JP4626883B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線(第1の軸線)Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1bとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図5は、図4のA−A線に沿う断面図である。図5に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14(この枢軸14の中心軸O’が第2の軸線)を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11,11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図5の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Aは、球面ポスト68およびこれを支持するシリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと入力側ディスク2および出力側ディスク3の各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との動力伝達は、これらの部材表面の損傷を防止するべく、油膜を介したトラクション力により非接触で行なわれる(油膜によって形成されるパワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間の界面をトラクション面という)。そのため、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間に形成されるトラクション面には、トルクを非接触で伝達するための油膜を形成できる十分な量の潤滑油(トラクション油)を供給する必要がある。
また、このようなトロイダル型無段変速機においては、変位軸23の加工が難しく、部品コストが高くなるとともに、支持剛性を確保するためにトラニオン15が大型化、重量化するという問題がある。そこで、例えば、特許文献1には、パワーローラ11をトラニオン15に対して揺動軸線Oと直交する方向に平行移動可能に支持することにより、パワーローラ11の両ディスク2,3に対する位置を調整する直動式の支持機構が開示されている。
これは、図6に示すように、トラニオン15のパワーローラ11を収納するポケットP側の面に、トラニオン15の長手方向において互いに傾斜が逆向きとなる一対の斜面215a,215aを形成し、一方、パワーローラ11を回転自在に支持する外輪28の背面にも、これらの斜面215a,215aと平行な一対の斜面215b,215bを形成し、これらの対向する斜面間に転動体(ころ)217を配置して(すなわち、トラニオンの折れ曲がり壁部20と外輪28との間に転動体217を配置して)、一対の直動軸受218を構成している。これにより、パワーローラ11はトラニオン15の幅方向(紙面に直交する方向)に移動自在となり、トラニオン15の傾転に伴う構成部品の相対変位や部品の弾性変形に伴うパワーローラ11と両ディスク2,3間の位置ずれが調整される。また、互いに逆向きに傾斜した一対の直動軸受218により、入力側および出力側ディスク2,3からパワーローラ11に負荷されるスラスト方向(図において上下方向)およびトラニオン15の長手方向(図において左右方向)に作用する力の両方を受けることができる。
特開2001−12574号公報
前記直動軸受218は、パワーローラ11に生じるスラスト力のみならず、トラクション力も保持する。このトラクション力は、パワーローラ11を傾転軸(枢軸14)方向にずらすように作用し、このずれが生じると、パワーローラ11が中心軸からずれ、サイドスリップが発生し、設定した変速比がずれてしまうという問題が生じる(これを一般にトルクシフトという)。この結果、変速制御が難しくなるだけでなく、操縦性にも悪影響が及ぶことが懸念されるが、直動軸受218を設けたものは、従来からあるピボットシャフト型に対して軸受の隙間がないため、トルクシフトに対して有利である。しかしながら、この直動軸受タイプのパワーローラユニットでは、その本体部に隙間ができると、図7に示すように、トラクション力によってモーメントMが発生して、パワーローラ11が倒れてしまい、パワーローラ11が中心軸からずれて、トルクシフトが発生してしまう。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、パワーローラの倒れを防止してトルクシフトを抑制できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、第1の軸線に同軸に且つ該第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持された複数のパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、該トラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪と、前記トラニオンと前記外輪との間に設けられ、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する直動軸受とを備えたトロイダル型無段変速機であって、前記直動軸受を前記トラニオンに対して位置決め保持するための第1の位置決め保持手段と、前記外輪を前記直動軸受に対して位置決め保持するための第2の位置決め保持手段とを備え、前記第1の位置決め保持手段は、前記直動軸受と前記トラニオンとの間に介挿され且つ前記第2の軸線方向で前記トラニオンと前記直動軸受の転動体とに当接するレース部材から成ることを特徴とする。
この請求項1に記載された発明においては、第1の位置決め保持手段によって直動軸受がトラニオンに対して位置決め保持されるとともに、第2の位置決め保持手段によって、外輪が直動軸受に対して位置決め保持されるため、結果的に、外輪がトラニオンに対して位置決め保持され、外輪によって支持されるパワーローラの倒れが防止される。したがって、トルクシフトを防止でき、所望の変速比を正確に得ることができる。
なお、上記構成において、前記第2の位置決め保持手段は、請求項2に記載されるように、前記外輪に形成され且つ前記直動軸受の転動体に係止する鍔部から成っていても良い。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、第1の位置決め保持手段によって直動軸受がトラニオンに対して位置決め保持されるとともに、第2の位置決め保持手段によって、外輪が直動軸受に対して位置決め保持されるため、結果的に、外輪がトラニオンに対して位置決め保持される。そのため、パワーローラの倒れを防止してトルクシフトを抑制できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、直動軸受の配置形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4〜図7と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1は本発明の実施形態を示している。図示のように、トラニオン15と外輪28との間には、外輪28を第2の軸線O’と直交する方向(トラニオン15の幅方向)に移動自在に支持する直動軸受218Aが設けられている。具体的には、直動軸受218Aは、トラニオン15と外輪28とに転動自在に摺接する転動体(ころ;ニードル)217と、この転動体217を保持する保持器254とを備えている。そして、本実施形態においては、トラニオン15のパワーローラ11を収納するポケットP側の面に、トラニオン15の長手方向において互いに傾斜が逆向きとなる一対の斜面215a,215aを形成し、一方、パワーローラ11を回転自在に支持する外輪28の背面にも、これらの斜面215a,215aと平行な一対の斜面215b,215bを形成し、これらの対向する斜面間に直動軸受218Aの転動体217を配置している(すなわち、トラニオン15の折れ曲がり壁部20と外輪28との間に転動体217を配置している)。また、トラニオン15の支持板部16と外輪28との間にも、保持器254に保持された転動体217Bを配置し、一対の直動軸受部を設けており、したがってこの直動軸受218Aには、合計2対の直動軸受部が設けられている。
また、本実施形態においては、直動軸受218Aをトラニオン15に対して位置決め保持するための第1の位置決め保持手段と、外輪28を直動軸受218Aに対して位置決め保持するための第2の位置決め保持手段とが設けられている。具体的には、前記第1の位置決め保持手段は、転動体217を保持する直動軸受218Aの保持器254から成る。この保持器254の内周端面254aは、トラニオン15の支持板部16の内側面の中央部に設けられた油供給管255の外周面に嵌合されており、これにより第2の軸線O’方向でトラニオン15に対して位置決めされている。また、前記第2の位置決め保持手段は、外輪28に形成され且つ直動軸受218Aの外側の転動体217に対して外側から係止する第1の鍔部250から成る。なお、直動軸受218Aとトラニオン15との間には、スラストレース部材252が設けられており、このスラストレース部材252の厚みを調整することにより、直動軸受218Aの隙間を調整するようになっている。このスラストレース部材252の内周端面252aは、油供給管255の外周面に嵌合されている。
このように、本実施形態においては、第2の軸線O’方向において、保持器254によって転動体217がトラニオン15に対して位置決め保持されるとともに、外輪28の第1の鍔部250によって、外輪28が転動体217に対して位置決め保持される。すなわち、保持器254によって直動軸受218Aがトラニオン15に対して位置決め保持されるとともに、第1の鍔部250によって、外輪28が直動軸受218Aに対して位置決め保持される。そのため、外輪28がトラニオン15に対して位置決め保持され、外輪28によって支持されるパワーローラ11の倒れが防止される。したがって、トルクシフトを防止でき、所望の変速比を正確に得ることができる。
図2は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態において、前記第1の位置決め保持手段は、トラニオン15に形成され且つ直動軸受218Aの転動体217に対して内側から係止する第2の鍔部259から成る。本実施の形態では、保持器254の内周端面254aと油供給管255の外周面との間に隙間があってもよい。すなわち、保持器254によって転動体217をトラニオン15に対して位置決め保持する必要はない。なお、本実施の形態のそれ以外の構成は第1の実施形態と同様である。
したがって、このような構成では、第2の軸線O’方向において、トラニオン15の第2の鍔部259によって転動体217がトラニオン15に対して位置決め保持されるとともに、外輪28の第1の鍔部250によって、外輪28が転動体217に対して位置決め保持される。すなわち、第2の鍔部259によって直動軸受218Aがトラニオン15に対して位置決め保持されるとともに、鍔部250によって、外輪28が直動軸受218Aに対して位置決め保持される。そのため、外輪28がトラニオン15に対して位置決め保持され、外輪28によって支持されるパワーローラ11の倒れが防止される。したがって、トルクシフトを防止でき、所望の変速比を正確に得ることができる。
図3は本発明の第3の実施形態を示している。本実施形態において、前記第1の位置決め保持手段は、第2の軸線O’方向でトラニオン15と直動軸受218Aの転動体217とに当接するスラストレース部材252から成る。この場合、スラストレース部材252の内周端面252aは、油供給管255の外周面に嵌合されており、これにより第2の軸線O’方向でトラニオン15に対して位置決めされているとともに、スラストレース部材252の外周端面252bは、第2の軸線O’方向で、直動軸受218Aの転動体217の内側への移動を阻止している。本実施の形態では、保持器254の内周端面254aと油供給管255の外周面との間に隙間があってもよく、保持器254によって転動体217をトラニオン15に対して位置決め保持する必要はない。なお、本実施の形態のそれ以外の構成は第1の実施形態と同様である。
したがって、このような構成では、第2の軸線O’方向において、スラストレース部材252によって転動体217がトラニオン15に対して位置決め保持されるとともに、外輪28の第1の鍔部250によって、外輪28が転動体217に対して位置決め保持される。すなわち、スラストレース部材252によって直動軸受218Aがトラニオン15に対して位置決め保持されるとともに、鍔部250によって、外輪28が直動軸受218Aに対して位置決め保持される。そのため、外輪28がトラニオン15に対して位置決め保持され、外輪28によって支持されるパワーローラ11の倒れが防止される。したがって、トルクシフトを防止でき、所望の変速比を正確に得ることができる。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図5のA−A線に沿う断面図である。 直動軸受を有するトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 図6の構成においてトルクシフトが生じた状態を示す要部断面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
15 トラニオン
20 折れ曲がり壁部
28 外輪
218A 直動軸受
252 スラストレース部材(第1の位置決め保持手段)
254 保持器(第1の位置決め保持手段)
250 第1の鍔部(第2の位置決め保持手段)
259 第2の鍔部(第1の位置決め保持手段)

Claims (2)

  1. 第1の軸線に同軸に且つ該第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持された複数のパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、該トラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪と、前記トラニオンと前記外輪との間に設けられ、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する直動軸受とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記直動軸受を前記トラニオンに対して位置決め保持するための第1の位置決め保持手段と、前記外輪を前記直動軸受に対して位置決め保持するための第2の位置決め保持手段とを備え
    前記第1の位置決め保持手段は、前記直動軸受と前記トラニオンとの間に介挿され且つ前記第2の軸線方向で前記トラニオンと前記直動軸受の転動体とに当接するレース部材から成ることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記第2の位置決め保持手段は、前記外輪に形成され且つ前記直動軸受の転動体に係止する鍔部から成ることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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