JP2013145038A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各ディスクの軸方向片側面と各パワーローラ6bの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力(法線力)の方向と、これら各パワーローラ6bの中心軸とが成す角度をθとし、前記トラクション部のトラクション係数をλとし、外輪16bの凹部24aと支持梁部23aの円筒状凸面22aとの係合部の、この支持梁部23aの軸方向に関する静止摩擦係数をμfとした場合に、常にcosθ≧λ/μfの関係を満たす様にする。
【選択図】図1
Description
即ち、トロイダル型無段変速機の運転時に、入力、出力各ディスク2、5、各パワーローラ6a等の弾性変形に基づき、これら各パワーローラ6aをこれら各ディスク2、5の軸方向に変位させる必要が生じると、これら各パワーローラ6aを回転自在に支持している前記スラスト玉軸受13aの外輪16aが、外側面に設けた部分円筒面状の凹部24と支持梁部23の円筒状凸面22との当接面を滑らせつつ、この円筒状凸面22の中心軸イを中心として揺動変位する。この揺動変位に基づき、前記各パワーローラ6aの周面のうちで、前記各ディスク2、5の軸方向片側面と転がり接触する部分が、これら各ディスク2、5の軸方向に変位し、前記接触状態を適正に維持する。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、前記各ディスクの軸方向片側面と前記各パワーローラの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力(法線力)の方向と、これら各パワーローラの中心軸とが成す角度をθとし、前記トラクション部のトラクション係数をλとし、外輪の凹部と支持梁部の円筒状凸面との係合部の、この支持梁部の軸方向に関する静止摩擦係数をμfとした場合に、常にcosθ≧λ/μfの関係を満たす。
このうちのコスト低廉化は、前述の図9〜15に示した従来構造の第2例と同様の理由により、図り易い。
又、変速動作の安定化は、各ディスクの軸方向片側面と前記パワーローラの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力(法線力)の方向と、このパワーローラの中心軸とが成す角度をθとし、このトラクション部のトラクション係数をλとし、外輪の凹部と支持梁部の円筒状凸面との係合部の、この支持梁部の軸方向に関する静止摩擦係数をμfとした場合に、常にcosθ≧λ/μfの関係を満たす事により図れる。即ち、この関係を満たす事で、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との間に働く静止摩擦力を、前述した力2Ft以上とする事ができる。この結果、前記各外輪が各トラニオンに対し、前記各支持梁部の軸方向に変位するのを防止できる。
図1〜2は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、変速動作を安定させるべく、トラニオン7bの支持梁部23aに対し、スラスト玉軸受13aを構成する外輪16bを、この支持梁部23aに対する揺動変位を可能に支持しつつ、この支持梁部23aの軸方向に変位しない様にする為の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9〜15に示した従来構造の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
尚、前記角度θは、前記(1)式の関係を満たす範囲でできる限り大きくする事が好ましい。即ち、この角度θを大きくする程、前記スラスト方向の荷重Fprを小さくできる為、このスラスト方向の荷重Fprを支承するトラニオン7bを小型且つ軽量にできる。
図3〜4は、全請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、トラニオン7bを構成する支持梁部23bの円筒状凸面22bに周方向に亙る凹溝27、27を、軸方向複数箇所に設ける事で、この円筒状凸面22bに軸方向に亙る凹凸を設けている。前記各凹溝27、27の両内側面は、この円筒状凸面22bの軸方向に対し傾斜している。又、外輪16cの凹部24bに周方向に亙る凹溝28、28を、軸方向複数箇所に設ける事で、前記凹部24bに軸方向に亙る凹凸を設けている。これら各凹溝28、28の両内側面に関しても、この凹部24bの軸方向に対し傾斜している。前記各凹溝27、28の深さや幅、個数は、前記円筒状凸面22bと前記凹部24bとの間の係合部の、軸方向の静止摩擦係数を目標とする値以上としつつ、前記支持梁部23bを中心とする前記外輪16cの揺動変位を円滑に行える様に、設計的に定める。この様な、円筒状凸面22bと凹部24bとを係合させる事で、この係合部の軸方向に関する静止摩擦係数を大きくしている。一方、前記各凹溝27、28を周方向に亙り設けている為、前記係合部の周方向に関する摩擦係数が徒に大きくなるのを防止できる。この結果、前記支持梁部23bに対する前記外輪16cの軸方向の変位を防止しつつ、この支持梁部23bを中心とするこの外輪16cの揺動変位を円滑に行わせる事ができる。
外輪が支持梁部に対し軸方向に変位するのを防止して、変速動作を安定して行う為には、特に前述した力2Ftが大きい場合に、前記外輪の凹部と前記支持梁部の円筒状凸面との係合部の静止摩擦力を大きくする必要がある。この様な観点で考えた、軸方向の静止摩擦係数の増大の為の構造の3例に就いて、図5により説明する。
このうちの図5の(A)に示した構造の場合には、円筒状凸面22cのうち、前述した様に、支持梁部23cに加わるスラスト荷重により、トラニオン7cが外輪16a(図9〜10、12〜14参照)を設置した側に弾性変形するのに伴い、この外輪16aの凹部24との面圧が高くなる部分に、周方向に亙る凹溝27a、27aを複数箇所に設けている。
又、図5の(C)に示した構造の場合には、円筒状凸面22eのうち、上述した様に、外輪16a(図9〜10、12〜14参照)が弾性変形するのに伴ってこの外輪16aの凹部24との面圧が高くなる部分のうち、特に面圧が高くなる部分に、支持梁部23cの周方向の凹溝27c、27cを複数箇所に設けている。
外輪の凹部と支持梁部の円筒状凸面との両面のうち、前述した力2Ftが特に大きい場合に、軸方向の静止摩擦係数の増大の為の別の構造の3例に就いて、図6により説明する。
図6の(A)〜(C)に示した、全請求項に対応する構造は、何れも、外輪16cの凹部24c〜24eの一部に、複数の凹溝28a〜28cを設けている。
このうちの図6の(A)に示した構造の場合には、凹部24cのうち、トラニオン7aの支持梁部23(図9〜11、13〜14参照)に加わるスラスト荷重により、このトラニオン7aが前記外輪16cを設置した側が凹となる方向に弾性変形するのに伴って、前記支持梁部23の円筒状凸面22との面圧が高くなる部分に、周方向に亙る凹溝28a、28aを複数箇所に設けている。
又、図6の(C)に示した構造の場合には、凹部24eのうち、上述した様に、外輪16cが弾性変形するのに伴って支持梁部23の円筒状凸面22(図9〜11、13〜14参照)との面圧が高くなる部分に、この支持梁部23の中心軸に対し傾斜した(この中心軸と成す角が鋭角である)凹溝28c、28cを複数箇所に設けている。
先ず、これら各値λ、μf、θに就いて、以下の様に規制する。
λ=0.055
μf=0.12
θ=62.5゜
この条件下で、λ/μf、cosθは、それぞれ0.458、0.462となり、前述した(1)式の関係を満たす。
2 入力ディスク
3 出力筒
4 出力歯車
5 出力ディスク
6、6a、6b パワーローラ
7、7a、7b トラニオン
8、8a、8b 傾転軸
9 支持梁部
10 支持板
11、11a ラジアルニードル軸受
12、12a 支持軸
13、13a スラスト玉軸受
14 スラストニードル軸受
15 内輪軌道
16、16a〜16c 外輪
17 外輪軌道
18 玉
19 駆動軸
20 押圧装置
21 アクチュエータ
22、22a〜22e 円筒状凸面
23、23a〜23c 支持梁部
24、24a〜24e 凹部
25 ラジアルニードル軸受
26 段差面
27、27a〜27c 凹溝
28、28a〜28c 凹溝
Claims (2)
- 少なくとも1対のディスクと、複数のトラニオンと、これら各トラニオンと同数のパワーローラと、同じく同数のスラスト転がり軸受とを備え、
このうちの各ディスクは、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を可能に支持されたものであり、
前記各トラニオンは、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた1対の傾転軸と、これら両傾転軸同士の間に存在し、少なくとも前記各ディスクの径方向に関する内側の側面を、前記両傾転軸の中心軸と平行でこれら両傾転軸の中心軸よりも前記各ディスクの径方向に関して外側に存在する中心軸を有する、円筒状凸面とした支持梁部とを備えたもので、軸方向に関して前記各ディスクの軸方向側面同士の間位置の周方向に関して複数箇所に、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられており、
前記各パワーローラは、前記各トラニオンの内側面に、それぞれスラスト転がり軸受を介して回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させており、
前記各スラスト転がり軸受は、前記各トラニオンの支持梁部と前記各パワーローラの外側面との間に設けられたもので、これら各支持梁部側に設けられた外輪と、これら各外輪の内側面に設けられた外輪軌道と前記各パワーローラの外側面に設けられた内輪軌道との間に転動自在に、それぞれ複数個ずつ設けられた転動体とを備えたものであり、
前記各スラスト転がり軸受の外輪は、これら各外輪の外側面に設けられた凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面とを係合させる事により、これら各トラニオンに対し、前記各ディスクの軸方向に関する揺動変位を可能に支持されているトロイダル型無段変速機に於いて、
前記各ディスクの軸方向片側面と前記各パワーローラの周面との当接部である、トラクション部に付与される押し付け力の方向と、このパワーローラの中心軸とが成す角度をθとし、このトラクション部のトラクション係数をλとし、前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面との係合部の、これら各支持梁部の軸方向に関する静止摩擦係数をμfとした場合に、常にcosθ≧λ/μfを満たす事を特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記各外輪の凹部と前記各支持梁部の円筒状凸面とのうちの少なくとも一方に、その内面がこれら各支持梁部の中心軸に対して傾斜した凹溝を1箇所乃至複数箇所、前記凹部又は円筒状凸面の周方向に設けている、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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