JP4254549B2 - 光ピックアップ装置及び回折光学素子 - Google Patents

光ピックアップ装置及び回折光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、基板厚さが薄い第1光記録媒体に対応して波長が短い第1レーザー光と、第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体に対応して第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とを用いて、第1光記録媒体と第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する際に、第1レーザー光に対して色収差を補正するための色収差補正素子と、第1レーザー光と第2レーザー光とを分離する第1,第2レーザー光分離手段と、第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子と、開口数(NA)が0.75以上である一つの対物レンズとを少なくとも備えた光ピックアップ装置及び回折光学素子に関するものである。
一般的に、円盤状の光ディスクやカード状の光カードなどの光記録媒体は、映像情報とか音声情報やコンピュータデータなどの情報信号を透明基板上で螺旋状又は同心円状に形成したトラックに高密度に記録し、且つ、記録済みのトラックを再生する際に所望のトラックを高速にアクセスできることから多用されている。
この種の光記録媒体となる光ディスクとして例えばDVD(Digital Versatile Disc)などは既に市販されているが、最近になって光ディスクに対してより一層高密度化を図るために、DVDよりも情報信号を超高密度に記録又は再生できるBlu−ray Discの開発が盛んに行われている。
上記したDVDは、波長が650nm前後のレーザー光を開口数(NA)が0.6程度の対物レンズで絞って得たレーザービームを照射して、レーザービーム入射面から略0.6mm隔てた位置にある信号面上に情報信号を記録又は再生している。この際、DVDの記録容量はディスク基板の直径が12cmの時に片面で4.7GB(ギガバイト)程度である。
一方、上記したBlu−ray Discは、波長が450nm以下のレーザー光を開口数(NA)が0.75以上の対物レンズで絞って得たレーザービームを照射して、レーザービーム入射面から略0.1mm隔てた位置にある信号面上に情報信号を記録又は再生できるように開発が進められている。この際、Blu−ray Discの記録容量はディスク基板の直径が12cmの時に片面で25GB(ギガバイト)前後である。
ところで、Blu−ray Discの開発が進むにつれて、一つの対物レンズを用いて記録密度が超高密度であるBlu−ray Discと、このBlu−ray Discよりも記録密度が低いDVDとを下位互換性を確保して記録又は再生できる光ピックアップ装置が開発されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1)。
また、Blu−ray Discに対して色収差を補正できる光ピックアップ装置も開発されている(例えば、特許文献2及び特許文献3)。
更に、一般的な光ディスクに対して色収差を補正できる光ピックアップ装置も開発されている(例えば、特許文献4)。
特開2002−236253号公報(第57−58頁、第31図) 特開2003−272213号公報(第5−6頁、第2図) 特開2003−270525号公報(第6頁、第3図) 特開平6−250081号公報(第4頁、第3図) 特開平6−82725号公報(第2頁、第1図) Phase Shift Element for Blu-ray Disc / DVD Compatibility, Katsuhiro Koike et. al., Technical digest for ODS 2003, WA6 。
図24は従来例1の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図、
図25は従来例2の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図、
図26は従来例3の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図、
図27は従来例4の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図、
図28は従来例5の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図、
図29は従来例6の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。
まず、図24に示した従来例1の光ピックアップ装置110は、上記した特許文献1に開示されているものであり、特許文献1を参照して簡略に説明すると、従来例1の光ピックアップ装置110では、透明基板の厚さが0.1mmである第1光ディスク(例えば青色レーザー使用の次世代高密度光ディスク)101と、透明基板の厚さが0.6mmである第2光ディスク(例えばDVD)102とが選択的に適用可能に構成されている。
上記した従来例1の光ピックアップ装置110内には、第1光ディスク(例えば次世代高密度光ディスク)101に対応して波長が400nm程度の第1レーザー光(青色レーザー光)を出射する第1半導体レーザー111と、第2光ディスク(例えばDVD)102に対応して波長が650nm程度の第2レーザー光(赤色レーザー光)を出射する第2半導体レーザー112と、第1,第2ビームスプリッタ113,114と、1次元アクチュエータ115によって光軸方向に移動可能なコリメータ116と、1/4波長板117と、絞り118と、2次元アクチュエータ119によって第1,第2レーザー光を第1,第2光ディスク上に結像するために開口数NAが0.7以上で少なくとも1面上に回折輪帯レンズが形成された対物レンズ120と、第1,第2光ディスク101,102からの戻り光を検出するためのシリンドリカルレンズ121及び光検出器122とを備えている。
そして、第1,第2半導体レーザー111,112から出射した各発散光束は、2個の第1,第2ビームスプリッタ113,114,コリメータ116,1/4波長板117,絞り118を介して、第1,第2光ディスク101,102の情報記録面101a,102a上にそれぞれ選択的に集光され、各スポットを形成する。この際、第1,第2光ディスク101,102の基板厚さに誤差がある場合とか、第1,第2半導体レーザー111,112の製造誤差により各発振波長に誤差がある場合とか、集光光学系を構成するレンズに厚さの誤差がある場合に発生する球面収差をコリメータ116の移動により補正している。
更に、対物レンズ120は、第1半導体レーザー111からの光束に対して像側開口数NA1内で回折限界内となるように集光させるので、高密度な第1光ディスク101を再生でき、一方、第2半導体レーザー112からの光束に対して像側開口数NA2内で回折限界内となるように集光させるので、第2光ディスク102を再生できる。また、第2半導体レーザー112からの光束を第2光ディスク102の情報記録面102a上に集光させる際、対物レンズ120の少なくとも1面上に形成された回折輪帯レンズの作用により、像側開口数NA1からNA2の領域を通過する光束をフレア成分とするので、第2半導体レーザー112からの光束を、NA1で決定される絞り118をすべて通過させても、像側開口数NA1からNA2の領域を通過する光束は第2光ディスク102の情報記録面102a上にスポットを結ばないため、NA1とNA2との開口切り替え手段を設ける必要がないように構成されている。
次に、図25に示した従来例2の光ピックアップ装置130は、上記した非特許文献1に開示されているものであり、非特許文献1を参照して簡略に説明すると、従来例2の光ピックアップ装置130では、レンズホルダ131内に、位相光学素子(PSE:Phase Shift Element)132と、開口数(NA)が0.85である対物レンズ133とが取り付けられており、405nmの波長に対応したBlu−ray Discと、650nmの波長に対応したDVDとを選択的に適用可能に構成されており、位相光学素子132でBlu−ray DiscとDVDとの基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正できるようになっている。
ここで、上記した位相光学素子(PSE:Phase Shift Element)132は、内周に階段状回折パターン部132aが形成され、この階段状回折パターン部132aの外周に平坦部132bが形成されている。
そして、Blu−ray Discに対して波長が405nmの第1レーザー光を位相光学素子132の階段状回折パターン部132aと平坦部132bとをそのまま透過させて対物レンズ133によりBlu−ray Disc上に集光させる一方、DVDに対して波長が650nmの第2レーザー光を位相光学素子132の階段状回折パターン部132aのみを透過させてこの階段状回折パターン部132aで球面収差を補正しながら対物レンズ133によりDVD上に集光させている。
次に、図26に示した従来例3の光ピックアップ装置140は、上記した特許文献2に開示されているものであり、特許文献2を参照して簡略に説明すると、従来例3の光ピックアップ装置140では、凹レンズ141Aと凸レンズ141Bとからなるビームエキスパンダー141と、凹レンズ142Aと凸レンズ142Bと凹レンズ142Cとを貼り合わせて形成されて色収差補正手段となるトリプレット142と、開口数が0.7以上である対物レンズ143とで構成されており、波長が403nm前後のレーザー光Lに対応したBlu−ray Disc101に対して球面収差と色収差とを補正できるようになっている。
ここで、上記したビームエキスパンダー141は、2枚のレンズ141A,141Bの間隔を調整することで光の平行度を変化させて、対物レンズ143の球面収差を補正している。また、上記したトリプレット142は、対物レンズ143の色収差により生じる焦点方向の誤差成分を補正している。
次に、図27に示した従来例4の光ピックアップ装置150は、上記した特許文献3に開示されているものであり、特許文献3を参照して簡略に説明すると、従来例4の光ピックアップ装置150では、凹レンズ151Aとフレネルレンズ151Bとからなるビームエキスパンダー151と、開口数が0.7以上である対物レンズ152とで構成されており、波長が405nm前後のレーザー光Lに対応したBlu−ray Disc101に対して球面収差と色収差とを補正できるようになっている。
ここで、上記したビームエキスパンダー151は、2枚のレンズ151A,151Bの間隔を調整することで光の平行度を変化させて、対物レンズ152の球面収差を補正している。また、ビームエキスパンダー151中のフレネルレンズ151Bは、アナログ的なブレーズ151Ba(又は階段状のブレーズ)が形成されており、凹レンズ151Aに対して凸レンズとしての機能を有するものであって、その焦点距離は対物レンズ152の色収差により生じる焦点方向の誤差成分を補正できるようになっている。
次に、図28に示した従来例5の光ピックアップ装置160は、上記した特許文献4に開示されているものであり、特許文献4を参照して簡略に説明すると、従来例5の光ピックアップ装置160では、正レンズ161Aと負レンズ161Bとからなる色収差補正素子161と、対物レンズ162とで構成されており、色収差補正素子161中の正レンズ161Aと負レンズ161Bとの貼り合わせ面を非球面に形成することで、光ディスク103に対して色収差補正素子161で波長変化による球面収差を補正することができるようになっている。
次に、図29に示した従来例6の光ピックアップ装置170は、上記した特許文献5に開示されているものであり、特許文献5を参照して簡略に説明すると、従来例6の光ピックアップ装置170では、光入射端面171a,光出射端面171bの少なくとも一方に、光軸に対して垂直な平面を同心円状の輪帯として階段状に形成した色収差補正素子171と、対物レンズ172とで構成されており、光ディスク103に対して単一の色収差補正素子171で色収差を補正できるようになっている。
ところで、上記した従来例1の光ピックアップ装置110では、開口数NAが0.7以上で少なくとも1面上に回折輪帯レンズが形成された対物レンズ120によって、透明基板の厚さが0.1mmである第1光ディスク101と、透明基板の厚さが0.6mmである第2光ディスク102とを選択的に適用可能に構成されているものの、対物レンズ120の少なくとも1面上に形成した回折輪帯レンズはピッチが狭くなり、対物レンズ120の加工が困難であり、レンズ性能に悪影響を及ぼす危険性がある。
また、上記した従来例2の光ピックアップ装置130では、位相光学素子132と、開口数NAが0.85である対物レンズ133とで405nmの波長に対応したBlu−ray Discと、650nmの波長に対応したDVDとを選択的に適用可能に構成されているものの、位相光学素子132の内周に形成した階段状回折パターン部132aで第2レーザー光に対して球面収差が補正されるものの、内周に形成した階段状回折パターン部132aと外周に形成した平坦部132bとをそのまま透過する第1レーザー光では、波長誤差が生じた時に外周が平坦であるためにBlu−ray Discへの球面収差補正が甘くなってしまう。
また、上記した従来例3の光ピックアップ装置140では、ビームエキスパンダー141と、トリプレット142と、開口数が0.7以上である対物レンズ143とで、Blu−ray Disc101に対して球面収差及び色収差の補正が可能なものの、Blu−ray Disc101とDVD(図示せず)とを下位互換性を確保して記録又は再生することに対して考慮されていない。また、色収差補正手段となるトリプレット142は、光学全体で軸上色収差を過剰に補正出来るように設計する必要があるため、貼り合わせ面の曲率半径が小さくなり、加工が難しい。更に、ビームエキスパンダー141により球面収差を補正する場合に、ビームエキスパンダー141の間隔を変化させれば良いものの、球面収差の補正に要する時間がかなりかかってしまう。
また、上記した従来例4の光ピックアップ装置150では、ブレーズを有するビームエキスパンダー151だけで球面収差及び色収差の補正が可能であるので、従来例3よりも部品点数を削減してもBlu−ray Disc101に対して同等の性能が得られるものの、Blu−ray Disc101とDVD(図示せず)とを下位互換性を確保して記録又は再生することに対して考慮されていない。また、ビームエキスパンダー151中のフレネルレンズ151Bにアナログ的なブレーズ151Ba(又は階段状のブレーズ)を形成する時にピッチが狭くなり加工が難しい。
また、上記した従来例5の光ピックアップ装置160では、色収差補正素子161に波長変化による球面収差を補正する機能を持たせているものの、この色収差補正素子161は正レンズ161Aと負レンズ161Bの貼り合わせ面が非球面であるために、色収差補正素子161を製造することが困難である。
また、上記した従来例6の光ピックアップ装置170では、階段状に形成した色収差補正素子171により光ディスク103に対して色収差を補正できるので、超高密度なBlu−ray Discにも適用可能であるものの、Blu−ray DiscとDVDとを下位互換性を確保して記録又は再生することに対して考慮されていない。
そこで、一つの対物レンズを用いて記録密度が超高密度である第1光記録媒体(例えば、Blu−ray Disc)と、この第1光記録媒体よりも記録密度が低い第2光記録媒体(例えば、DVD)とを下位互換性を確保して記録又は再生でき、波長変化が生じた場合の球面収差の変動が少なく、且つ、Blu−ray Discに対して同時に用いられる色収差補正素子の設計を製造しやすい方向へ導き、更に、素子数の増加を伴わない光ピックアップ装置及び回折光学素子が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体と、前記第1,第2光記録媒体の各信号面を組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを選択的に記録又は再生する光ピックアップ装置において、
前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光を出射させる第1レーザー光源と、
前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光を出射させる第2レーザー光源と、
前記第1レーザー光に対して色収差を補正するための色収差補正素子と、
前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを分離する第1,第2レーザー光分離手段と、
前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子と、
第1光記録媒体用として開口数(NA)が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する各面のうち少なくとも一方の面が非球面に形成されて、前記第1,第2レーザー光を前記第1,第2光記録媒体の各信号面に集光させる対物レンズとを少なくとも備え、
前記回折光学素子は、前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に凹部に対して凸部の高さを前記設計波長λの略1λ倍に設定した凹凸部が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側凹凸状回折パターン部と、前記内周側凹凸状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする光ピックアップ装置である。
また、第2の発明は、第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体と、前記第1,第2光記録媒体の各信号面を組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを選択的に記録又は再生する光ピックアップ装置において、
前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光を出射させる第1レーザー光源と、
前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光を出射させる第2レーザー光源と、
前記第1レーザー光に対して色収差を補正するための色収差補正素子と、
前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを分離する第1,第2レーザー光分離手段と、
前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子と、
第1光記録媒体用として開口数(NA)が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する各面のうち少なくとも一方の面が非球面に形成されて、前記第1,第2レーザー光を前記第1,第2光記録媒体の各信号面に集光させる対物レンズとを少なくとも備え、
前記回折光学素子は、前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略2λ倍に設定した複数段の階段を1組としてこの組が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側階段状回折パターン部と、前記内周側階段状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする光ピックアップ装置である。
また、第3の発明は、基板厚さが薄い第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光と、前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体に対応して第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とを用いて、前記第1光記録媒体と前記第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する際に、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子であって、
前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に凹部に対して凸部の高さを前記設計波長λの略1λ倍に設定した凹凸部が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側凹凸状回折パターン部と、前記内周側凹凸状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする回折光学素子である。
更に、第4の発明は、基板厚さが薄い第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光と、前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体に対応して第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とを用いて、前記第1光記録媒体と前記第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する際に、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子であって、
前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略2λ倍に設定した複数段の階段を1組としてこの組が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側階段状回折パターン部と、前記内周側階段状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする回折光学素子である。
請求項1記載の光ピックアップ装置及び請求項3記載の回折光学素子によると、とくに、回折光学素子は、第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に凹部に対して凸部の高さを設計波長λの略1λ倍に設定した凹凸部が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側凹凸状回折パターン部と、内周側凹凸状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有しているため、内周側凹凸状回折パターン部で第2レーザー光L2に対する球面収差を補正でき、且つ、外周側階段状回折パターン部で第1レーザー光L1に対して色収差に関する補正ができるので、第1光記録媒体と、第2光記録媒体と、第1,第2光記録媒体を組み合わせた組み合わせ型光記録媒体とを良好に記録又は再生できると共に、色収差補正素子の設計を製造しやすい方向へ導くことができる。
また、請求項2記載の光ピックアップ装置及び請求項4記載の回折光学素子によると、とくに、回折光学素子は、第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に各段の段差高さを設計波長λの略2λ倍に設定した複数段の階段を1組としてこの組が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側階段状回折パターン部と、内周側階段状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有しているため、内周側階段状回折パターン部で第2レーザー光L2に対する球面収差を補正でき、且つ、外周側階段状回折パターン部で第1レーザー光L1に対して色収差に関する補正ができるので、第1光記録媒体と、第2光記録媒体と、第1,第2光記録媒体を組み合わせた組み合わせ型光記録媒体とを良好に記録又は再生できると共に、色収差補正素子の設計を製造しやすい方向へ導くことができる。
以下に本発明に係る光ピックアップ装置及び回折光学素子の一実施例を図1乃至図23を参照して、実施例1,実施例2の順に詳細に説明する。
本発明に係る光ピックアップ装置は、一つの対物レンズを用いて記録密度が超高密度である第1光記録媒体(例えば、Blu−ray Disc)と、この第1光記録媒体よりも記録密度が低い第2光記録媒体(例えば、DVD)とを下位互換性を確保して記録又は再生する際に、第1レーザー光に対して色収差を補正するための色収差補正素子と、第1レーザー光と第2レーザー光とを分離する第1,第2レーザー光分離手段と、第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子と、次世代光ディスク規格の第1光記録媒体に対応して設計し且つ開口数(NA)が0.75以上である対物レンズとを少なくとも備え、とくに、回折光学素子は内周領域内に後述する第1の位相関数によって求めた第1の位相関数曲線に基づいて凹凸状の内周側凹凸状回折パターン部又は階段状の内周側階段状回折パターン部を輪帯状に形成し、且つ、外周領域内に後述する第2の位相関数によって求めた第2の位相関数曲線に基づいて階段状の外周側階段状回折パターン部を輪帯状に形成することで、内周側凹凸状回折パターン部又は内周側階段状回折パターン部で第2レーザー光L2に対する球面収差を補正でき、且つ、外周側階段状回折パターン部で第1レーザー光L1に対して色収差に関する補正ができると共に、色収差補正素子の設計を製造しやすい方向へ導くことができることを特徴とするものである。
図1は本発明に係る実施例1の光ピックアップ装置の全体構成を示した図である。
図1に示した如く、本発明に係る実施例1の光ピックアップ装置10は、基準波長λ1が450nm以下の第1レーザー光L1により情報信号を基板厚さが薄い信号面1bに超高密度に記録又は再生する第1光記録媒体1と、基準波長λ2が第1レーザー光L1の基準波長λ1より長く650nm前後の第2レーザー光L2により情報信号を前記した第1光記録媒体1の信号面1bよりも基板厚さが厚い信号面2bに高密度に記録又は再生する第2光記録媒体2と、第1,第2レーザー光L1,L2のいずれかが入射するレーザービーム入射面を共通化し且つ第1,第2光記録媒体1,2の各信号面1b,2bを組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを選択的に適用可能に開発したものである。
尚、ここでの図示を省略するものの、第1,第2光記録媒体1,2の各信号面1b,2bを組み合わせた組み合わせ型光記録媒体は合計のディスク基板厚さが略1.2mmに形成されるものであるが、以下の説明では第1,第2光記録媒体1,2の個々について詳述し、組み合わせ型光記録媒体の場合はその応用であるので説明を省略する。
また、以下の説明では、第1,第2光記録媒体1,2として、円盤状の光ディスクに適用した場合について説明するが、これに限ることなく、カード状の光記録媒体であっても良い。
そして、上記した第1,第2光記録媒体1,2は、光ディスク駆動装置5内に回転自在に設けたスピンドルモータ6の軸に固着したターンテーブル7上に選択的に装着されるようになっている。
ここで、上記した第1光記録媒体となるBlu−ray Disc1は、次世代光ディスク規格に基づいてレーザービーム入射面1aと信号面1bとの間のディスク基板厚さd1が略0.05mm〜0.15mmに薄く設定されて、この上に補強板(図示せず)を貼り合せて合計厚さが厚く形成されており、この合計厚さは例えば略1.2mmである。尚、以下の説明では、第1光記録媒体をBlu−ray Disc1と記す。
また、上記した第2光記録媒体となるDVD(Digital Versatile Disc)2は、DVD規格に基づいてレーザービーム入射面2aと信号面2bとの間のディスク基板厚さd2がBlu−ray Disc1よりも厚く0.6mmに設定されて、この上に補強板(図示せず)を貼り合せて合計厚さが略1.2mmに形成されている。尚、以下の説明では、第2光記録媒体をDVD2と記す。
尚、この実施例1では、Blu−ray Disc1,DVD2の各ディスク基板厚さd1,d2が、例えば0.1mm,0.6mmにそれぞれ設定されているものとする。
また、Blu−ray Disc1のレーザービーム入射面1a又はDVD2のレーザービーム入射面2aの下方には、本発明に係る実施例1の光ピックアップ装置10がBlu−ray Disc1又はDVD2の径方向に移動自在に設けられている。
上記した本発明に係る実施例1の光ピックアップ装置10内には、Blu−ray Disc1に対応して基準波長λ1が450nm以下の第1レーザー光L1を出射するための第1レーザー光源(以下、青色半導体レーザーと記す)11と、DVD2に対応して基準波長λ2が650nm前後の第2レーザー光L2を出射するためにDVD用集積デバイス30内の第2レーザー光源(以下、赤色半導体レーザーと記す)31とが設けられている。
尚、この実施例1では、青色半導体レーザー11から出射される第1レーザー光L1の基準波長λ1は例えば408nmに設定され、また、赤色半導体レーザー31から出射される第2レーザー光L2の基準波長λ2は例えば655nmに設定されているものとする。
まず、Blu−ray Disc1に対応する青色半導体レーザー11側について説明すると、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1は直線偏光の発散光であり、この発散光が回折格子(グレーティング)12に入射され、この回折格子12内に形成された凹凸状格子(図示せず)のピッチと傾斜の角度に応じて0次回折光と±1次回折光とからなる3本のビーム(以下、3ビームと記す)に分離された後に、3ビームが偏光ビームスプリッタ13に入射される。
尚、この実施例1では、回折格子12により3ビームを生成しているが、回折格子12を設けない構成もあり、この場合には青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1を1ビームのままで偏光ビームスプリッタ13に直接入射させれば良い。
上記した偏光ビームスプリッタ13は、回折格子12からの3ビームを透過させ、且つ、後述するBlu−ray Disc1からの反射光を反射させて略90°方向を転じさせるために偏光性を有する半透過反射誘電体多層膜13aが膜付けされている。
この後、偏光ビームスプリッタ13内の半透過反射誘電体多層膜13aを透過した第1レーザー光L1による3ビームは、コリメーターレンズ14で平行光に変換されて、球面収差補正手段15に入射される。
上記した球面収差補正手段15は、Blu−ray Disc1のディスク基板厚さd1のバラツキとか、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1の波長誤差などに伴って青色半導体レーザー11とBlu−ray Disc1の信号面1bとの間に配置された光学系によって発生する球面収差を補正するものであり、青色半導体レーザー11側に設けた凹レンズ(負レンズ)15Aと、後述の対物レンズ21側に設けた凸レンズ(正レンズ)15Bと、凸レンズ15Bを光軸方向に沿って変位させるアクチュエータ15Cとから構成されている。そして、凸レンズ15Bをアクチュエータ15Cによって凹レンズ15Aに対して光軸方向に変位させ、凹レンズ15Aと凸レンズ15Bとの間隔を制御して、対物レンズ21に入射する3ビームの平行度を調整して、対物レンズ21の倍率誤差による球面収差を発生させて他の球面収差と相殺することで球面収差が零になるように補正するものである。尚、凹レンズ(負レンズ)15Aを凸レンズ15Bに対して光軸方向に変位させる方法でも良い。
尚、球面収差補正手段として、この実施例1では凹レンズ15Aと凸レンズ15Bとアクチュエータ15Cとの組み合わせを用いたが、これに代えて液晶素子などを用いた波面変調素子を適用することも可能である。
この後、球面収差補正手段15を通った第1レーザー光L1による3ビームは、波長板16を透過する際に、第1レーザー光L1による3ビームに対して、波長板の進相軸と遅相軸に対応する偏光成分に、略1/4波長(90°)の位相差を与えて円偏光に変換した後に、色収差補正素子17に入射する。あるいは、この1/4波長板は、より対物レンズ21に近い位置に置くことも可能である。その場合は、第1,第2レーザー光L1,L2の両者に対して1/4波長の位相差を与える波長板とすることが可能である。また、第2レーザー光L2に対しては、位相板として機能しないような構成の波長板とすることも可能である。
上記した色収差補正素子17は、一方の面が平坦面で他方の面が凹球面に形成された凹レンズ17Aと、両面共に凸球面に形成された凸レンズ17Bと、一方の面が凹球面で他方の面が平坦面に形成された凹レンズ17Cとを貼り合わせて形成されており、第1レーザー光L1に対して色収差を補正する機能を有している。
尚、この実施例1では、上記したような色収差補正素子17を用いているが、これに代えて先に図29を用いて従来例6で述べたような光入射端面,光出射端面の少なくとも一方に、光軸に対して垂直な平面を同心円状の輪帯として階段状に形成した回折型の色収差補正素子を適用しても良い。また、この同心円上の輪帯は屈折面(曲面)の上に形成しても良い。
尚更に、第1レーザー光L1の基準波長λ1が408nmであれば色収差が発生しないために、Blu−ray Disc1に対して色収差を測定する場合には、第1レーザー光L1の波長が例えば411nmである青色半導体レーザー11を用いて測定すれば良い。 そして、色収差補正素子17を通過した第1レーザー光L1による3ビームは、第1,第2レーザー光分離手段となるダイクロイックプリズム18を通過する。このダイクロイックプリズム18は、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1を透過させる一方、赤色半導体レーザー31から出射した第2レーザー光L2に対して反射させて略90°方向を転じさせるために波長選択性を有する半透過反射ダイクロイック膜18aが膜付けされている。
この後、ダイクロイックプリズム18内の半透過反射ダイクロイック膜18aを透過した第1レーザー光L1による3ビームは、レンズホルダ19内の下方部位に取り付けた本発明に係る実施例1の回折光学素子20を平行光のままで直進してレンズホルダ19内の上方部位に取り付けた対物レンズ21に入射し、この対物レンズ21で絞り込んだ第1レーザービーム(3ビーム)がBlu−ray Disc1のレーザー入射面1aから入射して信号面1bに集光される。
この際、上記した本発明に係る実施例1の回折光学素子20は、対物レンズ21と対向する上面(一方の面)側の内周領域内に後述する第1の位相関数により求めた第1の位相関数曲線に基づいて凹凸状の内周側凹凸状回折パターン部20a1を輪帯状に形成し、且つ、内周側凹凸状回折パターン部20a1より外側の外周領域内に後述する第2の位相関数により求めた第2の位相関数曲線に基づいて階段状の外周側階段状回折パターン部20a2を輪帯状に形成した状態でレンズホルダ19内の下方部位に対物レンズ21と光軸を一致させて取り付けられている。そして、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1に対して回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1と、外周側階段状回折パターン部20a2とを平行光のまま透過させた後に、第1レーザー光L1を対物レンズ21に入射させている。
尚、上記した回折光学素子20は、実施例1の要部を構成するものであり、この回折光学素子20の形状と、回折光学素子20による第1レーザー光L1に対する動作については後で詳述する。
また、上記した対物レンズ21は、Blu−ray Disc用として開口数が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する面21a,21bのうち少なくとも一方の面が非球面に形成されているものであるが、この実施例1では開口数(NA)が0.85でアプラナートな特性、又は、アプラナートに近い特性を持った単玉レンズを用いている。尚、ここで言うアプラナートとは、軸上の球面収差を完全に補正しつつ正弦条件(軸外でコマ収差を発生しない条件)を満足したものである。
また、レンズホルダ19の外周にはフォーカスコイル22とトラッキングコイル23とが一体的に取り付けられ、且つ、レンズホルダ19の外周に固着させた不図示の複数本のサスペンションワイヤを介してレンズホルダ19と一体に回折光学素子20と対物レンズ21とがBlu−ray Disc1のフォーカス方向とトラッキング方向とに制御されている。
尚、後述するDVD2の場合にも、回折光学素子20と対物レンズ21とがレンズホルダ19と一体となってDVD2のフォーカス方向とトラッキング方向とに制御されるものである。
この後、対物レンズ21で絞り込んだ第1レーザービーム(3ビーム)をBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aから入射させて信号面1b上に集光し、第1レーザービームによって信号面1bへの再生、記録、または消去が行われる。
更にこの後、Blu−ray Disc1の信号面1bで反射された第1レーザービームによる戻りの第1反射光は、上記とは逆に対物レンズ21に再入射して、回折光学素子20,ダイクロイックプリズム18,色収差補正素子17,波長板16,球面収差補正手段15,コリメーターレンズ14を順に通過して、偏光ビームスプリッタ13内の偏光性を有する半透過反射誘電体多層膜13aで反射されて略90°方向を転じた後にシリンドリカルレンズ24を介して第1光検出器25に集光する。そして、第1光検出器25でBlu−ray Disc1の信号面1bを再生した時のトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,メインデータ信号を検出している。
次に、DVD2に対応する赤色半導体レーザー31側について説明すると、DVD2を記録又は再生する場合には、Blu−ray Disc1を記録又は再生する際に用いた球面収差補正手段15及び色収差補正素子17を用いない光学系になっている。
尚、球面収差補正手段15と色収差補正素子17は、上記ではBlu−ray Disc1を記録又は再生する光学系のみに配置されているが、これに限らず、DVD2を記録又は再生する場合でも、その両者15,17を含んだ光学系として構成することも可能である。この場合には第2レーザー光L2に対して収差が小さくなるように球面収差補正手段15を成業するか、又は、球面収差補正手段15及び色収差補正素子17に入射する第2レーザー光L2の平行度を適切に設定して収差を小さくすれば良い。
ここで、DVD用集積デバイス30は、赤色半導体レーザー31と、赤色半導体レーザー31の右方に設置した第2光検出器32とが不図示の半導体基板上に一体化されており、且つ、赤色半導体レーザー31の上方にホログラム素子33が設置されている。
尚、この実施例1ではDVD用集積デバイス30を用いているが、これに限ることなく、図示を省略するが赤色半導体レーザーからの第2レーザー光をビームスプリッタで分離させる構成でも良い。
ここで、赤色半導体レーザー31から出射した第2レーザー光L2は直線偏光の発散光であり、この発散光がホログラム素子33を通過する。この後、ホログラム素子33を通過した第2レーザー光L2は、コリメータレンズ34で平行光となり、この平行光が第2レーザー光用の位相板35を透過して円偏光となる。この際、第2レーザー光用の位相板35は第2レーザー光L2が透過する時に、その進相軸と遅相軸の間に略(λ2)/4の位相差を与えて円偏光に変換するものである。
更に、位相板35を通った第2レーザー光L2の平行光は、ダイクロイックプリズム18内の波長選択性を有する半透過反射ダイクロイック膜18aで反射されて略90°光線方向を転じた後、第2レーザー光L2に対して回折光学素子20により対物レンズ21への開口数(NA)が0.6相当になるように開口を制限させると共に、第2レーザー光L2の平行光を回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1で回折させて球面収差を補正しながら第2レーザー光L2の回折光を対物レンズ21に入射させている。
尚、回折光学素子20による第2レーザー光L2に対する動作については後で詳述する。
この後、対物レンズ21で絞り込んだ第2レーザービームをDVD2のレーザービーム入射面2aから入射させて信号面2b上に集光し、第2レーザービームによってDVD2の信号面2bへの再生、記録、または消去が行われる。
更にこの後、DVD2の信号面2bで反射された第2レーザービームによる戻りの第2反射光は、上記とは逆に対物レンズ21に再入射し、回折光学素子20を経てダイクロイックプリズム18内の半透過反射ダイクロイック膜18aで反射されて略90°光線方向を転じた後、第2レーザー光用の位相板35,コリメータレンズ34を順に通過して、ホログラム素子33によって回折されて、第2光検出器32に集光する。そして、第2光検出器32でDVD2の信号面2bを再生した時のトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,メインデータ信号を検出している。
ここで、実施例1における主要な光学系の仕様を順に説明する。
まず、対物レンズ21の仕様を下記の表1に示す。
Figure 0004254549
次に、色収差補正素子17と、回折光学素子20と、対物レンズ21と、Blu−ray Disc1及びDVD2とを含む各光学面形成部材の一覧について下記の表2に示す。
Figure 0004254549
また、表2中に示した色収差補正素子,回折光学素子,対物レンズ,Blu−ray Disc及びDVDに用いた各材料の各波長に対する屈折率を下記の表3に示す。
Figure 0004254549
次に、表2の第6面(回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1)を作製する際に用いる第1の位相関数Φ(h)を下記の数1に示す。
Figure 0004254549
また、上記した第1の位相関数Φ(h)中の位相関数係数A〜Aの一例を下記の表4に示す。
Figure 0004254549
次に、表2の第6面(回折光学素子20の外周側階段状回折パターン部20a2)を作製する際に用いる第2の位相関数Φ’(h)を下記の数2に示す。
Figure 0004254549
また、上記した第2の位相関数Φ’(h)中の位相関数係数A’〜A’の一例を下記の表5に示す。
Figure 0004254549
次に、対物レンズ21において、レーザー光源側である表2の第7面(対物レンズ21中で回折光学素子20と対向する面21a)と、Blu−ray Disc1又はDVD2と対向する面である表2の第8面(21b)とを非球面に形成する際、下記する数3の非球面多項式を用いて非球面を表すものとする。
Figure 0004254549
上記した数3の非球面多項式を用いた時に、対物レンズ21の面21a(第7面)を非球面に形成するための非球面係数B〜B16の一例を下記の表6に示す。
Figure 0004254549
また、上記した数3の非球面多項式を用いた時に、対物レンズ21の面21b(第8面)を非球面に形成するための非球面係数B〜B10の一例を下記の表7に示す。
Figure 0004254549
以下、先に表2で示した各光学面形成部材について順を追って、先に説明した図1と、新たな図2〜図11とを用いて説明する。
図2(a),(b)は本発明に係る実施例1の回折光学素子を説明するための全体図,X部拡大図、
図3は本発明に係る実施例1の回折光学素子を一部変形させた変形例1を示した図、
図4は本発明に係る実施例1の回折光学素子を一部変形させた変形例2を示した図、
図5は実施例1において、回折光学素子の内周側凹凸状回折パターン部を作製する際に用いられる第1の位相関数Φ(h)により求めた内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)を説明するための図、
図6は実施例1において、回折光学素子の外周側凹凸状回折パターン部を作製する際に用いられる第2の位相関数Φ’(h)により求めた外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)を説明するための図、
図7は図6で得られた外周側位相関数曲線に基づいて回折光学素子の外周側階段状回折パターン部を略1λで階段状に区分けする場合を示した図、
図8は図6で得られた外周側位相関数曲線に基づいて回折光学素子の外周側階段状回折パターン部を略2λで階段状に区分けする場合を示した図、
図9は実施例1において、対物レンズ単体の縦収差図、
図10は実施例1において、光学系全体の縦収差図、
図11は実施例1において、縦収差の最適設定方法を説明するための図である。
まず、色収差補正素子17は、Blu−ray Disc1を記録又は再生する光学系中にのみに配置され、Blu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対して色収差を補正する機能を備えており、凹レンズ17Aと凸レンズ17Bと凹レンズ17Cとを貼り合わせて形成する際に、先の表2に示したように凹レンズ17Aと凸レンズ17Bの貼り合わせ面が球面で半径3.25mmに設定され、且つ、凸レンズ17Bと凹レンズ17Cの貼り合わせ面が球面で半径−3.25mmに設定されている。この際、凹レンズ17A及び凹レンズ17CはS−TIH11(OHARA製光学ガラス)を用い、凸レンズ17BはS−LAH53(OHARA製光学ガラス)を用いている。
次に、図2(a),(b)に示した如く、実施例1の要部となる回折光学素子20は、Blu−ray Disc1と、DVD2との基板厚さの異なりにより発生する球面収差を補正する機能を備えている。
上記した回折光学素子20は、光透過性を有する透明なBK7(ホウケイ酸クラウンガラス…HOYA製光学ガラス)とか、石英基板とか、透明樹脂などを用いて一体的に形成されており、この実施例1では先の表2に示したようにBK7を用いている。
また、回折光学素子20は、対物レンズ21(図1)と対向する上面(一方の面)側で光軸が通る中心点“0”を中心にしてBlu−ray Disc1とDVD2との基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定の内周領域径φD1内に内周側凹凸状回折パターン部20a1が輪帯状(リング状)に形成され、且つ、この内周側凹凸状回折パターン部20a1より外側で少なくとも所定の外周領域径φD2内に外周側階段状回折パターン部20a2が輪帯状(リング状)に形成されており、内周側凹凸状回折パターン20a1でDVD用の第2レーザー光L2に対して球面収差が補正でき、且つ、外周側階段状回折パターン部20a2でBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対して色収差に関する補正ができるようになっている。この際、内周側凹凸状回折パターン部20a1が形成される所定の内周領域径φD1はφ2.5mmに設定され、且つ、外周側階段状回折パターン部20a2が形成される所定の外周領域径φD2はφ3.4mmに設定され、先に表1で示したように対物レンズ21(図1)の瞳径がφ3.4mmであるので、この瞳径の全面をカバーできるようになっている。
より具体的に説明すると、まず、回折光学素子20の内周領域に形成した内周側凹凸状回折パターン部20a1は、第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値(408nm)の波長を設計波長λとして、先に数1で示した第1の位相関数Φ(h)に先の表4で示した2次から8次の位相関数係数A〜Aを代入して、図5に示した内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)を求めて、この内周側位相関数曲線中で半径が1.25mmの範囲以内の曲線に基づいて形成されており、内周側凹凸状回折パターン部20a1中で凹部に対して凸部の高さが設計波長λの略1λ倍に設定され、且つ、内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)に従って凹凸部が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪体状(リング状)に形成されている。
ここで、内周側凹凸状回折パターン部20a1を形成する際に用いる第1の位相関数Φ(h)はラジアン単位であり、この第1の位相関数Φ(h)により求めた内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)に対して、図5に示したように、横軸を回折光学素子20の光軸からの高さhと等価な半径(mm)で示し、且つ、縦軸を2πラジアンを1波長(1λ)とした位相(λ)で示した際に、凹部に対して凸部の高さが略1λに設定された内周側凹凸状回折パターン部20a1を求めるには、後述の図7を用いた説明のように行うが、1λ,2λ,3λ……の各線と内周側位相関数曲線とが交差する点の間の距離が凹凸部の半径方向のピッチとなる。
上記から、回折光学素子20の内周領域に形成した内周側凹凸状回折パターン部20a1は、凹部に対して凸部の高さを略1λに設定したことによりBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対しては何等の作用もしない0次光回折光が通過する一方、DVD用の第2レーザー光L2を回折させた1次回折光により球面収差を補正するようになっている。
次に、回折光学素子20の外周領域に形成した外周側階段状回折パターン部20a2は、第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値(408nm)の波長を設計波長λとして、先に数2で示した第2の位相関数Φ’(h)に先の表5で示した2次から8次の位相関数係数A’〜A’を代入して、図6に示した外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)を求めて、この外周側位相関数曲線中で半径が1.25mm以上の曲線に基づいて形成されており、中心点“0”側に向かって形成された複数段の階段が段差高さを設計波長λの略m(但し、mは0を含まない自然数)λ倍に設定されていると共に、外周側階段状回折パターン部20a2は内周側凹凸状回折パターン部20a1よりも上方に向かうように階段が上昇して外周領域径φD2の外側まで形成されている。
この際、内周側階段状回折パターン部20a1と外周側階段状回折パターン部20a2との接続は、例えば3λだけ高さを違えて接続しているがこれについては後述する。
また、回折光学素子20の外周側階段状回折パターン部20a2の実際の形状は、第2の位相関数Φ’(h)において、mを0を含まない自然数として、略2mπ(設計波長λの略整数倍)となる位相幅で、離散的な階段形状とした形態となり、これにより階段の段差高さは光路長の差が設計波長λ(408nm)の、略m倍となる高さとする。こうすると設計波長λの略mλ倍の波長では、実質的に回折光学素子20の外周側階段状回折パターン部20a2を透過した基準波長λ1が408nmの第1レーザー光L1に対して波面は変化が生じず、第1レーザー光L1の波長が変化した場合は、位相構造に応じた波面変化が生じる。
ここで、外周側凹凸状回折パターン部20a2を形成する際に用いる第2の位相関数Φ’(h)もラジアン単位であり、この第2の位相関数Φ’(h)により求めた外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)に対して、図6に示したように、横軸を回折光学素子20の光軸からの高さhと等価な半径(mm)で示し、且つ、縦軸を2πラジアンを1波長(1λ)とした位相(λ)で示した際に、連続的なスムーズな外周側位相関数曲線の値を、離散的な値に近似させる場合に、両者の誤差(量子化誤差と言える)は、波面の誤差となり、主として回折損失になる。具体的には光透過率が多少下がるのであるが、Blu−ray Disc1に対応した第1レーザー光L1の基準波長λ1の近傍では、波長の変化範囲が小さいことから、この低下は小さく実用上問題はない。また、波面誤差によって対物レンズ21の作るスポットへの影響は、輪帯構造がかなり細かいため、高次成分の収差と見なすことができるため、ほとんど生じず、無視することができる。
この際、上記したmの値を例えば1に設定すると、図2(a),(b)に示したように、外周側階段状回折パターン部20a2の階段の段差高さが設計波長λの略1λ倍となり、この場合には、図7に拡大して示したように、外周側位相関数曲線に対して階段の段差高さが設計波長λの略1λ倍になるように階段状に区分けしているので、外周側階段状回折パターン部20a2は1次構造となる。
また、上記したmの値を例えば2(又は2以上の自然数m)に設定すると、図3に示したように、外周側階段状回折パターン部20a3の階段の段差高さが設計波長λの略2λ(又は略mλ)倍になり、この場合には、図8に拡大して示したように、外周側位相関数曲線に対して階段の段差高さが設計波長λの略2λ(略mλ…図示せず)倍になるように階段状に区分けすることで、外周側階段状回折パターン部20a3は2次(又は高次…図示せず)構造となる。
また、上記したmの値を階段構造の各段ごとに変化させて設定すると、図4に示したように、外周側階段状回折パターン部20a4の階段の段差高さが各段ごとに変化した非周期的構造となる。
尚、図2〜図4に示した回折光学素子20は、図5及び図6に示した内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)及び外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)を基にして作製されたものであるが、概念を表したものであり、内周側の凹凸部、外周側の階段の段差数、内周側と外周側との段差の関係、輪帯のピッチ等は厳密に描かれた物ではなく、概念的に描かれたものである。
この際、回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1の凸部の高さ及び外周側階段状回折パターン部20a2の段差高さが共に設計波長λの略1波長(略1λ)に設定されている場合には、図2(a),(b)に示したように、外周側階段状回折パターン部20a2と対向する下面20bの外周領域内に第2レーザー光L2に対して対物レンズ21への開口数(NA)が0.6相当になるように制限するための第2レーザー光用開口制限部20b1がダイクロイック膜を用いてリング状に成膜されており、この第2レーザー光用開口制限部20b1は、波長選択性を有するダイクロイック膜により青色半導体レーザー11(図1)から出射した基準波長λ1=408nm±8nmの第1レーザー光L1を透過し、且つ、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した基準波長λ2=655nm±10nmの第2レーザー光L2を遮光する特性を有している。従って、回折光学素子20の外周側階段状回折パターン部20a2は、Blu−ray Disc専用領域になっている。
一方、図3に示した2次構造の外周側階段状回折パターン部20a3、又は、図4に示した非周期的構造の外周側階段状回折パターン部20a4の場合には、DVD2に対しては不要光である外周側の第2レーザー光L2に対して波長選択性を有する第2レーザー光用開口制限部などを設けずに内周側のDVD再生に必要な光束のみを分離できるメリットがある。この理由は、内周側と外周側とで回折パターン構造の次数が異なると言うことは、回折作用の次数が異なっていることを示していて、このことにより内外周の境界で波面の連続性が分断されて、外周側の光束と内周側の光束とが分離されて内周側の光束が作るDVD2へのスポットに影響を与えなくなるためである。
尚、勿論、外周側が高次(2次以上)構造の場合、または、非周期的構造の場合であっても、回折光学素子20の下面20bの外周側にDVD2に対応した第2レーザー光L2を遮光する第2レーザー光用開口制限部20b1を設けることで、外周の光の影響度を低減して、DVD2への記録特性又は再生特性が向上させることができる。
また、外周側が高次(2次以上)構造の場合、または、非周期的構造の場合に外周側階段状回折パターン部20a3,20a4中の階段のピッチ(間隔)を大きく設定することが可能になり、回折光学素子20の製造が容易になるというメリットがある。
上記から、回折光学素子20の外周領域に形成した外周側凹凸状回折パターン部20a2、又は、20a3、もしくは、20a4は、段差間の光路長の差がBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1の略整数倍となるような段差の回折構造により、第1レーザー光L1のみが通過することで第1レーザー光L1に対して波長誤差による収差を変化させる機能が付加されるので、色収差に関する補正ができるようになっている一方、DVD用の第2レーザー光L2は上記したように通過しないので何等の作用も働かないようになっている。
ここで、再び図1に戻り、実施例1の要部となる対物レンズ21は、Blu−ray Disc用として設計されたものであり、硝材として例えば先の表2に示したようにNBFD13(HOYA製光学ガラス)を用いて、回折光学素子20と対向する面21aを先に数3で示した非球面多項式に先の表6で示した非球面係数B〜B16を代入して非球面に形成すると共に、Blu−ray Disc1又はDVD2と対向する面21bも先に数3で示した非球面多項式に先の表7で示した非球面係数B〜B10を代入して非球面に形成している。
この際、対物レンズ21の面21bとBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aとの間の作動距離は先の表2に示したように略0.77mm程度であり、また、対物レンズ21の面21bとDVD2のレーザービーム入射面2aとの間の作動距離は先の表2に示したように0.67mm程度である。
また、基準波長λ1が408nmの第1レーザー光L1によりBlu−ray Disc1を記録又は再生するように無限共役で最適に設計した対物レンズ21は、先の表1に示したように、青色半導体レーザー22(図1)から出射した第1レーザー光L1の基準波長λ1を例えば408nmに設定し、且つ、開口数(NA)が0.85であり、焦点距離が2.0mmであり、入射瞳直径(瞳径)が3.4mmのものを使用している。
ここで、対物レンズ21は、Blu−ray Disc1のディスク基板厚さd1(図1)が0.1mmである時に、略完全に収差が補正されており、この対物レンズ単体の縦収差をNA=0.85に相当する光線高さである1.7mmの光線高さまでに亘って図9に示す。この図9において、第1レーザー光L1の基準波長λ1が408nmである場合に加えて、基準波長λ1から僅かにズレて411nmである場合の縦収差も描いている。軸上光線の結像位置の差が軸上色収差であり、411nmでの縦収差の曲がりが波長誤差による球面収差を表している。
ところで、先に示した表2においては、物点は有限の距離(−3250mm)に為されているが、これは、色収差補正素子17が408nmで僅かにレンズ作用を有しているため、これと相殺して対物レンズ21に平行光を入射させるためである。
一方、図10では、Blu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対して、色収差補正素子17と対物レンズ21とを合わせた光学系全体の縦収差を示しており、この縦収差図は第1レーザー光L1に対して何等の作用もしない回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1を含めても良いが、第1レーザー光L1に対して色収差を補正する機能を付加した外周側凹凸状回折パターン部20a2、又は、20a3、もしくは、20a4を含めない状態を示しているものである。
ここで、図10に示した光学系全体の縦収差に対して先に図9で示した対物レンズ単体の縦収差と比較すると、色収差が過剰に補正されていて411nmでの焦点位置が408nmより物点側に来ていることが示されている。
さて、DVD2の記録又は再生に必要な対物レンズ21の開口数(NA)は0.6であるから、これに対応した、光線高さ1.2mm(=1.7mm×0.6/0.85)より外側は、実施例1の回折光学素子20により結像の状態を変えることが可能である。尚、記録型のDVD装置等では、NAが0.6より大きく例えば、0.65の物が使われる場合もあるが、その場合はそのNAに対応した光線高さを設計の切り替えの半径とすればよい。ここでは、DVD2に対して開口数(NA)に余裕を持たせるために、1.25mmの半径を境界としている。従って、図10で光線高さが0.735(1.7mmを1.0と規格化して描いている)から1.0までがBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対する外周領域となる。この際、411nmでの波面収差は、半径1.25mmより内側において、0.010λとなる。
ここで、実施例1の回折光学素子20において、外周領域の設計原理を、概念的に図11を用いて説明する。その目的は、先に表1で示した対物レンズ21の場合、収差補正の程度は非常に高く、波面収差的にほとんど無収差に近い収差補正が実現されているが、縦収差図において僅かにうねりがあるため、定性的な説明をするためには、うねりがない理想的なレンズで説明する方が理解し易いためである。
まず、回折光学素子20の外周側階段状回折パターン部20a2(図2)、又は、20a3(図3)、もしくは、20a4(図4)での色収差補正の目的を確認すると、408nmの像面で、波長変化がある場合の光束の収差が最小になることである。そのために、図11中で実線を用いて示した外周側階段状回折パターン部がある場合、内周側の光線の最良像面が408nmの最良像面に一致し、かつ外周側は、回折光学素子20の効果により408nmと同じ面に結像するようにすれば良い。このようにすると、外周側の面積の大きな部分で波面収差の発生が無く、結果として波面収差の増大を著しく押さえることができる。
一方、図11中で破線を用いて示した外周側階段状回折パターン部がない場合は、色収差補正素子17の補正度合いを上げて、さらに過剰に軸上色収差を補正して、波長誤差がある場合に、縦収差が破線のようになるようにする時、波長誤差がある場合の最良像面が408nmの像面と一致して、目的が達せられる。しかし、この場合は光線収差の変化量が大きく、波面収差は外周側階段状回折パターン部を設けた場合に比べて大きくなる。
ここで、実施例1における光学系を用いた時の動作について説明する。
図12は実施例1において、Blu−ray Discでの光路図、
図13は実施例1において、Blu−ray Discでの縦収差図、
図14は実施例1において、Blu−ray Discで波長が基準波長から変化した場合の内周側の波面収差図、
図15は実施例1において、Blu−ray Discで波長が基準波長から変化した場合の内周側及び外周側の波面収差図、
図16は実施例1において、DVDでの光路図、
図17は実施例1において、DVDでの縦収差図である。
まず、実施例1において、Blu−ray Disc1を記録又は再生する場合に、Blu−ray Discでの光路図を図12に示すと共に、Blu−ray Discでの縦収差図を図13に、Blu−ray Discで波長が基準波長から変化した場合の内周側の波面収差図を図14に、Blu−ray Discで波長が基準波長から変化した場合の内周側及び外周側の波面収差図を図15にそれぞれ示す。
即ち、図12に示した光学系によりBlu−ray Disc1を記録又は再生する場合には、青色半導体レーザー11(図1)側に凹レンズ17Aと凸レンズ17Bと凹レンズ17Cとを貼り合わせて形成した色収差補正素子17が配置されている。
そして、青色半導体レーザー11(図1)から出射した第1レーザー光L1をコリメーターレンズ14(図1)で平行光にし、この第1レーザー光L1の平行光を色収差補正素子17を介して回折光学素子20の下面20bの内周領域及び外周領域に入射させている。ここで、回折光学素子20の下面20bには、外周領域にダイクロイック膜を用いて第2レーザー光用開口制限部20b1がリング状に成膜されているものの、第1レーザー光L1を下面20bの内周領域と第2レーザー光用開口制限部20b1とをそのまま透過させた後、更に、内周側凹凸状回折パターン部20a1と外周側階段状回折パターン部20a2とをそのまま透過させ、平行光のままで対物レンズ21の面21aに入射させている。
この際、回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1は、先に図2(a),(b)で説明したように凹部に対して凸部の高さが設計波長λの略1λ倍に設定されているものの第1レーザー光L1に対して何等も作用せずに0次回折光を対物レンズ21に入射させ、一方、外周側階段状回折パターン部20a2は、先に図2(a),(b)で説明したように階段の段差高さが設計波長λの略1λ倍に設定されているので、基準波長λ1が408nmの第1レーザー光L1に対して波面は変化が生じないものの、基準波長λ1に対して僅かにズレた波長に対して色収差を補正している。
尚、回折光学素子20として、先に図3に示したような2次(又は高次…図示せず)構造、または、図4に示したような非周期的構造とした場合も適用可能であり、この場合には、下面20bに第2レーザー光用開口制限部が通常設けられていない点が異なるものである。
そして、対物レンズ21で絞った第1レーザービームをBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aから入射させてディスク基板厚さが0.1mmの信号面1b上に集光している。
この場合、Blu−ray Disc1での縦収差図は図13に示した如くとなり、とくに、回折光学素子20は外周領域に外周側階段状回折パターン部20a2を設けているので、第1レーザー光L1の波長が408nmである時には何ら影響が無く、一方、411nmにおいては図11で説明した効果が得られていることが判る。言い換えると、回折光学素子20の直径が2.5mmより外側においては、収差が発生していない。ここで前述のように回折光学素子20の直径が2.5mmより内側における波面収差は0.010λであるから、対物レンズ21の全周での波面収差は、0.0074λ(=0.010λ×2.5/3.4)と非常に小さな値となる。
ここで、実施例1におけるBlu−ray Discでの光路図の効果を説明するにあたって、比較例として先に図11の点線で示したように回折光学素子の外周領域に外周側階段状回折パターン部を設けない時に色収差補正素子の貼り合わせ面を設定すると、凹レンズと凸レンズと凹レンズとを貼り合わせて形成した際に貼り合わせ面の半径が±2.87mmとなり、この±2.87mmの半径はかなり深い形状をしていて、かなり製作しにくい色収差補正素子であると言える。そして、回折光学素子を設けずに貼り合わせ面の半径が±2.87mmの色収差補正素子を用いた際に、第1レーザー光L1の波長が411nmである時の波面収差のrms値は、0.046λと大きな値になる。
これに対して、実施例1では、回折光学素子20を設けているので、色収差補正素子17の貼り合わせ面の半径は先の表2に示したように±3.25mmであり、上記した比較例と比較すると、色収差補正素子17の貼り合わせ面の半径をかなり緩和することができる。従って、ここで示した色収差補正素子17の貼り合わせ面の半径の緩和は、色収差補正素子17の製作がし易くなり非常に有効である。更に、回折光学素子20を設けて貼り合わせ面の半径が3.25mmの色収差補正素子17を用いた際に、第1レーザー光L1の波長が411nmである時の波面収差のrms値は、前記したように0.0074λであるので比較例に比べて略1/6以下に押さえることができる。これらの数値はBlu−ray Disc1に対して有効性を示すことになる。
ところで、実施例1の効果を最大に発揮させて、上記したようにするためには、幾何光学的な収差に加えて波面(=光路差)を考慮することが必要である。これは、回折光学素子20の内周領域と外周領域とで波長誤差がある場合の波面が最適な状態で接続されていれば、実現される。
図14に、Blu−ray Disc用の第1レーザー光L1の波長が411nmである時の内周側の波面収差図:光路差(OPD…Optical Phase Difference)を示す。このOPDは、波面の形を示しているとも言える。さてこのOPD形状は、球面収差がある場合に、波面収差のrms値が最小になる形態をしている。
ここで、外周側の光線の波面(OPD)が、内周側の波面の平均値(OPDの平均値)と略一致するようにすると、全周での波面収差のrms値は最小になる。
実施例1において、回折光学素子20の内周領域径φD1(図2)を1として規格化した場合の、3次の球面収差係数W40は、W40=−0.122 λ である。
図14は、これと同じ大きさの焦点調節成分W20が与えられた場合のOPDとなっている。なお、実際には高次の球面収差も少し残留しているため、図13の収差量は3次収差から計算される値とは僅かに(無視できるくらい小さく)ずれている。
さて、この様な3次球面収差を持っている場合の、平均波面Wは、W=W40/6である。この例では、W=0.0201 λ となる。なお、このような場合の波面収差(PV値)の最大値は、−0.25×W40となり、具体例においては、0.0305λが最大値である。従って、この平均波面WのOPDを回折光学素子20の外周領域が持っていることが望ましい。これを模式的に書いたものが、図15である。
しかるに、回折光学素子20の内周領域側と外周領域側で基板厚さを同一とすると、外周領域側の波面は、内周領域側のレンズ中心の波面と一致するため、波面収差の増大が生じる。これは、幾何光学的には、外周領域側が最良像面にあっても、波面の連結が最適でないために生じる現象である。
そこで、回折光学素子20の外周領域側の基板厚さを調節することで、出来るだけ最適になるようにする。ここで、回折光学素子20の外周領域側の基板厚さの変化量は、第1レーザー光L1の基準波長λ1では影響が生じてはいけないとことから、第1レーザー光L1の基準波長λ1の整数倍の光路長の差に相当する厚さの変化量とすることが最適である。
具体的には、図15が示すように、回折光学素子20の外周領域側では、第1レーザー光L1の波長が長くなった場合に、波面が進んでいることが望ましい。従って、回折光学素子20の外周領域側の基板厚さを内周領域側よりも厚くすれば良い。
具体的な数値を次に示す。今議論している第1レーザー光L1の波長の変化幅は、小さいので、回折光学素子20への第1レーザー光L1の屈折率は変化しないと近似して考えて問題ない。
この時、第1レーザー光L1の波長がλ1からλ1’に変化したことによる、波面の変化Φは、段差の次数をmとして、Φ=m(λ1−λ1’)/λ1’ で与えられる。
例においては、408nmから411nmの変化で、0.0201λの変化量であるから、m=2.72となる。前述の制限により、mは整数であることが望まれる。従って、これにもっとも近い整数mは、m=3にとなり、先に図2(a),(b)で示した1次構造の回折光学素子20、又は、先に図3で示した2次(高次…図示せず)構造の回折光学素子20、もしくは、先に図4で示した非周期的構造の回折光学素子20において、外周側階段状回折パターン部20a2は内周側凹凸状回折パターン部20a1に対して設計波長λの略3λ倍だけ高さを高くして接続して、外周領域側の基板厚さ厚くすればよい。
次に、実施例1において、DVD2を記録又は再生する場合に、DVDでの光路図を図16に示すと共に、DVDでの縦収差図を図17に示す。
即ち、図16に示した光学系によりDVD2を記録又は再生する場合に、赤色半導体レーザー31(図1)側には色収差補正素子が配置されてなく、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した第2レーザー光L2をコリメーターレンズ34(図1)で平行光にし、この第2レーザー光L2の平行光を回折光学素子20の下面20bの外周領域に形成した第2レーザー光用開口制限部20b1により遮光して対物レンズ21への開口数(NA)が0.6相当になるように制限させると共に、第2レーザー光L2の平行光を回折光学素子20の下面20bの内周領域のみに入射させている。この後、回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1で回折させた1次回折光により球面収差を補正しながら対物レンズ21の面21aに入射させている。
そして、対物レンズ21で絞った第2レーザービームをDVD2のレーザービーム入射面2aから入射させてディスク基板厚さが0.6mmの信号面2b上に集光している。
この場合、対物レンズ21はBlu−ray Disc用として設計されているので、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した波長λ2が655nmの第2レーザー光L2に対して球面収差が大きくなるものの、回折光学素子20の内周側凹凸状回折パターン部20a1により球面収差を補正しているので、DVD2への記録又は再生に支障をきたさない。
更に、図17で示したDVDでの縦収差図では対物レンズ21の開口数(NA)が0.6に相当する光線高さ1.25mmまで描いており、内周領域径φD1(図2)が2.5mm以内の内周領域ではDVD2に対して球面収差が補正されている。
図18は本発明に係る実施例2の光ピックアップ装置の全体構成を示した図、
図19(a),(b)は本発明に係る実施例2の回折光学素子を説明するための全体図,X部拡大図、
図20は本発明に係る実施例2の回折光学素子を一部変形させた変形例1を示した図、
図21は本発明に係る実施例2の回折光学素子を一部変形させた変形例2を示した図である。
図18に示した如く、実施例2の光ピックアップ装置10’では、先に図1を用いて説明した実施例1の光ピックアップ装置10中の回折光学素子20を、これとは異なる形状の回折光学素子20’に置き換えて構成したものであり、ここでは実施例1と異なる点のみを中心に説明する。
即ち、図19(a),(b)に示した如く、実施例2の要部となる回折光学素子20’も、実施例1と同様に、Blu−ray Disc1と、DVD2との基板厚さの異なりにより発生する球面収差を補正する機能を備えている。
上記した回折光学素子20’は、光透過性を有する透明なBK7(ホウケイ酸クラウンガラス…HOYA製光学ガラス)とか、石英基板とか、透明樹脂などを用いて一体的に形成されており、この実施例2でも先の表2に示したようにBK7を用いている。
また、回折光学素子20’は、対物レンズ21(図1)と対向する上面(一方の面)側で光軸が通る中心点“0”を中心にしてBlu−ray Disc1とDVD2との基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定の内周領域径φD1内に複数組みの階段を各組みごとに外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら内周側階段状回折パターン部20c1が輪帯状(リング状)に形成され、且つ、この内周側階段状回折パターン部20c1より外側で少なくとも所定の外周領域径φD2内に1組の階段からなる外周側階段状回折パターン部20c2が輪帯状(リング状)に形成されており、内周側階段状回折パターン20c1でDVD用の第2レーザー光L2に対して球面収差が補正でき、且つ、外周側階段状回折パターン部20c2でBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対して色収差に関する補正ができるようになっている。この際、内周側階段状回折パターン部20c1が形成される所定の内周領域径φD1はφ2.5mmに設定され、且つ、外周側階段状回折パターン部20c2が形成される所定の外周領域径φD2はφ3.4mmに設定され、先に表1で示したように対物レンズ21(図1)の瞳径がφ3.4mmであるので、この瞳径の全面をカバーできるようになっている。
より具体的に説明すると、まず、回折光学素子20’の内周領域に形成した内周側階段状回折パターン部20c1は、第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値(408nm)の波長を設計波長λとして、先に数1で示した第1の位相関数Φ(h)に先の表4で示した2次から8次の位相関数係数A〜Aを代入して、図5に示した内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)を求めて、この内周側位相関数曲線中で半径が1.25mmの範囲以内の曲線に基づいて形成されており、内周側階段状回折パターン部20c1中で中心点“0”側に向かって形成された階段の段差高さが設計波長λの略2λ倍に設定され、且つ、内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)に従って複数段の階段を1組としてこの組が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成されている。
ここで、第1の位相関数Φ(h)により求めた図5の内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)に対して、図8に示したように、階段の段差高さが略2λごとにパターンを設定することで、内周側階段状回折パターン部20c1を決めることができる。
上記から、回折光学素子20’の内周領域に形成した内周側階段状回折パターン部20c1は、階段の段差高さを略2λに設定したことによりBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1に対しては何等の作用もしない0次光回折光が通過する一方、DVD用の第2レーザー光L2を回折させた1次回折光により球面収差を補正するようになっている。
次に、回折光学素子20’の外周領域に形成した外周側階段状回折パターン部20c2は、第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値(408nm)の波長を設計波長λとして、先に数2で示した第2の位相関数Φ’(h)に先の表5で示した2次から8次の位相関数係数A’〜A’を代入して、図6に示した外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)を求めて、この外周側位相関数曲線中で半径が1.25mm以上の曲線に基づいて形成されており、階段状に形成された外周側凹凸状回折パターン部20c2中で階段の段差高さが設計波長λの略m(但し、mは0を含まない自然数)λ倍に設定されていると共に、外周側階段状回折パターン部20c2は内周側階段状回折パターン部20c2よりも上方に向かうように階段が上昇して外周領域径φD2の外側まで形成されている。
この際、内周側階段状回折パターン部20c1と外周側階段状回折パターン部20c2との接続は、内周側階段状回折パターン部20c1の平均波面に対して外周側階段状回折パターン部20c2の基板厚さを設計波長λの略3λ倍だけ高く設定すれば性能の良い回折光学素子20’が得られる。ここで内周側階段状回折パターン部20c1の平均波面を基準にする場合も、平均値と付加する厚さによる合計の厚さによって、第1レーザー光L1の基準波長に置いて内外周で光路差が出ないような高さに設定することが望ましいのは、言うまでもない。
また、回折光学素子20’の外周側階段状回折パターン部20c2の実際の形状は、第2の位相関数Φ’(h)において、mを0を含まない自然数として、略2mπ(設計波長λの略整数倍)となる位相幅で、離散的な階段形状とした形態となり、これにより階段の段差高さは光路長の差が設計波長λ(408nm)の、略m倍となる高さとする。こうすると設計波長λの略mλ倍の波長では、実質的に回折光学素子20’の外周側階段状回折パターン部20c2を透過した基準波長λ1が408nmの第1レーザー光L1に対して波面は変化が生じず、第1レーザー光L1の波長が変化した場合は、位相構造に応じた波面変化が生じる。
ここで、第2の位相関数Φ’(h)により求めた外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)に対して、図6に示したように、連続的なスムーズな外周側位相関数曲線の値を、離散的な値に近似させる場合に、両者の誤差(量子化誤差と言える)は、波面の誤差となり、主として回折損失になる。具体的には光透過率が多少下がるのであるが、Blu−ray Disc1に対応した第1レーザー光L1の基準波長λ1の近傍では、波長の変化範囲が小さいことから、この低下は小さく実用上問題はない。また、波面誤差によって対物レンズ21の作るスポットへの影響は、輪帯構造がかなり細かいため、高次成分の収差と見なすことができるため、ほとんど生じず、無視することができる。
この際、上記したmの値を例えば1に設定すると、図19(a),(b)に示したように、外周側階段状回折パターン部20c2の階段の段差高さが設計波長λの略1λ倍となり、この場合には、図7に拡大して示したように、外周側位相関数曲線に対して階段の段差高さが設計波長λの略1λ倍になるように階段状に区分けしているので、外周側階段状回折パターン部20c2は1次構造となる。
また、上記したmの値を例えば2(又は2以上の自然数m)に設定すると、図20に示したように、外周側階段状回折パターン部20c3の階段の段差高さが設計波長λの略2λ(又は略mλ)倍になり、この場合には、図8に拡大して示したように、外周側位相関数曲線に対して階段の段差高さが設計波長λの略2λ(略mλ…図示せず)倍になるように階段状に区分けすることで、外周側階段状回折パターン部20c3は2次(又は高次…図示せず)構造となる。
また、上記したmの値を階段構造の各段ごとに変化させて設定すると、図21に示したように、外周側階段状回折パターン部20c4の階段の段差高さが各段ごとに変化した非周期的構造となる。
尚、図19〜図21に示した回折光学素子20’は、図5及び図6に示した内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)及び外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)を基にして作製されたものであるが、概念を表したものであり、内周側の凹凸、外周側の階段の段差数、内周側と外周側との段差の関係、輪帯のピッチ等は厳密に描かれた物ではなく、概念的に描かれたものである。
この実施例2でも、外周側が高次(2次以上)構造の場合、または、非周期的構造の場合に外周側階段状回折パターン部20c3,20c4中の階段のピッチ(間隔)を大きく設定することが可能になり、回折光学素子20’の製造が容易になるというメリットがある。
上記から、回折光学素子20’の外周領域に形成した外周側凹凸状回折パターン部20c2、又は、20c3、もしくは、20c4は、段差間の光路長の差がBlu−ray Disc用の第1レーザー光L1の略整数倍となるような段差の回折構造により、第1レーザー光L1のみが通過することで第1レーザー光L1に対して波長誤差による収差を変化させる機能が付加されので、色収差に関する補正ができるようになっている一方、DVD用の第2レーザー光L2は上記したように通過しないので何等の作用も働かないようになっている。
次に、実施例2における光学系を用いた時の動作について説明する。
図22は実施例2において、Blu−ray Discでの光路図、
図23は実施例2において、DVDでの光路図である。
まず、実施例2において、図22に示した光学系によりBlu−ray Disc1を記録又は再生する場合は、青色半導体レーザー11(図1)側に凹レンズ17Aと凸レンズ17Bと凹レンズ17Cとを貼り合わせて形成した色収差補正素子17が配置されている。
そして、青色半導体レーザー11(図1)から出射した第1レーザー光L1をコリメーターレンズ14(図1)で平行光にし、この第1レーザー光L1の平行光を色収差補正素子17を介して回折光学素子20’の下面20bの内周領域及び外周領域に入射させた後、更に、内周側階段状回折パターン部20c1と外周側階段状回折パターン部20c2とをそのまま透過させ、平行光のままで対物レンズ21の面21aに入射させている。
この際、回折光学素子20’の内周側階段状回折パターン部20c1は、先に図19(a),(b)で説明したように各組みの階段の段差高さが設計波長λの略2λ倍に設定されているものの第1レーザー光L1に対して何等も作用せずに0次回折光を対物レンズ21に入射させ、一方、外周側階段状回折パターン部20c2は、先に図19(a),(b)で説明したように階段の段差高さが設計波長λの略1λ倍に設定されているので、基準波長λ1が408nmの第1レーザー光L1に対して波面は変化が生じないものの、基準波長λ1に対して僅かにズレた波長に対して色収差を補正している。
尚、回折光学素子20’として、先に図20に示したような2次(又は高次…図示せず)構造、または、図21に示したような非周期的構造とした場合も適用可能である。
そして、対物レンズ21で絞った第1レーザービームをBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aから入射させてディスク基板厚さが0.1mmの信号面1b上に集光している。
この場合、Blu−ray Disc1を記録又は再生した時には、球面収差の影響が事実上無いと言って差し支えないレベルに小さいので、Blu−ray Disc1に対して充分に良好な特性が得られている。
次に、実施例2において、図23に示した光学系によりDVD2を記録又は再生する場合に、赤色半導体レーザー31(図1)側には色収差補正素子が配置されてなく、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した第2レーザー光L2をコリメーターレンズ34(図1)で平行光にし、この第2レーザー光L2の平行光を回折光学素子20’の下面20bの内周領域のみに入射させている。この後、回折光学素子20’の内周側階段状回折パターン部20c1で回折させた1次回折光により球面収差を補正しながら対物レンズ21の面21aに入射させている。
そして、対物レンズ21で絞った第2レーザービームをDVD2のレーザービーム入射面2aから入射させてディスク基板厚さが0.6mmの信号面2b上に集光している。
この場合、対物レンズ21はBlu−ray Disc用として設計されているので、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した波長λ2が655nmの第2レーザー光L2に対して球面収差が大きくなるものの、回折光学素子20’の内周側階段状回折パターン部20c1により球面収差を補正しているので、DVD2への記録又は再生に支障をきたさない。
本発明に係る実施例1の光ピックアップ装置の全体構成を示した図である。 (a),(b)は本発明に係る実施例1の回折光学素子を説明するための全体図,X部拡大図である。 本発明に係る実施例1の回折光学素子を一部変形させた変形例1を示した図である。 本発明に係る実施例1の回折光学素子を一部変形させた変形例2を示した図である。 実施例1において、回折光学素子の内周側凹凸状回折パターン部を作製する際に用いられる第1の位相関数Φ(h)により求めた内周側位相関数曲線(第1の位相関数曲線)を説明するための図である。 実施例1において、回折光学素子の外周側凹凸状回折パターン部を作製する際に用いられる第2の位相関数Φ’(h)により求めた外周側位相関数曲線(第2の位相関数曲線)を説明するための図である。 図6で得られた外周側位相関数曲線に基づいて回折光学素子の外周側階段状回折パターン部を略1λで階段状に区分けする場合を示した図である。 図6で得られた外周側位相関数曲線に基づいて回折光学素子の外周側階段状回折パターン部を略2λで階段状に区分けする場合を示した図である。 実施例1において、対物レンズ単体の縦収差図である。 実施例1において、光学系全体の縦収差図である。 実施例1において、縦収差の最適設定方法を説明するための図である。 実施例1において、Blu−ray Discでの光路図である。 実施例1において、Blu−ray Discでの縦収差図である。 実施例1において、Blu−ray Discで波長が基準波長から変化した場合の内周側の波面収差図である。 実施例1において、Blu−ray Discで波長が基準波長から変化した場合の内周側及び外周側の波面収差図である。 実施例1において、DVDでの光路図である。 実施例1において、DVDでの縦収差図である。 本発明に係る実施例2の光ピックアップ装置の全体構成を示した図である。 (a),(b)は本発明に係る実施例2の回折光学素子を説明するための全体図,X部拡大図である。 本発明に係る実施例2の回折光学素子を一部変形させた変形例1を示した図である。 本発明に係る実施例2の回折光学素子を一部変形させた変形例2を示した図である。 実施例2において、Blu−ray Discでの光路図である。 実施例2において、DVDでの光路図である。 従来例1の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。 従来例2の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。 従来例3の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。 従来例4の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。 従来例5の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。 従来例6の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。
符号の説明
1…第1光記録媒体(Blu−ray Disc)
1a…レーザービーム入射面、1b…信号面、
2…第2光記録媒体(DVD)、2a…レーザービーム入射面、2b…信号面、
5…光ディスク駆動装置、6…スピンドルモータ、7…ターンテーブル、
10…本発明に係る実施例1の光ピックアップ装置、
10’…本発明に係る実施例2の光ピックアップ装置、
11…第1レーザー光源(青色半導体レーザー)、
12…回折格子(グレーティング)、13…偏光ビームスプリッタ、
14…コリメーターレンズ、
15…球面収差補正手段、
15A…凹レンズ、15B…凸レンズ、15C…アクチュエータ、
16…波長板、
17…色収差補正素子、
17A…凹レンズ、17B…凸レンズ、17C…凹レンズ、
18…第1,第2レーザー光分離手段(ダイクロイックプリズム)、
19…レンズホルダ、
20…本発明に係る実施例1の回折光学素子、
20a1…凹凸の高さが略1λの内周側凹凸状回折パターン部、
20a2…階段の段差高さが略1λの外周側階段状回折パターン部、
2a3…階段の段差高さが略2λの外周側階段状回折パターン部、
20a4…階段の段差高さが非周期構造の外周側階段状回折パターン部、
20b…下面,20b1…第2レーザー光用開口制限部、
20’…本発明に係る実施例2の回折光学素子、
20c1…階段の段差高さが略2λの内周側階段状回折パターン部、
20c2…階段の段差高さが略1λの外周側階段状回折パターン部、
20c3…階段の段差高さが略2λの外周側階段状回折パターン部、
20c4…階段の段差高さが非周期構造の外周側階段状回折パターン部、
21…対物レンズ、
22…フォーカスコイル、23…トラッキングコイル、
24…シリンドリカルレンズ、25…第1光検出器、
30…DVD用集積デバイス、31…第2レーザー光源(赤色半導体レーザー)、
32…第2光検出器、33…ホログラム素子、
L1,L2…第1,第2レーザー光、
λ1,λ2…第1,第2レーザー光の各基準波長、
λ…回折光学素子の設計波長、
d1,d2…第1,第2光記録媒体の基板厚さ。

Claims (4)

  1. 第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体と、前記第1,第2光記録媒体の各信号面を組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを選択的に記録又は再生する光ピックアップ装置において、
    前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光を出射させる第1レーザー光源と、
    前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光を出射させる第2レーザー光源と、
    前記第1レーザー光に対して色収差を補正するための色収差補正素子と、
    前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを分離する第1,第2レーザー光分離手段と、
    前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子と、
    第1光記録媒体用として開口数(NA)が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する各面のうち少なくとも一方の面が非球面に形成されて、前記第1,第2レーザー光を前記第1,第2光記録媒体の各信号面に集光させる対物レンズとを少なくとも備え、
    前記回折光学素子は、前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に凹部に対して凸部の高さを前記設計波長λの略1λ倍に設定した凹凸部が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側凹凸状回折パターン部と、前記内周側凹凸状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体と、前記第1,第2光記録媒体の各信号面を組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを選択的に記録又は再生する光ピックアップ装置において、
    前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光を出射させる第1レーザー光源と、
    前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光を出射させる第2レーザー光源と、
    前記第1レーザー光に対して色収差を補正するための色収差補正素子と、
    前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを分離する第1,第2レーザー光分離手段と、
    前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子と、
    第1光記録媒体用として開口数(NA)が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する各面のうち少なくとも一方の面が非球面に形成されて、前記第1,第2レーザー光を前記第1,第2光記録媒体の各信号面に集光させる対物レンズとを少なくとも備え、
    前記回折光学素子は、前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略2λ倍に設定した複数段の階段を1組としてこの組が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側階段状回折パターン部と、前記内周側階段状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  3. 基板厚さが薄い第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光と、前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体に対応して第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とを用いて、前記第1光記録媒体と前記第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する際に、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子であって、
    前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に凹部に対して凸部の高さを前記設計波長λの略1λ倍に設定した凹凸部が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側凹凸状回折パターン部と、前記内周側凹凸状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする回折光学素子。
  4. 基板厚さが薄い第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光と、前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体に対応して第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とを用いて、前記第1光記録媒体と前記第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する際に、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための回折光学素子であって、
    前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λに設定した際、光軸が通る中心点を中心にして前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差の補正に対応する所定径の内周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略2λ倍に設定した複数段の階段を1組としてこの組が複数繰り返して外周側に向かって半径方向のピッチを徐々に変化させながら輪帯状に形成された内周側階段状回折パターン部と、前記内周側階段状回折パターン部より外側の外周領域内に各段の段差高さを前記設計波長λの略mλ(但し、mは0を含まない自然数)倍に設定するか又は各段ごとにmの値を変化させて設定した複数段の階段が輪帯状に形成されることで前記第1レーザー光に対する色収差の改善を目的とした外周側階段状回折パターン部とを有することを特徴とする回折光学素子。
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