JP5862335B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば車両(自動車)用の自動変速機、建設機械(建機)用の自動変速機、航空機(固定翼機、回転翼機、飛行船等)等で使用されるジェネレータ(発電機)用の自動変速機、ポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の自動変速機として利用する、ハーフトロイダル型のトロイダル型無段変速機の改良に関する。
自動車用変速装置としてハーフトロイダル型のトロイダル型無段変速機を使用する事が、特許文献1〜4等の多くの刊行物に記載されると共に一部で実施されていて周知である。又、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせて変速比の調整幅を広くする構造も、特許文献5等、やはり多くの刊行物に記載されて、従来から広く知られている。図7〜8は、これら各特許文献に記載されて従来から広く知られているトロイダル型無段変速機の第1例を示している。この従来構造の第1例の場合、入力回転軸1の両端寄り部分の周囲に1対の入力ディスク2、2を、それぞれがトロイド曲面である内側面同士を互いに対向させた状態で、前記入力回転軸1と同期した回転を可能に支持している。又、この入力回転軸1の中間部周囲に出力筒3を、この入力回転軸1に対する回転を可能に支持している。又、この出力筒3の外周面には、軸方向中央部に出力歯車4を固設すると共に、軸方向両端部に1対の出力ディスク5、5を、スプライン係合により、前記出力筒3と同期した回転を可能に支持している。又、この状態で、それぞれがトロイド曲面である、前記両出力ディスク5、5の内側面を、前記両入力ディスク2、2の内側面に対向させている。
又、前記両入力ディスク2、2と前記両出力ディスク5、5との間に、それぞれの周面を球状凸面とした複数個のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニオン7、7に回転自在に支持されており、これら各トラニオン7、7は、それぞれ前記各ディスク2、5の中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸8、8を中心とする揺動変位自在に支持されている。即ち、これら各トラニオン7、7は、それぞれの軸方向両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸8、8と、これら各傾転軸8、8同士の間に存在する支持梁部9、9とを備えており、これら各傾転軸8、8が、支持板10、10に対し、ラジアルニードル軸受11、11を介して枢支されている。
又、前記各パワーローラ6、6は、前記各トラニオン7、7を構成する支持梁部9、9の内側面に、基半部と先半部とが互いに偏心した支持軸12、12と、複数の転がり軸受とを介して、これら各支持軸12、12の先半部回りの回転、及び、これら各支持軸12、12の基半部を中心とする若干の揺動変位可能に支持されている。この様な各パワーローラ6、6の外側面と、前記各トラニオン7、7を構成する支持梁部9、9の内側面との間には、それぞれが前記複数の転がり軸受の一部である、スラスト玉軸受13、13と、スラストニードル軸受14、14とを、前記各パワーローラ6、6の側から順番に設けている。このうちのスラスト玉軸受13、13は、前記各パワーローラ6、6に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ6、6の回転を許容するものである。これら各スラスト玉軸受13、13は、前記各パワーローラ6、6の外側面に形成された内輪軌道15と、外輪16の内側面に形成された外輪軌道17との間に複数個の玉18、18を、転動可能に設けて成る。又、前記各スラストニードル軸受14、14は、前記各パワーローラ6、6から前記各スラスト玉軸受13、13を構成する外輪16、16に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これら各外輪16、16及び前記各支持軸12、12の先半部が、これら各支持軸12、12の基半部を中心に揺動する事を許容するものである。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、駆動軸19により一方(図7の左方)の入力ディスク2を、押圧装置20を介して回転駆動する。この結果、前記入力回転軸1の両端部に支持された1対の入力ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、前記各パワーローラ6、6を介して前記両出力ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。前記入力回転軸1とこの出力歯車4との間の変速比を変える場合は、油圧式のアクチュエータ21、21により前記各トラニオン7、7を前記各傾転軸8、8の軸方向に変位させる。この結果、前記各パワーローラ6、6の周面と前記各ディスク2、5の内側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化する(転がり接触部にサイドスリップが発生する)。そして、この力の向きの変化に伴って前記各トラニオン7、7が、自身の傾転軸8、8を中心に揺動し、前記各パワーローラ6、6の周面と前記各ディスク2、5の内側面との接触位置が変化する。これら各パワーローラ6、6の周面を、前記両入力ディスク2、2の内側面の径方向外寄り部分と、前記両出力ディスク5、5の内側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、前記入力回転軸1と前記出力歯車4との間の変速比が増速側になる。これに対して、前記各パワーローラ6、6の周面を、前記両入力ディスク2、2の内側面の径方向内寄り部分と、前記両出力ディスク5、5の内側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、前記入力回転軸1と前記出力歯車4との間の変速比が減速側になる。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、動力の伝達に供される各部材、即ち、前記入力、出力各ディスク2、5と前記各パワーローラ6、6とが、前記押圧装置20が発生する押圧力に基づいて弾性変形する。そして、この弾性変形に伴って、前記入力、出力各ディスク2、5が軸方向に変位する。又、前記押圧装置20が発生する押圧力は、前記トロイダル型無段変速機により伝達するトルクが大きくなる程大きくなり、それに伴って前記各部材2、5、6の弾性変形量も多くなる。従って、前記トルクの変動に拘らず、前記入力、出力各ディスク2、5の内側面と前記各パワーローラ6、6の周面との接触状態を適正に維持する為に、前記各トラニオン7、7に対してこれら各パワーローラ6、6を、前記各ディスク2、5の軸方向に変位させる機構が必要になる。上述した従来構造の第1例の場合には、前記各パワーローラ6、6を支持した前記各支持軸12、12の先半部を、同じく基半部を中心として揺動変位させる事により、前記各パワーローラ6、6を前記軸方向に変位させる様にしている。
上述の様な従来構造の第1例の場合、前記各パワーローラ6、6を前記軸方向に変位させる為の構造が複雑で、部品製作、部品管理、組立作業が何れも面倒になり、コストが嵩む事が避けられない。この様な問題を解決する為の技術として前記特許文献3には、図9〜15に示す様な構造が記載されている。本発明は、この図9〜15に示した従来構造の第2例を改良するものであるから、次に、この従来構造の第2例に就いて説明する。この従来構造の第2例の特徴は、トラニオン7aに対してパワーローラ6aを、入力、出力各ディスク2、5(図7参照)の軸方向の変位を可能に支持する部分の構造にあり、トロイダル型無段変速機全体としての基本的構造及び作用は、前述の図7〜8に示した従来構造の第1例と同様である。
前記従来構造の第2例を構成するトラニオン7aは、両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸8a、8bと、これら両傾転軸8a、8b同士の間に存在し、少なくとも入力、出力各ディスク2、5(図7参照)の径方向(図10、13〜14の上下方向)に関する内側(図10、13〜14の上側)の側面を円筒状凸面22とした、支持梁部23とを備える。前記両傾転軸8a、8bは、それぞれラジアルニードル軸受11a、11aを介して、支持板10、10(図8参照)に、揺動及び軸方向の変位を可能に支持する。
又、前記円筒状凸面22の中心軸イは、図10、13に示す様に、前記両傾転軸8a、8bの中心軸ロと平行で、これら両傾転軸8a、8bの中心軸ロよりも、前記各ディスク2、5の径方向に関して外側(図10、13〜14の下側)に存在する。又、前記支持梁部23とパワーローラ6aの外側面との間に設けるスラスト玉軸受13aを構成する外輪16aの外側面に、部分円筒面状の凹部24を、この外側面を径方向に横切る状態で設けている。そして、この凹部24と、前記支持梁部23の円筒状凸面22とを係合させ、前記トラニオン7aに対して前記外輪16aを、前記各ディスク2、5の軸方向に関する揺動変位を可能に支持している。
又、前記外輪16aの内側面中央部に支持軸12aを、この外輪16aと一体に固設して、前記パワーローラ6aをこの支持軸12aの周囲に、ラジアルニードル軸受25を介して、回転自在に支持している。更に、前記トラニオン7aの内側面のうち、前記支持梁部23の両端部と1対の傾転軸8a、8bとの連続部に、互いに対向する1対の段差面26、26を設けている。そして、これら両段差面26、26と、前記スラスト玉軸受13aを構成する外輪16aの外周面とを、当接若しくは近接対向させて、前記パワーローラ6aからこの外輪16aに加わるトラクション力を、何れかの段差面26、26で支承可能としている。
上述の様に構成する従来構造の第2例のトロイダル型無段変速機によれば、前記パワーローラ6aを前記各ディスク2、5の軸方向に変位させて、構成各部材の弾性変形量の変化に拘らず、このパワーローラ6aの周面と前記各ディスク2、5との接触状態を適正に維持できる構造を、簡単で低コストに構成できる。
即ち、トロイダル型無段変速機の運転時に、入力、出力各ディスク2、5、各パワーローラ6a等の弾性変形に基づき、これら各パワーローラ6aをこれら各ディスク2、5の軸方向に変位させる必要が生じると、これら各パワーローラ6aを回転自在に支持している前記スラスト玉軸受13aの外輪16aが、外側面に設けた部分円筒面状の凹部24と支持梁部23の円筒状凸面22との当接面を滑らせつつ、この円筒状凸面22の中心軸イを中心として揺動変位する。この揺動変位に基づき、前記各パワーローラ6aの周面のうちで、前記各ディスク2、5の軸方向片側面と転がり接触する部分が、これら各ディスク2、5の軸方向に変位し、前記接触状態を適正に維持する。
前述した通り、前記円筒状凸面22の中心軸イは、変速動作の際に各トラニオン7aの揺動中心となる傾転軸8a、8bの中心軸ロよりも、前記各ディスク2、5の径方向に関して外側に存在する。従って、前記円筒状凸面22の中心軸イを中心とする揺動変位の半径は、前記変速動作の際の揺動半径よりも大きく、前記両入力ディスク2、2と前記両出力ディスク5、5との間の変速比の変動に及ぼす影響は少ない(無視できるか、容易に修正できる範囲に留まる)。
図9〜15に示した従来構造の第2例の場合、図7〜8に示した同第1例に比べて、部品製作、部品管理、組立作業が何れも容易になり、コスト低廉化を図り易いが、変速動作を安定させる面からは、改良の余地がある。この理由は、前記各支持梁部23を中心とする前記各外輪16aの揺動変位を円滑に行わせる為、これら各支持梁部23の両端部分に1対ずつ設けた、前記各段差面26、26同士の間隔Dを、前記各外輪16aの外径dよりも少し大きく(D>d)する為である。これら各外輪16a、及び、この外輪16aと同心に支持された前記各パワーローラ6aは、前記間隔Dと前記外径dとの差(D−d)分だけ、前記各支持梁部23の軸方向に変位可能になる。
一方、トロイダル型無段変速機を搭載した車両の運転時、前記各パワーローラ6aには前記各ディスク2、5から、加速時と減速時(エンジンブレーキの作動時)とで逆方向の力(トロイダル型無段変速機の技術分野で周知の「2Ft」)が加わる。そして、この力2Ftにより、前記各パワーローラ6aが、前記各外輪16aと共に、前記各支持梁部23の軸方向に変位する。この変位の方向は、前述した各アクチュエータ21、21による各トラニオン7、7(図8参照)の変位方向と同じであり、変位量が0.1mm程度であっても、変速動作が開始される可能性を生じる。そして、この様な原因で変速動作が開始された場合には、運転動作とは直接関連しない変速動作となり、何れ修正されるにしても、運転者に違和感を与える。特に、トロイダル型無段変速機が伝達するトルクが低い状態で、上述の様な、運転者が意図しない変速が行われると、運転者に与える違和感が大きくなり易い。
上述の様にして生じる、運転動作とは直接関連しない変速動作の発生を抑える為には、前記間隔Dと前記外径dとの差(D−d)を僅少に(例えば数十μm程度に)抑える事が考えられる。但し、ハーフトロイダル型のトロイダル型無段変速機の運転時には、トラクション部から前記各パワーローラ6a、前記各外輪16aを介して前記各支持梁部23に加わるスラスト荷重により、前記各トラニオン7aが、図15に誇張して示す様に、前記各外輪16aを設置した側が凹となる方向に弾性変形する。そして、この弾性変形の結果、前記各トラニオン7a毎に1対ずつ設けた段差面26、26同士の間隔が縮まる。この様な状態でも、これら両段差面26、26同士の間隔Dが前記各外輪16aの外径d以下にならない様にする為には、通常状態(前記各トラニオン7aが弾性変形していない状態)での、前記間隔Dと前記外径dとの差を或る程度確保する必要がある。この結果、特に違和感が大きくなり易い、低トルクでの運転時に、上述の様な、運転動作とは直接関連しない変速動作が発生し易くなる。
一方、前記特許文献3には、支持梁部側に設けた円筒状凸面の一部に係止したアンカ駒と、外輪側の凹部の内面に形成したアンカ溝とを係合させる事により、前記力2Ftを支承する構造が記載されている。又、円筒状凸面と凹部との互いに整合する部分に形成された、それぞれが断面円弧形である転動溝同士の間に複数個の玉を掛け渡して、前記力2Ftを支承する構造も記載されている。但し、前者の構造の場合には、前記アンカ駒を前記支持梁部に、前記力2Ftを支承できる程度の強度及び剛性を確保して支持固定する事が難しく、低コスト化と十分な信頼性確保とを図りにくい。又、後者の場合には、前記力2Ftが大きくなり、前記各玉の転動面と前記各転動溝との転がり接触部の面圧が上昇すると、これら各転動溝の内面に圧痕が形成され、各トラニオンに対して各内輪が揺動変位する際に振動が発生する可能性がある。
特開2003−214516号公報 特開2007−315595号公報 特開2008−25821号公報 特開2008−275088号公報 特開2004−169719号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、部品製作、部品管理、組立作業が何れも容易になり、コスト低廉化を図り易く、しかも変速動作を安定させられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のトロイダル型無段変速機は、少なくとも1対のディスクと、複数のトラニオンと、これら各トラニオンと同数のパワーローラと、同じく同数のスラスト転がり軸受とを備える。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、前記各ディスクの軸方向片側面と前記各パワーローラの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力(法線力)の方向と、これら各パワーローラの中心軸とが成す角度をθとし、前記トラクション部のトラクション係数をλとし、外輪の凹部と支持梁部の円筒状凸面との係合部の、この支持梁部の軸方向に関する静止摩擦係数をμとした場合に、常にcosθ≧λ/μの関係を満たす。
上述の様な本発明のトロイダル型無段変速機を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面とのうちの少なくとも一方に、その内面がこれら各支持梁部の中心軸に対して傾斜した凹溝を1箇所乃至複数箇所、前記凹部又は円筒状凸面の周方向に設ける。
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、部品製作、部品管理、組立作業が何れも容易になり、コスト低廉化を図り易く、しかも変速動作を安定させられる構造を実現できる。
このうちのコスト低廉化は、前述の図9〜15に示した従来構造の第2例と同様の理由により、図り易い。
又、変速動作の安定化は、各ディスクの軸方向片側面と前記パワーローラの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力(法線力)の方向と、このパワーローラの中心軸とが成す角度をθとし、このトラクション部のトラクション係数をλとし、外輪の凹部と支持梁部の円筒状凸面との係合部の、この支持梁部の軸方向に関する静止摩擦係数をμとした場合に、常にcosθ≧λ/μの関係を満たす事により図れる。即ち、この関係を満たす事で、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との間に働く静止摩擦力を、前述した力2Ft以上とする事ができる。この結果、前記各外輪が各トラニオンに対し、前記各支持梁部の軸方向に変位するのを防止できる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、図13と同様の図。 各ディスクからパワーローラに付与される力の状態を表わす模式図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、スラスト玉軸受を介してパワーローラを支持したトラニオンを各ディスクの径方向内側から見た状態で示す斜視図。 組み合わせる以前の状態で、外輪とトラニオンとを示す斜視図。 トラニオンの別の実施の形態の3例を示す斜視図。 外輪の別の実施の形態の3例を示す斜視図。 従来構造の第1例を示す断面図。 図7のX−X断面図。 従来構造の第2例を示す、スラスト玉軸受を介してパワーローラを支持したトラニオンを、各ディスクの径方向外側から見た斜視図。 同じく、ディスクの周方向から見た状態で示す正面図。 図10の上方から見た平面図。 図11の右方から見た側面図。 図11のY−Y断面図。 図10のZ−Z断面図。 パワーローラから加わるスラスト荷重に基づいてトラニオンが弾性変形した状態を誇張して示す、図13と同方向から見た断面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、変速動作を安定させるべく、トラニオン7bの支持梁部23aに対し、スラスト玉軸受13aを構成する外輪16bを、この支持梁部23aに対する揺動変位を可能に支持しつつ、この支持梁部23aの軸方向に変位しない様にする為の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9〜15に示した従来構造の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の構造の場合、パワーローラ6bの周面と入力、出力各ディスク2、5の内側面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力(法線力)Fcの方向と、前記パワーローラ6bの中心軸との成す角度(半頂角)をθとし、前記各トラクション部のトラクション係数をλとし、前記外輪16bの凹部24aと前記支持梁部23aの円筒状凸面22aとの係合部の、この支持梁部23aの軸方向に関する静止摩擦係数をμとした場合、前記支持梁部23aに対する前記外輪16bの揺動変位に拘らず、常に、次の(1)式の関係を満たす様にしている。
Figure 0005862335
上述の様に構成する本例のトロイダル無段変速機は、前記外輪16bの凹部24aと前記支持梁部23aの円筒状凸面22aとの間に働く静止摩擦力により、前記トラニオン7bに加わる力2Ftを支承する。即ち、前記入力、出力各ディスク2、5と前記パワーローラ6bとの押し付け合いに基づき、このパワーローラ6bに加わるスラスト方向の荷重をFprとすると、前記外輪16bの凹部24aと前記支持梁部23aの円筒状凸面22aとの間に於ける最大静止摩擦力Fsは、次の(2)式で表わされる。
Figure 0005862335
この最大静止摩擦力Fsが前記力2Ft以上(|Fs|≧|2Ft|)であれば、前記トラニオン7bの段差面26、26同士の間で、前記外輪16bと、この外輪16bと同心に支持されたパワーローラ6bとが、前記支持梁部23aの軸方向に変位するのを防止できる。
又、前記スラスト方向の荷重Fprと、前記法線力Fcとの関係は、次の(3)式で表わされる。
Figure 0005862335
前記トラクション係数λは、λ=Ft/Fcであるから、前記各値θ、λ、μを前記(1)式の関係を満たす様に規制すれば、前記最大静止摩擦力Fsを前記力2Ft以上(|Fs|≧|2Ft|)にできる。本例の場合、前記入力、出力各ディスク2、5の内側面及び前記各パワーローラ6bの周面の曲率、前記各トラクション部に供給するトラクションオイルの粘度等を適切に規制する事により、前記(1)式の関係を満たす様にしている。
尚、前記角度θは、前記(1)式の関係を満たす範囲でできる限り大きくする事が好ましい。即ち、この角度θを大きくする程、前記スラスト方向の荷重Fprを小さくできる為、このスラスト方向の荷重Fprを支承するトラニオン7bを小型且つ軽量にできる。
[実施の形態の第2例]
図3〜4は、全請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、トラニオン7bを構成する支持梁部23bの円筒状凸面22bに周方向に亙る凹溝27、27を、軸方向複数箇所に設ける事で、この円筒状凸面22bに軸方向に亙る凹凸を設けている。前記各凹溝27、27の両内側面は、この円筒状凸面22bの軸方向に対し傾斜している。又、外輪16cの凹部24bに周方向に亙る凹溝28、28を、軸方向複数箇所に設ける事で、前記凹部24bに軸方向に亙る凹凸を設けている。これら各凹溝28、28の両内側面に関しても、この凹部24bの軸方向に対し傾斜している。前記各凹溝27、28の深さや幅、個数は、前記円筒状凸面22bと前記凹部24bとの間の係合部の、軸方向の静止摩擦係数を目標とする値以上としつつ、前記支持梁部23bを中心とする前記外輪16cの揺動変位を円滑に行える様に、設計的に定める。この様な、円筒状凸面22bと凹部24bとを係合させる事で、この係合部の軸方向に関する静止摩擦係数を大きくしている。一方、前記各凹溝27、28を周方向に亙り設けている為、前記係合部の周方向に関する摩擦係数が徒に大きくなるのを防止できる。この結果、前記支持梁部23bに対する前記外輪16cの軸方向の変位を防止しつつ、この支持梁部23bを中心とするこの外輪16cの揺動変位を円滑に行わせる事ができる。
[軸方向の静止摩擦係数の増大の為の構造に就いて]
外輪が支持梁部に対し軸方向に変位するのを防止して、変速動作を安定して行う為には、特に前述した力2Ftが大きい場合に、前記外輪の凹部と前記支持梁部の円筒状凸面との係合部の静止摩擦力を大きくする必要がある。この様な観点で考えた、軸方向の静止摩擦係数の増大の為の構造の3例に就いて、図5により説明する。
図5の(A)〜(C)に示した、全請求項に対応する構造は、何れも、支持梁部23cの円筒状凸面22c〜23eの一部に、複数の凹溝27a〜27cを設けている。
このうちの図5の(A)に示した構造の場合には、円筒状凸面22cのうち、前述した様に、支持梁部23cに加わるスラスト荷重により、トラニオン7cが外輪16a(図9〜10、12〜14参照)を設置した側に弾性変形するのに伴い、この外輪16aの凹部24との面圧が高くなる部分に、周方向に亙る凹溝27a、27aを複数箇所に設けている。
又、図5の(B)に示した構造の場合には、円筒状凸面22dのうち、外輪16a(図9〜10、12〜14参照)が、パワーローラ6aが押圧装置の発生する押圧力に基づいて弾性変形するのに伴い、トラニオン7cを設置した側に弾性変形する事によって、前記外輪16aの凹部24と面圧が高くなる部分に、支持梁部23cの周方向の凹溝27b、27bを複数箇所に設けている。
又、図5の(C)に示した構造の場合には、円筒状凸面22eのうち、上述した様に、外輪16a(図9〜10、12〜14参照)が弾性変形するのに伴ってこの外輪16aの凹部24との面圧が高くなる部分のうち、特に面圧が高くなる部分に、支持梁部23cの周方向の凹溝27c、27cを複数箇所に設けている。
それぞれが上述する様に構成する、図5の(A)〜(C)の3例の場合には、前記支持梁部23cの円筒状凸面22c〜22eと前記外輪16aの凹部24(図9、13〜14参照)との係合部の、この支持梁部23cの軸方向に関する最大静止摩擦力を大きくでき、前記外輪16aが前記トラニオン7cに対し、前記支持梁部23cの軸方向に変位するのを防止できる。即ち、前記力2Ftは、前述したトラクション部に付与される押し付け力(法線力)Fcが大きい程大きくなる。この法線力Fcが大きい程前記スラスト荷重も大きくなり、前記支持梁部23c乃至は前記外輪16aの弾性変形する量も多くなる。従って、これら両部材23c、16aの弾性変形に伴って面圧が高くなる部分に、前記各凹溝27a〜27cを設ける事により、特に前記力2Ftが大きい場合に、前記支持梁部23cの軸方向に関する静止摩擦係数を大きくする事ができる。
[軸方向の静止摩擦係数の増大の為の別構造に就いて]
外輪の凹部と支持梁部の円筒状凸面との両面のうち、前述した力2Ftが特に大きい場合に、軸方向の静止摩擦係数の増大の為の別の構造の3例に就いて、図6により説明する。
図6の(A)〜(C)に示した、全請求項に対応する構造は、何れも、外輪16cの凹部24c〜24eの一部に、複数の凹溝28a〜28cを設けている。
このうちの図6の(A)に示した構造の場合には、凹部24cのうち、トラニオン7aの支持梁部23(図9〜11、13〜14参照)に加わるスラスト荷重により、このトラニオン7aが前記外輪16cを設置した側が凹となる方向に弾性変形するのに伴って、前記支持梁部23の円筒状凸面22との面圧が高くなる部分に、周方向に亙る凹溝28a、28aを複数箇所に設けている。
又、図6の(B)に示した構造の場合には、凹部24dのうち、外輪16cが、パワーローラ6a(図9〜14参照)が押圧装置の発生する押圧力に基づいて弾性変形するのに伴い、トラニオン7を設置した側に弾性変形する事によって、支持梁部23の円筒状凸面22との面圧が高くなる部分に、周方向の凹溝28b、28bを複数箇所に設けている。
又、図6の(C)に示した構造の場合には、凹部24eのうち、上述した様に、外輪16cが弾性変形するのに伴って支持梁部23の円筒状凸面22(図9〜11、13〜14参照)との面圧が高くなる部分に、この支持梁部23の中心軸に対し傾斜した(この中心軸と成す角が鋭角である)凹溝28c、28cを複数箇所に設けている。
それぞれが上述の様に構成する、図6に示した3例の場合、前記外輪16c乃至前記支持梁部23(図9〜11、13〜14参照)の弾性変形に伴って面圧が高くなる部分に、前記各凹溝28a〜28cを設ける事により、特に前述した力2Ftが大きい場合に、前記支持梁部23の軸方向に関する静止摩擦係数を大きくする事ができる。
前述した図1に示す、本発明のトロイダル型無段変速機のトラクション係数λ、静止摩擦係数μ及び角度θに関して、具体的な値の1例を示す。
先ず、これら各値λ、μ、θに就いて、以下の様に規制する。
λ=0.055
μ=0.12
θ=62.5゜
この条件下で、λ/μ、cosθは、それぞれ0.458、0.462となり、前述した(1)式の関係を満たす。
本発明は、トロイダル型無段変速機単独で実施できる他、特許文献5に記載されている様な、遊星歯車機構と組み合わせた無段変速装置として実施する事もできる。この場合に、高速モードと低速モードとの切り換えに伴ってトロイダル型無段変速機のトルクの通過方向が逆転する際の変速比の変動を抑えられる。
1 入力回転軸
2 入力ディスク
3 出力筒
4 出力歯車
5 出力ディスク
6、6a、6b パワーローラ
7、7a、7b トラニオン
8、8a、8b 傾転軸
9 支持梁部
10 支持板
11、11a ラジアルニードル軸受
12、12a 支持軸
13、13a スラスト玉軸受
14 スラストニードル軸受
15 内輪軌道
16、16a〜16c 外輪
17 外輪軌道
18 玉
19 駆動軸
20 押圧装置
21 アクチュエータ
22、22a〜22e 円筒状凸面
23、23a〜23c 支持梁部
24、24a〜24e 凹部
25 ラジアルニードル軸受
26 段差面
27、27a〜27c 凹溝
28、28a〜28c 凹溝

Claims (2)

  1. 少なくとも1対のディスクと、複数のトラニオンと、これら各トラニオンと同数のパワーローラと、同じく同数のスラスト転がり軸受とを備え、
    このうちの各ディスクは、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を可能に支持されたものであり、
    前記各トラニオンは、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸と、これら両傾転軸同士の間に存在し、少なくとも前記各ディスクの径方向に関する内側の側面を、前記両傾転軸の中心軸と平行でこれら両傾転軸の中心軸よりも前記各ディスクの径方向に関して外側に存在する中心軸を有する、円筒状凸面とした支持梁部とを備えたもので、軸方向に関して前記各ディスクの軸方向側面同士の間位置の周方向に関して複数箇所に、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられており、
    前記各パワーローラは、前記各トラニオンの内側面に、それぞれスラスト転がり軸受を介して回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させており、
    前記各スラスト転がり軸受は、前記各トラニオンの支持梁部と前記各パワーローラの外側面との間に設けられたもので、これら各支持梁部側に設けられた外輪と、これら各外輪の内側面に設けられた外輪軌道と前記各パワーローラの外側面に設けられた内輪軌道との間に転動自在に、それぞれ複数個ずつ設けられた転動体とを備えたものであり、
    前記各スラスト転がり軸受の外輪は、これら各外輪の外側面に設けられた凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面とを係合させる事により、これら各トラニオンに対し、前記各ディスクの軸方向に関する揺動変位を可能に支持されているトロイダル型無段変速機に於いて、
    前記各ディスクの軸方向片側面と前記各パワーローラの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力の方向と、このパワーローラの中心軸とが成す角度をθとし、このトラクション部のトラクション係数をλとし、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との係合部の、これら各支持梁部の軸方向に関する静止摩擦係数をμとした場合に、常にcosθ≧λ/μを満たす事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面とのうちの少なくとも一方に、その内面がこれら各支持梁部の中心軸に対して傾斜した凹溝を1箇所乃至複数箇所、前記凹部又は円筒状凸面の周方向に設けている、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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