JP4249748B2 - 熱再生脱臭フィルター - Google Patents

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Description

【技術分野】
本発明は、加熱により繰返し使用可能な熱再生脱臭フィルターに関し、更に詳しくは、使用する加熱要素として温度制御が可能なPTCヒーターを使用することにより、目的の触媒活性を効率的に発現することができる加熱要素と一体型の熱再生脱臭フィルターに関する。
【背景技術】
従来、工場などにおける工業的に発生する悪臭や、多量の廃棄物を排出する飲食店やホテルなどのサービス産業における廃棄物に起因した悪臭が問題となっていたが、最近では、自動車内や一般室内などの日常生活空間における悪臭もクローズアップされてきている。
従って、これら悪臭などの有害物質除去に対するニーズが高まっており、脱臭装置や脱臭フィルターなどを組み込んだ空気清浄機の開発が盛んに行なわれている。
一方、地球環境への配慮から廃棄物の減量が望まれており、使用後の脱臭フィルターが廃棄物となることが問題となっており、再生によって脱臭フィルターを繰り返し用いることが求められている。
最近のエアコン等の家電製品の中には使用後のフィルターを水洗いまたは洗剤で洗浄することにより脱臭性を再生させる方式を採用されているものもある(例えば、特開2002−066223号公報,特開2001−070418号公報参照)が、これは使用者が定期的にフィルターを取り出し洗浄作業を行わなければならず、より簡便な再生方法が求められている。
最近の空気清浄機には、活性炭を含有するフィルターが使用されており、活性炭に悪臭などの有害物質を吸着させて除去する方法がとられている。
中でもハニカムのセル内に粒状活性炭を充填し、該ハニカムの両側の開孔面を通気性基材で封鎖してなる脱臭フィルターは、単位容積当たりの活性炭量が大きく、且つ活性炭量の割には通気性が高く、活性炭を用いた脱臭フィルターとして特に優れたものであり、種々の空気清浄機で採用されている。
近年の空気清浄化装置には、活性炭を充填した脱臭フィルターを水で洗浄することにより再生が可能な脱臭フィルターを搭載したものが市販されているが、洗浄作業が困難である上に、一般的に水での洗浄は高温にした熱湯を用いれば再生可能であるが、水道水の様に、低温の水を使用した場合、完全な再生効果が得られず、また洗浄後も粒状の活性炭が簡単には乾燥しない為、より簡便で効果的な再生方法が望まれている。
近年、触媒のハニカム面に網目状の板状ヒーターを密着して設けて、触媒が臭いの吸着と酸化分解が飽和に達し、脱臭能力が落ちてきたときに、200℃〜300℃に加熱再生させる機構を付与した生ゴミ処理機がある。
しかし、一般の空調機器において200℃以上の高温に達する熱源を使用できるケースは極希であることと、触媒を使用した場合、触媒表面が埃、塵等で覆われて物理的に触媒が働かない状態になってしまうと、加熱処理による再生効率が著しく低下してしまう為、連続的な使用には問題がある。(特開平7−136628号公報参照)
他にも、臭気成分の加熱手段が、吸着剤に通電することによって吸着剤を加熱させて脱臭性能の再生を目的とした脱臭装置が報告されているが、脱臭剤が導電性の物質でなくてはならず、導電性を有しない素材は適宜導電性を付与する処理を必要とすることや、吸着剤に通電を行っても、フィルター全体の吸着剤全体に均一に通電し一定の加熱温度に到達させることは事実上困難であることから実用には不向きであった。(特公平7−16579号公報参照)
さらに、空気清浄機の脱臭フィルターとして、炭素繊維で形成した不織布よりなり、当該炭素繊維が空気中の臭気成分と反応して脱臭すると共に、約110℃程度に加熱することにより、吸着した臭気成分が分離して放出することのできる脱臭フィルターを扁平な袋状に成形し、当該袋状の脱臭フィルター内に通気性を有する板状のヒーターを包み込んで一体成形したものが知られているが、再生効率の点で問題があった。(特開10−15332号公報参照)
本発明の課題
(目的)は、大容量の脱臭性能を有する脱臭フィルターに関し、且つ加熱再生処理を行うことによって繰り返し使用することが可能な熱再生脱臭フィルターを提供することである。
【発明の開示】
上記課題を解決する本発明の要旨は、下記の(1)〜(6)にある。
)脱臭フィルターのハニカム基材が2種類以上の導電性シートからなり、導電性シートの少なくとも1種類自己温度制御型のPTCヒーターで構成され、前記ハニカム基材のセル内に粒状脱臭剤が充填されるとともに、該ハニカム基材の両側の開口面が通気性基材で封鎖されていることを特徴とする熱再生脱臭フィルタ ー。
)前記PTCヒーターは、セラミック系PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
)前記PTCヒーターは、有機質PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
)ハニカム基材のセル内に粒状脱臭剤を充填し、該ハニカム基材の両側の開孔面を通気性基材で封鎖してなる脱臭フィルターであって、該ハニカム基材自己温度制御型のPTCヒーターを含むと共に、該通気性基材を導電性材料で構成して、該通気性基材間に電圧を印加してPTCヒーターを加熱することを特徴とする熱再生脱臭フィルタ ー。
)前記PTCヒーターは、セラミック系PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
)前記PTCヒーターは、有機質PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の熱再生脱臭フィルターの構成要素である脱臭フィルターと加熱要素の連結例を示す図であり、図2は本発明の熱再生脱臭フィルターの構成要素である脱臭フィルターと加熱ヒーターの連結例を示す図であり、図3は本発明の熱再生脱臭フィルターの構成要素である脱臭フィルターと加熱要素の連結例を示す図である。
図4は本発明の熱再生脱臭フィルターの全体の構成を示す図であり、図5は本発明におけるコルゲートの構成要素である導電性シートとシート状PTCヒーターの配列例を示す図であり、図6は本発明におけるコルゲートの構成要素である導電性シートとシート状PTCヒーターの配列例を示す図である。
図7は本発明の熱再生脱臭フィルターの全体の構成を示す図であり、図8は有機質PTCヒーターの低温時の状態を示す図であり、図9は有機質PTCヒーターの高温時の状態を示す図である。
図1〜9において、1は加熱要素、2は脱臭フィルター、3は脱臭剤、4は通気性基材、5は導電性シート、6はシート状PTCヒーター、7,8は電圧印加部、9はPTCヒーター、10は通気性基材、11は脱臭剤、12は結晶性高分子重合体、13は導電性微粒子、14は平板状電極である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の熱再生脱臭フィルターの第1の実施の形態について詳細に説明する。本発明の熱再生脱臭フィルターは加熱によって効率良く脱臭及び再生をされるため、脱臭剤が含まれる部分をハニカム構成とする点に特徴があり、該ハニカム基材を構成する熱伝導性材料、脱臭剤、などの構成要素は耐熱性を有することが好ましい。
本発明で用いるハニカム基材とは、開孔を有するセル壁からなる構造体であり、ハニカム基材の具体例として、JIS−Z−1516−1995に記載の「外装用段ボール」に準拠して作製される片段ボールを積層してなるコルゲートハニカム、特開平3−67644号公報または特開平5−338065号公報に開示されている。
この方法で作製される六角形セルからなるヘキサゴンハニカム、正方形セルからなるハニカム、三角形セルからなるハニカム、および中空円筒状セルを集合してなるハニカムなどが挙げられる。
ここで、六角形や正方形などのセル形状は正式な多角形ではなく、角が丸いまたは辺が曲がっているなどした異形であっても良い。本発明に係わるハニカム基材は耐熱性を備えることが好ましく、耐熱性を有する各種熱伝導性材料を用いて、後述する耐熱性を有する接着剤を用いて成形されるハニカム基材を用いることができる。本発明に係わる加熱再生に対応する脱臭剤は加熱により再生が容易な多孔質系吸着剤であることが好ましく、且つ加熱要素(PTCヒーター)の温度に対する耐熱性を有している必要がある。
本発明に係わる加熱再生に対応する脱臭剤に使用できるものは、主に悪臭を除去する目的で用いられる材料であり、具体的には活性炭、特定の臭気成分に対する脱臭性能を強化する目的として、例えばアルデヒド脱臭にはアミン系物質、アンモニア脱臭には有機酸などの薬品を添着させた添着活性炭、活性炭素繊維、竹炭および備長炭などの炭素系吸着脱臭剤、天然および合成ゼオライト(沸石族)、活性アルミナ、酸化鉄等の鉄系化合物および多孔質シリカなどの無機系吸着脱臭剤、また鉄アスコルビン酸、鉄、コバルトまたはマンガン等の金属フタロシアニン誘導体などの酵素系脱臭剤、マンガン系酸化物やペロブスカイト型化合物、白金酸化物、パラジウム酸化物またはパナジウム酸化物などの酸化触媒、炭化珪素、窒化珪素、珪酸カルシウム、酸化アルミニウム及びシリカを複合化させたもの、ジルコニア系などの合成セラミクスや麦飯石、フェルソング石などの遠赤外線セラミクス等の他に、加熱要素の使用温度域が比較的低温の場合には、有機酸系化合物、キチン、キトサンおよびイオン交換樹脂などの有機系吸着脱臭剤、植物抽出成分に含まれる化合物であるカテキン、タンニン、フラボノイド、リモネンおよびピネン等を用いた消臭剤などを使用しても良い。これらの脱臭剤は必要に応じて複数のものを併用しても良く、また、これらの脱臭剤を複合化したハイブリッド脱臭剤として用いても良い。
脱臭剤としてはハイシリカゼオライトが特に好ましい。ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)は通常のゼオライトと同様にアルミノシリケート金属塩の結晶であるが、特に結晶中のアルミナに対するシリカの割合が高いものであり、シリカ構造中の酸素原子が塩基性をほとんど持たず、表面のSi−O−Si結合が水素結合の形成に関与しないため、疎水性を示して水分子を吸着せず、高湿度環境下および高温度環境下においても効率良くアルデヒド類などを吸着することが可能である。
更に、ハイシリカゼオライトは吸着法での除去が一般に困難なアルデヒド類などの低沸点化合物を始めとする広範囲の臭気物質、例えば有機酸、アンモニア、アミン類、ケトン類、硫化水素やメルカプタン類などの含硫黄化合物、インドール類などを吸着できる特長を有する。加えて、水洗再生による除去が困難な疎水性ガスや中性ガスの吸着に優れるため、水洗再生に適した粒状脱臭剤の脱臭性能を補完することが可能であり、総合脱臭を達成できる。
本発明に用いられるハニカム基材には熱伝導性の高い材料としてアルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、炭化チタン、炭化タンタル、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ガラス、グラファイトのいずれか又はこれらの混合物であることが好ましい。上記した酸化物、炭化物、窒化物はいずれも熱伝導率が10W/m・K以上あって都合がよく、この内、特にアルミナ、シリカ、酸化亜鉛、炭化珪素は安価であって好ましい。
これらの熱伝導性の材料をバインダーを用いて伝導性シートとして用いるか若しくはシートの表面処理等によって担持させても良い。熱伝導性の材料を用いることにより、PTCシートの熱をハニカム全体に効率良く伝えることが可能となり、フィルターの熱再生効率の向上につながる。本発明における熱伝導性の材料に接触させる加熱要素には必ずしも絶縁処理は必要ではないが、熱伝導性基材若しくは加熱要素のどちらか一方は絶縁性を有していることが好ましい。
絶縁処理を施す場合には、無機系の酸化物、炭化物、窒化物などからなる材料、または耐熱性の樹脂を表面コーティングするなどして使用することが可能であり、これらの表面コート剤は担持される脱臭剤の性能を失活させない材料を使用することが好ましい。
脱臭剤をハニカム基材に担持する方法として、最も簡便な方法としてはハニカムを形成した後に脱臭剤及びバインダーを分散させた塗液を作製し含浸によりハニカム表面に担持する方法が挙げられる。
他にもハニカム加工する前のシート状の段階で塗工する方法で担持させても良い。
なお、用いるバインダーは使用の度合いにより脱臭性能を低下させる要因にもなる為、担持総質量の60%以下とすることが好ましい。
本発明における、加熱要素の素材には、セラミックヒーター、若しくはタンタル、ニクロム、若しくはタングステンからなる線ヒーターのいずれよりなる発熱体、又はこれら発熱体及び熱伝導体からなることが好ましい。
本発明における加熱要素として、セラミックヒーター、若しくはタンタル、ニクロム、若しくはタングステンからなる線ヒーターのいずれかよりなる発熱体、又は電子レンジ等の電磁波発生体等を有するものを挙げることができる。
中でも、ON/OFFの切り替え、及び温度の制御が容易であり、かつ構造も簡単である点で、表面が絶縁処理されたニクロムからなる線ヒーターをアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる発熱体が好ましく、これらから選ばれた加熱ヒーターの熱が脱臭フィルターに効率良く熱伝導性材料を介して伝熱し、加熱されるものであればよい。
加熱要素の脱臭フィルターへの連結方法については、図1に取付け例を示した通り、空洞の筒状構造をした脱臭フィルターと平行に外枠を形成する形でハニカム基材に密着させる形態をとる。
具体的には、ハニカム基材の外枠のライナーに密着する形か、ライナーの役目を持ちつつコルゲートの中芯部分に接するように設置され、この構造を取る事によって加熱要素(加熱ヒーター)1の熱が脱臭フィルター2へ伝わる形態であればどの様な方法でも構わない。
加熱要素と脱臭フィルターは図1の様に最低1箇所は接触している必要があり、好ましくは図2の様に脱臭フィルターの周囲の複数辺にヒーターを取り付けたり、図3の様に脱臭フィルターの周囲全部を加熱ヒーターで覆ってしまっても構わない。
加熱要素と脱臭フィルターの取付けに接着剤を使用する場合には、加熱要素の到達温度に耐え得る耐熱性接着剤を適宜選択して使用することができる。 但し、ハニカム開口部を塞いでしまうと、熱再生脱臭フィルターの十分な風量がそれによって制限されてしまう為、なるべく開口部を塞がない形で取付けることが好ましい。
好ましく用いられる耐熱性接着剤としては、エチレン−酢ビ共重合体、ポリアミド、ポリエステル、合成ゴム系ホットメルト型接着剤が使用され、更に、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、N,N’−(4、4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドと、4、4’−ジアミノジフェニルメタンとからなる予備縮合物、クマロン−インデン樹脂及びテルペン樹脂又はこれに更にテルペンフェノール樹脂を配合して成る接着剤などがあげられるが、加熱ヒーターの熱に耐えうる状態で使用されていれば特にこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の第2の実施の形態の熱再生脱臭フィルターについて以下に詳細に説明する。
この熱再生脱臭フィルターは、特に加熱要素として温度制御が可能なPTCヒーターを使用することにより、効率良く加熱再生を行うことを目的とした熱再生脱臭フィルターであり、この熱再生脱臭フィルターに使用される熱伝導性基材、脱臭剤、接着剤などの構成要素は耐熱性を有することが好ましい。
本発明の熱再生脱臭フィルターにおける加熱要素に使用されるPTCとは、正式名称Positive Temperature Coefficientの略称であり、チタン酸バリウム(BaTiO3)や酸化バナジウム(V2O3)等を主成分とするセラミック系PTCヒーターや結晶性高分子重合体にカーボンブラックや金属等の導電性粒子を分散してなる有機質PTCヒーター等を用いることができる。
セラミック系PTCヒーターは素子に通電時に電流が流れることにより発熱しキュリー温度まで上昇し、キュリー温度付近で抵抗値が増大し、電流を抑制する機能を有する。
電流が抑制されると、PTCは次第に温度が低下し再度電流が流れ発熱するという機構の繰返しによって、PTCヒーターは設定されたキュリー温度付近に制御される性質を有する。
また、有機質PTCヒーターは、図8に示した様に、結晶性高分子重合体12にカーボンブラックや金属等の導電性粒子13を分散させて成形された構成のPTCヒーター素体表面に平板状の電極14を設けたものであり、温度が低い状態では各電極間に無数の導電経路を有し抵抗が低い状態である。
この時電極に、電圧を印加すると電流が流れ発熱する。
材料に特有の温度(本願では、この温度をセラミック系の場合のキュリー温度に対応して表現する。)まで到達すると図9の様に結晶性重合体の熱膨張によって、導電性粒子の分散状態が偏在し、導電経路が遮断されて抵抗値が増大し、電流制御と同時に温度制御が可能となる。
この特有の温度は結晶性高分子重合体と導電性粒子との配合比率によって自在に温度設定が可能である。
セラミックス系PTCヒーターに比べ、室温での比抵抗が低く、大電流を流す用途に好適であり、小型化が可能であり、さらに自己制御型ヒーターや温度検出機能、過電流保護機能を兼ね備えており有利に用いられることができる。
有機質PTCヒーターに使用できる重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、t−4−ポリブタジエン、ポリエチレンアクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカプロラクタム、フッ素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアルキレンオキシド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、フッ素系樹脂などが挙げられ、これらの少なくとも1種を用いればよい。具体的には、電極の形成法や、要求されるPTCヒーターの特性などに応じて適宜選択すればよい。
重合体の好ましい具体例としては、ポリエチレン、ナイロン12またはポリエチレンオキシド(PEO)が挙げられる。このうち、60〜70℃程度の比較的低温度のキュリー温度が対象となるときにはポリエチレンオキシド、または高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンにワックスを混合したものが好ましく、特に、キュリー温度を下げられるという目的では混合ポリエチレンにワックスを混合したもの、あるいはポリエチレンオキシドが好ましい。
有機質PTCヒーターに使用される導電性粒子としては、金属粒子として、Ni、Ti、Cu、Ag、Pd、Au、Pt等、金属コーティング粒子としては、カーボンブラック、Al2O3、TiO2等の粒子にAgめっき層を形成したもの、BaTiO3等の粒子にPdめっき層を形成したもの等が挙げられる。
カーボンブラックを導電性フィラーとする有機質PTCヒーターは、過電流保護素子として大量に使用されている。現在、実際に使用されているもので異型金属粒子をフィラーに用いた有機質PTCヒーターは1mル以下にすることが可能である(特開平5−47503)。
この異型金属粒子をフィラーとしたPTCヒーターはきわめて小さな抵抗値を有し、動作温度80℃において6桁以上の大きな抵抗変化率を示す特徴がある。抵抗変化率の大きな材料を使用すると、PTC素子の制御温度幅を小さくする事ができ、精度の高い温度制御が可能になる事から実用面でも高い信頼性が期待されている。
PTCヒーターのキュリー温度は使用する用途に応じて自在に設計可能であるが、本発明に用いられるPTCヒーターのキュリー温度は60℃〜180℃であることが好ましい。
何故なら、熱再生脱臭フィルターに使用される脱臭剤には、多孔質のゼオライトや活性炭などが好ましいが、これらの素材が完全に再生する為には、約100℃〜150℃程度の温度があれば十分再生できることと、空気清浄化装置には100℃以上に高温になる熱源を搭載できないケースが多く実用的な温度である100℃以下で制御する場合も多い。
100℃以下の温度で制御する場合、再生率は100%にならないことがあるが、加熱温度として、60℃程度の温度が加わると半分以上の脱臭性能の回復が期待できる事が多い。
本発明の熱再生脱臭フィルターに用いられる脱臭剤は本発明で使用するPTCヒーターの加熱温度で再生する特性を有していることが好ましい。
脱臭剤においても、脱臭剤の再生温度とPTCヒーターのキュリー温度が近いものを使用することが好ましいが、脱臭フィルターの設計方針に合わせて、再生温度以下のキュリー温度を持つPTCヒーターを取付けても良い。
好ましくは、活性炭やハイシリカゼオライトなどは、120℃で1時間程度の加熱処理を行うことによって、初期の脱臭性能に戻すことが可能である。
本発明における熱再生脱臭フィルターに用いられるPTCヒーターの熱は脱臭フィルターに効率良く伝えられるように取り付けられており、脱臭フィルター全体へ熱伝導性材料を介して加熱されるものであればPTCヒーターの位置や形状などは制限されるものではない。
また、本発明の第3の実施の形態の熱再生脱臭フィルターについて以下に詳細に説明する。
この熱再生脱臭フィルターは加熱要素であるPTCヒーターによって再生されるものであるため、該熱再生脱臭フィルターを構成しているPTCシート、導電性シート、脱臭剤、接着剤などの構成要素は耐熱性を有することが好ましい。
この実施の形態で熱再生脱臭フィルターに使用されるハニカム構造体は、例えば、ライナー上に中芯を接合した片段ボールを順次接着剤で積層させてコルゲートブロックを作製し、コルゲートブロックのライナー面に対して垂直に、あるいは一定の角度で斜めに切断してコルゲートハニカムの脱臭フィルターとしてもよい。
また、展張時に四角形あるいは六角形となるハニカムフィルターに関しては、構成するシートに一定の巾で複数本の線状に糊付けし、その上に別の構成シートを重ね合わせ、ピッチをずらせて一定の巾で複数本の線状に糊付けしさらに別の構成シートを重ね合わせるという工程でハニカムブロックを作成し、糊ラインに直交する形、あるいは一定の角度を保って断裁し、展張すればハニカムフィルターが得られる。
即ち、この第3の実施の形態の熱再生脱臭フィルターは、ハニカム基材が2種類以上の導電性シートからなり、導電性シートの少なくとも1種類が通電時に自己温度制御型のPTCヒーターで、他がそれ以外の導電性シートで構成され、このハニカム基材のセル内に脱臭剤が充填されるとともに、該ハニカム基材の両側の開口面が通気性基材で封鎖されることによって構成される。ハニカム基材がコルゲートの場合は、中芯部に導電性シート、ライナー部にPTCシートの組合せ若しくは、中芯部にPTCシート、ライナー部に導電性シートの組合せのいずれかの構成となり、導電性シートの間にPTCシートが存在する構造体となる。
この構造体の両端に電圧を印加して電流を流すことにより、PTCシートをキュリー温度まで発熱させることができる。
また、シート状のPTCシートの両面に各々導電性の電極シートで挟み込まれた状態で構成されていても良く、この電極シートに電流を流すことにより、PTCシートの厚さ方向に電流が流れるのでPTCシートが短時間で均一に発熱する。
また、PTCシートを効率良く発熱させる為に、PTCシートの両側に位置する導電性基材は各々独立している必要があり、各々が短絡している場合、電気抵抗の高いPTCヒーター部には電流が流れず発熱しなくなる。
従って、ハニカム基材の開口面に粒状の活性炭を封鎖する為の通気性シートを取り付ける場合には、電気的に絶縁された状態になるよう設計する必要がある。
本発明のハニカム基材を構成している、PTCヒーター及び導電性シートは耐熱性を備えていることが好ましく、後述する耐熱性を有する接着剤を用いて成形されるハニカム基材を用いることができる。本発明のハニカム基材に使用される導電性シートには、銅、アルミニウム、鉛、ニッケル、クロム、チタン、金、白金、酸化鉄、グラファイト等であり、特にアルミニウムが好ましい。
金属シートを使用する場合には、厚さ50〜500・高フシートを使用するが、これらの導電性シートに吸着剤や触媒等を担持し、更に脱臭性能を向上させて使用しても良い。
本発明に使用される導電性シートは同時に熱伝導性を有していることが好ましく、熱伝導性の材料にはアルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、炭化チタン、炭化タンタル、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ガラス、グラファイトのいずれか又はこれらの混合物であることが好ましい。上記した酸化物、炭化物、窒化物はいずれも熱伝導率が10W/m・K以上あって都合がよく、この内、特にアルミナ、シリカ、酸化亜鉛、炭化珪素は安価であって好ましい。
これらの熱伝導性の材料をバインダーを用いて伝導性シートとして用いるか若しくはシートの表面処理等によって担持させても良い。
熱伝導性の材料を用いることにより、PTCシートの熱をハニカム全体に効率良く伝えることが可能となり、フィルターの熱再生効率の向上につながる。
本発明に係わる粒状脱臭剤は、粒状の脱臭剤であり、粒の大きさは封鎖に用いる通気性基材の目から剥落しない程度に大きく、且つハニカムのセル内に収まる大きさであれば良い。
本発明に係わる粒状脱臭剤の形状は特に制限されるものではなく、球状、四面体状、六面体状、八面体状、円柱状、多角形柱状、棒状、板状などが挙げられる。
中でも、中空柱状または管状、あるいは星型や歯車型のような凹多角形柱状などの形状は、粒状脱臭剤の表面積が増すため脱臭性に有利であり、また、ハニカム基材のセル内において空気の流路が確保できるため通気性に有利である。
本発明に係わる粒状脱臭剤を作製する方法として、粉体状の脱臭剤を、押し出し造粒機、攪拌造粒機、流動造粒機、転動造粒機、圧縮造粒機、または打錠機などをの各種造粒機を用いて粒状に成形する方法、および塊状の脱臭剤をボールミル、振動ミル、ロールミル、遠心ミル、またはジェットミルなどの乾式または湿式の各種粉砕機を用いて粒状に粉砕する方法が挙げられ、得られた粒状脱臭剤は篩い式またはサイクロン式などの各種分級法を用いて所望の粒径に調整することができる。
本発明に係わる脱臭剤は、PTCシートのキュリー温度に対する耐熱性を有しており、且つPTCシートの熱によって熱再生脱臭フィルターの脱臭力が再生可能な脱臭剤であることが好ましい。
このような脱臭剤として使用できるものは、主に悪臭を除去する目的で用いられる材料であり、具体的には活性炭、添着活性炭、活性炭素繊維、竹炭および備長炭などの炭素系吸着脱臭剤、天然および合成ゼオライト(沸石族)、活性アルミナ、酸化鉄等の鉄系化合物および多孔質シリカなどの無機系吸着脱臭剤、有機酸系化合物、キチン、キトサンおよびイオン交換樹脂などの有機系吸着脱臭剤、鉄アスコルビン酸や鉄、コバルトまたはマンガン等の金属フタロシアニン誘導体などの酵素系脱臭剤、マンガン系酸化物やペロブスカイト型化合物、白金酸化物、パラジウム酸化物またはバナジウム酸化物などの酸化触媒、炭化珪素、窒化珪素、珪酸カルシウム、アルミナ・シリカ系、ジルコニア系などの合成セラミクスや麦飯石、フェルソング石などの遠赤外線セラミクス、植物抽出成分に含まれる化合物であるカテキン、タンニン、フラボノイド、リモネンおよびピネン等を用いた消臭剤などが挙げられる。
これらの脱臭剤は必要に応じて複数のものを併用しても良く、また、これらの脱臭剤を複合化したハイブリッド脱臭剤として用いても良い。
その際は、耐熱性バインダーで造粒して用いることが好ましい。
本発明に係わる粒状脱臭剤の封鎖は、粒状脱臭剤を充填したハニカムの両側の開口面を通気性基材で挟んでなされるものであり、粒状脱臭剤の脱落の防止を主たる目的とする。
封鎖の具体的な方法として、ハニカム基材のセル壁の端面に通気性基材を接着する方法や枠付け加工においてハニカム基材と通気性基材を固定する方法などが挙げられる。
本発明に係わる通気性基材として、織布、乾式不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、エアレイドパルプ、湿式不織布、各種の紙、ネット、ハニカム、フォーム、スポンジ及びフェルト等の他、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエステルフィルムの様な汎用の樹脂フィルムや薄板等に多数の穴を空けたシート、並びに金属ネット等が挙げられる。
ただし、金属ネットを使用する場合は、ハニカム部と電気的に絶縁関係になるように配置されなくてはならない。
本発明に係わる通気性基材は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて脱臭、除塵、抗菌、防虫、害虫忌避などの機能を備えても良い。
PTCヒーターの脱臭フィルターへ配置方法としては、説明図に詳細を示した通り、図5の様に中芯部に導電性シート(5)、ライナー部にシート状PTCヒーター(6)、若しくは図6の様に中芯部にシート状PTCヒーター(6)、ライナー部に導電性シート(5)の様に規則正しく配列されており、両端のライナー部(7,8)の内、一方から他方へと電流が流れる様に電圧印加出来る構成にする必要がある。
特に図5に示した様に、ライナー部にシート状PTCヒーターを配置した場合は、電圧印加端子とPTCが直接接触する状態になる為、両端のライナー部(7,8)は導電性シートを使用することが好ましい。
PTCヒーターの配列において接着剤を使用する場合には、加熱要素の到達温度に耐え得る耐熱性バインダーを適宜選択して使用することができる。
また、本発明の第4実施の形態の熱再生脱臭フィルターについて以下に詳細に説明する。
本発明の熱再生脱臭フィルターの構成を図7に示した。本発明の熱再生脱臭フィルターは、PTCヒーター9を含むハニカム基材のセル内に粒状脱臭剤11が充填され、粒状脱臭剤が散逸しないよう導電性を有する通気性基材10でハニカム基材の両方の開口面が封鎖された構造を有する。そしてこの開口部両側の通気性基材10から通電されることによりPTCヒーターが発熱して封鎖された粒状脱臭剤11が熱により再生されるものである。
その場合、PTC以外のハニカム基材の構成材料は絶縁物でなくてはならない。なぜなら、PTC以外に導電性の材料が用いられた場合、PTCに通電されず加熱できなくなるためである。
従って、該熱再生脱臭フィルターを構成しているPTCヒーター、導電性を備えた通気性基材、脱臭剤及び必要に応じて用いられる接着剤などの構成要素はPTCヒーターのキュリー温度に対する耐熱性を有することが好ましい。
即ち、本発明の熱再生脱臭フィルターは、ハニカム基材がPTCヒーターを一部含んで構成されており、該PTCヒーターは、脱臭剤をハニカム内部に封鎖するために使用される導電性の通気性基材と通電し、該通気性基材に電圧を印加してハニカム基材を発熱させることにより、封鎖された脱臭剤の脱臭性能が再生される特徴を有している。
PTC以外の材料をハニカム基材の構成材料に用いるときは、絶縁性材料を使用する。
封鎖に使用される通気性基材とハニカム基材は密着した状態で連結されていることが好ましく、好ましくは通気性基材とハニカム基材の間に多くの接点を有していることが好ましい。
多くの接点を有することにより、加熱効率を上げることができるからであり、接点が少ない場合、抵抗値の低い経路のみを電流が流れることになり、ハニカム基材全体を加熱するためにより多くの時間、および電力を消耗することになるからである。
また、ハニカム基材の両面に設置した通気性基材は互いに独立した状態で、ハニカム基材を介して設置されており、両通気性基材が互いに接触し、短絡されている場合、PTCヒーターを通らない低い電気抵抗の経路ができてしまいPTCヒーターが発熱しない状態となるため好ましくないことは言うまでもない。
本発明に係わるハニカム基材を構成しているPTCヒーターは耐熱性を備えていることが好ましく、後述する耐熱性を有する接着剤をハニカム基材の成形に使用したり、導電性を備えた通気性基材とハニカムとの接着に用いることができる。
調製例1
熱伝導性を備えたアルミニウムシートを用いてセルサイズ10mm、外形寸法100mmラ200mmラ10mmの六角形ハニカムを作製し、これをハイシリカゼオライト80質量%と耐熱性を備えたエチレン酢ビ共重合体バインダー20質量%の割合で両者合計の固形分濃度が30質量%となる様分散させた塗液に浸漬させて調製例1の脱臭フィルターとした。なお、調製例1の脱臭フィルターにはハイシリカゼオライトが質量10gが担持されていた。
調製例2
熱伝導性を備えたアルミニウムシートを用いてピッチ10mm,段高さ9mm、外形寸法100mmラ200mmラ10mmのコルゲートハニカムを作製し、これにヤシ殻活性炭80質量%と耐熱性を備えたエチレン酢ビ共重合体バインダー20質量%の割合で両者合計の固形分濃度が30質量%となる様分散させた塗液を含浸させて調製例2の脱臭フィルターとした。なお、調製例2の脱臭フィルターにはヤシ殻活性炭が質量10gが担持されていた。
調製例3
調製例1の熱伝導性を備えたアルミニウムシートに代えて、ポエステル繊維及びアクリル繊維を主体繊維とした坪量100g/m2の熱伝導性の低い不織布シートとする以外はすべて調製例1の方法で作製し、これを調製例3の脱臭フィルターとした。
調製例4
調製例2の熱伝導性を備えたアルミニウムシートに代えて、ポエステル繊維及びアクリル繊維を主体繊維とした坪量100g/m2の熱伝導性の低い不織布シートとする以外はすべて調製例2の方法で作製し、これを調製例4の脱臭フィルターとした。
調製例5
中芯部分に厚み0.2mmのアルミニウムシート、ライナー部分に厚み0.2mm、キュリー温度が100℃のPTCシートからなり、寸法200mmラ100mmラ10mm、ピッチ10mm、高さ8.5mmとしてコルゲートを作製し調製例5のハニカム基材とした。
調製例6
ライナー部分に厚み0.2mmのアルミニウムシート、中芯部分に厚み0.2mm、キュリー温度が100℃のPTCシートからなり、寸法200mmラ100mmラ10mm、ピッチ10mm、高さ8.5mmとしてコルゲートを作製し、調製例6のハニカム基材とした。
調製例7
ハニカム基材として、厚み0.2mm、キュリー温度が100℃のシート状のPTCヒーターを用いて、ピッチ12mm、高さ10mm、寸法200mmラ100mmラ10mmのハニカムを作製し調製例7のハニカム基材とした。
調製例8
ハニカム基材として、厚み0.2mmの絶縁性の湿式不織布シートにチタン酸バリウムを含有するPTC素材を均一に担持させたキュリー温度が100℃のシート状PTCヒーターを用いて、寸法200mmラ100mmラ10mm、ピッチ12mm、高さ10mmとしてハニカムを作製し、調製例8のハニカム基材とした。
【実施例1】
調製例1の脱臭フィルター外周に表面が絶縁処理されたニクロムからなる線ヒーターをアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる加熱ヒーターを耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結し実施例1の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例2】
調製例2の脱臭フィルター外周に表面が絶縁処理されたニクロムからなる線ヒーターをアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる加熱ヒーターを耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結し実施例2の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例3】
調製例2の脱臭フィルター外周における長辺部分のうち1辺のみに、ニクロムからなる線ヒーターをアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる加熱ヒーターを耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結し実施例3の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例4】
調製例1の脱臭フィルター外周にキュリー温度が100℃のPTCヒーターを耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結させて実施例4の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例5】
調製例2の脱臭フィルター外周にキュリー温度が100℃のPTCヒーターを耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結させて実施例5の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例6】
調製例5のハニカム基材に粒状ハイシリカゼオライトを50g封入し、ハニカム基材の両方の開口面を通気性基材として耐熱性樹脂をコーティングして不導化したステンレスネットで封鎖して脱臭フィルターを作製し、ハニカム基材の両端のライナー部分に電圧印加用の端子を取り付けたアルミ版を取り付けて実施例6の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例7】
調製例6のハニカム基材に粒状ハイシリカゼオライトを50g封入し、ハニカム基材の両方の開口面を通気性基材として耐熱性樹脂をコーティングして不導化したステンレスネットで封鎖して脱臭フィルターを作製し、ハニカム基材の両端のライナー部分に電圧印加用の端子を取り付けたアルミ版を取り付けて実施例7の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例8】
調製例7のハニカム基材に粒状ハイシリカゼオライトを50g封鎖し、ハニカム基材の両方の開口面を通気性の導電性のステンレスネットで封鎖して脱臭フィルターを作製し、両端の通気性基材に電圧印加用の端子を取り付けて実施例8の熱再生脱臭フィルターとした。
【実施例9】
調製例8のハニカム基材に粒状活性炭を50g封鎖し、ハニカム基材の両方の開口面を通気性のアルミニウムネットで封鎖して脱臭フィルターを作製し、両端のアルミニウムネットに電圧印加用の端子を取り付けて実施例9の熱再生脱臭フィルターとした。
比較例1
調製例3の脱臭フィルター外周にニクロムからなる加熱ヒーターを絶縁されたアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる加熱要素を耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結し比較例1の再生脱臭フィルターとした。
比較例2
調製例4の脱臭フィルター外周における長辺部分のうち1辺のみに、ニクロムからなる加熱要素を絶縁されたアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる加熱ヒーターを耐熱性を有するエチレン−酢ビ共重合体接着剤によって連結し比較例2の再生脱臭フィルターとした。
比較例3
調製例1の脱臭フィルター外周に10mmの間隔を空け、ニクロムからなる加熱ヒーターを絶縁されたアルミ板にて挟んだパネルヒーターからなる加熱要素を設置して比較例3の再生脱臭フィルターとした。
比較例4
調製例5のハニカム基材のセル内に粒状ハイシリカゼオライトを50g充填し、コルゲートの一方の開孔面を通気性基材としてウレタンフォオーム、およびハニカム基材の他方の開孔面を通気性基材としてスパンボンド不織布で封鎖して脱臭フィルターを作製し、これを比較例4の水洗再生脱臭フィルターとした。
比較例5
調製例5のハニカム基材のセル内に粒状ハイシリカゼオライトを50g充填し、ハニカム基材の両方の開孔面を通気性基材としてスパンボンド不織布で封鎖して脱臭フィルターを作製し、これを比較例5の水洗再生脱臭フィルターとした。
比較例6
調製例7のハニカム基材のセル内に粒状ハイシリカゼオライトを50g充填し、ハニカムの一方の開孔面を通気性基材としてウレタンフォオーム、およびハニカムの他方の開孔面を通気性基材としてスパンボンド不織布で封鎖して脱臭フィルターを作製し、これを比較例6の水洗再生脱臭フィルターとした。
比較例7
調製例7のハニカム基材のセル内に粒状ハイシリカゼオライトを50g充填し、ハニカムの両方の開孔面を通気性基材としてスパンボンド不織布で封鎖して脱臭フィルターを作製し、これを比較例7の水洗再生脱臭フィルターとした。
比較例8
絶縁性を有する不織布製のハニカム基材のセル内に導電性を有する吸着剤として粒状の活性炭を50g充填しハニカム基材の両方の開口面を通気性で且つ導電性を有するステンレスネットで封鎖し、ステンレスネットに通電させてPTCを発熱させる構造を有する比較例8の脱臭フィルターとした。次に、本発明の第1の実施の形態の優位性を示す評価方法および評価結果を示し、具体的な発明の効果について記述する。
[アセトアルデヒド脱臭性能試験]
実施例1〜3および比較例1〜3の熱再生脱臭フィルターを試験用空気清浄機に搭載し、1立米の密閉容器内で運転しながらアセトアルデヒド標準ガスを徐々に注入し、ガス検知管を用いて検出される密閉容器内のアセトアルデヒド濃度が20ppmになるまでに注入したアセトアルデヒドの容量W(ml)を求めた。
次いで、実施例および比較例の熱再生脱臭フィルターを後述の方法で再生処理した後に、上記と同様の方法で再度脱臭試験を行い、注入したアセトアルデヒドの容量X(ml)を求めた。
再生後のアセトアルデヒドガス注入容量を最初のアセトアルデヒドガス注入容量で除した値(X/W)を求め、熱性再生効率(%)とした。
[再生処理]
アセトアルデヒドの容量W(ml)を求めた後、加熱ヒーターをONにして15分間加熱処理を行った。15分後の加熱ヒーター部の温度は230℃であった。
上記の方法により試験を行い、その性能を評価した結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004249748
表1の結果より、本発明の熱再生脱臭フィルターは脱臭フィルターに接触した加熱要素の熱を効率良く伝えることが出来る為、高い熱再生効率が得られていることが分かる。
一方、比較例に示した熱再生脱臭フィルターは熱伝導性の低い不織布を使用する、または加熱要素が脱臭フィルターと接触していない為、加熱要素の熱を効率良く伝えることが出来ず、殆ど再生していないことが分かる。
特に比較例2の熱再生脱臭フィルターの様に活性炭を使用したフィルターは再生に100℃以上の熱を必要とし、低温度では殆ど再生しない性質があるが実施例2の熱再生脱臭フィルターの様に、熱伝導性の基材を用いることでこの欠点を解消することが出来る。
更に、本発明の熱再生脱臭フィルターは、熱再生により脱臭剤に取りこまれた臭気が完全に取り除かれるので、初期の脱臭性能よりも高い脱臭効率が得られていることが分かる。
これは、作製直後の脱臭フィルターはバインダー等から発生する微量の有機化合物や、空気中の含まれる臭気を一部取りこんでいる為、少し性能劣化した状態にあることを意味している。
本発明によれば、大きな脱臭容量を有し、且つ使用後には連結された加熱要素の熱を熱伝導性の脱臭フィルターに効率良く伝えることにより繰り返し脱臭に用いることが可能な熱再生脱臭フィルターが得られる。
次に、本発明の第2の実施の形態の優位性を示す評価方法および評価結果を示し、具体的な発明の効果について記述する。
[アセトアルデヒド脱臭性能試験]
実施例1・2・4・5脱臭フィルターを試験用空気清浄機に搭載し、1立米の密閉容器内で運転しながらアセトアルデヒド標準ガスを徐々に注入し、ガス検知管を用いて検出される密閉容器内のアセトアルデヒド濃度が20ppmになるまでに注入したアセトアルデヒドの容量W(ml)を求めた。
次いで、各検体を後述の方法で再生処理した後に、上記と同様の方法で再度脱臭試験を行い、注入したアセトアルデヒドの容量X(ml)を求めた。
再生後のアセトアルデヒドガス注入容量を最初のアセトアルデヒドガス注入容量で除した値(X/W)を求め、熱性再生効率(%)とした。
[再生処理A]
アセトアルデヒドの容量W(ml)を求めた後、加熱ヒーターをONにして15分間加熱処理を行った。
[再生処理B]
アセトアルデヒドの容量W(ml)を求めた後、加熱ヒーターをONにして120分間加熱処理を行った。
[形状試験]
再生処理Bにて加熱再生処理を行った検体について、以下の基準に基づいて形状変化を目視判定により評価した。
[評価レベル]
◎:試験前と全く変化なし。
○:若干の変形が見られる。
△:形状の変形及び接着部に剥がれが見られる。
×:構造が維持できない。
上記の方法により試験を行い、その性能を評価した結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0004249748
表2の結果より、本発明の熱再生脱臭フィルターは接触した加熱要素の熱が効率良く脱臭フィルターに伝わり再生に寄与する為、再生処理Aにおいては、実施例1・2・4・5ともに高い脱臭効率が得られた。
しかし、熱再生効率Bは実施例1・2の脱臭フィルターが低い値となった。これは、120分間の長時間の再生処理を行った為、接着剤部分が炭化しガス化する為、これらの燃焼ガスをフィルター自身が吸着してしまい脱臭効率を低下させているものと考えられる。
これに対し、第2の実施の形態の実施例4・5の熱再生脱臭フィルターはキュリー温度の100℃で一定温度を保つのでその様な影響は見られない。この傾向は形状試験の結果を見ると顕著であり、ニクロム線ヒーターの様に温度制御を行う機能の無い状態で長時間加熱すると温度が加熱時間に比例して上昇してしまう為、過大な温度が脱臭フィルターに伝わってしまう為、ハニカム基材に使用した接着剤及び、ヒーターと脱臭フィルターの間の取付け部に使用した接着剤等が炭化してもろくなり、段剥がれ、ヒーターの脱落等が見られた。
ニクロム線ヒーターを使用した実施例1・2の検体は120分後のヒーター部の温度が300℃近い高温に達していた。
通常吸着剤の脱臭性能を完全に再生させる為には100℃〜150℃程度の熱が必要であるが、過度の高温状態となると、吸着剤表面の状態が改質され目的とした脱臭性能を低下させてしまうことや、併用するバインダー等が熱分解して性能を低下させる分解ガスを発生させたり、フィルター自身が燃焼・炭化してしまう等の危険性があり好ましくない。
各種空調機器に内蔵させる素子としてニクロム線ヒーターの様に、高い温度まで上昇し、制御が難しい実施例1・2の様な検体はフィルターの安全な使用という面からも適当ではない。
第2の実施の形態の熱再生脱臭フィルターを使用すれば何回でも繰返し使用が可能であり、長時間に亘る加熱においても燃焼・発火等の恐れが無く安全に使用することが可能である。
本発明によれば、大きな脱臭容量を有し、且つ使用後には連結されたPTCヒーターが一定温度に制御するため、安全に且つ長期間繰返し脱臭に用いることが可能な熱再生脱臭フィルターが得られる。次に、本発明の第3の実施の形態の優位性を示す評価方法および評価結果を示し、具体的な発明の効果について記述する。
[アンモニア脱臭性能試験]
実施例6・7および比較例4・5の脱臭フィルターを試験用空気清浄機に搭載し、1立米の密閉容器内で運転しながらアンモニア標準ガスを徐々に注入し、アンモニアガスセンサーを用いて検出される密閉容器内のアンモニア濃度が20ppmになるまでに注入したアンモニアガスの容量W(ml)を求めた。
次いで、実施例および比較例の脱臭フィルターを後述の方法で再生処理した後に、上記と同様の方法で再度脱臭試験を行い、注入したアンモニアガスの容量X(ml)を求めた。
再生後のアンモニアガス注入容量を最初のアンモニアガス注入容量で除した値(X/W)を求め、アンモニア脱臭性再生率(%)とした。
[アルデヒド脱臭性能試験]
実施例6・7および比較例4・5の脱臭フィルターを試験用空気清浄機に搭載し、1立米の密閉容器内で運転しながらアセトアルデヒド標準ガスを徐々に注入し、VOCセンサーを用いて検出される密閉容器内のアセトアルデヒド濃度が5ppmになるまでに注入したアセトアルデヒドガスの容量Y(ml)を求めた。
次いで、実施例6・7および比較例4・5の脱臭フィルターを後述の方法で再生処理した後に、上記と同様の方法で再度脱臭試験を行い、注入したアセトアルデヒドガスの容量Z(ml)を求めた。
再生後のアセトアルデヒドガス注入容量を最初のアセトアルデヒドガス注入容量で除した値(Z/Y)を求め、アルデヒド脱臭性再生率(%)とした。
[再生処理](加熱再生)
実施例6・7の検体については、アンモニア脱臭性能試験及びアルデヒド脱臭性能試験において試験終了後、それぞれのハニカムの端部に取付けた端子に電圧を印加しPTCシートを発熱させて180分間過熱して再生処理をおこなった。
再生処理後は、そのまま室内に放置し、常温まで低下させた。
[再生処理](水洗再生)
比較例4・5の検体については、アンモニア脱臭性能試験またはアルデヒド脱臭性能試験において、1回目の測定に用いた実施例および比較例の脱臭フィルターを、個別に市販の家庭用中性洗剤(商品名「ママレモン」、ライオン(株)製)を使用量の目安の更に10倍に希釈した水溶液に1時間浸漬し、次いで流水を注入しながら1時間浸漬して充分に濯ぎ、良く水を切って天日干しを8時間行い再生処理を行い、脱臭性を再生させる処理を行った。
[形状試験]
再生処理を10回繰返して行った検体について、以下の基準に基づいて形状変化を目視判定により評価した。
[評価レベル]
◎:試験前と全く変化なし。
○:若干の変形が見られる。
△:形状の変形及び接着部に剥がれが見られる。
×:構造が維持できない。
上記の方法により試験を行い、その性能を評価した結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0004249748
表3の結果より、第3の実施の形態の実用例である実施例6・7の熱再生脱臭フィルターを使用するとアルデヒド、アンモニアともに100%近い再生効率が得られる事が分かる。
これに対し、比較例4・5の水洗再生脱臭フィルターを使用すると、半分程度しか脱臭性能は再生しておらず、再生率が低くなっている事が分かる。
これは、水道水の様な低温の水を用いても十分に再生ができないこと、封入タイプの脱臭フィルターは通気性に乏しい為、乾燥が困難である為、十分に水分を排除することが難しいこと等が挙げられる。
また、形状試験の結果から、比較例4・5の水洗再生フィルターは形状の保持が困難であることが伺える。
これは、支持体に対して水洗時の水が大きな負荷となり形状の歪み等を生じさせたものである。
この様に、水洗再生タイプの脱臭フィルターは、手間の掛かる洗浄作業を必要とする割に、再生効率も低いが、実施例6・7の検体はいずれも、フィルターの取り出し等の作業を必要とせず、電圧を印加するのみで脱臭性能を再生させることが可能である。
本発明によれば、大きな脱臭容量を有し、且つ使用後に、中芯若しくはライナー部に配置されたPTCヒーターを加熱することによって、封鎖された脱臭剤の脱臭性能が再生し、何回でも繰返し効率良く脱臭可能な熱再生脱臭フィルターを提供することが可能である。
次に、本発明の第4の実施の形態の優位性を示す評価方法および評価結果を示し、具体的な発明の効果について記述する。
[アンモニア脱臭性能試験]
実施例8・9および比較例6・7・8の脱臭フィルターを試験用空気清浄機に搭載し、1立米の密閉容器内で運転しながらアンモニア標準ガスを徐々に注入し、アンモニアガスセンサーを用いて検出される密閉容器内のアンモニア濃度が20ppmになるまでに注入したアンモニアガスの容量W(ml)を求めた。
次いで、実施例および比較例の脱臭フィルターを後述の方法で再生処理した後に、上記と同様の方法で再度脱臭試験を行い、注入したアンモニアガスの容量X(ml)を求めた。
再生後のアンモニアガス注入容量を最初のアンモニアガス注入容量で除した値(X/W)を求め、アンモニア脱臭性再生率(%)とした。
[アルデヒド脱臭性能試験]
実施例8・9および比較例6・7・8の脱臭フィルターを試験用空気清浄機に搭載し、1立米の密閉容器内で運転しながらアセトアルデヒド標準ガスを徐々に注入し、VOCセンサーを用いて検出される密閉容器内のアセトアルデヒド濃度が5ppmになるまでに注入したアセトアルデヒドガスの容量Y(ml)を求めた。
次いで、実施例8・9および比較例6・7・8の脱臭フィルターを後述の方法で再生処理した後に、上記と同様の方法で再度脱臭試験を行い、注入したアセトアルデヒドガスの容量Z(ml)を求めた。
再生後のアセトアルデヒドガス注入容量を最初のアセトアルデヒドガス注入容量で除した値(Z/Y)を求め、アルデヒド脱臭性再生率(%)とした。
[再生処理](通電加熱再生)
実施例8・9および比較例8の検体については、アンモニア脱臭性能試験およびアルデヒド脱臭性能試験において試験終了後、それぞれのハニカムの端部に取り付けた端子に電圧を印加しPTCシートまたは吸着剤に通電させて180分間、再生処理を行った。
再生処理後は、そのまま室内に放置し、発熱した検体は常温まで低下させた。
[再生処理](水洗再生)
比較例6・7の検体については、アンモニア脱臭性能試験またはアルデヒド脱臭性能試験において、1回目の測定に用いた実施例および比較例の脱臭フィルターを、個別に市販の家庭用中性洗剤(商品名「ママレモン」、ライオン(株)製)を使用量の目安の更に10倍に希釈した水溶液に1時間浸漬し、次いで流水を注入しながら1時間浸漬して十分に濯ぎ、良く水を切って天日干しを8時間行い再生処理を行い、脱臭性を再生させる処理を行った。
[形状試験]
再生処理を10回繰返して行った検体について、以下の基準に基づいて形状変化を目視判定により評価した。
[評価レベル]
◎:試験前と全く変化なし。
○:若干の変形が見られる。
△:形状の変形および接着部に剥がれが見られる。
×:構造が維持できない。
上記の方法により試験を行い、その性能を評価した結果を表4に示す。
【表4】
Figure 0004249748
表4の結果より、第4の実施の形態の熱再生脱臭フィルターの実施例8・9を使用するとアルデヒド、アンモニア共に100%近い再生効率が得られることが分かる。
これに対し、比較例6・7・8の水洗再生脱臭フィルターを使用すると、半分程度しか脱臭性能は再生しておらず、再生率が低くなっていることが分かる。
これは、水道水の様な低温の水を用いても十分に再生ができないこと、脱臭剤封鎖タイプの脱臭フィルターは通気性に乏しいため、乾燥が困難であるため、十分に水分を排除することが難しいこと等が挙げられる。
また、形状試験の結果から、比較例の水洗再生フィルターは形状の保持が困難であることが伺える。
これは、支持体に対して水洗時の水が大きな負荷となり形状の歪み等を生じさせたものである。
このように、水洗再生タイプの脱臭フィルターは、手間の掛かる洗浄作業を必要とする割に、再生効率も低いが、実施例の検体はいずれも、フィルターの取り出し等の作業を必要とせず、電圧を印加するのみで脱臭性能を再生させることが可能である。
また、比較例8の脱臭フィルターはハニカム基材自体に導電性が無く吸着剤に通電させているが、脱臭剤に通電した場合、両端の導電ネットと短絡した経路の内抵抗の低い経路のみに電流が流れる為、フィルター全体に均一に通電する事が困難であることに加えてフィルターに脱臭性能の再生に必要な熱を加える事が出来ない。
本発明によれば、大きな脱臭容量を有し、且つ使用後に、ハニカム基材に使用されているPTCヒーターに電流を流すことによって封鎖された脱臭剤の脱臭性能を加熱によって再生し、何回でも繰返し効率良く脱臭可能な熱再生脱臭フィルターを提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明の熱再生脱臭フィルターは、脱臭フィルターに加熱要素を一体に構成することにより脱臭性能を効率良く再生させ、特に加熱ヒーター部にPTCヒーターを用いることで高い安全性、エネルギー効率を有した脱臭フィルターが実現できるので、産業上の利用可能性は極めて大きい。

Claims (6)

  1. 脱臭フィルターのハニカム基材が2種類以上の導電性シートからなり、導電性シートの少なくとも1種類自己温度制御型のPTCヒーターで構成され、前記ハニカム基材のセル内に粒状脱臭剤が充填されるとともに、該ハニカム基材の両側の開口面が通気性基材で封鎖されていることを特徴とする熱再生脱臭フィルタ ー。
  2. 前記PTCヒーターは、セラミック系PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
  3. 前記PTCヒーターは、有機質PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
  4. ハニカム基材のセル内に粒状脱臭剤を充填し、該ハニカム基材の両側の開孔面を通気性基材で封鎖してなる脱臭フィルターであって、該ハニカム基材自己温度制御型のPTCヒーターを含むと共に、該通気性基材を導電性材料で構成して、該通気性基材間に電圧を印加してPTCヒーターを加熱することを特徴とする熱再生脱臭フィルタ ー。
  5. 前記PTCヒーターは、セラミック系PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
  6. 前記PTCヒーターは、有機質PTCヒーターであることを特徴とする請求の範囲第項記載の熱再生脱臭フィルタ ー。
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