JP2010025237A - トラクションドライブ機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝達トルクが低いときのトルク伝達効率を向上させるとともに、ローラの転動疲労寿命の低下を招くことなくトルク伝達容量を増大させる。
【解決手段】リングローラ22−1,22−2の内周面には、リング側テーパ面32−1,32−2が形成され、各ピニオンローラ23の外周面には、リング側テーパ面32−1,32−2と接触するピニオン側テーパ面33−1,33−2が形成されている。トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2に作用するトルクに応じてリングローラ22−1,22−2に作用させる軸線方向の推力を変化させることで、リング側テーパ面32−1,32−2とピニオン側テーパ面33−1,33−2との接触部28−1,28−2に作用させる押圧力を変化させるとともに、接触部28−1,28−2の軸線方向長さを変化させる。
【選択図】図2
【解決手段】リングローラ22−1,22−2の内周面には、リング側テーパ面32−1,32−2が形成され、各ピニオンローラ23の外周面には、リング側テーパ面32−1,32−2と接触するピニオン側テーパ面33−1,33−2が形成されている。トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2に作用するトルクに応じてリングローラ22−1,22−2に作用させる軸線方向の推力を変化させることで、リング側テーパ面32−1,32−2とピニオン側テーパ面33−1,33−2との接触部28−1,28−2に作用させる押圧力を変化させるとともに、接触部28−1,28−2の軸線方向長さを変化させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、ローラ同士の接触部に作用するトラクション力によってトルク伝達を行うことが可能なトラクションドライブ機構に関する。
トラクションドライブ機構においては、ローラ同士の油膜を介した接触部に押圧力(法線方向の力)が作用することで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によってトルク伝達を行うことが可能である。こうしたトラクションドライブ機構では、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、トルク伝達に必要な押圧力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。さらに、トルク伝達を効率よく行うために必要な法線力は、ローラに作用するトルクに応じて変化する。そこで、接触部に作用させる法線力をローラのトルクに応じて変化させることができるトラクションドライブ機構が提案されている(例えば下記特許文献1,2)。
特許文献1の遊星ローラ機構においては、サンローラの外周面及びピニオンローラ(遊星ローラ)の外周面に、互いに点接触する傾斜面を形成し、サンローラの傾斜面とピニオンローラの傾斜面との接触部に押圧力を作用させるようサンローラにその軸線方向の推力を作用させるトルクカムを設けている。トルクカムがサンローラに作用するトルクに応じてサンローラに作用させる推力を変化させることで、サンローラの傾斜面とピニオンローラの傾斜面との接触部に作用させる押圧力を変化させている。
特許文献2の遊星ローラ機構においては、リングローラの内周面及びピニオンローラの外周面に、互いに接触するテーパ面(円錐面)を形成し、リングローラのテーパ面とピニオンローラのテーパ面との接触部に押圧力を作用させるようリングローラにその軸線方向の推力を作用させるトルクカムを設けている。トルクカムがリングローラに作用するトルクに応じてリングローラに作用させる推力を変化させることで、リングローラのテーパ面とピニオンローラのテーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させている。
特許文献1,2では、リングローラ(またはサンローラ)の軸線方向の推力に応じて接触部に作用させる押圧力を変化させるために、リングローラの内周面(またはサンローラの外周面)及びピニオンローラの外周面に、互いに接触するテーパ面(傾斜面)を形成している。ただし、テーパ面(傾斜面)は、その径が軸線方向位置に応じて変化するため、リングローラ(またはサンローラ)及びピニオンローラの周速が軸線方向位置に応じて変化し、接触部での滑り速度が軸線方向位置に応じて変化する。その結果、接触部では、トルク伝達に寄与しない滑りによる損失(スピン損失)が発生し、特に伝達トルクが低いときにトルク伝達効率が低下しやすくなる。特許文献1では、サンローラの傾斜面とピニオンローラの傾斜面との接触部を点接触とすることで、このスピン損失の低減を図っているが、接触部を点接触とすると、接触部での面圧が増大し、ローラの転動疲労寿命の低下を招きやすくなる。また、特許文献2では、接触部長さは一定であるので、スピン損失の低減を図るために接触部長さを短く設計すると、接触部での面圧が増大してローラの転動疲労寿命の低下を招きやすくなる。一方、接触部での面圧低減を図るために接触部長さを短く設計すると、スピン損失が増大して特に伝達トルクが低いときにトルク伝達効率が低下する。
本発明は、伝達トルクが低いときのトルク伝達効率を向上させることができるとともに、ローラの転動疲労寿命の低下を招くことなくトルク伝達容量を増大させることができるトラクションドライブ機構を提供することを目的とする。
本発明に係るトラクションドライブ機構は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係るトラクションドライブ機構は、サンローラとリングローラとの間にピニオンローラがこれらと接触して挟持された遊星ローラ機構を備えるトラクションドライブ機構であって、リングローラの内周面には、リング側テーパ面が形成され、ピニオンローラの外周面には、リング側テーパ面と接触するピニオン側テーパ面が形成され、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に押圧力を作用させるようリングローラにその軸線方向の推力を作用させる押圧機構が設けられ、押圧機構は、リングローラに作用するトルクに応じてリングローラに作用させる推力を変化させることで、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させるとともに、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部長さを変化させることを要旨とする。
本発明の一態様では、リングローラにトルクが作用していない状態において、リング側テーパ面はピニオン側テーパ面と接触しない部分を有し、ピニオン側テーパ面はリング側テーパ面と接触しない部分を有し、押圧機構は、リングローラに作用させる推力に応じて、リング側テーパ面におけるピニオン側テーパ面と接触しない部分の長さ、及びピニオン側テーパ面におけるリング側テーパ面と接触しない部分の長さを変化させることが好適である。
本発明の一態様では、リング側テーパ面のテーパ角度がピニオン側テーパ面のテーパ角度よりも微小角度分大きいことが好適である。
本発明の一態様では、ピニオンローラの外周面には、サンローラの外周面と接触する円筒面がさらに形成されていることが好適である。
本発明の一態様では、遊星ローラ機構は、ピニオンローラを回転自在に支持するキャリアとサンローラとリングローラのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能であり、押圧機構は、リングローラに推力を作用させないことで遊星ローラ機構におけるトルク伝達を遮断することが好適である。
また、本発明に係るトラクションドライブ機構は、サンローラとリングローラとの間にピニオンローラがこれらと接触して挟持された遊星ローラ機構を備えるトラクションドライブ機構であって、サンローラの外周面には、サン側テーパ面が形成され、ピニオンローラの外周面には、サン側テーパ面と接触するピニオン側テーパ面が形成され、サン側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に押圧力を作用させるようサンローラにその軸線方向の推力を作用させる押圧機構が設けられ、押圧機構は、サンローラに作用するトルクに応じてサンローラに作用させる推力を変化させることで、サン側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させるとともに、サン側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部長さを変化させることを要旨とする。
本発明の一態様では、サンローラにトルクが作用していない状態において、サン側テーパ面はピニオン側テーパ面と接触しない部分を有し、ピニオン側テーパ面はサン側テーパ面と接触しない部分を有し、押圧機構は、サンローラに作用させる推力に応じて、サン側テーパ面におけるピニオン側テーパ面と接触しない部分の長さ、及びピニオン側テーパ面におけるサン側テーパ面と接触しない部分の長さを変化させることが好適である。
本発明の一態様では、サン側テーパ面のテーパ角度がピニオン側テーパ面のテーパ角度よりも微小角度分大きいことが好適である。
本発明の一態様では、ピニオンローラの外周面には、リングローラの内周面と接触する円筒面がさらに形成されていることが好適である。
本発明の一態様では、遊星ローラ機構は、ピニオンローラを回転自在に支持するキャリアとサンローラとリングローラのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能であり、押圧機構は、サンローラに推力を作用させないことで遊星ローラ機構におけるトルク伝達を遮断することが好適である。
また、本発明に係るトラクションドライブ機構は、第1ローラの第1転動面と第2ローラの第2転動面との接触部に作用するトラクション力によって、第1ローラと第2ローラとの間でトルク伝達を行うことが可能なトラクションドライブ機構であって、第1転動面には、第1テーパ面が形成され、第2転動面には、第1テーパ面と接触する第2テーパ面が形成され、第1テーパ面と第2テーパ面との接触部に押圧力を作用させるよう第1ローラにその軸線方向の推力を作用させる押圧機構が設けられ、押圧機構は、第1ローラに作用するトルクに応じて第1ローラに作用させる推力を変化させることで、第1テーパ面と第2テーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させるとともに、第1テーパ面と第2テーパ面との接触部長さを変化させることを要旨とする。
本発明の一態様では、第1ローラにトルクが作用していない状態において、第1テーパ面は第2テーパ面と接触しない部分を有し、第2テーパ面は第1テーパ面と接触しない部分を有し、押圧機構は、第1ローラに作用させる推力に応じて、第1テーパ面における第2テーパ面と接触しない部分の長さ、及び第2テーパ面における第1テーパ面と接触しない部分の長さを変化させることが好適である。
本発明の一態様では、押圧機構は、第1ローラに推力を作用させないことで第1ローラと第2ローラとの間のトルク伝達を遮断することが好適である。
本発明によれば、伝達トルクが低いときは、接触部長さを短くすることができるので、接触部においてトルク伝達に寄与しない滑りによる損失を低減することができ、トルク伝達効率を向上させることができる。一方、伝達トルクが高いときは、接触部長さを長くすることができるので、接触部での面圧を低減することができ、ローラの転動疲労寿命の低下を招くことなくトルク伝達容量を増大させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1,2は、本発明の実施形態1に係るトラクションドライブ機構の概略構成を示す図であり、図1は斜視図を示し、図2はリングローラ22−1,22−2の中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。本実施形態に係るトラクションドライブ機構は、一対のリングローラ22−1,22−2と、リングローラ22−1,22−2の内側(径方向内側)に配置されたサンローラ21と、サンローラ21とリングローラ22−1,22−2との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数のピニオンローラ(遊星ローラ)23と、各ピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリア24と、を有する遊星ローラ機構12を備える。図1,2は、遊星ローラ機構12がシングルピニオン遊星ローラ機構である例を示している。サンローラ21、リングローラ22−1,22−2、及びキャリア24の中心軸(軸線)は一致しており、ピニオンローラ23が自転するときの回転中心軸はリングローラ22−1,22−2の中心軸と平行である。なお、図1では、リングローラ22−1,22−2及び一部のピニオンローラ23を切断して図示しており、キャリア24の図示を省略している。
図1,2は、本発明の実施形態1に係るトラクションドライブ機構の概略構成を示す図であり、図1は斜視図を示し、図2はリングローラ22−1,22−2の中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。本実施形態に係るトラクションドライブ機構は、一対のリングローラ22−1,22−2と、リングローラ22−1,22−2の内側(径方向内側)に配置されたサンローラ21と、サンローラ21とリングローラ22−1,22−2との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数のピニオンローラ(遊星ローラ)23と、各ピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリア24と、を有する遊星ローラ機構12を備える。図1,2は、遊星ローラ機構12がシングルピニオン遊星ローラ機構である例を示している。サンローラ21、リングローラ22−1,22−2、及びキャリア24の中心軸(軸線)は一致しており、ピニオンローラ23が自転するときの回転中心軸はリングローラ22−1,22−2の中心軸と平行である。なお、図1では、リングローラ22−1,22−2及び一部のピニオンローラ23を切断して図示しており、キャリア24の図示を省略している。
一対のリングローラ22−1,22−2は、その軸線方向に互いに間隔をおいて対向配置されており、リングローラ22−1がリングローラ22−2よりも軸線方向の一方側(図2の左側)に配置されている。リングローラ22−1の内周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側(図2の左側から右側)にかけて内径が徐々に増大するリング側テーパ面(円錐面)32−1が形成されており、リングローラ22−2の内周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて内径が徐々に減少するリング側テーパ面(円錐面)32−2が形成されている。リング側テーパ面32−1のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは、リング側テーパ面32−2のテーパ角度の大きさと等しく、リング側テーパ面32−1の内径の最大値及び最小値は、リング側テーパ面32−2の内径の最大値及び最小値とそれぞれ等しい。
各ピニオンローラ23の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に増大するピニオン側テーパ面(円錐面)33−1と、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に減少するピニオン側テーパ面(円錐面)33−2と、が軸線方向に互いに間隔をおいて形成されており、ピニオン側テーパ面33−1がピニオン側テーパ面33−2よりも軸線方向の一方側に配置されている。ピニオン側テーパ面33−1のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは、ピニオン側テーパ面33−2のテーパ角度の大きさと等しく、ピニオン側テーパ面33−1の外径の最大値及び最小値は、ピニオン側テーパ面33−2の外径の最大値及び最小値とそれぞれ等しい。ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさは、リング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度の大きさと等しいか若干異なる。リング側テーパ面32−1,32−2及びピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさは微小(例えば10°以下程度)とし、リング側テーパ面32−1,32−2とピニオン側テーパ面33−1,33−2とでテーパ角度の大きさを若干異ならせる場合は、その角度差を例えば0.5°程度とする。各ピニオン側テーパ面33−1はリング側テーパ面32−1と接触し、各ピニオン側テーパ面33−2はリング側テーパ面32−2と接触する。各ピニオン側テーパ面33−1とリング側テーパ面32−1との接触部28−1、及び各ピニオン側テーパ面33−2とリング側テーパ面32−2との接触部28−2は、いずれも軸線方向に関して長さを有する。つまり、各ピニオン側テーパ面33−1とリング側テーパ面32−1との接触、及び各ピニオン側テーパ面33−2とリング側テーパ面32−2との接触は、いずれも点接触ではなく線接触である。
さらに、各ピニオンローラ23の外周面には、ピニオン側円筒面33−3が形成されている。ピニオン側円筒面33−3は、軸線方向に関してピニオン側テーパ面33−1,33−2間に配置され、ピニオン側テーパ面33−1,33−2よりも径方向外側に張り出して形成されている。各ピニオン側円筒面33−3は、サンローラ21の外周面(サン側円筒面)31と接触する。各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触部27も軸線方向に関して接触長さを有し、各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触も線接触である。
トルクカム機構25−1は、軸線方向に関してリングローラ22−1と間隔をおいて対向配置されたリング状のカムディスク29−1と、軸線方向に関してリングローラ22−1とカムディスク29−1との間に挟まれた複数の円筒状のカムローラ30−1と、を含む。カムディスク29−1は、リングローラ22−1よりも軸線方向の一方側に配置されており、図2,3に示すように、軸線方向の一方側に関するリングローラ22−1の側面には、複数のカム面22−1bがカムディスク29−1と対向して形成され、軸線方向の他方側に関するカムディスク29−1の側面には、複数のカム面29−1bが複数のカム面22−1bとそれぞれ対向して形成されている。各カムローラ30−1は、軸線方向に関してこれらのカム面22−1b,29−1bの間に挟まれて配設されている。リングローラ22−1に作用するトルクによってリングローラ22−1とカムディスク29−1との間に位相差が発生すると、各カムローラ30−1がカム面22−1b,29−1bに沿って転動することで、カムディスク29−1に対するリングローラ22−1の相対回転が抑制されるとともに、リングローラ22−1に軸線方向の他方側への推力(図1のF1)が作用する。この推力によりリングローラ22−1が軸線方向の他方側(ピニオン側テーパ面33−1の外径が増大する方向)へ移動すると、リングローラ22−1のリング側テーパ面32−1が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−1を径方向内側へ押し付ける力(図1のF2)により、各ピニオン側テーパ面33−1とリング側テーパ面32−1との接触部28−1、及び各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触部27に押圧力が作用する。リングローラ22−1に作用する軸線方向の他方側への推力は、リングローラ22−1とカムディスク29−1との間の位相差(リングローラ22−1に作用するトルク)に応じて変化し、この位相差(リングローラ22−1に作用するトルク)の増大に対して増大する。そのため、接触部27,28−1に作用する押圧力(法線力)は、リングローラ22−1に作用するトルクに応じて変化し、リングローラ22−1に作用するトルクの増大に対して増大する。
同様に、トルクカム機構25−2は、軸線方向に関してリングローラ22−2と間隔をおいて対向配置されたリング状のカムディスク29−2と、軸線方向に関してリングローラ22−2とカムディスク29−2との間に挟まれた複数の円筒状のカムローラ30−2と、を含む。カムディスク29−2は、リングローラ22−2よりも軸線方向の他方側に配置されており、図2,3に示すように、軸線方向の他方側に関するリングローラ22−2の側面には、複数のカム面22−2bがカムディスク29−2と対向して形成され、軸線方向の一方側に関するカムディスク29−2の側面には、複数のカム面29−2bが複数のカム面22−2bとそれぞれ対向して形成されている。各カムローラ30−2は、軸線方向に関してこれらのカム面22−2b,29−2bの間に挟まれて配設されている。リングローラ22−2に作用するトルクによってリングローラ22−2とカムディスク29−2との間に位相差が発生すると、各カムローラ30−2がカム面22−2b,29−2bに沿って転動することで、カムディスク29−2に対するリングローラ22−2の相対回転が抑制されるとともに、リングローラ22−2に軸線方向の一方側への推力(図1のF3)が作用する。この推力によりリングローラ22−2が軸線方向の一方側(ピニオン側テーパ面33−2の外径が増大する方向)へ移動すると、リングローラ22−2のリング側テーパ面32−2が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−2を径方向内側へ押し付ける力(図1のF4)により、各ピニオン側テーパ面33−2とリング側テーパ面32−2との接触部28−2、及び各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触部27に押圧力が作用する。リングローラ22−2に作用する軸線方向の一方側への推力は、リングローラ22−2とカムディスク29−2との間の位相差(リングローラ22−2に作用するトルク)に応じて変化し、この位相差(リングローラ22−2に作用するトルク)の増大に対して増大する。そのため、接触部27,28−2に作用する押圧力(法線力)は、リングローラ22−2に作用するトルクに応じて変化し、リングローラ22−2に作用するトルクの増大に対して増大する。なお、カムディスク29−1,29−2は互いに連結され、リングローラ22−1,22−2は軸線方向に移動可能な状態で支持され、各ピニオンローラ23は若干の径方向の移動が許容される状態でキャリア24に支持される。
トラクションドライブ機構(遊星ローラ機構12)においては、ローラ同士の油膜を介した接触部に押圧力(法線方向の力)が作用することで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によってトルク伝達を行うことが可能である。こうしたトラクションドライブ機構では、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、トルク伝達に必要な押圧力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。本実施形態では、リングローラ22−1,22−2にその軸線方向の推力を作用させるトルクカム機構25−1,25−2により、各接触部27,28−1,28−2に押圧力(法線力)を付加することが可能となる。これによって、接触部27,28−1,28−2にトラクション力を発生させることができ、サンローラ21と各ピニオンローラ23との間、及び各ピニオンローラ23とリングローラ22−1,22−2との間でトルク伝達を行うことができる。さらに、トルクカム機構25−1,25−2により、各接触部27,28−1,28−2に付加する法線力を伝達トルクに応じて変化させることも可能となる。
遊星ローラ機構12については、変速機構として用いることが可能である。例えばカムディスク29−1,29−2を図示しないケーシングに固定してリングローラ22−1,22−2の回転を拘束することで、サンローラ21とキャリア24との間で動力を変速して伝達することができる。その場合に、サンローラ21からキャリア24へ動力を伝達するときは、遊星ローラ機構12は、サンローラ21からキャリア24へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、キャリア24からサンローラ21へ動力を伝達するときは、遊星ローラ機構12は、キャリア24からサンローラ21へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。また、キャリア24を図示しないケーシングに固定してその回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ22−1,22−2との間で動力を変速して伝達することもできる。また、サンローラ21を図示しないケーシングに固定してその回転を拘束することで、キャリア24とリングローラ22−1,22−2との間で動力を変速して伝達することもできる。このように、遊星ローラ機構12は、キャリア24とサンローラ21とリングローラ22−1,22−2とのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能である。
本実施形態では、図4に示すように、リングローラ22−1にトルクが作用していない状態において、リング側テーパ面32−1は、軸線方向に関して各ピニオン側テーパ面33−1の一方側の端部よりも外側(軸線方向の一方側、図4の左側)に張り出した部分42−1を有し、各ピニオン側テーパ面33−1は、軸線方向に関してリング側テーパ面32−1の他方側の端部よりも内側(軸線方向の他方側、図4の右側)に張り出した部分43−1を有する。つまり、リングローラ22−1にトルクが作用していない状態では、リング側テーパ面32−1における張り出した部分42−1は、各ピニオン側テーパ面33−1と接触せず、各ピニオン側テーパ面33−1における張り出した部分43−1は、リング側テーパ面32−1と接触しない。同様に、リングローラ22−2にトルクが作用していない状態において、リング側テーパ面32−2は、軸線方向に関して各ピニオン側テーパ面33−2の他方側の端部よりも外側(軸線方向の他方側、図4の右側)に張り出した部分42−2を有し、各ピニオン側テーパ面33−2は、軸線方向に関してリング側テーパ面32−2の一方側の端部よりも内側(軸線方向の一方側、図4の左側)に張り出した部分43−2を有する。つまり、リングローラ22−2にトルクが作用していない状態では、リング側テーパ面32−2における張り出した部分42−2は、各ピニオン側テーパ面33−2と接触せず、各ピニオン側テーパ面33−2における張り出した部分43−2は、リング側テーパ面32−2と接触しない。
遊星ローラ機構12でトルク伝達を行う場合は、トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2にトルクが作用するのに応じて、リングローラ22−1,22−2に軸線方向の推力を作用させることで、各接触部27,28−1,28−2に押圧力を作用させる。図5に示すように、リングローラ22−1に作用するトルクに応じて発生する推力によりリングローラ22−1が軸線方向の他方側へ移動すると、リング側テーパ面32−1における張り出した部分(各ピニオン側テーパ面33−1と接触しない部分)42−1の軸線方向長さ、及び各ピニオン側テーパ面33−1における張り出した部分(リング側テーパ面32−1と接触しない部分)43−1の軸線方向長さが減少する。これによって、各ピニオン側テーパ面33−1とリング側テーパ面32−1との接触部28−1の軸線方向長さL1が増大する。同様に、リングローラ22−2に作用するトルクに応じて発生する推力によりリングローラ22−2が軸線方向の一方側へ移動すると、リング側テーパ面32−2における張り出した部分(各ピニオン側テーパ面33−2と接触しない部分)42−2の軸線方向長さ、及び各ピニオン側テーパ面33−2における張り出した部分(リング側テーパ面32−2と接触しない部分)43−2の軸線方向長さが減少する。これによって、各ピニオン側テーパ面33−2とリング側テーパ面32−2との接触部28−2の軸線方向長さL2が増大する。
このように、本実施形態では、トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2に作用させる推力に応じて、リング側テーパ面32−1,32−2における張り出した部分(各ピニオン側テーパ面33−1,33−2と接触しない部分)42−1,42−2の軸線方向長さ、及び各ピニオン側テーパ面33−1,33−2における張り出した部分(リング側テーパ面32−1,32−2と接触しない部分)43−1,43−2の軸線方向長さを変化させることで、接触部28−1,28−2の軸線方向長さL1,L2を変化させる。例えば図6に示すように、伝達トルク(入力トルク)の増大に対して接触部28−1,28−2の軸線方向接触長さが増大する。したがって、トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2に作用するトルクに応じてリングローラ22−1,22−2に作用させる推力を変化させることで、接触部28−1,28−2に作用させる押圧力を変化させるだけでなく、接触部28−1,28−2の軸線方向長さL1,L2も変化させることができる。
本実施形態では、リングローラ22−1,22−2の軸線方向の推力(伝達トルク)に応じて接触部28−1,28−2に作用させる押圧力を変化させるために、リングローラ22−1,22−2の内周面及び各ピニオンローラ23の外周面に、互いに接触するリング側テーパ面32−1,32−2及びピニオン側テーパ面33−1,33−2をそれぞれ形成している。ただし、リング側テーパ面32−1,32−2及びピニオン側テーパ面33−1,33−2は、その径が軸線方向位置に応じて変化するため、リングローラ22−1,22−2及び各ピニオンローラ23の周速が軸線方向位置に応じて変化し、接触部28−1,28−2での滑り速度が軸線方向位置に応じて変化する。その結果、接触部28−1,28−2では、トルク伝達に寄与しない滑りによる損失(スピン損失)が発生し、特に伝達トルクが低いときにトルク伝達効率が低下しやすくなる。接触部28−1,28−2の軸線方向長さを減少させることで、このスピン損失の低減が可能となるが、接触部28−1,28−2の軸線方向長さを減少させると、接触部28−1,28−2での面圧が増大し、リングローラ22−1,22−2及び各ピニオンローラ23の転動疲労寿命の低下を招きやすくなる。
これに対して本実施形態では、トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2に作用するトルクの増大に対して、接触部28−1,28−2の軸線方向長さL1,L2を増大させる。これによって、伝達トルクが0または低いときは、例えば図4に示すように、接触部28−1,28−2の軸線方向長さL1,L2が短いため、接触部28−1,28−2でのスピン損失を低減することができ、トルク伝達効率を向上させることができる。一方、伝達トルクが高いときは、例えば図5に示すように、接触部28−1,28−2の軸線方向長さL1,L2が長いため、接触部28−1,28−2での面圧を低減することができる。例えば図7に示すように、接触部が点接触である場合や、接触部の接触長さが変化しない場合(軸線方向移動無しの場合)と比較して、接触部28−1,28−2での最大面圧を低減することができる。その結果、リングローラ22−1,22−2及び各ピニオンローラ23の転動疲労寿命の低下を招くことなく、トルク伝達容量を増大させることができる。なお、本実施形態では、リング側テーパ面32−1,32−2及びピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさを微小角度(例えば10°以下程度)にすることで、接触部28−1,28−2の押圧力変化に対する軸線方向長さの変化幅を増大させることができる。その結果、低トルクでの高効率化と高トルク容量化の効果をさらに向上させることができる。
また、各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触部27においては、サンローラ21及び各ピニオンローラ23の周速は軸線方向位置に応じて変化せず、サンローラ21と各ピニオンローラ23との滑り速度も軸線方向位置に応じて変化しない。そのため、接触部27でのスピン損失はほとんど発生せず、トルク伝達効率をさらに向上させることができる。
なお、リング側テーパ面32−1,32−2及びピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度が微小な場合は、リング側テーパ面32−1,32−2とピニオン側テーパ面33−1,33−2とでテーパ角度に加工精度によるばらつきが生じやすくなり、接触部28−1,28−2での面圧がばらつきやすい傾向がある。リング側テーパ面32−1,32−2とピニオン側テーパ面33−1,33−2とのテーパ角度差を変化させた場合において接触部28−1,28−2での平均面圧を計算した結果を図8に示す。ここでのテーパ角度差については、リング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度の大きさがピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさよりも大きい場合を正とし、テーパ角度差が0°、+0.5°、−0.5°の場合について、接触部28−1,28−2の押付力に対する平均面圧の特性をFEM解析により計算している。
ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度がリング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度よりも大きくなる方向(テーパ角度差が負となる方向)にテーパ角度にばらつきが生じた場合は、図9に示すように、接触部28−1では、軸線方向の他方側(内側、図9の右側)の面圧が高くなり、接触部28−2では、軸線方向の一方側(内側、図9の左側)の面圧が高くなる。その結果、図8に示すように、テーパ角度差が負の場合は、テーパ角度差が0°の場合よりも接触部28−1,28−2での平均面圧が高くなる。一方、リング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度がピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度よりも大きくなる方向(テーパ角度差が正となる方向)にテーパ角度にばらつきが生じた場合は、図10に示すように、接触部28−1では、軸線方向の一方側(外側、図10の左側)の面圧が高くなり、接触部28−2では、軸線方向の他方側(外側、図10の右側)の面圧が高くなる。ただし、図10に示すように、リングローラ22−1では、軸線方向の一方側(外側)の端部が径方向外側へ変形することで、接触部28−1での面圧上昇が抑えられ、リングローラ22−2では、軸線方向の他方側(外側)の端部が径方向外側へ変形することで、接触部28−2での面圧上昇が抑えられる。その結果、図8に示すように、テーパ角度差が正の場合は、テーパ角度差が0°の場合よりも接触部28−1,28−2での平均面圧が高くなるものの、テーパ角度差が負の場合よりも接触部28−1,28−2での平均面圧が低くなる。したがって、本実施形態では、リング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度の大きさをピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさよりも微小角度分(例えば0.5°程度)大きくすることが好ましい。これによって、ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度がリング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度よりも大きくなる方向(テーパ角度差が負となる方向)にテーパ角度にばらつきが生じるのを防ぐことができる。その結果、テーパ角度のばらつきにより接触部28−1,28−2での面圧が増加するのを抑えることができる。
また、キャリア24とサンローラ21とリングローラ22−1,22−2のいずれか1つの回転を拘束することで遊星ローラ機構12を変速機構として用いる場合は、トルクカム機構25−1,25−2は、リングローラ22−1,22−2に軸線方向の推力を作用させない(接触部28−1,28−2に押圧力を作用させない)ことで、遊星ローラ機構12におけるトルク伝達を遮断することが可能となる。例えば図11に示すように、カムディスク29−1,29−2を図示しないケーシングに固定してリングローラ22−1,22−2の回転を拘束し、サンローラ21に連結されたモータ52からキャリア24に連結された車軸54へ動力を減速して伝達する場合は、リングローラ22−1,22−2の軸線方向の推力を0にすることで、キャリア24とサンローラ21との間のトルク伝達が遮断され、車軸54からの駆動力がモータ52に伝わらなくなる。したがって、車軸54の回転時にモータ52が駆動や回生として働かない場合やモータ52に異常が発生した場合に、モータ52が連れ回ることによる損失を低減することができる。なお、図11に示す例では、キャリア24の回転により各ピニオンローラ23には径方向外側への遠心力が作用することで、各ピニオンローラ23のピニオン側円筒面33−3がサンローラ21のサン側円筒面31と接触しなくなる。したがって、車軸54からの駆動力がモータ52に伝わるのをより確実に防止することができる。
以上の実施形態の説明では、トルクカム機構25−1,25−2によりリングローラ22−1,22−2に作用するトルクに応じてリングローラ22−1,22−2に作用させる軸線方向の推力を変化させるものとした。ただし、本実施形態では、例えば油圧等のアクチュエータを利用して、リングローラ22−1,22−2に作用するトルクに応じてリングローラ22−1,22−2に作用させる軸線方向の推力を変化させることもできる。
「実施形態2」
図12は、本発明の実施形態2に係るトラクションドライブ機構の概略構成を示す図であり、サンローラ21−1,21−2の中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
図12は、本発明の実施形態2に係るトラクションドライブ機構の概略構成を示す図であり、サンローラ21−1,21−2の中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
本実施形態では、一対のサンローラ21−1,21−2がその軸線方向に互いに間隔をおいて対向配置されており、サンローラ21−1がサンローラ21−2よりも軸線方向の一方側(図12の左側)に配置されている。サンローラ21−1の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側(図12の左側から右側)にかけて外径が徐々に減少するサン側テーパ面(円錐面)31−1が形成されており、サンローラ21−2の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に増大するサン側テーパ面(円錐面)31−2が形成されている。サン側テーパ面31−1のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは、サン側テーパ面31−2のテーパ角度の大きさと等しく、サン側テーパ面31−1の外径の最大値及び最小値は、サン側テーパ面31−2の外径の最大値及び最小値とそれぞれ等しい。そして、サン側テーパ面31−1,31−2のテーパ角度の大きさは、ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさと等しいか若干異なる。サン側テーパ面31−1は各ピニオン側テーパ面33−1と接触し、サン側テーパ面31−2は各ピニオン側テーパ面33−2と接触する。サン側テーパ面31−1と各ピニオン側テーパ面33−1との接触部27−1、及びサン側テーパ面31−2と各ピニオン側テーパ面33−2との接触部27−2は、いずれも軸線方向に関して長さを有する。つまり、サン側テーパ面31−1と各ピニオン側テーパ面33−1との接触、及びサン側テーパ面31−2と各ピニオン側テーパ面33−2との接触は、いずれも線接触である。また、各ピニオン側円筒面33−3は、リングローラ22の内周面(リング側円筒面)32と接触する。各ピニオン側円筒面33−3とリング側円筒面32との接触部28も軸線方向に関して接触長さを有し、各ピニオン側円筒面33−3とリング側円筒面32との接触も線接触である。
トルクカム機構25−1において、カムディスク29−1は、軸線方向に関してサンローラ21−1と間隔をおいて対向配置され、サンローラ21−1よりも軸線方向の一方側に配置されている。軸線方向の一方側に関するサンローラ21−1の側面には、複数のカム面21−1bが複数のカム面29−1bとそれぞれ対向して形成され、各カムローラ30−1は、軸線方向に関してこれらのカム面21−1b,29−1bの間に挟まれて配設されている。サンローラ21−1に作用するトルクによってサンローラ21−1とカムディスク29−1との間に位相差が発生すると、各カムローラ30−1がカム面21−1b,29−1bに沿って転動することで、カムディスク29−1に対するサンローラ21−1の相対回転が抑制されるとともに、サンローラ21−1に軸線方向の他方側への推力が作用する。この推力によりサンローラ21−1が軸線方向の他方側へ移動すると、サンローラ21−1のサン側テーパ面31−1が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−1を径方向外側へ押圧することで、接触部27−1,28に押圧力(法線力)が作用する。接触部27−1,28に作用する押圧力(サンローラ21−1に作用する軸線方向の推力)は、サンローラ21−1に作用するトルクに応じて変化し、サンローラ21−1に作用するトルクの増大に対して増大する。
同様に、トルクカム機構25−2において、カムディスク29−2は、軸線方向に関してサンローラ21−2と間隔をおいて対向配置され、サンローラ21−2よりも軸線方向の他方側に配置されている。軸線方向の他方側に関するサンローラ21−2の側面には、複数のカム面21−2bが複数のカム面29−2bとそれぞれ対向して形成され、各カムローラ30−2は、軸線方向に関してこれらのカム面21−2b,29−2bの間に挟まれて配設されている。サンローラ21−2に作用するトルクによってサンローラ21−2とカムディスク29−2との間に位相差が発生すると、各カムローラ30−2がカム面21−2b,29−2bに沿って転動することで、カムディスク29−2に対するサンローラ21−2の相対回転が抑制されるとともに、サンローラ21−2に軸線方向の一方側への推力が作用する。この推力によりサンローラ21−2が軸線方向の一方側へ移動すると、サンローラ21−2のサン側テーパ面31−2が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−2を径方向外側へ押圧することで、接触部27−2,28に押圧力(法線力)が作用する。接触部27−2,28に作用する押圧力(サンローラ21−2に作用する軸線方向の推力)は、サンローラ21−2に作用するトルクに応じて変化し、サンローラ21−2に作用するトルクの増大に対して増大する。なお、サンローラ21−1,21−2は軸線方向に移動可能な状態で支持される。
本実施形態では、図13に示すように、サンローラ21−1にトルクが作用していない状態において、サン側テーパ面31−1は、軸線方向に関して各ピニオン側テーパ面33−1の一方側の端部よりも外側(軸線方向の一方側、図13の左側)に張り出した部分41−1を有し、各ピニオン側テーパ面33−1は、軸線方向に関してサン側テーパ面31−1の他方側の端部よりも内側(軸線方向の他方側、図13の右側)に張り出した部分43−1を有する。つまり、サンローラ21−1にトルクが作用していない状態では、サン側テーパ面31−1における張り出した部分41−1は、各ピニオン側テーパ面33−1と接触せず、各ピニオン側テーパ面33−1における張り出した部分43−1は、サン側テーパ面31−1と接触しない。同様に、サンローラ21−2にトルクが作用していない状態において、サン側テーパ面31−2は、軸線方向に関して各ピニオン側テーパ面33−2の他方側の端部よりも外側(軸線方向の他方側、図13の右側)に張り出した部分41−2を有し、各ピニオン側テーパ面33−2は、軸線方向に関してサン側テーパ面31−2の一方側の端部よりも内側(軸線方向の一方側、図13の左側)に張り出した部分43−2を有する。つまり、サンローラ21−2にトルクが作用していない状態では、サン側テーパ面31−2における張り出した部分41−2は、各ピニオン側テーパ面33−2と接触せず、各ピニオン側テーパ面33−2における張り出した部分43−1は、サン側テーパ面31−2と接触しない。
本実施形態でも、遊星ローラ機構12は、キャリア24とサンローラ21−1,21−2とリングローラ22とのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能であり、変速機構として用いることが可能である。遊星ローラ機構12でトルク伝達を行う場合は、トルクカム機構25−1,25−2は、サンローラ21−1,21−2にトルクが作用するのに応じて、サンローラ21−1,21−2に軸線方向の推力を作用させることで、各接触部27−1,27−2,28に押圧力を作用させる。これによって、接触部27−1,27−2,28にトラクション力を発生させることができ、サンローラ21−1,21−2と各ピニオンローラ23との間、及び各ピニオンローラ23とリングローラ22との間でトルク伝達を行うことができる。サンローラ21−1に作用するトルクに応じて発生する推力によりサンローラ21−1が軸線方向の他方側へ移動すると、図14に示すように、サン側テーパ面31−1における張り出した部分(各ピニオン側テーパ面33−1と接触しない部分)41−1の軸線方向長さ、及び各ピニオン側テーパ面33−1における張り出した部分(サン側テーパ面31−1と接触しない部分)43−1の軸線方向長さが減少する。これによって、サン側テーパ面31−1と各ピニオン側テーパ面33−1との接触部27−1の軸線方向長さL3が増大する。同様に、サンローラ21−2に作用するトルクに応じて発生する推力によりサンローラ21−2が軸線方向の一方側へ移動すると、サン側テーパ面31−2における張り出した部分(各ピニオン側テーパ面33−2と接触しない部分)41−2の軸線方向長さ、及び各ピニオン側テーパ面33−2における張り出した部分(サン側テーパ面31−2と接触しない部分)43−2の軸線方向長さが減少する。これによって、サン側テーパ面31−2と各ピニオン側テーパ面33−2との接触部27−2の軸線方向長さL4が増大する。また、トルクカム機構25−1,25−2は、サンローラ21−1,21−2に軸線方向の推力を作用させない(接触部27−1,27−2に押圧力を作用させない)ことで、遊星ローラ機構12におけるトルク伝達を遮断することが可能となる。
このように、トルクカム機構25−1,25−2は、サンローラ21−1,21−2に作用させる推力に応じて、サン側テーパ面31−1,31−2における張り出した部分(各ピニオン側テーパ面33−1,33−2と接触しない部分)41−1,41−2の軸線方向長さ、及び各ピニオン側テーパ面33−1,33−2における張り出した部分(サン側テーパ面31−1,31−2と接触しない部分)43−1,43−2の軸線方向長さを変化させることで、接触部27−1,27−2の軸線方向長さL3,L4を変化させる。したがって、トルクカム機構25−1,25−2は、サンローラ21−1,21−2に作用するトルクに応じてサンローラ21−1,21−2に作用させる推力を変化させることで、接触部27−1,27−2に作用させる押圧力を変化させるだけでなく、接触部27−1,27−2の軸線方向長さL3,L4も変化させることができる。接触部27−1,27−2の軸線方向長さL3,L4は、サンローラ21−1,21−2に作用するトルクの増大に対して増大する。
以上説明した本実施形態によれば、伝達トルクが0または低いときは、例えば図13に示すように、接触部27−1,27−2の軸線方向長さL3,L4が短いため、接触部27−1,27−2でのスピン損失を低減することができ、トルク伝達効率を向上させることができる。一方、伝達トルクが高いときは、例えば図14に示すように、接触部27−1,27−2の軸線方向長さL3,L4が長いため、接触部27−1,27−2での面圧を低減することができる。その結果、サンローラ21−1,21−2及び各ピニオンローラ23の転動疲労寿命の低下を招くことなく、トルク伝達容量を増大させることができる。また、各ピニオン側円筒面33−3とリング側円筒面32との接触部28では、スピン損失はほとんど発生しないため、トルク伝達効率をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、サン側テーパ面31−1,31−2及びピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさを微小角度(例えば10°以下程度)にすることで、接触部27−1,27−2の押圧力変化に対する軸線方向長さの変化幅を増大させることができる。その場合には、実施形態1と同様に、サン側テーパ面31−1,31−2のテーパ角度の大きさをピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさよりも微小角度分(例えば0.5°程度)大きくすることが好ましい。これによって、ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度がサン側テーパ面31−1,31−2のテーパ角度よりも大きくなる方向にテーパ角度にばらつきが生じるのを防ぐことができる。その結果、テーパ角度のばらつきにより接触部27−1,27−2での面圧が増加するのを抑えることができる。
なお、本実施形態でも、トルクカム機構25−1,25−2以外に例えば油圧等のアクチュエータを利用して、サンローラ21−1,21−2に作用するトルクに応じてサンローラ21−1,21−2に作用させる軸線方向の推力を変化させることもできる。
「実施形態3」
図15は、本発明の実施形態2に係るトラクションドライブ機構の概略構成を示す図であり、ローラ121−1,121−2の回転中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
図15は、本発明の実施形態2に係るトラクションドライブ機構の概略構成を示す図であり、ローラ121−1,121−2の回転中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
一対のローラ(第1ローラ)121−1,121−2は、その軸線方向に互いに間隔をおいて対向配置されており、ローラ121−1がローラ121−2よりも軸線方向の一方側(図15の左側)に配置されている。ローラ121−1の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側(図15の左側から右側)にかけて外径が徐々に減少するテーパ面(円錐面)131−1が形成されており、ローラ121−2の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に増大するテーパ面(円錐面)131−2が形成されている。テーパ面131−1,131−2のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは互いに等しく、テーパ面131−1,131−2の外径の最大値及び最小値は互いに等しい。
ローラ(第2ローラ)123の回転中心軸(軸線)は、ローラ121−1,121−2の回転中心軸(軸線)と平行である。ローラ123の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に増大するテーパ面(円錐面)133−1と、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に減少するテーパ面(円錐面)133−2と、が軸線方向に互いに間隔をおいて形成されており、テーパ面133−1がテーパ面133−2よりも軸線方向の一方側に配置されている。テーパ面133−1,133−2のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは互いに等しく、テーパ面133−1,133−2の外径の最大値及び最小値は互いに等しい。テーパ面133−1,133−2のテーパ角度の大きさは、テーパ面131−1,131−2のテーパ角度の大きさと等しいか若干異なる。テーパ面133−1はテーパ面131−1と接触し、テーパ面133−2はテーパ面131−2と接触する。テーパ面133−1とテーパ面131−1との接触部127−1、及びテーパ面133−2とテーパ面131−2との接触部127−2は、いずれも軸線方向に関して長さを有し、線接触である。
トルクカム機構25−1において、カムディスク29−1は、軸線方向に関してローラ121−1と間隔をおいて対向配置され、ローラ121−1よりも軸線方向の一方側に配置されている。軸線方向の一方側に関するローラ121−1の側面には、複数のカム面121−1bが複数のカム面29−1bとそれぞれ対向して形成され、各カムローラ30−1は、軸線方向に関してこれらのカム面121−1b,29−1bの間に挟まれて配設されている。ローラ121−1に作用するトルクによってローラ121−1とカムディスク29−1との間に位相差が発生すると、各カムローラ30−1がカム面121−1b,29−1bに沿って転動することで、カムディスク29−1に対するローラ121−1の相対回転が抑制されるとともに、ローラ121−1に軸線方向の他方側への推力が作用する。この推力によりローラ121−1が軸線方向の他方側へ移動すると、ローラ121−1のテーパ面131−1がローラ123のテーパ面133−1を押圧することで、接触部127−1に押圧力(法線力)が作用する。接触部127−1に作用する押圧力(ローラ121−1に作用する軸線方向の推力)は、ローラ121−1に作用するトルクに応じて変化し、ローラ121−1に作用するトルクの増大に対して増大する。
同様に、トルクカム機構25−2において、カムディスク29−2は、軸線方向に関してローラ121−2と間隔をおいて対向配置され、ローラ121−2よりも軸線方向の他方側に配置されている。軸線方向の他方側に関するローラ121−2の側面には、複数のカム面121−2bが複数のカム面29−2bとそれぞれ対向して形成され、各カムローラ30−2は、軸線方向に関してこれらのカム面121−2b,29−2bの間に挟まれて配設されている。ローラ121−2に作用するトルクによってローラ121−2とカムディスク29−2との間に位相差が発生すると、各カムローラ30−2がカム面121−2b,29−2bに沿って転動することで、カムディスク29−2に対するローラ121−2の相対回転が抑制されるとともに、ローラ121−2に軸線方向の一方側への推力が作用する。この推力によりローラ121−2が軸線方向の一方側へ移動すると、ローラ121−2のテーパ面131−2がローラ123のテーパ面133−2を押圧することで、接触部127−2に押圧力(法線力)が作用する。接触部127−2に作用する押圧力(ローラ121−2に作用する軸線方向の推力)は、ローラ121−2に作用するトルクに応じて変化し、ローラ121−2に作用するトルクの増大に対して増大する。なお、ローラ121−1,121−2は軸線方向に移動可能な状態で支持される。
本実施形態では、図16に示すように、ローラ121−1にトルクが作用していない状態において、テーパ面131−1は、軸線方向に関してテーパ面133−1の一方側の端部よりも外側(軸線方向の一方側、図16の左側)に張り出した部分141−1を有し、テーパ面133−1は、軸線方向に関してテーパ面131−1の他方側の端部よりも内側(軸線方向の他方側、図16の右側)に張り出した部分143−1を有する。つまり、ローラ121−1にトルクが作用していない状態では、テーパ面131−1における張り出した部分141−1はテーパ面133−1と接触せず、テーパ面133−1における張り出した部分143−1はテーパ面131−1と接触しない。同様に、ローラ121−2にトルクが作用していない状態において、テーパ面131−2は、軸線方向に関してテーパ面133−2の他方側の端部よりも外側(軸線方向の他方側、図16の右側)に張り出した部分141−2を有し、テーパ面133−2は、軸線方向に関してテーパ面131−2の一方側の端部よりも内側(軸線方向の一方側、図16の左側)に張り出した部分143−2を有する。つまり、ローラ121−2にトルクが作用していない状態では、テーパ面131−2における張り出した部分141−2はテーパ面133−2と接触せず、テーパ面133−2における張り出した部分143−1はテーパ面131−2と接触しない。
トラクションドライブ機構でトルク伝達を行う場合は、トルクカム機構25−1,25−2は、ローラ121−1,121−2にトルクが作用するのに応じて、ローラ121−1,121−2に軸線方向の推力を作用させることで、各接触部127−1,127−2に押圧力を作用させる。これによって、接触部127−1,127−2にトラクション力を発生させることができ、ローラ121−1,121−2とローラ123との間でトルク伝達を行うことができる。ローラ121−1に作用するトルクに応じて発生する推力によりローラ121−1が軸線方向の他方側へ移動すると、図17に示すように、テーパ面131−1における張り出した部分(テーパ面133−1と接触しない部分)141−1の軸線方向長さ、及びテーパ面133−1における張り出した部分(テーパ面131−1と接触しない部分)143−1の軸線方向長さが減少する。これによって、テーパ面131−1とテーパ面133−1との接触部127−1の軸線方向長さL5が増大する。同様に、ローラ121−2に作用するトルクに応じて発生する推力によりローラ121−2が軸線方向の一方側へ移動すると、テーパ面131−2における張り出した部分(テーパ面133−2と接触しない部分)141−2の軸線方向長さ、及びテーパ面133−2における張り出した部分(テーパ面131−2と接触しない部分)143−2の軸線方向長さが減少する。これによって、テーパ面131−2とテーパ面133−2との接触部127−2の軸線方向長さL6が増大する。また、トルクカム機構25−1,25−2は、ローラ121−1,121−2に軸線方向の推力を作用させない(接触部127−1,127−2に押圧力を作用させない)ことで、ローラ121−1,121−2とローラ123との間のトルク伝達を遮断することが可能となる。
このように、トルクカム機構25−1,25−2は、ローラ121−1,121−2に作用させる推力に応じて、テーパ面131−1,131−2における張り出した部分(テーパ面133−1,133−2と接触しない部分)141−1,141−2の軸線方向長さ、及びテーパ面133−1,133−2における張り出した部分(テーパ面131−1,131−2と接触しない部分)143−1,143−2の軸線方向長さを変化させることで、接触部127−1,127−2の軸線方向長さL5,L6を変化させる。したがって、トルクカム機構25−1,25−2は、ローラ121−1,121−2に作用するトルクに応じてローラ121−1,121−2に作用させる推力を変化させることで、接触部127−1,127−2に作用させる押圧力を変化させるだけでなく、接触部127−1,127−2の軸線方向長さL5,L6も変化させることができる。接触部127−1,127−2の軸線方向長さL5,L6は、ローラ121−1,121−2に作用するトルクの増大に対して増大する。
以上説明した本実施形態によれば、伝達トルクが0または低いときは、例えば図16に示すように、接触部127−1,127−2の軸線方向長さL5,L6が短いため、接触部127−1,127−2でのスピン損失を低減することができ、トルク伝達効率を向上させることができる。一方、伝達トルクが高いときは、例えば図17に示すように、接触部127−1,127−2の軸線方向長さL5,L6が長いため、接触部127−1,127−2での面圧を低減することができる。その結果、ローラ121−1,121−2,123の転動疲労寿命の低下を招くことなく、トルク伝達容量を増大させることができる。
また、本実施形態では、テーパ面131−1,131−2,133−1,133−2のテーパ角度の大きさを微小角度(例えば10°以下程度)にすることで、接触部127−1,127−2の押圧力変化に対する軸線方向長さの変化幅を増大させることができる。その場合には、実施形態1,2と同様に、テーパ面131−1,131−2のテーパ角度の大きさをテーパ面133−1,133−2のテーパ角度の大きさよりも微小角度分(例えば0.5°程度)大きくすることが好ましい。これによって、テーパ面133−1,133−2のテーパ角度がテーパ面131−1,131−2のテーパ角度よりも大きくなる方向にテーパ角度にばらつきが生じるのを防ぐことができる。その結果、テーパ角度のばらつきにより接触部127−1,127−2での面圧が増加するのを抑えることができる。
なお、本実施形態でも、トルクカム機構25−1,25−2以外に例えば油圧等のアクチュエータを利用して、ローラ121−1,121−2に作用するトルクに応じてローラ121−1,121−2に作用させる軸線方向の推力を変化させることもできる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
12 遊星ローラ機構、21,21−1,21−2 サンローラ、22,22−1,22−2 リングローラ、23 ピニオンローラ、24 キャリア、25−1,25−2 トルクカム機構、27,27−1,27−2,28,28−1,28−2,127−1,127−2 接触部、29−1,29−2 カムディスク、30−1,30−2 カムローラ、31−1,31−2 サン側テーパ面、32−1,32−2 リング側テーパ面、33−1,33−2 ピニオン側テーパ面、121−1,121−2,123 ローラ。
Claims (13)
- サンローラとリングローラとの間にピニオンローラがこれらと接触して挟持された遊星ローラ機構を備えるトラクションドライブ機構であって、
リングローラの内周面には、リング側テーパ面が形成され、
ピニオンローラの外周面には、リング側テーパ面と接触するピニオン側テーパ面が形成され、
リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に押圧力を作用させるようリングローラにその軸線方向の推力を作用させる押圧機構が設けられ、
押圧機構は、リングローラに作用するトルクに応じてリングローラに作用させる推力を変化させることで、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させるとともに、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部長さを変化させる、トラクションドライブ機構。 - 請求項1に記載のトラクションドライブ機構であって、
リングローラにトルクが作用していない状態において、リング側テーパ面はピニオン側テーパ面と接触しない部分を有し、ピニオン側テーパ面はリング側テーパ面と接触しない部分を有し、
押圧機構は、リングローラに作用させる推力に応じて、リング側テーパ面におけるピニオン側テーパ面と接触しない部分の長さ、及びピニオン側テーパ面におけるリング側テーパ面と接触しない部分の長さを変化させる、トラクションドライブ機構。 - 請求項1または2に記載のトラクションドライブ機構であって、
リング側テーパ面のテーパ角度がピニオン側テーパ面のテーパ角度よりも微小角度分大きい、トラクションドライブ機構。 - 請求項1〜3のいずれか1に記載のトラクションドライブ機構であって、
ピニオンローラの外周面には、サンローラの外周面と接触する円筒面がさらに形成されている、トラクションドライブ機構。 - 請求項1〜4のいずれか1に記載のトラクションドライブ機構であって、
遊星ローラ機構は、ピニオンローラを回転自在に支持するキャリアとサンローラとリングローラのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能であり、
押圧機構は、リングローラに推力を作用させないことで遊星ローラ機構におけるトルク伝達を遮断する、トラクションドライブ機構。 - サンローラとリングローラとの間にピニオンローラがこれらと接触して挟持された遊星ローラ機構を備えるトラクションドライブ機構であって、
サンローラの外周面には、サン側テーパ面が形成され、
ピニオンローラの外周面には、サン側テーパ面と接触するピニオン側テーパ面が形成され、
サン側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に押圧力を作用させるようサンローラにその軸線方向の推力を作用させる押圧機構が設けられ、
押圧機構は、サンローラに作用するトルクに応じてサンローラに作用させる推力を変化させることで、サン側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させるとともに、サン側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部長さを変化させる、トラクションドライブ機構。 - 請求項6に記載のトラクションドライブ機構であって、
サンローラにトルクが作用していない状態において、サン側テーパ面はピニオン側テーパ面と接触しない部分を有し、ピニオン側テーパ面はサン側テーパ面と接触しない部分を有し、
押圧機構は、サンローラに作用させる推力に応じて、サン側テーパ面におけるピニオン側テーパ面と接触しない部分の長さ、及びピニオン側テーパ面におけるサン側テーパ面と接触しない部分の長さを変化させる、トラクションドライブ機構。 - 請求項6または7に記載のトラクションドライブ機構であって、
サン側テーパ面のテーパ角度がピニオン側テーパ面のテーパ角度よりも微小角度分大きい、トラクションドライブ機構。 - 請求項6〜8のいずれか1に記載のトラクションドライブ機構であって、
ピニオンローラの外周面には、リングローラの内周面と接触する円筒面がさらに形成されている、トラクションドライブ機構。 - 請求項6〜9のいずれか1に記載のトラクションドライブ機構であって、
遊星ローラ機構は、ピニオンローラを回転自在に支持するキャリアとサンローラとリングローラのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能であり、
押圧機構は、サンローラに推力を作用させないことで遊星ローラ機構におけるトルク伝達を遮断する、トラクションドライブ機構。 - 第1ローラの第1転動面と第2ローラの第2転動面との接触部に作用するトラクション力によって、第1ローラと第2ローラとの間でトルク伝達を行うことが可能なトラクションドライブ機構であって、
第1転動面には、第1テーパ面が形成され、
第2転動面には、第1テーパ面と接触する第2テーパ面が形成され、
第1テーパ面と第2テーパ面との接触部に押圧力を作用させるよう第1ローラにその軸線方向の推力を作用させる押圧機構が設けられ、
押圧機構は、第1ローラに作用するトルクに応じて第1ローラに作用させる推力を変化させることで、第1テーパ面と第2テーパ面との接触部に作用させる押圧力を変化させるとともに、第1テーパ面と第2テーパ面との接触部長さを変化させる、トラクションドライブ機構。 - 請求項11に記載のトラクションドライブ機構であって、
第1ローラにトルクが作用していない状態において、第1テーパ面は第2テーパ面と接触しない部分を有し、第2テーパ面は第1テーパ面と接触しない部分を有し、
押圧機構は、第1ローラに作用させる推力に応じて、第1テーパ面における第2テーパ面と接触しない部分の長さ、及び第2テーパ面における第1テーパ面と接触しない部分の長さを変化させる、トラクションドライブ機構。 - 請求項11または12に記載のトラクションドライブ機構であって、
押圧機構は、第1ローラに推力を作用させないことで第1ローラと第2ローラとの間のトルク伝達を遮断する、トラクションドライブ機構。
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