JP5990921B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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即ち、トロイダル型無段変速機の運転時に、入力、出力各ディスク2、5、各パワーローラ6a等の弾性変形に基づき、これら各パワーローラ6aをこれら各ディスク2、5の軸方向に変位させる必要が生じると、これら各パワーローラ6aを回転自在に支持している前記スラスト玉軸受13aの外輪16aが、外側面に設けた部分円筒面状の凹部24と支持梁部23の円筒状凸面22との当接面を滑らせつつ、この円筒状凸面22の中心軸イを中心として揺動変位する。この揺動変位に基づき、前記各パワーローラ6aの周面のうちで、前記各ディスク2、5の軸方向片側面と転がり接触する部分が、これら各ディスク2、5の軸方向に変位し、前記接触状態を適正に維持する。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、前記各トラニオンに、これら各トラニオンと共に揺動変位し、前記各パワーローラよりも前記各ディスクの径方向に関して内側に存在する内側支持梁を設ける。そして、これら各内側支持梁と前記各外輪との間に設けた弾性部材により、これら各外輪を前記各トラニオンの支持梁部に向けて弾性的に押圧する事で、この弾性部材による押圧力の分、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との間に働く軸方向の摩擦力を大きくしている。
このうちの請求項2に記載した発明の場合には、前記各外輪の支持軸の先端部に、この支持軸の先端面に当接する面を凹面とした、略円盤状のキャップを設ける。そして、これら各キャップを前記各コイルばねにより、前記各支持梁部に向けて弾性的に押圧する。
或いは、請求項3に記載した発明の様に、前記各外輪の支持軸の先端部に、前記各支持梁部の軸方向に対して直角方向の凹溝を(捩れの位置関係で)形成し、これら各凹溝に係合ピンを係止する。そして、これら各係合ピンを、前記各コイルばねにより前記各支持梁部に向けて弾性的に押圧する。
或いは、請求項4に記載した発明の様に、前記各外輪の支持軸の先端部に凹部を形成し、これら各凹部に玉を保持する。そして、これら各玉を、前記各コイルばねにより前記各支持梁部に向けて弾性的に押圧する。
このうちのコスト低廉化は、前述の図9〜15に示した従来構造の第2例と同様の理由により、図り易い。
又、変速動作の安定化は、弾性部材により外輪をトラニオンの支持梁部に向けて弾性的に押圧する事により図れる。即ち、この弾性部材による押圧力の分、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との間に働く軸方向の摩擦力を大きくして、これら各外輪がこれら各支持梁部の軸方向に変位し難くできる。この為、前述した力2Ftによって、前記各外輪が前記各トラニオンに対し、前記各支持梁部の軸方向に変位するのを抑えられ、運転者が意図しない変速が行われる事を抑える事ができる。
図1〜6は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、変速動作を安定させるべく、トラニオン7bの支持梁部23aに対し、スラスト玉軸受13aを構成する外輪16bを、この支持梁部23aに対する揺動変位を可能に支持しつつ、この支持梁部23aの軸方向への変位を抑える為の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図15〜21に示した従来構造の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
又、前記トラニオン7bに、このトラニオン7bと共に揺動変位可能な内側支持梁28を、パワーローラ6aよりも各ディスク2、5(図13参照)の径方向に関して内側に設けている。即ち、前記支持梁部23aの円筒状凸面22と前記外輪16bの凹部24aとを係合させ、この外輪16bに各軸受13a、25を介してパワーローラ6aを支持した状態で、前記支持梁部23aの軸方向に設けられた、前記内側支持梁28の基部29の両端部から径方向外方に向かって設けられた脚部30、30を、前記トラニオン7bの両端部に設けられた傾転軸8a、8bにねじ止め等により支持固定している。そして、前記基部29の軸方向中間部に設けられた保持凹部31に、その一端を固定したコイルばね32を設け、このコイルばね32により前記キャップ27を弾性的に押圧する事で、前記外輪16bを前記支持梁部23aに向け、弾性的に押圧する様にしている。尚、前記キャップ27は前記内側支持梁28に対し、図示しない凹凸係合部、ピン係合部等により、前記各ディスク2、5の径方向(図1、3〜5の上下方向)に変位するが、前記外輪16bの揺動方向には変位しない様にしている。従って、この外輪16bの揺動に拘らず、前記キャップ27が前記内側支持梁28から脱落する事はない。
尚、前記支持梁部23aの周方向に関する摩擦力は、前記外輪16bの凹部24aとこの支持梁部23aの円筒状凸面22との当接部の周方向の長さ寸法が、同じく軸方向寸法よりも十分に短い為、前記コイルばね32を設けても過度に大きくなる事はなく、前記支持梁部23aを中心とする前記外輪16bの揺動変位は妨げられない。但し、好ましくは、前記当接部の軸方向の摩擦係数を、周方向の摩擦係数よりも大きくする。この為に、例えば、前記当接部を構成する1対の曲面の表面粗さを、軸方向で大きく、周方向で小さくする。
図7〜10は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、外輪16cの支持軸12bの先端面に、支持梁部23aの軸方向に対し直角方向に設けた凹溝33に、係合ピン34を係止している。そして、この係合ピン34を、内側支持梁28の保持凹部31に保持したコイルばね32aにより、前記支持梁部23aに向け、弾性的に押圧している。又、前記凹溝33は、底部の長さ方向(この支持梁部23aの軸方向に対し直角方向)に関する形状を、前記支持梁部23aの円筒状凸面22の中心軸を中心とし、前記凹溝33の底部に接する円の半径と同じか、これよりも僅かに小さな半径を有する部分円弧としている。そして、この支持梁部23aを中心とする前記外輪16cの揺動変位を可能としている。
この様な係合ピン34と係合する、前記凹溝33の断面形状(底部の幅方向に関する形状)は、種々の形状を採用する事ができる。例えば図10の(A)に示す様に、前記係合ピン34の外径と同じ、或いは僅かに大きい直径を有する部分円弧状としたり、同じく(B)に示す様な、V字形とする事もできる。尚、前記係合ピン34に関しても、前記内側支持梁28に対し、前記外輪16cの揺動方向への変位を抑えた状態で組み付ける。この為に例えば、前記内側支持梁28の中央部両側面に1対の抑え板を固定し、これら両抑え板により、前記係合ピン34を軸方向両側から挟む。
その他の部分の構成及び作用に関しては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
図11〜12は、請求項1、4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、外輪16dの支持軸12cの先端部に設けた、内面が半球面状の凹部35に、玉36を保持している。そして、この玉36を、内側支持梁28の保持凹部31に保持したコイルばね32aにより、支持梁部23aに向け、弾性的に押圧している。
この様な玉36と係合する凹部の形状は、上述の様な形状に限らない。例えば図12の(B)に示す様に、摺鉢状(円すい凹面状)とする事もできる。
その他の部分の構成及び作用に関しては、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
2 入力ディスク
3 出力筒
4 出力歯車
5 出力ディスク
6、6a、6b パワーローラ
7、7a、7b トラニオン
8、8a、8b 傾転軸
9 支持梁部
10 支持板
11、11a ラジアルニードル軸受
12、12a 支持軸
13、13a スラスト玉軸受
14 スラストニードル軸受
15 内輪軌道
16、16a〜16d 外輪
17 外輪軌道
18 玉
19 駆動軸
20 押圧装置
21 アクチュエータ
22 円筒状凸面
23、23a 支持梁部
24、24a 凹部
25 ラジアルニードル軸受
26 段差面
27 キャップ
28 内側支持梁
29 基部
30 脚部
31 保持凹部
32、32a コイルばね
33 凹溝
34 係合ピン
35 凹部
36 玉
Claims (4)
- 少なくとも1対のディスクと、複数のトラニオンと、これら各トラニオンと同数のパワーローラと、同じく同数のスラスト転がり軸受とを備え、
このうちの各ディスクは、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を可能に支持されたものであり、
前記各トラニオンは、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸と、これら両傾転軸同士の間に存在し、少なくとも前記各ディスクの径方向に関する内側の側面を、前記両傾転軸の中心軸と平行でこれら両傾転軸の中心軸よりも前記各ディスクの径方向に関して外側に存在する中心軸を有する、円筒状凸面とした支持梁部とを備えたもので、軸方向に関して前記各ディスクの軸方向側面同士の間位置の周方向に関して複数箇所に、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられており、
前記各パワーローラは、前記各トラニオンの内側面に、それぞれスラスト転がり軸受を介して回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させており、
前記各スラスト転がり軸受は、前記各トラニオンの支持梁部と前記各パワーローラの外側面との間に設けられたもので、これら各支持梁部側に設けられた外輪と、これら各外輪の内側面に設けられた外輪軌道と前記各パワーローラの外側面に設けられた内輪軌道との間に転動自在に、それぞれ複数個ずつ設けられた転動体とを備えたものであり、
前記各スラスト転がり軸受の外輪は、これら各外輪の外側面に設けられた凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面とを係合させる事により、これら各トラニオンに対し、前記各ディスクの軸方向に関する揺動変位を可能に支持されているトロイダル型無段変速機に於いて、
前記各トラニオンに、これら各トラニオンと共に揺動変位し、前記各パワーローラよりも前記各ディスクの径方向に関して内側に存在する内側支持梁を設け、これら各内側支持梁と前記各外輪との間に設けた弾性部材により、これら各外輪を前記各トラニオンの支持梁部に向けて弾性的に押圧する事で、この弾性部材による押圧力の分、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との間に働く軸方向の摩擦力を大きくする事を特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記各弾性部材が、前記各内側支持梁の中間部に設けられたコイルばねであり、前記各外輪のうち、その周囲に、前記各パワーローラをラジアルニードル軸受を介して回転自在に支持する支持軸の先端部に、この支持軸の先端面に当接する面を凹面とした、略円盤状のキャップを設け、これら各キャップを前記各コイルばねにより、前記各支持梁部に向け弾性的に押圧している、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記各弾性部材が、前記各内側支持梁の中間部に設けられたコイルばねであり、前記各外輪のうち、その周囲に、前記各パワーローラをラジアルニードル軸受を介して回転自在に支持する支持軸の先端部に、前記各支持梁部の軸方向に対し直角方向に形成された凹溝に係止された係合ピンを、前記各コイルばねによりこれら各支持梁部に向け弾性的に押圧している、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記各弾性部材が、前記各内側支持梁の中間部に設けられたコイルばねであり、前記各外輪のうち、その周囲に、前記各パワーローラをラジアルニードル軸受を介して回転自在に支持する支持軸の先端部に設けた凹部に保持された玉を、前記各コイルばねにより前記各トラニオンの支持梁部に向け弾性的に押圧している、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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