JP3539305B2 - 電界放射型電子源およびその製造方法 - Google Patents

電界放射型電子源およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射により電子線を放射するようにした電界放射型電子源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電界放射型電子源として、例えば米国特許3665241号などに開示されているいわゆるスピント(Spindt)型電極と呼ばれるものがある。このスピント型電極は、微小な三角錐状のエミッタチップを多数配置した基板と、エミッタチップの先端部を露出させる放射孔を有するとともにエミッタチップに対して絶縁された形で配置されたゲート層とを備え、真空中にてエミッタチップをゲート層に対して負極として高電圧を印加することにより、エミッタチップの先端から放射孔を通して電子線を放射するものである。
【0003】
しかしながら、スピント型電極は、製造プロセスが複雑であるとともに、多数の三角錐状のエミッタチップを精度良く構成することが難しく、例えば平面発光装置やディスプレイなどへ応用する場合に大面積化が難しいという問題があった。また、スピント型電極は、電界がエミッタチップの先端に集中するので、エミッタチップの先端の周りの真空度が低くて残留ガスが存在するような場合、放射された電子によって残留ガスがプラスイオンにイオン化され、プラスイオンがエミッタチップの先端に衝突するから、エミッタチップの先端がダメージ(例えば、イオン衝撃による損傷)を受け、放射される電子の電流密度や効率などが不安定になったり、エミッタチップの寿命が短くなってしまうという問題が生じる。したがって、スピント型電極では、この種の問題の発生を防ぐために、高真空(約10-5Pa〜約10-6Pa)で使用する必要があり、コストが高くなるとともに、取扱いが面倒になるという不具合があった。
【0004】
この種の不具合を改善するために、MIM(Metal Insulator Metal)方式やMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の電界放射型電子源が提案されている。前者は金属−絶縁膜−金属、後者は金属−酸化膜−半導体の積層構造を有する平面型の電界放射型電子源である。しかしながら、このタイプの電界放射型電子源において電子の放射効率を高めるためには(多くの電子を放射させるためには)、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜厚を薄くする必要があるが、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜厚を薄くしすぎると、上記積層構造の上下の電極間に電圧を印加した時に絶縁破壊を起こす恐れがあり、このような絶縁破壊を防止するためには上記絶縁膜や上記酸化膜の膜厚の薄膜化に制約があるので、電子の放出効率(引き出し効率)をあまり高くできないという不具合があった。
【0005】
また、近年では、特開平8−250766号公報に開示されているように、シリコン基板などの単結晶の半導体基板を用い、その半導体基板の一表面を陽極酸化することにより多孔質半導体層(ポーラスシリコン層)を形成して、その多孔質半導体層上に導電性薄膜(金属薄膜)を形成し、半導体基板と導電性薄膜との間に電圧を印加して電子を放射させるように構成した電界放射型電子源(半導体冷電子放出素子)が提案されている。
【0006】
しかしながら、上述の特開平8−250766号公報に記載の電界放射型電子源では、基板が半導体基板に限られるので、大面積化やコストダウン化が難しいという不具合がある。また、特開平8−250766号公報に記載の電界放射型電子源では電子放出時にいわゆるポッピング現象が生じやすく、放出電子量にむらが起こりやすいので、平面発光装置やディスプレイなどに応用すると、発光むらができてしまうという不具合がある。
【0007】
そこで、本願発明者らは、特願平10−272340号、特願平10−272342号において、多孔質多結晶半導体層(例えば、多孔質化された多結晶シリコン層)を急速熱酸化(RTO)技術によって急速熱酸化することによって、導電性基板と導電性薄膜との間に介在し導電性基板から注入された電子がドリフトする強電界ドリフト層を形成した電界放射型電子源を提案した。この電界放射型電子源では、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を放出することができ、また、導電性基板として単結晶シリコン基板などの半導体基板の他にガラス基板(絶縁性基板)などに導電性膜(例えば、ITO膜)を形成した基板などを使用することもできるから、従来のように半導体基板を多孔質化した多孔質半導体層を利用する場合やスピント型電極に比べて、電子源の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0008】
図6に、ガラス基板よりなる絶縁性基板11と該絶縁性基板11の一表面上に形成したITO膜よりなる導電性層8’とで構成した導電性基板を用いた電界放射型電子源10’を示す。すなわち、この電界放射型電子源10’は、図6に示すように、絶縁性基板11の上記一表面上に導電性層8’が形成され、導電性層8’上に強電界ドリフト層6’が形成され、強電界ドリフト層6’上に導電性薄膜7が形成されている。
【0009】
この電界放射型電子源10’では、例えば図7に示すように、導電性薄膜7を真空中に配置するとともに導電性薄膜7に対向してコレクタ電極21を配置し、導電性薄膜7を導電性層8’に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21を導電性薄膜7に対して正極として直流電圧Vcを印加することにより、導電性層8’から注入された電子が強電界ドリフト層6’をドリフトし導電性薄膜7を通して放出される(なお、図7中の一点鎖線は導電性薄膜7を通して放出された電子e-の流れを示す)。ここにおいて、導電性薄膜7と導電性層8’との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと称し、コレクタ電極21と導電性薄膜7との間に流れる電流を放出電子電流Ieと称し、ダイオード電流Ipsに対する放出電子電流Ieが大きい(Ie/Ipsが大きい)ほど電子の放出効率が高くなる。なお、この電界放射型電子源10’では、導電性薄膜7と導電性層8’との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。
【0010】
ところで、この種の電界放射型電子源10’をディスプレイ装置の電子源として利用する場合には、例えば、絶縁性基板11上に形成する導電性層8’をストライプ状にパターニングするとともに、導電性薄膜7を導電性層8’に交差する方向にストライプ状にパターニングして、導電性層8’と導電性薄膜7とでマトリクスを構成すればよい。
【0011】
なお、図8に示すように、絶縁性基板11上に所定形状にパターニングした導電性層8’を有する電界放射型電子源10”も提案されている(例えば、特開平9−259795号公報)。図8に示す電界放射型電子源10”は、絶縁性基板11の一表面上に所定形状にパターニングして形成されたオーミック電極よりなる導電性層8’を有し、絶縁性基板11の上記一表面側の全面を覆うように形成された半導体層3’と、該半導体層3’の表面側で導電性層8’の上方に形成された多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層6’と、強電界ドリフト層6’上に形成された導電性薄膜7とを備えている。
【0012】
さらに上述の各電界放射型電子源10’,10”について説明すると、特願平10−272340号、特願平10−272342号に提案した電界放射型電子源10’では、強電界ドリフト層6’の膜厚を例えば1.5μm、導電性薄膜7の膜厚を例えば10nmにそれぞれ設定してあり、特開平9−259795号公報に開示された電界放射型電子源10”では、強電界ドリフト層6’の膜厚を例えば5μm〜10μmに、導電性薄膜7の膜厚を例えば15nmにそれぞれ設定してある。
【0013】
ところで、上述の各電界放射型電子源10’,10”では、図示されていないが、導電性薄膜7の所定部位上および導電性層8’の所定部位上にそれぞれパッド電極を配設する必要がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述の電界放射型電子源10’,10”では、導電性層8’の所定部位上にパッド電極を形成するに際して導電性層8’の一部の表面を露出させるためにフォトリソグラフィ工程や膜厚がμmオーダの強電界ドリフト層6’のエッチング工程が必要になり、また、導電性薄膜7が形成される平面(つまり、強電界ドリフト層6’の表面)と導電性層8’が形成される平面(つまり、絶縁性基板11の上記一表面)とが絶縁性基板11の厚み方向においてずれているので、パッド電極が2層化してしまい、絶縁性基板11の上記一表面側の表面に形成される段差が大きくなってしまうという不具合やプロセスが複雑になってしまうという不具合があった。
【0015】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、表面の平坦性を向上した電界放射型電子源およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、絶縁性基板の一表面上に形成された半導体層に、酸化若しくは窒化した多孔質半導体よりなる強電界ドリフト領域と不純物をドーピングした半導体よりなる導電性領域とが絶縁性基板の一表面内方向に並んで形成され、強電界ドリフト領域上に導電性薄膜が形成され、導電性薄膜を導電性領域に対して正極として電圧を印加することにより導電性領域から注入された電子が強電界ドリフト領域をドリフトし導電性薄膜を通して放出されることを特徴とするものであり、導電性領域の表面と強電界ドリフト領域の表面とを面一にすることができ、絶縁性基板の上記一表面側の表面の平坦性が向上し、しかも、導電性薄膜と導電性領域上に形成されるパッド電極とを同一平面上に形成したプレーナ構造を実現することができる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記多孔質半導体が、多孔質化した多結晶半導体よりなるので、大面積化が容易になる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記多結晶半導体が、600℃以下の低温プロセスによって形成されているので、絶縁性基板として安価なガラス基板を用いることができ、低コスト化が図れるとともに、より一層の大面積化を図ることができる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、上記多孔質半導体が、多孔質化したアモルファス半導体よりなるので、大面積化が図れるとともに、絶縁性基板として安価なガラス基板を用いることができて低コスト化が図れる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、上記半導体が、シリコンよりなるので、シリコンプロセスを使用でき、強電界ドリフト領域および導電性領域それぞれのパターンの微細化と高精度化とを図ることができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法であって、絶縁性基板の一表面上に半導体層を形成する工程と、上記半導体層の一部に不純物をドーピングすることにより導電性領域を形成する工程と、陽極酸化処理を行うことにより上記半導体層の所定部位を多孔質化して強電界ドリフト領域を形成する工程と、強電界ドリフト領域上に導電性薄膜を形成する工程とを有することを特徴とし、上記半導体層へプレーナ技術を利用して導電性領域および強電界ドリフト領域を形成することができ、絶縁性基板の上記一表面側の表面の平坦性を向上した電界放射型電子源を簡単なプロセスで製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本実施形態の電界放射型電子源10は、図1および図2に示すように、ガラス基板よりなる絶縁性基板11の一表面(図2における上面)上に形成された半導体層たるノンドープの多結晶シリコン層3に、酸化した多孔質多結晶シリコンよりなる強電界ドリフト領域6とn形多結晶シリコン(不純物をドーピングした半導体)よりなる導電性領域8とが絶縁性基板11の一表面内方向(図2における横方向)に並んで所定距離(例えば、0.5μm)だけ離間して形成されている。ここにおいて、多結晶シリコン層3は、図1に示すように、ストライプ状に形成された例えばシリコン酸化膜よりなる絶縁分離領域9によって複数の島状領域に電気的に分離されており、各島状領域において強電界ドリフト領域6と導電性領域8とが絶縁性基板11の一表面内方向に並んで互いに絶縁分離領域9に平行する形で形成されている。要するに、強電界ドリフト領域6および導電性領域8はそれぞれストライプ状に形成されている。さらに、本実施形態の電界放射型電子源10では、多結晶シリコン層3および絶縁分離領域9および導電性領域8それぞれの表面を覆うようにシリコン酸化膜よりなる絶縁層13がストライプ状に形成されている。言い換えれば、強電界ドリフト領域6の表面上には、絶縁層13は形成されていない。ここに、絶縁層13の膜厚は絶縁性基板11の上記一表面側の平坦性を損なわないように薄く設定することが望ましい。また、電界放射型電子源10は、絶縁性基板11の上記一表面側で例えば金薄膜よりなる導電性薄膜7が導電性領域8に直交(交差)する方向にストライプ状に形成されている。つまり、導電性薄膜7は、強電界ドリフト領域6上および絶縁層13上に跨って形成されている。また、導電性領域8の所定部位上には、パッド電極18が配設され、導電性薄膜7上の所定部位上には、パッド電極17が配設されている。
【0023】
ところで、本実施形態の電解放射型電子源10では、ストライプ状に形成された導電性領域8と導電性領域8に直交する方向にストライプ状に形成された導電性薄膜7とでマトリクスを構成しており、導電性薄膜7(パッド電極17)を導電性領域8(パッド電極18)に対して正極として電圧を印加することにより、図3中に二点鎖線で示すように導電性領域8から多結晶シリコン層3を通して強電界ドリフト領域6へ注入された電子e-が強電界ドリフト領域6をドリフトし導電性薄膜7を通して図3中に一点鎖線で示すように導電性薄膜7の厚み方向(図3における上向き)へ放出されるから、電圧を印加する導電性薄膜7と導電性領域8とを適宜選択することにより、導電性薄膜7と導電性領域8との交差する領域から導電性薄膜7を通して電子e-を放出させることができる。つまり、本実施形態の電界放射型電子源10は、ディスプレイ装置の電子源として利用できるように構成されている。なお、強電界ドリフト領域6に隣り合う多結晶シリコン層3上および導電性領域8上には上述の絶縁層13が形成されているので、これら多結晶シリコン層3表面や導電性領域8表面から電子が放出されるのを防ぐことができる。
【0024】
しかして、本実施形態の電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の一表面上に形成された半導体層たるノンドープの多結晶シリコン層3に、酸化した多孔質多結晶シリコンよりなる強電界ドリフト領域6とn形多結晶シリコンよりなる導電性領域8とが絶縁性基板11の一表面内方向に並んで形成され、強電界ドリフト領域6上に導電性薄膜7が形成され、導電性薄膜7を導電性領域8に対して正極として電圧を印加することにより導電性領域8から注入された電子が強電界ドリフト領域6をドリフトし導電性薄膜7を通して放出されるから、導電性領域8の表面と強電界ドリフト領域6の表面とを面一にすることができ、絶縁性基板11の上記一表面側の表面の平坦性が向上し、しかも、導電性薄膜7と導電性領域8上に形成されるパッド電極18とを同一平面上に形成したプレーナ構造を実現することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、強電界ドリフト領域6を酸化した多孔質多結晶シリコンにより構成しているが、強電界ドリフト領域6を窒化した多孔質多結晶シリコン、あるいは、その他の酸化若しくは窒化した多孔質多結晶半導体、あるいは、酸化若しくは窒化したアモルファス半導体(例えば、アモルファスシリコン)により構成してもよい。また、本実施形態では導電性薄膜7を金薄膜により構成しているが、導電性薄膜7の材料は金に限定されるものではなく、仕事関数の小さな材料であればよい。また、導電性薄膜7は、厚み方向に積層された少なくとも二層の薄膜層により構成してもよい。二層の薄膜層により構成する場合には、上層の薄膜層の材料として例えば金などを採用し、下層の薄膜層(強電界ドリフト領域6側の薄膜層)の材料として例えば、クロム、ニッケル、白金、チタン、イリジウムなどを採用すればよい。
【0026】
以下、製造方法について図4を参照しながら説明する。
【0027】
まず、絶縁性基板11の一表面(図4(a)における上面)上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層3を例えばプラズマCVD法によって形成することにより、図4(a)に示すような構造が得られる。ここにおいて、ノンドープの多結晶シリコン層3は、プラズマCVD法により堆積しているので、600℃以下の低温プロセスで成膜することができる。なお、ノンドープの多結晶シリコン層3の形成方法は、プラズマCVD法に限らず、触媒CVD法により形成してもよく、触媒CVD法でも600℃以下の低温プロセスで成膜することができる。
【0028】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、該多結晶シリコン層3にシリコン酸化膜よりなる素子分離用の絶縁分離領域9をストライプ状の形成することにより、図4(b)に示す構造が得られる。なお、このような絶縁分離領域9を形成するには、例えば、絶縁性基板11の上記一表面上に形成した多結晶シリコン層3(図5(a)参照)に絶縁性基板11の上記一表面に達する深さの絶縁分離溝3aをフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成し(図5(b)参照)、絶縁分離溝3aが埋め込まれるように絶縁性基板11の上記一表面側の全面にシリコン酸化膜よりなる絶縁膜9’を例えばプラズマCVD法によって堆積し(図5(c)参照)、該絶縁膜9’をエッチバックして絶縁性基板11の一表面側を平坦化することにより絶縁膜9’よりなる絶縁分離領域9を形成すればよい。
【0029】
絶縁分離領域9を形成した後、絶縁性基板11の上記一表面側の全面にフォトレジスト層を塗布形成し、該フォトレジスト層を導電性領域8形成用に開孔して(パターニングして)、リン(P)などのn形不純物をドーピングすることでストライプ状の導電性領域8を形成し、上記フォトレジスト層を除去することにより、図4(b)に示すような構造が得られる。
【0030】
次に、絶縁性基板11の上記一表面側の全面にシリコン酸化膜よりなる絶縁層13を形成し、該絶縁層13上にフォトレジスト層(図示せず)を塗布形成し、該フォトレジスト層のうち強電界ドリフト領域6の形成予定領域に重複する部分およびパッド18の形成予定領域に重複する部分を開孔し、フォトレジスト層をマスクとして絶縁層13の一部をエッチング除去し、上記フォトレジスト層を除去することにより、図4(d)に示すような構造が得られる。なお、本実施形成では、絶縁層13をシリコン酸化膜により形成しているが、シリコン窒化膜により形成してもよい。
【0031】
その後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、導電性領域8を正極として、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行うことによって多結晶シリコン層3の一部を多孔質化して多孔質多結晶シリコンを形成し、該多孔質多結晶シリコンを例えば酸(例えば、HNO3、H2SO4、王水など)によって電気化学的に酸化することで強電界ドリフト領域6を形成することにより、図4(e)に示すような構造が得られる。ここにおいて、多孔質多結晶シリコンを酸により酸化しているので、従来のような急速加熱法による加熱を行うことなしに強電界ドリフト領域6を形成することができる(例えば100℃以下の低温で強電界ドリフト領域6を形成することができる)。
【0032】
次いで、絶縁性基板11の上記一表面側にメタルマスクを用いてストライプ状の導電性薄膜7を蒸着法によって形成した後、各導電性薄膜7の長手方向の両端部上にパッド電極17を形成するとともに導電性領域8の所定部位上にパッド電極18(図1参照)を形成することにより、図4(f)に示すような構造の電界放射型電子源10が得られる。
【0033】
しかして、上述の製造方法によれば、半導体層たるノンドープの多結晶シリコン層3へプレーナ技術を利用して導電性領域8および強電界ドリフト領域6を形成することができ、絶縁性基板11の上記一表面側の表面の平坦性を向上した電界放射型電子源10を簡単なプロセスで製造することができる。しかも、多結晶シリコン層3を600℃以下の低温プロセスで堆積し、強電界ドリフト領域6を酸によって電気化学的に酸化しているので、プロセス温度を600℃以下にすることができ、絶縁性基板11として、石英ガラス基板のような高価なガラス基板を用いずに、安価なガラス基板(例えば、無アルカリガラス基板)を用いることができる。また、導電性領域8が半導体材料により形成されているので、導電性領域8が金属により形成されている場合に発生する恐れのある強電界ドリフト領域6のメタル汚染を防止することができる。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明は、絶縁性基板の一表面上に形成された半導体層に、酸化若しくは窒化した多孔質半導体よりなる強電界ドリフト領域と不純物をドーピングした半導体よりなる導電性領域とが絶縁性基板の一表面内方向に並んで形成され、強電界ドリフト領域上に導電性薄膜が形成され、導電性薄膜を導電性領域に対して正極として電圧を印加することにより導電性領域から注入された電子が強電界ドリフト領域をドリフトし導電性薄膜を通して放出されるものであり、導電性領域の表面と強電界ドリフト領域の表面とを面一にすることができ、絶縁性基板の上記一表面側の表面の平坦性が向上するという効果があり、しかも、導電性薄膜と導電性領域上に形成されるパッド電極とを同一平面上に形成したプレーナ構造を実現することができるという効果がある。
【0035】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記多孔質半導体が、多孔質化した多結晶半導体よりなるので、大面積化が容易になるという効果がある。
【0036】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記多結晶半導体が、600℃以下の低温プロセスによって形成されているので、絶縁性基板として安価なガラス基板を用いることができ、低コスト化が図れるとともに、より一層の大面積化を図ることができるという効果がある。
【0037】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、上記多孔質半導体が、多孔質化したアモルファス半導体よりなるので、大面積化が図れるとともに、絶縁性基板として安価なガラス基板を用いることができて低コスト化が図れるという効果がある。
【0038】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、上記半導体が、シリコンよりなるので、シリコンプロセスを使用でき、強電界ドリフト領域および導電性領域それぞれのパターンの微細化と高精度化とを図ることができるという効果がある。
【0039】
請求項6の発明は、請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法であって、絶縁性基板の一表面上に半導体層を形成する工程と、上記半導体層の一部に不純物をドーピングすることにより導電性領域を形成する工程と、陽極酸化処理を行うことにより上記半導体層の所定部位を多孔質化して強電界ドリフト領域を形成する工程と、強電界ドリフト領域上に導電性薄膜を形成する工程とを有するので、上記半導体層へプレーナ技術を利用して導電性領域および強電界ドリフト領域を形成することができ、絶縁性基板の上記一表面側の表面の平坦性を向上した電界放射型電子源を簡単なプロセスで製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す概略斜視図である。
【図2】同上の要部断面図である。
【図3】同上の動作原理の説明図である。
【図4】同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図5】同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【図7】同上の特性測定原理の説明図である。
【図8】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
3 多結晶シリコン層
6 強電界ドリフト領域
7 導電性薄膜
8 導電性領域
9 絶縁分離領域
10 電界放射型電子源
11 絶縁性基板
13 絶縁層
17 パッド電極
18 パッド電極

Claims (6)

  1. 絶縁性基板の一表面上に形成された半導体層に、酸化若しくは窒化した多孔質半導体よりなる強電界ドリフト領域と不純物をドーピングした半導体よりなる導電性領域とが絶縁性基板の一表面内方向に並んで形成され、強電界ドリフト領域上に導電性薄膜が形成され、導電性薄膜を導電性領域に対して正極として電圧を印加することにより導電性領域から注入された電子が強電界ドリフト領域をドリフトし導電性薄膜を通して放出されることを特徴とする電界放射型電子源。
  2. 上記多孔質半導体は、多孔質化した多結晶半導体よりなることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
  3. 上記多結晶半導体は、600℃以下の低温プロセスによって形成されてなることを特徴とする請求項2記載の電界放射型電子源。
  4. 上記多孔質半導体は、多孔質化したアモルファス半導体よりなることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
  5. 上記半導体は、シリコンよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電界放射型電子源。
  6. 請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法であって、絶縁性基板の一表面上に半導体層を形成する工程と、上記半導体層の一部に不純物をドーピングすることにより導電性領域を形成する工程と、陽極酸化処理を行うことにより上記半導体層の所定部位を多孔質化して強電界ドリフト領域を形成する工程と、強電界ドリフト領域上に導電性薄膜を形成する工程とを有することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
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