JP2014196825A - 摩擦ローラ式減速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性を確保しつつ、優れた伝達効率を得られる構造を実現する。【解決手段】中間ローラ4aの外周面のうち、軸方向中間部を単なる円筒面とし、軸方向両端部を、太陽ローラ3aを構成する太陽ローラ素子8a、8bの外周面と同方向に同一角度傾斜した円すい凸面状の傾斜面とする。又、環状ローラ5aの内周面のうち、軸方向両端部を前記各中間ローラ4aの外周面のうちの軸方向両端部と同方向に同一角度傾斜した円すい凹面状の傾斜面とする。【選択図】図1

Description

この発明は、例えば電気自動車の駆動系に組み込んだ状態で、電動モータから駆動輪にトルクを伝達する、摩擦ローラ式減速機の改良に関する。
例えば特許文献1、2には、電気自動車の駆動源となる電動モータの効率を向上させて充電1回当りの走行可能距離を長くすべく、高速回転する小型の電動モータの出力軸の回転を減速してから駆動輪に伝達する為に、摩擦ローラ式減速機を使用する事が記載されている。図8〜13は、前記特許文献2に記載された摩擦ローラ式減速機を示している。
この摩擦ローラ式減速機1は、入力軸2により太陽ローラ3を回転駆動し、この太陽ローラ3の回転を、複数個の中間ローラ4、4を介して環状ローラ5に伝達し、この環状ローラ5の回転を出力軸6から取り出す様にしている。前記各中間ローラ4、4は、それぞれの中心部に設けた自転軸7、7を中心として自転するのみで、前記太陽ローラ3の周囲で公転する事はない。この太陽ローラ3は、互いに同じ形状を有する1対の太陽ローラ素子8、8を互いに同心に組み合わせて成り、これら両太陽ローラ素子8、8を軸方向両側から挟む位置に、1対のローディングカム装置9、9を設置している。これら各部は、軸方向中間部の径が大きく、両端部の径が小さくなった、段付円筒状のハウジング10内に収納している。
前記入力軸2の基半部(図8の右半部)は前記ハウジング10の入力側小径円筒部11の内側に、入力側玉軸受ユニット12により、前記出力軸6は同じく出力側小径円筒部13の内側に出力側玉軸受ユニット14により、それぞれ回転自在に支持している。前記入力軸2と前記出力軸6とは互いに同心に配置しており、このうちの入力軸2の先端部を、この出力軸6の基端面中央部に形成した円形凹部15の内側に、ラジアル転がり軸受16により回転自在に支持している。又、前記出力軸6の基端部は、断面L字形の連結部17により、前記環状ローラ5と連結している。
前記両太陽ローラ素子8、8は、前記入力軸2の先半部の周囲に、この入力軸2と同心に、この入力軸2に対する相対回転を可能に、且つ、互いの先端面(互いに対向する面)同士の間に隙間を介在させた状態で配置している。又、前記両ローディングカム装置9、9を構成する1対のカム板18、18は、前記入力軸2の中間部と先端部との2箇所位置で、前記両太陽ローラ素子8、8を軸方向両側から挟む位置に外嵌固定して、前記入力軸2と同期して回転する様にしている。そして、互いに対向する、前記両太陽ローラ素子8、8の基端面と前記両カム板18、18の片側面との、それぞれ円周方向複数箇所ずつに、被駆動側カム面19、19と駆動側カム面20、20とを設け、これら各カム面19、20同士の間にそれぞれ玉21、21を挟持して、前記両ローディングカム装置9、9を構成している。前記各カム面19、20は、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化するもので、円周方向中央部で最も深く、同じく両端部に向かうに従って浅くなる。
前記入力軸2にトルクが入力されると、次の様にして、前記各ローラ3〜5の周面同士の転がり接触部である、各トラクション部の面圧を上昇させる。先ず、前記入力軸2にトルクが入力されていない状態では、図9の(A)に示す様に、前記両ローディングカム装置9、9を構成する前記各玉21、21が、前記各カム面19、20の底部若しくは底部に近い側に存在する。この状態では、前記両ローディングカム装置9、9の軸方向厚さ寸法が小さく、前記両太陽ローラ素子8、8同士の間隔が拡がっている。そして、前記各中間ローラ4、4が、前記太陽ローラ3及び前記環状ローラ5の径方向に関して外方に押される事はないか、仮に予圧ばねの弾力等により押されたとしても、押される力は小さい。
この状態から、前記入力軸2にトルクが入力される(前記摩擦ローラ式減速機1が起動する)と、前記各玉21、21と前記各カム面19、20との係合に基づき、図9の(B)に示す様に、前記両ローディングカム装置9、9の軸方向厚さ寸法が増大する。そして、前記両太陽ローラ素子8、8が、前記摩擦ローラ式減速機1の径方向に関して、前記各中間ローラ4の内側に食い込み、これら各中間ローラ4を、この径方向に関して外方に押す。この結果、前記各トラクション部の面圧が上昇して、これら各トラクション部に過大な滑りを発生させる事なく、前記太陽ローラ3から前記環状ローラ5に動力を伝達できる。尚、前記摩擦ローラ式減速機1に組み込む、前記両ローディングカム装置9、9は、それぞれを構成する太陽ローラ素子8とカム板18との間に、これら両部材8、18を周方向に相対変位させる方向の弾力を付与するばねを設けている。これら両部材8、18がこのばねの弾力に基づいて周方向に相対変位する事で、前記各玉21、21が、前記各カム面19、20の浅い側に乗り上げる傾向になり、前記両ローディングカム装置9、9により前記各トラクション部に予圧を付与できる。
前記摩擦ローラ式減速機1の運転時に前記各中間ローラ4、4は、それぞれの自転軸7、7を中心として回転すると同時に、伝達トルクの変動に伴って前記摩擦ローラ式減速機1の径方向に変位する。この理由は、前記両ローディングカム装置9、9が発生する押圧力が大きくなる程、これら両ローディングカム装置9、9が前記各中間ローラ4、4を、前記環状ローラ5の内周面に向けて押圧する力が大きくなる為である。この様な、前記各中間ローラ4、4の自転及び径方向変位を円滑に行わせる為、前記摩擦ローラ式減速機1では、次の様な構造により前記各中間ローラ4、4を、前記環状ローラ5の内周面と前記太陽ローラ3との間の環状空間22内に設置している。前記各中間ローラ4、4を支持する為に、前記ハウジング10の大径円筒部23の軸方向片側を塞ぐ端板24の内側面に、図10〜11に示す様な支持フレーム25を支持固定している。この支持フレーム25は遊星歯車機構を構成するキャリアの如き構造を有するもので、それぞれが円環状として互いに同心に配置した1対のリム部26a、26bの円周方向等間隔複数箇所同士を、ステー27、27により結合固定して成る。この様な支持フレーム25は、前記リム部26aを前記端板24の内面にねじ止めする事により、前記大径円筒部23の内側に、前記太陽ローラ3と同心に支持固定している。
一方、前記各中間ローラ4、4は、それぞれ揺動フレーム28、28の先端部に、回転自在に支持している。これら各揺動フレーム28、28はそれぞれ、互いに平行な1対の支持板部29、29の基端縁同士を基部30で連結する事により、径方向に見た形状をコ字形としている。前記各中間ローラ4、4の自転軸7、7の端部は、それぞれ前記各揺動フレーム28、28の支持板部29、29の先端部に、玉軸受31、31により、回転自在に支持している。又、前記各揺動フレーム28、28の基端部両側面に互いに同心に突設した揺動軸32、32を、前記両リム部26a、26bの互いに整合する部分に形成した支持孔33、33にがたつきなく挿入している。
前記各揺動軸32、32と前記各自転軸7、7とは、互いに平行で、前記支持フレーム25の円周方向に関する位相が大きくずれている。具体的には、前記各揺動軸32、32と前記各自転軸7、7との円周方向に関するずれを可能な限り大きくすべく、これら各揺動軸32、32とこれら各自転軸7、7とを結ぶ仮想直線の方向を、前記支持フレーム25の中心をその中心とする仮想円弧に関する接線の方向に近くしている。この様な構成により前記各揺動フレーム28、28を前記支持フレーム25に対し、それぞれ揺動軸32、32を中心とする揺動変位を可能にして、前記各中間ローラ4、4を前記支持フレーム25に対し、ほぼこの支持フレーム25の径方向に、円滑に変位できる様に支持している。
前記各中間ローラ4、4の外周面は、軸方向中間部を単なる円筒面とし、軸方向両側部分を、前記両太陽ローラ素子8、8の外周面と同方向に同一角度傾斜した、部分円すい凸面状の傾斜面としている。従って、前記各ローラ3〜5の周面同士は互いに線接触し、前記各トラクション部の接触面積を確保できる。又、前記両ローディングカム装置9、9が発生する押圧力の差等に起因して前記各中間ローラ4、4が軸方向に変位する場合に、この変位が円滑に行われる様にしている。即ち、前記環状ローラ5の内周面を単なる円筒面とすると共に、前記各揺動フレーム28、28の支持板部29、29の内側面と前記各中間ローラ4、4の軸方向両端面との間、並びに、これら両支持板部29、29の外側面と前記両リム部26a、26bの内側面との間に、多少の隙間を存在させている。
更に、前記両太陽ローラ素子8、8の基端部外周面に、それぞれ外向フランジ状の鍔部34、34を設けている。即ち、これら両太陽ローラ素子8、8の外周面のうち、前記各中間ローラ4、4の外周面と転がり接触する部分は、先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面となっており、前記両鍔部34、34は、この傾斜面の基端部から、全周に亙り径方向外方に突出している。そして、これら両鍔部34、34を含む、前記両太陽ローラ素子8、8の基端面に、それぞれ前記各被駆動側カム面19、19を形成している。
上述の様に構成する従来の摩擦ローラ式減速機1は、次の様に作用して、前記入力軸2から前記出力軸6に動力を、減速すると同時にトルクを増大させつつ伝達する。
即ち、電動モータにより前記入力軸2を回転駆動すると、この入力軸2に外嵌固定した前記両カム板18、18が回転し、前記両太陽ローラ素子8、8が、前記各玉21、21と前記各カム面19、20との係合に基づき、互いに近づく方向に押圧されつつ、前記入力軸2と同方向に同じ速度で回転する。そして、前記両太陽ローラ素子8、8により構成される前記太陽ローラ3の回転が、前記各中間ローラ4、4を介して前記環状ローラ5に伝わり、前記出力軸6から取り出される。前記各トラクション部の面圧は、前記両部材8、18同士の間に設けられたばねに基づく、これら両部材8、18を互いに逆方向に相対変位させる弾力に基づいて発生するカム部押圧力により、前記摩擦ローラ式減速機1の起動の瞬間から或る程度確保される。従って、この起動の瞬間から、前記各トラクション部で過大な滑りを発生させる事なく、動力伝達が開始される。
前記入力軸2に加わるトルクが増大すると、前記両ローディングカム装置9、9を構成する前記各玉21、21の、前記各カム面19、20への乗り上げ量が増大し、これら両ローディングカム装置9、9の軸方向厚さがより一層増大する。この結果、前記各トラクション部の面圧がより一層増大し、これら各トラクション部で、過大な滑りを発生する事なく、大きなトルクの伝達が行われる。これら各トラクション部の面圧は、前記入力軸2と前記出力軸6との間で伝達すべきトルクに応じた適正な値、具体的には必要最小限の値に適切な安全率を乗じた値に、自動的に調整される。この結果、前記両軸2、6同士の間で伝達されるトルクの変動に拘らず、前記各トラクション部で過大な滑りが発生したり、逆に、これら各トラクション部の転がり抵抗が徒に大きくなる事を防止できて、前記摩擦ローラ式減速機1の伝達効率を良好にできる。
しかも、前記各揺動フレーム28、28の揺動変位に基づいて前記各中間ローラ4、4が、前記太陽ローラ3及び前記環状ローラ5の径方向外方に、円滑に変位する。従って、前記各トラクション部の面圧が不均一になる事を防止できて、前記各トラクション部の面圧を適正にし、前記摩擦ローラ式減速機1の伝達効率を、より一層良好にできる。
上述の様な摩擦ローラ式減速機1は、耐久性の確保及び伝達効率の向上の面から改良の余地がある。即ち、この摩擦ローラ式減速機1の運転時には、前記各中間ローラ4、4の外周面と、前記太陽ローラ3の外周面及び前記環状ローラ5の内周面との転がり接触部(トラクション部)に、軸方向の力が発生する(これら各トラクション部にサイドスリップが発生する)可能性がある。この様な力が発生する原因は、前記両ローディングカム装置9、9が発生する押圧力(前記各玉21、21の前記各カム面19、20への乗り上げ量)に差が生じたり、前記各ローラ3〜5の周面の性状(形状精度、表面粗さ等)が不正規である場合等、種々考えられる。又、例えば、前記各中間ローラ4の回転中心軸(自転軸7)と、前記太陽ローラ3又は前記環状ローラ5の中心軸とが傾斜した状態のまま前記各中間ローラ4が回転した(スキューが発生した)場合にも、前記軸方向の力が発生する。何れにしても、この軸方向の力の大きさが、前記各揺動フレーム28、28の支持板部29、29の側面と、前記各中間ローラ4、4の軸方向両端面及び前記両リム部26a、26bの内側面との間の隙間に基づいてこれら各中間ローラ4、4が軸方向に変位する事により吸収できる範囲内であれば、問題を生じる事はない。これに対して、前記軸方向の力の大きさが前記各中間ローラ4、4の軸方向変位により吸収できる範囲を超えた場合、これら各中間ローラ4、4と、前記環状ローラ5とが、軸方向に関して互いに反対方向に押圧される。これら各中間ローラ4、4を押圧する力は、前記両支持板部29、29のうちの何れか一方の支持板部29の内側面を押圧し、前記支持フレーム25や前記ハウジング10を構成する前記端板24及び前記入力側小径円筒部11を介して、前記入力側玉軸受ユニット12の外輪を軸方向に押圧する。一方、前記環状ローラ5を押圧する力は、前記連結部17及び前記出力軸3を介して前記出力側玉軸受ユニット14の内輪を軸方向に押圧する。この様にして、これら両玉軸受ユニット12、14を構成する内輪と外輪との間に軸方向の大きな力が作用すると、軸受寿命が低下したり、これら両玉軸受ユニット12、14に於ける摩擦損失が大きくなる。
特開2012−197930号公報 特開2012−207778号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、耐久性を確保すると共に、優れた伝達効率を得られる摩擦ローラ式減速機を実現すべく発明したものである。
本発明の摩擦ローラ式減速機は、前述した従来から知られている摩擦ローラ式減速機と同様に、入力軸と、出力軸と、太陽ローラと、環状ローラと、複数個の中間ローラと、ローディングカム装置とを備える。
このうちの太陽ローラは、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子を前記入力軸の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に配置して成る。そして、前記両太陽ローラ素子の外周面を、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面とし、これら両傾斜面を転がり接触面としている。
又、前記環状ローラは、前記太陽ローラの周囲にこの太陽ローラと同心に配置されたもので、内周面を転がり接触面としている。
又、前記各中間ローラは、前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との間の環状空間の円周方向複数箇所に、それぞれが前記入力軸と平行に配置された自転軸を中心とする回転自在に支持されている。そして、この状態で、それぞれの外周面を前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面とに転がり接触させている。
又、前記ローディングカム装置は、前記両太陽ローラ素子のうちの少なくとも一方の太陽ローラ素子であり、前記入力軸に対する相対回転を可能とされた可動太陽ローラ素子とこの入力軸との間に設けられ、この入力軸の回転に伴ってこの可動太陽ローラ素子を相手方の太陽ローラ素子に向けて軸方向に押圧しつつ回転させるものである。この為に、前記ローディングカム装置を、前記可動太陽ローラ素子の基端面の円周方向複数箇所に設けられた被駆動側カム面と、前記入力軸の一部に固定されてこの入力軸と共に回転するカム板のうちで前記可動太陽ローラ素子の基端面に対向する片側面の円周方向複数箇所に設けられた駆動側カム面との間に転動体を挟持して成るものとする。そして、これら各駆動側カム面及び前記各被駆動側カム面をそれぞれ、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化して端部に向かうに従って浅くなる形状を有するものとする。
更に、前記環状ローラと前記各自転軸を支持した部材とのうちの一方の部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態とし、他方の部材を前記出力軸に結合して、この他方の部材によりこの出力軸を回転駆動自在としている。
特に、本発明の摩擦ローラ式減速機に於いては、前記各中間ローラの外周面と、前記太陽ローラの外周面及び前記環状ローラの内周面とを、軸方向に関してそれぞれ2箇所ずつで転がり接触させる。
上述の様な本発明の摩擦ローラ式減速機を実施する場合、具体的には請求項2に記載した発明の様に、前記各中間ローラの外周面のうち、前記両太陽ローラ素子の外周面と転がり接触する部分である軸方向両端部を、軸方向両端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい凸面状の傾斜面とする。又、前記環状ローラの内周面のうち、前記各中間ローラの外周面と転がり接触する部分である軸方向両端部を、軸方向両端面に向かうに従って内径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい凹面状の傾斜面とする。
上述の様な本発明の摩擦ローラ式減速機を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記ローディングカム装置を、前記両太陽ローラ素子のうちの一方の太陽ローラ素子と、前記入力軸との間にのみ設ける。又、これら両太陽ローラ素子のうちの他方の太陽ローラ素子を、この入力軸に、この入力軸と同期した回転を可能に、且つ、この入力軸の軸方向に対する相対変位を不能にした状態で支持する。
又、好ましくは請求項4に記載した発明の様に、前記各自転軸を支持した部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態とし、前記環状ローラを前記出力軸に結合して、この環状ローラによりこの出力軸を回転駆動自在とする。
上述の様な請求項2、又は、この請求項2を引用した請求項3〜4に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、前記入力軸に直交する仮想直線と、前記各中間ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との転がり接触部に於けるこれら各中間ローラの外周面の法線との成す角度を、8°以上14°以下とする。
上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式減速機によれば、耐久性を確保すると共に、優れた伝達効率を得られる。即ち、複数個の中間ローラの外周面と、太陽ローラの外周面及び環状ローラの内周面とを、軸方向に関してそれぞれ2箇所ずつで転がり接触している。従って、これら各ローラの転がり接触部(トラクション部)で軸方向の力が発生した場合には、この軸方向の力がこれら各ローラ内で打ち消し合って(相殺されて)、前記摩擦ローラ式減速機を構成する入力軸及び出力軸を回転自在に支持する軸受ユニットの外輪若しくは内輪に軸方向の力が加わるのを防止できる。この為、これら両軸受ユニットの寿命低下や摩擦損失の増大を防止できる。
本発明の実施の形態の第1例の摩擦ローラ式減速機を示す断面図。 図1のX−X断面図。 各ローラの支持状態を示す模式図。 図3の右方から見た状態を示す端面図。 本発明の効果を説明する為の、図3と同様の図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図。 本発明の効果を確かめる為に行ったシミュレーション結果を示す図。 従来構造の1例を示す断面図。 予圧付与の為の機構を説明する為の模式図。 中間ローラの自転軸を、太陽ローラ及び環状ローラの径方向に変位可能に支持する部分の構造を示す斜視図。 同じく分解斜視図。 揺動フレームと中間ローラとを組み合わせたユニットを1個だけ取り出して示す斜視図。 更にこのユニットを揺動フレームと中間ローラとに分けた状態で示す分解斜視図。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例を含め、本発明の摩擦ローラ式減速機の特徴は、この摩擦ローラ式減速機1aを構成する各ローラ3a、4a、5aの周面同士のトラクション部で発生する軸方向の力に拘らず、前記摩擦ローラ式減速機1aの耐久性を確保すると共に、優れた伝達効率を得る為の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図8〜13に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、入力軸2aの基半部(図3の右半部)を、図8に示したハウジング10の如き減速機ケースの内側に、回転自在に支持している。一方、前記入力軸2aの先端部は、出力軸6aの基端面中央部に形成した円形凹部41の内側に、ラジアル転がり軸受52により支持している。この様な構成により、前記入力軸2aと前記出力軸3aとの相対回転の自在性を確保しつつ、この入力軸2aの先半部(図3の左半部)の支持剛性(特にラジアル剛性)を確保している。そして、この入力軸2aの中間部に前記太陽ローラ3aを設けて、この入力軸2aによりこの太陽ローラ3aを回転駆動する様に構成している。この太陽ローラ3aは、1対の太陽ローラ素子8a、8bから成り、前記入力軸2aの先半部に設けた小径部35の周囲に配置している。又、本例の場合、ローディングカム装置9aを、前記太陽ローラ3aの軸方向片側にのみ設けている。即ち、前記両太陽ローラ素子8a、8bのうち、特許請求の範囲に記載した可動太陽ローラ素子である、一方(図1、3の左方)の太陽ローラ素子8aを、前記入力軸2aの周囲に、この入力軸2aと同心に、且つ、相対回転を可能に支持すると共に、この入力軸2aの周囲で前記一方の太陽ローラ素子8aよりも先端寄り部分に、カム板18aを支持固定(前記入力軸2aに対する相対回転及び軸方向変位を阻止した状態で支持)している。そして、前記太陽ローラ8aの基端面に形成した被駆動側カム面19、19と、前記カム板18aの片側面に形成した駆動側カム面20、20との間に、それぞれ玉21、21を挟持して、前記ローディングカム装置9aを構成している。これに対し、前記両太陽ローラ素子8a、8bのうちの他方(図1、3の右方)の太陽ローラ素子8bは、前記入力軸2aの周囲に、この入力軸2aと同心に、且つ、同期した回転を可能に支持している。
具体的には、前記他方の太陽ローラ素子8bを、前記入力軸2aの小径部35に締り嵌めで外嵌固定すると共に、この他方の太陽ローラ素子8bの基端面(図1の右端面)を、前記小径部35と、前記入力軸2aの基半部に設けた大径部36との間の段差部37に突き当てている。これにより、前記他方の太陽ローラ素子8bが、前記入力軸2aの軸方向に関して、前記一方の太陽ローラ素子8aから離隔する方向に変位するのを阻止している。この入力軸2aの小径部35の中間部には、カラー38を、その片端面(図1の右端面)を前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面(図1の左端面)に突き当てた状態で外嵌している。前記カラー38の中間部外周面には、前記一方の太陽ローラ8aを隙間嵌で外嵌し、同じく他端部外周面に、前記カム板18aを外嵌している。更に、前記入力軸2aの小径部35のうち、前記カラー38を外嵌した部分とこの入力軸2aの先端側に隣接する部分に、バックアッププレート39を、その片端面(図1の右端面)を前記カラー38の他端面(図1の左端面)に突き当てた状態で外嵌している。この様な構成により、前記他方の太陽ローラ素子8bと前記バックアッププレート39との間の間隔を適正な寸法に規制すると共に、前記入力軸2aから、前記他方の太陽ローラ素子8b及び前記カラー38を介して前記バックアッププレート39にトルクを伝達可能にしている。そして、前記入力軸2aの先端寄り部分に螺着固定したローディングナット40により、前記バックアッププレート39が、前記入力軸2aから抜け出る方向(図1の左方)に変位するのを阻止している。又、本例の場合、前記カム板18aと前記バックアッププレート39との間に予圧ばね53を設け、前記ローディングカム装置9aの非作動時(前記入力軸2aの停止時)にも、前記各ローラ3a、4a、5aの周面同士の転がり接触部の面圧を、必要最低限だけは確保する様にしている。従って、これら各転がり接触部は、前記摩擦ローラ式減速機1aの運転開始直後から、過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始できる。尚、この様な本例の構造の場合、前記摩擦ローラ式減速機1aの運転中には、前記一方の太陽ローラ素子8aが前記他方の太陽ローラ素子8bに対して軸方向に変位する場合を除き、前記太陽ローラ3aが軸方向に変位する事はない。
又、前記環状ローラ5aは、この環状ローラ5aを前記出力軸6aに連結する為の連結部17aに対し、スプライン係合等により、軸方向の変位を可能に支持している。これらにより、前記ローディングカム装置9aの作動に伴う、前記太陽ローラ3a及び前記環状ローラ5aの軸方向変位を許容している。これに対し、前記各中間ローラ4a、4aは、前記減速機ケース内に支持固定された支持フレーム25aに対し、これら各中間ローラ4a、4aと同数の揺動フレーム42、42により、回転(自転)及びこの支持フレーム25aの径方向に関する若干の変位を自在に支持している。このうちの支持フレーム25aは、円輪状の連結板部43と、この連結板部43の軸方向片側面の円周方向等間隔複数箇所から前記各中間ローラ4a、4aの設置側に向けて、前記支持フレーム25aの軸方向に対し平行に突出し、断面形状がこの支持フレーム25aの径方向に長い柱部44、44とから成る。前記各揺動フレーム42、42は、この支持フレーム25aの周方向に関する一端部を、前記連結板部43の軸方向片側面にそれぞれの基端部を結合固定した揺動支持軸45、45を中心とする揺動変位を自在としている。
前記各揺動フレーム42、42は、それぞれ、軸方向に離隔した状態で設けられた1対の支持板部46a、46bを備え、これら両支持板部46a、46bの中央部で互いに整合する部分に、それぞれ円形の保持凹部47、47を設けている。一方、前記各中間ローラ4a、4aは、自転軸7a、7aと一体に、これら各自転軸7a、7aと同心に形成している。これら各自転軸7a、7aの両端部は前記各中間ローラ4a、4aの軸方向両端面よりも軸方向に突出しており、且つ、突出した先端寄り部分を、基端寄り部分よりも小径とし、これら先端寄り部分と基端寄り部分との間に段差部48、48を設けている。この様な各自転軸7a、7aの両端部には、それぞれ単列深溝型の玉軸受31a、31aを構成する内輪49、49を締り嵌めで外嵌し、これら各内輪49、49の軸方向端面を前記各段差部48、48に突き当てている。又、前記各玉軸受31a、31aを構成する外輪50、50は、前記各保持凹部47、47に、径方向にがたつく事はないが、軸方向の変位を可能に内嵌できるだけの外径を有する。更に、前記各内輪49、49の軸方向端面を前記各段差部48、48に突き当てた状態で、前記各外輪50、50の軸方向外端面(互いに反対側の端面)同士の間隔は、前記各保持凹部47、47の底面同士の間隔よりも十分に小さくしている。又、前記各外輪50、50の軸方向外端面と前記各保持凹部47、47の底面との間に波板ばね51、51等の弾性部材を設けて、前記各中間ローラ4a、4aを、軸方向中央部に向け、弾性的に付勢している。前記各波板ばね51、51の弾力は、前記ローディングカム装置9aの作動に伴う、前記各中間ローラ4a、4aの軸方向変位を許容できる程度の、小さな値としている。
又、本例の場合、前記各中間ローラ4a、4aの外周面は、軸方向中間部を単なる円筒面とし、軸方向両端部を断面形状が直線状で、前記両太陽ローラ素子8a、8bの外周面と同方向に同一角度傾斜した円すい凸面状の傾斜面としている。又、前記環状ローラ5aの内周面のうち、軸方向中間部を、前記各中間ローラ4a、4aの外周面の軸方向中間部に形成した円筒面よりも軸方向長さが短い、単なる円筒面とし、軸方向両端部を、前記各中間ローラ4a、4aの外周面のうちの軸方向両端部と同方向に同一角度傾斜した円すい凹面状の傾斜面としている。この様な構成により、本例の場合には、前記各中間ローラ4a、4aの外周面と、前記太陽ローラ3aの外周面及び前記環状ローラ5aの内周面とを、それぞれ軸方向2箇所ずつで、傾斜角度が互いに逆である、非円筒面同士(部分円すい筒面同士)で転がり接触させている。特に、本例の場合には、前記入力軸2aに直交する仮想直線と、前記各中間ローラ4a、4aの外周面と前記環状ローラ5aの内周面との転がり接触部に於けるこれら各中間ローラ4a、4aの外周面の法線との成す角度(これら各中間ローラ4a、4aの外周面と前記環状ローラ5aの内周面との接触角)θが、8°以上14°以下(8°≦θ≦14°)となる様に、これら各中間ローラ4a、4aの外周面及び前記環状ローラ5aの内周面の形状を規制している。
上述の様な本例の摩擦ローラ式減速機1aの場合、耐久性を確保できると共に、優れた伝達効率を得られる。この理由に就いて、図5を参照しつつ説明する。例えば前記各中間ローラ4a、4aの外周面と前記環状ローラ5aの内周面との転がり接触部のうちの軸方向片側{図5の(A)の左側}の転がり接触部{図5の(A)の鎖点αで囲んだ部分}でサイドスリップが発生したと仮定する。このサイドスリップにより、図5の(A)に示す様に、前記環状ローラ5aに力Fが、前記各中間ローラ4a、4aに力Fが、それぞれ加わる。このうちの力Fにより、前記環状ローラ5aが軸方向片側に変位する傾向になると、この環状ローラ5aが、軸方向反対側の転がり接触部{図5の(A)の鎖点βで囲んだ部分}に於いて前記各中間ローラ4a、4aを、力Fで押圧する。一方、前記力Fによって前記環状ローラ5aは、前記軸方向反対側の転がり接触部で力Fにより押圧される。この様にして、これら各ローラ4a、5aに加わる前記各力F〜Fの大きさは、作用・反作用の法則から明らかな通り、全て同じである。従って、前記サイドスリップに基づき前記各ローラ4a、5aに加わる前記各力F〜Fは、これら各ローラ4a、5a内で打ち消し合う(相殺される)。
同様に、前記各中間ローラ4a、4aの外周面と前記太陽ローラ3aの内周面との転がり接触部のうちの軸方向片側{図5の(B)の左側}の転がり接触部{図5の(B)の鎖点γで囲んだ部分}にサイドスリップが発生した場合、図5の(B)に示す様に、前記各中間ローラ4a、4aには力Fが、前記一方の太陽ローラ素子8aには力Fが、それぞれ加わる。このうちの力Fにより、前記各中間ローラ4a、4aが軸方向他側に変位する傾向になると、軸方向反対側の転がり接触部{図5の(B)の鎖点δで囲んだ部分}に於いて、前記他方の太陽ローラ素子8bが、力Fで押圧されると共に、前記各中間ローラ4a、4aが力Fで押圧される。この様にして、これら各ローラ3a、4aに加わる力F〜Fに就いても、これら各ローラ3a、4a内で打ち消し合う(相殺される)。
上述した様に、前記各転がり接触部でサイドスリップが発生した場合であっても、前記各ローラ3a、4a、5aに加わる力は、これら各ローラ3a、4a、5a内で打ち消し合う(相殺される)。この為、前記入力軸2a及び出力軸6aを支持する軸受ユニット12、14(図8参照)の内輪若しくは外輪に軸方向の力が加わるのを防止でき、これら両軸受ユニット12、14の寿命が低下したり、摩擦損失の増大するのを防止できる。この結果、前記摩擦ローラ式減速機1aの耐久性を確保できると共に、この摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率を良好にできる。
又、本例の摩擦ローラ式減速機1aの場合、前記各中間ローラ4a、4aの外周面と前記環状ローラ5aの内周面との接触角θを、8°以上14°以下(8°≦θ≦14°)としている。この為、前記摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率を良好にすると共に、動力伝達に伴って前記各ローラ3a、4a、5aに加わる軸方向の力が過度に大きくなるのを防止できる。即ち、前記接触角θを8°未満とした(θ<8°)場合、前記各転がり接触部で有害な滑り(グロススリップ)が発生する可能性がある。一方、前記接触角θを14°よりも大きくした(θ>14°)場合、動力伝達に伴って前記各ローラ3a、4a、5aに加わる、軸方向荷重が過度に大きくなり、前記ローディングカム装置9aに必要とされる最大押圧力(発生させるべき最大押圧力)が大きくなってこのローディングカム装置9aが大型化したり、ローディングナット40の前記入力軸2aに対する締結力(このローディングナット40の締め付け力)が大きくなって、前記摩擦ローラ式減速機1aが大型化する可能性がある。これに対し、本例の場合には、前記接触角θを適正な範囲(8°≦θ≦14°)に規制している為、前記摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率を良好にでき、且つ、前記各ローラ3a、4a、5aに加わる軸方向の力が過度に大きくなるのを防止できる為、前記摩擦ローラ式減速機1aの大型化を防止する事ができる。
[実施の形態の第2例]
図6は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の摩擦ローラ式減速機1bは、ローディングカム装置9aの作動に伴って、太陽ローラ3a及び環状ローラ5aが軸方向に変位するのを許容する。この為に、この環状ローラ5aを、連結部17aに対し、スプライン係合等により、軸方向の変位を可能に支持すると共に、入力軸2aを、図8に示したハウジング10の如き減速機ケースの内側に軸方向の変位を可能に支持する事で、前記太陽ローラ3aの軸方向変位を可能としている。一方、中間ローラ4a、4aを、支持フレーム25a(図1参照)に対し、径方向変位のみ可能に(軸方向変位を阻止した状態で)支持している。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
本発明の効果を確認する為に行った実験に就いて、図7を参照しつつ説明する。この図7は、実験により求めた、図1〜2に示した実施の形態の第1例の構造に於ける、入力軸2aの回転トルク(入力トルク)と、摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率(この入力軸2aと出力軸3aとの間の伝達効率)との関係を示している。尚、本実験では、環状ローラ5aとして、内周面の傾斜角度(軸方向に対する傾斜角度)が、8°±1°のものを使用した。この様な図7から明らかな通り、前記接触角θが4°、6°、8°の何れの場合でも、前記摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率は、前記入力トルクを0[Nm]から増大させるに従って上昇し、この入力トルクが凡そ15[Nm]以上となった時点で、90[%]よりも大きくなる。この状態から更に前記入力トルクを増大させると、前記接触角θが4°の場合には、前記入力トルクが凡そ25[Nm]以上で、同じく6°の場合には、この入力トルクが凡そ37.5[Nm]以上で、それぞれ前記伝達効率が90[%]よりも小さくなる。これに対し、前記接触角θを8°とした場合には、前記入力トルクを、一般的な電気自動車用の摩擦ローラ式減速機での最大値(最大入力トルク)である50[Nm]とした場合にも、前記伝達効率は90[%]よりも大きい。従って、前記接触角θを8°以上にすれば、一般的な電気自動車用の摩擦ローラ式減速機の入力トルクである50[Nm]以下の範囲で、前記摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率を良好にできる。
次に、前記接触角θを14°以下とする事の効果に就いて、具体的な数値を示して説明する。前記摩擦ローラ式減速機1aの運転時に、ローディングナット40の片端面とバックアッププレート39の他端面、このバックアッププレート39の片端面とカラー38の他端面、このカラー38の片端面と他方の太陽ローラ素子8bの先端面、この他方の太陽ローラ素子8bの基端面及び前記入力軸2aの段差部37は、それぞれ互いに摩擦係合している。ここで、前記ローディングナット40の片端面からバックアッププレート39の他端面に加わる軸方向荷重は、ローディングカム装置9aが発生する押圧力が、前記ローディングナット40の前記入力軸2aに対する締結力よりも大きくならない限り、一定である。これに対し、前記摩擦ローラ式減速機1aの運転に伴い前記ローディングカム装置9aが作動し、前記バックアッププレート39が前記入力軸2aから抜け出る方向に押圧されると、前記バックアッププレート39の片端面から前記カラー38の他端面に加わる軸方向荷重、並びに、このカラー38の片端面から前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面に加わる軸方向荷重は、それぞれ低下する。前記摩擦ローラ式減速機1aの運転時に、前記バックアッププレート39の片端面及び前記カラー38の他端面同士の間、並びに、前記カラー38の片端面及び前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面同士の間では、前記入力軸2aへの入力トルクの半分を伝達する必要がある。ここで、この入力軸2aに直交する1対の円輪状の平面同士の当接部(摩擦係合部)の摩擦係数をμ、この当接部で伝達すべきトルクをT[Nm]、この当接部の径方向長さをr[m]とした場合に、このトルクTを伝達する為に必要な、前記両平面のうち、一方の面から他方の面に加わる軸方向荷重P[N]は、次の(1)式の様に表される。
Figure 2014196825
前記摩擦ローラ式減速機1aを、一般的な電気自動車用の摩擦ローラ式減速機として使用する場合、前記各面同士の当接部(摩擦係合部)のうち、前記カラー38の片端面と前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面との当接部の当接面積が最も小さく、この当接部の径方向長さは凡そ7[mm]である。即ち、前記カラー38の片端面から前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面に加わる軸方向荷重を、最大入力トルク(50[Nm])の半分(25[Nm])を伝達できる大きさ以上にする必要がある。従って、前記カラー38の片端面と前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面との間の摩擦係数を0.1とした場合、前記最大入力トルクの半分のトルク(25[Nm])を伝達する為に必要な、前記カラー38の片端面から前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面に加わる軸方向荷重は、凡そ35714[N]となる。前記ローディングナット40の前記入力軸2aに対する締結力(一般的な電気自動車用摩擦ローラ式減速機の場合で、凡そ43000[N])から前記ローディングカム装置9aが発生する軸方向の押圧力を引いた値が、35714[N]以上であれば、前記カラー38の片端面と前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面との間での滑りの発生を防止する事ができる。ここで、前記最大入力トルクを伝達する為に必要な、各ローラ3a、4a、5a同士の転がり接触部の法線力は、1箇所当たり9980[N]であるから、前記接触角θと、前記ローディングカム装置9aが発生する軸方向の押圧力、及び、前記カラー38の片端面から前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面に加わる軸方向荷重との関係は、表1に示す様になる。
Figure 2014196825
この表1から明らかな様に、前記接触角θが15°以上の場合、前記カラー38の片端面から前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面に加わる軸方向荷重が、35714[N]よりも小さくなる。これに対し、前記接触角θが14°以下の場合には、前記カラー38の片端面から前記他方の太陽ローラ素子8bの先端面に加わる軸方向荷重を、35714[N]以上にする事ができる。従って、前記接触角θを14°以下にすれば、前記ローディングカム装置9aが発生すべき押圧力が大きくなったり、前記ローディングナット40の前記入力軸2aに対する締結力を過度に大きくする必要がない為、前記摩擦ローラ式減速機1aの大型化を防止する事ができる。
本発明を実施する場合に、出力軸と共に回転するローラは、必ずしも環状ローラである必要はない。即ち、遊星ローラ式の摩擦ローラ式減速機で、本発明を実施する事もできる。この場合には、各中間ローラを、太陽ローラの周囲で自転しつつ公転する遊星ローラとし、これら各遊星ローラを支持しているキャリアに、出力軸の基端部を、トルクの伝達を可能に結合する。又、環状ローラをハウジングの内面に軸方向の変位のみ可能に組み付ける。
1、1a 摩擦ローラ式減速機
2、2a 入力軸
3、3a 太陽ローラ
4、4a 中間ローラ
5、5a 環状ローラ
6、6a 出力軸
7 自転軸
8、8a、8b 太陽ローラ素子
9、9a ローディングカム装置
10 ハウジング
11 入力側小径円筒部
12 入力側玉軸受ユニット
13 出力側小径円筒部
14 出力側玉軸受ユニット
15 円形凹部
16 ラジアル転がり軸受
17、17a 連結部
18、18a カム板
19 被駆動側カム面
20 駆動側カム面
21 玉
22 環状空間
23 大径円筒部
24 端板
25、25a 支持フレーム
26a、26b リム部
27 ステー
28 揺動フレーム
29 支持板部
30 基部
31、31a 玉軸受
32 揺動軸
33 支持孔
34 鍔部
35 小径部
36 大径部
37 段差部
38 カラー
39 バックアッププレート
40 ローディングナット
41 円形凹部
42 揺動フレーム
43 連結板
44 柱部
45 揺動支持軸
46a、46b 支持板部
47 保持凹部
48 段差部
49 内輪
50 外輪
51 波板ばね
52 ラジアル転がり軸受
53 予圧ばね

Claims (5)

  1. 入力軸と、出力軸と、太陽ローラと、環状ローラと、複数個の中間ローラと、ローディングカム装置とを備え、
    このうちの太陽ローラは、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子を前記入力軸の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に配置して成るもので、前記両太陽ローラ素子の外周面は、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面とし、これら両傾斜面を転がり接触面としており、
    前記環状ローラは、前記太陽ローラの周囲にこの太陽ローラと同心に配置されたもので、内周面を転がり接触面としており、
    前記各中間ローラは、前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との間の環状空間の円周方向複数箇所に、それぞれが前記入力軸と平行に配置された自転軸を中心とする回転自在に支持された状態で、それぞれの外周面を前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面とに転がり接触させており、
    前記ローディングカム装置は、前記両太陽ローラ素子のうちの少なくとも一方の太陽ローラ素子であり、前記入力軸に対する相対回転を可能とされた可動太陽ローラ素子とこの入力軸との間に設けられて、この入力軸の回転に伴ってこの可動太陽ローラ素子を相手方の太陽ローラ素子に向けて軸方向に押圧しつつ回転させるものであって、この可動太陽ローラ素子の基端面の円周方向複数箇所に設けられた被駆動側カム面と、前記入力軸の一部に固定されてこの入力軸と共に回転するカム板のうちで前記可動太陽ローラ素子の基端面に対向する片側面の円周方向複数箇所に設けられた駆動側カム面との間に転動体を挟持して成るもので、これら各駆動側カム面及び前記各被駆動側カム面はそれぞれ、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化して端部に向かうに従って浅くなる形状を有するものであり、
    前記環状ローラと前記各自転軸を支持した部材とのうちの一方の部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態とし、他方の部材を前記出力軸に結合して、この他方の部材によりこの出力軸を回転駆動自在とした摩擦ローラ式減速機に於いて、
    前記各中間ローラの外周面と、前記太陽ローラの外周面及び前記環状ローラの内周面とが、軸方向に関してそれぞれ2箇所ずつで転がり接触している事を特徴とする摩擦ローラ式減速機。
  2. 前記各中間ローラの外周面のうち、前記両太陽ローラ素子の外周面と転がり接触する部分である軸方向両端部が、軸方向両端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい凸面状の傾斜面であり、前記環状ローラの内周面のうち、前記各中間ローラの外周面と転がり接触する部分である軸方向両端部が、軸方向両端面に向かうに従って内径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい凹面状の傾斜面である、請求項1に記載した摩擦ローラ式減速機。
  3. 前記ローディングカム装置が、前記両太陽ローラ素子のうちの一方の太陽ローラ素子と、前記入力軸との間にのみ設けられており、これら両太陽ローラ素子のうちの他方の太陽ローラ素子を、この入力軸に、この入力軸と同期した回転を可能に、且つ、この入力軸の軸方向に対する相対変位を不能にした状態で支持している、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  4. 前記各自転軸を支持した部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態とし、前記環状ローラを前記出力軸に結合して、この環状ローラによりこの出力軸を回転駆動自在としている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  5. 前記入力軸に直交する仮想直線と、前記各中間ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との転がり接触部に於けるこれら各中間ローラの外周面の法線との成す角度が、8°以上14°以下である、請求項2、又は、この請求項2を引用した請求項3〜4のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
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