JP4241766B2 - 照明ランプ用冷電子放出素子 - Google Patents

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本発明は、強電界によって冷電子を放出する電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、光プリンタ、電子顕微鏡、電子ビーム露光装置などの電子発生源や電子銃として、あるいは照明ランプの超小型照明源として、また特に、平面ディスプレイを構成するアレイ状のFEA(FieldEmitter Array)の電子発生源として有用な、冷電子放出素子及びその製造方法に関する。
従来より、電子ディスプレイデバイスとして、陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は電子銃のカソードから熱電子を放出させるためにエネルギー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要とするなどの問題があった。
このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に、近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
このような冷電子を利用する平面型ディスプレイの構造としては、高真空の平板セル中に微小な電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されている。そして、そのために使用する電子放出素子として、電界放射現象を利用した電界放射型の冷電子放出素子が注目されている。この電界放射型の冷電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が107V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになり、そのため物質から電子が放出されるという現象を利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材(エミッタ)に電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる。
このような電界放射型の冷電子放出素子の一般的なものとしては、例えば図4に示すように先端が尖った円錐形の冷電子放出素子を例示することができる。この素子においては、絶縁性基板41上に導電層42、絶縁層43及びゲート電極44が順次積層されており、その絶縁層43及びゲート電極44には導電層42に達する開口部B(ゲート孔)が形成されている。
そして、その開口部B内の導電層42上には、ゲート電極44に接触しないように、点状突起を有する円錐形状のエミッタ45が形成されている。このような円錐形エミッタではスピント型エミッタが広く知られている。
スピント型エミッタを備えた冷電子放出素子の製造例を、図5(a)〜(d)を参照しながら説明する。
まず、図5(a)に示すように、予め導電層52が形成された絶縁性基板51上に、絶縁層53及びゲート電極層54をスパッタ法又は真空蒸着法等により順次成膜する。続いて、フォトリソグラフィー法と反応性イオンエッチング法(RIE)とを利用して絶縁層53及びゲート電極層54の一部を、導電層52が露出するまで円形の孔(開口部B;ゲート孔)が開口するようにエッチングする。
次に、図5(b)に示すように、回転斜方蒸着によりリフトオフ材をゲート電極54上面と側面にのみ蒸着して剥離層55(リフトオフ層)を形成する。リフトオフ材の材料としては、Al、MgO等が多く使用されている。
続いて、図5(c)に示すように、導電層52上に、その垂直な方向から通常の異方性蒸着(垂直蒸着)により、エミッタ56用の金属材料を蒸着する。このとき、蒸着の進行につれてゲート孔Bの開口径が狭まると同時に、導電層52上に円錐形のエミッタ56が自己整合的に形成される。蒸着は最終的にゲート孔Bが閉じるまで行なう。エミッタの材料としては、Mo、Ni等を使用することができる。
最後に、図5(d)に示すように、リフトオフ材による剥離層55をエッチングにより剥離し、必要に応じてゲート電極層54をパターニングしてゲート電極を形成する。これにより、スピント型エミッタを備えた冷電子放出素子が得られる。
このようなスピント型エミッタを備えた冷電子放出素子は、異方性蒸着法により自己整合的に円錐形状のエミッタを簡便に形成でき、更にエミッタ材料が広範囲に選定できるという利点を有している。
ところで、スピント型エミッタに代表される、微細加工技術を利用した冷電子放出素子を特に平面ディスプレイ等に適用する場合、エミッタからのエミッション電流の変動が小さいことが、高品位の画質を得るには必要不可欠である。
エミッション電流の変動は、エミッタを集積化することで、ある程度低減することが可能である。これは、集積化により個々のエミッタにおけるエミッション特性のばらつきの影響が低減されるためである。しかしながら、この方法では各エミッタからのエミッション電流を見かけ上平均化するにすぎないため、局所的に現れる異常に大きなエミッション電流を抑制することは不可能である。
このようなエミッション電流の変動を低減する手段として、米国特許第3789471号明細書では、スピント型エミッタにおいて、導電層とエミッタの間に抵抗層を設ける技術が示されている。
このような抵抗層を具備した冷電子放出素子の構成例を、図6を参照しながら説明する。
絶縁性基板61上に導電層62、抵抗層63、絶縁層64及びゲート電極層65(又は適宜パターン形成されたゲート電極)が順次積層されており、その絶縁層64及びゲート電極層65には、抵抗層63に達する開口部B(ゲート孔)が形成されている。そして、その開口部B内の抵抗層63上には、ゲート電極層65に接触しないように円錐形状のエミッタ66が形成されている。
この場合、前記抵抗層63は、導電層62とエミッタ66間に電気的に直列に挿入されている。この抵抗層63により、素子間の電流を均一化する作用が得られ、さらに素子破壊につながる大電流を低減するとともに、エミッション電流の変動も抵抗層63の抵抗値に比例して減少させることが可能となる。抵抗層63の比抵抗は102〜106Ω・cmが適当とされている。
一方、半導体集積回路製造技術を応用したシリコンエミッタも、また広く知られている。(Tech.Dig.IVMC.,(1991)p26)
シリコンエミッタを備えた冷電子放出素子の製造例を、図7(a)〜(e)を参照しながら説明する。
まず、図7(a)に示すように、単結晶シリコン基板71を熱酸化して表面に酸化シリコン層を形成し、その酸化シリコン層をフォトリソグラフィー法を利用して円形にパターニングすることにより、円形のエッチングマスク用酸化シリコン層72を形成する。この酸化シリコン層72は、後述するようにリフトオフ材(剥離層)としても機能する。なお、酸化シリコン層72の径は、ほぼゲート孔径に相当する。
次に、図7(b)に示すように、サイドエッチレートの高い条件の反応性イオンエッチング法(RIE)によりシリコン基板71をエッチングし、エミッタ73を形成する。
続いて、図7(c)に示すように、熱酸化によりシリコン基板71及びエミッタ73の表面にエミッタ先端先鋭化用酸化シリコン層74を形成する。この酸化シリコン層74の形成時に発生する応力により、酸化シリコン層74の内側のエミッタ73の先端が容易に尖鋭化される。
そして、図7(d)に示すように、異方性蒸着法(単結晶シリコン基板71に対して垂直方向の垂直蒸着法)により、絶縁層75、ゲート電極層76を積層する。
最後に、図7(e)に示すように、リフトオフ材としても機能するエッチングマスク用酸化シリコン層72をエッチングによりリフトオフし、更に、エミッタ73の表面の酸化シリコン層74をエッチング除去する。そして必要に応じてゲート電極層76をパターニングする。これによりシリコンエミッタを備えた冷電子放出素子が得られる。
さらに最近、シリコンエミッタにおいて、シリコンの半導体としての性質を利用して高度な電流制御が可能であることが示されている。(Jpn.Appl.Phys.vol.35(1996)p6637)
このような電流制御機能を搭載したシリコンエミッタはMOSFET構造エミッタと称される。このMOSFET構造エミッタを備えた冷電子放出素子の構成を図8を参照しながら説明する。
p型シリコン基板81の同一平面上に、n型シリコンからなる円錐形のエミッタ82と、n型シリコン層83を介してエミッタ配線層84が設けられ、エミッタ82とエミッタ配線層84の間に絶縁層85を介してゲート電極層86(又はゲート電極)が設置されている。即ち、このエミッタではMOSFET(metal−oxide−semiconductor field−effect−transistor)構造を冷電子放出素子に内蔵した構造をもち、冷電子放出素子のエミッタ配線層84が、MOSFETのソース、エミッタ82がドレイン、ゲート電極86がゲート、絶縁層85がゲート絶縁層としてそれぞれ機能する。
MOSFET構造エミッタを備えた冷電子放出素子の製造例を、図9(a)〜(g)を参照しながら説明する。
まず、図9(a)に示すように、単結晶のp型シリコン基板91を熱酸化して表面に酸化シリコン層92を形成し、その酸化シリコン層92をフォトリソグラフィー法を利用して円形にパターニングすることにより、円形のエッチングマスク用酸化シリコン層92を形成する。この酸化シリコン層92は後述するようにリフトオフ材(剥離層)としても機能する。なお、酸化シリコン層92の径は、ほぼゲート孔径に相当する。
次に、図9(b)に示すように、サイドエッチレートの高い条件の反応性イオンエッチング法(RIE)によりp型シリコン基板91をエッチングし、エミッタ93を形成する。
続いて、図9(c)に示すように、熱酸化によりp型シリコン基板91及びエミッタ93の表面にエミッタ先端先鋭化用ならびに絶縁層用酸化シリコン層94を形成する。この酸化シリコン層94の形成時に発生する応力により、酸化シリコン層94の内側のエミッタ93の先端が容易に尖鋭化される。
そして、図9(d)に示すように酸化シリコン層92、酸化シリコン層94上よりゲート電極層95を異方性蒸着法(垂直蒸着法)により成膜し、エミッタ93に隣接するゲート電極層95にフォトリソグラフィー法を利用してエミッタ配線用の円形孔パターン98を形成する。
次に、図9(e)に示すように、リフトオフ材としても機能するエッチングマスク用酸化シリコン層92をエッチングによりリフトオフし、更に、エミッタ93の表面及び円形孔パターン98内の酸化シリコン層94をエッチング除去してエミッタ93部分にゲート孔B、円形孔パターン98部分にエミッタ配線孔Cを形成する。
続いて、図9(f)に示すように、エミッタ93及びエミッタ配線孔Cの底部のp型シリコン基板91にリンをイオン注入した後、拡散アニール処理を施し、エミッタ93をn型化するとともに、エミッタ配線孔Cの底部にn型シリコン層96を生成する。
最後に、図9(g)に示すように、エミッタ配線孔C底部のn型シリコン層96上にエミッタ配線用及びゲート配線用電極材料としてアルミニウム等の金属薄膜97を成膜した後、必要に応じてゲート電極層95をパターニングする。これによりMOSFET構造エミッタを備えた冷電子放出素子が得られる。
このようなMOSFET構造を有したシリコンエミッタからなる冷電子放出素子では、従来のシリコンエミッタとほぼ同様の作製工程で容易に作製できるにも関わらず、MOSトランジスタを素子に内蔵することにより、トランジスタ制御された非常に安定したエミッション電流が得られ、且つ局所的な大電流の発生をなくすることができるため素子破壊も原理的に起こり得ないという、大きな特徴を有する。

Tech.Dig.IVMC.,(1991)p26 Jpn.Appl.Phys.vol.35(1996)p6637
しかしながら、電流安定化のために抵抗層を施した冷電子放出素子において、局所的な大電流に対して十分な電流低減特性を得るためには、より大きな抵抗を与える必要が生じるとともに、電流変動も個々の素子の特性に対して相対的に低減できるに止まること、さらには原理的に動作電圧の上昇が避けられないという問題があった。
一方、電流制御機能を搭載したMOSFET構造を有したシリコンエミッタでは、トランジスタ制御による非常に高いレベルでの安定な電流が得られるが、単結晶シリコン基板を必要とすることから、低コスト化及び大面積化が困難であるという問題があった。
また、従来技術による冷電子放出素子においては、素子の駆動電圧はゲート電極にかける冷電子の引き出し電圧(動作電圧)となるため、通常数十ボルト以上の高電圧が必要となり、低コストのIC回路が使用できないため、駆動回路が高価になるという問題があった。
本発明は、以上の従来技術の課題を解決しようとするものであり、半導体薄膜を用いて素子自体に電流制御機能を搭載することで、動作電圧を上昇させることなく局所的な大電流を抑えるとともに電流変動を最小限に低減でき、且つ、ガラス基板等を用いることで低コスト化及び大面積化を容易とし、さらにはスイッチング用電極をゲート電極とは別に設けることで駆動電圧を低下させて回路コストを低減でき、また、電流制御機能を持たない従来の素子と同等のプロセスにより容易に作製できる電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、絶縁性基板上に導電層、絶縁層、ゲート電極が順次積層され、該ゲート電極と絶縁層とには開口部が設けられ、その開口部内にエミッタが該ゲート電極に接触しないように導電層上に形成されてなる電界放射型の冷電子放出素子において、前記導電層が第1の導電層と第2の導電層とにより構成され、両導電層は互いに直接接触しないように絶縁性基板の同一平面上に設けられ、少なくとも第1の導電層と第2の導電層との間の絶縁性基板の同一平面上に非単結晶シリコンからなる半導体薄膜層が設けられ、該半導体薄膜上には前記絶縁層を介してゲート電極と同一材料による第3の導電層が設けられ、前記ゲート電極と第3の導電層は互いに直接接触しないように前記絶縁層の同一平面上に設けられ、前記絶縁層がゲート絶縁層として機能することを特徴とする照明ランプ用冷電子放出素子である。
また本発明の製造方法としては、(a)絶縁性基板上に金属薄膜層を成膜後、該金属薄膜層をフォトリソグラフィー法によりパターニングして第1の導電層と第2の導電層とを互いに直接接触しないように同時に形成し、続いて前記第1の導電層と第2の導電層との間に半導体薄膜層を成膜した後、絶縁層、ゲート電極層を順次成膜する工程、(b)前記ゲート電極層と絶縁層とに対してフォトリソグラフィー法によりゲート電極の開口径に対応した形状のゲート孔を第2の導電層が露出するまで形成する工程、(c)前記ゲート孔を形成したゲート電極層上に前記絶縁性基板に対して回転斜方蒸着法により剥離層を形成した後、該ゲート電極層上より該絶縁性基板に対して垂直方向の異方性蒸着法によりエミッタ材料を成膜することにより第2の導電層上に自己整合的に円錐形状のエミッタを形成する工程、(d)前記ゲート電極層上より剥離層を剥離することにより、ゲート電極層上に成膜した剥離層上のエミッタ材料を剥離除去する工程、(e)前記ゲート電極層をフォトリソグラフィー法によりパターニングしてゲート電極と第3の導電層とを同時に形成する工程、を含むことができる。
また上記(a)の工程において、半導体薄膜層がプラズマエンハンストCVD法で形成された水素化アモルファスシリコン層であることができる。
また上記(a)の工程において、半導体薄膜層が熱CVD法又はプラズマエンハンストCVD法でアモルファスシリコンを成膜した後、アニール処理を施すことにより形成されたポリシリコン層であることができる。
また上記(a)の工程において、絶縁性基板上に成膜した金属薄膜層上にオーミック層を成膜した後、該金属薄膜層とオーミック層とをフォトリソグラフィー法によりパターニングして、オーミック層が成膜された第1の導電層と第2の導電層を形成し、その後、上記(b)の工程において、前記ゲート電極層と絶縁層とに対してフォトリソグラフィー法によりゲート電極の開口径に対応した形状のチャネル孔を第2の導電層が露出するまで形成することができる。
また上記オーミック層が、少なくともシラン及びホスフィンの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたn型の水素化アモルファスシリコン層であることができる。
本発明者は、絶縁性基板上に第1の導電層(ドレイン)と第2の導電層(ソース)を設け、少なくとも、それらの導電層の間隙の絶縁性基板上に非単結晶シリコンからなる半導体薄膜、ゲート絶縁層、第3の導電層(ゲート)を積層して設けることにより薄膜トランジスタ(TFT)構造を実現し、更に、第1の導電層(ドレイン)上には、金属、金属酸化物又は金属窒化物からなるエミッタを形成することにより、単結晶シリコン基板を使用することなく、容易に薄膜トランジスタを冷電子放出素子の中のエミッタ近傍に作り込むことができるようにした。
それにより電流を安定化でき且つ薄膜トランジスタのゲート電極を素子のスイッチング電極として用いることで駆動電圧が低減できる、またさらには、ゲート電極と第3の導電層(TFTゲート)を同一材料の単層薄膜から加工することで同時に作製し、また絶縁膜をTFTゲート絶縁層を共用し同一の単層膜から構成することで、容易な素子構造及び作製方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の冷電子放出素子においては、非単結晶シリコンをチャネルとしたTFT構造を有し、ドレイン電極上に金属、金属酸化物又は金属窒化物でエミッタを構成することにより、絶縁性基板上においてもトランジスタによって高度に制御されたエミッション電流が得られ、且つエミッタのゲート電極(引き出し電極)ではなく、TFTのゲートをスイッチング電極として用いて駆動することにより低電圧駆動を実現することができる。さらに、絶縁層をTFTと共用し、ゲート電極と同一の薄膜からTFTゲートを加工形成することで、上記のような電流制御機能を搭載した素子を容易な作製方法で得ることができる。
本発明によれば、TFT構造を有する金属でエミッタを構成することにより、絶縁性基板上においてもトランジスタによって高度に制御されたエミッション電流が得られ、且つスイッチング用電極をゲート電極とは別に設けることにより駆動電圧の低減を容易に実現する冷電子放出素子を得ることができる。さらに、絶縁層をTFTと共用し、ゲート電極と同一の薄膜からTFTゲートを加工形成することで、電流制御機能を搭載した素子を容易な作製方法で得ることができる。
従って、低コストで大面積化が可能なガラス基板上に、電流安定性が高く且つ低電圧駆動できる冷電子放出素子を得ることができる。更に、フラットパネルディスプレイに応用した場合にも、高速、高精細度の画像が、低消費電力で得ることが可能となる。
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)は、本発明の冷電子放出素子の一例の断面図である。同図に示すように、この冷電子放出素子においては、絶縁性基板1上に、互いに直接接触しないように分離した第1の導電層2と第2の導電層3が設けられ、第1の導電層2と第2の導電層3との上及び第1の導電層2と第2の導電層3の間隙の非導電性部分Aには、非単結晶シリコンからなる半導体薄膜層4が配されている。そして第1の導電層2と第2の導電層3との間隙の非導電性部分A上に相当する半導体薄膜層4上の絶縁層5上には第3の導電層6が形成されている。
また、第1の導線層2上には、絶縁層5及びゲート電極7が順次積層されており、ゲート電極7と絶縁層5とには半導体薄膜層4に達するエミッタ用孔Bが設けられている。そして、そのエミッタ用孔B内の第1の導線層2上には、金属、金属酸化物又は金属窒化物からなる円錐形又は円錐台形のエミッタ8が、ゲート電極7に接触しないように形成されている。ここで、第3の導電層6とゲート電極7は同一材料によって構成されている。
また、第1の導電層2、第2の導電層3、半導体薄膜層4、絶縁層5及び第3の導電層6は、共同してnチャネルエンハンスメントモードで動作する薄膜トランジスタ構造(TFT)を構成している。即ち、第1の導電層2はドレイン、第2の導電層3はソース、半導体薄膜層4はチャネル、絶縁層5はゲート絶縁層として機能し、第3の導電層6はゲートとして機能するものである。
図1(b)は、本発明の冷電子放出素子の他の例の断面図であり、図示するように、より良好な電流制御特性を得るという観点から、第1の導電層2と半導体薄膜層4との間及び第2の導電層3と半導体薄膜層4との間にオーミック層10(オームの法則に従う特性を持った層;通常低抵抗膜、例えばn+ −a−Si:Hなど)を介在させることが好ましい。
本発明において、絶縁性基板1は、冷電子放出素子の支持基板として用いられており、大面積化が容易な絶縁性の基板を好ましく使用することができる。このような絶縁性基板としては、ガラス基板、セラミックス基板、石英基板などを使用することができるが、中でもガラス基板を好ましく使用することができる。単結晶シリコンの表面に絶縁層が形成された基板も使用することができる。
本発明において、第1の導電層2は、TFTのドレインとして機能する。このような第1の導電層2の材料としては、配線抵抗が低く、下層の絶縁性基板1と密着性が高い材料が適当である。このような材料として、特に好ましくはCr又はAl、Cr積層膜を挙げることができる。
第1の導電層2の膜厚としては、十分な配線抵抗と密着性が得られる限り特に制限はないが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmとする。
第2の導電層3は、エミッタ配線層として機能し、且つTFTのソースとしても機能する。このような第2の導電層3の材料としては、配線抵抗が低く、下層の絶縁性基板1と密着性が高い材料が適当である。このような材料として、特に好ましくはCr又はAl、Cr積層膜を挙げることができる。
第2の導電層3の膜厚としては、十分な配線抵抗と密着性が得られる限り特に制限はないが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmとする。
半導体薄膜層4は、薄膜トランジスタ(TFT)のチャネルとして機能する。このような半導体薄膜層4としては、液晶ディスプレイのスイッチング素子として広く用いられているTFTと同様の公知の材料から形成することができ、好ましくは、非単結晶シリコンを使用することができる。このような非単結晶シリコンとしては、アモルファスシリコン(特にノンドープの水素化アモルファスシリコン)やポリシリコンを挙げることができる。
なお、絶縁性基板1としてガラス基板を用いる場合には、半導体薄膜層4として、特に水素化アモルファスシリコン、あるいはレーザーアニールによるポリシリコンを好ましく用いることができる。
半導体薄膜層4の厚みとしては、TFTのチャネルとして動作し得る厚みとして、通常0.01〜2μm、好ましくは0.03〜0.7μmとする。
絶縁層5は、エミッタ8及び第1の導電層2とゲート電極7とを電気的に絶縁するための層である。さらに、半導体薄膜層4と第3の導電層6とを電気的に絶縁するためにも同時に使用される。即ち、本発明における絶縁層5は、TFTのゲート絶縁層としても機能する。
このような絶縁層5としては、自己整合的に形成するために異方性蒸着が望ましく、オゾンと酸素の混合ガスを反応ガスとして用いる反応性のチムニー式抵抗加熱蒸着法による酸化シリコンが特に良好な絶縁性を得ることができるので好ましい。ただし、製法によってはTFTのゲート絶縁層を別途成膜するが、そのような場合は、絶縁層5としては、従来のTFTと同様の公知の材料から形成することができる。例えば、PECVD法による窒化シリコン、酸化シリコンを用いることができる。
絶縁層5の厚みとしては、エミッタ周囲部においては、エミッタ8、第1の導電層2もしくは半導体薄膜層4とゲート電極7との間に十分な絶縁性が保たれ、且つ、TFT部のゲート絶縁層としても同時に機能させるためには、通常、0.01〜2μm、好ましくは0.03〜1μmとする。
第3の導電層6は、TFTのゲートとして機能する。このような第3の導電層6の材料としては、配線抵抗が低く、下層の絶縁層5と密着性が高い材料が適当である。このような材料として、特に好ましくはCr又はAl、Cr積層膜を挙げることができるが、作製の容易性からゲート電極7と同一材料で構成することを考慮し、Cr、Nbが適当である。
第3の導電層6の膜厚としては、十分な配線抵抗と密着性が得られる限り特に制限はないが、通常0.05〜2.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmとする。
ゲート電極7は、エミッタ8に強電界を集中させるための電極である。ゲート電極7の材料としては、耐電流性の点から高融点金属であって、エミッタ形成時に使用するエッチング液に耐性を有する材料を使用することができ、好ましくはCr、W、Ta又はNbを挙げることができる。
ゲート電極7の厚みは、必要に応じて適宜決定することができるが、好ましくは0.1〜0.5μmとする。
エミッタ8は、その表面から電子を直接的に放出する部材であり、金属(例えば、モリブデン、ニッケル、ニオブ、タングステン、シリコン等)、金属酸化物(例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化パラジウム等)又は金属窒化物(例えば、窒化チタン等)を使用することができる。さらに、自己整合的にエミッタ8を形成するという観点から、蒸着法で成膜できる材料が望ましい。
エミッタ8全体の厚み(高さ)は、必要に応じて、適宜決定することができるが、好ましくは0.3〜2μmである。
また、エミッタ8の形状としては、円錐形または円柱形、或いは円錐台形または多角錐台であることが好ましい。
オーミック層10(抵抗層)は、第1の導電層2及び第2の導電層3と半導体薄膜層4とのオーミック接触(電気抵抗を保持した接触)を得るために、又は、より良好なオーミック接触を得るために設けられている。このようなオーミック層10の材料としては、従来のTFTと同様の公知の材料から形成することができる。例えば、PECVD法によるn型の水素化アモルファスシリコンを用いることができる。
オーミック層10の膜厚としては、十分なオーミック特性が得られる限り特に制限はないが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.03〜0.07μmとする。
次に、図1(a)に示す態様の本発明の冷電子放出素子の製造方法を、図2に従って詳細に説明する。
工程(a)
図2(a)に示すように、まず、絶縁性基板1上に金属薄膜をスパッタ法等により成膜した後、フォトリソグラフィー法により、TFTのチャネル長に相当する間隙とチャネル幅に相当する幅の非導電層部分A(TFTチャネル)を設けてパターニングすることにより第1の導電層2と第2の導電層3を形成して、両導電層2、3は互いに直接接触しないように絶縁性基板1の同一平面上に設けられる。
次に、同図2(a)に示すように、前記第1の導電層2と第2の導電層3上及び非導電層部分Aの絶縁性基板1上に、非単結晶シリコンなどの半導体薄膜材料と絶縁材料とをこの順にCVD法等により成膜して、それぞれ半導体薄膜層4、絶縁層5を形成する。ここで半導体薄膜層4としては、PECVD法で成膜された水素化アモルファスシリコン膜又は熱CVDもしくはPECVD法で成膜されたアモルファスシリコン膜を、例えばレーザーアニール等でアニール処理し生成したポリシリコン膜を好ましく用いることができる。
また、絶縁層5の成膜法としては、シランとアンモニアから成る混合ガスを反応ガスとして用いる、PECVD法で形成する窒化シリコン膜が好ましく用いることができる。
続いて、同図2(a)に示すように、前記絶縁層5上にゲート電極材料である金属薄膜を蒸着法、スパッタ法等の通常の成膜法を用いて成膜してゲート電極層7を形成する。
工程(b)
次に、図2(b)に示すように、ゲート電極層7上にエッチングレジストを塗布し、フォトリソグラフィー法により第2の導電層3上側に相当する部分のエッチングレジストをゲート孔相当の開口径を具備する円形孔または多角形孔のパターン状に除去してパターニングした後、ゲート電極層7、絶縁層5、半導体薄膜層4を、第2の導電層3が露出するまでエッチング(例えば、リアクティブ・イオン・エッチング又はリアクティブ・イオン・エッチングとウエットエッチングの併用によるエッチングなど)して、エミッタ用ゲート孔B(開口部)を形成する。
工程(c)
続いて、図2(c)に示すように、絶縁性基板1に対して回転斜方蒸着法にて斜め蒸着することにより、実質的にゲート電極層7上及びエミッタ用ゲート孔B周縁のゲート電極層7にのみ剥離層9(リフトオフ層)を形成する。次に、同図2(c)に示すように、絶縁性基板1に対して垂直な方向から通常の異方性蒸着法(垂直蒸着法)により、エミッタ用ゲート孔B内の第2の導電層3上及び剥離層9上にエミッタ材料を蒸着しつつ、自己整合的にエミッタ用ゲート孔B内に円錐形のエミッタ8を形成する。なお、剥離層9上に、及びエミッタ用ゲート孔Bの開口上部を架橋閉塞するように、エミッタ材料の蒸着による蒸着膜8aが形成される。
工程(d)
次に、図2(d)に示すように、剥離層9を剥離することにより、剥離層9上のエミッタ材料による蒸着膜8a及びエミッタ用ゲート孔Bの開口上部を架橋閉塞する蒸着膜8aを剥離除去する。
工程(e)
最後に、図2(e)に示すように、ゲート電極層7をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、パターン状にゲート電極層7(ゲート電極)を形成すると同時に、TFTチャネルの直上に第3の導電層6を形成する。これにより、図1(a)に示す本発明の冷電子放出素子が得られる。
次に、図1(b)に示す態様の本発明の冷電子放出素子の製造方法を、図3に従って詳細に説明する。
工程(a)
まず、図3(a)に示すように、絶縁性基板1上に金属薄膜をスパッタ法等により成膜して導電層を形成し、該導電層上にオーミック材料を成膜してオーミック層10を形成した後、フォトリソグラフィー法によりTFTのチャネル長に相当する間隙とチャネル幅に相当する幅の非導電層部分Aを設けてパターニングすることにより、オーミック層10が成膜された第1の導電層2と第2の導電層3とを形成する。ここで、オーミック材料としては、PECVD法で成膜されたn型の水素化アモルファスシリコン膜を好ましく用いることができる。
次に、同図3(a)に示すように、第1の導電層2及び第2の導電層3上のそれぞれオーミック層10上及び非導電層部分Aに、非単結晶シリコンなどの半導体薄膜材料、絶縁材料をCVD法等により成膜して、それぞれ半導体薄膜層4、絶縁層5を形成する。ここで、半導体薄膜層4としては、PECVD法で成膜された水素化アモルファスシリコン膜又は熱CVDもしくはPECVD法で成膜されたアモルファスシリコン膜を例えばレーザーアニール等でアニール処理し生成したポリシリコン膜を好ましく用いることができる。
また、絶縁層5の成膜法としては、シランとアンモニアから成る混合ガスを反応ガスとして用いる、PECVD法で形成する窒化シリコン膜が好ましく用いることができる。
続いて、同図3(a)に示すように、絶縁層5上にゲート電極材料である金属薄膜を蒸着法、スパッタ法等の通常の成膜法を用いて成膜し、ゲート電極層7を形成する。
工程(b)
次に、図3(b)に示すように、ゲート電極層7上にエッチングレジストを塗布し、フォトリソグラフィー法により第2の導電層3上側に相当する部分のエッチングレジストをゲート孔相当の開口径を具備する円形孔または多角形孔のパターン状に除去してパターニングした後、ゲート電極層7、絶縁層5、半導体薄膜層4及びオーミック層10を第2の導電層3が露出するまでエッチング(例えばリアクティブ・イオン・エッチング又はリアクティブ・イオン・エッチングとウエットエッチングの併用によるエッチングなど)してエミッタ用ゲート孔B(開口部)を形成する。
工程(c)
続いて、図3(c)に示すように、絶縁性基板1に対して回転斜方蒸着法にて斜め蒸着することにより、実質的にゲート電極層7上及びエミッタ用ゲート孔B周縁のゲート電極層7にのみ剥離層9(リフトオフ層)を形成する。次に、同図3(c)に示すように、絶縁性基板1に対して垂直な方向から通常の異方性蒸着法(垂直蒸着法)により、エミッタ用ゲート孔B内の第2の導電層3上及び剥離層9上にエミッタ材料を蒸着しつつ、自己整合的にエミッタ用ゲート孔B内に円錐形のエミッタ8を形成する。なお、剥離層9上に、及びエミッタ用ゲート孔Bの開口上部を架橋閉塞するように、エミッタ材料の蒸着による蒸着膜8aが形成される。
工程(d)
次に、図3(d)に示すように、剥離層9を剥離することにより、剥離層9上のエミッタ材料による蒸着膜8a及びエミッタ用ゲート孔Bの開口上部を架橋閉塞する蒸着膜8aを剥離除去する。
工程(e)
最後に、図3(e)に示すように、ゲート電極層7をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、パターン状にゲート電極層7(ゲート電極)を形成すると同時に、TFTチャネルの直上に第3の導電層6を形成する。これにより、図1(b)に示す本発明の冷電子放出素子が得られる。
以上説明したように、本発明の冷電子放出素子においては、非単結晶シリコンをチャネルとしたTFT構造を有し、ドレイン電極上に金属、金属酸化物又は金属窒化物でエミッタを構成することにより、絶縁性基板上においてもトランジスタによって高度に制御されたエミッション電流が得られ、且つエミッタのゲート電極(引き出し電極)ではなく、TFTのゲートをスイッチング電極として用いて駆動することにより、低電圧駆動を実現することができる。さらに、絶縁層をTFTと共用し、ゲート電極と同一の薄膜からTFTゲートを加工形成することで、上記のような電流制御機能を搭載した素子を、容易な作製方法で得ることができる。
本発明の冷電子放出素子の製造例を以下の実施例で具体的に説明する。
<実施例1>図1(b)に示す態様の本発明の冷電子放出素子の製造例(図3参照))
工程(a)
まず、図3(a)、絶縁性基板1上に金属薄膜としてCrをスパッタ法により0.1μmの膜厚で成膜して導電層を形成した後、オーミック材料としてPECVD法によってn型の水素化アモルファスシリコン膜を0.05μmの膜厚で成膜してオーミック層10を形成した。反応ガスとしてシランガス及びホスフィンガス(ドープ濃度3000ppm)、また希釈ガスとして水素を使用し、ガス総流量560sccm、ガス圧1Torr、基板温度350℃、RFパワー60Wの条件で成膜した。続いて、フォトリソグラフィー法によりオーミック層10とそれにより被覆された導電層とをパターニングして非導電層部分Aを形成し、該非導電層部分Aにより分離した第1の導電層2と第2の導電層3を形成し、非導電層部分AによるTFTのチャネルを形成した。
次に、同図3(a)、第1の導電層2と第2の導電層3上及び非導電層部分AにPECVD法によってノンドープの水素化アモルファスシリコン膜を0.1μmの膜厚で成膜して半導体薄膜層4を形成した。反応ガスとしてシランガス、また希釈ガスとして水素を使用し、ガス総流量300sccm、ガス圧1Torr、基板温度250℃、RFパワー60Wの条件で成膜した。
次に、半導体薄膜層4上に絶縁材料である窒化シリコンを成膜することにより絶縁層5を作製した。
次に、絶縁層5上にゲート電極材料としてNbを0.2μmの膜厚でスパッタリングにて成膜してゲート電極層7を形成した。
工程(b)
次に、図3(b)、通常のフォトリソグラフィー法を用いてゲート孔の開口径として1.2μmの円形のエッチング用パターンを形成したエッチングマスク層を得た後、反応性イオンエッチングによりゲート電極層7、絶縁層5、半導体薄膜層4及びオーミック層10を第2の導電層3が露出するまでエッチングして、ゲート孔B(開口部)を形成した。このときのエッチング条件は(導入ガス:SF660sccm/パワー100W/ガス圧4.5Pa)であった。
工程(c)
次に、図3(c)、絶縁性基板1に対して回転斜方蒸着法にて斜め蒸着することにより、ゲート電極層7上及びゲート孔B周縁相当部のゲート電極層7にのみ剥離層9(リフトオフ層)としてアルミニウム(Al)を成膜した。続いて、絶縁性基板1に対して垂直方向からの異方性蒸着法(垂直蒸着法)により、エミッタ材料を蒸着しつつ、自己整合的にエミッタ8を円錐形に形成した。
工程(d)
次に、図3(d)、剥離層9(Al)をリン硝酸水溶液を用いてウエットエッチングして剥離し、剥離層9上のエミッタ材料による蒸着膜8a及びエミッタ用ゲート孔Bの開口上部を架橋閉塞する蒸着膜8aを剥離除去した。
工程(e)
最後に、図3(e)、ゲート電極層7をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、パターン状にゲート電極層7(ゲート電極)を形成すると同時に、TFTチャネルの直上に第3の導電層6を形成した。これにより、図1(b)に示す本発明の冷電子放出素子が得られた。
<試験及び試験結果>上記実施例1で得られた本発明の冷電子放出素子を、以下のように試験し評価した。即ち、各素子のエミッタ−ゲート電極間の距離を0.6μmとし、エミッタ高さを0.8μmとし、そして、TFTパラメータとしてチャネル長(L)とチャネル幅(W)との比率(L/W)を1/10とした構造の素子に対し、蛍光体を塗布した透明電極(アノード)を有するガラス板部材を距離30mmで対向させ、エミッタ電極−ゲート電極間にゲート電極側が正となる極性で引き出し電圧を印加したところ、約10Vのスイッチング電圧で、エミッタ8より良好且つ安定して電子を放出することができた。
得られた典型的なエミッション特性は、低電界領域ではエミッタ8自身の電流電圧特性を示し、高電界領域ではTFTによる電流電圧特性に従う飽和特性を示した。即ち、エミッション電流がTFTのドレイン電流値を越えた高電界領域では、電流のトランジスタ制御による飽和電流領域が得られ、引きだし電圧110V以上で安定したエミッション電流が得られた。また、TFTのゲート電圧15V以上でエミッション電流が得られ、低電圧でスイッチングができた。
本発明の冷電子放出素子の断面図。 本発明の冷電子放出素子の製造工程図。 本発明の別の冷電子放出素子の製造工程図。 従来の冷電子放出素子の断面図。 従来の冷電子放出素子の製造工程図。 従来の別の冷電子放出素子の断面図。 従来の冷電子放出素子の断面図。 従来の別の冷電子放出素子の製造工程図。 従来の別の冷電子放出素子の製造工程図。
符号の説明
1…絶縁性基板 2…第1の導電層 3…第2の導電層 4…半導体薄膜層
5…絶縁層 6…第3の導電層 7…ゲート電極層 8…エミッタ 9…剥離層
10…オーミック層
41…絶縁性基板 42…導電層 43…絶縁層 44…ゲート電極
45…エミッタ
51…絶縁性基板 52…導電層 53…絶縁層 54…ゲート電極
55…リフトオフ材 56…エミッタ
61…絶縁性基板 62…導電層 63…抵抗層 64…絶縁層
65…ゲート電極 66…エミッタ
71…絶縁性基板 72…導電層 73…エミッタ 74…酸化シリコン層
75…絶縁層 76…ゲート電極
81…p型シリコン基板 82…エミッタ 83…n型シリコン層
84…エミッタ配線層 85…絶縁層 86…ゲート電極
91…p型シリコン基板 92…酸化シリコン層 93…エミッタ
94…酸化シリコン層 95…ゲート電極 96…n型シリコン層
97…金属薄膜
A…TFTチャネル(非導電層部分) B…エミッタ用ゲート孔(開口部)

Claims (1)

  1. 絶縁性基板上に導電層、絶縁層、ゲート電極が順次積層され、該ゲート電極と絶縁層とには開口部が設けられ、その開口部内にエミッタが該ゲート電極に接触しないように導電層上に形成されてなる電界放射型の冷電子放出素子において、
    前記導電層が第1の導電層と第2の導電層とにより構成され、両導電層は互いに直接接触しないように絶縁性基板の同一平面上に設けられ、
    少なくとも第1の導電層と第2の導電層との間の絶縁性基板の同一平面上に非単結晶シリコンからなる半導体薄膜層が設けられ、
    該半導体薄膜上には前記絶縁層を介してゲート電極と同一材料による第3の導電層が設けられ、
    前記ゲート電極と第3の導電層は互いに直接接触しないように前記絶縁層の同一平面上に設けられ、
    前記絶縁層がゲート絶縁層として機能すること
    を特徴とする照明ランプ用冷電子放出素子
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