太陽歯車に、他方の遊星歯車素子を上記第一リング歯車に、それぞれ噛合させる。
又、第二組の遊星歯車式変速ユニットを構成する各第二遊星歯車は、シングルピニオン型とする。そして、これら各第二遊星歯車を、それぞれが上記第一太陽歯車と噛合した上記一方の遊星歯車素子に、この一方の遊星歯車素子と共に回転自在に結合する。即ち、これら一方の遊星歯車素子と上記各第二遊星歯車とを、互いに同期した回転を自在に結合して、所謂ステップピニオンとする。又、上記各第二遊星歯車の周囲にはリング歯車を設けず、これら各第二遊星歯車はそれぞれ、第二太陽歯車とだけ噛合させる。
又、第三組の遊星歯車式変速ユニットは、前段側、中段、後段側の3個の第三太陽歯車及び第三リング歯車を備えたものとする。このうち、最も上記第二組の遊星歯車式変速ユニット寄りに設けた前段側第三太陽歯車は、低速モード時に上記第一リング歯車の回転に伴って回転するものとする。又、軸方向中間に存在する中段第三太陽歯車は、上記第二組の遊星歯車式変速ユニットを構成する第二太陽歯車と結合し、この第二太陽歯車と共に回転するものとする。更に、最も上記第二組の遊星歯車式変速ユニットから遠い側に設けた後段側第三太陽歯車は、出力軸の基端部に支持して、この出力軸と共に回転するものとする。そして、上記第三リング歯車は、上記中段第三太陽歯車の周囲に、この中段第三太陽歯車と同心に、この中段第三太陽歯車に対する相対回転を可能に設ける。
又、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する各第三遊星歯車組は、前段側、中段、後段側との3組を設ける。このうちの前段側第三遊星歯車組を構成する複数個の前段側遊星歯車は、それぞれ上記前段側第三太陽歯車と噛合させる。又、中段第三遊星歯車組を構成する複数個の中段遊星歯車は、それぞれ上記中段第三太陽歯車及び上記第三リング歯車と噛合させる。又、後段側第三遊星歯車組を構成する複数個の後段側遊星歯車は、それぞれ上記後段側太陽歯車と噛合すると共に、上記各前段側遊星歯車に対し、これら各前段側遊星歯車と共に回転自在に結合して、所謂ステップピニオンを構成する。
更に、上記第三リング歯車は上記出力軸に対し、高速モード時に、この出力軸と共に回転する様に組み合わせる。
上述の様な請求項2に記載した構成を採用すれば、構成各部材を効率良く配置して、前述した様な、本願発明による作用・効果を高次元で得られる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、クラッチ装置を、低速モードを実現する際に接続されて高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、高速モードを実現する際に接続されて低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとから構成する。
そして、この様なクラッチ装置を、上述した請求項2に記載した発明に適用する場合に、例えば請求項4に記載した様に、上記低速用クラッチを第一リング歯車と前段側第三太陽歯車との間部分に、上記高速用クラッチを第三リング歯車と出力軸との間部分に、それぞれ動力の伝達方向に関して直列に設ける。
或いは、請求項5に記載した様に、上記低速用クラッチを後段側第三太陽歯車と出力軸との間部分に、上記高速用クラッチを第三リング歯車とこの出力軸との間部分に、それぞれ動力の伝達方向に関して直列に設ける。
この様なクラッチ装置を使用すれば、低速用、高速用、両クラッチの油圧室内への油圧の給排の為の流路の設計を容易に行なえる構造を実現できる。
図1〜2は、本発明の実施例を示している。本発明の無段変速装置は、1組のトロイダル型無段変速ユニット18と、第一組〜第三組の3組の遊星歯車式変速ユニット19〜21と、これら各組の遊星歯車式変速ユニット19〜21を通過する動力の伝達経路を切り換える為のクラッチ装置を構成する、高速用クラッチ22及び低速用クラッチ23とを組み合わせて成る。
このうちのトロイダル型無段変速ユニット18は、前述の特許文献1〜3に記載される等により従来から知られている、ダブルキャビティ型のもので、1対の入力側ディスク24A、24Bと、1個の出力側ディスク25と、複数のパワーローラ26、26とを備える。そして、上記両入力側ディスク24A、24Bは、入力軸27を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在としている。この為に本実施例の場合には、前段側(エンジンのクランクシャフトと接続される入力側で、図1〜2の左側)の入力側ディスク24Aを上記入力軸27の中間部前寄り部分に、ボールスプラインを介して、この入力軸27と同期した回転及びこの入力軸27に対する軸方向の変位を可能に支持している。又、この入力軸27と上記前段側の入力側ディスク24Aとの間に、油圧式の押圧装置28を設けている。無段変速装置の運転時には、この押圧装置28に圧油を供給する事により、上記前段側の入力側ディスク24Aを後段側(上記エンジンから遠い側で、図1〜2の右側)の入力側ディスク24Bに押圧しつつ、回転駆動する。又、この後段側の入力側ディスク24Bは上記入力軸27に対し、上記第一組、第二組の遊星歯車式変速ユニット19、20を構成する第一キャリア29により、結合固定している。従って、上記両入力側ディスク24A、24Bは、上記ボールスプラインと、上記入力軸27と、上記第一キャリア29とを介して結合されており、互いに同期して回転する。この様な両入力側ディスク24A、24Bの互いに対向する内側面は、それぞれトロイド曲面としている。
又、上記出力側ディスク25は、軸方向両側面をトロイド曲面とした一体型のもので、上記入力軸27の中間部で上記両入力側ディスク24A、24B同士の間部分の周囲に、これら両入力側ディスク24A、24Bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク24A、24Bとは独立した回転を自在として支持されている。又、上記出力側ディスク25の中心部には、上記入力軸27の後半部(図1〜2の右半部)周囲にこの入力軸27に対する相対回転を自在に支持した中空回転軸30の基端部を、回転力の伝達を自在に、且つ、上記出力側ディスク25と同心に結合している。又、上記中空回転軸30は、上記後段側の入力側ディスク24Bの内周面と上記入力軸27の外周面との間の円筒状隙間を挿通してこの入力側ディスク24Bの外側面側に突出させ、上記出力側ディスク25の回転力を取り出し自在としている。
又、前記各パワーローラ26、26は、それぞれの周面を部分球面状の凸面としたもので、図示しないトラニオンの内側面に、それぞれ支持軸及び複数の転がり軸受により、回転自在に支持されている。この状態で上記各パワーローラ26、26は、上記出力側ディスク25の両側面と上記両入力側ディスク24A、24Bの内側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。言い換えれば、上記各パワーローラ26、26の周面と上記各ディスク24A、24B、25の側面とを転がり接触させている。無段変速装置の運転時には、上記各パワーローラ26、26が上記トラニオンに対し、上記支持軸を中心として回転しつつ、上記両入力側ディスク24A、24Bと上記出力側ディスク25との間で動力を伝達する。又、上記各トラニオンの傾斜角度を変える事により、前記トロイダル型無段変速ユニット18の変速比を調節する。
又、前記各組の遊星歯車式変速ユニット19〜21のうち、最も上記トロイダル型無段変速ユニット18寄りである、前段側に設けた第一組の遊星歯車式変速ユニット19は、前記第一キャリア29に加えて、第一太陽歯車31と、複数の第一遊星歯車32、32と、第一リング歯車33とを備える。このうちの第一太陽歯車31は、上記中空回転軸30の先端部に、この中空回転軸30と同心に結合している。従って、上記第一太陽歯車31は、上記出力側ディスク25に対し同心に結合されて、この出力側ディスク25と共に回転する。又、上記各第一遊星歯車32、32は、それぞれ1対ずつの遊星歯車素子34a、34bから成るダブルピニオン型である。これら各第一遊星歯車32、32を構成する1対ずつの遊星歯車素子34a、34bは、互いに噛合すると共に、上記第一キャリア29の内径側の遊星歯車素子34a、34aを上記第一太陽歯車31に、同じく外径側の遊星歯車素子34b、34bを上記第一リング歯車33に、それぞれ噛合させている。
又、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19の隣、即ち、この第一組の遊星歯車式変速ユニット19を挟んで上記トロイダル型無段変速ユニット18と逆側である、中段に設けた、前記第二組の遊星歯車式変速ユニット20は、第二太陽歯車35と、複数の第二遊星歯車36、36とを備える。本実施例の場合には、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19を構成する上記第一キャリア29に、上記第二組の遊星歯車式変速ユニット20を構成して上記各第二遊星歯車36、36を回転自在に支持する為の、第二キャリアとしての機能を持たせている。
上記各構成部材のうちの第二太陽歯車35は、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19を構成する上記第一太陽歯車31と同心に、この第一太陽歯車31に対する相対回転を自在に支持されている。又、上記各第二遊星歯車36、36は、シングルピニオン型で、それぞれが(第二キャリアとしての機能を兼ね備えた)上記第一キャリア29に回転自在に支持された状態で、上記第二太陽歯車35と噛合している。又、上記各第二遊星歯車36、36は、それぞれが上記第一キャリア29の内径側の遊星歯車素子34a、34aに結合して、これら各遊星歯車素子34a、34aと同期して回転する様にしている。即ち、これら各遊星歯車素子34a、34aと上記各第二遊星歯車36、36とを、互いに同期した回転を自在に結合して、所謂ステップピニオンとしている。又、上記各第二遊星歯車36、36の周囲にはリング歯車を設けず、これら各第二遊星歯車36、36はそれぞれ、上記第二太陽歯車35とだけ噛合させている。
又、最も前記トロイダル型無段変速ユニット18から遠い側である後段側に設けた、前記第三組の遊星歯車式変速ユニット21は、第三キャリア37と、前段側、中段、後段側の、3組の第三遊星歯車組38〜40{公転中心に対し直角方向に存在する同一仮想平面上に配置された複数個(一般的には3〜4個)の遊星歯車を遊星歯車組とする}と、前段側、中段、後段側の、3個の第三太陽歯車41〜43と、第三リング歯車44とを備える。このうちの第三キャリア37は、無段変速装置を収納したケーシング等の固定の部分に支持されて、回転しない。又、上記前段側、中段、後段側、各組の第三遊星歯車組38〜40は、上記第三キャリア37に回転自在に設けられている。
これら各組の第三遊星歯車組38〜40の公転方向に関する位相は、次の様に規制している。先ず、前段側、後段側、両組の第三遊星歯車組38、40を構成する各遊星歯車は、上記公転方向に関する位相を互いに一致させている。これら両組の第三遊星歯車組38、40を構成する各遊星歯車同士は互いに同心に位置させて互いに結合し、同期して回転する様にしている。即ち、上記両組の第三遊星歯車組38、40を構成する各遊星歯車を、所謂ステップピニオンとしている。
又、上記前段側、中段、後段側の、3個の第三太陽歯車41〜43は、前記第一組、第二組の遊星歯車式変速ユニット19、20を構成する前記第一、第二両太陽歯車31、35と同心に支持している。又、上記各第三太陽歯車41〜43のうち、中段第三太陽歯車42は、上記第二太陽歯車35と結合して、この第二太陽歯車35と共に回転する様にしている。これに対して、前段側、後段側両太陽歯車41、43は、上記第一、第二両太陽歯車31、35に対する相対回転を自在としている。又、上記第三リング歯車44は、上記各第三太陽歯車41〜43のうちの中段第三太陽歯車42の周囲に、この中段第三太陽歯車42と同心に、且つ、相対回転を可能に支持している。そして、高速モード状態で、この中段第三太陽歯車42の回転を、前記入力軸27と同心に、この入力軸27に対する相対回転を自在に設けた、出力軸45に伝達自在としている。
更に、前記高速用クラッチ22及び低速用クラッチ23とのうち、低速用クラッチ23を、前記第一リング歯車33と前記前段側第三太陽歯車41との間部分に、動力を伝達する為の前段側伝達筒46及び中段伝達筒47に対し、直列に設けている。これに対して、上記高速用クラッチ22を、上記第三リング歯車44と上記出力軸45との間部分に、動力を伝達する為の後段側伝達筒48に対し直列に設けている。上記高速用、低速用、両クラッチ22、23は、一方が接続された場合には他方の接続が断たれる。そして、このうちの高速用クラッチ22の接続を断ち、低速用クラッチ23を接続した低速モードを選択した状態では、図2に太い実線で示す様に、前記トロイダル型無段変速ユニット18の出力側ディスク25の回転を、前記第一組の遊星歯車式変速ユニット19と前記第三組の遊星歯車式変速ユニット21とを通じて、上記出力軸45に取り出す。
即ち、上記出力側ディスク25の回転を、
出力側ディスク25→中空回転軸30→第一太陽歯車31→第一遊星歯車32、32(遊星歯車素子34a、34b)→第一リング歯車33→前段側伝達筒46→低速用クラッチ23→中段伝達筒47→前段側第三太陽歯車41→前段側第三遊星歯車組38→後段側遊星歯車組40→後段側第三太陽歯車43→出力軸45
の順番で、この出力軸45に伝達する。
この様な経路で動力を伝達する低速モード状態の場合に、上記第一リング歯車33から上記前段側伝達筒46に伝達される動力の速度は、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19を構成する、上記第一太陽歯車31の回転速度と前記第一キャリア29の回転速度との関係で決まる。即ち、上記前段側伝達筒46には、上記第一太陽歯車31の回転速度と上記第一キャリア29の回転速度との差動分が取り出される。上記入力軸27の回転速度を一定とした場合、上記第一キャリア29の回転速度はこの入力軸27と同じ一定のままである。これに対して、第一太陽歯車31の回転速度は、上記トロイダル型無段変速ユニット18の変速比eV を変える事により調節できる。従って、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19を構成する各歯車31、32(34a、34b)、33の歯数を、上記トロイダル型無段変速ユニット18で実現可能な変速比eV との関係で適切に規制すれば、このトロイダル型無段変速ユニット18の変速比の調節に基づいて、上記入力軸27を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸45を、停止状態を挟んで両方向に回転駆動自在とする。
この様な低速モード状態での、上記入力軸27の回転速度NINと上記出力軸45の回転速度NOUT 間の関係は、次の(1)式で求められる。
OUT =[{(i1 −1)−eV }/(i1 ・i3 )]・NIN −−− (1)
この(1)式中、i1 は、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19の減速比で、前記第一リング歯車33の歯数ZR1と上記第一太陽歯車31の歯数ZS1との比(ZR1/ZS1)で表される。又、i3 は、低速モード状態での前記第三組の遊星歯車式変速ユニット21の減速比で、前記前段側第三太陽歯車41の歯数をZS3L1とし、前記後段側第三太陽歯車43の歯数をZS3L2とし、前記前段側第三遊星歯車組38を構成する各遊星歯車の歯数をZP3A とし、前記後段側第三遊星歯車組40を構成する各遊星歯車の歯数をZP3B とした場合に、i3 =(ZP3A /ZS3L1)・(ZS3L2/ZP3B )で表される。更に、eV は、上述の様に、上記トロイダル型無段変速ユニット18の変速比であり、前記出力側ディスク25の回転速度NODと前記両入力側ディスク24A、24Bの回転速度NINとの比の絶対値(eV =|NOD/NIN|)として表される。
上述の様な(1)式から明らかな通り、上記トロイダル型無段変速ユニット18の変速比eV を「i1 −1」なる値(eV =i1 −1)にすれば、上記入力軸27を回転させたまま上記出力軸45を停止させる、所謂変速比無限大の状態(ギヤードニュートラル状態)を実現できる。
尚、上述の様な低速モード状態で、エンジン等の駆動源から上記入力軸27に入力される入力トルクTINと、上記トロイダル型無段変速ユニット18を通過する通過トルクTVIN との関係は、次の(2)式で表される。
VIN ={−eV /(i1 −1−eV )}・TIN −−− (2)
上述の様な低速モード状態に対して、高速用クラッチ22を接続し、低速用クラッチ23の接続を断った高速モードを選択した状態では、図2に太い破線でその伝達経路の一部を示す様に、上記入力軸27と共に回転する前記第一キャリア29の回転を、前記第二組の遊星歯車式変速ユニット20を構成する第二遊星歯車36、36から取り出し、この第二組の遊星歯車式変速ユニット20と前記第三組の遊星歯車式変速ユニット21とを通じて、上記出力軸45に取り出す。
即ち、上記第一キャリア29の公転運動を、
第一キャリア29→第二遊星歯車36、36→第二太陽歯車35→中段第三太陽歯車42→中段第三遊星歯車組39→第三リング歯車44→後段側伝達筒48→高速用クラッチ22→出力軸45
の順番で、この出力軸45に伝達する。
高速モード状態では、同時に、上述の様な経路中に含まれる、上記第二遊星歯車36、36を、次の経路で回転(自転)させる。
出力側ディスク25→中空回転軸30→第一太陽歯車31→第一遊星歯車32、32(遊星歯車素子34a、34a)→第二遊星歯車36、36
上記第二太陽歯車35は上記第二遊星歯車36、36との噛合により、これら各第二遊星歯車36、36の公転運動と自転運動とを合成した回転速度で回転駆動される。上記入力軸27の回転速度が一定とした場合、このうちの公転運動の回転速度は一定であるが、自転運動の回転速度は、前記トロイダル型無段変速ユニット18の出力側ディスク25の回転速度に応じて変化する。従って、このトロイダル型無段変速ユニット18の変速比eV を調節すれば、上記入力軸27と上記出力軸45との間の変速比を調節できる。
上述の様に、高速モードを選択した状態では、上記入力軸27に加えられた動力を、上記トロイダル型無段変速ユニット18をバイパスして、前記第一組の遊星歯車式変速ユニット19を構成する、上記第一キャリア29に送る。そして、前記第二組の遊星歯車式変速ユニット20により取り出した動力を、前記第三組の遊星歯車式変速ユニット21中を前述した低速モード状態とは別の経路で、上記出力軸45に伝達する。これと共に、上記トロイダル型無段変速ユニット18の変速比eV の調節に基づいて、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19部分の変速比を変更する。
この様な高速モード状態での、上記入力軸27の回転速度NINと上記出力軸45の回転速度NOUT 間の関係は、次の(3)式で求められる。
OUT ={eV −(i12−1)}/(i12・i3 )]・NIN −−− (3)
この(3)式中、eV は、前述した(1)式の場合と同様、上記トロイダル型無段変速ユニットの変速比である。又、i12は、上記第一組の遊星歯車式変速ユニット19を構成する第一太陽歯車31と、上記第二組の遊星歯車式変速ユニット20を構成する第二太陽歯車35との間の減速比で、上記第一太陽歯車31の歯数をZS1とし、この第二太陽歯車35の歯数をZS2とし、前記内径側の遊星歯車素子34a、34aの歯数をZP1とし、前記第二遊星歯車36、36の歯数をZP2とした場合に、i12=(ZP1/ZS1)・(ZS2/ZP2)で表される。又、i3 は、高速モード状態での前記第三組の遊星歯車式変速ユニット21の減速比で、前記中段第三太陽歯車42の歯数をZS3L3とし、第三リング歯車44の歯数をZR3とした場合に、i3 =ZR3/ZS3L3で表される。
又、上述の様な高速モード状態で、エンジン等の駆動源から上記入力軸27に入力される入力トルクTINと、上記トロイダル型無段変速ユニット18を通過する通過トルクTVIN との関係は、次の(4)式で表される。
VIN =[eV /{eV +(1−i12)}]・TIN −−− (4)
この(4)式からも明らかな通り、i12<1となる様に、上記各歯車31、34a、36、35の歯数を設定すれば、高速モードの状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット18を通過するトルクTVIN が、上記入力軸27に入力される入力トルクTINよりも小さく(TVIN <TIN)なる。即ち、高速モード状態では、上記入力軸27に入力された動力のうちの一部を、上記トロイダル型無段変速ユニット18をバイパスさせて前記第一キャリア29に送る。この為、このトロイダル型無段変速ユニット18を通過するトルクを低く抑えて、このトロイダル型無段変速ユニット18の耐久性確保、又は、小型・軽量化或いは高出力エンジンへの対応が可能になる。
尚、本発明を実施する場合に、高速用クラッチ22及び低速用クラッチ23の設置位置は、図示の位置に限定されない。例えば、低速用クラッチを後段側第三太陽歯車43と出力軸45との間部分に、高速用クラッチを第三リング歯車44と出力軸45との間部分に、それぞれ動力の伝達方向に関して直列に設ける事もできる。
又、図示の例では、前段側第三遊星歯車組38を構成する各遊星歯車と、後段側第三遊星歯車組40を構成する各遊星歯車とを、歯数が互いに異なるものを同期した回転を自在に結合してステップピニオンとしているが、軸方向寸法が長い、所謂ロングピニオンを使用する事もできる。この場合には、前段側第三遊星歯車組38を構成する各遊星歯車の歯数と、後段側第三遊星歯車組40を構成する各遊星歯車の歯数とが等しくなる。この様なロングピニオンを使用すれば、はすば歯車を使用した場合に生じるスラスト力をキャンセルする為の設計が容易になる。因に、歯数が互いに異なるステップピニオンを使用した場合には、歯数の差に応じた直径の違いに対応して、はすばの捩れ角を互いに異ならせる等の対応が必要になり、上記設計が難しくなる。
本発明を実施する場合に利用するトロイダル型無段変速ユニットは、図1〜2に示す様なハーフトロイダル型のものに限らず、前述の図5に示す様なフルトロイダル型のものも利用できる。
本発明の実施例を示す略断面図。 低速モード状態での動力の伝達経路と高速モード状態での動力伝達経路とを説明する為の、図1と同様の図。 従来構造の第1例を示す略断面図。 同第2例を示す半部略断面図。 同第3例を示す略断面図。
符号の説明
1A、1B、1C トロイダル型無段変速ユニット
2A、2B、2C 第一組の遊星歯車式変速ユニット
3A、3B、3C 第二組の遊星歯車式変速ユニット
4A、4B、4C 第三組の遊星歯車式変速ユニット
5A、5B、5C 高速用クラッチ
6A、6B、6C 低速用クラッチ
7A、7B、7C 入力軸
8A、8B、8C 出力軸
9a、9b、9c 組み合わせ遊星歯車
10、10A、10B リング歯車
11 太陽歯車
12A、12B 太陽歯車
13A、13B、13C キャリア
14 遊星歯車
15 リング歯車
16 太陽歯車
17 伝達軸
18 トロイダル型無段変速ユニット
19 第一組の遊星歯車式変速ユニット
20 第二組の遊星歯車式変速ユニット
21 第三組の遊星歯車式変速ユニット
22 高速用クラッチ
23 低速用クラッチ
24A、24B 入力側ディスク
25 出力側ディスク
26 パワーローラ
27 入力軸
28 押圧装置
29 第一キャリア
30 中空回転軸
31 第一太陽歯車
32 第一遊星歯車
33 第一リング歯車
34a、34b 遊星歯車素子
35 第二太陽歯車
36 第二遊星歯車
37 第三キャリア
38 前段側第三遊星歯車組
39 中段第三遊星歯車組
40 後段側第三遊星歯車組
41 前段側第三太陽歯車
42 中段第三太陽歯車
43 後段側第三太陽歯車
44 第三リング歯車
45 出力軸
46 前段側伝達筒
47 中段伝達筒
48 後段伝達筒

Claims (5)

  1. 1組のトロイダル型無段変速ユニットと、第一組〜第三組の3組の遊星歯車式変速ユニットと、これら各組の遊星歯車式変速ユニットを通過する動力の伝達経路を切り換える為のクラッチ装置とを組み合わせて成り、
    このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、入力軸を介して互いに同心に且つ同期した回転を自在として結合された1対の入力側ディスクと、これら両入力側ディスク同士の間にこれら両入力側ディスクと同心に且つこれら両入力側ディスクとは独立した回転を自在として支持された出力側ディスクと、この出力側ディスクの両側面と上記両入力側ディスクの側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されてこれら出力側ディスクと入力側ディスクとの間で動力を伝達する複数のパワーローラとを備えたものであり、
    上記各組の遊星歯車式変速ユニットのうち、最も上記トロイダル型無段変速ユニット寄りに設けた第一組の遊星歯車式変速ユニットは、少なくとも、上記出力側ディスクに対しこの出力側ディスクと同心に結合されて、この出力側ディスクと共に回転する第一太陽歯車と、それぞれがこの第一太陽歯車と噛合した、複数の第一遊星歯車と、これら各第一遊星歯車を回転自在に支持する為の第一キャリアとを備えたものであり、
    同じく、上記第一組の遊星歯車式変速ユニットの隣に設けた第二組の遊星歯車式変速ユニットは、上記第一太陽歯車と同心に、この第一太陽歯車に対する相対回転を自在に支持された第二太陽歯車と、それぞれがこの第二太陽歯車と噛合した、複数の第二遊星歯車と、これら各第二遊星歯車を回転自在に支持する為の第二キャリアとを備えたものであり、
    同じく、最も上記トロイダル型無段変速ユニットから遠い側に設けた第三組の遊星歯車式変速ユニットは、固定の部分に支持されて回転しない第三キャリアと、この第三キャリアに回転自在に設けられた複数組の第三遊星歯車組と、上記第一、第二両太陽歯車と同心に、これら第一、第二両太陽歯車に対する相対回転を自在に支持された複数個の第三太陽歯車と、このうちの一部の第三太陽歯車の周囲に当該第三太陽歯車と同心に且つ相対回転を可能に支持した第三リング歯車とを備え、このうちの何れかの第三太陽歯車の回転を、上記入力軸と同心にこの入力軸に対する相対回転を自在に設けた、出力軸に伝達自在としたものであり、
    上記クラッチ装置は、上記第一組〜第三組の遊星歯車式変速ユニット同士の間、並びに、上記各第三太陽歯車と上記出力軸との間の動力の伝達状態を切り換える事により、低速モードと高速モードとの2通りのモードを選択するものであり、
    このうちの低速モードを選択した状態では、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する複数個の第三太陽歯車のうちの一部の太陽歯車の回転を、上記複数組の第三遊星歯車組のうちの一部の第三遊星歯車組を介して上記出力軸に伝達すると共に、前記トロイダル型無段変速ユニットの変速比の調節に基づいて、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を、停止状態を挟んで両方向に回転駆動自在とし、
    同じく高速モードを選択した状態では、上記入力軸に加えられた動力を、上記トロイダル型無段変速ユニットをバイパスして上記第一組の遊星歯車式変速ユニットに送り、上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する複数個の第三太陽歯車のうちの残部の太陽歯車の回転を、上記複数組の第三遊星歯車組のうちの残部の第三遊星歯車組及び上記第三のリング歯車を介して上記出力軸に伝達する
    無段変速装置。
  2. 第一組の遊星歯車式変速ユニットが、第一太陽歯車の周囲にこの第一太陽歯車と同心に、この第一太陽歯車に対する相対回転を自在に支持された第一リング歯車を備えたものであり、各第一遊星歯車はそれぞれ、互いに噛合した1対ずつの遊星歯車素子から成るダブルピニオン型であって、一方の遊星歯車素子を上記第一太陽歯車に、他方の遊星歯車素子を上記第一リング歯車に、それぞれ噛合させており、
    第二組の遊星歯車式変速ユニットを構成する各第二遊星歯車はシングルピニオン型であって、それぞれ、上記第一太陽歯車と噛合した上記一方の遊星歯車素子に、この一方の遊星歯車素子と共に回転自在に結合されており、
    第三組の遊星歯車式変速ユニットは、前段側、中段、後段側との3個の第三太陽歯車及び第三リング歯車を備えており、このうち、最も上記第二組の遊星歯車式変速ユニット寄りに設けた前段側第三太陽歯車は、低速モード時に上記第一リング歯車の回転に伴って回転するものであり、中段第三太陽歯車は、上記第二組の遊星歯車式変速ユニットを構成する第二太陽歯車と共に回転するものであり、最も上記第二組の遊星歯車式変速ユニットから遠い側に設けた後段側第三太陽歯車は、出力軸の基端部に支持してこの出力軸と共に回転するものであり、上記第三リング歯車は、上記中段第三太陽歯車の周囲に、この中段第三太陽歯車と同心に、この中段第三太陽歯車に対する相対回転を可能に設けられており、
    上記第三組の遊星歯車式変速ユニットを構成する各第三遊星歯車組は、前段側、中段、後段側の3組が設けられており、このうちの前段側第三遊星歯車組を構成する複数個の前段側遊星歯車は、それぞれ上記前段側第三太陽歯車と噛合しており、中段第三遊星歯車組を構成する複数個の中段遊星歯車は、それぞれ上記中段第三太陽歯車及び上記第三リング歯車と噛合しており、後段側第三遊星歯車組を構成する複数個の後段側遊星歯車は、それぞれ上記後段側太陽歯車と噛合すると共に、上記各前段側遊星歯車に対し、これら各前段側遊星歯車と共に回転自在に結合されており、
    上記第三リング歯車は、高速モード時に、上記出力軸と共に回転するものである
    請求項1に記載した無段変速装置。
  3. クラッチ装置が、低速モードを実現する際に接続されて高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、高速モードを実現する際に接続されて低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとから成るものである、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  4. クラッチ装置が、低速モードを実現する際に接続されて高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、高速モードを実現する際に接続されて低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとから成るものであり、上記低速用クラッチが第一リング歯車と前段側第三太陽歯車との間部分に、上記高速用クラッチが第三リング歯車と出力軸との間部分に、それぞれ動力の伝達方向に関して直列に設けられている、請求項2に記載した無段変速装置。
  5. クラッチ装置が、低速モードを実現する際に接続されて高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、高速モードを実現する際に接続されて低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとから成るものであり、上記低速用クラッチが後段側第三太陽歯車と出力軸との間部分に、上記高速用クラッチが第三リング歯車とこの出力軸との間部分に、それぞれ動力の伝達方向に関して直列に設けられている、請求項2に記載した無段変速装置。
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