JP3632368B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、比較的出力が大きな自動車用の自動変速機として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、図5〜6に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、前記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6を設けている。
【0003】
これら各トラニオン6、6は、両端部外側面に上記枢軸5、5を設けている。又、上記各トラニオン6、6の中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。これら入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成された各パワーローラ8、8の周面8a、8aは、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】
上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧している。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により保持された複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。前記カム板10の片側面(図5〜6の右側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図5〜6の左側面)にも、同様のカム面14を形成している。そして、前記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0005】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、カム面13によって複数個のローラ12、12が、入力側ディスク2外側面のカム面14に押圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、前記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記1対のカム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ8、8を介して上記出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させ、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図5に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させ、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図6に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図5と図6との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】
更に、図7〜8は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16を介して回転自在に支持している。又、カム板10は前記入力軸15の端部(図7の左端部)外周面にスプライン係合し、鍔部17によって上記入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止している。そして、このカム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる、ローディングカム式の押圧装置9を構成している。又、上記出力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19により結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期して回転する様にしている。
【0008】
1対のトラニオン6、6の両端部は1対の支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図7の表裏方向、図8の左右方向)に亙る変位自在に支持している。そして、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔23、23部分に、変位軸7、7を支持している。各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部21、21と枢支軸部22、22とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部21、21を上記各円孔23、23の内側に、ラジアルニードル軸受24、24を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部22、22の周囲にパワーローラ8、8を、ラジアルニードル軸受25、25を介して回転自在に支持している。
【0009】
尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部22、22が各支持軸部21、21に対し偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関して同方向(図8で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、構成各部品の寸法精度等に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向(図7の左右方向、図8の表裏方向)に変位する傾向となった場合でも、構成各部品に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。
【0010】
又、上記各パワーローラ8、8の外側面と前記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、やはりこのパワーローラ8、8を支承する為のスラスト玉軸受26、26と、次述する外輪28、28に加わるスラスト荷重を支承するスラストニードル軸受27、27とを設けている。このうちのスラスト玉軸受26、26は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容するものである。又、上記スラストニードル軸受27、27は、上記各パワーローラ8、8から上記スラスト玉軸受26、26を構成する外輪28、28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これら各外輪28、28及び上記枢支軸部22、22が、上記支持軸部21、21を中心に揺動する事を許容する。
【0011】
更に、上記各トラニオン6、6の一端部(図8の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド29、29を結合し、各駆動ロッド29、29の中間部外周面に駆動ピストン30、30を固設している。そして、これら各駆動ピストン30、30を、それぞれ駆動シリンダ31、31内に油密に嵌装している。これら各駆動ピストン30、30と駆動シリンダ31、31とが、それぞれ上記各トラニオン6、6を枢軸5、5の軸方向に亙って変位させる為のアクチュエータを構成する。
【0012】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の運転時、入力軸15の回転は押圧装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出される。
【0013】
入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン30、30を互いに逆方向に同じ距離だけ変位させる。これら各駆動ピストン30、30の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図8の下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図5〜6に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。
【0014】
又、上記各トラニオン6、6の端部外周面には、上記枢軸5、5と同心の円弧面32、32を形成している。そして、これら両円弧面32、32同士の間に、図9に示す様なケーブル33を、たすきがけに掛け渡している。尚、このケーブル33の一部で、上記各円弧面32、32に対応する部分には止め具34、34を設け、この止め具34、34を上記各円弧面32、32の中間部に形成した凹段部に係合させる事により、これらケーブル33と各円弧面32、32とが滑る事を防止している。この様なケーブル33は、上記両トラニオン6、6の傾動(上記各枢軸5、5を中心とする揺動運動)を互いに同期させる役目を有する。そして、前記駆動ロッド29、29、駆動ピストン30、30、駆動シリンダ31、31等を含んで構成されるアクチュエータ(油圧駆動装置)の故障時にも、上記両トラニオン6、6を互いに同期して傾動させる。従って、上記アクチュエータの故障時にも、対となる入力側ディスク2と出力側ディスク4とに挟まれた複数のパワーローラ8、8の傾斜方向がばらばらになる事がない。この結果、上記各ディスク2、4の内側面2a、4aと各パワーローラ8、8の周面8a、8aとの間に過大な摩擦力が作用する事がなくなって、トロイダル型無段変速機が致命的な損傷を受ける事がなくなり、しかも最低限の動力伝達を確保できる。
【0015】
尚、図5〜6及び図7〜8に示したトロイダル型無段変速機は何れも、互いに対向する入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク4の内側面4aとの間のキャビティ内に2個のパワーローラ8、8を設けている。そして、これら2個のパワーローラ8、8を、上記両ディスク2、4の回転中心に関して直径方向反対側に配置している。これに対して、互いに対向する入力側ディスクの内側面と出力側ディスクの内側面との間のキャビティ内に3個のパワーローラを設ける事で、これら両ディスク間で大きな動力を伝達自在とするトロイダル型無段変速機も、例えば特開平3−74667号公報に記載されている様に、従来から知られている。
【0016】
図10は、この従来構造を示している。固定のフレーム35の円周方向等間隔の3個所位置に、それぞれが120度に折れ曲がった支持片36、36の中間部を枢支している。そして、隣り合う支持片36、36同士の間にそれぞれトラニオン6、6を、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持している。これら各トラニオン6、6の一端部には駆動ロッド29、29の一端を連結しており、これら各駆動ロッド29、29の他端を、アクチュエータである駆動シリンダ31、31の駆動ピストン30、30に連結している。これら各駆動シリンダ31、31は、制御弁37を介して、油圧源であるポンプ38の吐出口に通じている。この制御弁37は、それぞれが軸方向(図10の左右方向)に亙って変位自在なスリーブ39とスプール40とを備える。
【0017】
それぞれが上記各トラニオン6、6に、変位軸7、7により枢支されたパワーローラ8、8の傾斜角度を変える場合には、制御モータ41により上記スリーブ39を軸方向に変位させる。この結果、上記ポンプ38から吐出された圧油が、油圧配管を通じて上記各駆動シリンダ31、31に送り込まれる。そして、この圧油により、各駆動シリンダ31、31に嵌装された駆動ピストン30、30が、入力側ディスク2及び出力側ディスク4(図5〜7参照)の回転方向に関して同方向に変位する。又、上記各駆動ピストン30、30の変位に伴って上記各駆動シリンダ31、31から押し出された作動油は、やはり上記制御弁37を含む油圧配管(一部図示せず)を通じて、油溜42に戻される。
【0018】
一方、上記圧油の送り込みに伴う駆動ピストン30の変位は、カム43、リンク44を介して上記スプール40に伝達し、このスプール40を軸方向に変位させる。この結果、上記駆動ピストン30が所定量変位した状態で、上記制御弁37の流路が閉じられ、上記各駆動シリンダ31、31への圧油の給排が停止される。従って、上記各トラニオン6、6の軸方向に亙る変位量、延いては上記各パワーローラ8、8の傾斜角度は、上記制御モータ41によるスリーブ39の変位量に見合っただけのものとなる。尚、上記各パワーローラ8、8の傾斜角度を所定量だけ変える為の基本的構造は、図10に示す様な、キャビティ内に3個のパワーローラを設ける構造でも、図5〜8に示す様な2個設ける構造でも、同様である。
【0019】
又、トロイダル型無段変速機を、より出力の大きなエンジンを持った自動車用変速機として利用する場合に、伝達可能な動力を確保すべく、上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4を2個ずつ設け、これら2個ずつの入力側ディスク2及び出力側ディスク4を、動力の伝達方向に対し互いに並列に配置する事が、例えば特開平4−69439号公報等に記載されている様に、従来から知られている。図11は、この公報に記載された構造を示している。
【0020】
この従来構造に於いては、ハウジング45の内側に入力軸15を、回転のみ自在に支持している。この入力軸15は、トロイダル型無段変速機に動力を送り込む為の駆動軸に結合される前半部15aと、この前半部15aに対し若干の回転を自在とされた後半部15bとから成る。このうち、請求項に記載した回転軸に相当する後半部15bの軸方向(図11の左右方向)両端部近傍に、請求項に記載した第一、第二ディスクに相当する1対の入力側ディスク2、2を、それぞれが請求項に記載した第一凹面に相当する、それぞれの内側面2a、2a同士を互いに対向させた状態で、ボールスプライン46、46を介して支持している。
【0021】
又、一方(図11の右方)の入力側ディスク2の背面(上記内側面2aと軸方向反対側の面)と、上記後半部15bの端部に固着したローディングナット87との間には座板47と皿ばね48、48とを、互いに直列に設けている。又、他方(図11の左方)の入力側ディスク2の背面と、押圧装置9を構成するカム板10の片面(図11の右側面)内周寄り部分との間には、スラストニードル軸受49と皿ばね48、48とを、互いに直列に設けている。このスラストニードル軸受49は、カム板10と他方の入力側ディスク2との相対回転を補償する。又、上記各皿ばね48、48によって上記各入力側ディスク2、2に、次述する出力側ディスク4、4に向かう予圧を付与している。
【0022】
前記後半部15bの中間部周囲には、請求項に記載した第三、第四ディスクに相当する1対の出力側ディスク4、4を、それぞれが請求項に記載した第二凹面に相当する、それぞれの内側面4a、4aと上記各入力側ディスク2、2の内側面2a、2aとを対向させた状態で、この入力軸15に対する回転を自在に支持している。又、複数のトラニオン6、6に変位軸7(前述の図5〜8参照)を介して回転自在に支持された複数のパワーローラ8、8を、上記各入力側、出力側ディスク2、4の両内側面2a、4a同士の間に挟持している。各パワーローラ8、8は、各入力側ディスク2、2と出力側ディスク4、4との間の変速比を一致させるべく、同期して傾斜する。
【0023】
又、前記ハウジング45の内側で上記前半部15aと反対側部分には出力軸50を、上記入力軸15の後半部15bと同心に、且つこの後半部15bとは独立して回転自在に支持している。そして、この出力軸50と上記1対の出力側ディスク4、4との間に回転伝達手段を設け、両出力側ディスク4、4の回転を前記出力軸50に伝達自在としている。
【0024】
上記回転伝達手段を構成すべく、上記ハウジング45の内側で上記1対の出力側ディスク4、4の間部分に存在する隔壁51に設けた通孔52の内側部分に円管状のスリーブ53を、1対の転がり軸受54、54により支持している。上記1対の出力側ディスク4、4は、このスリーブ53の両端部にスプライン係合している。又、このスリーブ53の中間部で上記隔壁51の内側部分には、出力歯車18aを固設している。更に、上記各出力側ディスク4、4の一部で上記スリーブ53から突出した部分の内周面と前記入力軸15の外周面との間には、それぞれころ軸受55、55を設けている。これら各ころ軸受55、55は、これら各出力側ディスク4、4と入力軸15との相対回転並びに軸方向に亙る相対変位を許容する。
【0025】
一方、上記ハウジング45の内側には、上記入力軸15及び出力軸50と平行に伝達軸56を、回転自在に支持している。そして、この伝達軸56の一端(図11の左端)に固定した第一伝達歯車57と上記出力歯車18aとを直接噛合させ、上記伝達軸56の他端(図11の右端)に固定した第二伝達歯車58と、上記出力軸50の端部に固定した第三の伝達歯車59とを、図示しないアイドル歯車を介して噛合させている。この様な回転伝達手段により、上記出力軸50が、上記1対の出力側ディスク4、4の回転に伴って、これら出力側ディスク4、4と逆方向に回転する。尚、前記前半部15aと他方(図11の左方)の入力側ディスク2との間には、前述の図5〜7に示したトロイダル型無段変速機と同様に、ローディングカム式の押圧装置9を設けている。尚、この押圧装置9を構成するカム板10と、前記後半部15bの前端部外周面に形成した鍔部17との間には、スラスト玉軸受88を設けて、上記押圧装置9の作動時に、上記カム板10に作用するスラスト荷重を支承しつつ、このカム板10と上記後半部15bとの回転方向に亙る相対変位を自在としている。
【0026】
上述の様に構成される、図11に示したトロイダル型無段変速機の運転時には、入力軸15の回転に伴って1対の入力側ディスク2、2が同時に回転し、この回転が1対の出力側ディスク4、4に同時に、且つ、同一の変速比で伝達され、上述した回転伝達手段により上記出力軸50に伝達されて取り出される。この際、回転力の伝達が、互いに並列な2系統に分けて行なわれるので、大きな動力(トルク)を伝達自在となる。又、運転時には上記押圧装置9の働きにより、上記1対の入力側ディスク2、2同士の間隔が狭められる傾向となる。この結果、これら各入力側ディスク2、2の内側面2a、2a及び上記各出力側ディスク4、4の内側面4a、4aと、前記各パワーローラ8、8の周面8a、8aとが強く当接し、動力の伝達が効率的に行なわれる。
【0027】
図11に示す様な、回転力の伝達を互いに並列な2系統に分けて行なう、所謂ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合には、各キャビティ内、即ち一方の入力側ディスク2とこの入力側ディスク2に対向する出力側ディスク4との間の第一のキャビティ60内、並びに他方の入力側ディスク2とこの入力側ディスク2に対向する出力側ディスク4との間の第二のキャビティ61内に設置したトラニオン6、6の傾斜角度を互いに一致させる事が必要である。上記第一のキャビティ60内に設置したトラニオン6の傾斜角度と第二のキャビティ61内に設置したトラニオン6の傾斜角度とが異なると、第一、第二のキャビティ60、61内に於いて、パワーローラ8、8の周面8a、8aと入力側、出力側各ディスク2、4の内側面2a、4aとの当接部で滑りが発生する。この様な滑りは、トロイダル型無段変速機の伝達効率を悪化させるだけでなく、著しい場合には異常摩耗や焼き付き等の故障の原因となる。
【0028】
これに対して、従来から知られているダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合には、両方のキャビティ60、61内に設置したトラニオン6、6を枢軸5、5の軸方向に亙って駆動する為の駆動シリンダ31、31(図8)に送り込む油圧を、単一の制御弁37(図10)により制御していた。従って、両方の駆動シリンダ31、31に送り込まれる油圧は互いに等しくなる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
上記第一、第二の両キャビティ60、61内に設置したトラニオン6、6を所定量だけ軸方向に変位させる為に要する力が互いに等しければ、上記両キャビティ60、61に関する駆動シリンダ31、31内に送り込む油圧を互いに等しくしても、特に問題を生じない。ところが、実際にダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機を構成した場合には、各キャビティ60、61部分の構成上の相違により、或は加工上不可避な寸法誤差に基づく弾性変形量の相違等により、各キャビティ60、61内に設置したトラニオン6、6に同じ力を加えても、これら各トラニオン6、6の枢軸5、5(図5、6、8)の軸方向に亙る変位量が互いに異なる場合がある。
【0030】
この為、従来のダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合には、パワーローラ8、8の周面8a、8aと入力側、出力側各ディスク2、4の内側面2a、4aとの当接部での滑りに基づき、トロイダル型無段変速機の伝達効率が悪化したり、異常摩耗や焼き付き等の故障が発生する可能性を否定できない。
本発明のトロイダル型無段変速機は、この様な効率低下や故障の原因となる、各キャビティ60、61内のトラニオン6、6の変位量の相違が発生する事を防止すべく発明したものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来のダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機と同様に、回転軸と、第一ディスク及び第二ディスクと、第三ディスク及び第四ディスクと、第一トラニオンと、第二トラニオンと、複数のパワーローラと、第一アクチュエータと、第二アクチュエータと、動力取り出し手段とを備える。
このうちの第一ディスク及び第二ディスクは、それぞれの軸方向片面を断面形状が円弧形の第一凹面とし、この第一凹面同士を互いに対向させた状態で上記回転軸の軸方向両端部に、この回転軸と共に回転自在な状態で支持している。
又、上記第三ディスク及び第四ディスクは、それぞれの軸方向片面を断面形状が円弧形の第二凹面とし、これら各第二凹面と上記第一凹面とを対向させた状態で上記回転軸の中間部周囲に、この回転軸に対する回転並びに軸方向に亙る変位を自在として支持している。
又、上記第一トラニオンは、軸方向に関して上記第一ディスクと上記第三ディスクとの間に配置し、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸の軸方向に亙る変位及びこの枢軸を中心とする揺動を自在で、上記枢軸の軸方向に亙る変位に伴ってこの枢軸を中心として揺動する。
又、上記第二トラニオンは、軸方向に関して上記第二ディスクと上記第四ディスクとの間に配置し、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸の軸方向に亙る変位及びこの枢軸を中心とする揺動を自在で、上記枢軸の軸方向に亙る変位に伴ってこの枢軸を中心として揺動する。
又、上記複数のパワーローラは、周面を回転円弧面状の凸面とし、上記第一、第二各トラニオンに支持された変位軸に回転自在に支持されて、上記第一、第三両ディスクに設けた第一、第二両凹面同士の間又は上記第二、第四両ディスクに設けた第一、第二両凹面同士の間に挟持されている。
又、上記第一アクチュエータは、圧油の給排に基づいて上記第一トラニオンを上記枢軸の軸方向に変位させ、上記第二アクチュエータは、圧油の給排に基づいて上記第二トラニオンを上記枢軸の軸方向に変位させる。
更に、上記動力取り出し手段は、上記第三、第四両ディスクの回転を取り出す為のものである。
【0032】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記第一アクチュエータに圧油を給排する為の第一給排流路と、上記第二アクチュエータに圧油を給排する為、この第一給排流路とは独立して設けられた第二給排流路と、上記動力取り出し手段の途中に直列に接続したクラッチと、このクラッチの接続を断つ為のクラッチ開放手段とを備える。このうちの第一給排流路の途中には、上記第一アクチュエータへの圧油の給排を制御する為の第一制御弁を、第二給排路の途中には、上記第二アクチュエータへの圧油の給排を制御する為の第二制御弁を、それぞれ設けている。又、上記クラッチ開放手段は、上記第一アクチュエータを駆動する油圧と上記第二アクチュエータを駆動する油圧との差が所定値以上になった場合に、上記クラッチの接続を断つ。
【0033】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、第一アクチュエータ内に送り込む油圧と第二アクチュエータ内に送り込む油圧とを、独立して制御できる。この為、各キャビティに設置したトラニオンの変位量を、各キャビティ部分の弾性変形し易さに関係なく、ほぼ同じにできる。従って、各キャビティ部分の弾性変形し易さに関係なく、各キャビティ部分に設置したトラニオンの変位量を等しくし、各キャビティに設置したパワーローラの傾斜角度をほぼ等しくして、伝達効率の悪化、或は異常摩耗や焼き付き等の故障の発生を防止できる。
【0034】
又、上記第一、第二両アクチュエータ内に送り込む油圧の差が、上記各キャビティ部分の弾性変形し易さにより生じ得る範囲を超えて大きくなった場合には、クラッチ開放手段がクラッチの接続を断つ。即ち、この様に両アクチュエータ内に送り込む油圧の差が大きくなった状態は、各キャビティ部分に設置したトラニオンの変位量が互いに異なり、一方又は双方のキャビティ部分で、パワーローラの周面と各凹面との当接部に著しい滑り摩擦が発生する状態と考えられる。この様な状態が続くと、トロイダル型無段変速機内で焼き付きが発生し、このトロイダル型無段変速機がロックする(回転しなくなる)可能性がある。自動車の駆動輪と連結されているトロイダル型無段変速機がロックした場合、何らの対策も施さないと、上記駆動輪がロックする等、トロイダル型無段変速機を組み込んだ自動車に急ブレーキがかかる可能性がある。これに対して、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上記クラッチの接続を断つ事により、上記駆動輪とトロイダル型無段変速機との連結を断ち、この駆動輪がロックする事を防止して、自動車を通常のブレーキ操作により、安全に停止させる様にできる。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機で、第一、第二両キャビティ60、61部分での変速比を変える為、これら両キャビティ60、61部分に設けたトラニオン6、6を軸方向に変位させる為の第一、第二両アクチュエータ62、63内に送り込む油圧を制御する為の油圧制御回路と、この油圧制御回路の動作に対応して接続を断たれるクラッチ64とにある。トロイダル型無段変速機の本体部分の構成各部の具体的な構造及び作用に就いては、図7〜11に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。尚、上記第一、第二両アクチュエータ62、63は、それぞれ、前述の図8に示した様に、駆動シリンダ31の内側に駆動ピストン30を油密に嵌装して成る、所謂複動式の油圧シリンダである。
【0036】
圧油源である圧油ポンプ65の吐出口と上記第一アクチュエータ62との間には、この第一アクチュエータ62に圧油を給排する為の第一給排流路66を設けている。又、上記圧油ポンプ65の吐出口と上記第二アクチュエータ63との間には、この第二アクチュエータ63に圧油を給排する為の第二給排流路67を設けている。この第二給排流路67と上記第一給排流路66とは、互いに独立して設けている。これら第一、第二両給排流路66、67のうち、第一給排流路66の途中には、上記第一アクチュエータ62への圧油の給排を制御する為の第一制御弁68を、直列に設けている。又、上記第二給排流路67の途中には、上記第二アクチュエータ63への圧油の給排を制御する為の第二制御弁69を、直列に設けている。
【0037】
これら第一、第二両制御弁68、69は、やはり前述の図10に示した従来構造に組み込んだ制御弁37と同様に、スリーブ39とスプール40とから成り、制御モータ41aによりスリーブ39(又はスプール40)を、上記第一、第二各アクチュエータ62、63を構成する駆動ロッド29によりスプール40(又はスリーブ39)を、それぞれ軸方向に変位させる事により、上記第一、第二各アクチュエータ62、63内に送り込む油圧を制御する。即ち、上記第一、第二両制御弁68、69は、上記制御モータ41aによるスリーブ39(又はスプール40)の軸方向に亙る変位量に見合う(比例する)量だけ上記第一、第二各キャビティ60、61内のトラニオン6、6を変位させるべく、上記第一、第二各アクチュエータ62、63内に送り込む油圧を制御する。
【0038】
本例の場合に上記第一、第二両制御弁68、69は、請求項2に記載した単一の駆動機構に対応する、1個の制御モータ41aにより、同期して制御自在としている。即ち、この制御モータ41aの出力軸70に固定した駆動歯車71に1対の従動歯車72、72を噛合させている。これら各従動歯車72、72は、それぞれ上記第一、第二両制御弁68、69の入力軸73、73に固定している。そして、これら両制御弁68、69は、それぞれ入力軸73、73の回転量(回転角度)に応じた量(軸方向長さ)だけ上記スリーブ39(又はスプール40)を変位させ、上記各トラニオン6、6を枢軸5、5(図5、6、8参照)の軸方向に変位させるべき量を設定する。
【0039】
又、動力取り出し手段74を構成する伝達軸56の途中にクラッチ64を、この伝達軸56に対し直列に接続している。本例の場合に上記動力取り出し手段74は、上記伝達軸56の他、1対の出力側ディスク4、4同士の間に設けたスリーブ53と、このスリーブ53の中間部外周面に固設した出力歯車18aと、上記伝達軸56の端部に固設した第一の伝達歯車57とを含んで構成している。図1には省略したが、上記クラッチ64の後段側には、第二の伝達歯車58(図11参照)等の、上記動力取り出し手段74の後段側を接続する。そして、上記クラッチ64は、通常時にはクラッチ64内に設けた油圧室内の油圧に基づいて接続状態となり、上記動力取り出し手段74の前段側から後段側に動力を伝達する。これに対して、次述するクラッチ開放手段75の作動時には上記油圧室を大気に開放する事により、上記前段側と後段側との接続を断つ。
【0040】
上記クラッチ開放手段75は、差動弁76を備える。この差動弁76は、シリンダ77内に差動弁体78を、軸方向に亙る変位を自在として、油密に嵌装して成る。又、この差動弁体78は、1対の復位ばね79、79により、上記シリンダ77の軸方向中央位置に向け、弾性的に押圧している。従って上記差動弁体78は、外力が働かない限り、図2に示した中立位置に存在する。又、上記シリンダ77の一端部(図2〜3の左端部)には、第一油圧導入路80を介して、前記第一アクチュエータ62内の油圧を導入している。一方、上記シリンダ77の他端部(図2〜3の右端部)には、第二油圧導入路81を介して、前記第二アクチュエータ63内の油圧を導入している。尚、上記第一、第二両アクチュエータ62、63から上記シリンダ77の両端に導入する油圧は、これら両アクチュエータ62、63のうち、互いに対応する部分、即ち、理論上は同じ油圧であるべき部分から導入する。
【0041】
又、上記差動弁体78の軸方向中央部には、上記シリンダ77の直径方向反対側内側面同士を互いに連通させる連通路82を設けている。そして、上記シリンダ77の中間部内周面の直径方向片側(図2〜3の上側)部分に、それぞれが前記クラッチ64の油圧室内に通じる1対の連通ポート83a、83bを、上記シリンダ77の軸方向に離隔して、上記連通路82を挟む状態で設けている。又、上記シリンダ77の中間部内周面の直径方向他側(図2〜3の下側)部分には、油溜84に通じる事により大気に開放したドレンポート85を、上記差動弁体78の変位に拘らず、常に上記連通路82と連通する状態で設けている。図2に示す様に、上記差動弁体78が上記シリンダ77の中立位置に存在する状態、即ち上記第一、第二両アクチュエータ62、63内の油圧がほぼ等しい状態では、上記1対の連通ポート83a、83bを上記差動弁体78のランド部により塞ぎ、前記クラッチ64に圧油を封入したままの状態として、上記クラッチ64を接続状態に保持する。尚、この場合に必要とすれば、上記クラッチ64を接続状態に保持する為に、上記クラッチ64の油圧室内に圧油を送り込む為の給油経路を設ける。
【0042】
これに対して、上記第一、第二両アクチュエータ62、63内の油圧の差が大きくなった状態では、図3に示す様に、上記差動弁体78が上記シリンダ77内で軸方向に変位し、この差動弁体78の軸方向中央部に設けた連通路82が、何れかの連通ポート83a(又は83b)とドレンポート85とを連通させる。この結果、上記クラッチ64の油圧室内の圧力が低下し、このクラッチ64の接続を断つ。尚、この場合、上記給油経路を通じての上記クラッチ64の油圧室内への圧油の供給を停止するか、或は上記給油経路を通じて上記油圧室内に送り込む圧油の量を、上記連通路82を通じてこの油圧室内から排出する圧油の量よりも十分に少なくする。
【0043】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、第一アクチュエータ62内に送り込む油圧と第二アクチュエータ63内に送り込む油圧とを、独立して制御できる。この為、前記第一、第二各キャビティ60、61部分に設置したトラニオン6、6の変位量を、上記各キャビティ60、61部分の弾性変形し易さに関係なく、ほぼ同じにできる。即ち、前記制御モータ41aへの通電に基づいて前記第一、第二両制御弁68、69のスリーブ39(図10参照)が同じ長さだけ、軸方向に変位する。そして、上記各キャビティ60、61内のトラニオン6、6が上記スリーブ39の軸方向に亙る変位に見合う分だけ変位した状態で、上記第一、第二両制御弁68、69が、上記第一、第二両アクチュエータ62、63内への圧油の給排を停止する。従って、上記各キャビティ60、61部分の弾性変形し易さに関係なく、これら各キャビティ60、61部分に設置したトラニオン6、6の変位量を等しくし、上記各キャビティ60、61に設置したパワーローラ8、8の傾斜角度をほぼ等しくして、伝達効率の悪化、或は異常摩耗や焼き付き等の故障の発生を防止できる。尚、従来のダブルキャビティ型トロイダル型無段変速機では、第一、第二各キャビティ60、61部分に設置したパワーローラ8、8の傾斜角度を等しくすべく、上記両キャビティ60、61同士の間にケーブルを掛け渡していた。本発明の場合には、上述の様に各キャビティ60、61に設置したパワーローラ8、8の傾斜角度をほぼ等しくできるので、上記ケーブルを廃止する事もできる。
【0044】
又、上記第一、第二両アクチュエータ62、63内に送り込む油圧の差が、上記各キャビティ60、61部分の弾性変形し易さにより生じ得る範囲を超えて大きくなった場合には、前記クラッチ開放手段75が前記クラッチ64の接続を断つ。即ち、上記両アクチュエータ62、63内に送り込む油圧の差が異常に大きくなると、前記差動弁76の切り替え状態が図3の様になって、上記クラッチ64の油圧室の油圧が解除され、このクラッチ64の接続を断つ。
【0045】
上述の様に両アクチュエータ62、63内に送り込む油圧の差が異常に大きくなった状態は、上記各キャビティ60、61部分に設置したトラニオン6、6の変位量が互いに異なり、一方又は双方のキャビティ60、61部分で、パワーローラ8、8の周面8a(図5〜8、11参照)と第一、第二各凹面である入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとの当接部に著しい滑り摩擦が発生する状態と考えられる。この様な状態が続くと、トロイダル型無段変速機内で焼き付きが発生し、このトロイダル型無段変速機がロックする(回転しなくなる)可能性がある。自動車の駆動輪と連結されているトロイダル型無段変速機がロックした場合、何らの対策も施さないと、上記駆動輪がロックする等、トロイダル型無段変速機を組み込んだ自動車に急ブレーキがかかる可能性がある。これに対して、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上記クラッチ64の接続を断つ事により、上記駆動輪とトロイダル型無段変速機との連結を断ち、この駆動輪がロックする事を防止して、自動車を通常のブレーキ操作により、安全に停止させる様にできる。
【0046】
次に、図4は、本発明の実施の形態の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、第一、第二両制御弁68、69を、それぞれ独立した制御モータ41b、41cにより、互いに独立して制御自在としている。従って、本例の場合には、第一、第二両キャビティ60、61同士の間で弾性変形量の差が大きく、トラニオン6、6の変位量を同じとした場合に得られる変速比が異なる様な場合に、上記第一、第二両制御弁68、69を上記変形量の差に応じて適切に制御できる。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。尚、上述した第1例の構造の場合には、第一、第二両キャビティ60、61同士の間で弾性変形量の差が小さく、トラニオン6、6の変位量を等しくしさえすれば、両キャビティ60、61部分で得られる変速比が互いに等しくなる場合に、1個の制御モータ41aで装置全体を小型に構成できる利点がある。
【0047】
尚、特開平1−169169号公報、同1−312266号公報に記載されている様に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車減速機構とを組み合わせ、低速走行時には駆動力をトロイダル型無段変速機のみで伝達し、高速走行時には上記駆動力を遊星歯車機構で伝達する事により、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機に加わるトルクを低減し、構成各部材の耐久性向上を図る構造が、従来から知られている。この様な構造に本発明を実施する場合には、この構造を構成する各伝達部にクラッチを設けて、異常発生時に総てのクラッチの接続を断つか、或はトロイダル型無段変速機と遊星歯車減速機構とを組み合わせた変速機全体と駆動輪との間に1個のクラッチを設けて、異常発生時にこのクラッチの接続を断つか、或はトロイダル型無段変速機と遊星歯車減速機構との間に複数のクラッチを設けて、異常発生時に総てのクラッチの接続を断つ。何れにしても、トロイダル型無段変速機のロックが駆動輪のロックに結び付かない様にする。更に、上述した各例は、第一、第二両アクチュエータ62、63内の油圧の差により、差動弁76の開閉状態を制御する様に構成している。これに対して、第一、第二両アクチュエータ62、63内の油圧を、互いに独立した第一、第二両圧力センサにより検出し、これら両圧力センサの検出信号を電気的に比較して、クラッチの断接を制御する為の電磁弁の開閉状態を制御する事もできる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、トロイダル型無段変速機の効率及び信頼性を向上させて、自動車用自動変速機としてのトロイダル型無段変速機の実用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す模式図。
【図2】クラッチ開放手段を構成する差動弁を、通常状態で示す略断面図。
【図3】同じく異常発生時の状態で示す略断面図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す模式図。
【図5】従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図6】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図7】従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の第1例を示す断面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】従来から知られたケーブルの1例を、図8の側方から見た状態で示す図。
【図10】従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の第2例を示す部分断面図。
【図11】同第3例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
7 変位軸
8 パワーローラ
8a 周面
9 押圧装置
10 カム板
11 保持器
12 ローラ
13、14 カム面
15 入力軸
15a 前半部
15b 後半部
16 ニードル軸受
17 鍔部
18、18a 出力歯車
19 キー
20 支持板
21 支持軸部
22 枢支軸部
23 円孔
24、25 ラジアルニードル軸受
26 スラスト玉軸受
27 スラストニードル軸受
28 外輪
29 駆動ロッド
30 駆動ピストン
31 駆動シリンダ
32 円弧面
33 ケーブル
34 止め具
35 フレーム
36 支持片
37 制御弁
38 ポンプ
39 スリーブ
40 スプール
41、41a、41b、41c 制御モータ
42 油溜
43 カム
44 リンク
45 ハウジング
46 ボールスプライン
47 座板
48 皿ばね
49 スラストニードル軸受
50 出力軸
51 隔壁
52 通孔
53 スリーブ
54 転がり軸受
55 ころ軸受
56 伝達軸
57 第一の伝達歯車
58 第二の伝達歯車
59 第三の伝達歯車
60 第一のキャビティ
61 第二のキャビティ
62 第一アクチュエータ
63 第二アクチュエータ
64 クラッチ
65 圧油ポンプ
66 第一給排流路
67 第二給排流路
68 第一制御弁
69 第二制御弁
70 出力軸
71 駆動歯車
72 従動歯車
73 入力軸
74 動力取り出し手段
75 クラッチ開放手段
76 差動弁
77 シリンダ
78 差動弁体
79 復位ばね
80 第一油圧導入路
81 第二油圧導入路
82 連通路
83a、83b 連通ポート
84 油溜
85 ドレンポート
87 ローディングナット
88 スラスト玉軸受

Claims (4)

  1. 回転軸と、それぞれの軸方向片面を断面形状が円弧形の第一凹面とし、この第一の凹面同士を互いに対向させた状態で上記回転軸の軸方向両端部に、この回転軸と共に回転自在な状態で支持された、第一ディスク及び第二ディスクと、それぞれの軸方向片面を断面形状が円弧形の第二凹面とし、これら各第二凹面と上記第一凹面とを対向させた状態で上記回転軸の中間部周囲に、この回転軸に対する回転並びに軸方向に亙る変位を自在として支持した第三ディスク及び第四ディスクと、軸方向に関して上記第一ディスクと上記第三ディスクとの間に配置し、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸の軸方向に亙る変位及びこの枢軸を中心とする揺動を自在で、上記枢軸の軸方向に亙る変位に伴ってこの枢軸を中心として揺動する第一トラニオンと、軸方向に関して上記第二ディスクと上記第四ディスクとの間に配置し、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸の軸方向に亙る変位及びこの枢軸を中心とする揺動を自在で、上記枢軸の軸方向に亙る変位に伴ってこの枢軸を中心として揺動する第二トラニオンと、周面を回転円弧面状の凸面とし、上記第一、第二各トラニオンに支持された変位軸に回転自在に支持されて、上記第一、第三両ディスクに設けた第一、第二両凹面同士の間又は上記第二、第四両ディスクに設けた第一、第二両凹面同士の間に挟持された複数のパワーローラと、圧油の給排に基づいて上記第一トラニオンを上記枢軸の軸方向に変位させる第一アクチュエータと、圧油の給排に基づいて上記第二トラニオンを上記枢軸の軸方向に変位させる第二アクチュエータと、上記第三、第四両ディスクの回転を取り出す為の動力取り出し手段とを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、上記第一アクチュエータに圧油を給排する為の第一給排流路と、上記第二アクチュエータに圧油を給排する為、この第一給排流路とは独立して設けられた第二給排流路と、上記第一アクチュエータへの圧油の給排を制御する為、上記第一給排流路の途中に設けた第一制御弁と、上記第二アクチュエータへの圧油の給排を制御する為、上記第二給排流路の途中に設けた第二制御弁と、上記動力取り出し手段の途中に直列に接続したクラッチと、このクラッチの接続を断つ為のクラッチ開放手段とを備え、このクラッチ開放手段は、上記第一アクチュエータを駆動する油圧と上記第二アクチュエータを駆動する油圧との差が所定値以上になった場合に上記クラッチの接続を断つものである事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 第一、第二両制御弁の駆動を、単一の駆動機構により同期して行なわせる、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. 第一アクチュエータを駆動する油圧と第二アクチュエータを駆動する油圧との差が所定値以上になった事を、上記第一アクチュエータ内の油圧を検知する第一圧力センサの検出信号と上記第二アクチュエータ内の油圧を検知する第二圧力センサの検出信号とを比較するか、若しくは上記第一アクチュエータ内の油圧と上記第二アクチュエータ内の油圧とを直接比較する事により判断する、請求項1〜2の何れかに記載したトロイダル型無段変速機。
  4. 第一アクチュエータを駆動する油圧と第二アクチュエータを駆動する油圧との差が所定値以上になった事を、差動弁内に上記第一アクチュエータ内の油圧と上記第二アクチュエータ内の油圧とを導入する事により判断自在とし、この差動弁は、上記第一アクチュエータを駆動する油圧と上記第二アクチュエータを駆動する油圧との差が所定値以上になった場合にばねの弾力に抗して差動弁体を変位させる事により圧油の給排状態を変更してクラッチの接続を断たせる、請求項1〜2の何れかに記載したトロイダル型無段変速機。
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