JP2007146873A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ローディングカムと入力軸との間に設けられたスラスト軸受のスリーブの強度低下および大型化を招くことなく、前記スリーブと前記ローディングカムとの嵌合部およびローディングカムを押圧する皿ばねに潤滑油を供給できるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】カム板7とスリーブとの間の嵌合面に潤滑油路102a,102bが設けられている。また、スリーブの円筒部の外周面と嵌合するカム板7の円筒部7bの内周面7eに周方向に沿って油路102aが形成されるとともに、駆動軸22と結合するカム板7のカム底7aと位相を同じくして径方向に延びる複数の油路102bが円筒部7bの内側端面7cに形成されている。これにより、スリーブを貫いて油路を設けないで済むので、スリーブの強度低下及び大型化を招くことなく前記嵌合面に潤滑油を供給することが可能になり、スリーブとカム板7との嵌合部でのフレッチングを有効に防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】カム板7とスリーブとの間の嵌合面に潤滑油路102a,102bが設けられている。また、スリーブの円筒部の外周面と嵌合するカム板7の円筒部7bの内周面7eに周方向に沿って油路102aが形成されるとともに、駆動軸22と結合するカム板7のカム底7aと位相を同じくして径方向に延びる複数の油路102bが円筒部7bの内側端面7cに形成されている。これにより、スリーブを貫いて油路を設けないで済むので、スリーブの強度低下及び大型化を招くことなく前記嵌合面に潤滑油を供給することが可能になり、スリーブとカム板7との嵌合部でのフレッチングを有効に防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図4のA−A線に沿う断面図である図5に示すように、ケーシング50の内側であって、出力側ディスク3,3の側方位置には、両ディスク3,3を両側から挟む状態で一対のヨーク23A,23Bが支持されている。これら一対のヨーク23A,23Bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン15の両端部に設けられた枢軸14を揺動自在に支持するため、ヨーク23A,23Bの四隅には、円形の支持孔18が設けられるとともに、ヨーク23A,23Bの幅方向の中央部には、円形の係止孔19が設けられている。
一対のヨーク23A,23Bは、ケーシング50の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト64,68により、僅かに変位できるように支持されている。これらの支持ポスト64,68はそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク3の内側面3aとの間にある第1のキャビティ221および第2のキャビティ222にそれぞれ対向する状態で設けられている。
したがって、ヨーク23A,23Bは、各支持ポスト54,68に支持された状態で、その一端部が第1のキャビティ221の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2のキャビティ222の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ221,222は同一構造であるため、以下、第1のキャビティ221のみについて説明する。
図5に示すように、ケーシング50の内側において、第1のキャビティ221には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、前述したように、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。前述したように、各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、前述したように、ヨーク23A,23Bの幅方向(図5の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、支持ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、以上のようなトロイダル型無段変速機の中には、図6に示すように、入力軸1の鍔部1dとローディングカム装置12を構成するカム板7との間にスラスト荷重を支承するスラスト玉軸受166が設けられた構造のものもある(例えば、特許文献1参照)。このような構造の一例を具体的に説明すると、入力軸1の鍔部1dの片側面にアンギュラ型の内輪軌道156が形成されるとともに、この内輪軌道156と外輪であるスリーブ120の内周面に形成されたアンギュラ型の外輪軌道120eとの間に複数個の玉(転動体)165が配置されることによりアンギュラ型の玉軸受166が構成されている。スリーブ120は、円筒部120bと、この円筒部120bの左側の端部に一体形成された外向鍔部120cと、円筒部120bの右側の端部に一体形成された嵌入部120aとを備えている。そして、スリーブ120の円筒部120bの外周面がカム板7の径方向中間部に設けられた円筒部7bの内周面7eとガタつきなく軸方向に変位自在に外嵌されて、カム板7の円筒部7bの内側端面7cにスリーブ120の円筒部120bの端面が突き当てられるとともに、スリーブ120の嵌入部120aがカム板7の中心孔7dに嵌入され、また、スリーブ120の外向鍔部120cとカム板7の中間部外側面との間に皿ばね(予圧ばね)170が配置されている。
また、スリーブ120の径方向内側部分と入力側ディスク2との間には、スリーブ120側から順に、スラストニードル軸受155と皿ばね(予圧ばね)142とが軸方向に互いに直列に配置されている。皿ばね142は、図7に拡大して示すように、円錐台形状の4枚の皿ばね170a,170b,170c,170dで構成されている。そして、2枚の皿ばね170a,170b同士を互いの表面および裏面が面接触するように重ね合わせて一方の組の皿ばね群172aとし、他の2枚の皿ばね170c,170d同士も互いの表面および裏面が面接触するように重ね合わせて他方の組の皿ばね群172bとし、これら一方の組の皿ばね群172aと他方の組の皿ばね群172bとの裏面同士を対向させて入力軸1の外周に配置している。これにより、皿ばね142は、一方の組の皿ばね群172aと他方の組の皿ばね群172bとの間の径方向内側に、軸方向長さがS1の隙間を有している。この隙間S1は、皿ばね142が軸方向に弾性変形する際の余裕代となる。
また、図7に示すように、カム板7の円筒部7bから径方向内側に延在する内側端面7cとスリーブ120の円筒部120bの端面との間には隙間S2が形成されており、この隙間S2よりも皿ばね142の前記余裕代S1が大きく設定される(S2<S1)ことにより、無負荷時の変速による入力側ディスク2の軸方向移動によって皿ばね142が完全に押し潰されることがなく、また、入力側ディスク2の移動が妨げられることもなくなり、変速不可能な状態が発生しないで済むようになっている。更に、前記隙間S2は、負荷時に、ローディングカム装置12に予圧を付与する皿ばね170が完全に押し潰される前に、カム板7の内側端面7cとスリーブ120の円筒部120bの端面とが当接するように寸法が設定されており、これにより、皿ばね170の耐久性が確保されるようになっている。すなわち、カム板7とスリーブ120との間に設けられた隙間S2は、無負荷時の変速による入力側ディスク2の移動(各部品の寸法ばらつきや組立誤差によって生じる)を許容するとともに、負荷時にローディングカムガタ防止用の皿ばね170が完全に押し潰される前にこの隙間S2がなくなり皿ばね170の耐久性を確保するようになっている。
図6および図7に示す構造のトロイダル型無段変速機では、負荷が加わると、カム板7とスリーブ120との間の隙間S2が無くなるため、入力軸1の中心孔1gから径方向外側に延びる油路200へと供給される潤滑油が、カム板7とスリーブ120との嵌合部(インロー部)およびカム板7を押圧する皿ばね170まで供給されなくなる。また、負荷が加わってカム板7とスリーブ120との間の隙間S2が無くなると、カム板7とスリーブ120との間に相対回転が殆ど生じないが、負荷によってローディングカム装置12で推力が発生すると、カム板7が変形し、前記嵌合部がその変形を受ける。また、図6および図7の構造の場合、カム板7の中心軸の位置は前記嵌合部によって決まる。したがって、前記嵌合部の隙間は数ミクロン以内である必要がある。
以上のことから、前記嵌合部ではフレッチングが発生し、皿ばね170では摩耗が生じ易い。そのため、図8に示すように、スリーブ120の径方向内側から外側の嵌合面に向けて延びる油穴190を設けることが考えられる。しかしながら、このようにすると、アンギュラ軸受166の近傍に油穴190が存在することとなるため、スリーブ120の強度が低下してしまう。また、この強度低下を避けるために油穴190をアンギュラ軸受166から遠ざけると、スリーブ120を軸方向に延在させる必要があり、そのためのスペースを確保することが難しくなる。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、ローディングカムと入力軸との間に設けられたスラスト軸受のスリーブの強度低下および大型化を招くことなく、前記スリーブと前記ローディングカムとの嵌合部およびローディングカムを押圧する皿ばねに潤滑油を供給できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、回転トルクが入力される入力軸と、この入力軸に結合されて入力軸と一体で回転する入力側ディスクと、この入力側ディスクとの間に設けられたパワーローラを介して入力側ディスクの回転力を所定の変速比で受ける出力側ディスクと、前記入力側ディスクの背面に配置され且つ前記入力側ディスクを軸方向へ押圧するローディングカム式の押圧装置とを備え、前記押圧装置は、前記入力軸と共に回転するローディングカムを有して成り、前記ローディングカムと前記入力軸との間にはスラスト荷重を支承する軸受が設けられ、この軸受は、前記ローディングカムと嵌合する外輪としてのスリーブと、前記入力軸の端部によって形成される内輪軌道と前記スリーブとの間に転動自在に支持された転動体とを有しているトロイダル型無段変速機において、前記ローディングカムと前記スリーブとの間の嵌合面には、潤滑油が供給される油路が形成されていることを特徴とする。
上記構成において、前記油路は、前記スリーブと嵌合する前記ローディングカムの嵌合面に形成されていても良く、あるいは、前記ローディングカムと嵌合する前記スリーブの嵌合面に形成されていても良い。
また、上記構成においては、前記ローディングカムを押圧するための皿ばねが設けられ、この皿ばねは、前記嵌合面に形成された油路を通じて潤滑油が供給されるように配設されていることが好ましい。
本発明のトロイダル型無段変速機においては、前記ローディングカムと前記スリーブとの間の嵌合面に潤滑油路が設けられているため、スリーブを貫いて油路を設けないで済み、そのため、スリーブの強度低下および大型化を招くことなく前記嵌合面に潤滑油を供給することが可能になる。したがって、前記スリーブと前記ローディングカムとの嵌合部でのフレッチングを有効に防止できる。また、ローディングカムを押圧する皿ばねが設けられている場合には、前記嵌合部を通じて皿ばねに潤滑油を供給する構造を成すようにすれば、皿ばねの摩耗を防止することもできる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、ローディングカムとスラスト軸受のスリーブとの間の嵌合部に対する潤滑油の供給構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4〜図8と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1は本発明の実施形態を示している。本実施形態においては、前述した図6および図7の構成に加えて、図ローディングカム装置12のカム板(ローディングカム)7と、カム板7と嵌合する外輪としてのスリーブ120との間の嵌合面に、潤滑油が供給される油路が形成されている。具体的には、図1に示すように、スリーブ120と嵌合するカム板7の嵌合面に複数の油路が形成されている。さらに具体的には、スリーブ120の円筒部120bの外周面と嵌合するカム板7の円筒部7bの内周面7eに周方向に沿って油路102aが形成されるとともに、駆動軸22と結合するカム板7のカム底7aと位相を同じくして径方向に延びる複数の油路102bが円筒部7bの内側端面7cに形成されている。これらの油路102a,102bには、入力軸1の中心孔1gから径方向外側に延びる油路200を介して(更には、例えばカム板7とスリーブ120の嵌入部120aとの間に形成される隙間を介して)潤滑油が供給されるようになっている。したがって、カム板7を押圧する皿ばね170にも、これらの油路102a,102bを介して潤滑油が供給される。
一般的なラジアル滑り軸受は、図3の(a)に示すように1方向のラジアル荷重F1を受ける(軸受の荷重分布が図中にL1で示されている)が、カム板7とスリーブ120との嵌め合い部分では、カム推力によりカム板7が変形を受けるため、図3の(b)に示すようにカムの数だけ荷重を受けることとなる(図中、F2はカム板7の変形による力(カムの数だけ荷重を受けている)、L2は嵌め合い部分の荷重分布を示している)。変形の最も大きい部分はカム板7のカム底7aの位相であるため、この部分に本実施形態のごとく油路102a,102bを設けることで、フレッチングの発生し易い部分に潤滑油を供給することができる。
また、カム板7とスリーブ120との間の嵌合面に油路を設ける他の形態として、カム板7と嵌合するスリーブ120の嵌合面に油路を形成することも考えられる。そのような例が図2に示されている。図示のように、この例では、カム板7の円筒部7bの内周面7eと嵌合するスリーブ120の円筒部120bの外周面に沿って螺旋状に油路130aが形成されるとともに、カム板7の円筒部7bの内側端面7cと当接するスリーブ120の円筒部120bの端面に径方向に沿って油路130bが形成されている。
以上のように、本実施形態では、カム板7とスリーブ120との間の嵌合面に潤滑油路102a,102b(130a,130b)が設けられているため、スリーブ120を貫いて油路を設けないで済み、そのため、スリーブ120の強度低下および大型化を招くことなく前記嵌合面に潤滑油を供給することが可能になる。したがって、スリーブ120とカム板7との嵌合部でのフレッチングを有効に防止できる。また、カム板7を押圧する皿ばね170にも前記嵌合部(油路)を通じて潤滑油を供給することができるため、皿ばね170の摩耗を防止することもできる。また、図1および図2の構成を組み合わせれば、更に潤滑効果が向上し、高負荷容量化および長寿命化が可能となる。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機の他、トラニオンが無いフルトロイダル型無段変速機に適用することができる。
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
7 カム板(ローディングカム)
11 パワーローラ
12 ローディングカム装置(押圧装置)
102,102b 油路
120 スリーブ
130a,130b 油路
166 スラスト玉軸受
170 皿ばね
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
7 カム板(ローディングカム)
11 パワーローラ
12 ローディングカム装置(押圧装置)
102,102b 油路
120 スリーブ
130a,130b 油路
166 スラスト玉軸受
170 皿ばね
Claims (4)
- 回転トルクが入力される入力軸と、この入力軸に結合されて入力軸と一体で回転する入力側ディスクと、この入力側ディスクとの間に設けられたパワーローラを介して入力側ディスクの回転力を所定の変速比で受ける出力側ディスクと、前記入力側ディスクの背面に配置され且つ前記入力側ディスクを軸方向へ押圧するローディングカム式の押圧装置とを備え、前記押圧装置は、前記入力軸と共に回転するローディングカムを有して成り、前記ローディングカムと前記入力軸との間にはスラスト荷重を支承する軸受が設けられ、この軸受は、前記ローディングカムと嵌合する外輪としてのスリーブと、前記入力軸の端部によって形成される内輪軌道と前記スリーブとの間に転動自在に支持された転動体とを有しているトロイダル型無段変速機において、
前記ローディングカムと前記スリーブとの間の嵌合面には、潤滑油が供給される油路が形成されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記油路は、前記スリーブと嵌合する前記ローディングカムの嵌合面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記油路は、前記ローディングカムと嵌合する前記スリーブの嵌合面に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記ローディングカムを押圧するための皿ばねを更に備え、この皿ばねは、前記嵌合面に形成された油路を通じて潤滑油が供給されるように配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
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JP2005338061A Withdrawn JP2007146873A (ja) | 2005-11-24 | 2005-11-24 | トロイダル型無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007146873A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017003042A (ja) * | 2015-06-12 | 2017-01-05 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
-
2005
- 2005-11-24 JP JP2005338061A patent/JP2007146873A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017003042A (ja) * | 2015-06-12 | 2017-01-05 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
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Legal Events
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