JP5687977B2 - 車両用無段変速機 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、入出力トルクの変動に対して適正なカム推力を発生させて車両用無段変速機の伝達効率を向上できるようにすることを目的とする。
この構成によれば、両調圧カムの動作に対する遠心力の影響が低減され、車両の加減速に伴うトルクの変動に対して、適正なカム推力を発生させることができるため、ドライブ側伝達部材及びドリブン側伝達部材と遊星回転部材との間の摩擦力が適正になり、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。また、調圧カムの作動時に、ボールがR溝に沿うように滑らかに移動することになる。これにより、ボールの挙動及び調圧カムが発生させる推力の変化が滑らかになるため、調圧カムの急な動作に起因するトルクの変動を低減でき、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。さらに、ドライブ側におけるドライブフェース側のカム溝をR溝とし、高速回転する部材の入力側がR溝であるため、ボールの振動に起因するトルク変動を効果的に低減でき、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
この場合、ボールをガイドするリテイナーによってボールの動きが安定し、トルクの変動が低減されるため、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
この場合、ドライブ側及びドリブン側の両方に調圧カムが設けられたことにより、部品を組み立てた際の寸法のバラツキが生じ易くなるが、回転軸に対して両フェース間の間隔がシムにより調整され、軸方向のガタをシムによって低減できるため、軸方向のガタによるトルクの変動を低減でき、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
また、前記調圧カム(63)には、潤滑オイル給油のための給油穴(44)が設けられる構成としても良い。
この場合、給油穴から給油される潤滑オイルによって調圧カムを効果的に潤滑できるため、適正なカム推力が得られ、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
この場合、ドリブン側の調圧カムの動きに対してドライブ側の調圧カムの動きが低下するように、ドリブン側の調圧カム及びドライブ側の調圧カムの回転力に対する摩擦力に差を設けたため、ドライブ側の調圧カムの動きを減衰できる。このため、入出力トルクの変動に対して適正なカム推力を発生させて車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
この場合、ドリブン側の調圧カムは転がりカムであり、ドライブ側の調圧カムは滑りカムであるため、ドライブ側の調圧カムの動きが低下するようにドリブン側の調圧カム及びドライブ側の調圧カムの回転力に対する摩擦力に差を設けることができる。このため、入出力トルクの変動に対して適正なカム推力を発生させて車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
さらに、ドライブ側の前記調圧カム(363)は、カム溝(383)をカム山(385)が滑る構造のカムであって、当該カム溝(383)の底部(383A)の曲率半径が当該カム山(385)の凸部(385A)の曲率半径に対して大きい構成であっても良い。
この場合、カム溝の底部の曲率半径がカム山の凸部の曲率半径に対して大きく、カム山がカム溝に対して滑らかに滑ることができるため、ドライブ側の調圧カムが安定して動作する。このため、入出力トルクの変動に対して適正なカム推力を発生させて車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
また、ドライブ側及びドリブン側の前記調圧カム(63,68,268,363)は、その回転半径を略等しくなるように配置される構成であっても良い。
また、調圧カムの作動時に、ボールがR溝に沿うように滑らかに移動するため、ボールの挙動及び調圧カムが発生させる推力の変化が滑らかになる。このため、調圧カムの急な動作に起因するトルクの変動を低減でき、車両用無段変速機の伝達効率を向上できる。
さらに、リテイナーによってボールの動きが安定し、トルクの変動が低減されるため、伝達効率を向上できる。
また、両フェース間の間隔がシムにより調整され、軸方向のガタをシムによって低減できるため、軸方向のガタによるトルクの変動を低減でき、伝達効率を向上できる。
また、給油穴から給油される潤滑オイルによって調圧カムを効果的に潤滑できるため、適正なカム推力が得られ、伝達効率を向上できる。
さらに、ドリブン側の調圧カムは転がりカムであり、ドライブ側の調圧カムは滑りカムであるため、ドライブ側の調圧カムの動きが低下するようにドリブン側の調圧カム及びドライブ側の調圧カムの回転力に対する摩擦力に差を設けることができる。
また、カム溝の底部の曲率半径がカム山の凸部の曲率半径に対して大きく、カム山がカム溝に対して滑らかに滑ることができるため、ドライブ側の調圧カムの動作が安定する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用無段変速機を備えたエンジンの断面図である。
図1に示すように、自動二輪車等の車両に搭載されるエンジン10は、クランクケース11を有し、クランクケース11内には、クランク軸12が収容されるクランク室13、及び、無段変速機50(車両用無段変速機)が収容される変速機室14が画成されている。クランク軸12は、クランク室13の左右の壁部にそれぞれ設けられたベアリング15に回転自在に軸支され、車幅方向に延びている。クランク軸12の一端側には発電機16が設けられ、クランク軸12の他端には自動遠心クラッチ17が設けられている。クランク軸12の中央部にはクランクウェブ18が設けられ、クランクウェブ18には、クランクピン19を介してコンロッド20が連結されている。
変速機軸51は、左右の側壁23A,23Bに設けられたボールベアリング24A,24Bを介して回転自在に支持され、変速機軸51における自動遠心クラッチ17側の端はケーシング23の外側まで延び、この端には、自動遠心クラッチ17の出力歯車17Bに常時噛み合う入力歯車25が固定されている。
図1〜図3に示すように、無段変速機50では、変速機軸51上で変速部52を操作することで、ロー変速比とトップ変速比との間で無段階に変速比を変更することができる。
変速機軸51は軸芯に中空部42を有し、中空部42には、オイルポンプ(不図示)から潤滑オイルが供給される。変速機軸51は、中空部42を外周面に連通させる油孔43を複数有し、油孔43を通った潤滑オイルは、無段変速機50の各部に供給される。
ドライブ側伝達部材53は単一の軸である変速機軸51に一体に設けられ、ドリブン側伝達部材54は、変速機軸51に軸支されてドライブ側伝達部材53に対して回転自在である。
変速機軸51において、入力歯車25側からドライブ側伝達部材53近傍までの部分は、クランク軸12から動力が入力される入力軸部51A(入力軸)として機能する。
変速機軸51において、ドリブン側伝達部材54側から側壁23Aまでの部分は、クランク軸12からの動力を被動歯車26Aを介して減速軸26に出力する出力軸部51B(出力軸)として機能する。
出力歯車部65は、従動回転部材64の基部69の外周面に沿うように基部69の外側を延びる押圧片73を有している。押圧片73の先端と円板部70との間には、従動回転部材64をドライブ側伝達部材53側に付勢する皿ばね74が介装されている。従動回転部材64は皿ばね74によって常にドライブ側伝達部材53側に押し付けられている。
ポンプ駆動歯車75とアンギュラーコンタクトベアリング67との間には、リング状のシム76が固定されている。シム76は、変速機軸51に嵌め込まれるコッタ(不図示)によって軸方向に固定されている。
また、第2キャリア半体78の後面には、変速機軸51の軸方向に延びる被動ねじ部78Aが設けられている。
第1キャリア半体77及び遊星支持軸57は、遊星支持軸57が隙間嵌合することで、遊星支持軸57が移動可能な調整機構を構成している。
支持孔55Cの両端部には、一対のニードルベアリング82,82が設けられ、駆動回転部材61はニードルベアリング82,82を介して遊星支持軸57に相対回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられている。
R=NI/NO=(B/A)×(D/C)となる。
ここで、第1の実施の形態では、遊星キャリアー56が変速機軸51の軸方向に移動したとしても距離A、Dは一定であり変化しない。従って、変速比Rは次式となる。
R=B/C
また、上記駆動モータの駆動によって、図3に示すように、遊星キャリアー56が従動回転部材64から離れる方向に移動されると、距離Bが小さくなるとともに距離Cが大きくなり、変速比Rは小さくなる。すなわち、距離Bが最小かつ距離Cが最大となる図3の状態がトップ変速比である。
次に、入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68について説明する。
入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68は、変速機軸51側から伝達される回転力(トルク)の一部を変速機軸51の軸方向の推力に変換し、ドライブ側伝達部材53及びドリブン側伝達部材54を、遊星回転部材55に押し付けるために設けられている。この推力により、摩擦接触面61Aと第1テーパ面55Aとの間の接触圧、及び、摩擦接触面71Aと第2テーパ面55Bとの間の接触圧を得ることができ、接触圧に生じる摩擦力によって、遊星回転部材55、ドライブ側伝達部材53及びドリブン側伝達部材54との間で回転が伝達される。
ここで、無段変速機50を減速機として使用する場合、出力側トルクカム68は低速側のトルクカムとなり、出力側トルクカム68よりも高速で回転する入力側トルクカム63は高速側のトルクカムとなる。
図4及び図5に示すように、端面60Aと対向面61Bとの間には、ボール85が狭持された状態で隙間Sが設けられており、この隙間Sには、変速機軸51に挿通されるリング状のリテイナー86が配置されている。リテイナー86は、各ボール85の位置に対応して周方向に略等間隔をあけて形成された円形のボール支持孔87を複数有し、ボール支持孔87にはボール85が収容されている。リテイナー86の中央には、変速機軸51が挿通される挿通孔86Aが形成されている。
入力側トルクカム63に回転力が作用すると、円板状受け部60と駆動回転部材61との間で相対回転が生じ、円板状受け部60と駆動回転部材61との相対位置は、ボール85によって規制され、駆動回転部材61は、ボール85を介して円板状受け部60の回転動力を受けて回転する。この状態では、ボール85は、一方の平面83Aと、この平面83Aに対向する平面部84B側の曲面部84Aに接触し、各接触点では、駆動回転部材61を回転させるトルクT1、及び、トルクT1の大きさに応じて発生する軸方向の推力F1が生じている。この推力F1によって、駆動回転部材61は軸方向に変形するようにしてわずかに変位し、駆動回転部材61が遊星回転部材55に押し付けられるとともに、遊星回転部材55がドリブン側伝達部材54に押し付けられるため、摩擦接触面61Aと第1テーパ面55Aとの間の接触圧、及び、摩擦接触面71Aと第2テーパ面55Bとの間の接触圧を十分に確保できる。
また、リテイナー86は、ボール85の中心に略一致する位置に配置され、ボール85の移動を許容しつつボール85を保持しており、トルク変動に対してボール85が過度に移動することを抑制している。このため、リテイナー86を用いることで、トルク変動に対する推力F1の変動を緩和することができる。
また、ドリブン側伝達部材54は、皿ばね74によっても遊星回転部材55側に押し付けられている。
さらに、入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68が分散して設けられることで、トルクカム63,68を小型化して配置できるとともに、入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68に作用する反力が小さくなり、無段変速機50の振動を低減できる。
しかし、無段変速機50においては、入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68が曲面部84Aを有し、ボール85、33が曲面部84Aに沿って緩やかに移動することで推力F1,F2の増減を緩やかにできる。このため、トルク変動に伴うトルクハンチングを抑制でき、伝達効率を向上できるとともに、振動を低減できる。
また、曲面部84Aは、入力側トルクカム63の円板状受け部60に設けられており、高速回転して高負荷がかかる部分に設けられているため、ボール85の振動に起因するトルク変動を効果的に低減でき、伝達効率を向上できる。
さらに、リテイナー86がトルク変動に対する推力F1の変動を緩和するため、トルクハンチングを抑制できる。ここで、リテイナー86は出力側トルクカム68にも設けられても良い。
また、両トルクカム63,68が略等しい回転半径で略同一に作用するため、入力側及び出力側で発生する推力の大きさを略均一化でき、トルクの変動に対して、入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68を略等しく追従させることができる。
変速部52においては、図7に示すように、遊星回転部材55の取付け角度Xが大きくなると、摩擦接触面61A,71A内部における遊星回転部材55とドライブ側伝達部材53及びドリブン側伝達部材54との間での滑りが大きくなる。一方、取付け角度Xが小さくなる程、遊星回転部材55とドライブ側伝達部材53及びドリブン側伝達部材54との間での滑りが減少し、伝達効率は高くなる。
レシオ幅Wは、41度付近までは取付け角度Xが大きくなるほど増加し、それ以上の角度では小さくなる。
また、取付け角度Xが小さくなる程、遊星支持軸57が占める変速機軸51の軸方向のスペースが大きくなるため、変速部52が軸方向に大型化することになる。
さらに、取付け角度Xを45°より小さい鋭角に設定することで、オフセットUを小さくすることができる。オフセットUが大きい場合、図4に示すように、遊星回転部材55を遊星支持軸57対してこじるように回転させる回転モーメントMの大きさが大きくなり、フリクションが大きくなる。第1の実施の形態では、取付け角度Xを45°より小さい鋭角にすることで、オフセットUを小さくして回転モーメントMを小さくでき、フリクションが低下するため、伝達効率を向上できる。
さらに、変速部52がトルク変動等によって微小に変形した場合、変速レシオも変化するが、取付け角度Xを45°より小さくすることで、変速部52の変形が変速レシオに与える影響を低減でき、変速レシオの制御が容易になる。
図8に示すように、遊星回転部材55は、変速機軸51の周方向に等間隔に5個が並べて設けられている。従動回転部材64の摩擦接触面71Aと遊星回転部材55の第2テーパ面55Bとの間には、寸法公差等の誤差によって、隙間が生じることが考えられる。変速部52では、負荷が増加するに伴い遊星回転部材55と従動回転部材64との接触圧が増加し、略真円形状であった従動回転部材64は、図8に示すように、全ての遊星回転部材55に接触するように略楕円形状に弾性変形することになる。すなわち、遊星回転部材55が等間隔に5個配置されているため、略真円形状であった従動回転部材64は、バランスの良い3点当たりで遊星回転部材55に接触するように自然に弾性変形し、その結果、残りの2個の遊星回転部材55にも接触することになる。これにより、寸法公差等の誤差があったとしても、遊星回転部材55が従動回転部材64に5点で接触するため、高い伝達効率を得られる。
さらに、ボール85をガイドするリテイナー86によってボール85の動きが安定し、トルクの変動が低減されるため、無段変速機50の伝達効率を向上できる。
また、給油穴44から給油される潤滑オイルによって入力側トルクカム63を効果的に潤滑できるため、入力側トルクカム63の適正なカム推力が得られ、無段変速機50の伝達効率を向上できる。
上記第1の実施の形態では、入力側トルクカム63及び出力側トルクカム68において、少なくとも一方のカム溝84,31がR溝で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カム溝83,32もR溝で構成しても良い。或いは、カム溝84,31をV字溝とし、カム溝83,32のみをR溝で構成しても良い。
また、上記第1の実施の形態では、R溝は、曲面部84Aを底部に備えた溝であるものとして説明したが、これに限らず、例えば、R溝は、略V字状の溝において、両斜面部を曲面状の曲面部とし、平面状の底部をこの曲面部に滑らかに連続させて形成されたものでも良い。
また、上記第1の実施の形態では、調整機構として隙間嵌合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊星支持軸57を偏心軸で構成することで調整機構を設けても良い。
また、上記第1の実施の形態では、遊星回転部材55は、変速機軸51の周方向に等間隔に5個が並べて設けられるものとして説明したが、これに限らず、遊星回転部材55は複数個が周方向に等間隔に並べて設けられれば良い。特に、遊星回転部材55を5個以上設けることで、バランスの良い3点接触の状態を得ることができる。
以下、図9を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、ドリブン側伝達部材254(ドリブンフェース)の一部構成が、第1の実施の形態のドリブン側伝達部材54と異なっている。
ドリブン側伝達部材254は、椀状の従動回転部材264と、被動歯車26Aに噛み合う出力歯車部265とを有している。
出力歯車部265は軸方向に延在しており、ドリブン側伝達部材254側の一端に小径の段部265Aを有し、段部265Aの内周面に設けられるニードルベアリング66と、他端に設けられるアンギュラーコンタクトベアリング67とを介して変速機軸51に対して相対回転可能に設けられている。
従動回転部材264は、段部265Aの外周面に嵌合する円板部270と円板部270からドライブ側伝達部材53側へ延びる円筒状の筒部271とを有している。
従動回転部材264と出力歯車部265とは、従動回転部材264と出力歯車部265との間に設けられる出力側トルクカム268(調圧カム、ドリブン側の調圧カム)によって連結され、一体に回転する。従動回転部材264は、皿ばね274によって常にドライブ側伝達部材53側に押し付けられている。
出力側トルクカム268は、端面270Aに設けられたカム溝231と、対向面265Bに設けられたカム溝232との間にボール233が狭持されて構成されている。カム溝231はR溝であり、カム溝232はV字溝である。出力側トルクカム268にトルクが作用すると、このトルクの大きさに応じて軸方向の推力F2が発生する。
以下、図10〜図13を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態のドライブ側伝達部材53の構造を変更したものであり、この第3の実施の形態において、上記第2の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
変速部352は、変速機軸51と一体に回転するドライブ側伝達部材353と、ドリブン側伝達部材254と、ドライブ側伝達部材353とドリブン側伝達部材254との間に設けられる複数の遊星回転部材55と、遊星キャリアー56と、複数の遊星支持軸57とを備えて構成される。
変速機軸51において、入力歯車25側からドライブ側伝達部材353近傍までの部分は、クランク軸12から動力が入力される入力軸部51Aとして機能する。
図10及び図11に示すように、円板状受け部360は、変速機軸51に直交する端面360Aを有し、端面360Aには、V字状に形成されたカム溝383が形成されている。駆動回転部材361は、端面360Aに対向する対向面361Bを有し、対向面361Bには、端面360A側に突出するカム山385が形成されている。カム溝383及びカム山385は、端面360A及び対向面361Bの周方向に略等間隔(本実施の形態では90°間隔)をあけて円環状の並びとなるように複数並べて配置されている。入力側トルクカム363は、各カム溝383に各カム山385が係合することで構成されている。
カム溝383は、カム山385の凸状曲面部385Aの曲率半径よりも大きい曲率半径を有する底部曲面部383A(カム溝の底部)を底部に備えたR溝であり、カム山385は底部曲面部383Aに底付き可能である。また、カム溝383は、底部曲面部383Aと、底部曲面部383Aと端面360Aとを繋ぐ直線状に延びる2つの平面部383B,383Bとを有している。
入力側トルクカム363にほとんどトルクが作用していない状態では、凸状曲面部385Aは、底部曲面部383Aに1点で接触しており、トルクが増加すると移動して凸状曲面部385A及び平面部383B上を摺動する。入力側トルクカム363は、カム山385が底部曲面部383Aに底付きしている状態であっても、端面360Aと対向面361Bとの間に隙間が空くように設定されている。
図12では、変速機軸51に入力される入力トルクに対する入力側トルクカム363及び出力側トルクカム268の軸方向の推力が示されており、横軸に変速機軸51の入力トルクが示され、縦軸に軸方向の推力が示されている。
詳細には、図12では、入力側トルクカム363の推力F3と共に、変速比に応じて変化する出力側トルクカム268の推力が示され、出力側トルクカム268の推力F2(図10参照)としては、ロー変速比の際の推力FL、トップ変速比の際の推力FT、及び、ロー変速比とトップ変速比との間の変速比の推力FMが示されている。ここで、推力FL,FM,FTは、それぞれ異なる変速比における出力側トルクカム268の推力F2であるため、以下の説明では、推力FL,FM,FTを推力F2と呼ぶことがある。
ロー変速比の際の推力FLは、変速機軸51の入力トルクの全域において、入力側トルクカム363の推力F3よりも大きくなっている。
トップ変速比の際の推力FTを示す直線は、変速機軸51の入力トルクが低トルク域にある所定トルクX1において、推力F3を示す直線に交差している。トップ変速比の際の推力FTは、所定トルクX1より小さい入力トルク域では推力F3よりも大きいが、所定トルクX1よりも大きいトルク域では、推力F3よりも小さくなっている。
ロー変速比とトップ変速比との間の変速比の推力FMを示す直線は、変速機軸51の入力トルクが高トルク域にある所定トルクX2において、推力F3を示す直線に交差している。推力FMは、所定トルクX2までは推力F3よりも大きいが、所定トルクX2よりも大きいトルク域では、推力F3よりも小さくなっている。
図10を参照し、入力側トルクカム363の推力F3と出力側トルクカム268の推力F2とは、互いに対向する方向に作用しているが、上記切り替わりポイントでは、推力F3と推力F2との大小関係が変化する。具体的には、例えば、ロー変速比側で運転している状態では、推力FLで示すように、出力側トルクカム268の推力F2が推力F3よりも常に大きいため、入力側トルクカム363は、出力側トルクカム268によって押圧されており、寸法公差によるクリアランスや弾性変形の分だけ入力軸部51A側に寄っている。そして、入力側の推力F3が出力側の推力F2の大きさに近づくに伴って入力側トルクカム363の出力軸部51B側への変位量Dは徐々に増加し、トップ変速段に変速した際に切り替わりポイントである所定トルクX1に達すると、推力F3が推力F2(推力FT)よりも大きくなり、入力側トルクカム363は出力側トルクカム268を押圧して移動させ、寸法公差によるクリアランスや弾性変形の分だけ出力軸部51B側へ一度に変位する。この切り替わりポイントの近傍でトルクが変動すると、推力F3及び推力F2の大小関係が交互に入れ替わることになり、トルクハンチングが生じ易くなる。高トルク領域では、変速機軸51の入力トルクの増加に比例して、変位量Dも増加する。
これにより、出力側トルクカム268の動きに対して入力側トルクカム363の動きが低下し、トルク変動に対してドライブ側の調圧カムの動きが減衰されるため、入力側トルクカム363の変動を抑えることができ、トルクハンチングの発生を抑制できる。このため、変速機軸51への入出力トルクの変動に対して適正なカム推力を発生させて無段変速機50の伝達効率を向上できる。
また、入力側トルクカム363のカム溝383の底部の曲率半径がカム山385の凸状曲面部385Aの曲率半径に対して大きく、カム山385がカム溝383に対して滑らかに滑ることができるため、入力側トルクカム363が安定して動作する。このため、変速機軸51への入出力トルクの変動に対して適正なカム推力を発生させて無段変速機50の伝達効率を向上できる。
以下、図14を参照して、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、上記第3の実施の形態の入力側トルクカム363の構造を変更したものであり、この第4の実施の形態において、上記第3の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
入力側トルクカム463では、カム山385は円板状受け部460の端面460Aに形成されたV字状のカム溝483に係合する。カム溝483は、V字を構成する2つの平面483A,483Aを有し、カム溝483の底部483Bは、凸状曲面部385Aの曲率半径よりも小さい曲率半径の曲面状に形成されている。カム山385がカム溝483の底に位置する状態では、凸状曲面部385Aは平面483A,483Aに2点で接触し、凸状曲面部385Aと底部483Bとの間には隙間が形成される。第4の実施の形態では、カム山385がカム溝483の底から移動を開始する際には、曲面部ではなく平面483Aに沿って摺動するため、駆動回転部材361と円板状受け部460との相対回転に対する摩擦力が高くなっている。このため、カム山385の移動を抑制してトルクハンチングを低減でき、無段変速機50の伝達効率を向上できる。
32,83,232 カム溝(V字溝)
33,85,233 ボール
44 給油穴
50 無段変速機(車両用無段変速機)
51 変速機軸(回転軸)
51A 入力軸部(入力軸)
51B 出力軸部(出力軸)
53 ドライブ側伝達部材(ドライブフェース)
54,254 ドリブン側伝達部材(ドリブンフェース)
55 遊星回転部材
56 遊星キャリアー
63 入力側トルクカム(調圧カム、高速側カム)
68,268 出力側トルクカム(調圧カム)
76 シム
86 リテイナー
268 出力側トルクカム(調圧カム、ドリブン側の調圧カム)
353 ドライブ側伝達部材
363 入力側トルクカム(調圧カム、ドライブ側の調圧カム)
383 カム溝
385 カム山
383A 底部曲面部(カム溝の底部)
385A 凸状曲面部(カム山の凸部)
Claims (8)
- 入力軸部(51A)、出力軸部(51B)、軸方向に移動可能な遊星回転部材(55)を保持する遊星キャリアー(56)、ドライブ側伝達部材(53)、及び、ドリブン側伝達部材(54,254)を備える車両用無段変速機において、
ドライブ側及びドリブン側のそれぞれの軸支部近傍に調圧カム(63,68,268)を配置し、
前記両調圧カム(63,68,268)は、ボール(33,85,233)を対向するカム溝で挟む構造のカムであって、一方のカム溝(84)を、前記ボール(85)の半径よりも大きいR溝で前記ボール(85)に1点で接触する形状とし、
他方のカム溝(83)を、前記ボール(85)に2点で接触するV字溝とし、
前記R溝は、ドライブ側の前記調圧カム(63)におけるドライブフェース側のカム溝(84)であることを特徴とする車両用無段変速機。 - 前記調圧カム(63)には、前記ボール(85)をガイドするリテイナー(86)が設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用無段変速機。
- 前記車両用無段変速機は、単一の回転軸(51)上にドライブフェース(53)と該ドライブフェースに対して回転自在に支持されるドリブンフェース(54,254)とを有し、前記回転軸(51)に対して両フェース間の間隔がシム(76)により調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用無段変速機。
- 前記調圧カム(63)には、潤滑オイル給油のための給油穴(44)が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両用無段変速機。
- 入力軸部(51A)、出力軸部(51B)、軸方向に移動可能な遊星回転部材(55)を保持する遊星キャリアー(56)、ドライブ側伝達部材(353)、及び、ドリブン側伝達部材(254)を備える車両用無段変速機において、
ドライブ側及びドリブン側のそれぞれの軸支部近傍に調圧カム(268,363)を配置し、
ドリブン側の前記調圧カム(268)の動きに対してドライブ側の前記調圧カム(363)の動きが低下するように、ドリブン側の前記調圧カム(268)及びドライブ側の前記調圧カム(363)の回転力に対する摩擦力に差を設けたことを特徴とする車両用無段変速機。 - ドリブン側の前記調圧カム(268)は転がりカムであり、ドライブ側の前記調圧カム(363)は滑りカムであることを特徴とする請求項5記載の車両用無段変速機。
- ドライブ側の前記調圧カム(363)は、カム溝(383)をカム山(385)が滑る構造のカムであって、当該カム溝(383)の底部(383A)の曲率半径が当該カム山(385)の凸部(385A)の曲率半径に対して大きいことを特徴とする請求項6記載の車両用無段変速機。
- ドライブ側及びドリブン側の前記調圧カム(63,68,268,363)は、その回転半径を略等しくなるように配置されることを特徴とする請求項1または5に記載の車両用無段変速機。
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