WO2024090205A1 - ガス吸着剤ならびにそれを用いたガス吸着シート、濾材およびエアフィルター - Google Patents

ガス吸着剤ならびにそれを用いたガス吸着シート、濾材およびエアフィルター Download PDF

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Abstract

ガス成分の吸着容量に優れ、かつその吸着容量の長期的安定性に優れ、エアフィルターとして使用後の臭気の再放出も少ないガス吸着剤、ガス吸着シート、濾材およびエアフィルターを得ることを課題とし、本発明のガス吸着剤は、酸添着活性炭、塩基添着活性炭およびアルデヒド吸着剤を含んでいることを本旨とする。

Description

ガス吸着剤ならびにそれを用いたガス吸着シート、濾材およびエアフィルター
 本発明はガス吸着剤ならびにそれを用いたガス吸着シート、濾材およびエアフィルターに関する。
 家庭内における粉塵や臭気ガス成分を除去する目的で空気清浄機が使用されている。近年、家庭用空気清浄機の脱臭機能に対する要求性能として、空気清浄機を使用する居住環境で発生する揮発性有機化合物(VOC)に対する脱臭性能が求められる。中でもホルムアルデヒド等のVOCについては、人体への好ましくない影響が示されており、室内環境濃度を一定以下に管理することが各国の法令、省令で定められている。空気清浄機はこのVOCに対する除去機器としての性能が期待されている。また、シックハウス症候群の原因とされる、壁紙等の建築材料中から放出されるリスクのあるホルムアルデヒドに対する脱臭効率の高さと、その長寿命化が求められている。脱臭効率の高さとは、所定空間内のガス濃度を下げるのに要する、空気清浄機の運転時間が短いことを示す。長寿命化とは、所定量のガスを吸着した後でも、上記の脱臭効率が維持されることである。脱臭効率は空間浄化能力(CADR:Clean Air Delivery Rate)、寿命は累積浄化量(CCM:Cumulate Clean Mass)として評価基準がGB/T 18801 2015(中国国家基準)等で示されている。
 これらの要求性能を満足するために、空気清浄機に用いられるエアフィルターとして、活性炭、およびアルデヒドと化学反応性により吸着する吸着剤の混合物を担持させたエアフィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
 また、フィルターとして使用中、吸着したガスを再放出する現象(2次発臭)を抑える方法として、空気流出側にアルカリ性脱臭剤が、空気流入側に中性又は/及び酸性脱臭剤が配置されてなる濾材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008-148804号公報 特開2016-171875号公報
 しかしながら、発明者らの知見によると、実際に上記した設計思想に基づいて得られたエアフィルターは、エアフィルターに吸着された臭気成分がエアフィルターから脱離して空間に放出される(2次発臭)問題が発生し、さらに吸着剤を含ませることで、通気抵抗が上昇してしまう問題が発生していた。
 そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、ホルムアルデヒドなどの臭気成分の除去能力を長期間にわたって維持し、かつ使用によって吸着したガス成分のエアフィルターからの脱離を抑制できる、すわなち、2次発臭の抑制に効果があり、かつ通気抵抗を抑制させる吸着剤を提供することを目的とする。
 上記課題を解決する本発明のガス吸着剤は、
(A1)酸添着活性炭、(A2)塩基添着活性炭および(B)アルデヒド吸着剤を含むガス吸着剤であって、(A1)酸添着活性炭および(A2)塩基添着活性炭の合計質量(M)と、(B)アルデヒド吸着剤の質量(M)の比率が、(M):(M)=95:5~20:80であり、(A1)酸添着活性炭の平均粒子径が0.5~1.5mm、(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が0.5~1.5mmであり、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A1)酸添着活性炭の平均粒子径が120~1500、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が120~1500である、ガス吸着剤である。
 また、本発明のガス吸着剤は(A1)酸添着活性炭のMP法により算出される細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、(A1)酸添着活性炭のMP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%であること、および(A2)塩基添着活性炭のMP法により算出される細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、(A2)塩基添着活性炭のMP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%であること、の少なくともいずれか一方を満たすことが好ましい。
 本発明のガス吸着シートは本発明のガス吸着剤を含んでいる。
 本発明の濾材は、2層以上の不織布およびガス吸着剤を含む濾材であって、該ガス吸着剤が請求項1または2に記載のガス吸着剤であり、2層以上の不織布により形成される1つ以上の層間の少なくとも1つに該ガス吸着剤が保持されている。
 本発明のエアフィルターは、本発明の濾材を備えている。
 本発明によれば、エアフィルターに吸着されたアルデヒド、アンモニア、酢酸などのガス成分のエアフィルターからの脱離を抑制できる、すわなち、2次発臭の抑制と、アルデヒド吸着剤の経時劣化を抑制し、ホルムアルデヒドガスの除去性能の長寿命化し、さらに通気抵抗の上昇を抑制する効果があるガス吸着剤を提供できる。
図1は捕集効率測定装置の概略図である。
 本発明は、前記課題、すなわち、一旦、エアフィルターに吸着されたアルデヒド、アンモニア、酢酸などの臭気成分のエアフィルターからの脱離を抑制できる、すわなち、2次発臭を抑制しつつ、ホルムアルデヒドガスの除去性能を長寿命化でき、かつ通気抵抗を抑制させるガス吸着剤を提供することについて鋭意検討した結果、到達したものである。以下、本発明について詳細に説明する。
 まず、本発明のガス吸着剤は、(A1)酸添着活性炭、(A2)塩基添着活性炭および(B)アルデヒド吸着剤を含む。通常、酸もしくは塩基が添着されていない活性炭は、その細孔構造によって空気中のガスとの接触により発生する分子間力でガスを細孔表面に吸着する、いわゆる物理吸着作用のみを有する。そのため、活性炭が持つ物理吸着容量を超えるガスを吸着した場合、吸着したガスと同一成分の再放出が発生する。
 (A1)酸添着活性炭とは、未添着の活性炭に酸からなる薬剤を添着し、活性炭の細孔表面に酸を存在させることにより、活性炭本来の物理吸着作用に加え、アンモニア等の塩基性ガスを中和反応によって吸着前と別の不揮発性成分に変化させる作用、いわゆる化学吸着作用を付与した活性炭である。
 本発明のガス吸着剤に用いる(A1)酸添着活性炭の酸については特に限定されるものではなく、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸や、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、等の有機酸を挙げることができる。中でもリン酸、塩酸、硫酸および硝酸から選ばれた無機酸が脱臭効果の面でより好ましい。
 (A2)塩基添着活性炭とは、未添着の活性炭に塩基からなる薬剤を添着し、活性炭の細孔表面に塩基を存在させることにより、活性炭本来の物理吸着作用に加え、酢酸等の酸性ガスを中和反応によって吸着前と別の不揮発性成分に変化させる作用、いわゆる化学吸着作用を付与した活性炭である。
 本発明のガス吸着剤に用いる(A2)塩基添着活性炭の塩基については特に限定されるものではなく、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンの水酸化物または塩を挙げることができ、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどを挙げることができる。中でも炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩は、潮解現象による活性炭の細孔閉塞を起こしにくいため好ましい。
 また、酸または塩基薬剤の添着方法としては特に限定されないが、酸または塩基の水溶液や水分散体を活性炭に噴霧し、乾燥させて水分を除去することで、活性炭細孔に薬剤成分を固着させる方法が好ましい。
 本発明における(A1)酸添着活性炭および/または(A2)塩基添着活性炭は、以下の細孔構造を有することが好ましい。すなわち、(A1)酸添着活性炭のMP法により算出される細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、(A1)酸添着活性炭のMP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%であること、および(A2)塩基添着活性炭のMP法により算出される細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、(A2)塩基添着活性炭のMP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%であること、の少なくともいずれか一方を満たすことが好ましい。
 活性炭が備える細孔径の細孔直径および細孔容積の解析法としては、MP(MICROPORE)法や、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)法などがある。MP法による測定によれば、活性炭が備える細孔のうち、毛管凝縮が起こらない細孔径が0.4~2.0nmのミクロ孔の細孔容積が得られる。また、BJH法による測定によれば、活性炭が備える細孔のうち、細孔径が2.0~200nmのマクロ孔の細孔容積が得られる。本発明においては、MP法により算出される細孔容積およびBJH法により算出される細孔容積の合計値を、「MP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積」と呼ぶ。
 このように、(A1)酸添着活性炭および/または(A2)塩基添着活性炭が備える細孔のうち、細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%、より好ましくは80~100%である場合、すなわち、細孔径が2.0nmを超える細孔の細孔容積の、細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対する比率が25%未満、より好ましくは20%未満である場合、この活性炭を有する吸着剤は、トルエンなどの有機ガス成分の物理吸着および酸性ガスもしくは塩基性ガスの化学吸着性能に優れ、さらに、一旦、吸着したガス成分の吸着剤からの再放出がより抑制される。
 この効果が得られるメカニズムについては以下のとおりと推測する。すなわち、(A1)酸添着活性炭および(A2)塩基添着活性炭が備える細孔のうち、細孔径が0.4~2.0nmの細孔に酸もしくは塩基が添着された細孔は、酢酸等の酸性ガスもしくはアンモニア等の塩基性ガスの分子サイズと近いため、物理吸着の性能に優れ、さらに、この細孔内に、一旦、吸着されたなどの臭気成分は、この細孔内から脱離し難いとの特徴を有する。その一方で、細孔径が2.0nmを超える細孔は細孔内に吸着された臭気成分の脱離を抑制する性能(以下、脱離抑制性能とすることがある)に劣ると推測する。そして、細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の、細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対する比率が75~100%である細孔構造を備えた(A1)酸添着活性炭および/または(A2)塩基添着活性炭は、これらの活性炭に存在する細孔径が0.4nm以上の細孔のうち、臭気成分の脱離抑制性能に優れる細孔の比率が特定以上である。言い換えると、臭気成分の脱離抑制性能に劣る細孔の比率が特定の値より小さい細孔構造である。このことにより、この活性炭を有するガス吸着剤は、臭気成分の脱離抑制性能が優れたものとなると推測する。
 (A1)酸添着活性炭および/または(A2)塩基添着活性炭の比表面積は、400~1300m/gの範囲が好ましく、より好ましくは600~1000m/gの範囲である。酸添着活性炭および/または塩基添着活性炭の比表面積が上記の範囲であることにより、空気中のガス成分に対する薬剤との化学吸着性能と、活性炭細孔との物理吸着性能をより両立することができるため好ましい。なお、ここでいう比表面積はJIS R 1626-1996 に規定のBET多点法(6.1容量法に記載の定容法、加熱前処理を施し、Nを吸着質とし、定容法による測定。)に従って測定できる。上記比表面積を得るための酸または塩基の薬剤添着量としては、添着活性炭全体に対し2~40質量%であることが好ましく、より好ましくは5~25質量%である。
 上記のような細孔構造を有する活性炭は、原料として、ヤシ殻、木炭、石炭ピッチ、フェノール樹脂など公知のものから任意に選択でき、水蒸気による高温処理や、リン酸や塩化亜鉛等の薬品処理によって細孔を形成する賦活条件の調整によって得られる。中でもヤシ殻を原料とし、水蒸気による賦活方法を選択することが、より細孔サイズの小さい活性炭が得られやすいため、より好ましい。
 (B)アルデヒド吸着剤とは、無機粒子を担体とし、そこにアセトアルデヒドやホルムアルデヒドといったアルデヒド成分との化学反応性を有する薬剤を付与した化学吸着剤である。無機粒子としては添着した薬剤との反応が小さい無機粒子が好ましい。
 本発明で採用する無機粒子の比表面積としては、50~1000m/gが好ましく、より好ましくは100~800m/gである。無機粒子の比表面積を50~1000m/gとすることで、機械的強度を有し、かつ担持した化学吸着剤とアルデヒドガスの接触に有効な接触面積が得られ、反応速度が向上するため好ましい。比表面積はJIS R 1626-1996 に規定のBET多点法(6.1容量法に記載の定容法、加熱前処理を施し、Nを吸着質とし、定容法による測定。)に従って測定できる。
 また、無機粒子としては細孔容積が0.3~2.5cc/gであることが好ましく、より好ましくは1.0~2.0cc/gである。無機粒子の細孔容積を0.3~2.5cc/gとすることにより、薬剤の添着量を増やしつつ、空気中のアルデヒドガスとの反応に優れた細孔を保持することができ、アルデヒド吸着剤としての吸着効率、吸着容量を高めることができるため好ましい。ここでいう細孔容積は、上記したBJH法により測定できる。
 また無機粒子としては、粒子中の細孔の平均直径が0.5~100nmの範囲であるものが好ましく、より好ましくは2~50nmである。無機粒子の細孔の平均直径を0.5~100nmとすることで、多孔質体であっても機械的強度を確保しつつ、薬剤を担持させるための比表面積を大きくとることができ、かつ薬剤が細孔内部に浸透しやすくなるため好ましい。また、直径2~50nmの細孔はメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する粒子は添着した薬剤とアセトアルデヒドの反応を効率良く進める上で優れている。ここでいう細孔の平均直径は、上記した比表面積(S)および上記した細孔容積(V)から次式より平均細孔径(D)として算出できる。なお細孔の形状を円筒状と仮定している。
D=4 V/S
 本発明で採用する無機粒子としては、多孔質二酸化ケイ素(シリカ)、ゼオライト、セピオライト、活性アルミナ、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル、アルミナゲル、活性白土、リン酸ジルコニウムやポリトリリン酸アンモニウム等の層状化合物、多孔性粘土鉱物といった中から目的に応じて選択できるが、薬剤との反応が小さい無機粒子が好ましく、中でも多孔質二酸化ケイ素(シリカ)は、上記の好ましい細孔の平均直径や比表面積、および細孔容積を有するものを安価に調達可能であり好ましい。
 本発明で採用するアルデヒド成分との化学反応性を有する薬剤としては、第1級から第3級アミン化合物が使用できるが、好ましくはアジピン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドなどのヒドラジド化合物や、p-アミノベンゼンスルホン酸、エチレン尿素縮合体薬剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどが挙げられる。とりわけ、アジピン酸ジヒドラジドがアルデヒド類の吸着性能の点で好ましい。本発明におけるアジピン酸ジヒドラジドの使用量としては、無機粒子1gあたり7mg~120mgが好ましく、より好ましくは35~90mgである。アジピン酸ジヒドラジドの使用量を上記の範囲とすることにより、ガス吸着剤としてホルムアルデヒドの吸着速度と吸着容量のバランスに優れたアルデヒド吸着剤を得ることができる。
 本発明のガス吸着剤が上記2種類の薬剤添着活性炭およびアルデヒド吸着剤から構成される理由としては主に2点ある。1点目はガス吸着剤をエアフィルターとして用いる際、空気中のガスは極めて多数の成分で構成されているが、中でもアンモニアに代表される塩基性ガス、酢酸に代表される酸性ガス、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒドガスは、人間が臭気として感じる濃度閾値が低く、これらのガスが吸着剤から再放出されるのを抑制する手段として、酸、塩基およびアルデヒド吸着剤による化学吸着を全て用い、酸性、塩基性以外の多様なガスに対しては、活性炭の物理吸着作用で吸着することが最も有効である。その一方、酸および塩基を同一の活性炭内に添着させると、両者の中和反応によってそれぞれの効果が消失してしまい、酸および塩基を別々の活性炭にそれぞれ添着させた場合でも、一つのガス吸着剤内でお互いが接触状態にあると、やはり両者の中和反応が発生し、化学吸着性能が徐々に低下する。そのため、酸性、塩基性を有さない無機粒子を両者の間に介在させることにより、酸、塩基それぞれの活性炭の接触を抑制し、化学吸着性能の長寿命化を図ることができる。
 2点目は無機粒子に添着するアルデヒド成分と反応する薬剤は、pHが弱酸性から中性付近の場合に空気中のアルデヒドガスとの反応性が高いものが多いため、アルデヒド吸着剤を酸添着活性炭もしくは塩基添着活性炭のどちらかのみと併用する場合と比較し、アルデヒド吸着剤を両者と併用することで、適切なpHを維持することができるため、本薬剤が本来有しているアルデヒド吸着性能を発揮し、またその性能を長期保管後も維持することができる。
 本発明のガス吸着剤に用いる(A1)酸添着活性炭および(A2)塩基添着活性炭の合計質量(M)と、(B)アルデヒド吸着剤の質量(M)の比率は、(M):(M)=95:5~20:80の範囲であり、より好ましくは(M):(M)=90:10~20:80の範囲であり、特に好ましくは(M):(M)=90:10~35:65の範囲である。この範囲でガス吸着剤を配合することにより、フィルターとして使用した際の吸着したガスの再放出量が低減し、かつ(A1)酸添着活性炭と(A2)塩基添着活性炭の接触によるお互いの性能低下を抑制することができる。(M)の比率を95以下とすることで、ガス吸着剤内で(A1)酸添着活性炭と(A2)塩基添着活性炭の接触による中和反応を少なくすることができ、お互いの化学吸着性能の低下を抑制できるため好ましい。逆に(M)の比率を20以上とすることで、空気中の酸性や塩基性ガスの吸着性能がより十分となり、(B)アルデヒド吸着剤の表面に付着したこれらのガス成分を化学吸着し、不快な臭気の発生を抑制できるため好ましい。
 また本発明のガス吸着剤のpHは3~7が好ましく、より好ましくは5~7である。pHを3~7とすることで、酸性ガス、塩基性ガスおよびホルムアルデヒドなどの無極性ガスの吸着-脱離特性に偏りを生じさせないため好ましい。なお、ガス吸着剤のpHは温度20℃の超純水5g中にガス吸着剤0.3gを投入したものの水中のpHをガラス電極式pH計で測定できる。
 本発明のガス吸着剤に用いる(A1)酸添着活性炭の平均粒子径は0.5~1.5mmであり、(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径は0.5~1.5mmである。また(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A1)酸添着活性炭の平均粒子径が120~1500であり、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が120~1500である。
 (A1)酸添着活性炭の平均粒子径を0.5mm以上、好ましくは0.6mm以上とし、(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径を0.5mm以上、好ましくは0.6mm以上とすることで、活性炭の粒子数を適度に抑えることができる。また、(A1)酸添着活性炭と(A2)塩基添着活性炭同士の接触頻度が少なくなるため、性能低下を抑制できる。またこのガス吸着剤をシート状に形成した場合、通気抵抗の上昇が抑制されて通気性を確保することができる。また(A1)酸添着活性炭の平均粒子径を1.5mm以下、好ましくは1.2mm以下、(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径を1.5mm以下、好ましくは1.2mm以下とすることで、一つの活性炭粒子と周囲の活性炭粒子との接触度合いを減らすことができるため、性能低下を抑制できる。また、(A1)酸添着活性炭の平均粒子径と(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径の比は近い方が好ましく、具体的には(A1)酸添着活性炭の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が80~120であることが好ましい。
 また(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A1)酸添着活性炭の平均粒子径を120以上、好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径を120以上、好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上とすることで、シート状に形成した場合の通気性をより十分なものとすることができる。(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A1)酸添着活性炭の平均粒子径を1500以下、好ましくは1200以下、より好ましくは1000以下、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径を1500以下、好ましくは1200以下、より好ましくは1000以下とすることで、活性炭の粒子数と比較した無機粒子の粒子数がより適切となり、(A1)酸添着活性炭および(A2)塩基添着活性炭の接触を抑制する中間粒子としての働きをより十分なものとすることができる。
 また(B)アルデヒド吸着剤で用いる無機粒子の比表面積は、(A1)酸添着活性炭および/または(A2)塩基添着活性炭の比表面積に比べて相対的に小さいことが好ましく、吸着速度は遅いことが好ましい。よって(B)アルデヒド吸着剤で用いる無機粒子の平均粒子径を、(A1)酸添着活性炭および/または(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径と比べて小さく設定することで、アルデヒドとその他ガスの吸着速度のバランスに優れたガス吸着剤を得ることができる。
 なお、ここで言う平均粒子径とは、JIS-Z-8815(1994)によって粒子径分布を測定し、粒状の(A1)酸添着活性炭、(A2)塩基添着活性炭および(B)アルデヒド吸着剤のそれぞれについて、総質量の50質量%が通過するふるい目の大きさに相当する粒子径とする。また、(A1)酸添着活性炭、(A2)塩基添着活性炭および(B)アルデヒド吸着剤の形状としては、それぞれ球状、破砕状、柱状など公知のものから任意に選定可能である。
 本発明のガス吸着剤は、シート状に形成されて用いられることが好ましい。すなわち、本発明のガス吸着剤はガス吸着シートに好適に用いられる。ここでいうガス吸着剤がシート状に形成されているとは、ガス吸着剤粒子を布帛の繊維間に分散させてシート状を形成する方法や、複合ガス吸着剤の表面を接着剤等で連結し、シート状に形成する方法が挙げられる。ここで、布帛の形態は特に限定されず、織物、編物、成型ネット、不織布などから任意に選択できる。中でも不織布は使用する繊維の繊維径、繊維長などを任意に選択、複合することにより所望の物性を容易に得ることができるため好ましい。不織布はケミカルボンド不織布、湿式証紙不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布およびエアレイド不織布等が挙げられる。
 本発明のガス吸着剤がシート状に形成される際のガス吸着剤の目付は、15~400g/mの範囲が好ましい。さらに、30~300g/mの範囲であると、ガス吸着容量が高く、かつ得られたシート状濾材をエアフィルターに加工する際のプリーツ(折り曲げ)加工性に優れるためより好ましい。
 ガス吸着剤は粒子状からなることが好ましく、形状としては、球状、破砕状、柱状など公知のものから任意に選定可能である。
 本発明のガス吸着剤は濾材に好適に用いられる。この濾材は、2層以上の不織布および本発明のガス吸着剤を含む。2層以上の不織布により形成される1つ以上の層間の少なくとも1つに本発明のガス吸着剤が保持されている。
 本発明の濾材におけるガス吸着剤の使用量は、濾材として用いた際のガスの除去効率と吸着容量を得る観点から、40~400g/mの範囲が好ましく、より好ましくは100~200g/mである。
 上記の濾材が備える不織布は、エレクトレット不織布であることが好ましい。エレクトレット不織布であることで、上記の濾材は空気中の粉塵をより高い効率で捕集できるため好ましい。
 濾材の具体的な製造方法としては、例えば一方の不織布上にガス吸着剤粒子と粉末状の熱接着樹脂粒子を定量均一散布し、ヒーターで熱接着樹脂粒子を加熱溶融した後、もう一方の不織布を積層圧着することにより一体化する方法や、一方の不織布上に加熱溶融樹脂をスプレーしながらガス吸着剤粒子を散布した後、もう一方の不織布を積層圧着することにより一体化する方法などが挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。
 上記不織布の厚みは、一定の強度を有し、かつプリーツ折り加工をした際に一定容積に収容できる面積を増やす観点から、0.08~0.60mmが好ましく、その下限は0.15mm以上がより好ましく、その上限は0.50mm以下がより好ましい。なお、上記の濾材は、2層以上の不織布を有しているが、これらの不織布の厚さは同じでも、異なっていてもよい。
 上記の不織布に使用する繊維としては、天然繊維、合成繊維またはガラス繊維もしくは金属繊維等の無機繊維が使用でき、中でも溶融紡糸が可能な熱可塑性樹脂の合成繊維が好ましい。
 本発明のエアフィルターは、本発明のガス吸着シートまたは本発明の濾材および外枠を備えている。濾材の四方が外枠に固定されて構成されていることが好ましい。ここで、ガス吸着シートまたは濾材は、シート状のまま使用しても、プリーツ加工された状態で山谷を有する立体形状を形成してもよい。
 以下、実施例によって本発明の作用効果をより具体的に示すが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
 [ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]
 ガス吸着剤とポリエチレン系接着パウダー(AbiforAG社製 Abifor1200)(以下、接着パウダーとする)を、ガス吸着剤2:接着パウダー1の質量割合でブレンドし、それをポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布(東レ株式会社製 アクスター(登録商標)H2070-1S、厚み0.27mm)上に所定量均一に散布し、加熱炉内で110℃~130℃に加熱することにより接着パウダーを溶融させ、その散布面にエレクトレットメルトブロー不織布(目付30g/m、厚み0.25mm)を積層後、ニップロールによって加圧し、所定の厚みのシート状の濾材を得る。
 [測定方法]
 (1)トルエンの飽和吸着量(g/m
 上記[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]で得られたガス吸着剤を用いたシート状濾材を10cm×10cmの四角形に採取し、それを80℃に加熱した乾燥機内に入れ、2時間乾燥処理し、取り出した濾材の質量(g)を電子天秤で測定した。得られた測定値をm1(g)とした。次に、湿度を50%RHに管理した10Lのデシケーター内にトルエンを飽和させ、そこに質量測定した後の濾材を投入し、24時間放置した。そして、上記のデシケーター内から取り出した後の濾材の質量(g)を電子天秤で測定した。得られた測定値をm2(g)とした。次に、下記計算式より、濾材の単位面積当たりのトルエン飽和吸着容量を算出した。
・トルエン飽和吸着容量=(m2-m1)/(0.1×0.1) (g/m)。
 (2)トルエンの脱離率(%)
 上記[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]で得られたガス吸着剤を用いたシート状濾材から、直径6cmの円径の濾材サンプル(面積28.3cm)を採取し、それを80℃に加熱した乾燥機内に入れ、2時間乾燥処理後に取り出した。次に通風直径4cm、および胴部長さ15cmからなる円筒形風洞を2つ用意し、それぞれを濾材サンプルの一方の面側と他方の面側とに取り付けた。次に、濾材サンプルの一方の面側から他方の面側の方向に、温度を20℃、相対湿度を50%に調整した濃度80ppmのトルエンガスを含む空気を、風速20cm/secで通過させた。濾材サンプルにトルエンガスを通過させ始めた120秒後から、濾材サンプルの下流側(濾材サンプルの他方の面側)の空気のトルエン濃度(ppm)を、赤外吸光式ガス濃度計(日本サーモ株式会社製 MIRANSapphlRe)を用いて10秒間隔で25分間測定したところでガスの通過を停止し、該25分間に下流側から検出された空気中のトルエンの濃度から、濾材の単位面積(1m)あたりのトルエンの積算吸着量(g/m)を計算した。
 トルエンの積算吸着量を測定した後の濾材サンプルに、温度が20℃、湿度が50%RHの空気のみを風速0.06m/秒で通過させた。濾材サンプルに空気を通過させ始めた20秒後から、濾材サンプルの下流側(濾材サンプルの他方の面側)の空気のトルエン濃度(ppm)を、上記同様の赤外吸光式ガス濃度計を用いて2秒間隔で5分間測定し、該5分間に検出された空気中のトルエンの濃度よりトルエンの積算脱離量を測定し、得られた測定結果から濾材の単位面積(1m)あたりのトルエンの積算脱離量(g/m)を計算した。
 得られた単位面積(1m)あたりのトルエンの積算吸着量(g/m)と単位面積(1m)あたりのトルエンの積算脱離量(g/m)から以下の式で、トルエンの脱離率(%)を算出した。
トルエンの脱離率(%)=[単位面積(1m)あたりのトルエンの積算脱離量(g/m)/単位面積(1m)あたりのトルエンの積算吸着量(g/m)]×100。
 (3)アンモニアの飽和吸着量(g/m
 上記[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]で得られたガス吸着剤を用いたシート状濾材から、直径6cmの円径の濾材サンプル(面積28.3cm)を採取し、それを80℃に加熱した乾燥機内に入れ、2時間乾燥処理後に取り出した。次に通風直径4cm、および胴部長さ15cmからなる円筒形風洞を2つ用意し、それぞれを濾材サンプルの一方の面側と他方の面側とに取り付けた。次に、濾材サンプルの一方の面側から他方の面側の方向に、温度を20℃、相対湿度を50%に調整した濃度10ppmのアンモニアガスを含む空気を、風速20cm/secで通過させた。濾材サンプルにアンモニアを通過させ始めた120秒後から、濾材サンプルの下流側(濾材サンプルの他方の面側)の空気のアンモニア濃度(ppm)を、赤外吸光式ガス濃度計(日本サーモ株式会社製 MIRANSapphlRe)を用いて10秒間隔で60分間測定し、サンプル下流側のアンモニアガス濃度が9ppm、すなわち濾材のアンモニア吸着効率が10%に到達するまで測定し、得られた測定結果から濾材の単位面積(1m)あたりのアンモニアの積算吸着量(g/m)を計算し、飽和吸着量とした。
 (4)酢酸の脱離率(%)
 上記[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]で得られたガス吸着剤を用いたシート状濾材から、直径6cmの円径の濾材サンプル(面積28.3cm)を採取し、それを80℃に加熱した乾燥機内に入れ、2時間乾燥処理後に取り出した。次に通風直径4cm、および胴部長さ15cmからなる円筒形風洞を2つ用意し、それぞれを濾材サンプルの一方の面側と他方の面側とに取り付けた。次に、濾材サンプルの一方の面側から他方の面側の方向に、温度を20℃、相対湿度を50%に調整した濃度80ppmの酢酸ガスを含む空気を、風速20cm/secで通過させた。濾材サンプルに酢酸ガスを通過させ始めた120秒後から、濾材サンプルの下流側(濾材サンプルの他方の面側)の空気の酢酸濃度(ppm)を、赤外吸光式ガス濃度計(日本サーモ株式会社製 MIRANSapphlRe)を用いて10秒間隔で25分間測定したところでガスの通過を停止し、該25分間に下流側から検出された空気中の酢酸の濃度から、濾材の単位面積(1m)あたりの酢酸の積算吸着量(g/m)を計算した。
 酢酸の積算吸着量を測定した後の濾材サンプルに、温度が20℃、湿度が50%RHの空気のみを風速0.06m/秒で通過させた。濾材サンプルに空気を通過させ始めた20秒後から、濾材サンプルの下流側(濾材サンプルの他方の面側)の空気の酢酸濃度(ppm)を、上記同様の赤外吸光式ガス濃度計を用いて2秒間隔で5分間測定し、該5分間に検出された空気中の酢酸の濃度より酢酸の積算脱離量を測定し、得られた測定結果から濾材の単位面積(1m)あたりの酢酸の積算脱離量(g/m)を計算した。
 得られた単位面積(1m)あたりの酢酸の積算吸着量(g/m)と単位面積(1m)あたりの酢酸の積算脱離量(g/m)から以下の式で、酢酸の脱離率(%)を算出した。
酢酸の脱離率(%)=[単位面積(1m)あたりの酢酸の積算脱離量(g/m)/単位面積(1m)あたりの酢酸の積算吸着量(g/m)]×100。
 (5)ホルムアルデヒドの空間浄化能力(F-CADR) 新品 (m/hr) 
 上記[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]で得られたガス吸着剤を用いたシート状濾材を巾方289mm、長さ7.8m分作製し、レシプロプリーツ加工機(ホップテック株式会社製 W650)を用いて濾材の長さ方向に対し折高さ58mmで66山分プリーツ加工した後、その濾材を一度展開し、濾材表裏の各面上に、ホットメルトアプリケーター(ITWダイナテック株式会社製 Dynamelt)を用いて180℃に加熱し溶融させたポリオレフィン系樹脂(日立化成ポリマー(株)製 ハイボン9500)を、圧空ノズルを用いて太さ3mm、濾材巾方向に対し5cm間隔で計6本連続で塗布した後、再度プリーツ加工の折り目に合わせて折り畳み、隣接するプリーツ山同士の間隔が5.6mmとなるよう、線状のホットメルト樹脂同士を接着固定させ、略直方体のプリーツ形状の濾材を得た。
 目付260g/m、厚み1mmのポリエステルサーマルボンド不織布を巾60mmにカットした外枠を、ロールコーター(株式会社エピック製 R2)にて200℃で加熱、溶融させたポリオレフィン系接着剤(日立化成ポリマー(株)製 ハイボンYH450-1)を用いて、上記プリーツ形状の濾材の四方に貼り付け、間口サイズとして縦372mm、横291mmで、高さ60mmのエアフィルターを得た。
 上記エアフィルターを市販の空気清浄機(定格風量450m/時)に搭載後、30mの試験室内に設置し、「GB/T 18001-2015 Air cleaner」に準拠した方法にて、ホルムアルデヒドのCADR(m/hr)を測定した。
 (6)ホルムアルデヒドの空間浄化能力(F-CADR) 長期保管後 (m/hr)
 上記(5)と同様の方法で得られたエアフィルターを温度60℃、相対湿度60%RHの環境下で30日間放置後、上記(5)と同様の空気清浄機に搭載し、上記(5)と同様の試験方法でホルムアルデヒドのCADR(m/hr)を測定した。
 (7)2次発臭の臭気強度(点)および快不快度(点)
 上記(5)と同様の方法で得られたエアフィルターを市販の空気清浄機(定格風量450m/時)に搭載した。次に、この空気清浄機を容積1mの透明アクリル製の試験室内に設置し、その試験室内でタバコ(メビウス10mg)5本を燃焼させた後、空気清浄機を稼働させ、燃焼煙をエアフィルターに30分間捕集させた。この作業を10回繰り返し、計50本分のタバコ燃焼煙を捕集させた。
 上記タバコ燃焼煙捕集後の空気清浄機を、容積30mの試験室内で稼働せずに24時間放置し、その後、空気清浄機を稼働させ、排出される空気の臭気強度、および快不快度を、表1および表2に示す判定基準で、5人のパネラーが採点し、その平均値を求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 (8)活性炭の細孔の細孔容積
 活性炭0.10gをガラスセルに入れて、150℃で5時間脱気したのち、日本ベル株式会社製の装置BELSORP-18PLUSを用い、液体窒素温度77K、装置内温度を35℃、飽和蒸気圧は101.3kPaに設定した条件にて、活性炭を装置に投入して、窒素の等温吸着、脱着過程を測定した。測定結果から、MP法で細孔径0.4~2.0nmの細孔の細孔容積を計算し、BJH法で細孔径0.4~200nmの細孔の細孔容積を計算した。
 (9)圧力損失(Pa)
 150mm×150mmの測定用サンプルを採取し、それぞれのサンプルについて、図1に示す捕集効率測定装置を用いて圧力損失を測定した。この図1の捕集効率測定装置には、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー1の上流側に、ダスト収納箱2および除電装置9を連結し、下流側に流量計3、流量調整バルブ4およびブロワ5が連結されている。また、サンプルホルダー1にパーティクルカウンター6を使用し、切替コック7を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数とをそれぞれ測定することができる。さらに、サンプルホルダー1は圧力計8を備え、測定サンプルMの上流と下流での静圧差を読み取ることができる。測定サンプルMを、サンプルホルダー1にセットし、風量をフィルター通過速度が6.5m/分になるように、流量調整バルブ4で調整し、圧力計8の静圧差を読み取った。3個の測定サンプルを測定した値の平均値を、最終的な圧力損失とした。この圧力損失の評価の結果を、作製した濾材の通気性の優劣の指標とした。圧力損失の評価は、濾材の通気性に対応する。圧力損失が大きいと、濾材の通気抵抗が大きくなり通気性が低下する。
 [実施例1]
 酸添着活性炭として、粒状活性炭(満栄工業株式会社製 、JISZ8815法による平均粒子径0.6mm、BET多点法で測定された比表面積1200m/g)にクエン酸を全体の40質量%となるよう添着処理した、比表面積が450m/gの酸添着活性炭を用いた。塩基添着活性炭として、上記添着活性炭と同じ粒状活性炭に炭酸カリウムを全体の7質量%となるよう添着した、比表面積が800m/gの塩基添着活性炭を用いた。アルデヒド吸着剤として、多孔質シリカ粒子(BJH法により測定された細孔容積1.0cc/g、BET多点法で測定された比表面積500m/g、JISZ8815法 による平均粒子径0.4mm)にアジピン酸ジヒドラジド(日本化成株式会社製)を全体の7質量%となるよう添着させた吸着剤を用いた。上記酸添着活性炭、塩基添着活性炭およびアルデヒド吸着剤を、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=10:10:80の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を100g/m用いたので、酸添着活性炭が10g/m、塩基添着活性炭が10g/m、アルデヒド吸着剤が80g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=20:80の質量比率となった。またこの濾材の厚みは0.9mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [実施例2]
 実施例1と同じ酸添着活性炭、塩基添着活性炭、およびアルデヒド吸着剤を、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=30:30:90の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を150g/m用いたので、酸添着活性炭が30g/m、塩基添着活性炭が30g/m、アルデヒド吸着剤が90g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=40:60の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.1mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [実施例3]
 実施例1と同じ酸添着活性炭、塩基添着活性炭、およびアルデヒド吸着剤を、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=36:36:8の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を80g/m用いたので、酸添着活性炭が36g/m、塩基添着活性炭が36g/m、アルデヒド吸着剤が8g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=90:10の質量比率となった。またこの濾材の厚みは0.7mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [実施例4]
 酸添着活性炭として、粒状活性炭(満栄工業株式会社製、JISZ8815法による平均粒子径0.6mm、BET多点法で測定された比表面積1200m/g)にオルソリン酸を全体の20質量%となるよう添着処理した、比表面積が700m/gの酸添着活性炭を用い、塩基添着活性炭として、上記添着活性炭と同じ粒状活性炭に炭酸水素ナトリウムを全体の5質量%となるよう添着した、比表面積が950m/gの塩基添着活性炭を用いた。アルデヒド吸着剤として、実施例1と同様の吸着剤を用い、上記酸添着活性炭、塩基添着活性炭、およびアルデヒド吸着剤を、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=30:30:90の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を150g/m用いたので、酸添着活性炭が30g/m、塩基添着活性炭が30g/m、アルデヒド吸着剤が90g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=40:60の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.2mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [実施例5]
 実施例4と同じ酸添着活性炭、塩基添着活性炭を用い、アルデヒド吸着剤として、多孔質シリカ粒子(BJH法により測定された細孔容積1.0cc/g、BET多点法で測定された比表面積500m/g、JISZ8815法 による平均粒子径0.06mm)にアジピン酸ジヒドラジド(日本化成株式会社製)を全体の7質量%となるよう添着させた吸着剤を用いた。上記酸添着活性炭、塩基添着活性炭、およびアルデヒド吸着剤を、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=30:30:7の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を67g/m用いたので、酸添着活性炭が30g/m、塩基添着活性炭が30g/m、アルデヒド吸着剤が7g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=90:10の質量比率となった。またこの濾材の厚みは0.7mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [実施例6]
 酸添着活性炭として、粒状活性炭(株式会社クラレ製、JISZ8815法による平均粒子径0.6mm、BET多点法で測定された比表面積950m/g)に実施例4と同様にオルソリン酸を全体の20質量%となるよう添着処理した、比表面積が600m/gの酸添着活性炭を用いた。塩基添着活性炭として、上記添着活性炭と同じ粒状活性炭に実施例と4同様に炭酸水素ナトリウムを全体の5質量%となるよう添着した、比表面積が850m/gの塩基添着活性炭を用いた。アルデヒド吸着剤として、多孔質シリカ粒子(BJH法により測定された細孔容積1.0cc/g、BET多点法で測定された比表面積500m/g、JISZ8815法 による平均粒子径 0.3mm)にアジピン酸ジヒドラジド(日本化成株式会社製)を全体の7質量%となるよう添着させた吸着剤を用いた。上記酸添着活性炭、塩基添着活性炭およびアルデヒド吸着剤を、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=20:40:90の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を150g/m用いたので、酸添着活性炭が20g/m、塩基添着活性炭が40g/m、アルデヒド吸着剤が90g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=40:60の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.2mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [比較例1]
 塩基添着活性炭を用いず、酸添着活性炭として、粒状活性炭(満栄工業株式会社製、JISZ8815法による平均粒子径0.3mm、BET多点法で測定された比表面積1200m/g)にクエン酸を全体の40質量%となるよう添着処理した、比表面積が450m/gの酸添着活性炭を用いた。この酸添着活性炭とアルデヒド吸着剤として実施例6と同様の吸着剤とを、酸添着活性炭:アルデヒド吸着剤=60:90の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を150g/m用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を150g/m用いたので、酸添着活性炭が60g/m、アルデヒド吸着剤が90g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=40:60の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.0mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [比較例2]
 酸添着活性炭を用いず、塩基添着活性炭として、比較例1で用いた粒状活性炭と同じ粒状活性炭に炭酸カリウムを全体の7質量%となるよう添着した、比表面積が800m/gの塩基添着活性炭を用いた。この塩基添着活性炭と、アルデヒド吸着剤として実施例6と同様の吸着剤とを、塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=60:90の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を150g/m用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法で、ガス吸着剤を有する濾材を製造した。ガス吸着剤を150g/m用いたので、塩基添着活性炭が60g/m、アルデヒド吸着剤が90g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=40:60の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.0mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [比較例3]
 アルデヒド吸着剤を用いず、酸添着活性炭として比較例1と同じン酸添着粒状活性炭、塩基添着活性炭として比較例2と同じ塩基添着粒状活性炭とを酸添着活性炭:塩基添着活性炭=50:100の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を計150g/m用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法と同様の方法で濾材を製造した。ガス吸着剤を150g/m用いたので、酸添着活性炭が50g/m、塩基添着活性炭が100g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=100:0の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.0mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 [比較例4]
 比較例1の酸添着活性炭と、比較例2の塩基添着活性炭と、アルデヒド吸着剤として実施例6と同様の吸着剤とを、酸添着活性炭:塩基添着活性炭:アルデヒド吸着剤=30:30:90の質量比率で配合したガス吸着剤を用いた。このガス吸着剤を計150g/m用い、上記の[ガス吸着剤を用いた濾材の製造方法]に記載の方法と同様の方法で濾材を製造した。
ガス吸着剤を150g/m用いたので、酸添着活性炭が30g/m、塩基添着活性炭が30g/m、アルデヒド吸着剤が90g/mとなるから、添着活性炭合計:アルデヒド吸着剤=40:60の質量比率となった。またこの濾材の厚みは1.0mmであった。
 得られた濾材を用いて上記(1)~(9)の測定を行った。
 実施例1~6のガス吸着剤、実施例1~6のガス吸着剤を用いた濾材およびエアフィルターについて表3、4に、比較例1~4のガス吸着剤、比較例1~4のガス吸着剤を用いた濾材およびエアフィルターについて表5、6にまとめた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 実施例1では、酸添着活性炭、塩基添着活性炭、およびアルデヒド吸着剤を複合したガス吸着剤を用いているため、吸着後のトルエンおよび酢酸の脱離率が低かった。また、酸として用いたクエン酸が空気中のアンモニアガスを酸・塩基反応によって吸着するためアンモニアの吸着容量に優れ、塩基として用いた炭酸カリウムが空気中の酢酸ガスを酸・塩基反応によって吸着するため、酢酸吸着後の脱離率が低かった。さらに、無機粒子の介在により活性炭への添着成分であるクエン酸と炭酸カリウムの接触による中和反応が抑制されるため、長期保管後もアンモニアガスと酢酸ガスの吸着性能が維持されていた。また、得られた濾材を加工したフィルターは、空気清浄機に搭載した際のホルムアルデヒドの清浄能力(F-CADR)の性能も良好で、タバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が小さくかつ不快な臭気を感じにくい、すなわち長寿命なエアフィルターであった。
 実施例2および3では、いずれも実施例1よりも酸添着活性炭、塩基添着活性炭の使用量およびガス吸着剤全体に占める割合を増やしたため、実施例1と比べてアンモニアの飽和吸着量が増加し、酢酸吸着後の酢酸の脱離率が減少した。そのため、得られた濾材を加工したフィルターは、空気清浄機に搭載した際のタバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が小さく、使用者が不快に感じにくい、すなわち長寿命なエアフィルターであった。
 実施例4では、実施例1よりも空気中のアンモニアガスとの反応性に優れるオルソリン酸を添着した活性炭を用いているため、アンモニアの飽和吸着量が向上した。また、実施例1よりも活性炭の細孔が閉塞しにくい炭酸水素ナトリウムを用いることで物理吸着能力の高い塩基添着活性炭となり、酢酸の脱離量が低くかつトルエンの飽和吸着量が向上した。そのため、得られた濾材を加工したフィルターは、空気清浄機に搭載した際のタバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が小さく、使用者が不快に感じにくい、すなわち長寿命なエアフィルターであった。
 実施例5では、無機粒子からなるアルデヒド吸着剤の平均粒子径が、酸添着活性炭および塩基添着活性炭の平均粒子径の1/10、すなわち(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A1)酸添着活性炭の平均粒子径が1000、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が1000とした。その結果、無機粒子の介在により活性炭への添着成分であるオルソリン酸と炭酸水素ナトリウムの接触による中和反応が抑制されるため、長期保管後もアンモニアガスと酢酸ガスの吸着性能が維持されていた。また、得られた濾材を加工したフィルターは、空気清浄機に搭載した際のホルムアルデヒドの清浄能力(F-CADR)の性能も良好で、タバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が小さくかつ不快な臭気を感じにくい、すなわち長寿命なエアフィルターであった。
 実施例6では、実施例1~5と比較して、酸添着活性炭および塩基添着活性炭の全細孔の細孔容積に対し細孔径が0.4~2.0nmの細孔による細孔容積の割合が高いものを用いているため、実施例1~5と比較してトルエン、酢酸吸着後のそれぞれの脱離率が減少した。また、得られた濾材を加工したフィルターは、空気清浄機に搭載した際のホルムアルデヒドの清浄能力(F-CADR)の性能も良好で、タバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が小さくかつ不快な臭気を感じにくい、すなわち長寿命なエアフィルターであった。
 比較例1は、塩基添着活性炭を含まないため、空気中の酢酸ガスは全て活性炭の物理吸着特性で吸着され、吸着後の酢酸の脱離率が著しく高かった。そのため、フィルターに加工し、空気清浄機に搭載した場合、タバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が高く、不快度の高い臭気が感じられた。
 比較例2は、酸添着活性炭を含まないため、アンモニアの飽和吸着容量が著しく低かった。そのため、フィルターに加工し、空気清浄機に搭載した場合、アンモニア成分を高濃度含むタバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が高く、不快度の高い臭気が感じられた。また、塩基添着活性炭の影響でガス吸着剤全体のpHがアルカリサイドに変化し、ホルムアルデヒド吸着性能の低下が発生したと考えられ、ホルムアルデヒド清浄能力(F-CADR)の低下が見られた。
 比較例3は、アルデヒド化学吸着剤を使用していないため、フィルターに加工し、空気清浄機に搭載した際のホルムアルデヒドの清浄能力(F-CADR)の性能が低かった。また、酸添着活性炭と塩基添着活性炭が密着し、添着薬剤の中和反応によりアンモニアや酢酸の吸着性能が低下したため、フィルターに加工し、空気清浄機に搭載した際に、タバコ臭気吸着後のガス成分の再放出量が多くなり、2次発臭の強度が強く、不快度の高い臭気が感じられた。
 比較例4は、酸添着活性炭、塩基添着活性炭、およびアルデヒド吸着剤を配合したガス吸着剤を用いており、フィルターに加工し空気清浄機に搭載した際のホルムアルデヒドの清浄能力(F-CADR)の性能も良好で、タバコ臭気吸着後の2次発臭の臭気強度が小さくかつ不快な臭気を感じにくいエアフィルターであった。しかし、酸添着活性炭および塩基添着活性炭の平均粒子径が0.5mmより小さいため、シートの圧力損失が高く、通気抵抗の大きいフィルターであった。
 比較例1~4の酸添着活性炭および塩基添着活性炭は実施例で用いられた添着活性炭より粒径が小さく、すなわち、酸添着活性炭および塩基添着活性炭の平均粒子径が0.5mmより小さく、圧力損失が実施例より高い結果となった。実施例6はアルデヒド吸着剤と薬品添着活性炭の量は比較例1~4と同量であるが、酸添着活性炭および塩基添着活性炭の平均粒子径が0.6mmであり、比較例での平均粒子径より大きいため、比較例1~4に比べ圧力損失が低い結果であった。
 本発明によるガス吸着剤は、主に家庭用空気清浄機に搭載され、室内空気を清浄化するためのエアフィルターおよび濾材に使用される。
1:サンプルホルダー
2:ダスト収納箱
3:流量計
4:流量調整バルブ
5:ブロワ
6:パーティクルカウンター
7:切替コック
8:圧力計
9:除電装置
M:測定サンプル

Claims (6)

  1.  (A1)酸添着活性炭、(A2)塩基添着活性炭および(B)アルデヒド吸着剤を含むガス吸着剤であって、(A1)酸添着活性炭および(A2)塩基添着活性炭の合計質量(M)と、(B)アルデヒド吸着剤の質量(M)の比率が、(M):(M)=95:5~20:80であり、(A1)酸添着活性炭の平均粒子径が0.5~1.5mm、(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が0.5~1.5mmであり、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A1)酸添着活性炭の平均粒子径が120~1500、(B)アルデヒド吸着剤の平均粒子径を100として(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が120~1500である、ガス吸着剤。
  2.  (A1)酸添着活性炭の平均粒子径が0.6~1.5mm、(A2)塩基添着活性炭の平均粒子径が0.6~1.5mmである、請求項1に記載のガス吸着剤。
  3.  (A1)酸添着活性炭のMP法により算出される細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、(A1)酸添着活性炭のMP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%であること、および(A2)塩基添着活性炭のMP法により算出される細孔径が0.4~2.0nmの細孔の細孔容積の割合が、(A2)塩基添着活性炭のMP法およびBJH法により算出される細孔径が0.4nm以上の細孔の細孔容積に対し75~100%であること、の少なくともいずれか一方を満たす請求項1または2に記載のガス吸着剤。
  4.  請求項1~3のいずれかに記載のガス吸着剤を含む、ガス吸着シート。
  5.  2層以上の不織布およびガス吸着剤を含む濾材であって、該ガス吸着剤が請求項1~3のいずれかに記載のガス吸着剤であり、2層以上の不織布により形成される1つ以上の層間の少なくとも1つに該ガス吸着剤が保持されている、濾材。
  6.  請求項5に記載の濾材を備える、エアフィルター。
PCT/JP2023/036837 2022-10-25 2023-10-11 ガス吸着剤ならびにそれを用いたガス吸着シート、濾材およびエアフィルター WO2024090205A1 (ja)

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