JP2012197930A - 摩擦ローラ式減速機及び電気自動車用駆動装置 - Google Patents

摩擦ローラ式減速機及び電気自動車用駆動装置 Download PDF

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一宇 田中
Yasuyuki Matsuda
靖之 松田
Takashi Imanishi
尚 今西
Eiji Inoue
英司 井上
Hiroyasu Yoshioka
宏泰 吉岡
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Abstract

【課題】効率が良く、しかも、耐久性を十分に確保し易い構造を実現する。
【解決手段】ローディングカム装置を構成する、太陽ローラ素子8cとカム板15aとの間に、これら太陽ローラ素子8cとカム板15aとを円周方向に相対変位させる方向の弾力を有する圧縮コイルばね34、34を設ける。そして、入力軸にトルクが入力されない状態でも、各玉16、16を、各被駆動側カム面17、17及び各駆動側カム面の浅い部分に向け変位させる。そして、前記ローディングカム装置の軸方向寸法を増大させて、各ローラの周面同士の転がり接触部の面圧を確保する為の予圧を付与する。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えば電気自動車の駆動系に組み込んだ状態で、電動モータから駆動輪にトルクを伝達する、摩擦ローラ式減速機の改良に関する。
近年普及し始めている電気自動車の利便性を向上させるべく、充電1回当りの走行可能距離を長くする為に、電動モータの効率を向上させる事が重要である。この効率を向上させるには、高速回転する小型の電動モータを使用し、この電動モータの出力軸の回転を減速してから駆動輪に伝達する事が効果がある。この場合に使用する減速機のうち、少なくとも前記電動モータの出力軸に直接繋がる第一段目の減速機は、運転速度が非常に速くなるので、運転時の振動及び騒音を抑える為に、摩擦ローラ式減速機を使用する事が考えられる。この様な場合に使用可能な摩擦ローラ式減速機として、例えば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。このうちの特許文献3に記載された従来構造に就いて、図22〜24により説明する。
この摩擦ローラ式減速機1は、入力軸2と、出力軸3と、太陽ローラ4と、環状ローラ5と、それぞれが中間ローラである複数個の遊星ローラ6、6と、ローディングカム装置7とを備える。
このうちの太陽ローラ4は、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子8a、8bを前記入力軸2の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に、且つ、このうちの一方の太陽ローラ素子8aを前記入力軸2に対する相対回転を可能に配置して成る。前記両太陽ローラ素子8a、8bの外周面は、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面であって、これら両傾斜面を転がり接触面としている。即ち、この転がり接触面の外径は、軸方向中間部で小さく、両端部に向かうに従って大きくなる。
又、前記環状ローラ5は、全体を円環状としたもので、前記太陽ローラ4の周囲にこの太陽ローラ4と同心に配置した状態で、図示しないハウジング等の固定の部分に支持固定している。又、前記環状ローラ5の内周面は、軸方向中央部に向かうに従って内径が大きくなる方向に傾斜した転がり接触面としている。
又、前記各遊星ローラ6、6は、前記太陽ローラ4の外周面と前記環状ローラ5の内周面との間の環状空間9の円周方向複数箇所に配置している。前記各遊星ローラ6、6は、それぞれが前記入力軸2及び前記出力軸3と平行に配置された、自転軸である遊星軸10、10の周囲に、ラジアルニードル軸受を介して、回転自在に支持している。これら各遊星軸10、10の基端部は、前記出力軸3の基端部に結合固定されたキャリア11に、支持固定されている。前記各遊星ローラ6、6の外周面は、母線形状が部分円弧状の凸曲面で、それぞれ前記太陽ローラ4の外周面と前記環状ローラ5の内周面とに転がり接触している。
更に、前記ローディングカム装置7は、一方の太陽ローラ素子8aと、前記入力軸2との間に設けている。この為に、この入力軸2の中間部に、止め輪12により支え環13を係止し、この支え環13と前記一方の太陽ローラ素子8bとの間に、この支え環13の側から順番に、皿ばね14と、カム板15と、それぞれが転動体である複数個の玉16、16とを設けている。そして、互いに対向する、前記一方の太陽ローラ素子8aの基端面と前記カム板15の片側面との、それぞれ円周方向複数箇所ずつに、被駆動側カム面17、17と駆動側カム面18、18とを設けている。これら各カム面17、18はそれぞれ、軸方向に関する深さが円周方向に関して中央部で最も深く、同じく両端部に向かうに従って漸次浅くなる形状を有する。
この様なローディングカム装置7は、前記入力軸2が停止している状態では、前記各玉16、16が、図24の(A)に示す様に、前記各カム面17、18の最も深くなった部分に位置する。この状態では、前記皿ばね14の弾力により、前記一方の太陽ローラ素子8aを前記他方の太陽ローラ素子8bに向け押圧する。これに対して、前記入力軸2が回転すると、前記各玉16、16が、図24の(B)に示す様に、前記各カム面17、18の浅くなった部分に移動する。そして、前記一方の太陽ローラ素子8aと前記カム板15との間隔を拡げ、前記一方の太陽ローラ素子8aを前記他方の太陽ローラ素子8bに向け押圧する。この結果、この一方の太陽ローラ素子8aはこの他方の太陽ローラ素子8bに向け、前記皿ばね14の弾力と、前記各カム面17、18に対して前記各玉16、16が乗り上げる事により発生する推力とのうちの、大きな方の力で押圧されつつ回転駆動される。
上述の様な摩擦ローラ式減速機1の運転時には、前記ローディングカム装置7が発生する軸方向の推力により、前記両太陽ローラ素子8a、8bの間隔が縮まる。そして、これら両太陽ローラ素子8a、8bにより構成される前記太陽ローラ4の外周面と、前記各遊星ローラ6、6の外周面との転がり接触部の面圧が上昇する。この面圧上昇に伴ってこれら各遊星ローラ6、6が、前記太陽ローラ4及び前記環状ローラ5の径方向に関して外方に押される。すると、この環状ローラ5の内周面と前記各遊星ローラ6、6の外周面との転がり接触部の面圧も上昇する。この結果、前記入力軸2と前記出力軸3との間に存在する、動力伝達に供されるべき、それぞれがトラクション部である複数の転がり接触部の面圧が、前記両軸2、3同士の間で伝達すべきトルクの大きさに応じて上昇する。
この状態で前記入力軸2を回転させると、この回転が、前記太陽ローラ4から前記各遊星ローラ6、6に伝わり、これら各遊星ローラ6、6がこの太陽ローラ4の周囲で、自転しつつ公転する。これら各遊星ローラ6、6の公転運動は、前記キャリア11を介して前記出力軸3により取り出せる。前記各トラクション部の面圧は、前記両軸2、3同士の間で伝達すべきトルクの大きさに応じた適正なものとなり、前記各トラクション部で過大な滑りが発生したり、或いは、これら各トラクション部の面圧が過大になる事に伴う転がり抵抗が徒に増大する事を防止できる。
上述の様な従来の摩擦ローラ式減速機1は、次の(1)(2)の点で改良の余地がある。
(1) ローディングカム装置7の効率が必ずしも良くない。具体的には、押圧力の確保とストロークの確保とを両立させる面から不利である。より具体的には、仮に前記入力軸2のトルク伝達方向が一定である場合でも、前記皿ばね14の弾力を押圧力の確保に有効利用できる設計を行えない。
(2) 耐久性確保が難しく、長期間に亙って安定した性能を維持しにくい。具体的には、前記皿ばね14がへたり易く、へたった場合には、前記摩擦ローラ式減速機1の起動時に、前記各トラクション部で過大な滑りが発生する。
これら(1)(2)の様な問題が発生する理由に就いて、以下に説明する。
前記従来構造のローディングカム装置7は、前記各カム面17、18と前記各玉16、16との係合に基づくカム式推力発生機構と、予圧付与の為の前記皿ばね14とを、押圧力の作用方向に関して互いに直列に配置している。そして、前記摩擦ローラ式減速機1が停止した状態では、前記皿ばね14の弾力(以下「ばね押圧力」とする)に基づいて、前記各トラクション部に、必要最低限を上回る程度の面圧を付与する。この状態から前記摩擦ローラ式減速機1が起動すると、前記各玉16、16が前記各カム面17、18の浅い側に向けて移動し(乗り上げ)、前記カム式推力発生機構部分で発生する押圧力(以下「カム部押圧力」とする)が上昇する。このカム部押圧力の上昇に伴って前記皿ばね14が、軸方向寸法が縮む方向に弾性変形するので、この皿ばね14が完全に押し潰されるまでの間は、前記ばね押圧力のみで、前記一方の太陽ローラ素子8aを前記他方の太陽ローラ素子8bに向け押圧する。従って、前記皿ばね14が完全に押し潰されるまでの間は、前記ローディングカム装置7全体としての押圧力(以下「総合押圧力」とする)は、前記皿ばね14の弾力に見合う大きさになる。そして、この皿ばね14が完全に押し潰されてから、更に前記カム式推力発生機構部分で発生する押圧力が上昇すると、前記総合押圧力は、前記カム部押圧力となる。
結局、このローディングカム装置7全体としての押圧力の大きさは、前記ばね押圧力と前記カム部押圧力とのうちの大きい方の値になる。このカム部押圧力が大きくなった状態で、前記皿ばね14の弾力が、ローディングカム装置7全体としての押圧力を大きくする事には寄与しない。従って、前記入力軸2に加えられるトルクが大きくなった状態では、前記カム部押圧力のみで、前記各トラクション部の面圧を確保する必要がある。このカム部押圧力は、前記各カム面17、18の円周方向に関する傾斜角度を緩くすれば確保できるが、その分、前記一方の太陽ローラ素子8aを前記他方の太陽ローラ素子8bに向けて移動させるストロークを確保する面からは不利になる。図22に示した従来構造の場合、前記カム部押圧力が増大しつつ前記皿ばね14を押し潰す過程で、前記カム板15が前記他方の太陽ローラ素子8bから離れる方向に変位する。この為、元々前記ストローク確保の面から不利である。このストロークを十分に確保できないと、前記各トラクション部の面圧を確保できなくなる可能性がある為、大きなトルクを伝達可能な摩擦ローラ式減速機1を設計する面からは不利になる。
又、金属ばねの分野で広く知られている様に、前記皿ばね14を、完全に平板状にまで押し潰す状態で繰り返し使用すると、この皿ばね14の耐久性を確保しにくい。具体的には、比較的短期間の間にこの皿ばね14の弾性が低下し(へたり)、前記入力軸2に加えられるトルクが小さい状態で、前記各トラクション部の面圧を十分に確保できなくなり、これら各トラクション部で過大な滑りが発生し易くなる。この様な原因での皿ばね14のへたりは、この皿ばね14の弾性圧縮量を制限するストッパ機構を設ける事により防止できるが、特許文献3にはその様な構造は記載されていない。
特開昭59−187154号公報 特開昭61−136053号公報 特開2004−116670号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、効率が良く、ストローク確保も容易で、しかも、耐久性を十分に確保し易いローディングカム装置を備えた摩擦ローラ式減速機、及び、この摩擦ローラ式減速機を組み込んだ電気自動車用駆動装置を実現すべく発明したものである。
本発明の摩擦ローラ式減速機及び電気自動車用駆動装置のうち、請求項1に記載した摩擦ローラ式減速機は、前述した従来から知られている摩擦ローラ式減速機と同様に、入力軸と、出力軸と、太陽ローラと、環状ローラと、複数個の中間ローラと、ローディングカム装置とを備える。
特に、本発明の摩擦ローラ式減速機に於いては、前記ローディングカム装置を構成する、可動太陽ローラ素子とカム板との間に、これら可動太陽ローラ素子とカム板とを円周方向に相対変位させる方向の弾力を有する弾性部材を設けている。そして、前記入力軸にトルクが入力されない状態でも、各被駆動側カム面と各駆動側カム面との間に挟持された各転動体を、これら各被駆動側カム面及びこれら各駆動側カム面の浅い部分に向け変位させる事により、前記ローディングカム装置の軸方向寸法を増大させて、前記各ローラの周面同士の転がり接触部の面圧を確保する為の予圧を付与する。
又、請求項9に記載した電気自動車用駆動装置は、電動モータと、この電動モータの出力軸と共に回転する入力軸を有する摩擦ローラ式減速機と、入力側伝達軸と出力側伝達軸との間の減速比を、少なくとも高低の2段階に変換可能な変速装置と、この変速装置の出力側伝達軸の回転を駆動輪に伝達する為の回転伝達装置とを備える。
特に、本発明の電気自動車用駆動装置に於いては、前記摩擦ローラ式減速機が、上述した様な、本発明の摩擦ローラ式減速機である。
上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式減速機によれば、ローディングカム装置の効率が良く、ストローク確保も容易で、しかも、耐久性を十分に確保し易い。従って、必要とする耐久性を確保しつつ、優れた伝達効率を有する摩擦ローラ式減速機の設計の自由度向上(設計の容易化)を図れる。そして、例えばこの摩擦ローラ式減速機を電気自動車用駆動装置に組み込んだ場合に、高効率の駆動装置を実現して、充電1回当りの走行可能距離を長くできる。
本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。 図1の中央部右側の太陽ローラ素子及びカム板を取り出して、玉及び圧縮コイルばねと共に示す斜視図。 圧縮コイルばねによる予圧付与の方向を説明する為の模式図。 ローディングカム装置による押圧力付与の為の機構を説明する為の模式図。 駆動側、被駆動側各カム面と玉との係合状態を説明する為の模式図。 入力軸に加わるトルクの大きさ及び方向と、ローディングカム装置が発生する、軸方向の押圧力との関係を示す線図。 中間ローラの自転軸を、太陽ローラ及び環状ローラの径方向に案内する部分の構造の1例を示す分解斜視図。 本発明の実施の態様の第2例を示す、図2と同様の図。 太陽ローラ素子を取り出して図8と同方向から見た状態で示す斜視図。 太陽ローラ素子の凹部に予圧付与の為の圧縮コイルばね等を組み込む工程を順番に示す斜視図。 同じく1個の凹部への組み込みを完了した状態を示す、斜視図(A)及び正投影図(B)。 本例の構造が凹部の加工を容易に行える理由を説明する為の模式図。 受ピンを組み付ける以前のカム板を、太陽ローラ素子側から見た状態で示す斜視図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図11の(A)と同様の図。 太陽ローラと1対のローディングカム装置とを取り出して、これら両ローディングカム装置を組み立てる以前の状態で示す斜視図。 同じく、摩擦ローラ式減速機全体を、組み立てた状態で示す断面図。 同じく入力軸の先端部とラジアルニードル軸受とを、組み合わせる以前の状態で示す斜視図。 本発明の実施の形態の第4例を示す模式図。 同第5例を示す断面図。 摩擦ローラ式減速機を組み込んだ、電気自動車用の駆動装置の斜視図。 この駆動装置により得られる加速特性を説明する為の線図。 従来構造の1例を示す断面図。 一部を省略して示す、図22のa−a断面図。 ローディングカム装置が推力を発生していない状態(A)と同じく発生している状態(B)とをそれぞれ示す、図23のb−b断面に相当する模式図。
[実施の形態の第1例]
図1〜7は、請求項1〜3、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。図1に示す様に、本例の摩擦ローラ式減速機1aは、入力軸2aにより太陽ローラ4aを回転駆動し、この太陽ローラ4aの回転を、複数個の中間ローラ19、19を介して環状ローラ5aに伝達し、この環状ローラ5aの回転を出力軸3aから取り出す様にしている。前記各中間ローラ19、19は、それぞれの中心部に設けた自転軸20、20を中心として自転するのみで、前記太陽ローラ4aの周囲で公転する事はない。前記太陽ローラ4aは、互いに同じ形状を有する1対の太陽ローラ素子8c、8cを互いに同心に組み合わせて成り、これら両太陽ローラ素子8c、8cを軸方向両側から挟む位置に、それぞれが本発明の特徴となる構成を備えた1対のローディングカム装置7a、7aを設置している。これら各部は、軸方向中間部の径が大きく、両端部の径が小さくなった、段付円筒状のハウジング21内に収納している。以下、これら各部の具体的構成に就いて説明する。
先ず、前記入力軸2aの基半部(図1の右半部)は前記ハウジング21の入力側小径円筒部22の内側に、多列玉軸受ユニット23により、前記出力軸3aは同じく出力側小径円筒部24の内側に複列玉軸受ユニット25により、それぞれ回転自在に支持している。この複列玉軸受ユニット25を構成する1対の玉軸受同士の間にはラビリンスシール26を設けて、外部空間側に配置する前記出力軸3a側から、前記ハウジング21内への異物の浸入防止を図っている。前記入力軸2aと前記出力軸3aとは互いに同心に配置されており、このうちの入力軸2aの先端部を、この出力軸3aの基端面中央部に形成した円形凹部27の内側に、玉軸受28により支持している。この構成により、前記入力軸2aと前記出力軸3aとの相対回転の自在性を確保しつつ、この入力軸2aの先半部(図1の左半部)の支持剛性(特にラジアル剛性)を確保している。
前記両太陽ローラ素子8c、8cは、前記入力軸2aの先半部の周囲に、この入力軸2aと同心に、且つ、この入力軸2aに対する相対回転を可能に、且つ、互いの先端面(互いに対向する面)同士の間に隙間を介在させた状態で配置している。即ち、本例の場合には、前記両太陽ローラ素子8c、8cが、何れも可動太陽ローラ素子である。又、前記両ローディングカム装置7a、7aを構成する1対のカム板15a、15aは、前記入力軸2aの中間部と先端部との2箇所位置で、前記両太陽ローラ素子8c、8cを軸方向両側から挟む位置に外嵌固定して、前記入力軸2aと同期して回転する様にしている。そして、互いに対向する、前記両太陽ローラ素子8c、8cの基端面と前記両カム板15a、15aの片側面との、それぞれ円周方向複数箇所ずつに、被駆動側カム面17、17と駆動側カム面18、18とを設けている。これら各カム面17、18の形状に就いては、基本的には、前述した従来構造の場合と同様で構わないが、要求される性能に応じて適宜異ならせる事は自由である。何れにしても前記各カム面17、18は、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化するもので、円周方向中央部で最も深く、同じく両端部に向かうに従って浅くなる。
特に、本例の摩擦ローラ式減速機1aの場合には、前記両太陽ローラ素子8c、8cの基端部外周面に、それぞれ外向フランジ状の鍔部29、29を設けている。即ち、これら両太陽ローラ素子8c、8cの外周面のうち、前記各中間ローラ19、19の外周面と転がり接触する部分は、先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面となっており、前記両鍔部29、29は、この傾斜面の基端部から、全周に亙り径方向外方に突出している。そして、これら両鍔部29、29を含む、前記両太陽ローラ素子8c、8cの基端面に、それぞれ複数ずつの凹部30、30と前記各被駆動側カム面17、17とを、円周方向に関して交互に配置している。このうちの各凹部30、30は、それぞれ径方向に関する幅寸法が大きな幅広部31、31と、同方向に関する幅寸法が小さい幅狭部32、32とを、円周方向に連続させて成る。円周方向に関して、これら各幅狭部32、32と前記各幅広部31、31との配列方向は同じである。又、前記両太陽ローラ素子8c、8cは、互いに同じものを、軸方向に関する向きを逆にして組み合わせている。従って、一方の太陽ローラ素子8cと他方の太陽ローラ素子8cとの間で、前記各幅広部31、31と前記各幅狭部32、32との円周方向に関する配列方向は、互いに逆である。
一方、前記両カム板15a、15aの内側面(軸方向両側面のうちの互いに対向する側面)の一部で、前記両太陽ローラ素子8c、8cと組み合わせた状態で前記各凹部30、30のうちの幅広部に整合する部分に、それぞれ受板部33、33を突設している。これら各受板部33、33は、前記各凹部30、30のうちの幅広部31、31に進入可能で、且つ、前記両カム板15a、15aと前記両太陽ローラ素子8c、8cとの相対回転に伴って、前記各幅広部31、31内で円弧運動可能な、軸方向に関する高さ寸法及び径方向に関する幅寸法を有する。前記両太陽ローラ素子8c、8cと前記両カム板15a、15aとは、それぞれ前記各凹部30、30及び前記各受板部33、33と同数の、玉16、16と、それぞれが弾性部材である圧縮コイルばね34、34とを介して組み合わせる事により、前記両ローディングカム装置7a、7aを構成する。
即ち、図2に示す様に、前記各凹部30、30のうちの幅狭部32、32に前記各圧縮コイルばね34、34を挿入した状態で、前記各受板部33、33を前記各凹部30、30のうちの幅広部31、31に挿入すると共に、前記各カム面17、18同士の間に前記各玉16、16を挟持する。そして、前記各受板部33、33の円周方向片側面と、前記各凹部30、30の円周方向両内端面のうち、前記幅狭部32、32側の内端面との間で前記各圧縮コイルばね34、34を、それぞれ圧縮した状態で挟持する。尚、図2にはこれら各圧縮コイルばね34、34を、弾性的に圧縮した状態で描いている。自由状態でこれら各圧縮コイルばね34、34の片端部は、前記各凹部30、30のうちの幅広部31、31内に大きく突出する。
上述の様にして前記両ローディングカム装置7a、7aを組み立てた状態では、前記両太陽ローラ素子8c、8cと前記両カム板15a、15aとの間に、これら両太陽ローラ素子8c、8cとこれら両カム板15a、15aとを円周方向に相対変位させる方向の弾力が付与される。尚、本例の場合には、前記入力軸2aを中心として前記両太陽ローラ素子8c、8cが相対変位する方向が、これら両太陽ローラ素子8c、8c同士の間で互いに逆になる。そして、前記入力軸2aにトルクが入力されない状態でも、前記各玉16、16を、前記各被駆動側カム面17、17及び前記各駆動側カム面18、18の浅い部分に向け変位させる。この変位により、前記両ローディングカム装置7a、7aに、軸方向に関する厚さ寸法を大きくする方向のカム部押圧力を発生させて、後述する様に、前記各ローラ4a、5a、19の周面同士の転がり接触部の面圧を確保する為の予圧を付与する様にしている。
又、前記環状ローラ5aは、前記ハウジング21の軸方向中間部に設けた大径円筒部35の内径側で前記太陽ローラ4aの周囲部分に、この太陽ローラ4aと同心に配置している。本例の場合には、前記環状ローラ5aの内周面は、軸方向に関して内径が変化しない円筒面としている。又、この環状ローラ5aと前記出力軸3aの基端部とを、断面L字形の連結部36により連結している。
更に、前記各中間ローラ19、19は、前記環状ローラ5aの内周面と前記太陽ローラ4aとの間の環状空間9a内に、前記各自転軸20、20を中心とする回転(自転)を自在に、且つ、前記環状ローラ5a及び前記太陽ローラ4aの径方向に関する若干の変位を可能に設置している。この為に、前記ハウジング21の大径円筒部35の軸方向片側を塞ぐ端板37の内側面に、支持フレーム38を支持固定している。この支持フレーム38はこの端板37を含んで構成されるもので、遊星歯車機構を構成するキャリアの如き構造を有する。即ち、前記端板37と支持板39とを、前記各中間ローラ19、19の軸方向両側に配置し、これら両板37、39同士を、円周方向に関して前記各中間ローラ19、19同士の間部分に設置したステーにより結合固定している。
そして、前記両板37、39の互いに対向する部分に、それぞれガイドブロック40、40を支持固定している。これら各ガイドブロック40、40の内側面には、それぞれ前記環状ローラ5a及び前記太陽ローラ4aの径方向に長いガイド長孔41、41を形成している。一方、前記各自転軸20、20の端部には、それぞれ単列深溝型の玉軸受42、42を、それぞれの内輪をこれら各自転軸20、20の端部に締り嵌めで外嵌する事により支持している。又、前記各玉軸受42、42を構成する外輪を、前記各ガイド長孔41、41に、隙間嵌で嵌合させている。これら各外輪の外径は、これら各ガイド長孔41、41の幅寸法よりも僅かに(例えば十数μm〜数十μm)小さい。従って、前記各自転軸20、20は前記支持フレーム38に対し、円周方向に関するがたつきが殆どない状態で、前記環状ローラ5a及び前記太陽ローラ4aの径方向に関する若干の変位を可能に支持されている。尚、前記各中間ローラ19、19の外周面は、軸方向中間部を単なる円筒面とし、両側部分を、前記両太陽ローラ素子8c、8cの外周面と同方向に同一角度傾斜した、部分円すい凸面状の傾斜面としている。従って、前記各ローラ4a、5a、19の周面同士は互いに線接触し、前記各トラクション部の接触面積を確保できる。
上述の様に構成する本例の摩擦ローラ式減速機1aは、次の様に作用して、前記入力軸2aから前記出力軸3aに動力を、減速すると同時にトルクを増大させつつ伝達する。
即ち、電動モータにより前記入力軸2aを回転駆動すると、この入力軸2aに外嵌した前記両カム板15a、15aが回転し、前記両太陽ローラ素子8c、8cが、前記各玉16、16と前記各カム面17、18との係合に基づき、互いに近づく方向に押圧されつつ、前記入力軸2aと同方向に同じ速度で回転する。そして、前記両太陽ローラ素子8c、8cにより構成される前記太陽ローラ4aの回転が、前記各中間ローラ19、19を介して前記環状ローラ5aに伝わり、前記出力軸3aから取り出される。前記摩擦ローラ式減速機1aの運転時に、前記ハウジング21内には、トラクションオイルを循環させる。従って、前記各ローラ4a、19、5aの周面同士の転がり接触部(トラクション部)には、トラクションオイルの薄膜が存在する状態となる。又、これら各トラクション部の面圧は、前記各圧縮コイルばね34、34の弾力に基づいて発生するカム部押圧力に基づいて、前記摩擦ローラ式減速機1aの起動の瞬間から或る程度確保される。従って、この起動の瞬間から、前記各トラクション部で過大な滑りを発生させる事なく、動力伝達が開始される。
前記入力軸2aに加わるトルクが増大すると、前記両ローディングカム装置7a、7aを構成する前記各玉16、16の、前記各カム面17、18への乗り上げ量が増大し、これら両ローディングカム装置7a、7aの軸方向厚さがより一層増大する。この結果、前記各トラクション部の面圧がより一層増大し、これら各トラクション部で、過大な滑りを発生する事なく、大きなトルクの伝達が行われる。これら各トラクション部の面圧は、前記入力軸2aと前記出力軸3aとの間で伝達すべきトルクに応じた適正な値、具体的には必要最小限の値に適切な安全率を乗じた値に、自動的に調整される。この結果、前記両軸2a、3a同士の間で伝達されるトルクの変動に拘らず、前記各トラクション部で過大な滑りが発生したり、逆に、これら各トラクション部の転がり抵抗が徒に大きくなる事を防止できて、前記摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率を良好にできる。
又、上述の様に、前記各トラクション部の面圧を上昇させる過程で、前記各中間ローラ19、19が、前記環状ローラ5a及び前記太陽ローラ4aの径方向外方に、僅かに(例えば数百μm程度)変位する。例えば、図4の(A)に示す様に、前記各玉16、16が前記各カム面17、18の底部若しくは底部近傍部分に存在して、前記両ローディングカム装置7a、7aの軸方向厚さが最も小さくなった状態から前記摩擦ローラ式減速機1aが起動すると、前記各玉16、16と前記各カム面17、18との係合に基づき、図4の(B)に示す様に、前記両ローディングカム装置7a、7aの軸方向厚さが増大する。そして、前記両太陽ローラ素子8c、8cが、前記摩擦ローラ式減速機1aの径方向に関して、前記各中間ローラ19の内側に食い込み、これら各中間ローラ19を、この径方向に関して外方に押す。本例の場合、前述の図1、7に示す様に、これら各中間ローラ19、19の両端部を支持する各玉軸受42、42の外輪が前記各ガイド長孔41、41の内側面と転がり接触している為、前記各中間ローラ19、19が前記径方向外方に、円滑に変位する。そして、前記各トラクション部の面圧が不均一になる事を防止する。本例の構造は、この面からも、これら各トラクション部の面圧を適正にして、前記摩擦ローラ式減速機1aの伝達効率を良好にできる。
更に、本例の構造の場合には、前記両軸2a、3aの回転方向に拘らず、前記摩擦ローラ式減速機1aの起動時の特性を同じにできる。この理由に就いて、図5を参照しつつ説明する。前述の様に、前記両ローディングカム装置7a、7a同士の間で、前記各圧縮コイルばね34、34が前記両太陽ローラ素子8c、8cを押圧する方向は、互いに逆である。そして、前記被駆動側、駆動側各カム面17、18と前記各玉16、16との係合状態が、図5に示す様に、前記両カム板15a、15aの回転方向に関して、互いに逆になる。即ち、前記両ローディングカム装置7a、7aを構成する、前記各玉16、16と前記各カム面17、18との位置関係は、両回転方向に関して互いに対称となる。この為、前記両軸2a、3aが何れの方向に回転する場合でも、前記摩擦ローラ式減速機1aの起動時の特性を同じにできる。尚、この起動の際、前記両太陽ローラ素子8c、8cにより構成される前記太陽ローラ4aは軸方向に僅かに変位し、これに伴ってこの太陽ローラ4aの外周面と転がり接触した前記各中間ローラ19、19も軸方向に僅かに変位する。本例の場合、これら各中間ローラ19、19の外周面と転がり接触する、前記環状ローラ5aの内周面は、軸方向に関して内径が変化しない、単なる円筒面である。又、前記各玉軸受42、42を係合させた、前記各ガイド長孔41、41は、前記軸方向変位を許容可能な程度の深さを有する。従って、前記各中間ローラ19、19の軸方向変位は円滑に行われ、これら各中間ローラ19、19の自転軸20、20が傾斜したりする事はない。
又、本例の場合には、前記両ローディングカム装置7a、7aを構成する太陽ローラ素子8c、8cとカム板15a、15aとを回転方向に相対変位させる事で、前記各トラクション部に与圧を付与している。この為、前記両ローディングカム装置7a、7aの効率が良く、ストローク確保も容易で、しかも、耐久性を十分に確保し易い。この理由は、本例の構造の場合には、前記各圧縮コイルばね34、34により前記両太陽ローラ素子8c、8cと前記両カム板15a、15aとを回転方向に相対変位させ、前記各カム面17、18同士の間で前記各玉16、16を押圧して、前記両ローディングカム装置7a、7aにカム部押圧力を発生させている為である。即ち、前記各圧縮コイルばね34、34により前記両ローディングカム装置7a、7aに、前記入力軸2aにトルクが入力された場合とほぼ同様の挙動により、前記カム部押圧力を発生させる。そして、前記入力軸2aにトルクが入力された後も、前記各圧縮コイルばね34、34が前記両太陽ローラ素子8c、8cと前記両カム板15a、15aとを押圧し続ける。
従って、前記各圧縮コイルばね34、34により前記太陽ローラ素子8cと前記カム板15aとを回転方向に相対変位させる方向と、トルク伝達に伴ってこれら両部材8c、15a同士が相対変位する方向とが一致するローディングカム装置7aに関する限り、前記摩擦ローラ式減速機1aが運転されている間中、前記各圧縮コイルばね34、34の弾力が、前記両ローディングカム装置7a、7a全体として発生する総合押圧力を大きくする事に寄与する。前述の図22に示した従来構造の様に、ローディングカム装置7部分で発生するカム部押圧力が大きくなった状態で、皿ばね14の弾力が総合押圧力の増大に寄与しなくなる事はない。但し、本例の構造の場合には、前記両太陽ローラ素子8c、8cとして同じ形状のものを使用し、これら両太陽ローラ素子8c、8cを、軸方向に関して互いに逆向きに配置している。従って、入力軸2aの回転方向に関して、前記各圧縮コイルばね34、34により一方の太陽ローラ素子8cが押圧される方向と、同じく他方の太陽ローラ素子8cが押圧される方向とは、互いに逆である。この為、前記各圧縮コイルばね34、34は、前記各トラクション部に予圧を付与する機能は果たすが、前記各玉16、16が前記各カム面17、18に乗り上げる事に伴って発生するカム部押圧力を補助する(前記各圧縮コイルばね34、34の弾力分だけ大きくする)機能は持たない。即ち、一方の太陽ローラ素子8c側の各圧縮コイルばね34、34の弾力が前記カム部押圧力に足されるのに対して、他方の太陽ローラ素子8c側の各圧縮コイルばね34、34の弾力は、前記カム部押圧力から引かれる。この様な、これら各圧縮コイルばね34、34の弾力に基づく押圧力の増加分と減少分とは、互いにほぼ等しくなる。従って、前記カム部押圧力がこの弾力に基づく押圧力を上回った後には、前記両ローディングカム装置7a、7aが発生する押圧力の和は、これら両ローディングカム装置7a、7aが発生するカム部押圧力の和になる。
要するに、本例の構造の場合には、前記両ローディングカム装置7a、7aが発生する押圧力は、入力軸2aに加えられるトルクの大きさに応じて総合押圧力が図6に破線αで示す様に変化する。この図6の破線αから明らかな通り、本例の構造によれば、カム部押圧力が大きくなった状態では、前記各圧縮コイルばね34、34の弾力を前記総合押圧力の増大に利用する事はできないが、トルク伝達方向に拘らず、この総合押圧力の大きさを適正にできる。言い換えれば、前記両ローディングカム装置7a、7aが押圧力を発生する特性を、トルクの伝達方向に関して対称にできる。電気自動車の駆動系に組み込む摩擦ローラ式減速機の場合、例えば加速時と減速時とで、トルクを逆方向に伝達する必要がある。この面から、前記図6に破線αで示した特性は好ましい。
これに対して、前記各圧縮コイルばね34、34の弾性を、前記両ローディングカム装置7a、7aが発生する押圧力上昇に利用する、即ち、前記各圧縮コイルばね34、34の弾力を前記総合押圧力の増大に利用するには、前記両ローディングカム装置7a、7a同士の間で、前記各幅広部31、31と前記各幅狭部32、32との円周方向に関する配列方向を同じとする(請求項4に記載した発明)。この場合には、前記各圧縮コイルばね34、34が前記両太陽ローラ素子8c、8cを押圧する方向と、前記入力軸2aの回転方向とを、互いに逆向きにする。勿論、1対の太陽ローラ素子8c、8cとして、形状が異なるものを使用する。この様な構造を採用した場合には、前記両ローディングカム装置7a、7aが発生する押圧力の和が、図6に実線βで示す様に変化する。この為、例えば必要とする総合押圧力が同じであると仮定した場合に、前記各カム面17、18の傾斜角度を大きくする事で、所定の総合押圧力を得るまでに、前記両太陽ローラ素子8c、8cと前記両カム板15a、15aとが周方向に相対変位する角度を小さく抑えられる。この相対変位角度を小さく抑えられる事は、前記摩擦ロータ式減速機1aの応答性(前記入力軸2aと前記出力軸3aとの回転同期性)の向上に寄与する。但し、この様な構造を採用した場合には、摩擦ローラ式減速機1aを、常に前記入力軸2aから前記太陽ローラ4aにトルクが伝達される状態で使用する事が好ましい。この理由は、制動時等、この太陽ローラ4aの側から前記入力軸2aの側にトルクを伝達する際に、一時的に総合押圧力が不足する可能性がある為である。
又、耐久性の確保は、前記摩擦ローラ式減速機1aの運転状態の如何に拘らず、前記各圧縮コイルばね34、34に無理な力が加わらない様にする事により図れる。即ち、これら各圧縮コイルばね34、34の全長は、前記入力軸2aに加わるトルクの変動に拘らず、或る程度確保されて、潰し切られる事はないし、引き伸ばされる事もない。従って、使用状態の全範囲に関し、前記各圧縮コイルばね34、34に無理な力が加わる事はないので、長期間に亙る使用に拘らず、これら各圧縮コイルばね34、34の弾性が低下する(へたる)事はなく、前記耐久性の確保を図れる。
[実施の形態の第2例]
図8〜13は、請求項1、2、5、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴は、上述した実施の形態の第1例の構造のうちで、ローディングカム装置部分の構造を改良して、製造コストの低減を図る点にある。改良点は、次の(1)〜(3)である。
(1) 圧縮コイルばね34aを収納する為、太陽ローラ素子8eに設けた凹部30a、30aの形状を工夫して、これら各凹部30a、30aの加工を容易にする。
(2) 前記圧縮コイルばね34aの弾力を受ける為の構造として、カム板15bにそれぞれが円柱状である複数本の受ピン52、52をねじ止め固定し、この弾力を受ける為の構造の加工を容易にする。
(3) 前記遊星ローラ素子8eと前記カム板15bとを組み合わせる際に、回転方向の位相を合わせ易くする為の目印62、62を、これら両部材8e、15bに設ける。
以下、これらの改良点に就いて、順番に説明する。
前記太陽ローラ素子8eの基端面である、鍔部29aの片側面の径方向内寄り部分の3箇所位置に被駆動側カム面17、17を、同じく径方向外寄り部分の3箇所位置に前記各凹部30a、30aを、それぞれ円周方向に関して等間隔に(等ピッチで)設けている。本例の場合、これら各凹部30a、30aの設置位置と前記各被駆動側カム面17、17との設置位置を、円周方向に関して半ピッチ分ずらせている。前記各凹部30a、30aを前記太陽ローラ素子8eの軸方向から見た形状は、それぞれの両端部が半円形で中間部が直線状で且つ幅寸法が一定の、円周方向に長い長円形である。
前記各凹部30a、30a内には、それぞれ圧縮コイルばね34aと、ばね座ブラケット53と、押圧ブラケット54とを収納している。このうちのばね座ブラケット53は、前記凹部30aの端部の形状に合わせて、外端部外周面形状を半円形とした基部55と、この基部55の内端面中央部に突設された、前記圧縮コイルばね34aに内嵌可能な円柱状の係止突部56とから成る。又、前記押圧ブラケット54は、同じく円柱状の係止突部57の先端部に、前記圧縮コイルばね34aの内径よりも大径で外向フランジ状の鍔部58を形成して成る。
上述の様な各部材34a、53、54は、図10の(A)→(B)に示す様に、両ブラケット53、54の係止突部56、57を前記圧縮コイルばね34aの両端開口に内嵌し、前記基部55と前記鍔部58とによりこの圧縮コイルばね34aを軸方向両端部から挟持する状態に組み合わせる。そして、図10の(B)→図11に示す様に、前記各部材34a、53、54を前記各凹部30a、30a内に組み込む。即ち、このうちのばね座ブラケット53の基部55をこれら各凹部30a、30aの長さ方向一端部に嵌合させると共に、前記押圧ブラケット54をこれら各凹部30a、30aの長さ方向中間部の他端寄り部分に配置する。
一方、前記カム板15bの軸方向両側面のうち、前記鍔部58と対向する片側面に、円柱状の受ピン52、52をねじ止め固定している。この為に、前記カム板15bの一部(円周方向等間隔3箇所位置)で、ローディングカム装置を組み立てた状態で前記各凹部30a、30aと対向する部分に、それぞれねじ孔59、59を形成している。本例の場合、前記カム板15bの片側面に円すい台状の凸部60、60を形成し、これら各凸部60、60の頂部中央に、それぞれ前記各ねじ孔59、59を開口させている。前記各受ピン52、52は、円柱状の主部の基端面に、この主部よりも小径の雄ねじ部を形成して成る。このうちの主部の外径は、前記各凹部30a、30aの幅寸法よりも十分に小さくして、前記太陽ローラ素子8eと前記カム板15bとの、回転方向に関する相対変位を許容できる様に(前記各凹部30a、30a内での前記各受ピン52、52の円弧運動が可能な様に)している。それぞれが上述の様な構造を有するこれら各受ピン52、52は、前記雄ねじ部を前記各ねじ孔59、59に螺合し更に締め付ける事により、これら各受ピン52、52を前記カム板15bに対し結合固定している。尚、図示の例の場合、円周方向に関して駆動側カム面18、18同士の間に別のねじ孔61、61を、前記カム板15bを貫通する状態で形成している。これら各ねじ孔61、61は、このカム板15bを、入力軸に固設した外向フランジ部等、この入力軸と共に回転する部分に結合固定する為に利用する。
前述の様な太陽ローラ素子8eと、上述の様なカム板15bとは、太陽ローラ素子8e側に形成した被駆動側カム面17、17とカム板15b側に形成した駆動側カム面18、18との間に、それぞれ玉16、16を挟持した状態に組み合わせる。そして、この状態で、前記各受ピン52、52を前記各凹部30a、30a内に進入させると共に、これら各受ピン52、52により前記各押圧ブラケット54、54を押圧して、前記各圧縮コイルばね34a、34aを弾性的に圧縮する。尚、この際に行う、前記太陽ローラ素子8eと前記カム板15bとの位相合わせを容易に行える様にすべく、これら両部材8e、15bの外周面等、目視し易い部分に目印62、62を設ける事が好ましい。これら両目印62、62としては、凹部又は凸部、ペンキ、油性ペンによるマーク等、完成後の摩擦ローラ式減速機の機能を損なわない限り、任意のものが使用できる。
上述の様な本例の構造によれば、前記各凹部30a、30aの加工を容易にして、ローディングカム装置を含む、摩擦ローラ式減速機の製造コストの低減を図れる。この製造コスト低減を図れる点に就いて、図12を参照しつつ説明する。前述の図2に示した第1例の構造に関して、幅広部31と幅狭部32とを備えた凹部30を形成する為には、外径の小さなエンドミルを、図12の(B)に矢印で示す様に方向を変えつつ移動させてから、内側を削り取る必要がある。この様な加工は面倒で加工時間を要し、コストが嵩む事が避けられない。これに対して本例の構造の場合には、前記各凹部30a、30aの幅寸法に一致する外径を有するエンドミルを、図12の(A)に矢印で示す様に直線的に移動させるのみで済む。この為、前記各凹部30a、30aの加工が容易で、前記製造コストを低く抑えられる。又、前記各圧縮コイルばね34a、34aの弾力を受ける前記各受ピン52、52に関しても、前記カム板15bの片側面に容易に固設できて、前記製造コストを、より低く抑えられる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図14〜17は、請求項1、2、6〜8に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の摩擦ローラ式減速機1dの場合も、上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、1対の太陽ローラ素子8f、8fの基端面である、鍔部29b、29bの片側面の径方向内寄り部分の3箇所位置に被駆動側カム面17、17を、同じく径方向外寄り部分の3箇所位置に凹部30b、30bを、それぞれ円周方向に関して等間隔に設けている。又、これら各凹部30b、30bの形状を、幅寸法が一定の長円形としている。以上の点は、前記実施の形態の第2例の場合と同様である。
特に、本例の場合には、前記各凹部30b、30bの長さ方向一端部と前記両鍔部29b、29bの外周面との間に、ねじ孔を形成している。即ち、前記両太陽ローラ素子8f、8f毎に3箇所ずつ設けた、前記各凹部30b、30bの長さ方向両端部のうち、これら両太陽ローラ素子8f、8fの周方向に関して同じ側の端部内側と前記両鍔部29b、29bの外周面とを、前記各ねじ孔により貫通させている。そして、前記各凹部30b、30b内にそれぞれ圧縮コイルばね34b、34bを、前記各ねじ孔を通じて挿入している。これら各ねじ孔は、これら各圧縮コイルばね34b、34bを挿通後、ばね受ねじ63、63により塞いでいる。従って、これら各圧縮コイルばね34b、34bの外径は、前記各ねじ孔の内径よりも小さい。又、図示の例では、これら各圧縮コイルばね34b、34bの基端部にアンカブロック64、64を装着し、これら各アンカブロック64、64の基端面を、前記各ばね受ねじ63、63の内端面に突き当てている。
一方、前記両太陽ローラ素子8f、8fと共にローディングカム装置7a、7aを構成する1対のカム板15b、15bの内側面には、それぞれ前記実施の形態の第2例の場合と同様の受ピン52、52を設けている。そして、これら各受ピン52、52の外周面と前記各ばね受ねじ63、63との間で前記各圧縮コイルばね34b、34bを、それぞれ圧縮した状態で挟持している、
この様な本例の構造の場合には、前記各受ピン52、52を前記各凹部30b、30b内に挿入後、これら各凹部30b、30b内に前記各圧縮コイルばね34b、34bを組み付けられる。即ち、前記両ローディングカム装置7a、7aの組立時には、前記両太陽ローラ素子8f、8fと前記両カム板15b、15bとを組み合わせた後、前記各圧縮コイルばね34b、34bを組み付ける。従って、これら各圧縮コイルばね34b、34bとして十分なストローク(自由状態での全長)を有するものを使用しても、前記各受ピン52、52を前記各凹部30b、30b内に挿入する作業を容易に行える。
又、本例の場合には、入力軸2dの先端部を、出力軸3bの基端面中央部に形成した円形凹部27aの内側に、ラジアルニードル軸受65により支持している。即ち、前述の実施の形態の第1例に組み込んだ玉軸受28(図1参照)に代えて、前記ラジアルニードル軸受65を設けている。そして、前記入力軸2dと前記出力軸3bとの組み合わせ部に繰り返し加わるラジアル荷重に対する負荷容量を高め、この組み合わせ部の耐久性向上を図っている。尚、前記摩擦ローラ式減速機1dの運転時に、前記入力軸2dと前記出力軸3bとは、非常に高速で相対回転する。例えば、この入力軸2dが4万min-1で回転し、前記摩擦ローラ式減速機1dの減速比が4であるとした場合、前記出力軸3bは、1万min-1で、前記入力軸2dとは逆方向に回転する。その結果、これら入力軸2dと出力軸3bとは、5万min-1で相対回転する。
この様に、前記ラジアルニードル軸受65は、非常に厳しい条件で運転されるので、運転時には十分な潤滑剤(トラクションオイル)を供給する事が重要になる。この様な事情に対応して本例の場合には、前記出力軸3bの内部に設けた上流側潤滑油流路66から、前記入力軸2dの内部に設けた下流側潤滑油流路67に送り込むトラクションオイルの一部を、前記ラジアルニードル軸受65に送り込む(分流する)様にしている。
その他の部分の構成及び作用は、本発明の要点に関する限り、基本的には、前述した実施の形態の第1〜2例の何れかと同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図18は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、ローディングカム装置7aを、太陽ローラ4bの軸方向片側にのみ設けている。この為に、この太陽ローラ4bを構成する1対の太陽ローラ素子8c、8dのうちの一方(図18の右方)の太陽ローラ素子8cのみを、入力軸2bに対し相対回転を可能に支持し、他方(図18の左方)の太陽ローラ素子8dは、この入力軸2bに対し支持固定している。この様な本例の場合、摩擦ローラ式減速機の起動時の特性が、この入力軸2bの回転方向により変わる事が避けられない代わりに、軸方向寸法の短縮化を図れる。又、前記入力軸2bのトルク伝達方向が一定であれば、予圧ばねの弾力の有効利用を図れる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1〜3例の何れかと同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第5例]
図19は、請求項1〜9に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、摩擦ローラ式減速機1bの入力軸2cを、電動モータ43の出力軸44自体としている。即ち、これら入力軸2cと出力軸44とを、互いに同心に、且つ一体に構成している。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜4例の何れかと同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第6例]
図20は、請求項10に対応する、本発明の実施の形態の第6例として、摩擦ローラ式減速機を組み込んだ、電気自動車用駆動装置を示している。この電気自動車用駆動装置は、電動モータ43aと、摩擦ローラ式減速機1cと、変速装置45と、回転伝達装置46とを備える。この摩擦ローラ式減速機1cに関しては、例えば、前述の図1に示した第1例と同様の構造のものを使用し、この摩擦ローラ式減速機1cの入力軸2aと、前記電動モータ43aの出力軸44aとを互いに同心に配置して、トルクの伝達を可能に接続する。又、前記摩擦ローラ式減速機1cの出力軸(図示省略)を、前記変速装置45の入力側伝達軸47と同心に配置して、トルク伝達可能に接続する。
本例の場合に前記変速装置45は、前記入力側伝達軸47と出力側伝達軸48との間に、減速比が互いに異なる、1対の歯車伝達機構49a、49bを設けて成る。そして、1対のクラッチ機構50a、50bの切り換えにより、何れか一方の歯車伝達機構49a(49b)のみを、動力の伝達を可能な状態として、前記入力側伝達軸47と前記出力側伝達軸48との間の減速比を、高低の2段階に変換可能としている。
更に、前記回転伝達装置46は、複数の歯車を組み合わせた、一般的な歯車伝達機構であり、前記出力側伝達軸48の回転をデファレンシャルギヤ51の入力部に伝達し、左右1対の駆動輪を回転駆動する様に構成している。
上述の様な本例の電気自動車用駆動装置の構造によれば、電気エネルギの効率的利用の為、前記電動モータ43aとして、小型且つ高回転型(例えば最高回転速度が3〜4万min-1程度)のものを使用しても、運転時の振動及び騒音を抑えられる。即ち、第一段の減速機として、前記摩擦ローラ式減速機1cを使用しているので、高速回転部分での振動の発生を抑えられる。それぞれが歯車伝達機構である、前記変速装置45及び回転伝達装置46の回転速度は、一般的なガソリンエンジンを搭載した自動車の変速装置部分の運転速度と同程度(最高で数千〜1万min-1程度)に抑えられるので、何れの部分でも、不快な振動や騒音が発生する事はない。
更に本例の場合には、前記変速装置45を設ける事で、車両の走行速度と加速度との関係を、ガソリンエンジンを搭載した自動車に近い、滑らかなものにできる。この点に就いて、図21を参照しつつ説明する。例えば、前記電動モータ43aの出力軸44aと前記デファレンシャルギヤ51の入力部との間部分に、減速比の大きな動力伝達装置を設けた場合、電気自動車の加速度(G)と走行速度(km/h)との関係は、図21の実線aの左半部と鎖線bとを連続させた様になる。即ち、低速時の加速性能は優れているが、高速走行ができなくなる。これに対して、前記間部分に減速比の小さな動力伝達装置を設けた場合、前記関係は、図21の鎖線cと実線aの右半部とを連続させた様になる。即ち、高速走行は可能になるが、低速時の加速性能が損なわれる。これに対して、本例の様に前記変速装置45を設け、車速に応じてこの変速装置45の減速比を変えれば、前記実線aの左半部と右半部とを連続させた如き特性を得られる。この特性は、図21に破線dで示した、同程度の出力を有するガソリンエンジン車とほぼ同等であり、加速性能及び高速性能に関して、ガソリンエンジン車と同等の性能を得られる事が分かる。
本発明を実施する場合に、凹部を形成する面と、受板部を突設する面とを、図示の例とは逆にする事もできる。即ち、太陽ローラ素子の基端面側に受板部又は受ピンを突設し、カム板の片側面側に凹部を形成して、この凹部内に圧縮コイルばねを設置する事もできる。或いは、予圧付与の為の弾性部材として、圧縮コイルばね以外のものを使用する事もできる。例えば、太陽ローラ素子の基端面とカム板の片側面とに突設した係止ピンに、引っ張りばねの両端部を係止する事もできる。又は、太陽ローラ素子の基端面とカム板の片側面とに形成した係止孔に、捩りコイルばねの両端部を係止する事もできる。要は、カム板を外嵌固定した入力軸が停止している状態で、このカム板と前記太陽ローラ素子とを円周方向に関して相対変位させる方向の弾力を付与できるものであれば良い。
又、本発明の特徴は、太陽ローラを構成する1対の太陽ローラ素子を互いに近づく方向に押圧しつつ、入力軸の回転に伴って前記太陽ローラを回転駆動する、ローディングカム装置の構造にある。この太陽ローラを前記入力軸と共に回転させる事は必須であるが、出力軸と共に回転するローラは、必ずしも環状ローラである必要はない。即ち、前述の図21に示した様な、遊星ローラ式の摩擦ローラ式減速機で、本発明を実施する事もできる。この場合には、各中間ローラを、太陽ローラの周囲で自転しつつ公転する遊星ローラとし、これら各遊星ローラを支持しているキャリアに、出力軸の基端部を、トルクの伝達を可能に結合する。
更に、本発明のうちの電気自動車用駆動装置に関する発明を実施する場合に、摩擦ローラ式減速機と回転伝達装置との間に組み込む変速装置の種類は問わない。図示の構造の他に、遊星歯車式の変速装置を採用する事もできる。更には、ベルト式若しくはトロイダル式の無段変速装置を採用する事もできる。無段変速装置を採用すれば、前述の図21に示した様な、車両の走行速度と加速度との関係を、より理想に近い、滑らかなものにできる。
1、1a、1b、1c、1d 摩擦ローラ式減速機
2、2a、2b、2c、2d 入力軸
3、3a、3b 出力軸
4、4a、4b 太陽ローラ
5、5a 環状ローラ
6 遊星ローラ
7、7a ローディングカム装置
8a、8b、8c、8d、8e、8f 太陽ローラ素子
9、9a 環状空間
10 遊星軸
11 キャリア
12 止め輪
13 支え環
14 皿ばね
15、15a、15b カム板
16 玉
17 被駆動側カム面
18 駆動側カム面
19 中間ローラ
20 自転軸
21 ハウジング
22 入力側小径円筒部
23 多列玉軸受ユニット
24 出力側小径円筒部
25 複列玉軸受ユニット
26 ラビリンスシール
27、27a 円形凹部
28 玉軸受
29、29a、29b 鍔部
30、30a、30b 凹部
31 幅広部
32 幅狭部
33 受板部
34、34a、34b 圧縮コイルばね
35 大径円筒部
36 連結部
37 端板
38 支持フレーム
39 支持板
40 ガイドブロック
41 ガイド長孔
42 玉軸受
43、43a 電動モータ
44、44a 出力軸
45 変速装置
46 回転伝達装置
47 入力側伝達軸
48 出力側伝達軸
49a、49b 歯車伝達機構
50a、50b クラッチ機構
51 デファレンシャルギヤ
52 受ピン
53 ばね座ブラケット
54 押圧ブラケット
55 基部
56 係止突部
57 係止突部
58 鍔部
59 ねじ孔
60 凸部
61 ねじ孔
62 目印
63 ばね受ねじ
64 アンカブロック
65 ラジアルニードル軸受
66 上流側潤滑油流路
67 下流側潤滑油流路

Claims (10)

  1. 入力軸と、出力軸と、太陽ローラと、環状ローラと、複数個の中間ローラと、ローディングカム装置とを備え、
    このうちの太陽ローラは、軸方向に分割された1対の太陽ローラ素子を前記入力軸の周囲に、互いの先端面同士の間に隙間を介在させた状態で互いに同心に配置して成るもので、前記両太陽ローラ素子の外周面は、それぞれの先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面であって、これら両傾斜面を転がり接触面としており、
    前記環状ローラは、前記太陽ローラの周囲にこの太陽ローラと同心に配置されたもので、内周面を転がり接触面としており、
    前記各中間ローラは、前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面との間の環状空間の円周方向複数箇所に、それぞれが前記入力軸と平行に配置された自転軸を中心とする回転自在に支持された状態で、それぞれの外周面を前記太陽ローラの外周面と前記環状ローラの内周面とに転がり接触させており、
    前記ローディングカム装置は、前記両太陽ローラ素子のうちの少なくとも一方の太陽ローラ素子であり、前記入力軸に対する相対回転を可能とされた可動太陽ローラ素子とこの入力軸との間に設けられて、この入力軸の回転に伴ってこの可動太陽ローラ素子を相手方の太陽ローラ素子に向けて軸方向に押圧しつつ回転させるものであって、この可動太陽ローラ素子の基端面の円周方向複数箇所に設けられた被駆動側カム面と、前記入力軸の一部に固定されてこの入力軸と共に回転するカム板のうちで前記可動太陽ローラ素子の基端面に対向する片側面の円周方向複数箇所に設けられた駆動側カム面との間に転動体を挟持して成るもので、これら各駆動側カム面及び前記各被駆動側カム面はそれぞれ、軸方向に関する深さが円周方向に関して漸次変化して端部に向かうに従って浅くなる形状を有するものであり、
    前記環状ローラと前記各自転軸を支持した部材とのうちの一方の部材を、前記太陽ローラを中心とする回転を阻止した状態とし、他方の部材を前記出力軸に結合して、この他方の部材によりこの出力軸を回転駆動自在とした摩擦ローラ式減速機に於いて、
    前記ローディングカム装置を構成する、前記可動太陽ローラ素子と前記カム板との間に、これら可動太陽ローラ素子とカム板とを円周方向に相対変位させる方向の弾力を有する弾性部材を設け、前記入力軸にトルクが入力されない状態でも、前記各転動体を、前記各被駆動側カム面及び前記各駆動側カム面の浅い部分に向け変位させる事により、前記ローディングカム装置の軸方向寸法を増大させて、前記各ローラの周面同士の転がり接触部の面圧を確保する為の予圧を付与する事を特徴とする摩擦ローラ式減速機。
  2. 前記ローディングカム装置が、前記太陽ローラを軸方向両側から挟む2箇所位置に設けられており、一方のローディングカム装置に組み込んだ弾性部材が一方の可動太陽ローラ素子と一方のカム板とを円周方向に相対変位させる方向と、他方のローディングカム装置に組み込んだ弾性部材が他方の可動太陽ローラ素子と他方のカム板とを円周方向に相対変位させる方向とが互いに逆である、請求項1に記載した摩擦ローラ式減速機。
  3. 前記ローディングカム装置が、前記太陽ローラを軸方向両側から挟む2箇所位置に設けられており、一方のローディングカム装置に組み込んだ弾性部材が一方の可動太陽ローラ素子と一方のカム板とを円周方向に相対変位させる方向と、他方のローディングカム装置に組み込んだ弾性部材が他方の可動太陽ローラ素子と他方のカム板とを円周方向に相対変位させる方向とが互いに同じであり、常に前記入力軸から前記太陽ローラにトルクが伝達される状態で使用される、請求項1に記載した摩擦ローラ式減速機。
  4. 前記ローディングカム装置により軸方向に押圧される太陽ローラ素子の基端面とこの基端面に対向する前記カム板の片側面とのうちの一方の面の一部で、円周方向に関する位相が前記各被駆動側カム面又は前記各駆動側カム面同士の間部分となる円周方向複数箇所に、それぞれが径方向に関する幅寸法が大きな幅広部と、同方向に関する幅寸法が小さい幅狭部とを、円周方向に連続させた凹部を設けると共に、このうちの幅狭部に、それぞれが前記弾性部材である圧縮コイルばねを配置しており、前記基端面と前記片側面とのうちの他方の面の一部で、円周方向に関する位相が前記駆動側カム面又は前記各被駆動側カム面同士の間部分となる円周方向複数箇所に、前記凹部のうちの幅広部に進入可能な、軸方向に関する高さ寸法及び径方向に関する幅寸法を有する受板部を突設し、これら各受板部の片面と、前記各凹部の円周方向両内端面のうち、前記幅狭部側内端面との間で前記各圧縮コイルばねを、それぞれ圧縮した状態で挟持している、請求項1〜3のうちの何れか1項の記載した摩擦ローラ式減速機。
  5. 前記ローディングカム装置により軸方向に押圧される太陽ローラ素子の基端面とこの基端面に対向する前記カム板の片側面とのうちの一方の面の一部で、前記各被駆動側カム面又は前記各駆動側カム面よりも径方向外側部分となる円周方向複数箇所に、それぞれの両端部が半円形で中間部の幅寸法が一定であり、円周方向に長い凹部を設けると共に、これら各凹部内に、それぞれが前記弾性部材である圧縮コイルばねと、これら各圧縮コイルばねの基端部と前記各凹部の長さ方向一端部との間に挟持するばね座ブラケットとを配置しており、前記基端面と前記片側面とのうちの他方の面の一部で、前記駆動側カム面又は前記各被駆動側カム面よりも径方向外側となる円周方向複数箇所に、前記凹部に進入可能な、軸方向に関する高さ寸法及び径方向に関する幅寸法を有する受ピンを突設し、これら各受ピンの外周面と前記各ばね座ブラケットとの間で前記各圧縮コイルばねを、それぞれ圧縮した状態で挟持している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  6. 前記ローディングカム装置により軸方向に押圧される太陽ローラ素子の基端面とこの基端面に対向する前記カム板の片側面とのうちの一方の面の一部で、前記各被駆動側カム面又は前記各駆動側カム面よりも径方向外側部分となる円周方向複数箇所に、それぞれの両端部が半円形で中間部の幅寸法が一定であり、円周方向に長い凹部を設けると共に、これら各凹部の長さ方向一端部とこれら各凹部を形成した部材の外周面との間にねじ孔を形成し、それぞれが前記弾性部材であって、前記各凹部内に設置された、これら各ねじ孔の内径よりも小さい外径を有する複数の圧縮コイルばねの基端部を、前記各ねじ孔に螺着したばね受ねじに突き当てており、前記基端面と前記片側面とのうちの他方の面の一部で、前記駆動側カム面又は前記各被駆動側カム面よりも径方向外側となる円周方向複数箇所に、前記凹部に進入可能な、軸方向に関する高さ寸法及び径方向に関する幅寸法を有する受ピンを突設し、これら各受ピンの外周面と前記各ばね受ねじとの間で前記各圧縮コイルばねを、それぞれ圧縮した状態で挟持している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  7. 前記両太陽ローラ素子の基端部外周面に、それぞれ前記各中間ローラの外周面と転がり接触する傾斜面部分よりも外径が大きくなった外向フランジ状の鍔部が設けられており、前記各被駆動側カム面が、この鍔部の基端面に設けられている、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  8. 前記両太陽ローラ素子の外周面のうちで前記各中間ローラの外周面と転がり接触する部分が、先端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい凸面状の傾斜面であり、前記各中間ローラの外周面が、軸方向中間部に存在する、外径が軸方向に関して一定である円筒状凸面と、軸方向両端寄り部分に存在する、軸方向両端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した、それぞれが部分円すい凸面状である1対の傾斜面とを備えた複合曲面であり、前記環状ローラの内周面が、内径が軸方向に関して一定の円筒状凹面である、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  9. 入力軸が電動モータの出力軸自体である、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機。
  10. 電動モータと、この電動モータの出力軸と共に回転する入力軸を有する摩擦ローラ式減速機と、この摩擦ローラ式減速機の出力軸により回転駆動される入力側伝達軸と出力側伝達軸とを有し、これら入力側伝達軸と出力側伝達軸との間の減速比を、少なくとも高低の2段階に変換可能な変速装置と、この変速装置の出力側伝達軸の回転を駆動輪に伝達する為の回転伝達装置とを備えた電気自動車用駆動装置に於いて、前記摩擦ローラ式減速機が、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載した摩擦ローラ式減速機である事を特徴とする電気自動車用駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018110197A1 (ja) * 2016-12-14 2018-06-21 Ntn株式会社 駆動モジュール
US10167932B2 (en) 2014-09-26 2019-01-01 Nsk Ltd. Loading cam device and friction roller-type speed reducer

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