JP2007170591A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速制御のための駆動装置におけるピストンとシリンダとの同軸度を容易に確保できるとともに、ピストンがシリンダに対して傾いても、ピストンに接触するシール部材とシリンダボア内面とのシール状態(接触状態)を確実に確保できる安価なトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】このトロイダル型無段変速機においては、ピストン33と弾性変形可能に接触する弾性接触手段としての一対の突起110a,110bがシール部材110に設けられている。そのため、ピストン33がシリンダ31に対して傾いても、突起110a,110bの弾性変形によってその傾きが補償され(突起110a,110bがピストン33の傾きに追従し)、シール部材110の外周面110bとシリンダボア内面(上側シリンダボディ61の内面)との接触状態を確実に維持することができる。
【選択図】図2
【解決手段】このトロイダル型無段変速機においては、ピストン33と弾性変形可能に接触する弾性接触手段としての一対の突起110a,110bがシール部材110に設けられている。そのため、ピストン33がシリンダ31に対して傾いても、突起110a,110bの弾性変形によってその傾きが補償され(突起110a,110bがピストン33の傾きに追従し)、シール部材110の外周面110bとシリンダボア内面(上側シリンダボディ61の内面)との接触状態を確実に維持することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部1eに螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図4のA−A線に沿う断面図である図5に示すように、ケーシング50の内側であって、出力側ディスク3,3の側方位置には、両ディスク3,3を両側から挟む状態で一対のヨーク23A,23Bが支持されている。これら一対のヨーク23A,23Bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン15の両端部に設けられた枢軸14を揺動自在に支持するため、ヨーク23A,23Bの四隅には、円形の支持孔18が設けられるとともに、ヨーク23A,23Bの幅方向の中央部には、円形の係止孔19が設けられている。
一対のヨーク23A,23Bは、ケーシング50の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト64,68により、僅かに変位できるように支持されている。これらの支持ポスト64,68はそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク3の内側面3aとの間にある第1キャビティ221および第2キャビティ222にそれぞれ対向する状態で設けられている。
したがって、ヨーク23A,23Bは、各支持ポスト64,68に支持された状態で、その一端部が第1キャビティ221の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ222の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ221,222は同一構造であるため、以下、第1キャビティ221のみについて説明する。
図5に示すように、ケーシング50の内側において、第1キャビティ221には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、前述したように、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。前述したように、各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、前述したように、ヨーク23A,23Bの幅方向(図5の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、支持ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,4,4の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ(シリンダ)31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、上記構成のトロイダル型無段変速機では、前述したように変速制御において駆動装置32が重要な役割を果たすが、特に、トラニオン15に締結される油圧ピストン33の構造等については従来から様々な提案がなされている。例えば特許文献1には、ピストン33の長さを小さくするためのレイアウトが開示されている。いずれにしても、ピストン33は、図6および図7に示すようにシリンダ31のシリンダボア内にシール108を介して装着されており、それにより、油漏れを生じさせること無くシリンダ31に対する摺動を可能にしている。この場合、シール108は、図7に示すように、その内周面側がピストン33の外周面に形成されたシール装着凹部33a内に挿入された状態でピストン33に圧接するとともに、その外周面がシリンダボアの内面(図の例では、上側シリンダボディ61の内面)に圧接している。
前述したようにピストン33はトラニオン15に締結されているため、ピストン33の位置および姿勢はトラニオン15の位置および姿勢に従うことになる。また、トラニオン15はヨーク23A,23Bの支持孔18で位置決めされている。一方、シリンダボディ61,62はケーシング50に固定されている。したがって、ピストン33とシリンダ31との同軸度を確保するためには、各部品の加工精度を高める必要があり、製造コストが高くなってしまう。
また、トラニオン15はパワーローラ11に作用する荷重を支持して弾性変形するため、ピストン33も図7に矢印で示すようにシリンダ31に対して傾くことが考えられる。そして、この傾きに伴ってピストン33とシリンダ31との同軸度が悪化すると、ピストン33に装着されたシール108とシリンダ31とがエッジPで当たるようになり、接触荷重(緊迫力)が増大したり、油圧漏れが発生することが危惧される。これは、変速動作の不安定に繋がる可能性がある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、変速制御のための駆動装置におけるピストンとシリンダとの同軸度を容易に確保できるとともに、ピストンがシリンダに対して傾いても、ピストンに接触するシール部材とシリンダボア内面とのシール状態(接触状態)を確実に確保できる安価なトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、ケーシングと、このケーシングの内側で互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に揺動するとともに、前記各パワーローラを回転自在に支持する複数のトラニオンと、前記各トラニオンを前記枢軸の軸方向に変位させる駆動装置とを備えるトロイダル型無段変速機であって、前記駆動装置は、前記トラニオンの前記枢軸に締結された油圧ピストンと、シール部材を介して前記油圧ピストンを摺動可能に且つ油密に嵌装して成るシリンダとを備え、前記シール部材は、前記油圧ピストンと弾性変形可能に接触する弾性接触手段を有していることを特徴とする。
この請求項1に記載された発明においては、前記油圧ピストンと弾性変形可能に接触する弾性接触手段(シール部材の本体よりも弾性係数が小さい領域)がシール部材に設けられているため、ピストンがシリンダに対して傾いても、弾性接触手段の弾性変形によってその傾きが補償され(弾性接触手段がピストンの傾きに追従し)、シール部材とシリンダボア内面との接触状態を確実に維持することができる。また、弾性接触手段の存在により、組立段階においても、各部品の加工精度を極端に厳しくせずに、ピストンとシリンダとの間で所望の同軸度を得ることができるため、製造コストの高騰を抑えることができる。
また、請求項2に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載された発明において、前記弾性接触手段は、前記油圧ピストンと相対する前記シール部材の対向面に形成され且つ前記ピストンの摺動方向に沿って所定の間隙をもって隣り合う一対の突起から成ることを特徴とする。
この請求項2に記載された発明においては、ピストンの摺動方向に沿って所定の間隙をもって隣り合う一対の突起によって弾性接触手段が構成されている。したがって、シール部材の本体よりも弾性係数が小さい領域(弾性接触手段)をシール部材に対して簡単且つ効果的に設けることができ、また、弾性変形効果を高めることができる。
また、請求項3に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載された発明において、前記弾性接触手段は、前記シール部材の本体と前記油圧ピストンとの間に介挿された一対のOリングから成ることを特徴とする。
この請求項3に記載された発明においては、シール部材の本体と油圧ピストンとの間に介挿された一対のOリングによって弾性接触手段が構成されている。したがって、シール部材に加工を施すこと無く弾性接触手段をシール部材に対して簡単且つ安価に設けることができる。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、前記油圧ピストンと弾性変形可能に接触する弾性接触手段がシール部材に設けられているため、ピストンとシリンダとの同軸度を容易に確保できるとともに、ピストンがシリンダに対して傾いても、シール部材とシリンダボア内面との接触状態を確実に維持することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、トラニオンに締結された変速制御用の油圧ピストンとシリンダとの間のシール構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4〜図7と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1および図2は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示すように、各トラニオン15,15の一端部(図1の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面には駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ(シリンダ)31内に油密に嵌装されている。また、これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
具体的に、ピストン33は、シリンダ31のシリンダボア内に環状のシール部材110を介して装着されており、それにより、油漏れを生じさせること無くシリンダ31に対する摺動を可能にしている。更に具体的には、図2に拡大して示すように、シール部材110は、その内周面側がピストン33の外周面に形成されたシール装着凹部33a内に挿入された状態でピストン33に圧接するとともに、その外周面がシリンダボアの内面(図の例では、上側シリンダボディ61の内面)に圧接している。
また、シール部材110は、ピストン33と弾性変形可能に接触する弾性接触手段を有している。本実施形態において、この弾性接触手段は、シール部材の本体よりも弾性係数が小さい領域として形成されており、ピストン33と相対するシール部材110の対向面に形成された一対の突起110a,110bから成る。これらの突起110a,110bは、ピストン33の摺動方向に沿って所定の間隙をもって並設されている。
したがって、このような構成では、ピストン33と弾性変形可能に接触する弾性接触手段としての一対の突起110a,110bがシール部材110に設けられているため、図2に矢印で示すようにピストン33がシリンダ31に対して傾いても、突起110a,110bの弾性変形によってその傾きが補償され(突起110a,110bがピストン33の傾きに追従し)、シール部材110の外周面110bとシリンダボア内面(図の例では、上側シリンダボディ61の内面)との接触状態を確実に維持することができる。また、突起110a,110bの存在により、組立段階においても、各部品の加工精度を極端に厳しくせずに、ピストン33とシリンダ31との間で所望の同軸度を得ることができるため、製造コストの高騰を抑えることができる。また、上記構成では、ピストン33の摺動方向に沿って所定の間隙をもって隣り合う一対の突起110a,110bによって弾性接触手段が構成されている。したがって、シール部材110の本体よりも弾性係数が小さい領域をシール部材110に対して簡単且つ効果的に設けることができ、また、弾性変形効果を高めることができる。
図3は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、前記弾性接触手段が一対のOリング122,123によって形成されている。具体的には、本実施形態の場合、シール部材は、略矩形断面のシール本体120と、シール本体120とピストン33との間に介挿された一対のOリング122,123とから成る。
したがって、このような構成であっても、ピストン33がシリンダ31に対して傾いた場合、Oリング122,123の弾性変形によってその傾きが補償され(Oリング122,123がピストン33の傾きに追従し)、シール本体120の外周面120aとシリンダボア内面(図の例では、上側シリンダボディ61の内面)との接触状態を確実に維持することができる。シール本体120とピストン33との間に介挿された一対のOリング122,123によって弾性接触手段が構成されているため、シール部材に加工を施すこと無く弾性接触手段をシール部材に対して簡単且つ安価に設けることができる。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
31 シリンダ
32 駆動装置
33 油圧ピストン
50 ケーシング
110 シール部材
110a,110b 突起
120 シール本体
122,123 Oリング
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
31 シリンダ
32 駆動装置
33 油圧ピストン
50 ケーシング
110 シール部材
110a,110b 突起
120 シール本体
122,123 Oリング
Claims (3)
- ケーシングと、このケーシングの内側で互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に揺動するとともに、前記各パワーローラを回転自在に支持する複数のトラニオンと、前記各トラニオンを前記枢軸の軸方向に変位させる駆動装置とを備えるトロイダル型無段変速機において、
前記駆動装置は、前記トラニオンの前記枢軸に締結された油圧ピストンと、シール部材を介して前記油圧ピストンを摺動可能に且つ油密に嵌装して成るシリンダとを備え、
前記シール部材は、前記油圧ピストンと弾性変形可能に接触する弾性接触手段を有していることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記弾性接触手段は、前記油圧ピストンと相対する前記シール部材の対向面に形成され且つ前記ピストンの摺動方向に沿って所定の間隙をもって隣り合う一対の突起から成ることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記弾性接触手段は、前記シール部材の本体と前記油圧ピストンとの間に介挿された一対のOリングから成ることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090303 |