JP2016008675A - 摩擦ローラ式減速機 - Google Patents

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弘貴 井原
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Abstract

【課題】環状ローラと中間ローラ間の接触楕円内の差動滑りを低減させることができる摩擦ローラ式減速機を提供する。
【解決手段】入力軸と同芯に配置されたサンローラ15と、サンローラ15の外周側に同芯に配置された環状ローラ17と、入力軸と平行な自転軸37に支持されてサンローラ外周面27と環状ローラ内周面33に転がり接触する複数の中間ローラ19とを備える摩擦ローラ式減速機100であって、サンローラ15は、軸方向に一対のサンローラ素子からなり、対向する内側端面31に向かうに従って外径が小さくなる素子外周面29を有する。環状ローラ内周面33は、単一円弧状の凹状内周面35を有する。中間ローラ19は、単一円弧状の凸状外周面39を有し、一対のサンローラ素子の素子外周面29との接触位置と、環状ローラ17の凹状内周面35との接触位置との3箇所で転がり接触する。
【選択図】図2

Description

本発明は、摩擦ローラ式減速機に関する。
電気自動車等には、モータの回転数を減速させるためにトラクション減速機等の変速機が搭載される。トラクション減速機は、摩擦伝動装置の一種であり、滑らかな2面間の油膜を介して動力が伝達されるため、歯車式伝動装置よりも低振動、低騒音での運転が可能となる。このトラクション減速機は、主に、サンローラ、中間ローラ(遊星ローラ)、環状ローラから構成される。
図9はトラクション減速機501を用いた電気自動車用駆動装置503の概略構成を表す斜視図である。電気自動車用駆動装置503は、車両駆動用電動モータ505と、トラクション減速機501と、変速機507と、回転伝達装置509とを備える。このトラクション減速機501の入力軸511と、車両駆動用電動モータ505の出力軸513とは、互いに同芯に配置され、回転トルクを伝達可能に接続されている。
変速機507は、駆動側回転軸515と従動側回転軸517との間に、減速比が互いに異なる一対の第1歯車伝達機構519と、第2歯車伝達機構521とを有する。変速機507は、第1クラッチ機構523と、第2クラッチ機構525との切り換えにより、第1歯車伝達機構519、第2歯車伝達機構521の何れか一方のみを動力の伝達を可能な状態にする。
これにより、変速機507は、駆動側回転軸515と従動側回転軸517との間の減速比を、高低2段階に変換可能としている。変速機507には、回転伝達装置509が接続される。回転伝達装置509は、複数の歯車を組み合わせた一般的な歯車伝達機構であり、従動側回転軸517の回転をデファレンシャルギヤ527の入力部に伝達する。回転伝達装置509は、左右一対の駆動輪(図示略)を回転駆動する。
上記のトラクション減速機501は、中間ローラ529が製造誤差や部品間のガタなどによって傾くと、サイドスリップ力が発生する。この傾きは、図10(A)に示したトラクション減速機501の正規状態から外れて、図10(B)に誇張して示すように中間ローラ529がスキューした状態や、図10(C)に誇張して示すように中間ローラ全体がチルトした状態で生じる。
トラクション減速機501は、図10(B)、(C)に示す不正規の状態になると、サンローラ531(第1サンローラ素子533、第2サンローラ素子535)、環状ローラ537、中間ローラ529の周面同士の転がり接触部の摩擦抵抗が、サイドスリップ力によって大きくなる。その結果、トラクション減速機501は、回転トルクの伝達効率が悪化する。
このようなサイドスリップ力を発生させない構造として、上記の環状ローラ537のトラクション面を2つの傾斜環状面で形成することが提案されている。
図11は環状ローラ539のトラクション面を2つの傾斜環状面で形成した従来のトラクション減速機541の断面図である。トラクション減速機541において、中間ローラ529の外周面は、中間ローラ529の軸方向断面において、半径方向外側に突出する凸状円弧形状の凸曲面545とされている。環状ローラ539の内周面547(トラクション面)は、環状ローラ539の軸方向断面において、幅方向中心から外側端面に向かうに従って縮径する2つの傾斜環状面からなる形状としている。
一対の第1サンローラ素子533、第2サンローラ素子535の外周面は、軸方向断面において、互いに対面し合う端面に向けて縮径するように傾斜した部分円錐状の面551,551とされている。このトラクション減速機541によれば、中間ローラ529の外周面が、その外周面の円弧に沿う2箇所で環状ローラ539のトラクション面に接する。その結果、トラクション減速機541は、サイドスリップ力の発生が抑制される。
特開2004−116670号公報
しかしながら、図11に示すトラクション減速機541は、環状ローラ539のトラクション面を、単純に二つの傾斜環状面としただけであり、差動滑りが生じる。即ち、トラクション面を二つの傾斜環状面としたトラクション減速機541では、環状ローラ539と中間ローラ529とが接するそれぞれの図12に模式的に示す接触領域(接触楕円553)内に差動滑り(微小滑り555)が生じる。この微小滑り555は、一対の接触楕円553のそれぞれ近接端で最大となる分布を有する。トラクション減速機541は、環状ローラ539と中間ローラとの間の接触楕円内に、このような差動滑りが生じると、接触面に過剰な法線力が発生して、回転トルクの伝達効率が低下する。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、環状ローラと中間ローラ間の接触楕円内の差動滑りを低減できる摩擦ローラ式減速機を提供することにある。
本発明は、下記構成からなる。
(1) 入力軸と、前記入力軸と同芯に配置されたサンローラと、前記サンローラの外周側に前記サンローラと同芯に配置された環状ローラと、サンローラ外周面と環状ローラ内周面との間で、前記入力軸と平行な自転軸を中心として回転自在に支持され、前記サンローラ外周面と前記環状ローラ内周面に転がり接触する複数の中間ローラと、前記環状ローラ又は前記中間ローラに接続される出力軸と、を備える摩擦ローラ式減速機であって、
前記サンローラは、軸方向に分割された一対のサンローラ素子を含み、前記一対のサンローラ素子は、互いに対向する内側端面に向かうに従って外径が小さくなる素子外周面を有し、
前記環状ローラ内周面は、単一円弧状の凹状内周面を有し、
前記中間ローラは、単一円弧状の凸状外周面を有し、前記一対のサンローラ素子の前記素子外周面との接触位置と、前記環状ローラの前記凹状内周面との接触位置との3箇所で転がり接触することを特徴とする摩擦ローラ式減速機。
(2) 前記サンローラは、それぞれの前記素子外周面が、単一円弧状の凹状素子外周面を有し、
前記中間ローラの軸方向断面における前記凸状外周面の曲率は、前記サンローラ素子の軸方向断面における前記凹状素子外周面の曲率より大きいことを特徴とする(1)に記載の摩擦ローラ式減速機。
本発明によれば、環状ローラと中間ローラ間の接触楕円内の差動滑りを低減でき、運転時の不快な振動及び騒音を小さくできる。
本発明の実施形態を説明するための図で、摩擦ローラ式減速機の概略構成を表す要部側面図である。 図1のA−A断面図である。 図2の環状ローラと中間ローラのトラクション面における接触楕円の微小滑りを表す模式図である。 第2の構成例の摩擦ローラ式減速機の要部断面図である。 図4の要部を備えた摩擦ローラ式減速機の断面図である。 図5のB−B断面図である。 (A)は図6に示すローディングカム装置のC−C断面図、(B)は(A)のローディングカム装置における負荷時のC−C断面図である。 環状ローラから動力を取り出す摩擦ローラ式減速機の断面図である。 トラクション減速機を用いた電気自動車用駆動装置の概略構成を表す斜視図である。 (A)はトラクション減速機の正規作動状態の斜視図、(B)は中間ローラがスキューした不正規作動状態の斜視図、(C)は中間ローラ全体がチルトした不正規作動状態の斜視図である。 従来のトラクション減速機の一部断面図である。 図11の環状ローラと中間ローラのトラクション面における接触楕円の微小滑りを表す模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の構成例]
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、摩擦ローラ式減速機100の概略構成を表す要部側面図、図2は図1のA−A断面図である。
図1に示すように、第1の構成例における摩擦ローラ式減速機100は、入力軸13と、サンローラ15と、環状ローラ17と、中間ローラ19と、中間ローラ19に接続される後述の出力軸と、を有する。
サンローラ15は、図2に示すように、入力軸13と同芯に配置され、軸方向に二分割された一対のサンローラ素子(第1サンローラ素子23、第2サンローラ素子25)からなる。一対のサンローラ素子の素子外周面29,29(サンローラ外周面27)は、それぞれサンローラ素子23,25の互いに対向する内側端面31,31に向かうに従って外径が小さくなる傾斜面とされている。本構成例の素子外周面29,29は、互いの内側端面31,31に向かう直線状の断面を有する傾斜環状面となっている。
環状ローラ17は、サンローラ15の外周側にサンローラ15と同芯に配置される。環状ローラ内周面は、径方向外側に向けて窪む単一円弧状の凹状内周面35となっている。
中間ローラ19は、サンローラ外周面27と環状ローラ内周面となる凹状内周面35との間で、入力軸13と平行な自転軸の軸線Axを中心として回転自在に支持される。中間ローラ19は、サンローラ外周面27と環状ローラの凹状内周面35に転がり接触し、径方向外側に突出する単一円弧状の凸状外周面39を有する。そして、中間ローラ19は、一対のサンローラ素子の素子外周面29,29との各接触位置と、環状ローラ17の凹状内周面35との接触位置で転がり接触する。
次に、上記の構成を有する摩擦ローラ式減速機100の作用を説明する。
図3は図2の環状ローラ17と中間ローラ19のトラクション面における接触楕円41の微小滑り43の分布を表す模式図である。
本構成の摩擦ローラ式減速機100では、上述したように、環状ローラ17のトラクション面(凹状内周面35)が単一円弧状に形成され、一対のサンローラ素子23,25は、それぞれの素子外周面29,29が、直線状の断面の環状傾斜面で形成されている。したがって、環状ローラ17と中間ローラ19は、単一円弧状の凹状内周面35上の1箇所と、サンローラ素子23,25の素子外周面29,29上の2箇所との合計3箇所で接触する。
その場合、環状ローラ17の凹状内周面35には、図3に示すように、環状ローラ17と中間ローラ19が接する接触領域(一つの接触楕円41)内に差動滑り(微小滑り43)が生じる。図中矢印の長さは微小滑りの大きさを表している。この微小滑り43は、接触領域中心、即ち、接触楕円41の短軸位置で最小となり、図12に示した環状ローラ場合の微小滑りよりも全体にわたって小さくなる。
このように、本構成の摩擦ローラ式減速機100は、環状ローラ17と中間ローラ19との間の接触楕円41内における差動滑りが生じにくい構成となる。また、接触面に発生する過剰な法線力が抑制され、その結果、図11に示す従来構造に比べて回転トルクの伝達効率が向上する。
また、中間ローラ19は、中間ローラ19の凸状外周面39が環状ローラ17の凹状内周面35に1箇所で接触するため、環状ローラ17とのトラクション面で姿勢保持が可能となる。これにより、摩擦ローラ式減速機100では、中間ローラ19のスキューやチルトの傾きが抑制され、中間ローラ19を安定させることができる。その結果、摩擦ローラ式減速機100は、トラクション面にサイドスリップ力が発生しにくい構造となる。
[第2の構成例]
次に、第2の構成例の摩擦ローラ式減速機200を説明する。
図4は本構成例の摩擦ローラ式減速機200の要部断面図である。なお、以下の例において、図1、図2に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
摩擦ローラ式減速機200は、サンローラ47の形状が第1の構成例と異なる。即ち、サンローラ47は、それぞれのサンローラ素子(第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51)の素子外周面53が、径方向内側に窪む単一円弧状の凹状素子外周面55,55とされている。
そして、中間ローラ19の軸方向断面における凸状外周面39の曲率は、サンローラ素子(第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51)の軸方向断面における凹状素子外周面55,55の曲率より大きくされている。
本構成例の摩擦ローラ式減速機200では、サンローラ47の素子外周面53が単一円弧状の凹状素子外周面55となる。これにより、摩擦ローラ式減速機200は、図2に示す第1の構成例のサンローラ素子(第1サンローラ素子23、第2サンローラ素子25)の傾斜環状面からなる素子外周面29,29を有する場合に比べて接触面積が増加するので、中間ローラ19とサンローラ47と間の接触面圧が高くなることを抑制できる。
また、摩擦ローラ式減速機200では、中間ローラ19の凸状外周面39の軸方向断面における曲率が、第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51の凹状素子外周面55,55の曲率より大きい。換言すれば、中間ローラ19の凸状外周面39の曲率半径は、第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51の凹状素子外周面55,55の曲率半径よりも小さい。
これにより、中間ローラ19とサンローラ47と間の接触面積が増加し、接触面圧を低減させることができる。接触面圧が低減されることで、中間ローラ19とサンローラ素子(第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51)のトラクション面の寿命延長が可能となる。
また、環状ローラ17と中間ローラ19と間のトラクション面の寿命と、中間ローラ19とサンローラ47と間のトラクション面の寿命とが近づくので、設計上のアンバランスさが解消される。その結果、減速機としての寿命を長くすることができる。
次に、上記した本構成例のサンローラ47、環状ローラ17,中間ローラ19を搭載する摩擦ローラ式減速機200の全体構成を説明する。
図5は図4の要部を備えた摩擦ローラ式減速機200の断面図、図6は図5のB−B断面図、図7(A)は図6のローディングカム装置57のC−C断面図、(B)は(A)のローディングカム装置57における回転トルク負荷時のC−C断面図である。
摩擦ローラ式減速機200は、入力軸13と、出力軸21と、サンローラ47と、環状ローラ17と、複数個の中間ローラ19と、ローディングカム装置57とを備える。
サンローラ47は、軸方向に分割された一対の第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51を入力軸13の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同芯に配置されている。また、一方の第1サンローラ素子49は、入力軸13に対して軸方向に移動可能に配置されている。
それぞれの中間ローラ19は、サンローラ47を中心としてその周囲に回転自在に支持され、各中間ローラ19の外周面を、サンローラ47の外周面と環状ローラの凹状内周面35とに転がり接触させている。それぞれの中間ローラ19の自転軸37は、キャリア59を介して、出力軸21と一体に固定されている。
環状ローラ17は、図示しないケーシング等の固定部に固定されている。
ローディングカム装置57は、一方の第1サンローラ素子49の、他方のサンローラ素子51側とは反対側の端面に対面して配置されている。ローディングカム装置57は、入力軸13の回転に伴って、第1サンローラ素子49を、第2サンローラ素子51に向けて押圧しつつ、これら双方の第1サンローラ素子49、第2サンローラ素子51から成るサンローラ47を回転駆動する。
このため、ローディングカム装置57は、入力軸13の中間部に抜け止めされている。即ち、入力軸13に形成した環状溝に止め輪61が装着され、この止め輪61により支え環63が入力軸13に係止されている。支え環63と第1サンローラ素子49との間には、この支え環63の側から順に、皿ばね65と、カムリング67と、複数個の玉69とが設けられている。
そして、第1サンローラ素子49の、第2サンローラ素子51側とは反対側の端面と、カムリング67の第1サンローラ素子49に対面する側の端面との、互いに対向する端面には、それぞれ円周方向に沿った複数箇所に、被駆動側カム面71と駆動側カム面73とが形成されている。これら各被駆動側カム面71と各駆動側カム面73は、軸方向の深さが円周方向に沿った中央部で最も深く、円周方向に沿った両端部に向かうに従って漸次浅くなる形状を有する。
このようなローディングカム装置57は、入力軸13が停止している状態では、それぞれの玉69が、図7(A)に示すように、被駆動側カム面71と駆動側カム面73の最も深くなった部分に位置する。この状態では、皿ばね65の弾性力により、一方の第1サンローラ素子49を他方の第2サンローラ素子51に向けて押圧する。
これに対して、入力軸13が回転すると、玉69が、図7(B)に示すように、被駆動側カム面71と駆動側カム面73の浅くなった部分に移動する。そして、第1サンローラ素子49とカムリング67との間隔が拡がり、第1サンローラ素子49を他方の第2サンローラ素子51に向けて押圧する。
その結果、第1サンローラ素子49は第2サンローラ素子51に向け、皿ばね65の弾性力と、被駆動側カム面71と駆動側カム面73に対して玉69が乗り上げることにより発生する推力とのうちの、大きな方の力で押圧されつつ回転駆動される。
上述のような摩擦ローラ式減速機200の運転時には、ローディングカム装置57が発生する軸方向の推力により、各中間ローラ19の外周面と、サンローラ47の凹状素子外周面55及び環状ローラ17の凹状内周面35との転がり接触部の面圧が上昇する。これらの面圧は、入力軸13と出力軸21との間で伝達する回転トルクの大きさに応じて上昇する。
この状態で入力軸13を回転させると、入力軸13の回転が、サンローラ47から中間ローラ19に伝達され、これら中間ローラ19がサンローラ47の周囲で自転しつつ公転する。これら中間ローラ19の公転運動の回転トルクは、キャリア59を介して出力軸21から取り出される。
以上説明した各構成の摩擦ローラ式減速機100,200は、前述した図9に示す電気自動車用駆動装置に用いることができる。
電気自動車用駆動装置の、車両駆動用電動モータと変速機との間に、摩擦ローラ式減速機100,200を配置すれば、電気エネルギを効率的に利用できる。そして、車両駆動用電動モータとして、小型且つ高回転型(例えば最高回転速度が3万回転/min程度)のものを使用しても、運転時の振動及び騒音を抑えられる。
つまり、第一段の減速機として、摩擦ローラ式減速機100,200を使用するので、高速回転部分での振動の発生を抑えられる。このように構成した電気自動車用駆動装置によれば、歯車伝達機構である変速機や回転伝達装置の回転速度を、一般的なガソリンエンジン等を搭載した自動車の変速機部分の運転速度と同程度(最高で数千回転/min程度)に抑えられる。そのため、何れの部分でも不快な振動や騒音が発生することはない。
このように、摩擦ローラ式減速機100,200が搭載された電気自動車用駆動装置では、摩擦ローラ式減速機100,200が、滑らかな表面を有する二面間に形成される油膜を介して動力が伝達されるので、歯車式変速機に比較して、振動及び騒音レベルの抑制が可能となる。
上述の図5に示した摩擦ローラ式減速機200は、環状ローラ17を固定し、中間ローラ19をサンローラ15の周囲で自転させつつ公転させ、これら中間ローラ19の公転運動を、キャリア59を介して、減速した出力として取り出す構造を採用している。これに対して、中間ローラ19を公転させず、自転のみ可能とし、環状ローラを回転させて動力伝達を行わせる構造としてもよい。
次に、摩擦ローラ式減速機の他の構成例を説明する。本構成の摩擦ローラ式減速機は、環状ローラを回転させて動力伝達を行うものである。
図8は環状ローラ75から動力を取り出す摩擦ローラ式減速機300の断面図である。なお、図1〜図5に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
摩擦ローラ式減速機300は、入力軸79によりサンローラ81(第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91)を回転駆動し、これらサンローラ素子89,91の回転を、複数個の中間ローラ83を介して環状ローラ75に伝達している。環状ローラ75に伝達された回転は、出力軸85から取り出される。中間ローラ83は、それぞれの中心部に設けた自転軸87を中心として自転するが、サンローラ素子89,91の周囲で公転することはない。
サンローラ81は、一対の第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91を互いに同芯に組み合わせて成り、これら第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91を軸方向両側から挟む位置に、それぞれ第1ローディングカム装置93、第2ローディングカム装置95が設置される。これにより、入力軸79の回転に伴って第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91を、互いに接近する方向に押圧しつつ同方向に回転駆動されるようになる。上述した各構成部分は、段付円筒状のハウジング97に収納される。
この摩擦ローラ式減速機300においても、環状ローラ75の内周面は、径方向外側に向けて窪む単一円弧状の凹状内周面35とされている。中間ローラ83は、単一円弧状の凸状外周面39を有する。また、サンローラ81は、それぞれの第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91の素子外周面が、径方向内側に窪む単一円弧状の凹状素子外周面55となっている。
環状ローラ75は、ハウジング97の軸方向中間部でサンローラ素子89,91の周囲部分に、これらサンローラ素子89,91と同芯に配置されている。環状ローラ75は、出力軸85の基端部を連結部103により連結している。
更に、中間ローラ83は、環状ローラ75の内周面とサンローラ81との間の環状空間内に、自転軸87を中心とする回転(自転)を自在に、且つ、環状ローラ75及びサンローラ81の径方向に関する若干の変位を可能に設置している。
上記構成の摩擦ローラ式減速機300は、運転時に、電動モータにより入力軸79を回転駆動すると、第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91が、第1ローディングカム装置93、第2ローディングカム装置95の働きにより、互いに接近する方向に押圧されつつ、入力軸79と同じ方向に同じ速度で回転する。そして、第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91の回転は、中間ローラ83を介して環状ローラ75に伝達され、出力軸85から回転トルクが取り出される。
この摩擦ローラ式減速機300によっても、中間ローラ83の凸状外周面39の曲率が、第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91の凹状素子外周面55の曲率より大きい。これにより、中間ローラ83とサンローラ81と間の接触面圧を低減できる。接触面圧が低減されることで、中間ローラ83とサンローラ素子(第1サンローラ素子89、第2サンローラ素子91)のトラクション面の寿命延長が可能となる。
また、環状ローラ75と中間ローラ83と間のトラクション面の寿命と、中間ローラ83とサンローラ81と間のトラクション面の寿命とが近づくので、設計上のアンバランスさが解消される。その結果、減速機としての寿命を長くすることができる。
<解析例1>
上記第1の構成例に示される、環状ローラのトラクション面を単一円弧状の凹状内周面とし、環状ローラと中間ローラの接触面を凹凸接触とした摩擦ローラ式減速機を解析のモデルとし、トラクション面における法線力と接触面圧を演算により求めた。本モデルの摩擦ローラ式減速機における各部分の寸法を表1に示し、演算結果を表2に示す。
Figure 2016008675
Figure 2016008675
本モデルによれば、環状ローラと中間ローラ間の接触面圧を従来構成に比べて低減でき、環状ローラと中間ローラ間の接触楕円内の差動滑りが抑制可能であることが分かった。
<解析例1>
上記第2の構成例に示される中間ローラの凸状外周面の曲率をサンローラ素子の凹状素子外周面の曲率より大きくした摩擦ローラ式減速機を解析のモデルとし、トラクション面における法線力と接触面圧を演算により求めた。本モデルの摩擦ローラ式減速機における各部分の寸法を表3に示し、演算結果を表4に示す。
Figure 2016008675
Figure 2016008675
本モデルによれば、環状ローラと中間ローラ間の接触面圧を低減できるのに加え、中間ローラとサンローラ間の接触面圧も低減できた。これにより、トラクション面の寿命を向上させることが可能であることが分かった。
したがって、本構成例の摩擦ローラ式減速機100,200,300によれば、環状ローラと中間ローラ間の接触楕円内の差動滑りを低減させることができる。
本構成例の電気自動車用駆動装置によれば、電気エネルギの効率的利用のため、車両駆動用電動モータとして、小型且つ高回転型のものを使用しても、運転時の不快な振動及び騒音を、歯車式変速機に比べて小さくできる。
なお、上記各構成例ではサンローラを入力軸、環状ローラを出力軸にそれぞれ連結した減速機の構成としたが、環状ローラを入力軸、サンローラを出力軸に連結した増速機の構成としてもよい。その場合でも、上記した作用効果を得ることができる。
13 入力軸
15 サンローラ
17 環状ローラ
19 中間ローラ
21 出力軸
23 第1サンローラ素子(サンローラ素子)
25 第2サンローラ素子(サンローラ素子)
27 サンローラ外周面
29 素子外周面
31 内側端面
33 環状ローラ内周面
35 凹状内周面
37 自転軸
39 凸状外周面
55 凹状素子外周面
100,200,300 摩擦ローラ式減速機

Claims (2)

  1. 入力軸と、前記入力軸と同芯に配置されたサンローラと、前記サンローラの外周側に前記サンローラと同芯に配置された環状ローラと、サンローラ外周面と環状ローラ内周面との間で、前記入力軸と平行な自転軸を中心として回転自在に支持され、前記サンローラ外周面と前記環状ローラ内周面に転がり接触する複数の中間ローラと、前記環状ローラ又は前記中間ローラに接続される出力軸と、を備える摩擦ローラ式減速機であって、
    前記サンローラは、軸方向に分割された一対のサンローラ素子を含み、前記一対のサンローラ素子は、互いに対向する内側端面に向かうに従って外径が小さくなる素子外周面を有し、
    前記環状ローラ内周面は、単一円弧状の凹状内周面を有し、
    前記中間ローラは、単一円弧状の凸状外周面を有し、前記一対のサンローラ素子の前記素子外周面との接触位置と、前記環状ローラの前記凹状内周面との接触位置との3箇所で転がり接触することを特徴とする摩擦ローラ式減速機。
  2. 前記サンローラは、それぞれの前記素子外周面が、単一円弧状の凹状素子外周面を有し、
    前記中間ローラの軸方向断面における前記凸状外周面の曲率は、前記サンローラ素子の軸方向断面における前記凹状素子外周面の曲率より大きいことを特徴とする請求項1に記載の摩擦ローラ式減速機。
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