JP4244497B2 - 車両のカウル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両のカウル構造に係り、特に、ワイパー装置が配設された自動車等の車両のカウル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両のカウル構造は、その一例が特開平11−165654号公報、特開平11−165613号公報に示されている。
【0003】
図13に示される如く、特開平11−165654号公報の構造では、シール部材100は所定の剛性を有する樹脂製のフードシール取付手段102で支持されている。また、フード104に略上方から荷重が作用し、シール部材100を介してフードシール取付手段102に荷重が作用すると、フードシール取付手段102のリブ106が車体後方側106Aにおいて破断しエネルギーを吸収する。また、フードシール取付手段102の前部が、カウルフロント108のフランジ108Aとともに略下方へ折れ曲がり、フード104とリブ106との干渉を低減できるようになっている。
【0004】
また、図14に示される如く、特開平11−165613号公報の構造では、ワイパーピボットアンダ110がパイプ材で構成されており、上端開口部110A内にワイパーピボットアッパ112の下端部が挿入され、ワイパーピボットアンダ110の上端開口部110Aとワイパーピボットアッパ112の下端部とがカシメにより固定されている。このカシメによる結合力は、ワイパピボット軸方向(矢印Y方向)の所定値を越えた荷重がワイパーピボット114に作用した場合に、外れるようになっており、カシメが外れると、図14に二点鎖線で示すように、ワイパーピボットアッパ112がワイパーピボットアンダ110内に移動するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの構造においても、所定のエネルギー吸収効果は得られるものの、エネルギー吸収効果を更に向上できる車両のカウル構造が望まれている。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、エネルギー吸収効果を向上できる車両のカウル構造を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、ワイパー装置が配設された車両のカウル構造であって、
カウルルーバに設けられた当接手段と、
前記ワイパー装置に設けられ前記当接手段を支持する支持手段と、
を有することを特徴とする。
【0008】
従って、略上方からのカウルルーバに作用する衝撃荷重を、カウルルーバに設けられた当接手段と、ワイパー装置に設けられ当接手段を支持する支持手段とによって、カウルルーバからワイパー装置へも伝達できると共に、支持手段により確実にカウルルーバが支持されるので、衝突体の衝突初期から当接手段または支持手段が確実に変形し、衝撃を効果的に吸収できる。この結果、エネルギー吸収効果を向上できる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の車両のカウル構造において、前記当接手段と前記支持手段とは、少なくともワイパーピボット近傍に設けられていることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1記載の内容に加えて、ワイパーピボット近傍の比較的に剛性が高い部位でカウルルーバを支持できるため、衝突体の衝突初期から当接手段が確実に変形し、衝撃を効果的に吸収できる。この結果、エネルギー吸収効果が更に向上する。
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の車両のカウル構造において、前記ワイパー装置は、少なくともワイパーピボット近傍において車体に支持されていることを特徴とする。
【0012】
従って、請求項2記載の内容に加えて、略上方からの衝撃荷重をカウルルーバからワイパー装置を介して車体へも確実に伝達できる。
【0013】
請求項4記載の本発明は、請求項1記載の車両のカウル構造において、前記ワイパー装置は、車幅方向に延設されて左右のワイパーピボット部を連結する連結部材を有し、前記当接手段は前記連結部材に当接することを特徴とする。
【0014】
従って、請求項1記載の内容に加えて、比較的に剛性が高い連結部材でカウルルーバを支持できるため、エネルギー吸収効果が更に向上すると共に、カウルルーバの支持が確実となる。
【0015】
請求項5記載の本発明は、請求項1記載の車両のカウル構造において、前記カウルルーバは、前記ワイパーピボットの上方を覆う隠蔽部を有することを特徴とする。
【0016】
従って、請求項1記載の内容に加えて、ワイパー格納時の見栄えが向上すると共に、隠蔽部材が介在することで、衝突体とワイパーピボットの上端部との接触を防止でき、ワイパーピボットが略下方へ移動する際の衝突体が受けるショックを低減できる。
【0017】
請求項6記載の本発明は、請求項5記載の車両のカウル構造において、前記隠蔽部は、前記カウルルーバに対して回動可能で且つ一体構造であることを特徴とする。
【0018】
従って、請求項5記載の内容に加えて、隠蔽部としての新たな部品を設ける必要が無く、部品点数を低減できる。
【0019】
請求項7記載の本発明は、請求項5記載の車両のカウル構造において、前記隠蔽部は、前記カウルルーバに取付けられた別部品であることを特徴とする。
【0020】
従って、請求項5記載の内容に加えて、隠蔽部をカウルルーバと一体化する場合に比べ、カウルルーバの型構造の複雑化を回避できる。
【0021】
請求項8記載の本発明は、請求項1または請求項5の何れかに記載の車両のカウル構造において、前記当接手段は、車幅方向に沿って所定の間隔で配設された車体前後方向に延びる複数のリブであることを特徴とする。
【0022】
従って、請求項1または請求項5の何れかに記載の内容に加えて、カウルルーバの外気取り入れ用の開口部面積を縮小することなく、エネルギー吸収効果を向上できる。
【0023】
請求項9記載の本発明は、請求項1または請求項5の何れかに記載の車両のカウル構造において、前記カウルルーバは、少なくとも前部がフードの後端部によって実質的に覆われていることを特徴とする。
【0024】
従って、請求項1または請求項5の何れかに記載の内容に加えて、ワイパー格納時の見栄えが向上する。
【0025】
請求項10記載の本発明は、請求項9に記載の車両のカウル構造において、前記カウルルーバは、フードの後端部の下面側と接近した位置に、車幅方向に沿って所定の間隔で配設された車体前後方向に延びる複数のリブを有することを特徴とする。
【0026】
従って、請求項9に記載の内容に加えて、衝突体の衝突初期から、フードの後端部とカウルルーバのリブとが当接し、リブが確実に変形するため、衝撃を効果的に吸収できる。この結果、エネルギー吸収効果を向上できる。また、リブによって、カウルルーバの外気取入れ用の開口部面積を縮小することも無い。
【0027】
請求項11記載の本発明は、請求項1、5、9の何れかに記載の車両のカウル構造において、前記ワイパーピボットは、上方からの衝撃荷重に対して下方へスライド可能であることを特徴とする。
【0028】
従って、請求項1、5、9の何れかに記載の内容に加えて、ワイパーピボットのスライドによっても衝撃を吸収できる。この結果、エネルギー吸収効果を更に向上できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係る車両のカウル構造の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0030】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を示す。
【0031】
図4に示される如く、本実施形態では、自動車車体のフード10の後部にカウルルーバ12が配設されており、このカウルルーバ12には、外気を取り入れる開口部としての車体前後方向の延びるスリット14が車幅方向に沿って所定の間隔で複数形成されている。
【0032】
図1に示される如く、カウルルーバ12には、貫通孔16が形成されており、この貫通孔16を貫通するワイパーピボット18の上端部にワイパー装置の一部を構成するワイパーアームアッセンブリ20がナット22によって固定されている。また、カウルルーバ12の下方にはワイパー装置の一部を構成するワイパーリンクアッセンブリ24が配設されている。
【0033】
図3に示される如く、ワイパーリンクアッセンブリ24は、ワイパーピボット18を支持する支持手段としてのピボット軸支持部材28、モータ30を支持するモータ支持部材32、及び左右のピボット軸支持部材28を連結するロッド34と、左右のワイパーピボット18を回転させるためのリンク36を備えている。また、ワイパーリンクアッセンブリ24は、カウルパネル38に溶接されたブラケット40、42、44にそれぞれボルト46によって固定されている。
【0034】
カウルパネル38は車体右側のフロントピラー48と車体左側のフロントピラー(図示省略)を連結している。カウルパネル38の車体後側部には車幅方向に沿ってカウルリインホースメント50が溶接されており、カウルパネル38とカウルリインホースメント50とで、車体の骨格となる閉断面構造を形成している。また、カウルパネル38は車幅方向両端部には、フロントピラー48から車体前方へ向かってカウルサイドメンバ52が延設されており、このカウルサイドメンバ52はサスペンション(図示省略)を支持する構造体の一部となっている。
【0035】
図1に示される如く、フード10の後部下面側には、フードインナパネル54が配設されている。フードインナパネル54の断面形状は、開口部を上方へ向けたハット状とされており、開口前部に形成された前フランジ54Aがフード10の下面10Aに接着されている。また、フードインナパネル54の開口後部に形成された後フランジ54Bは、フード10の後端縁部10Bにヘミング加工によって固定されている。
【0036】
車幅方向に延びるカウルパネル38は、側断面形状が開口部を上方へ向けたハット状になっており、カウルパネル38の前縦壁部38Aの上端部には、略前方へ向けてフランジ38Bが形成されている。カウルパネル38のフランジ38B上には、カウルルーバ12の前端部に一体形成されたフードシール取付部12Bが載置されており、フードシール取付部12Bにはフードシール56が配設されている。
【0037】
カウルルーバ12における外装部12Cの前部12Dは、上方へ膨出されボルト22より上方に突出しており、フード10と略面一となっている。また、カウルルーバ12における前部12Dの下面側には、衝撃を吸収する当接手段としてのリブ58が形成されている。リブ58は車体前後方向に沿って延設されており、車幅方向に所定の間隔で複数個形成されている。また、それぞれのリブ58は、隣接するスリット14の間に形成されており、スリット14の開口面積を犠牲にしないようになっている。リブ58の後端下部58Aは、ピボット軸支持部材28の前部上面28Aに当接しており、衝突体60が略上方(図1の矢印A方向)から、カウルルーバ12の外装部12Cに当接した場合には、衝撃荷重が、リブ58、ピボット軸支持部材28、ブラケット40またはブラケット44を経てカウルパネル38に伝達されると共に、リブ58が変形するようになっている。
【0038】
また、ワイパーピボット18はピボット軸支持部材28に形成された円筒状の支持部28B内に挿通されており、ピボット軸方向(矢印B方向)の所定値を越えた荷重が、ワイパーピボット18に作用した場合には、ワイパーピボット18とピボット軸支持部材28との係止部が外れ、図2に二点鎖線で示すように、ワイパーピボット18がピボット軸支持部材28に対して略下方(矢印B方向)へ移動するようになっている。
【0039】
次に本実施形態の作用を説明する。
【0040】
図1に示される如く、衝突体60が略上方(図1の矢印A方向)から、ワイパーピボット18に接近した場合に、衝突体60は、先ず、カウルルーバ12の外装部12Cに当接する。従って、衝突体60による衝撃荷重は、カウルルーバ12のリブ58、ピボット軸支持部材28、ブラケット40またはブラケット44を経てカウルパネル38に伝達される。この結果、衝突体60の衝突初期からリブ58が効果的に変形し衝撃を吸収する。
【0041】
次に、衝突体60がワイパーピボット18のナット22に当接し、ピボット軸方向(矢印B方向)の所定値を越えた荷重が、ワイパーピボット18に作用した場合には、図2に示すように、ワイパーピボット18がピボット軸支持部材28に対して矢印B方向へ移動し、カウルルーバ12における貫通孔16の周囲を破断し、ワイパーアームアッセンブリ20がピボット軸支持部材28に当接して停止する。この移動の間もカウルルーバ12のリブ58が変形し続け衝撃を吸収する。
【0042】
即ち、本実施形態では、上方からの衝撃荷重をカウルルーバ12からワイパーリンクアッセンブリ24へ伝達できるとともに、ピボット軸支持部材28により確実にカウルルーバ12が支持されるので、衝突体60の衝突初期からリブ58が効果的に変形し衝撃を効果的に吸収できる。この結果、図13及び図14に示す従来技術に比べエネルギー吸収効果を向上できる。
【0043】
また、本実施形態では、リブ58とピボット軸支持部材28とがワイパーピボット18近傍に設けられているため、ワイパーピボット18近傍の比較的に剛性が高い部位でリブ58及びピボット軸支持部材28とを支持できるため、リブ58を効果的に変形させることができ、衝撃吸収効果が更に向上する。
【0044】
また、本実施形態では、ワイパーリンクアッセンブリ24が、ワイパーピボット18の近傍において、ブラケット40、44によって、車体の骨格となる閉断面構造を形成しているカウルパネル38に支持されているため、略上方からの衝撃荷重をカウルルーバ12からワイパーリンクアッセンブリ24を介して車体へも伝達できる。
【0045】
また、本実施形態では、リブ58の肉厚及び枚数を変更することで、衝撃吸収性能を容易に調整できる。
【0046】
また、本実施形態では、ワイパーピボット18が、略上方からの衝撃荷重に対して下方へスライド可能であるため、スライド開始時の衝撃荷重とリブ58の肉厚及び枚数とを調整することにより最適な衝撃吸収性能が得られる。
【0047】
また、本実施形態では、当接手段をカウルルーバ12に車幅方向に沿って所定の間隔で配設された複数のリブ58としたため、カウルルーバ12における外気取り入れ用スリット14の開口面積を縮小することなく、エネルギー吸収効果を向上できる。
【0048】
なお、図5に示される如く、カウルルーバ12に形成したリブ58を後方へ延設した延設部58Bを、左右のピボット軸支持部材28を連結する支持手段としてのロッド34に当接させても良い。この場合には、上方からの衝撃荷重をロッド34にも伝達できると共に、カウルルーバ12をロッド34によっても支持できるため、カウルルーバ12の支持が確実となる。
【0049】
次に、本発明に係る車両のカウル構造の第2実施形態を図6及び図7に従って説明する。
【0050】
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図7に示される如く、本実施形態では、カウルルーバ12の後端部にひさし部12Cが形成されており、このひさし部12Cにおけるワイパーピボット18と対向する部位には、ワイパーピボット18の上方を覆う隠蔽部としての蓋部68が形成されている。
【0052】
図6に示される如く、カウルルーバ12の蓋部68は、カウルルーバ12と一体構造とされており、インテグラルヒンジ12Eによって略前方(図6の矢印C方向)へ回動し、図6に一点鎖線及び二点鎖線で示す位置へ移動可能となっている。また、蓋部68の下面側にはリブ12Fが形成されており、このリブ12Fは、ナット22と当接した際に変形するようになっている。
【0053】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0054】
本実施形態では、第1実施形態に記載の作用効果に加えて、カウルルーバ12の蓋部68によって、ワイパーピボット18を覆い隠すことができるため、ワイパー格納時の見栄えを向上できる。また、蓋部68を、インテグラルヒンジ12Eによって略前方(図6の矢印B方向)へ回動し、図6に一点鎖線示す位置へ移動することで、ナット22の着脱作業が容易に行える。
【0055】
また、衝突体60(図1参照)とナット22との間に蓋部68が介在するため、衝突体60とナット22との接触を防止することができ、ワイパーピボット18が移動する際の衝突体60が受けるショックを低減できる。
【0056】
また、本実施形態では、カウルルーバ12の蓋部68は、カウルルーバ12と一体構造とされているため、新たな部品を設ける必要が無く、部品点数を低減できる。
【0057】
次に、本発明に係る車両のカウル構造の第3実施形態を図8及び図9に従って説明する。
【0058】
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図9に示される如く、本実施形態では、カウルルーバ12の後端部にひさし部12Cが形成されており、このひさし部12Cにおけるワイパーピボット18と対向する部位には、ワイパーピボット18の上方を覆う隠蔽部としての樹脂材から成るパネル70が配設されている。また、パネル70は、車幅方向略中央部から車幅方向右側端部近傍まで延設されている。
【0060】
図8に示される如く、パネル70の前部の下面側にはクリップ部70Aが車幅方向に沿って所定の間隔を開けて複数個形成されており、これらのクリップ部70Aは、カウルルーバ12に形成された複数の取付孔72に着脱可能に取り付けられている。また、パネル70の後部の下面側にはリブ70Bが形成されており、このリブ70Bは、ナット22と当接した際に変形するようになっている。
【0061】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0062】
本実施形態では、第1実施形態に記載の作用効果に加えて、カウルルーバ12に取り付けたパネル70によって、ワイパーピボット18を覆い隠すことができるため、ワイパー格納時の見栄えを向上できると共に、パネル70をカウルルーバ12から取り外すことで、ナット22の着脱作業が容易に行える。
【0063】
また、衝突体60(図1参照)とナット22との間にパネル70が介在するため、衝突体60とナット22との接触を防止することができ、ワイパーピボット18が移動する際の衝突体60が受けるショックを低減できる。
【0064】
また、本実施形態では、パネル70をカウルルーバ12と別部材としたため、第2実施形態のようにカウルルーバ12の形状が複雑にならない。この結果、カウルルーバ12における型構造の複雑化を回避できる。
【0065】
次に、本発明に係る車両のカウル構造の第4実施形態を図10及び図11に従って説明する。
【0066】
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図10に示される如く、本実施形態では、カウルルーバ12の前部がフード10の後端部10Cによって実質的に覆われており、ワイパーピボット18の軸延長線Lの近傍をフード10の後端部10Cが実質的に覆っている。このため、フード10の後部剛性を受け持つフード10の後側骨部部80が、カウルルーバ12のスリット14への空気の取り入れを邪魔しないように、フード10の後端より前方側に離れた位置に設定されている。
【0068】
また、本実施形態では、カウルルーバ12における外装部12Cの前部12Dが、略平板状となっており、前部12Dの上面には、リブ58と同一位置に、フード10に向かって車体前後方向に延びるリブ76が車幅方向に沿って所定の間隔で複数個形成されている。なお、リブ76はボルト22より上方に突出されている。
【0069】
図11に示される如く、各リブ76はそれぞれ隣接するスリット14の間に形成されており、スリット14の開口面積を犠牲にしないようになっている。
【0070】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0071】
本実施形態では、第1実施形態に記載の作用効果に加えて、図10に示される如く、衝突体60(図1参照)が略上方(図10の矢印A方向)から、フード10の後端部10Cに当接し、フード10の後端部10Cが変形した場合に、リブ76がフード10の後端部10Cに当接する。従って、衝突体60による衝撃荷重は、フード10、カウルルーバ12のリブ76、リブ58、ピボット軸支持部材28、ブラケット40またはブラケット44を経てカウルパネル38に伝達される。この結果、リブ76及びリブ58が効果に変形し、衝突体60がフード10の後端部10Cに衝突した初期から衝撃を効果的に吸収できる。
【0072】
また、本実施形態では、リブ76、58が車幅方向に所定の間隔で、隣接するスリット14の間に形成されており、スリット14の開口面積を犠牲にしないようになっている。このため、カウルルーバの外気取り入れ用の開口部面積を縮小することなく、エネルギー吸収効果を向上できる。
【0073】
また、本実施形態では、カウルルーバ12の前部がフード10の後端部10Cによって実質的に覆われているため、ワイパー格納時のカウルルーバ12周りの見栄えを向上できる。
【0074】
なお、本実施形態では、カウルルーバ12における外装部12Cの前部12Dを略平板状としたが、これに代えて、図12に示される如く、カウルルーバ12における外装部12Cの前部12Dをフード10の後端部10Cに向けて膨出させ、前部12Dの下面側に形成したリブ80によって、第1実施形態のリブ58と第4実施形態のリブ76の代わりとする構成としても良い。
【0075】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、リブ58、76、80の形状は図1、図10、図12に示される形状に限定されない。また、ワイパーピボット18が、略上方からの衝撃荷重に対して下方へスライドする機構は、図14に示される機構等の他の機構としても良い。
【0076】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明は、ワイパー装置が配設された車両のカウル構造であって、カウルルーバに設けられた当接手段と、ワイパー装置に設けられ当接手段を支持する支持手段と、を有するため、エネルギー吸収効果を向上できるという優れた効果を有する。
【0077】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の車両のカウル構造において、当接手段と支持手段とは、少なくともワイパーピボット近傍に設けられているため、請求項1記載の効果に加えて、エネルギー吸収効果が更に向上するという優れた効果を有する。
【0078】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の車両のカウル構造において、ワイパー装置は、少なくともワイパーピボット近傍において車体に支持されているため、請求項2記載の効果に加えて、衝撃荷重を車体へも確実に伝達できるという優れた効果を有する。
【0079】
請求項4記載の本発明は、請求項1記載の車両のカウル構造において、ワイパー装置は、車幅方向に延設されて左右のワイパーピボット部を連結する連結部材を有し、当接手段は前記連結部材に当接するため、請求項1記載の効果に加えて、エネルギー吸収効果が更に向上すると共に、カウルルーバの支持が確実となるという優れた効果を有する。
【0080】
請求項5記載の本発明は、請求項1記載の車両のカウル構造において、カウルルーバは、ワイパーピボットの上方を覆う隠蔽部を有するため、請求項1記載の効果に加えて、ワイパー格納時の見栄えが向上すると共にワイパーピボットが略下方へ移動する際の衝突体が受けるショックを低減できるという優れた効果を有する。
【0081】
請求項6記載の本発明は、請求項5記載の車両のカウル構造において、隠蔽部は、カウルルーバに対して回動可能で且つ一体構造であるため、請求項5記載の効果に加えて、部品点数を低減できるという優れた効果を有する。
【0082】
請求項7記載の本発明は、請求項5記載の車両のカウル構造において、隠蔽部は、カウルルーバに取付けられた別部品であるため、請求項5記載の効果に加えて、隠蔽部をカウルルーバと一体化する場合に比べ、カウルルーバの型構造の複雑化を回避できるという優れた効果を有する。
【0083】
請求項8記載の本発明は、請求項1または請求項5の何れかに記載の車両のカウル構造において、当接手段は、車幅方向に沿って所定の間隔で配設された車体前後方向に延びる複数のリブであるため、請求項1または請求項5の何れかに記載の効果に加えて、カウルルーバの外気取り入れ用の開口部面積を縮小することなく、エネルギー吸収効果を向上できるという優れた効果を有する。
【0084】
請求項9記載の本発明は、請求項1または請求項5の何れかに記載の車両のカウル構造において、カウルルーバは、少なくとも前部がフードの後端部によって実質的に覆われているため、請求項1または請求項5の何れかに記載の効果に加えて、ワイパー格納時の見栄えが向上するという優れた効果を有する。
【0085】
請求項10記載の本発明は、請求項9に記載の車両のカウル構造において、カウルルーバは、フードの後端部の下面側と接近した位置に、車幅方向に沿って所定の間隔で配設された車体前後方向に延びる複数のリブを有するため、請求項9に記載の内容に加えて、衝突体の衝突初期からエネルギー吸収効果を向上できると共に、カウルルーバの外気取入れ用の開口部面積を縮小することも無いという優れた効果を有する。
【0086】
請求項11記載の本発明は、請求項1、5、9の何れかに記載の車両のカウル構造において、ワイパーピボットは、上方からの衝撃荷重に対して下方へスライド可能であるため、請求項1、5、9の何れかに記載の効果に加えて、エネルギー吸収効果を更に向上できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4の1−1線に沿った断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両のカウル構造を示す作用説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両のカウル構造におけるワイパーリンクアッセンブリを示す車両斜め前方から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両のカウル構造を示す車両斜め前方から見た斜視図である。
【図5】図4の5−5線に沿った断面図である。
【図6】図7の6−6線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車両のカウル構造を示す車両斜め前方から見た斜視図である。
【図8】図9の8−8線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る車両のカウル構造を示す車両斜め前方から見た斜視図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る車両のカウル構造を示す図1に対応する断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る車両のカウル構造におけるカウルルーバを示す車両斜め前方から見た斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態の変形例に係る車両のカウル構造を示す図1に対応する断面図である。
【図13】従来の実施形態に係る車両のカウル構造を示す側断面図である。
【図14】従来の実施形態に係る車両のカウル構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 フード
10C フードの後端部
12 カウルルーバ
14 スリット
18 ワイパーピボット
20 ワイパーアームアッセンブリ(ワイパー装置)
24 ワイパーリンクアッセンブリ(ワイパー装置)
28 ピボット軸支持部材(支持手段)
34 ロッド(支持手段)
38 カウルパネル
58 リブ(当接手段)
60 衝突体
68 カウルルーバの蓋部(隠蔽部)
70 パネル(隠蔽部)
76 リブ
80 リブ
Claims (11)
- ワイパー装置が配設された車両のカウル構造であって、
カウルルーバに設けられた当接手段と、
前記ワイパー装置に設けられ前記当接手段を支持する支持手段と、
を有することを特徴とする車両のカウル構造。 - 前記当接手段と前記支持手段とは、少なくともワイパーピボット近傍に設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両のカウル構造。
- 前記ワイパー装置は、少なくともワイパーピボット近傍において車体に支持されていることを特徴とする請求項2記載の車両のカウル構造。
- 前記ワイパー装置は、車幅方向に延設されて左右のワイパーピボット部を連結する連結部材を有し、前記当接手段は前記連結部材に当接することを特徴とする請求項1記載の車両のカウル構造。
- 前記カウルルーバは、前記ワイパーピボットの上方を覆う隠蔽部を有することを特徴とする請求項1記載の車両のカウル構造。
- 前記隠蔽部は、前記カウルルーバに対して回動可能で且つ一体構造であることを特徴とする請求項5記載の車両のカウル構造。
- 前記隠蔽部は、前記カウルルーバに取付けられた別部品であることを特徴とする請求項5記載の車両のカウル構造。
- 前記当接手段は、車幅方向に沿って所定の間隔で配設された車体前後方向に延びる複数のリブであることを特徴とする請求項1または請求項5の何れかに記載の車両のカウル構造。
- 前記カウルルーバは、少なくとも前部がフードの後端部によって実質的に覆われていることを特徴とする請求項1または請求項5の何れかに記載の車両のカウル構造。
- 前記カウルルーバは、フードの後端部の下面側と接近した位置に、車幅方向に沿って所定の間隔で配設された車体前後方向に延びる複数のリブを有することを特徴とする請求項9に記載の車両のカウル構造。
- 前記ワイパーピボットは、上方からの衝撃荷重に対して下方へスライド可能であることを特徴とする請求項1、5、9の何れかに記載の車両のカウル構造。
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