JP3601868B2 - 遠心クラッチ - Google Patents

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  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、遠心クラッチに関し、特に、助動車、オートバイ等の2サイクルガソリンエンジンの従動側に配置して好適な遠心クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、助動車、オートバイ等の車両には、内燃エンジン、特に、2サイクルガソリンエンジンが搭載されており、該2サイクルガソリンエンジンから車輪等への動力の伝達系統は、エンジン出力軸等のその動力伝達途中に遠心クラッチを介装させ、前記2サイクルガソリンエンジンからの動力を前記遠心クラッチの回転遠心力を利用して該遠心クラッチをクラッチインとすることで車輪等へ動力を伝達していた。
【0003】
そして、従来の遠心クラッチの一例として、エンジンの出力軸等にホルダープレートの役目をする駆動側クラッチドラムを固定し、該駆動側クラッチドラムに複数のガイドをリベットにより周方向に間隔をおいて固定して、前記複数のガイドにより外周にライニングを施した複数のシュープレートを半径方向に摺動自在に支持し、かつ、前記複数のシュープレート間に引張りコイルスプリング介在させて前記各シュープレートを軸心方向に付勢すると共に、前記エンジンの出力軸の先端部にニードルベアリングを介してプーリーを回転自在に配置し、該プーリーにその外周部が前記ライニング付きのシュープレートを覆うように構成された従動側クラッチドラムを固定することによってクラッチを構成して、前記エンジンの出力軸が回転し、前記駆動側クラッチドラムが回転することによって前記複数のシュープレートが半径方向外方に摺動し、前記ライニングが前記従動側クラッチドラムと摩擦接触して該従動側クラッチドラムを回転させて、前記プーリーを回転駆動させることで、車輪等に動力を伝達させるタイプの遠心クラッチが提案されている(実公昭56ー42515号公報)。
【0004】
また、従来の遠心クラッチ50の他の例として、図6に示すように、エンジンの出力軸51等の先端部に雄ねじ部分51aを設け、該雄ねじ部分51aをクラッチハブ52の中心に穿設した雌ねじ部52aにねじ込み固定し、前記クラッチハブ52の放射方向に伸びる複数のガイド体52bに半径方向に摺動自在に支持された複数のクラッチシュー53を配置し、かつ、該複数のクラッチシュー53を外周方向から囲繞して前記各クラッチシュー53を軸線X−Xに直交する方向に付勢するするように配置された一つのリング状引張りコイルスプリング54を設けると共に、前記エンジンの出力軸51の前記雄ねじ部分51aよりエンジン寄りにニードルベアリング55を介して歯車56を回転自在に配置し、該歯車56にその外周部がクラッチシュー53を覆うように構成された従動側クラッチドラム57を固定することによってクラッチを構成して、前記エンジンの出力軸51等が回転し、前記クラッチハブ52が回転することによって前記複数のクラッチシュー53が回転遠心力で前記リング状引張りコイルスプリング54の付勢力に抗して半径方向外方に摺動し、前記クラッチシュー53が前記従動側クラッチドラム57と摩擦接触して該従動側クラッチドラム57を回転させて前記歯車56を回転駆動させ、該歯車56を介して車輪等に動力を伝達させるタイプの遠心クラッチがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の前記車両等に用いられる遠心クラッチは、エンジンを始動させて、その出力軸を回転させ、遠心クラッチを、例えばアイドリングから回転を上げていってクラッチインさせるときに、該遠心クラッチから異常な騒音が発生する傾向がある。この騒音の発生源はクラッチシューとクラッチハブ(駆動側クラッチドラム)との間の摺動部分にクラッチシューが摺動するための隙間があることに基づくクラッチシューのガタツキによるものである。そして、前記車両等に用いられるエンジンが2サイクルガソリンエンジンである場合は、2サイクル故に4サイクルに比べてエンジンの回転変動が生じ易い傾向があることから、前記遠心クラッチから大きな騒音がでやすい。
【0006】
このために、クラッチシューとクラッチハブ(駆動側クラッチドラム)との嵌合部の隙間を小さくすれば、騒音は小さくなるが、クラッチハブ(駆動側クラッチドラム)に対するクラッチシューの摺動移動が悪くなる傾向があると共に、クラッチシューとクラッチハブ(駆動側クラッチドラム)との嵌合部の隙間を小さくするためには、クラッチシューとクラッチハブ(駆動側クラッチドラム)との嵌合部の寸法に厳しい公差を求めて精密加工、もしくは、焼結加工をしなければならないとの製作・加工上の困難性も伴う。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特に、遠心クラッチのクラッチイン時に、該遠心クラッチから騒音がでず、スムーズにエンジンから従動側に遠心クラッチを介して動力が伝達される遠心クラッチを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る遠心クラッチは、駆動軸の先端ネジ軸部にクラッチハブをネジ固定し、該クラッチハブに半径方向に摺動自在に支持された複数のクラッチシューを配置した遠心クラッチにおいて、前記駆動軸の先端ネジ軸部に嵌合固定され、前記複数のクラッチシューを前記駆動軸の軸線方向に押圧するダイヤフラムバネを設けたことを特徴とし、かつ、前記クラッチハブが半径方向に延びる等間隔の複数のガイド体を備え、該ガイド体の各々に前記複数のクラッチシューの各々が摺動自在に嵌合すると共に、前記クラッチシューの前記ダイヤフラムバネとは反対側の側面に摺接する円板状のクラッチシュー保持板を前記ガイド体の各々に固定したことを特徴としている。
【0009】
そして、前記ダイヤフラムバネは、中心部に前記先端ネジ軸部を挿通するための嵌合口と該嵌合口から放射状に外周近傍まで延びる複数の切り込みとを備えると共に、周方向の中間部が一側方向に湾曲した円板状体に構成されていることを特徴としている。
【0010】
【作用】
前述の如く構成された本発明に係わる遠心クラッチは、クラッチインさせるときに、前記クラッチハブに半径方向に摺動自在に嵌合されている複数のクラッチシューが、前記駆動軸の回転駆動に伴い、その回転遠心力によって前記クラッチハブの前記ガイド体に沿って半径外方向に摺動移動するが、前記クラッチシューが前記ダイヤフラムバネの外周部分によって、クラッチシュー保持板側に押圧されているので、前記回転遠心力による前記クラッチシューの摺動移動時に前記ガイド体及び前記クラッチシュー保持板との間にガタツキが生じずに、スムーズに移動できるので、クラッチイン時に騒音が発生しない。
【0011】
【実施例】
以下、図面によって本発明の一実施例について説明する。
図1は、助動車、オートバイ等の車両用のミッション一体の2サイクルガソリンエンジン10であり、シリンダー部17には、内部に図示しないピストンが配置されていると共に、給気管12を介して空気清浄器13から空気が導入されると共に、図示しないマフラーを接続する排気口14から排気ガスが排出される。前記シリンダー部17の下部にはミッションケース15が配置され、該ミッションケース15の内部には、前記エンジン10のクランクシャフト11と車両の車輪等へ動力を伝達する伝達軸16が回転自在に支持されている。駆動軸である前記クランクシャフト11の一端部には後述する遠心クラッチ20が取り付けられ、前記ミッションケース15内に配置されている。前記クランクシャフト11からの回転動力は前記遠心クラッチ20を介して図示しない歯車機構等を経て従動軸である前記伝達軸16に伝達される。
【0012】
図2〜図4は、本実施例の遠心クラッチ20の詳細を示すものであって、図2は該遠心クラッチの断面図で上半部分がクラッチイン状態、下半部分がクラッチアウト状態を示しており、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は遠心クラッチの分解斜視図である。
図2において、駆動軸である前記クランクシャフト11の一端部には、ワッシャ49とニードルベアリング25が挿入され、該ニードルベアリング25を介してクラッチ歯車26が回転自在に支持されており、該クラッチ歯車26の一側端には従動側クラッチドラム27が固定され、前記クラッチ歯車26と一体となって回転するべく配置されている。前記従動側クラッチドラム27は、前記クラッチ歯車26に固定される円板部分27aと該円板部分27aの外周端から該円板部分27aに対して直角に軸線X−X方向に所定幅延びる摩擦接触環部27bとで構成されている。また、前記クラッチ歯車26は図示してない他の歯車等を介して、従動軸である前記伝達軸16に動力を伝達する。
【0013】
前記クランクシャフト11の前記クラッチ歯車26の支持部より更に先端部は、テーパー11bに構成され、そのテーパー11bの部分の先端はネジ軸部11aに構成されている。
クラッチハブ22の中心部には、前記クランクシャフト11のネジ軸部11aにねじ込まれる雌ネジ孔22aが穿設されており、該雌ネジ孔22aの一端はテーパー22dに構成されている。前記クラッチハブ22の前記雌ネジ孔22aに前記クランクシャフト11の前記ネジ軸部11aをねじ込み、前記クラッチハブ22のテーパー22dを前記クランクシャフト11の前記テーパー11bの部分に接触させて固定することによって前記クランクシャフト11と一体となって回転する。前記クラッチハブ22は、例えば三本の等間隔に半径方向に延びるガイド体22bを備えており、該各ガイド体22bは、図3に示すように軸線X−Xを通り半径方向に延びる仮想線に対して平行な摺動側面22b、22bを備えている。
【0014】
前記複数のガイド体22bの前記摺動側面22b、22bに摺動するべく摺動溝23aを有する複数のクラッチシュー23が前記ガイド体22bの外周部に配置され、該クラッチシュー23は概ね扇状をしており、外周部の一側には円弧状のスプリング保持溝23bが設けられると共に、外周端にはライニング23cが一体に固定されている。前記複数のクラッチシュー23の前記円弧状のスプリング保持溝23bには、リング状引張りコイルスプリング24が配置され、前記クラッチシュー23を軸線X−Xに直交する方向に付勢している。
【0015】
前記クラッチシュー23の前記スプリング保持溝23b側の側面には、円板状のクラッチシュー保持板28が配置され、前記複数のガイド体22bの外周部に各々穿設したネジ孔22cに固定ビス29をねじ込むことによって前記ガイド体22bに固定されている。
前記クラッチシュー23の前記スプリング保持溝23bと反対側の側面の内周部には、ドーナツ円板状のクラッチシューガイド板33が前記ガイド体22bとの間に適宜の間隙を有して前記クラッチシュー23を円滑に摺動案内するべく配置されている。
【0016】
また、前記クラッチシューガイド板33に接触して円板状のダイヤフラムバネ30が配置され、該ダイヤフラムバネ30は、その円板外周縁部で前記クラッチシュー23を前記軸線X−Xに沿って前記クラッチシュー保持板28側に押圧するべく、前記クランクシャフト11の前記ネジ軸部11aに前記クラッチシューガイド板33と一緒に固定されている。
【0017】
前記クラッチシューガイド板33と前記ダイヤフラムバネ30との取付は、前記クランクシャフト11に前記クラッチハブ22をねじ込み固定した後に、前記クランクシャフト11の前記ネジ軸部11aに挿通し、適宜枚数のワッシャ34を介してバネ固定ナット35により締め付け固定する。
前記ダイヤフラムバネ30は、図5に示すように、中心部に嵌合口31を備えると共に、該嵌合口31から放射状に外周近傍まで延びる複数の切り込み32を備えており、その中心部を通る断面は、図2から理解できるように、周方向の中間部30aが一側方向に湾曲した円板状体に構成されている。このために前記ダイヤフラムバネ30の外周部が前記クラッチシュー23に接触した状態で、前記クランクシャフト11のネジ軸部11aに締め付け固定することにより、前記の湾曲した中間部30aが偏平になる方向に変形して弾性力を生じることによって前記ダイヤフラムバネ30の外周部が前記クラッチシュー23を前記クラッチシュー保持板28方向に、周方向に沿って均一の力で押圧付勢する。
【0018】
図示されていないが、前記クラッチシューガイド板33と前記ダイヤフラムバネ30との間に、前記ワッシャ34を前記バネ固定ナット35側から適宜付け替えて介在させ、かつ、その介在枚数を変更することによって、前記ダイヤフラムバネ30の前記クラッチシュー23への押圧付勢荷重を変更せしめ、騒音及びクラッチイン回転数の微調節ができる。
次に、このように構成された本発明の一実施例の作動について説明する。
【0019】
エンジン10が始動し、クランクシャフト11が回転を始めてアイドリング状態になると、前記クランクシャフト11と一体に固定されているクラッチハブ22も回転を始める。回転数が一定数以上になると、前記クラッチハブ22に摺動自在に支持されているクラッチシュー23が回転遠心力によってリング状引張りコイルスプリング24の付勢力に抗して外周方向に摺動移動を始め、更に回転数が増大すると、前記クラッチシュー23の外周に一体に固定されているライニング23cが従動側クラッチドラム27の摩擦接触環部27bの内面に摩擦接触して、前記従動側クラッチドラム27を一緒に回転させ、クラッチインの状態とする。クラッチイン状態になると、前記従動側クラッチドラム27と一体回転するクラッチ歯車26を介して伝達軸17にエンジン10からの動力を伝達する。
【0020】
このアイドリング状態からクラッチインの状態の間、前記ダイヤフラムバネ30の外周部が前記クラッチシュー23をクラッチシュー保持板28の方向に押圧付勢しているので、前記クラッチシュー23が摺動移動しても前記クラッチハブ22との間にガタツキが起こらずに、騒音が発生することがない。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなしに、設計において種々の変更ができる。
【0021】
例えば、クラッチシューを押圧するダイヤフラムバネは、前記実施例の構造にに限定されるものではなく、クラッチシューを押圧する種々の構造に変更できるものである。
また、前記実施例は、エンジンのクランクシャフトに遠心クラッチを取り付けた構造であるが、本発明の遠心クラッチは他の一般の動力伝達機器の遠心クラッチとして用いることもできる。
【0022】
【効果】
以上の説明から理解されるように、本発明は、ダイヤフラムバネによりクラッチシューを押圧したので、クラッチシューとクラッチハブとの間のガタツキを抑えて騒音の発生を減少させることができる。
また、ダイヤフラムバネによりクラッチシューを押圧する構成としたので、クラッチシューとクラッチハブとの間の嵌合間隙に厳しい公差を必要としないので、加工もしくは焼結成形が容易である。
【0023】
更に、ダイヤフラムバネのクラッチシューへの押圧付勢荷重は、ワッシャを前記ダイヤフラムバネとクラッチシューガイド板との間に介在させる枚数を変えることによって簡単に変更できるので、クラッチインの時期、および、騒音の低減調節も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遠心クラッチが適用される一実施例の2サイクルガソリンエンジンの外観を示す斜視図。
【図2】本発明に係る一実施例の遠心クラッチの図3のII−II矢視断面図。
【図3】図2の遠心クラッチのIII−III矢視図。
【図4】図2で示した遠心クラッチの展開斜視図。
【図5】ダイヤフラムバネの平面図。
【図6】従来の遠心クラッチの断面図。
【符号の説明】
11 クランクシャフト(駆動軸)
11a 先端ネジ軸部
20 遠心クラッチ
22 クラッチハブ
22b ガイド体
23 クラッチシュー
28 クラッチシュー保持板
30 ダイヤフラムバネ
30a 中間部
31 嵌合口
32 切り込み
X−X 駆動軸の軸線

Claims (2)

  1. 駆動軸(11)の先端ネジ軸部(11a)にクラッチハブ(22)をネジ固定し、該クラッチハブ(22)に半径方向に摺動自在に支持された複数のクラッチシュー(23、23…)を配置した遠心クラッチ(20)において、
    前記駆動軸(11)の先端ネジ軸部(11a)に嵌合固定され、前記複数のクラッチシュー(23、23…)を前記駆動軸(11)の軸線X−X方向に押圧するダイヤフラムバネ(30)を設け
    該ダイヤフラムバネ(30)は、中心部に前記先端ネジ軸部(11a)を挿通する嵌合口(31)を備えると共に該嵌合口(31)から放射状に外周近傍まで延びる複数の切り込み(32、32、…)を備え、かつ、周方向の中間部(30a)が一側方向に湾曲した円板状体に構成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
  2. 前記クラッチハブ(22)が半径方向に延びる等間隔の複数のガイド体(22b、22b…)を備え、該ガイド体(22b、22b…)の各々に前記複数のクラッチシュー(23、23…)の各々を摺動自在に嵌合し、かつ、前記クラッチシュー(23、23…)の前記ダイヤフラムバネ(30)とは反対側の側面に摺接する円板状のクラッチシュー保持板(28)を前記ガイド体(22b、22b、…)の各々に固定したことを特徴とする請求項1に記載の遠心クラッチ。
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