JP5966420B2 - 摩擦ローラ式減速機 - Google Patents
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近年普及し始めている電気自動車の利便性を向上させるべく、充電1回当りの走行可能距離を長くする為に、電動モータの効率を向上させる事が重要である。そして、この効率を向上させるには、高速回転する小型の電動モータを使用し、この電動モータの出力軸の回転を減速してから駆動輪に伝達する事が効果がある。この様な場合に使用する減速機のうち、少なくとも前記電動モータの出力軸に直接繋がる第一段目の減速機は、運転速度が非常に速くなるので、運転時の振動及び騒音を抑える為に、摩擦ローラ式減速機を使用する事が考えられる。又、前記電動モータの出力軸と、駆動輪に繋がるデファレンシャルギヤとの間に変速装置を設ける事で、車両の走行速度と加速度との関係を、ガソリンエンジンを搭載した自動車に近い、滑らかなものにできるものと考えられる。この点に就いて、図6を参照しつつ説明する。
更に、前記回転伝達装置4は、複数の歯車を組み合わせた、一般的な歯車伝達機構であり、前記出力側伝達軸8の回転をデファレンシャルギヤ11の入力部に伝達し、左右1対の駆動輪を回転駆動する様に構成している。
このうちの太陽ローラ13は、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子17a、17bを前記入力軸5aの周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に、且つ、このうちの太陽ローラ素子17aを、前記入力軸5aに対する相対回転を可能に配置して成る。前記1対の太陽ローラ素子17a、17bの外周面は、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面であって、これら両傾斜面を転がり接触面としている。従ってこの転がり接触面の外径は、軸方向中間部で小さく、両端部に向かうに従って大きくなる。
又、前記各遊星ローラ15、15は、前記太陽ローラ13の外周面と前記環状ローラ14の内周面との間の環状空間18の円周方向複数箇所に配置している。前記各遊星ローラ15、15は、それぞれが前記入力軸5a及び前記出力軸12と平行に配置された、自転軸である遊星軸19、19の周囲に回転自在に支持している。これら各遊星軸19、19の基端部は、前記出力軸12の基端部に結合固定されたキャリア20に支持固定している。前記各遊星ローラ15、15の外周面は、母線形状が部分円弧状の凸曲面で、それぞれ前記太陽ローラ13の外周面と前記環状ローラ14の内周面とに転がり接触している。
上述の様な事情に鑑み、ローディングカム装置の軸方向に関する厚さの変化に伴う中間ローラの変位を円滑に行わせる事ができて、優れた伝達効率を得られる摩擦ローラ式減速機として、特願2011−238867に係る発明がある。本発明は、この先発明に係る摩擦ローラ式減速機を改良したものであり、多くの構造部分は共通するから、先ず、この先発明の実施の形態の構造の1例に就いて、図11〜16により説明する。
即ち、電動モータにより前記入力軸5bを回転駆動すると、この入力軸5bに外嵌した前記1対のカム板23a、23aが回転し、前記1対の太陽ローラ素子17c、17cが、前記各玉24a、24aと前記各カム面25a、26aとの係合に基づき、互いに近づく方向に押圧されつつ、前記入力軸5bと同方向に同じ速度で回転する。そして、前記1対の太陽ローラ素子17c、17cにより構成される前記太陽ローラ13aの回転が、前記各中間ローラ27、27を介して前記環状ローラ14aに伝わり、前記出力軸12aから取り出される。前記各トラクション部の面圧は、前記両部材17c、23a同士の間に設けられたばねに基づく、これら両部材17c、23aを同方向に相対変位させる方向の弾力に基づいて発生するカム部押圧力により、前記摩擦ローラ式減速機2bの起動の瞬間から或る程度確保される。従って、この起動の瞬間から、前記各トラクション部で過大な滑りを発生させる事なく、動力伝達が開始される。
このうちの太陽ローラは、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子を前記入力軸の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に配置して成る。前記1対の太陽ローラ素子の外周面は、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面であって、これら両傾斜面を転がり接触面としている。
又、前記環状ローラは、前記太陽ローラの周囲にこの太陽ローラと同心に配置されたもので、内周面を転がり接触面としている。
又、前記各中間ローラは、前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との間の環状空間の円周方向複数箇所に、それぞれが前記入力軸と平行に配置された自転軸を中心とする回転自在に支持された状態で、それぞれの外周面を前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面とに転がり接触させている。
又、前記ローディングカム装置は、前記1対の太陽ローラ素子のうちの少なくとも一方の太陽ローラ素子であり、前記入力軸に対する相対回転を可能とされた可動太陽ローラ素子とこの入力軸との間に設けられて、この入力軸の回転に伴ってこの可動太陽ローラ素子を相手方の太陽ローラ素子に向けて軸方向に押圧しつつ回転させるものである。この為に、前記可動太陽ローラ素子の基端面の円周方向複数箇所に設けられた被駆動側カム面と、前記入力軸の一部に固定されてこの入力軸と共に回転するカム板のうちで前記可動太陽ローラ素子の基端面に対向する片側面の円周方向複数箇所に設けられた駆動側カム面との間に転動体を挟持して成る。これら各駆動側カム面及び前記各被駆動側カム面はそれぞれ、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化して端部に向かうに従って浅くなる形状を有する。
更に、前記環状ローラと前記各自転軸を支持した部材とのうちの一方の部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態で支持し、他方の部材を前記出力軸に結合して、この他方の部材によりこの出力軸を回転駆動自在としている。
前記各揺動フレームは、それぞれ、軸方向に離隔した状態で設けられた1対の支持板部の長さ方向両端同士を連結部を介して互いに結合固定すると共に、前記1対の支持板部の長さ方向中間部同士の間に前記自転軸の両端部を支持したものとする。尚、前記1対の支持板部の長さ方向両端同士を結合固定する為に、例えばボルトを使用する。
又、前記支持フレームは、軸方向側面の円周方向複数箇所に、それぞれの内側に前記各揺動フレームを保持する保持凹部を設けて成るものとする。
そして、前記各揺動フレームをこれら各保持凹部内に、それぞれの長さ方向一端部外面とこの保持凹部の内面との当接部を中心とする揺動変位を可能に保持する。
この様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記保持凹部の周方向両端部内面を、これら両端部内面同士の間隔と同じか、この間隔よりも少しだけ(例えば10%程度以内)大きな曲率変形を有する部分円筒状凹面とする。又、前記各揺動フレームの長さ方向両端部外面を、この部分円筒状凹面の曲率半径よりも小さな曲率半径を有する部分円筒状凸面とする。
即ち、これら各揺動フレーム毎に1対ずつ設けた支持板部は、それぞれの長さ方向両端部同士を、連結部(及びボルト)を介して結合固定している。従って、前記各支持板部は、それぞれの長さ方向両端部同士を互いに結合した、所謂両持ち構造となり、これら各支持板部のうちの何れかの支持板部の内側面が中間ローラにより押された場合にも、これら各支持板部同士の間隔が拡がる事はない。
従って、前記各支持板部の外側面と、これら各支持板部が隣接する部材とが強く擦れ合う事を防止して、前記各揺動フレームの揺動変位を円滑に行わせ、摩擦ローラ式減速機の伝達効率が低下する事を防止できる。
更に本発明の摩擦ローラ式減速機の場合には、前記各揺動フレームの長さ寸法を大きくしなくても、前記各中間ローラが径方向に変位する際に於ける、これら各揺動フレームの揺動半径を大きくできる。この結果、前記各中間ローラが支持フレームの径方向に変位する際に於ける、これら各中間ローラの変位方向を、この径方向に近くできて、これら各中間ローラの外周面と環状ローラの内周面との接触状態をより安定させられる。
先ず、図5の(A)は、前記摩擦ローラ式減速機がトルクを伝達していないか、小さなトルクしか伝達しておらず、前記各中間ローラユニット57、57が中立位置に存在する状態を示している。この中立状態から、前記摩擦ローラ式減速機が伝達するトルクが大きくなると、図5の(B)に示す様に、前記各中間ローラユニット57が、前記各揺動フレーム42aが、それぞれの長さ方向一端側(図5の左側)の外側面55と、前記各保持凹部51の内面52との当接部を中心として、同図に矢印αで示す様に、前記支持フレーム39aの径方向外方に揺動変位する。この結果、前記各中間ローラユニット57の長さ方向中央部に回転自在に支持された各中間ローラ27の外周面と、前記太陽ローラ13aの外周面との転がり接触部(トラクション部)だけでなく、環状ローラ14a(図11参照)の内周面との転がり接触部の面圧も十分に上昇する。これに対して、前記摩擦ローラ式減速機が伝達するトルクが低下すると、図5の(C)に示す様に、前記各中間ローラユニット57が、図5の(C)に矢印βで示す様に、前記支持フレーム39の径方向内方に揺動変位する。この結果、前記各中間ローラ27の外周面と、前記太陽ローラ13aの外周面及び前記環状ローラ14aの内周面との転がり接触部の面圧が過大なままになる事を防止して、前記摩擦ローラ式減速機の伝達効率及び耐久性の確保を図れる。
更に、本発明は、前述の図8に示した様な、遊星ローラ式の摩擦ローラ式減速機に適用する事もできる。この場合には、キャリアに対して各揺動フレームを支持し、これら各揺動フレームをキャリアと共に公転運動させる。但し、この場合には、運転速度があまり速くならない事が条件となる。
2、2a、2b 摩擦ローラ式減速機
3 変速装置
4 回転伝達装置
5、5a、5b 入力軸
6 出力軸
7 入力側伝達軸
8 出力側伝達軸
9a、9b 歯車伝達機構
10a、10b クラッチ機構
11 デファレンシャルギア
12、12a 出力軸
13、13a、13b 太陽ローラ
14、14a 環状ローラ
15 遊星ローラ
16、16a ローディングカム装置
17a、17b、17c、17d 太陽ローラ素子
18、18a 環状空間
19 遊星軸
20 キャリア
21 支え環
22 皿ばね
23、23a カム板
24、24a 玉
25、25a 被駆動側カム面
26 駆動側カム面
27 中間ローラ
28、28a 自転軸
29 ハウジング
30 入力側小径円筒部
31 入力側玉軸受ユニット
32 出力側小径円筒部
33 出力側玉軸受ユニット
34 円形凹部
35 ラジアル転がり軸受
36 連結部
37 大径円筒部
38 端板
39、39a 支持フレーム
40a、40b リム部
41 ステー
42、42a 揺動フレーム
43、43a、43b 支持板部
44 基部
45、45a 玉軸受
46 揺動軸
47 支持孔
48 鍔部
49 連結板部
50 柱部
51 保持凹部
52 内面
53 連結部
54 ボルト
55 外側面
56 保持部
57 中間ローラユニット
Claims (2)
- 入力軸と、出力軸と、太陽ローラと、環状ローラと、複数個の中間ローラと、ローディングカム装置とを備え、
このうちの太陽ローラは、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子を前記入力軸の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に配置して成るもので、前記1対の太陽ローラ素子の外周面は、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面であって、これら両傾斜面を転がり接触面としており、
前記環状ローラは、前記太陽ローラの周囲にこの太陽ローラと同心に配置されたもので、内周面を転がり接触面としており、
前記各中間ローラは、前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との間の環状空間の円周方向複数箇所に、それぞれが前記入力軸と平行に配置された自転軸を中心とする回転自在に支持された状態で、それぞれの外周面を前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面とに転がり接触させており、
前記ローディングカム装置は、前記1対の太陽ローラ素子のうちの少なくとも一方の太陽ローラ素子であり、前記入力軸に対する相対回転を可能とされた可動太陽ローラ素子とこの入力軸との間に設けられて、この入力軸の回転に伴ってこの可動太陽ローラ素子を相手方の太陽ローラ素子に向けて軸方向に押圧しつつ回転させるものであって、この可動太陽ローラ素子の基端面の円周方向複数箇所に設けられた被駆動側カム面と、前記入力軸の一部に固定されてこの入力軸と共に回転するカム板のうちで前記可動太陽ローラ素子の基端面に対向する片側面の円周方向複数箇所に設けられた駆動側カム面との間に転動体を挟持して成るもので、これら各駆動側カム面及び前記各被駆動側カム面はそれぞれ、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化して端部に向かうに従って浅くなる形状を有するものであり、
前記環状ローラと前記各自転軸を支持した部材とのうちの一方の部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態で支持し、他方の部材を前記出力軸に結合して、この他方の部材によりこの出力軸を回転駆動自在とした摩擦ローラ式減速機に於いて、
前記各中間ローラの自転軸の軸方向両端部を支持する為、これら各中間ローラ毎に独立して設けた揺動フレームと、これら各揺動フレームを揺動変位可能に支持する為の支持フレームとを備え、
前記各揺動フレームは、それぞれ、軸方向に離隔した状態で設けられた1対の支持板部の長さ方向両端同士を連結部を介して互いに結合固定すると共に、前記1対の支持板部の長さ方向中間部同士の間に前記自転軸の両端部を支持したものであり、
前記支持フレームは、軸方向側面の円周方向複数箇所に、それぞれの内側に前記各揺動フレームを保持する保持凹部を設けて成るものであり、
前記各揺動フレームはこれら各保持凹部内に、それぞれの長さ方向一端部外面と前記保持凹部の内面との当接部を中心とする揺動変位を可能に保持している事を特徴とする摩擦ローラ式減速機。 - 前記保持凹部の周方向両端部内面が、これら両端部内面同士の間隔以上の曲率半径を有する部分円筒状凹面であり、前記各揺動フレームの長さ方向両端部外面が、この部分円筒状凹面の曲率半径よりも小さな曲率半径を有する部分円筒状凸面である、請求項1に記載した摩擦ローラ式減速機。
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