JPH10284306A - 抵抗体素子 - Google Patents

抵抗体素子

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Publication number
JPH10284306A
JPH10284306A JP9248797A JP9248797A JPH10284306A JP H10284306 A JPH10284306 A JP H10284306A JP 9248797 A JP9248797 A JP 9248797A JP 9248797 A JP9248797 A JP 9248797A JP H10284306 A JPH10284306 A JP H10284306A
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JP
Japan
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pattern
resistor
base
synthetic resin
resin material
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Application number
JP9248797A
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English (en)
Inventor
Koji Akashi
耕司 明石
Akikazu Matsumoto
晃和 松本
Takayoshi Tsuzuki
位兆 都築
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抵抗体パターンの寸法安定性を向上する。 【解決手段】 合成樹脂材料を射出成形することにより
形成した基体11と、基体11の表面に形成されたカー
ボン等の導電性粉末を含む樹脂被膜からなり、可動接触
子cの移動経路に対応するパターン形状を有する抵抗体
パターン12とを具備し、その基体11の抵抗体パター
ン12が形成された部分では、射出成形時の合成樹脂材
料の流動方向を、流動案内手段(案内ブレード30)に
よってそのパターンの長さ方向と一致するようにさせ、
それによって、合成樹脂材料がそのパターン形状に沿っ
た方向に配向されるようにする。流動案内手段はブレー
ド状、円柱状等の中子またはインサートとして形成でき
る。合成樹脂材料の配向により、湿度、温度等の変化に
対する抵抗体パターン12の長さ方向の寸法安定性が向
上され、変位センサに使用して、精度の良い変位の検出
を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はストロークセンサ、
操舵角比センサ等の直動型または回動型変位センサ等に
使用する抵抗体素子、即ち、電気絶縁性の基板上に可動
接触子の移動経路に対応するパターン形状(直線状、円
弧状等)の抵抗体パターンが形成された抵抗体素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車には、車高センサ、或いは操舵角
比センサ等、変位動作する作動体の変位量または変位位
置を電気信号として検出する各種の変位センサ(ポテン
ショメータ)が用いられている。
【0003】この変位センサは、その作動体と機械的に
連動する可動接触子(導電金属製ブラシ)に対して、電
気絶縁性の基板の表面にその可動接触子の移動経路に対
応するパターン形状の抵抗体パターンが形成された抵抗
体素子を組付けて、可動接触子をその抵抗体パターン上
を電気的な接触を保ちつつ滑動させることによって、一
種の可変抵抗器として構成される。なお、具体的には、
この抵抗体パターンは、カーボン等の導電体粉末をフェ
ノール樹脂或いはエポキシ樹脂等の樹脂バインダ(樹脂
マトリックス)に混入し、これを基板上に印刷塗布し、
次いで熱硬化することによって、導電体粉末を含む電気
抵抗性の樹脂被膜として形成され、可動接触子との電気
的接触が確保できる幅で筋状(帯状)に、また、通常円
弧状、または直線状である可動接触子の移動経路に従う
パターン形状で形成される。また、この基板上には一般
的に、その抵抗体パターンと平行に、同様の電気良導性
の樹脂被膜からなる固定配線としての集電パターンも形
成され、可動接触子はこれらの抵抗体パターンと集電パ
ターンとに跨がって摺動する。
【0004】そして、その抵抗体パターンの長さ方向の
両端間に一定の電圧を印加することにより、作動体と連
動して抵抗体パターン上を移動する可動接触子の接触位
置に応じた電圧が、その可動接触子から電気信号として
取出される。即ち、作動体の変位量または変位位置が、
種々の電気的制御または表示に有用な電圧値として検出
される。
【0005】ここで、このような抵抗体素子における板
状の基体は、電気絶縁性と共に、十分な機械的強度と耐
熱性、耐薬品(ガソリン)性、及び耐湿性(耐絶縁抵抗
低下性)等とを有することが必要であり、更に、抵抗体
パターンを備えることから、温度、湿度等の環境条件の
変動に対してその寸法変化が少ないことも重要である。
即ち、その寸法が変化すると、それの表面に一体に形成
された抵抗体パターンもそれと共に変化し、それによっ
て、可動接触子の接触位置が変わり、得られる出力電圧
に誤差が生じることになる。そこで、従来から一般に、
この種の抵抗体素子の基体は、各種の電子部品の基体と
しても一般的なアルミナ系等のセラミック材料から形成
されている。また、ガラス繊維(布)強化エポキシ樹脂
(積層体)から形成することも一般的であり、この場合
には、圧縮成形法によって成形される。
【0006】なお、この種の抵抗体素子の基体に関し
て、例えば、特開平8−227804号には、この基体
を、作動体と連動し、可動接触子に一体に固着された樹
脂製可動部材のその樹脂材と同等の熱膨脹係数を有する
合成樹脂材料、具体的には、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、または液
晶ポリエステル等から形成することが提案されている。
ただしここでは、それ以上の具体的な技術的開示はな
く、また、そのような合成樹脂材料からその基体を具体
的にどのように成形するかについても、何もふれられて
いない。また、特開平6−61620号、及び特開平5
−41574号には、一般的な配線基板に関するが、導
電パターンが基板の表面と同一表面に埋設された配線基
板の製造方法に関して、その基体を合成樹脂材料の射出
成形により形成することが開示されている。そして、こ
れらにおいては、ゲートを基体の裏側面に対応する個所
に設けた態様が図示されているが、それ以上の技術的詳
細については何も開示されていない。更に、特開平7−
307208号には、抵抗体パターンが基体表面と同一
表面に埋設された抵抗体素子に関して、その基体をフェ
ノール樹脂の注型成形(ポッティング)により形成する
ことが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、変位セン
サ等に使用される抵抗体素子、即ち、板状基体の表面に
電気抵抗性の樹脂被膜からなる抵抗体パターンが形成さ
れた抵抗体素子において、それの基体は、一般に、アル
ミナ等のセラミック材料、またはガラス繊維(布)強化
エポキシ樹脂(積層体)から形成されている。そして、
これらの材料は優れた強度、耐熱性等を有し、また温
度、湿度に対して膨脹・収縮性が少ないため、それらの
温度や湿度の変動による寸法変化が少なく、特に、抵抗
体パターンの長さ方向寸法の変化を少なく抑制すること
ができる。そのため、このような抵抗体素子を用いた変
位センサによれば、作動体の変位を精度良く検出するこ
とができる。
【0008】しかしながら、セラミック材料から基体を
形成する場合には、そのセラミック材料の粉体を型内で
高い圧力をかけながら高温に加熱して焼結することが必
要であり、更に、その焼結成形後も、少なくとも抵抗体
パターンが形成される側の表面を平滑に仕上加工するこ
とが必要である等、生産能率が低く、原料コストと共に
製造コストも嵩む傾向にある。また、圧縮成形(積層成
形)によって成形されるガラス繊維(布)強化エポキシ
樹脂からなる基体の場合も同様であり、その成形操作自
体は簡単であるが、成形時間が比較的長く、低能率であ
るため、製造コストも割高となる傾向にある。
【0009】そこで、前述の特開平8−227804号
等においてすでに提案されていることであるが、この種
の抵抗体素子の基体を、合成樹脂材料を射出成形するこ
とによって形成することが考えられる。そして、それに
よれば、成形サイクルが短く、しかも仕上加工も簡単で
あるため、高能率でその基体を成形することができ、し
たがって、セラミック材料またはガラス繊維強化エポキ
シ樹脂の場合よりも低コストで形成できることになる。
【0010】しかし、このように基体を射出成形によっ
て合成樹脂材料から形成した場合、機械的強度や耐熱性
等は実用上十分に得られ、また特に、エンジニアリング
プラスチックの使用によりセラミック材料に劣らない程
に高い強度等も確保できるが、ただここで問題となるの
はその寸法安定性である。即ち、合成樹脂材料は比較的
熱膨脹係数が高く、また吸湿による膨張性も有するた
め、温度や湿度の環境変化に対して比較的膨脹し、また
は収縮し易いことである。もっとも、そのような寸法変
化は、比較的多いとは言っても量的にはきわめて微小で
あり、また無機質フィラの配合によってその膨脹・収縮
性もより少なくすることができるため、実際的には特に
支障となる程のものではない。しかしながら、精度の良
い変位センサを形成する上でも、その抵抗体素子の基体
は寸法安定性に優れ、それによって特に、抵抗体パター
ンの長さ方向変化が少ないことが好ましいことは言うま
でもない。
【0011】そこで、本発明は、基体を合成樹脂材料の
射出成形によって形成するものであるが、温度や湿度の
変動等による抵抗体パターンの長さ方向変化がより少な
く、その寸法安定性が優れた抵抗体素子の提供を課題と
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題について検討を重ねるなかで、合成樹脂材料の射出成
形時、即ち、ゲートから射出された溶融した合成樹脂材
料がキャビティ内を流動するとき、剪断作用によってそ
の流動方向に樹脂分子及び繊維状フィラが配列する配向
(流動配向)が生じるが、この配向によってその配向方
向に対しては物理的性質が向上し、温度や湿気に対する
膨脹・収縮性は最も低くなることに着目した。そして、
このような合成樹脂材料の配向は、一般には強度等に異
方性が生じるために好ましくないとされているものであ
るが、この配向をむしろ積極的に利用し、基体の射出成
形時の合成樹脂材料の流動方向を案内制御することによ
って、抵抗体パターンに対応する部分において合成樹脂
材料がそのパターン方向に沿って配向するようにさせる
ことにより、上記の課題が効果的に解決できることを見
出し、確認した。
【0013】即ち、本発明にかかる抵抗体素子は、電気
絶縁性の板状の基体と、この基体の表面に可動接触子の
移動経路に対応するパターン形状で形成された導電体粉
末を含む電気抵抗性の樹脂被膜からなる抵抗体パターン
とを具備し、ここで、その基体は合成樹脂材料を射出成
形することにより形成され、かつ、この基体の前記抵抗
体パターンが形成された部分では、合成樹脂材料がその
抵抗体パターンに沿う方向に配向されているものであ
る。
【0014】また別の面において、本発明にかかる抵抗
体素子は、電気絶縁性の板状の基体と、この基体の表面
に可動接触子の移動経路に対応するパターン形状で形成
された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹脂被膜からなる
抵抗体パターンとを具備し、ここで、その基体は合成樹
脂材料を射出成形することにより形成され、かつ、この
基体の前記抵抗体パターンが形成された部分では、射出
成形時の合成樹脂材料の流動方向がその抵抗体パターン
と一致しているものである。
【0015】更に、より具体的には、本発明にかかる抵
抗体素子は、電気絶縁性の板状の基体と、この基体の表
面に可動接触子の移動経路に対応するパターン形状で形
成された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹脂被膜からな
る抵抗体パターンとを具備し、ここで、その基体は、流
動案内手段が配設された金型キャビティ内にゲートを介
して熱溶融した合成樹脂材料を射出することによって形
成され、そして、その流動案内手段によって、ゲートか
らキャビティ内に流入した合成樹脂材料が、前記抵抗体
パターンに対応する部分において、そのパターン形状に
一致する方向に流動するように案内制御されているもの
である。
【0016】そして詳細には、その流動案内手段は、中
子及びインサートのうちの1種以上からなり、中子から
なる場合には、前記基体にはその跡としての孔が形成さ
れ、また、インサートからなる場合には、前記基体に一
体に埋設される。
【0017】なお、この本発明の抵抗体素子の基体の射
出成形方法は、合成樹脂材料からなる電気絶縁性の板状
の基体と、この基体の表面に可動接触子の移動経路に対
応するパターン形状で形成された導電体粉末を含む電気
抵抗性の樹脂被膜からなる抵抗体パターンとを備える抵
抗体素子のその基体を射出成形により形成する方法にお
いて、相互に開閉自在な金型にその基体に対応して区画
形成され、かつ、流動案内手段が配設されたキャビティ
に、熱溶融した合成樹脂材料をゲートを介して射出する
ことからなり、その流動案内手段によって、ゲートから
キャビティ内に流入した合成樹脂材料が、前記抵抗体パ
ターンに対応する部分において、そのパターン形状に一
致する方向に流れるようにしたものである。
【0018】なお、また、この本発明の抵抗体素子の基
体の射出成形金型装置は、合成樹脂材料からなる電気絶
縁性の板状の基体と、この基体の表面に可動接触子の移
動経路に対応するパターン形状で形成された導電体粉末
を含む電気抵抗性の樹脂被膜からなる抵抗体パターンと
を備える抵抗体素子のその基体を射出成形するための金
型装置において、その基体に対応するキャビティを区画
形成する相互に開閉自在な一対の金型と、そのキャビテ
ィ内に配設され、前記抵抗体パターンに対応する部分に
おいて、ゲートから射出された加熱溶融した合成樹脂材
料をその抵抗体パターンに沿って流動するように案内制
御する流動案内手段と具備するものである。
【0019】このように、本発明にかかる抵抗体素子に
おいては、基体の射出成形時における合成樹脂材料の流
動方向(ゲートから流入した溶融された合成樹脂材料
が、キャビティ内を順次充填しつつ流れる経路方向)
を、抵抗体パターンに対応する部分において、そのパタ
ーン形状と一致するように案内制御し、そしてそれによ
って、合成樹脂材料(樹脂分子及び特に繊維状フィラま
たは補強材)がそのパターン形状に沿って配向するよう
にしているので、その配向によってパターン形状に沿う
方向の組織強度を最大に高め、使用する合成樹脂材料に
固有な範囲ではあるが、その方向に対する膨脹・収縮性
を含めた物理的特性を最大限まで向上することができ
る。即ち、基体の抵抗体パターンが形成された部分にお
いて、温度、湿度等の変動による膨脹、収縮変化を、そ
のパターンに沿う方向に対して最小に抑制することがで
き、それによって、その表面に形成された抵抗体パター
ンの長さ方向の寸法変化を最小に抑制することができ
る。なお、その配向方向と直角な方向に対しては、即
ち、抵抗体パターンの幅方向に対しては、逆に、強度等
だけでなく膨脹・収縮性も最小に低下することになる
が、抵抗体パターンの幅方向の寸法変化自体は電位を変
化させるものではなく、しかも、抵抗体パターンの幅寸
法自体が小さいことから寸法変化の絶対量も十分に少な
いため、そのパターン幅方向に対する膨脹・収縮性の低
下は実際的には問題となることはない。また、その配向
によって強度等に異方性が生じ、全体の強度は低下する
が、この点は、基体の厚さを増すこと等によって容易に
対処することができる。こうして、本発明によれば、温
度、湿度等の環境変化に対して寸法安定性が優れた抵抗
体素子を得ることができ、そして、これを変位センサに
適用することにより、精度の良い変位の検出を行うこと
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0021】〔第一の実施の形態〕図1乃至図3は本発
明の第一の実施の形態の抵抗体素子を示すものであり、
図1はその平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面
図、図3はそれの基体を、射出成形時の合成樹脂材料の
流れの方向(合成樹脂材料の配向の方向)と共に示す平
面図である。また、図4乃至図6は図3の基体の射出成
形金型装置を示すものであり、図4は図3に対応する金
型開閉方向とは直角の要部断面図、図5は図4のB−B
線に沿う断面図、図6は図4のC−C線に沿う断面図で
ある。
【0022】図1及び図2において、全体を10で示す
本第一の実施の形態の抵抗体素子は、特に、ストローク
センサ等の直動型の変位センサ(位置検出センサ)での
使用に適合されたものである。即ち、この抵抗体素子1
0は、電気絶縁性の略矩形の平板状基体11とこの基体
11の表面に形成された抵抗体パターン12とから基本
的になり、そして、この抵抗体パターン12上を、直線
的に往復変位するピストン等の作動体(図示しない)と
連動する導電性金属のブラシからなる可動接触子c(点
線で示す)が、電気的な接触を保ちつつ滑動するように
されている。したがって、この抵抗体パターン12は、
その可動接触子cの移動経路に沿って、細長い直線状に
形成されている。
【0023】より具体的には、この抵抗体パターン12
は、適度な抵抗率を有する薄膜の抵抗体層として形成さ
れ、一般に、良好な耐摩耗性を有するフェノール樹脂等
の熱硬化性樹脂とカーボン等の導電性粉末と(及び、添
加剤)の混合物からなるペーストを、スクリーン印刷等
によって基体11上に塗布し、次いで焼付硬化すること
によって形成されている。また、この電気抵抗性の樹脂
被膜からなる抵抗体パターン12の長さ方向の両側に
は、基体11の一側端部における端子14で終端する電
極13a,bが、それぞれ電気的に接続されている。詳
細には、これらの電極13a,bは、抵抗体パターン1
2の場合と同様に、樹脂バインダ中に銀或いは銅箔等の
電気良導体を混入したペーストをスクリーン印刷等によ
り塗布し、焼付硬化することによって形成され、実質的
に電気抵抗のない薄膜の導電体層として形成されてい
る。なお、これらの電極13a,bは、その保護のため
に、抵抗体パターン12を形成するペーストによる抵抗
体層によって被覆された構造とされ(図2)、また、一
方の電極13aは、抵抗体パターン12の側方をそれと
平行に引き回された電極パターンとして形成されている
(図1)。更に、抵抗体パターン12の一側(電極パタ
ーン13aと反対側)には、それと平行に集電パターン
15が設けられている。この集電パターン15は電極1
3と同じ構造で、即ち、端子16で終端する実質的に電
気抵抗のない導電体層を耐摩耗性が良好な上記の抵抗体
層で覆った構造で、ただし、ブラシからなる可動接触子
cが摺接するために十分な幅で形成されている。
【0024】そして、変位センサは、変位する作動体と
連動する可動接触子cに対してこの抵抗体素子10を組
み付け、その櫛状のブラシからなる可動接触子cを抵抗
体パターン12と集電パターン15との間に跨がって摺
動自在に接触させることによって構成される。また、一
対の電極13a,bは各端子14を介して電源及びグラ
ンドラインGNDにそれぞれ接続され、使用時には、抵
抗体パターン12に一定の電圧Vinが印加される。そし
て、作動体が変位すると、それと機械的に連動して可動
接触子cが抵抗体パターン12上を移動し、その接触位
置に応じた電圧Vout が集電パターン15を介してその
端子16から出力される。つまり、作動体の変位位置ま
たは変位量を、制御或いは表示に有用な電気的信号とし
て検出することができる。
【0025】そのため、この抵抗体素子10はその寸法
安定性、特に、抵抗体パターン12の長さ方向に対する
寸法安定性が重要であり、熱或いは湿気等によってその
長さ寸法が変化すると、可動接触子cの所定の変位に対
する出力電圧Vout に誤差が生じることになる。そこ
で、本実施の形態では、それの基体11を、最も簡易な
手段である合成樹脂材料の射出成形によって形成する
が、抵抗体パターン12の長さ方向に対しては最良の寸
法安定性が得られるようにしている。
【0026】即ち、本実施の形態において、抵抗体素子
10を構成する基体11は、合成樹脂材料の射出成形に
よって形成されている。この合成樹脂材料としては、ポ
リプロピレン樹脂、或いはABS樹脂等の各種の汎用樹
脂を使用することができる。しかし、物理的強度、耐熱
性、耐衝撃性等の点からは、ナイロン66等のポリアミ
ド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO,変性
PPE)、ポリエーテルサルフォン樹脂(PES)、ポ
リアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂
(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PB
T)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリフェニレン
サルファイド樹脂(PPS)、ポリカーボネート樹脂
(PC)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリメチ
ルペンテン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等のエンジニ
アリングプラスチックがより好ましい。更に、特に寸法
安定性の点からは、PPO(変性PPE)、PBT、P
PS、全芳香族ポリエステル系液晶ポリマ等が最も好ま
しい。
【0027】また、これらの樹脂材料には、安定剤、着
色剤等に加えて、各種のフィラ或いは補強材を配合する
ことができる。そのようなフィラまたは補強材として
は、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスフレー
ク、クレー(カオリン)等を挙げることができる。しか
し、より好ましいのは配向性を有する繊維状のフィラま
たは補強材であり、ガラス繊維(短繊維)等を特に好適
に用いることができる。また、この繊維状のフィラまた
は補強材としては、炭素繊維も電気絶縁性を阻害しない
程度に用いることができ、また、アルミナ、炭化ケイ
素、チタン酸カリウム等の各種のホイスカも用いること
ができる。
【0028】そして、本実施の形態では、このような合
成樹脂材料の射出成形に際して、ゲートから射出された
樹脂材料が金型キャビティ中を上記の直線状の抵抗体パ
ターン12に沿って流れるように案内または制御し(具
体的には、案内手段をその金型キャビティ内に配置する
ことによって)、それによって、図3のように、少なく
とも抵抗体パターン12が形成される部分では、樹脂及
び配合されたフィラまたは補強材等がそのパターンに沿
った方向に配向されるようにしている。
【0029】即ち、図4乃至図6のように、上記基体1
1を射出成形するための全体を20で示す射出成形金型
装置は、金型開閉方向Zに相互に型締め、型開き自在な
一対の金型、即ち、固定側金型21と可動側金型22と
を備え、共同してその基体11に対応するキャビティ2
3を成形空間として画成する。そして、これらの金型2
1,22には、図示しない溶融樹脂材料が通るスプル、
ランナ、金型温度調節用の冷却回路、成形品を金型から
取出すための突出し機構等が設けられている。また、キ
ャビティ23内に溶融された合成樹脂材料を射出する開
口であるゲート24は、キャビティ23の長さ方向の一
側のほぼ中央に、即ち、抵抗体パターン12の方向にや
や長い基体11の一方側(端子14,16が設けられる
側)の端面のほぼ中央に相当する個所に、単一のゲート
として設定されている。なお、このゲート24は、通常
の形態(サイドゲート)の他に、ファンゲート或いはフ
ィルムゲート、または、タブゲート、オーバラップゲー
ト等の特殊な形態とすることもできる。
【0030】そして、このキャビティ23内には、ゲー
ト24から流入した合成樹脂材料が抵抗体パターン12
に沿う方向に(パターンの長さ方向に)流れるように、
金型と一体の、または金型とは別体の金属等の薄板材か
らなるブレード状の中子(案内ブレード)30が配設さ
れている。具体的には、この案内ブレード30は、抵抗
体パターン12が直線状である本実施の形態では、その
パターン12の長さ範囲に亘ってその両側に沿い、つま
り、電極パターン13a及び集電パターン15とのそれ
ぞれの間に、平行にかつ直線的に配設されている。ま
た、ここでは、これらの案内ブレード30は一方の金型
(可動側金型)22に固定的に植設され、その先端が他
方の金型(固定側金型)21に実質的に当接するまで、
即ち、板状の基体11の厚さ方向の全幅に亘って、延び
ている。したがって、これらの案内ブレード30は、
関、或いは隔壁となって、それらの間に比較的狭い流路
を区画し、キャビティ23内を流動する合成樹脂材料の
流動案内手段を形成する。
【0031】そのため、射出成形時、熱溶融された合成
樹脂材料がゲート24からキャビティ23内に射出され
ると、その合成樹脂材料はキャビティ23内を充填しつ
つゲート24とは反対側の端部に向かって流動するが、
このとき、抵抗体パターン12が形成される部分では、
それの両側に対応する位置に配設された案内ブレード3
0によってその流れが制御され、蛇行等の流動方向の変
動を生じることなく、抵抗体パターン12のパターン形
状に正確に沿って、その長さ方向に案内される。そし
て、この流動時に働く剪断作用によって、樹脂分子及び
特に繊維状のフィラまたは補強材はその流動方向に沿っ
て、つまり、抵抗体パターン12に沿って配向される。
なお、本実施の形態では、各案内ブレード30とこれと
対向する金型(可動側金型22)周囲壁表面との間にも
比較的狭い流路が形成されるため、合成樹脂材料の流動
方向と配向方向とは、抵抗体パターン12が形成される
部分以外においても、実質的にそれに平行となってい
る。
【0032】こうして、この射出成形金型装置20によ
れば、図3のように、射出成形時の合成樹脂材料の流れ
が案内ブレード30によって抵抗体パターン12に沿っ
た方向に制御され、それによって、合成樹脂材料(樹脂
分子及びフィラまたは補強材)が抵抗体パターン12に
沿った方向に配向された基体11を得ることができる。
そして、その案内ブレード30が配設された個所、即
ち、抵抗体パターン12の両側に沿った個所には、それ
の跡として、スリット状の細長い孔(貫通孔)17が形
成される。
【0033】そして、このように形成された基体11に
は、次いで、抵抗体パターン12と電極13及び集電パ
ターン15とが印刷形成され、本実施の形態の抵抗体素
子10が得られる。なお、別の方法として、予め、適当
な離型性の担体表面上に抵抗体パターン12等を印刷形
成し、これを同様の射出成形金型装置20の金型面(固
定側金型21の表面)にセットしてインサート成形し、
成形後その担体を剥がす方法によっても、実質的に同じ
抵抗体素子10を得ることができる。この方法によれ
ば、抵抗体パターン12等の表面を基体11の表面と一
致させ、連続させることができる。また、この方法は、
基体11を形成する合成樹脂材料が、抵抗体パターン等
の形成時の加熱硬化の際に熱影響を受けるおそれがある
場合にも有効である。
【0034】このように、本実施の形態の抵抗体素子1
0は、電気絶縁性の実質的に板状の基体11と、この基
体11の表面に可動接触子cの移動経路に対応して(こ
こでは、直線状に)形成された抵抗体パターン12とを
含み、ここで、基体11は、合成樹脂材料を射出成形す
ることによって形成され、かつ、その抵抗体パターン1
2が形成された部分では、合成樹脂材料がその抵抗体パ
ターン12に沿って配向されているものである。換言す
れば、その抵抗体パターン12が形成された部分では、
射出成形時の合成樹脂材料の流動方向が、具体的には、
案内ブレード30からなる流動案内手段によって案内制
御されて、その抵抗体パターン12に一致しているもの
である。具体的には、基体11は、案内ブレード30か
らなる流動案内手段が配設された射出成形金型装置20
のキャビティ23内にゲート24を介して熱溶融した合
成樹脂材料を射出することによって形成され、そして、
その流動案内手段30によって、ゲート24からキャビ
ティ23内に流入した合成樹脂材料が、抵抗体パターン
12に対応する部分において、そのパターン形状に一致
する方向(経路)に流動するように案内制御されたもの
である。
【0035】なお、この基体11を射出成形により形成
する方法は、熱溶融した合成樹脂材料を、案内ブレード
30からなる流動案内手段を備えた金型キャビティ23
内に射出することからなり、その際、抵抗体パターン1
2に対応する部分において、ゲート24から射出された
合成樹脂材料がその流動案内手段によって案内制御され
て抵抗体パターン12に沿って流動するようにさせるこ
とからなる。また、この基体11を射出成形により形成
する金型装置20は、その基体11に対応するキャビテ
ィ23を区画形成する相互に開閉自在な一対の金型(固
定側金型21,可動側金型22)と、そのキャビティ2
3内に配置され、抵抗体パターン12に対応する部分に
おいて、ゲート24から射出された合成樹脂材料が抵抗
体パターン12に沿って流動するように案内する案内ブ
レード30からなる流動案内手段とを具備するものであ
る。なお、この案内ブレード30からなる流動案内手段
は、より具体的には、抵抗体パターン12のパターン形
状が直線状である本実施の形態では、薄板状の中子から
なるその案内ブレード30が、抵抗体パターン12に沿
ってその両側に対面して配置されている。
【0036】したがって、本実施の形態の抵抗体素子1
0によれば、その基体11は合成樹脂材料を射出成形す
ることにより形成されるので、セラミック材料によっ
て、或いはガラス繊維強化エポキシ樹脂材料の圧縮成形
によって形成する場合よりも、より容易に、また高能率
で、したがって低コストで形成することができる。そし
て、抵抗体パターン12が形成された部分では、合成樹
脂材料(樹脂分子,フィラまたは補強材)がその抵抗体
パターン12に沿って、即ち、そのパターン形状の長さ
方向に沿って配向されているので、その抵抗体パターン
12に沿う方向に対する組織強度を最大限に高めること
ができ、吸湿或いは熱等による収縮、膨脹を最小に抑え
ることができる。つまり、抵抗体パターン12の長さ方
向に対する寸法安定性を、使用する合成樹脂材料に固有
ではあるが、それの最大にまで高めることができる。そ
のため、特に、この抵抗体素子10と可動接触子cとを
組付けて構成した変位センサ(ポテンショメータ)によ
れば、抵抗体パターン12のより高い寸法安定性によ
り、作動体の変位の電気的検出を精度良く行うことがで
きる。
【0037】なお、このように合成樹脂材料が抵抗体パ
ターン12に沿った方向に配向されていることによっ
て、それと直角の方向に対する基体11の組織強度は逆
に最小となり、寸法安定性も低いものとなる。しかし、
抵抗体パターン12の幅の寸法変化は電位の変動を引起
こす要因とはならず、しかもその幅は絶対長さ自体が小
さいため、その直角方向の低い寸法安定性は、実際上は
問題となることがない。また、その異方性によって全体
の強度は低下する傾向となるが、この基体11には大き
な力は作用しないため、実用上の強度は十分に得ること
ができる。ただし、その強度が不足する場合には、例え
ば、基体11の裏側に、異なるまたは同じ合成樹脂材料
を、配向方向を変えて射出成形すること(多材質射出成
形)等の適宜の手法によって、その補強を行うことがで
きる。また、次に述べる態様によっても、基体11の強
度をより高めることができる。
【0038】〈流動案内手段の別の態様〉ところで、上
記の実施の形態においては、流動案内手段である案内ブ
レード30は、固定側金型21と可動側金型22との間
に亘って延び、即ち、キャビティ23を完全に横切って
配設されているが、このような流動案内手段は、それら
の金型21,22との間に隙間をあけて配設することが
でき、また、中子としてだけでなく、インサートとして
基体11と一体に形成することもできる。
【0039】図7(a)乃至(e)は流動案内手段(案
内ブレード)の別の実施の形態を模式的に示す説明図で
ある。
【0040】図7(a)は、案内ブレード30を、固定
側金型21側から可動側金型22に向けて立設すると共
に、その先端と可動側金型22との間に間隙dをあけて
配設したものである。この態様によれば、射出成形後に
形成された基体11は、その裏側(抵抗体パターン12
が形成される側とは反対側)が連続したものとなり、ま
た、その案内ブレード30の跡として形成されるスリッ
ト状の細長い孔17(図2及び図3、参考)は、ここで
は、有底の孔、即ち、表側に開口する深い溝状の形状と
なる。したがって、この基体11は、その裏側には孔1
7がないため、その分だけ強度をより高めることができ
る。なお、間隙dは、強度のためには大きいほど好まし
いが、射出成形時の合成樹脂材料の流動方向を制御し、
合成樹脂材料を抵抗体パターン12に沿ってより良好に
配向するためには十分に小さいことが必要であり、一般
には、両金型21,22間の間隔の少なくとも1/2以
下であることが好ましい。また、この間隙dは、案内ブ
レード30の取付誤差等を吸収するためにも有効なもの
であり、この意味において、両金型21,22間の間隔
の少なくとも1/10程度の間隙dを設けることがむし
ろ好ましい。
【0041】図7(b)は、図7(a)とは逆に、案内
ブレード30の先端と固定側金型21との間に間隙dを
設けたものである。この態様の技術的詳細と効果は、上
記の場合と実質的に同じである。ただし、この態様によ
れば、基体11の表側の表面を連続した平坦面として形
成することができ、後の抵抗体パターン12の印刷形成
等がより容易となる利点がある。
【0042】図7(c)は、間隙dを両金型21,22
の中間に設けたものであり、詳しくは、案内ブレード3
0を、その先端を対向させて両金型21,22にそれぞ
れ立設し、それらの先端間に間隙dを設けたものであ
る。この態様によれば、形成される基体11はその厚さ
方向の中間部が連続したものとなり、また、表側と裏側
とにそれぞれ、その案内ブレード30の跡としての有底
のスリット状の細長い孔17孔が対称に形成されること
になる。そのため、同じ間隙dの寸法に対して、図7
(a)及び図7(b)の場合よりも、より高い強度が得
られる。
【0043】図7(d)は、固定側金型21及び可動側
金型22からそれぞれ間隙dをあけて立設した案内ブレ
ード30を、僅かな間隔をおいて互い違いに組合わせた
ものである(ここでは、3枚の案内ブレード30の組合
わせからなる)。この形態によれば、それらの組合わさ
れた案内ブレード30によって、側方への流動に対して
より高い流通抵抗を有する流動案内手段を構成すること
ができる。またその一方、基体11は、案内ブレード3
0が間隔をおいて配設されていることによって、その幅
方向に連続したものとして形成され、それによってその
強度を高めることができる。
【0044】なお、このような案内ブレード30は、一
般に金属等の薄板材から形成することができるが、金型
21,22と一体に形成することもできる。
【0045】また、図7(e)は、流動案内手段が中子
としての案内ブレード30からなるこれまでの例とは異
なり、射出成形により基体11と一体に形成されるイン
サート31を流動案内手段とするものである。即ち、こ
のインサート31からなる流動案内手段は、案内ブレー
ド25と同様のブレード状またはより厚みのある細長い
板状に形成され、適当な手段によってキャビティ23内
に配設される。ここで、このインサート31は合成樹脂
材料、またはセラミック、或いは好ましくは非導電性の
金属材料等から形成することができる。また、合成樹脂
材料からこのインサート31を形成する場合、そのブレ
ード状のインサート31を基体11の裏側部分と一体に
予め射出成形により成形し、次いでこれをインサートと
してその本体の射出成形を行うこともできる。
【0046】そして、このインサート31からなる流動
案内手段によれば、中子としての案内ブレード30の場
合には、射出成形後の基体11にはその跡としてスリッ
ト状の細長い孔17孔が形成されるのに対して、そのよ
うな孔17が無く、そのインサート31が一体に埋設さ
れた中実の基体11を形成することができる。そのた
め、より強度のある基体11を得ることができ、また、
表面の連続性を確保することができる。
【0047】〔第二の実施の形態〕図8は本発明の第二
の実施の形態の抵抗体素子を示す平面図である。また、
図9はその抵抗体素子の基体を、射出成形時の合成樹脂
材料の流れの方向(合成樹脂材料の配向の方向)と共に
示す平面図である。更に、図10はその基体の射出成形
金型装置の要部断面図である。なお、これらの図におい
て、第一の実施の形態と同一または相当する部分には、
同一の符号を使用している(なお、図8は図1に、図9
は図3に、また図10は図4にそれぞれ対応して描かれ
ている)。
【0048】図8のように、全体を40で示す本実施の
形態の抵抗体素子は、操舵角比センサ等の、所謂、回動
型変位センサでの使用に特に適合されたものであり、こ
こでは、図示しない作動体と連動して所定の中心回りに
回動する可動接触子c(点線で示す)と対応して、抵抗
体パターン12等は略半円の円弧状に形成されている。
しかし、その基本的構成は、第一の実施の形態と実質的
に同一である。
【0049】即ち、本実施の形態の抵抗体素子40は、
電気絶縁性である略半円形の平板状の基体11と、その
表面に印刷形成されたカーボン等の導電体粉末と樹脂バ
インダとの硬化被膜からなる抵抗体パターン12とを含
み、具体的には更に、その抵抗体パターン12の長さ方
向の両端に電気的に接続して形成された端子14で終端
する電極(電極パターン)13a,13bと、抵抗体パ
ターン12の内周側に同心状に形成された端子16で終
端する集電パターン15とを備えている。そして、変位
センサは、この抵抗体素子40と、円弧状である抵抗体
パターン12(及び集電パターン15)を中心として回
動変位する作動体と連動する可動接触子cとを組付け、
その可動接触子cをそれらの抵抗体パターン12と集電
パターン15との間に跨がって弾接させることによって
構成され、その作動体の回動変位位置または回動量(角
度)を検出する。即ち、抵抗体パターン12の両端間に
印加された一定の電圧Vinに対して、作動体の回動変位
に応じた電圧Vout が集電パターン15を介してその端
子16から出力される。
【0050】ここで基体11は、図9のように、第一の
実施の形態と同じく合成樹脂材料を射出成形することに
よって形成され、また、抵抗体パターン12が形成され
た部分では、射出成形時の合成樹脂材料の流動方向をそ
のパターン形状と一致させ、それによって、合成樹脂材
料が抵抗体パターン12の長さ方向に沿って配向するよ
うにしている。
【0051】具体的には、本実施の形態の基体11を射
出成形する金型装置20aは、第一の実施の形態と同様
に、その半円板状の基体11に対応するキャビティ23
を区画形成する相互に開閉自在な一対の金型(固定側金
型21,可動側金型22)を含み、そして、抵抗体パタ
ーン12に対応する部分において、ゲート24から射出
された合成樹脂材料が抵抗体パターン12のパターン形
状に沿って流動するように制御し、案内する流動案内手
段としての案内ブレード30が配設されている。詳細に
は、この案内ブレード30は、円弧状の抵抗体パターン
12の両側に、即ち、内周側と外周側とに沿って、その
長さ範囲に亘って同心状に配設されている。また、ゲー
ト24は、それらの半円弧状の案内ブレード30の一方
の端部に対向する個所に、単一のゲートとして設定され
ている。そのため、射出成形時には、ゲート24からキ
ャビティ23内に射出された熱溶融した合成樹脂材料
は、図9に示されるように、その一部がそれらの対向す
る案内ブレード30によって形成された流通路内を順次
充填しつつ、円弧状に、即ち、抵抗体パターン12のパ
ターン形状に対応して流動し、またこの流動時の剪断作
用によって、樹脂分子及び特に繊維状のフィラまたは補
強材がその流動方向に配向される。
【0052】このように、本実施の形態の抵抗体素子4
0においては、基体11を合成樹脂材料の射出成形によ
って形成すると共に、半円弧状のパターン形状を有する
抵抗体パターン12が形成された部分では、射出成形時
の合成樹脂材料の流動方向を案内ブレード30からなる
流動案内手段によってその抵抗体パターン12に一致さ
せ、それによって、合成樹脂材料(樹脂分子及び特に繊
維状のフィラまたは補強材)をその抵抗体パターン12
に沿って配向させている。したがって、この抵抗体素子
40によれば、第一の実施の形態の場合と同じく、合成
樹脂材料からなる基体11における抵抗体パターン12
が形成された部分では、そのパターン方向に対して最大
の寸法安定性が得られ、吸湿或いは熱等による膨脹、収
縮を最大限に少なく抑制することができる。そのため、
この抵抗体素子40を特に回動型変位センサに適用する
ことにより、回動変位または回動角度についての精度の
より高い検出を行うことができる。
【0053】なお、本第二の実施の形態において、流動
案内手段としての関を形成する案内ブレード30は、一
般に図5及び図6の態様で配設することができ、この場
合、射出成形後の基体11にはその跡としてスリット状
の細長い孔17が貫通孔として形成される。しかし、こ
の案内ブレード30の配設の態様は、これに限定される
ものではなく、図7(a)乃至図7(d)に示されるい
ずれの態様であってもよい。また、この案内ブレード3
0に代えて、流動案内手段としては、図7(e)のよう
なインサート31を用いることもできる。更に、本実施
の形態の場合、一対の案内ブレード30間に形成された
流通路内に溶融した合成樹脂材料が反対側から流入する
ことを防止するために、邪魔板状となる適当なインサー
ト31を付加的に配設することもできる。
【0054】〔第三の実施の形態〕図11は本発明の第
三の実施の形態の抵抗体素子を示す平面図である。ま
た、図12はその抵抗体素子の基体を射出成形するため
の金型装置の要部断面図である(射出成形時の合成樹脂
材料の流動方向を合わせて示す)。なお、これらの図に
おいて、第一及び第二の実施の形態と同一または相当す
る部分には、同一の符号を使用している(なお、図11
は図1及び図8に、また図11は図4及び図10にそれ
ぞれ対応して描かれている)。
【0055】図11のように、本第三の実施の形態の抵
抗体素子50は、第二の実施の形態の場合と同様に回動
型ではあるが、より広角度の変位を検出する広角度回動
型変位センサでの使用に適合されたものである。即ち、
この抵抗体素子50では、抵抗体パターン12は、一部
が切欠かれた略円周形状のパターン形状で形成されてい
る。また、この抵抗体パターン12に対応して、その外
周側には一方の電極パターン13aが、またその内周側
には集電パターン15がそれぞれ略円周形状のパターン
形状で同心円状に設けられている。
【0056】そして、基本的には円板状の形状からなる
その基体11は、第一及び第二の実施の形態と同様に、
合成樹脂材料の射出成形によって形成され、かつ、抵抗
体パターン12が形成された部分においては、射出成形
時の合成樹脂材料の流動方向を流動案内手段によってそ
の抵抗体パターン12に一致させ、それによって、合成
樹脂材料がそのパターン形状に沿う方向に配向するよう
にされている。
【0057】即ち、図12のように、本実施の形態の抵
抗体素子50の基体11を射出成形する金型装置20b
は、その基体11の形状、つまり、円板状の基本部に、
端子14,16を形成するための矩形板状の付属部が付
設された形状、に対応するキャビティ23を形成する一
対の金型(固定側金型21,可動側金型22)を備え、
そして、流動案内手段としての案内ブレード30が、抵
抗体パターン12の内周側に沿って(抵抗体パターン1
2と集電パターン15との間)、その長さ方向の一端側
から他端側まで環状に延び、次いでその他端から略直角
に曲り、周囲のキャビティ23壁面に当接し接続するよ
うな形状で配設されている。つまり、この案内ブレード
30によって、環状のキャビティ23壁面(金型21,
22壁面)との間に、抵抗体パターン12と電極パター
ン13aとに対応する一部が切欠かれた円周状の流通路
が形成される。また、ゲート24は、基体11のその付
属部に対応するキャビティ23の壁面に単一のゲートと
して設定されている。
【0058】そして、射出成形時、ゲート24からキャ
ビティ23内に流入した熱溶融された合成樹脂材料は、
図12に示されるように、一部は案内ブレード30によ
って囲まれた中央の欠円形状の空所に流動すると共に、
他部は、案内ブレード30とキャビティ23壁面との間
で形成された流通路を順次充填しつつ流動する、即ち、
抵抗体パターン12(及び電極パターン13a)のパタ
ーン形状に沿って流動する。そのため、射出成形後の基
体11においては、抵抗体パターン12が形成される部
分では、合成樹脂材料(樹脂分子及び特に繊維状のフィ
ラまたは補強材)がそのパターンに沿う方向に配向され
る。
【0059】このように、本第三の実施の形態の抵抗体
素子50は、合成樹脂材料からなる実質的に板状の基体
11と、その表面に形成された抵抗体パターン12とを
含み、その抵抗体パターン12が特に一部が切欠かれた
略円周形状のパターン形状で形成されたものであるが、
その基体11は、抵抗体パターン12が形成された部分
では、合成樹脂材料が抵抗体パターン12に沿った方向
に配向されているので、第一及び第二の実施の形態の場
合と同様に、そのパターン方向に対する湿度、温度等の
変動による膨脹、収縮を最小に抑制することができ、優
れた寸法安定性を有することができる。そのため、この
抵抗体素子50を、図示しない作動体と連動して回動変
位する可動接触子cと組付けて構成した広角度回動型変
位センサによれば、作動体の回動変位または回動角度に
ついての精度の良い検出を行うことができる。
【0060】なお、本実施の形態では、流動案内手段と
しての案内ブレード30は、具体的には図5及び図6の
態様でキャビティ23内に配設され、それによって、そ
の案内ブレード30の跡はスリット状の細長い貫通孔1
7として形成されている。しかし、この案内ブレード3
0の配設の態様は、間隙dを比較的少なくする限りにお
いて、図7(a)乃至図7(d)のいずれの形態であっ
てもよく、また、図7(e)のインサート31の形態と
することもできる。更に、図12において、その案内ブ
レード30とキャビティ23壁面との間に(抵抗体パタ
ーン12と電極パターン13aとの間に対応する部分
に)、つまり、抵抗体パターン12の外周側に沿って、
同様の案内ブレード30を更に配設することもできる。
それによって、抵抗体パターン12に対応する部分での
合成樹脂材料の流動方向をより正確に制御し、そのパタ
ーン形状と一致させることができる。
【0061】〔第四の実施の形態〕図13は本発明の第
四の実施の形態の抵抗体素子を示す平面図である。ま
た、図14はその抵抗体素子の基体を射出成形するため
の金型装置の要部断面図である(射出成形時の合成樹脂
材料の流動方向を合わせて示す)。なお、これらの図に
おいて、第一及乃至第三の実施の形態と同一または相当
する部分には、同一の符号を使用している。
【0062】図13のように、本実施の形態の抵抗体素
子60は、図11の第三の実施の形態の抵抗体素子50
を変形した態様に相当するものである。即ち、この抵抗
体素子60は、抵抗体素子50と同じく広角度回動型変
位センサでの使用に適合されたものであり、抵抗体パタ
ーン12のパターン形状と配置等はそれとほぼ同じであ
るが、流動案内手段が具体的には異なり、それによって
基体11の形状が若干異なったものとなっている。
【0063】即ち、図14のように、この抵抗体素子6
0の基体11を射出成形により形成するための金型装置
20cは、第三の実施の形態の場合と同様に、その基体
11の形状、即ち、一部を切欠いた円周状の抵抗体パタ
ーン12と、それの外周側の電極パターン13a及びそ
れの外周側の集電パターン15とが同心状に形成される
円板状の基本部に、端子14,16が形成される矩形板
状の付属部が付設された形状、に対応するキャビティ2
3を形成する一対の金型(固定側金型21,可動側金型
22)を備えている。ただし、ここでは、流動案内手段
は一方の金型(可動側金型22)に実質的に一体の円柱
状(または円筒状)の中子32から形成され、基体11
の中央(抵抗体パターン12の中心)に相当する位置に
配置されている。また、この円柱状の中子32に一端を
発して、ブレード状の中子である案内ブレード30が、
集電パターン15の端子16と電極(パターン)13b
の端子14との間(図13)に相当する位置まで延び、
それによって、キャビティ23の上記の付属部に対応す
る側をほぼ二分するようにしている。なお、ゲート24
は、その二分されたキャビティ23の一方側に、具体的
には、端子16に対応する位置に単一のゲートとして設
定されている。
【0064】そして、射出成形時には、図14に示すよ
うに、ゲート24からキャビティ23内に射出された熱
溶融した合成樹脂材料は、案内ブレード30で略二分さ
れたキャビティ23の一側に主に流入し、そして、円柱
状中子32の外周面(円筒面)と環状のキャビティ23
壁面(金型21,22壁面)とによって形成される円周
状の流通路を順次充填しつつ、その中子32の回りを他
側に向かって流動する。即ち、図において点線で示す抵
抗体パターン12のパターン形状に沿って、その長さ方
向の一端側から他端側に向かって流動する。そのため、
この流動時の剪断作用によって、電極パターン13a及
び集電パターン15と共に抵抗体パターン12が形成さ
れる部分では、合成樹脂材料がそのパターン形状の長さ
方向に沿って配向される。なお、こうして射出成形され
た基体11には、流動案内手段であるそれらの円柱状の
中子32及び案内ブレード30の跡として、円形の孔
(貫通孔)18と、これと連続する細長いスリット状の
孔(貫通孔)17とが形成されることになる。
【0065】このように、本第四の実施の形態の抵抗体
素子60は、流動案内手段の跡の形状において異なる他
は第三の実施の形態の抵抗体素子50と実質的に同じで
あり、合成樹脂材料の射出成形により形成された基体1
1と、その表面に一部切欠きの円周状のパターン形状で
形成されたカーボン等の導電体粉末を含む樹脂被膜から
なる抵抗体パターン12とを備え、そして、その基体1
1の抵抗体パターン12が形成された部分では、射出成
形時の合成樹脂材料の流動方向が流動案内手段(円柱状
中子32及び案内ブレード30)によってそのパターン
方向と一致するようにされ、それによって、合成樹脂材
料(樹脂分子及び特に繊維状のフィラまたは補強材)が
そのパターン方向に沿って配向されている。そのため、
抵抗体パターン12の寸法安定性の良い抵抗体素子60
を得ることができ、これを可動接触子cと組付けて形成
した広角度回動型変位センサによれば、作動体の回動変
位または回動角についての精度の良い検出を行うことが
できる。
【0066】なお、本実施の形態において、案内ブレー
ド30はこれまでの実施の形態の場合と同様に、図5及
び図6の態様だけでなく、図7(a)乃至図7(d)の
態様であることができ、また、図7(e)のブレード状
のインサート31の態様とすることもできる。また、流
動案内手段としての円柱状の中子32は、図7(e)と
同様のインサートの形態とすることもできるが、一般に
は金型21または22と一体の中子の形態が好ましい。
ただし、このような中子32については、図7(a)乃
至図7(c)のように、間隙dをあけてキャビティ23
内に配設することもでき、その場合には、基体11には
その跡として有底の孔18が形成されることになる。な
お、合成樹脂材料の流動方向を抵抗体パターン12とよ
り正確に一致させるために、抵抗体パターン12と電極
パターン13aまたは集電パターン15との間に対応す
る部分に、つまり、図10の態様のように抵抗体パター
ン12の両側に沿って、更に案内ブレード30を配設す
ることもできる。
【0067】〔第五の実施の形態〕図15は本発明の第
五の実施の形態の抵抗体素子を示す平面図である。ま
た、図16はその抵抗体素子の基体を射出成形するため
の金型装置の要部断面図である(射出成形時の合成樹脂
材料の流動方向を合わせて示す)。なお、これらの図に
おいて、第一及乃至第四の実施の形態と同一または相当
する部分には、同一の符号を使用している。
【0068】図15のように、本第五の実施の形態の抵
抗体素子70は、第二乃至第四の実施の形態と同様に回
動型ではあるが、多信号(ここでは、2信号)を出力す
る多信号出力用変位センサでの使用に適合されたもので
あり、複数の(ここでは、2の)抵抗体パターン12を
備えたものである。
【0069】具体的には、第三及び第四の実施の形態と
同様の基体11の表面には、2の(一対の)略半円の円
弧状の抵抗体パターン12が対向して、またパターンの
中心を一致させて(左右対称に)形成されている。ま
た、これらの抵抗体パターン12の内周側には、端子1
6で終端する略半円の円弧状集電パターン15が、それ
ぞれに対して同心状に形成されている。更に、それらの
抵抗体パターン12に一定の電圧を印加するための一方
の電極13aは、対向する一対の抵抗体パターン12の
端部間の一方(図15の上方)を接続し、次いで一方の
抵抗体パターン12の外周側を引き回された形態で形成
され、端子14で終端し、また、他方の電極13aは、
その一方の抵抗体パターン12の他端に接続し、それぞ
れ一対の抵抗体パターン12と集電パターン15との間
を引き回されて、他方の抵抗体パターン12の他端と接
続する形態で形成され、別の端子14で終端している。
【0070】なお、この抵抗体素子70は、具体的に
は、図示しない単一の作動体と連動する一対の可動接触
子c(したがって、これらの可動接触子cは抵抗体パタ
ーン12の中心の回りに、互いに連動して回動する)と
組付けて使用される。そして、両端子14間に一定の電
圧Vinが印加されたとき、作動体の回動変位に応じた同
じ電圧Vout がそれぞれの端子から出力されるが、通
常、これらの出力信号の一方を主とし、他方を副として
利用される。
【0071】そして、抵抗体パターン12等が施された
円板状の基本部に、端子14,16が形成された矩形板
状の付属部が付設された形状の基体11は、これまでの
実施の形態と同様に、合成樹脂材料の射出成形によって
形成され、かつ、抵抗体パターン12が形成された部分
において、射出成形時の合成樹脂材料の流動方向を流動
案内手段によってその抵抗体パターン12に一致させ、
それによって、合成樹脂材料がそのパターン形状に沿う
方向に配向するようにされている。
【0072】即ち、図16のように、本実施の形態の抵
抗体素子70の基体11を射出成形する金型装置20d
は、その基体11に対応するキャビティ23を形成する
一対の金型を備え、そして、流動案内手段として、第四
の実施の形態の場合と同様の円柱状の中子32が、基体
11の円板状の基本部に対応するそのキャビティ23の
中央(円弧状抵抗体パターン12の中心)に配置されて
いる。なお、第四の実施の形態の場合(図14)とは異
なり、ここでは、案内ブレード30は配設されていな
い。また、ゲート24は、基体11の付属部の中央に対
応する個所に、単一のゲートとして設けられている。
【0073】そこで、射出成形時には、ゲート24から
キャビティ23内に流入する熱溶融された合成樹脂材料
は、図16に示すように、基体11の付属部に相当する
キャビティ23を満たした後、流動案内手段である円柱
状中子32に突当たって二分され、その円柱状中子32
と環状のキャビティ23壁面(金型壁面)との間に形成
される円周状の流通路を順次充填しながら、その円柱状
中子32のゲート24側とは反対側(図の上方)で合流
するまで流動する。即ち、図において点線で示す抵抗体
パターン12のパターン形状に沿って、その一端側から
他端側に向かって流動する。そのため、この流動時の剪
断作用によって、電極パターン13a及び集電パターン
15と共に抵抗体パターン12が形成される部分では、
合成樹脂材料がそのパターン方向に沿って配向される。
なお、こうして射出成形された基体11には、流動案内
手段である円柱状の中子32の跡として、円形の孔(貫
通孔)18とが形成される。
【0074】このように、本第五の実施の形態の抵抗体
素子70は、合成樹脂材料の射出成形により形成された
基体11と、その表面に略半円の円弧状のパターン形状
で形成されたカーボン等の導電体粉末を含む樹脂被膜か
らなる一対の抵抗体パターン12とを備え、そして、こ
れまでの実施の形態と同様に、その基体11の抵抗体パ
ターン12が形成された部分では、射出成形時の合成樹
脂材料の流動方向が流動案内手段(円柱状中子32)に
よってそのパターン方向と一致するようにされ、それに
よって、合成樹脂材料(樹脂分子及び特に繊維状のフィ
ラまたは補強材)がそのパターン方向に沿って配向され
ている。なお、射出成形時に合成樹脂材料が合流するゲ
ート24とは反対側の個所(図16の上方)ではウェル
ド(ウェルドライン)が生成し、また合成樹脂材料の配
向も乱れるが、本実施の形態においては、基体11のこ
の部分には抵抗体パターン12が形成されないようなパ
ターン配置とされている。そのため、抵抗体パターン1
2の寸法安定性の良い抵抗体素子70を得ることがで
き、これを可動接触子cと組付けて形成した多信号出力
用回動型変位センサによれば、作動体の回動変位または
回動角についての精度の良い検出を行うことができる。
【0075】なお、本実施の形態において、流動案内手
段としての円柱状の中子32に関する技術的詳細は第四
の実施の形態の場合と同様である。また、合成樹脂材料
の流動方向を抵抗体パターン12とより確実に一致させ
るために、抵抗体パターン12内側の電極パターン13
bとの間に対応する部分に、図10の態様のように更に
案内ブレード30またはブレード状のインサート31を
配設できる点も、前述と同様である。
【0076】ところで、本発明の抵抗体素子の実施の形
態についていくらかの例を挙げて説明したが、その全体
形状等については、これらの例以外にも具体的用途等に
応じて適宜変更し、設計することができ、また、抵抗体
パターンのパターン形状についても、直線状または所定
の曲率の円弧状(円周状)だけでなく、可動接触子の移
動経路に応じたその他の任意の形状であることができ
る。また、本発明の抵抗体素子については、主に変位セ
ンサ(ポテンショメータ)での使用を前提として説明し
たが、その他にも、所定の抵抗値を得るための可変抵抗
器等における抵抗体素子としても有利に使用することが
できる。
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる抵抗体素
子は、電気絶縁性の板状の基体と、この基体の表面に可
動接触子の移動経路に対応するパターン形状で形成され
た導電体粉末を含む電気抵抗性の樹脂被膜からなる抵抗
体パターンとを具備し、ここで、その基体は合成樹脂材
料を射出成形することにより形成され、かつ、この基体
の前記抵抗体パターンが形成された部分では、合成樹脂
材料がその抵抗体パターンに沿う方向に配向されている
ものである。
【0078】また別の面からすれば、本発明にかかる抵
抗体素子は、電気絶縁性の板状の基体と、この基体の表
面に可動接触子の移動経路に対応するパターン形状で形
成された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹脂被膜からな
る抵抗体パターンとを具備し、ここで、その基体は合成
樹脂材料を射出成形することにより形成され、かつ、こ
の基体の前記抵抗体パターンが形成された部分では、射
出成形時の合成樹脂材料の流動方向がその抵抗体パター
ンと一致しているものである。
【0079】更に、より具体的には、本発明にかかる抵
抗体素子は、電気絶縁性の板状の基体と、この基体の表
面に可動接触子の移動経路に対応するパターン形状で形
成された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹脂被膜からな
る抵抗体パターンとを具備し、ここで、その基体は、流
動案内手段が配設された金型キャビティ内にゲートを介
して熱溶融した合成樹脂材料を射出することによって形
成され、そして、その流動案内手段によって、ゲートか
らキャビティ内に流入した合成樹脂材料が、前記抵抗体
パターンに対応する部分において、そのパターン形状に
一致する方向に流動するように案内制御されているもの
である。
【0080】そして詳細には、その流動案内手段は、中
子及びインサートのうちの1種以上からなり、中子から
なる場合には、前記基体にはその跡としての孔が形成さ
れ、また、インサートからなる場合には、前記基体に一
体に埋設される。
【0081】したがって、この抵抗体素子においては、
基体は、成形サイクルが短く、しかも仕上加工も簡単で
ある合成樹脂材料を射出成形する方法によって形成され
るので、高能率で、容易にその基体を形成することがで
き、そのため、抵抗体素子を低コストで得ることができ
る。また、基体を射出成形する際、抵抗体パターンに対
応する部分では、ゲートからキャビティ内に流入した合
成樹脂材料がその抵抗体パターンのパターン形状に沿っ
て流動するように案内制御し、それによって、合成樹脂
材料がそのパターン形状に沿う方向(長さ方向)に配向
するようにしているので、そのパターン方向に沿った物
理的特性を最大に向上し、温度、湿度等の変動に伴なう
膨脹、収縮、つまり、寸法変化を最小に抑制することが
できる。そのため、抵抗体パターンの長さ方向変化が少
なく、寸法安定性が優れた抵抗体素子を得ることができ
る。即ち、本発明によれば、抵抗体パターンの寸法安定
性が優れた、変位センサ等での使用に適した抵抗体素子
を低コストで得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の第一の実施の形態の抵抗体素
子を示す平面図である。
【図2】 図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】 図3は図1の抵抗体素子の基体を、射出成形
時の合成樹脂材料の流れの方向(合成樹脂材料の配向の
方向)と共に示す平面図である。
【図4】 図4は図3の基体を射出成形するための金型
装置の要部断面図(金型開閉方向とは直角の断面図)で
ある。
【図5】 図5は図4のB−B線に沿う断面図である。
【図6】 図6は図4のC−C線に沿う断面図である。
【図7】 図7(a)乃至(e)は流動案内手段(案内
ブレード)の別の実施の形態を模式的に示す説明図であ
る。
【図8】 図8は本発明の第二の実施の形態の抵抗体素
子を示す平面図である。
【図9】 図9は図8の抵抗体素子の基体を、射出成形
時の合成樹脂材料の流れの方向と共に示す平面図であ
る。
【図10】 図10は図9の基体を射出成形するための
金型装置の要部断面図である。
【図11】 図11は本発明の第三の実施の形態の抵抗
体素子を示す平面図である。
【図12】 図12は図11の抵抗体素子の基体を射出
成形するための金型装置の要部断面図である。
【図13】 図13は本発明の第四の実施の形態の抵抗
体素子を示す平面図である。
【図14】 図14は図13の抵抗体素子の基体を射出
成形するための金型装置の要部断面図である。
【図15】 図15は本発明の第五の実施の形態の抵抗
体素子を示す平面図である。
【図16】 図16は図15の抵抗体素子の基体を射出
成形するための金型装置の要部断面図である。
【符号の説明】
c 可動接触子 10,40,50,60,70 抵抗体素子 11 基体 12 抵抗体パターン 13a,b 電極パターン 14 端子 15 集電パターン 16 端子 17 スリット状の孔(流動案内手段の跡) 18 円形の孔(流動案内手段の跡) 20,20a〜d 基体の射出成形金型装置 30 案内ブレード(流動案内手段) 31 インサート(流動案内手段) 32 円柱状中子(流動案内手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性の板状の基体と、 前記基体の表面に可動接触子の移動経路に対応するパタ
    ーン形状で形成された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹
    脂被膜からなる抵抗体パターンとを具備し、 前記基体は合成樹脂材料を射出成形することにより形成
    され、かつ、前記基体の前記抵抗体パターンが形成され
    た部分では、前記合成樹脂材料がその抵抗体パターンに
    沿う方向に配向されていることを特徴とする抵抗体素
    子。
  2. 【請求項2】 電気絶縁性の板状の基体と、 前記基体の表面に可動接触子の移動経路に対応するパタ
    ーン形状で形成された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹
    脂被膜からなる抵抗体パターンとを具備し、 前記基体は合成樹脂材料を射出成形することにより形成
    され、かつ、前記基体の前記抵抗体パターンが形成され
    た部分では、射出成形時の合成樹脂材料の流動方向がそ
    の抵抗体パターンと一致していることを特徴とする抵抗
    体素子。
  3. 【請求項3】 電気絶縁性の板状の基体と、 前記基体の表面に可動接触子の移動経路に対応するパタ
    ーン形状で形成された導電体粉末を含む電気抵抗性の樹
    脂被膜からなる抵抗体パターンとを具備し、 前記基体は、流動案内手段が配設された金型キャビティ
    内にゲートを介して熱溶融した合成樹脂材料を射出する
    ことによって形成され、そして、前記流動案内手段によ
    って、前記ゲートから前記キャビティ内に流入した前記
    合成樹脂材料が、前記抵抗体パターンに対応する部分に
    おいて、そのパターン形状に一致する方向に流動するよ
    うに案内制御されていることを特徴とする抵抗体素子。
  4. 【請求項4】 前記流動案内手段は、中子及びインサー
    トのうちの1種以上からなり、前記中子からなる場合に
    は、前記基体にはその跡としての孔が形成され、また、
    前記インサートからなる場合には、前記基体に一体に埋
    設されることを特徴とする請求項3に記載の抵抗体素
    子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095796A (ja) * 2006-10-11 2008-04-24 Mikuni Corp 遊星ローラ変速装置
JP2009002513A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Stabilus Gmbh 位置調整要素
JP2009262548A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Aisin Seiki Co Ltd 形成体及びその成形方法
US11419209B2 (en) 2018-07-20 2022-08-16 Denso Corporation Resin member and method for producing resin member
US11770895B2 (en) 2018-07-20 2023-09-26 Denso Corporation Resin member and method for producing resin member

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