JP3487230B2 - 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ装置 - Google Patents

電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放射型電子源
およびその製造方法、および電界放射型電子源から放射
される電子線により蛍光体を光らせるディスプレイ装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電界放射型電子源として、例
えば米国特許3665241号などに開示されているい
わゆるスピント(Spindt)型電極と呼ばれるものがあ
る。このスピント型電極は、微小な三角錐状のエミッタ
チップを多数配置した基板と、エミッタチップの先端部
を露出させる放射孔を有するとともにエミッタチップに
対して絶縁された形で配置されたゲート層とを備え、真
空中にてエミッタチップをゲート層に対して負極として
高電圧を印加することにより、エミッタチップの先端か
ら放射孔を通して電子線を放射するものである。
【0003】しかしながら、スピント型電極は、製造プ
ロセスが複雑であるとともに、多数の三角錐状のエミッ
タチップを精度良く構成することが難しく、例えば平面
発光装置やディスプレイ装置などへ応用する場合に大面
積化が難しいという問題があった。また、スピント型電
極は、電界がエミッタチップの先端に集中するので、エ
ミッタチップの先端の周りの真空度が低くて残留ガスが
存在するような場合、放射された電子によって残留ガス
がプラスイオンにイオン化され、プラスイオンがエミッ
タチップの先端に衝突するから、エミッタチップの先端
がダメージ(例えば、イオン衝撃による損傷)を受け、
放射される電子の電流密度や効率などが不安定になった
り、エミッタチップの寿命が短くなってしまうという問
題が生じる。したがって、スピント型電極では、この種
の問題の発生を防ぐために、高真空(約10−5Pa〜
約10−6Pa)で使用する必要があり、コストが高く
なるとともに、取扱いが面倒になるという不具合があっ
た。また、スピント型電極では、電子がエミッタチップ
の先端から放射状に放出されるので、例えばCRT用の
蛍光体層(電子を数百Vないし数kVの高電圧で加速す
る必要がある)を発光させるディスプレイ装置の電子源
として応用する場合(この場合には、上記蛍光体層が設
けられたガラス基板とスピント型電極との間での放電を
避けるために、ガラス基板とスピント型電極との間の距
離を大きくする必要がある)、電子の軌道を制御するた
めに、スピント型電極と蛍光体層との間の真空に保たれ
た空間の電位傾度を偏向したり、この空間に磁界を印加
したりする必要があり、ディスプレイ装置の薄型化や低
コスト化の妨げになっていた。
【0004】この種の不具合を改善するために、MIM
(Metal Insulator Metal)方式やMOS(Metal Oxid
e Semiconductor)型の電界放射型電子源が提案されて
いる。前者は金属−絶縁膜−金属、後者は金属−酸化膜
−半導体の積層構造を有する平面型の電界放射型電子源
である。しかしながら、このタイプの電界放射型電子源
において電子の放射効率を高めるためには(多くの電子
を放射させるためには)、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜
厚を薄くする必要があるが、上記絶縁膜や上記酸化膜の
膜厚を薄くしすぎると、上記積層構造の上下の電極間に
電圧を印加した時に絶縁破壊を起こす恐れがあり、この
ような絶縁破壊を防止するためには上記絶縁膜や上記酸
化膜の膜厚の薄膜化に制約があるので、電子の放出効率
(引き出し効率)をあまり高くできないという不具合が
あった。
【0005】また、近年では、特開平8−250766
号公報に開示されているように、シリコン基板などの単
結晶の半導体基板を用い、その半導体基板の一表面側に
陽極酸化処理を施すことにより多孔質半導体層(ポーラ
スシリコン層)を形成して、その多孔質半導体層上に表
面電極を形成し、半導体基板と表面電極との間に電圧を
印加して電子を放射させるように構成した電界放射型電
子源(半導体冷電子放出素子)が提案されている。
【0006】しかしながら、上述の特開平8−2507
66号公報に記載の電界放射型電子源では、基板が半導
体基板に限られるので、大面積化やコストダウン化が難
しいという不具合がある。また、特開平8−25076
6号公報に記載の電界放射型電子源では電子放出時にい
わゆるポッピング現象が生じやすく、放出電子量にむら
が起こりやすいので、平面発光装置やディスプレイ装置
などに応用すると、発光むらができてしまうという不具
合がある。
【0007】そこで、本願発明者らは、特願平10−2
72340号、特願平10−272342号において、
多孔質多結晶シリコン層を急速熱酸化(RTO)技術に
よって急速熱酸化することによって、導電性基板と表面
電極との間に介在し導電性基板から注入された電子がド
リフトする強電界ドリフト層を形成した電界放射型電子
源を提案した。ここにおいて、多孔質多結晶シリコン層
は、導電性基板上の多結晶シリコン層を陽極酸化によっ
て多孔質化することにより形成している。また、表面電
極は、強電界ドリフト層の表面に到達した電子(該到達
した電子はホットエレクトロンと考えられる)が該表面
電極内で散乱されることなくトンネルして真空中へ放出
する必要があるので、膜厚が10nm程度のAu薄膜な
どにより形成されている。この電界放射型電子源では、
電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時に
ポッピング現象が発生せず安定して電子を放出すること
ができ、また、導電性基板として単結晶シリコン基板な
どの半導体基板の他にガラス基板などに導電性膜(例え
ば、ITO膜)を形成した基板などを使用することもで
きるから、従来のように半導体基板を多孔質化した多孔
質半導体層を利用する場合やスピント型電極に比べて、
電子源の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0008】さらに、上述の特願平10−272340
号、特願平10−272342号に提案した電界放射型
電子源では、放出される電子が表面電極の面内で略均一
に垂直方向へ放出されるという特徴を有しているので、
ディスプレイ装置に応用した場合に、ディスプレイ装置
の薄型化および低コスト化を図ることができる。
【0009】図6はこの種の電界放射型電子源10’を
利用したディスプレイ装置の概略構成を示す斜視図であ
って、電界放射型電子源10’に対向してガラス基板3
3が配設される。ガラス基板33の電界放射型電子源1
0’と対向する側の表面にはコレクタ電極31が形成さ
れ、コレクタ電極31には電界放射型電子源10’から
放射される電子により可視光を発光する蛍光体層32が
塗布してある。なお、ガラス基板33は図示しないガラ
ス製のスペーサなどを用いて電界放射型電子源10’と
一体化され、ガラス基板33とスペーサと電界放射型電
子源10’とで囲まれる内部空間を所定の真空度にして
ある。
【0010】電界放射型電子源10’は、図6ないし図
8に示すように、p形シリコン基板1と、p形シリコン
基板1内の主表面側にストライプ状に形成されたn
散層よりなるn形領域8と、n形領域8上に形成された
酸化された多孔質多結晶シリコンよりなる強電界ドリフ
ト層6と、強電界ドリフト層6間に形成された酸化され
た多結晶シリコン層4と、n形領域8に交差する方向に
ストライプ状に形成され強電界ドリフト層6上および上
記多結晶シリコン層4上に跨って形成された導電性薄膜
(例えば、Au薄膜)よりなる表面電極7とを備えてい
る。
【0011】この電界放射型電子源10’では、ストラ
イプ状に形成されたn形領域8とn形領域8に交差する
方向にストライプ状に形成された表面電極7とでマトリ
クスを構成しているので、電圧を印加するn形領域8と
表面電極7とを適宜選択することにより、電圧が印加さ
れた表面電極7のうち、電圧が印加されたn形領域8に
交差する領域のみから電子が放出されるから、表面電極
7の所望の領域から電子を放出させることができる。な
お、n形領域8へのコンタクトは、図7に示すように強
電界ドリフト層6の一部をエッチングしてn形領域8の
表面の一部を露出させて形成され、電線Wにより接続さ
れる。また、n形領域8と表面電極7との間に印加する
電圧は10Vないし30V程度であり、コレクタ電極3
1に印加する電圧は数百Vないし数kVである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図6ないし
図8に示した電界放射型電子源10’を利用したディス
プレイ装置は、薄型化および低コスト化を図ることがで
きるが、p形シリコン基板1の厚み方向に平行な方向の
みにしか電子を放出することができないので、画面の面
積がp形シリコン基板1の大きさで制約されてしまうと
いう不具合があった。また、強電界ドリフト層6および
表面電極7がp形シリコン基板1の平坦な主表面に平行
に形成されているので、電子が放出される部位の面積が
p形シリコン基板の主表面の面積によって制約されると
いう不具合があった。
【0013】本発明は上記事由に鑑みて為されたもので
あり、その目的は、電子を複数方向に放出できるととも
に電子放出面積を大きくすることができる電界放射型電
子源およびその製造方法およびディスプレイ装置を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
目的を達成するために、導電性基板と、導電性基板の一
表面側に形成された酸化若しくは窒化された多孔質半導
体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上
に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表
面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加する
ことにより、導電性基板から注入された電子が強電界ド
リフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界
放射型電子源であって、強電界ドリフト層は、導電性基
板の厚み方向に直交する仮想表面に対して表面電極との
界面が傾斜し傾斜角が互いに異なる複数の傾斜型ドリフ
ト部を有することを特徴とするものであり、傾斜型ドリ
フト部では上記界面に直交する方向に沿って電子が移動
し表面電極を通して放出されるので、複数の傾斜型ドリ
フト部を有することによって電子を複数方向へ放出する
ことができ、また、傾斜型ドリフト部と表面電極との界
面が導電性基板の厚み方向に直交する仮想表面に対して
傾斜しているので、導電性基板のサイズを大きくするこ
となしに電子放出面積を大きくすることができる。
【0015】請求項2の発明は、導電性基板内の主表面
側にストライプ状に形成され互いに電気的に分離される
とともに導電性基板と電気的に分離された拡散層と、拡
散層上に形成された強電界ドリフト層と、強電界ドリフ
ト層間に形成された酸化若しくは窒化された多結晶半導
体層と、拡散層に交差する方向にストライプ状に形成さ
れ強電界ドリフト層上および上記多結晶半導体層上に跨
って形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、
表面電極を拡散層に対して正極として電圧を印加するこ
とにより、拡散層から注入された電子が強電界ドリフト
層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型
電子源であって、強電界ドリフト層は、導電性基板の厚
み方向に直交する仮想表面に対して表面電極との界面が
傾斜し傾斜角が互いに異なる2つの傾斜型ドリフト部を
有し、各傾斜型ドリフト部は酸化若しくは窒化された多
孔質多結晶半導体層よりなることを特徴とするものであ
り、傾斜型ドリフト部では上記界面に直交する方向に沿
って電子が移動し表面電極を通して放出されるので、複
数の傾斜型ドリフト部を有することによって電子を複数
方向へ放出することができ、また、傾斜型ドリフト部と
表面電極との界面が導電性基板の厚み方向に直交する仮
想表面に対して傾斜しているので、導電性基板のサイズ
を大きくすることなしに電子放出面積を大きくすること
ができ、しかも、表面電極にコレクタ電極を対向配置し
てディスプレイ装置を構成するような場合に画面の大面
積化を図ることができる。
【0016】請求項3の発明は、p形半導体基板と、p
形半導体基板内の主表面側にストライプ状に形成された
n形領域と、n形領域上に形成され酸化若しくは窒化さ
れた多孔質多結晶半導体層よりなる強電界ドリフト層
と、強電界ドリフト層間に形成された酸化若しくは窒化
された多結晶半導体層と、n形領域に交差する方向にス
トライプ状に形成され強電界ドリフト層上および上記多
結晶半導体層上に跨って形成された導電性薄膜よりなる
表面電極とを備え、強電界ドリフト層として、p形半導
体基板の厚み方向に直交する仮想表面に対して表面電極
との界面が傾斜し傾斜角が互いに異なる2つの傾斜型ド
リフト部を有する電界放射型電子源の製造方法であっ
て、p形半導体基板の厚み方向に直交する上記仮想表面
に対して傾斜する傾斜面をp形半導体基板の主表面側に
ストライプ状に形成した後、p形半導体基板内の主表面
側における上記傾斜面に重複する部位にn形領域を形成
し、その後、p形半導体基板の主表面側の全面上に多結
晶半導体層を形成し、次に、陽極酸化処理を行うことに
より多結晶半導体層のうちn形領域上の部位を多孔質化
し、該多孔質化された部位を酸化若しくは窒化すること
により強電界ドリフト層を形成し、強電界ドリフト層が
形成された多結晶半導体層上へn形領域に交差する導電
性薄膜よりなる表面電極を形成することを特徴とし、電
子を複数方向へ放出することができかつ電子放出面積を
大きくすることができる電界放射型電子源を提供するこ
とができる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1記載の電界放
射型電子源と、該電界放射型電子源の上記仮想表面に対
向配置され前記電界放射型電子源との間の空間が真空に
保たれる平板状のガラス基板と、ガラス基板における前
記仮想表面への対向面側に設けられ電界放射型電子源か
らの電子線を受けて可視光領域の光を発光する蛍光体層
とを備えてなることを特徴とするものであり、電子を複
数方向に放出できるとともに電子放出面積を大きくする
ことができ、ガラス基板の面積を導電性基板よりも大き
くすることで画面の大面積化を図ることが可能になる。
【0018】請求項5の発明は、請求項4の発明におい
て、上記ガラス基板が、請求項1記載の電界放射型電子
源が形成された上記導電性基板との対向面の面積が上記
導電性基板よりも大きく設定されているので、導電性基
板よりも画面の面積が大きなディスプレイ装置を実現す
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本実施形態の電界
放射型電子源10の基本構成は図6ないし図8に示した
従来構成と略同じであって、図1に示すように、導電性
基板たるp形シリコン基板1と、p形シリコン基板1の
主表面側にストライプ状に形成されたn拡散層8(以
下、n形領域8と称す)と、n形領域8上に形成された
酸化された多孔質多結晶シリコンよりなる強電界ドリフ
ト層6と、強電界ドリフト層6間に形成された酸化され
た多結晶シリコン層4と、n形領域8に交差する方向に
ストライプ状に形成され強電界ドリフト層6および上記
多結晶シリコン層4に跨って形成された導電性薄膜より
なる表面電極7とを備えている。なお、本実施形態で
は、表面電極7の材料として金を用いているが、表面電
極7の材料は金に限定されるものではなくて、仕事関数
の小さな金属であれば良く、金の他にアルミニウム、ク
ロム、タングステン、ニッケル、白金などや、これらの
金属の合金などが使用可能である。また、本実施形態で
は、表面電極7の膜厚を10nmとしたが、この膜厚は
特に限定するものではない。また、n形領域8のキャリ
ア濃度は、1×10 cm−3ないし5×1019
−3としてある。
【0020】したがって、本実施形態の電界放射型電子
源10においても、図6ないし図8に示した従来構成と
同様に、ストライプ状に形成されたn形領域8とn形領
域8に交差(直交)する方向にストライプ状に形成され
た表面電極7とでマトリクスを構成しているので、電圧
を印加するn形領域8と表面電極7とを適宜選択するこ
とにより、電圧が印加された表面電極7のうち、電圧が
印加されたn形領域8に交差する領域のみから電子が放
出されるから、表面電極7の所望の領域から電子を放出
させることができる。
【0021】ところで、本実施形態の電界放射型電子源
10は、導電性基板たるp形シリコン基板1の厚み方向
に直交する面を仮想表面とするとき、各強電界ドリフト
層6が仮想表面に対して表面電極7との界面が傾斜し傾
斜角が互いに異なる2つの傾斜型ドリフト部6a,6b
を有している点に特徴がある。なお、傾斜型ドリフト部
の数は2つに限定されるものではなく、また、各強電界
ドリフト層ごとに傾斜型ドリフト部の傾斜角が異なって
いてもよい。
【0022】ここにおいて、本実施形態では、p形シリ
コン基板1として(100)基板を用いており、強電界
ドリフト層6が、仮想表面に対して図1の時計回り方向
に略125.3度の傾斜角を有する傾斜型ドリフト部6
aと、仮想表面に対して図1の時計回り方向に略54.
7度の傾斜角を有する傾斜型ドリフト部6bとで構成さ
れている。すなわち、本実施形態の電界放射型電子源1
0では、p形シリコン基板1の主表面側にKOHなどを
用いた異方性エッチング技術を利用して断面三角形状の
突出部12が形成されており、n形領域8が突出部12
の表面に沿って断面逆V字状に形成され、各強電界ドリ
フト層6が図1に示すような断面逆V字状に形成されて
いる。
【0023】しかして、強電界ドリフト層6の傾斜型ド
リフト部6a,6bでは、n形領域8から注入された電
子が上記界面(つまり、傾斜型ドリフト部6aと表面電
極7との界面、傾斜型ドリフト部6bと表面電極7との
界面それぞれ)に直交する方向に沿って移動し表面電極
7を通して上記界面に平行な表面電極7の表面から放出
されるので、上記仮想表面に対して互いに傾斜角の異な
る傾斜型ドリフト部6a,6bを有することによって電
子を2方向へ放出することができる。なお、図1におけ
る矢印は電子eの放出される方向を示す。
【0024】また、本実施形態では、各傾斜型ドリフト
部6a,6bと表面電極7との各界面が導電性基板たる
p形シリコン基板1の厚み方向に直交する仮想表面に対
してそれぞれ傾斜しているので、図6ないし図8に示し
た従来構成に比べてp形シリコン基板1のサイズを大き
くすることなく且つ強電界ドリフト層6間の距離を変え
ることなしに電子放出面積を大きくすることができる。
【0025】本実施形態の電界放射型電子源10を利用
したディスプレイ装置を構成するには、例えば図6に示
した従来構成のディスプレイ装置における電界放射型電
子源10’の代わりに、本実施形態の電界放射型電子源
10を用いればよく、上記従来構成に比べてガラス基板
33を大きくして画面の大面積化を図ることができる。
ここにおいて、n形領域8と表面電極7との間に印加す
る電圧は10Vないし30V程度である。また、各n形
領域8および各表面電極7にはそれぞれ個別の外部リー
ドが接続されており、各n形領域8にそれぞれ接続され
た外部リードは各n形領域8への印加電圧を個別に制御
できる第1のマトリクスコントロール回路(図示せず)
に接続され、各表面電極7にそれぞれ接続された外部リ
ードは各表面電極7への印加電圧を個別に制御できる第
2のマトリクスコントロール回路(図示せず)に接続さ
れる。
【0026】なお、本実施形態では、導電性基板として
p形シリコン基板1を採用し、拡散層としてn形領域8
(n拡散層8)を採用しているが、導電性基板はp形
シリコン基板に限定されるものではなくて、拡散層もn
形領域8に限定されるものではなく、ストライプ状に形
成される拡散層は互いに電気的に分離されていればよ
い。また、本実施形態では、強電界ドリフト層6が酸化
された多孔質多結晶シリコンにより構成されているが、
強電界ドリフト層6を窒化された多孔質多結晶シリコ
ン、あるいはその他の酸化若しくは窒化された多孔質多
結晶半導体層により構成してもよい。
【0027】以下、本実施形態の電界放射型電子源10
の製造方法を図2(a)〜(g)を参照しながら説明す
る。
【0028】まず、p形シリコン基板1の主表面側にフ
ォトリソグラフィ技術、KOHを用いた異方性エッチン
グ技術などを利用して、開口面側ほど(図2(a)にお
ける上側ほど)開口面積が大きくなる断面逆台形状の凹
所11をストライプ状に設けることによって断面三角形
状の突出部12がストライプ状に形成され、図2(a)
に示す構造が得られる。ここにおいて、凹所11の底面
はp形シリコン基板1の厚み方向に直交し、上記仮想表
面の一部を構成する。
【0029】次に、上記突出部12および上記凹所11
が形成されたp形シリコン基板1の主表面側における上
記凹所11の底面上に熱拡散用あるいはイオン注入用の
マスクを設け、p形シリコン基板1内の主表面側に、熱
拡散技術あるいはイオン注入技術によってリン(P)な
どのドーパントを導入することにより、ストライプ状の
n形領域8が形成され、前記マスクを除去することによ
り図2(b)に示す構造が得られる。
【0030】次に、n形領域8を形成したp形シリコン
基板1の主表面側の全面にLPCVD法により所定膜厚
(例えば、凹所11の底面上での膜厚が1.5μm)の
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成することによっ
て図2(c)に示す構造が得られる。ここに、LPCV
D法の成膜条件は、基板温度を610℃、SiHガス
の流量を600sccm、真空度を20Paとした。な
お、多結晶シリコン層3の成膜方法は、LPCVD法に
限定されるものではなく、例えばスパッタ法あるいはプ
ラズマCVD法によってアモルファスシリコン層を形成
した後、該アモルファスシリコン層に対してアニール処
理を行うことにより結晶化させて多結晶シリコン層3を
形成する方法を用いてもよい。
【0031】次に、多結晶シリコン層3上に、レジスト
(例えば、X線用のレジスト)を塗布し、n形領域8の
上方の部位を開孔することによりストライプ状にパター
ニングされたレジスト層9が形成され、図2(d)に示
す構造が得られる。
【0032】次に、55wt%のフッ化水素水溶液とエ
タノールとを1:1で混合し0℃に冷却した電解溶液を
用い、白金電極(図示せず)を負極、p形シリコン基板
1(p形シリコン基板1の裏面には図示しないオーミッ
ク電極が形成されている)を正極として、前記レジスト
層9を陽極酸化処理用のマスクとして利用し、多結晶シ
リコン層3の露出した部分に光照射を行いながら定電流
で陽極酸化処理を行うことによって、部分的に(ストラ
イプ状に)多孔質多結晶シリコン層5が形成され、その
後、前記レジスト層9を除去することにより図2(e)
に示す構造が得られる。ここにおいて、本実施形態で
は、陽極酸化処理の条件として、電流密度を20mA/
cm一定、陽極酸化時間を15秒とするとともに、陽
極酸化処理中に500Wのタングステンランプにより光
照射を行った。なお、本実施形態では、陽極酸化処理時
の電流密度を一定として多孔質多結晶シリコン層5の多
孔度をほぼ均一にしてあるが、陽極酸化処理時の電流密
度を変化させることにより多孔度の高い多孔質多結晶シ
リコン層と多孔度の低い多孔質多結晶シリコン層とが交
互に積層された構造にしてもよいし、多孔度が厚み方向
に連続的に変化した構造にしてもよい。また、本実施形
態では、多結晶シリコン層3を厚み方向においてp形シ
リコン基板1に達する深さまで多孔質化しているが、多
結晶シリコン層3の厚み方向の途中まで多孔質化するよ
うにしてもよい。
【0033】次に、ランプアニール装置を用い、乾燥酸
素雰囲気中で多孔質多結晶シリコン層5を急速熱酸化
(RTO)することによって、熱酸化された多孔質多結
晶シリコンよりなる強電界ドリフト層6が形成され、図
2(f)に示す構造が得られる。なお、図2(f)中の
4は熱酸化された多結晶シリコン層を示す。ここにおい
て、急速熱酸化の条件としては、酸化温度を900℃、
酸化時間を1時間とした。
【0034】その後、p形シリコン基板1の主表面側に
表面電極7となる導電性薄膜(例えば、金薄膜)を蒸着
法などによって形成し、n形領域8に直交する方向にス
トライプ状にパターニングすることにより、図2(g)
に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。
【0035】(実施形態2)本実施形態の電界放射型電
子源10の基本構成は図1に示した実施形態1と略同じ
であって、図3に示すように、導電性基板たるp形シリ
コン基板1と、p形シリコン基板1の主表面側にストラ
イプ状に形成されたn拡散層8(以下、n形領域8と
称す)と、n形領域8上に形成された強電界ドリフト層
6と、強電界ドリフト層6間に形成された酸化された多
結晶シリコン層4と、n形領域8に交差する方向にスト
ライプ状に形成され強電界ドリフト層6および上記多結
晶シリコン層4に跨って形成された導電性薄膜よりなる
表面電極7とを備えている。なお、実施形態1と同様の
構成要素には同一の符号を付して一部説明を省略する。
【0036】ところで、本実施形態では、p形シリコン
基板1の主表面に断面三角形状の複数の突出部12が隣
接して形成されており、各突出部12の先端部に断面三
角形状のn形領域8が形成されている。したがって、n
形領域8は上述のようにストライプ状に形成されてい
る。
【0037】本実施形態の電界放射型電子源10も、実
施形態1と同様、導電性基板たるp形シリコン基板1の
厚み方向に直交する面を仮想表面とするとき、各強電界
ドリフト層6が、仮想表面に対して表面電極7との界面
が傾斜し傾斜角が互いに異なる複数(本実施形態では2
つ)の傾斜型ドリフト部6a,6bを有している。な
お、各傾斜型ドリフト部6a,6bは酸化された多孔質
多結晶シリコンよりなる。
【0038】しかして、本実施形態においても、強電界
ドリフト層6の傾斜型ドリフト部6a,6bでは、n形
領域8から注入された電子が上記界面(つまり、傾斜型
ドリフト部6aと表面電極7との界面、傾斜型ドリフト
部6bと表面電極7との界面それぞれ)に直交する方向
に沿って移動し表面電極7を通して上記界面に平行な表
面電極7の表面から放出されるので、上記仮想表面に対
して互いに傾斜角の異なる傾斜型ドリフト部6a,6b
を有することによって電子を2方向へ放出することがで
きる。なお、図3における矢印は電子eの放出される
方向を示す。
【0039】また、本実施形態においても、傾斜型ドリ
フト部6a,6bと表面電極7との各界面が導電性基板
たるp形シリコン基板1の厚み方向に直交する仮想表面
に対してそれぞれ傾斜しているので、図6ないし図8に
示した従来構成に比べてp形シリコン基板1のサイズを
大きくすることなく且つ強電界ドリフト層6間の距離を
変えることなしに電子放出面積を大きくすることができ
る。
【0040】本実施形態の電界放射型電子源10を利用
したディスプレイ装置を構成するには、例えば図6に示
した従来構成のディスプレイ装置における電界放射型電
子源10’の代わりに、本実施形態の電界放射型電子源
10を用いればよく、上記従来構成に比べてガラス基板
33を大きくして画面の大面積化を図ることができる。
ここにおいて、n形領域8と表面電極7との間に印加す
る電圧は10Vないし30V程度である。また、各n形
領域8および各表面電極7にはそれぞれ個別の外部リー
ドが接続されており、各n形領域8にそれぞれ接続され
た外部リードは各n形領域8への印加電圧を個別に制御
できる第1のマトリクスコントロール回路(図示せず)
に接続され、各表面電極7にそれぞれ接続された外部リ
ードは各表面電極7への印加電圧を個別に制御できる第
2のマトリクスコントロール回路(図示せず)に接続さ
れる。
【0041】(実施形態3)本実施形態の電界放射型電
子源10の基本構成は図1に示した実施形態1と略同じ
であって、図4に示すように、導電性基板たるp形シリ
コン基板1と、p形シリコン基板1の主表面側にストラ
イプ状に形成されたn拡散層8(以下、n形領域8と
称す)と、n形領域8上に形成された強電界ドリフト層
6と、強電界ドリフト層6間に形成された酸化された多
結晶シリコン層4と、n形領域8に交差する方向にスト
ライプ状に形成され強電界ドリフト層6および上記多結
晶シリコン層4に跨って形成された導電性薄膜よりなる
表面電極7とを備えている。なお、実施形態1と同様の
構成要素には同一の符号を付して一部説明を省略する。
【0042】本実施形態では、実施形態1で説明したp
形シリコン基板1の主表面側に設ける突出部12および
n形領域8がそれぞれ断面台形状に形成され、強電界ド
リフト層6において、傾斜型ドリフト部6aと傾斜型ド
リフト部6bとの間に酸化された多結晶シリコン層4’
が形成されており、各傾斜型ドリフト部6a,6bはっ
酸化された多孔質多結晶シリコンにより形成されてい
る。
【0043】ところで、図4は本実施形態の電界放射型
電子源10を利用したディスプレイ装置の概略構成を示
しており、このディスプレイ装置では、電界放射型電子
源10に対向してガラス基板33が配設される。ガラス
基板33の電界放射型電子源10と対向する側の表面に
はコレクタ電極(図示せず)が形成され、コレクタ電極
には電界放射型電子源10から放射される電子により可
視光を発光する蛍光体層32が塗布してある。なお、ガ
ラス基板33は図示しないガラス製のスペーサ、電界放
射型電子源10が設置される電子源側ガラス基板などを
用いて電界放射型電子源10と一体化され、蛍光体層3
2と電界放射型電子源10との間の空間を所定の真空度
にしてある。
【0044】本実施形態のディスプレイ装置の基本構成
は図6に示した従来構成と略同じであるが、本実施形態
の電界放射型電子源10では傾斜型ドリフト部6a,6
bを有していることにより、電子を2方向へ放出するこ
とができるので、ガラス基板33としてp形シリコン基
板1よりも大面積のものを用いており、p形シリコン基
板1のサイズを上記従来構成から変えることなしに、上
記従来構成よりも画面を大きくしてある。
【0045】(実施形態4)本実施形態の電界放射型電
子源10は、図5に示すように、導電性基板たるp形シ
リコン基板1と、p形シリコン基板1の主表面側にスト
ライプ状に形成されたn拡散層8(以下、n形領域8
と称す)と、全てのn形領域8上に跨って形成された酸
化された多孔質多結晶シリコンよりなる強電界ドリフト
層6と、強電界ドリフト層6の両側に形成された酸化さ
れた多結晶シリコン層4と、n形領域8に交差する方向
にストライプ状に形成され強電界ドリフト層6および上
記多結晶シリコン層4に跨って形成された導電性薄膜よ
りなる表面電極7とを備えている。なお、実施形態1と
同様の構成要素には同一の符号を付して一部説明を省略
する。
【0046】本実施形態では、p形シリコン基板1の主
表面側の両端部に中央部よりも低くなる段差を設けてあ
り、強電界ドリフト層6の両端部にそれぞれ傾斜型ドリ
フト部6a,6bを有している。
【0047】本実施形態の電界放射型電子源10も、実
施形態1と同様、導電性基板たるp形シリコン基板1の
厚み方向に直交する面を仮想表面とするとき、強電界ド
リフト層6が、仮想表面に対して表面電極7との界面が
傾斜し傾斜角が互いに異なる2つの傾斜型ドリフト部6
a,6bを有している。
【0048】ところで、図5は本実施形態の電界放射型
電子源10を利用したディスプレイ装置の概略構成を示
しており、このディスプレイ装置では、電界放射型電子
源10に対向してガラス基板33が配設される。ガラス
基板33の電界放射型電子源10と対向する側の表面に
はコレクタ電極(図示せず)が形成され、コレクタ電極
には電界放射型電子源10から放射される電子により可
視光を発光する蛍光体層32が塗布してある。なお、ガ
ラス基板33は図示しないガラス製のスペーサ、電界放
射型電子源10が設置される電子源側ガラス基板などを
用いて電界放射型電子源10と一体化され、蛍光体層3
2と電界放射型電子源10との間の空間を所定の真空度
にしてある。
【0049】本実施形態のディスプレイ装置の基本構成
は図6に示した従来構成と略同じであるが、本実施形態
の電界放射型電子源10では強電界ドリフト層6が両端
部に傾斜型ドリフト部6a,6bを有していることによ
り、電子を3方向へ放出することができるので、ガラス
基板33としてp形シリコン基板1よりも大面積のもの
を用いており、p形シリコン基板1のサイズを上記従来
構成から変えることなしに、上記従来構成よりも画面を
大きくしてある。
【0050】
【発明の効果】請求項1の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化若しくは窒化された
多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ド
リフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極と
を備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧
を印加することにより、導電性基板から注入された電子
が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出
される電界放射型電子源であって、強電界ドリフト層
は、導電性基板の厚み方向に直交する仮想表面に対して
表面電極との界面が傾斜し傾斜角が互いに異なる複数の
傾斜型ドリフト部を有するものであり、傾斜型ドリフト
部では上記界面に直交する方向に沿って電子が移動し表
面電極を通して放出されるので、複数の傾斜型ドリフト
部を有することによって電子を複数方向へ放出すること
ができ、また、傾斜型ドリフト部と表面電極との界面が
導電性基板の厚み方向に直交する仮想表面に対して傾斜
しているので、導電性基板のサイズを大きくすることな
しに電子放出面積を大きくすることができるという効果
がある。
【0051】請求項2の発明は、導電性基板内の主表面
側にストライプ状に形成され互いに電気的に分離される
とともに導電性基板と電気的に分離された拡散層と、拡
散層上に形成された強電界ドリフト層と、強電界ドリフ
ト層間に形成された酸化若しくは窒化された多結晶半導
体層と、拡散層に交差する方向にストライプ状に形成さ
れ強電界ドリフト層上および上記多結晶半導体層上に跨
って形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、
表面電極を拡散層に対して正極として電圧を印加するこ
とにより、拡散層から注入された電子が強電界ドリフト
層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型
電子源であって、強電界ドリフト層は、導電性基板の厚
み方向に直交する仮想表面に対して表面電極との界面が
傾斜し傾斜角が互いに異なる2つの傾斜型ドリフト部を
有し、各傾斜型ドリフト部は酸化若しくは窒化された多
孔質多結晶半導体層よりなるものであり、傾斜型ドリフ
ト部では上記界面に直交する方向に沿って電子が移動し
表面電極を通して放出されるので、複数の傾斜型ドリフ
ト部を有することによって電子を複数方向へ放出するこ
とができ、また、傾斜型ドリフト部と表面電極との界面
が導電性基板の厚み方向に直交する仮想表面に対して傾
斜しているので、導電性基板のサイズを大きくすること
なしに電子放出面積を大きくすることができ、しかも、
表面電極にコレクタ電極を対向配置してディスプレイ装
置を構成するような場合に画面の大面積化を図ることが
できるという効果がある。
【0052】請求項3の発明は、p形半導体基板と、p
形半導体基板内の主表面側にストライプ状に形成された
n形領域と、n形領域上に形成され酸化若しくは窒化さ
れた多孔質多結晶半導体層よりなる強電界ドリフト層
と、強電界ドリフト層間に形成された酸化若しくは窒化
された多結晶半導体層と、n形領域に交差する方向にス
トライプ状に形成され強電界ドリフト層上および上記多
結晶半導体層上に跨って形成された導電性薄膜よりなる
表面電極とを備え、強電界ドリフト層として、p形半導
体基板の厚み方向に直交する仮想表面に対して表面電極
との界面が傾斜し傾斜角が互いに異なる2つの傾斜型ド
リフト部を有する電界放射型電子源の製造方法であっ
て、p形半導体基板の厚み方向に直交する上記仮想表面
に対して傾斜する傾斜面をp形半導体基板の主表面側に
ストライプ状に形成した後、p形半導体基板内の主表面
側における上記傾斜面に重複する部位にn形領域を形成
し、その後、p形半導体基板の主表面側の全面上に多結
晶半導体層を形成し、次に、陽極酸化処理を行うことに
より多結晶半導体層のうちn形領域上の部位を多孔質化
し、該多孔質化された部位を酸化若しくは窒化すること
により強電界ドリフト層を形成し、強電界ドリフト層が
形成された多結晶半導体層上へn形領域に交差する導電
性薄膜よりなる表面電極を形成するので、電子を複数方
向へ放出することができかつ電子放出面積を大きくする
ことができる電界放射型電子源を提供することができる
という効果がある。
【0053】請求項4の発明は、請求項1記載の電界放
射型電子源と、該電界放射型電子源の上記仮想表面に対
向配置され前記電界放射型電子源との間の空間が真空に
保たれる平板状のガラス基板と、ガラス基板における前
記仮想表面への対向面側に設けられ電界放射型電子源か
らの電子線を受けて可視光領域の光を発光する蛍光体層
とを備えてなるものであり、電子を複数方向に放出でき
るとともに電子放出面積を大きくすることができ、ガラ
ス基板の面積を導電性基板よりも大きくすることで画面
の大面積化を図ることが可能になるという効果がある。
【0054】請求項5の発明は、請求項4の発明におい
て、上記ガラス基板が、請求項1記載の電界放射型電子
源が形成された上記導電性基板との対向面の面積が上記
導電性基板よりも大きく設定されているので、導電性基
板よりも画面の面積が大きなディスプレイ装置を実現す
ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す概略断面図である。
【図2】同上の製造方法を説明するための主要工程断面
図である。
【図3】実施形態2を示す概略断面図である。
【図4】実施形態3を示す概略構成図である。
【図5】実施形態4を示す概略構成図である。
【図6】従来のディスプレイ装置の概略構成図である。
【図7】同上における電界放射型電子源の要部斜視図で
ある。
【図8】同上における電界放射型電子源の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 p形シリコン基板 4 酸化された多結晶シリコン層 6 強電界ドリフト層 6a,6b 傾斜型ドリフト部 7 表面電極 8 n拡散層 10 電界放射型電子源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本多 由明 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (72)発明者 櫟原 勉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (72)発明者 相澤 浩一 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (72)発明者 菰田 卓哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−326557(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/312 H01J 9/02 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板と、導電性基板の一表面側に
    形成された酸化若しくは窒化された多孔質半導体層より
    なる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成さ
    れた導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を
    導電性基板に対して正極として電圧を印加することによ
    り、導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層
    をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電
    子源であって、強電界ドリフト層は、導電性基板の厚み
    方向に直交する仮想表面に対して表面電極との界面が傾
    斜し傾斜角が互いに異なる複数の傾斜型ドリフト部を有
    することを特徴とする電界放射型電子源。
  2. 【請求項2】 導電性基板内の主表面側にストライプ状
    に形成され互いに電気的に分離されるとともに導電性基
    板と電気的に分離された拡散層と、拡散層上に形成され
    た強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層間に形成され
    た酸化若しくは窒化された多結晶半導体層と、拡散層に
    交差する方向にストライプ状に形成され強電界ドリフト
    層上および上記多結晶半導体層上に跨って形成された導
    電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を拡散層
    に対して正極として電圧を印加することにより、拡散層
    から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表
    面電極を通して放出される電界放射型電子源であって、
    強電界ドリフト層は、導電性基板の厚み方向に直交する
    仮想表面に対して表面電極との界面が傾斜し傾斜角が互
    いに異なる2つの傾斜型ドリフト部を有し、各傾斜型ド
    リフト部は酸化若しくは窒化された多孔質多結晶半導体
    層よりなることを特徴とする電界放射型電子源。
  3. 【請求項3】 p形半導体基板と、p形半導体基板内の
    主表面側にストライプ状に形成されたn形領域と、n形
    領域上に形成され酸化若しくは窒化された多孔質多結晶
    半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト
    層間に形成された酸化若しくは窒化された多結晶半導体
    層と、n形領域に交差する方向にストライプ状に形成さ
    れ強電界ドリフト層上および上記多結晶半導体層上に跨
    って形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、
    強電界ドリフト層として、p形半導体基板の厚み方向に
    直交する仮想表面に対して表面電極との界面が傾斜し傾
    斜角が互いに異なる2つの傾斜型ドリフト部を有する電
    界放射型電子源の製造方法であって、p形半導体基板の
    厚み方向に直交する上記仮想表面に対して傾斜する傾斜
    面をp形半導体基板の主表面側にストライプ状に形成し
    た後、p形半導体基板内の主表面側における上記傾斜面
    に重複する部位にn形領域を形成し、その後、p形半導
    体基板の主表面側の全面上に多結晶半導体層を形成し、
    次に、陽極酸化処理を行うことにより多結晶半導体層の
    うちn形領域上の部位を多孔質化し、該多孔質化された
    部位を酸化若しくは窒化することにより強電界ドリフト
    層を形成し、強電界ドリフト層が形成された多結晶半導
    体層上へn形領域に交差する導電性薄膜よりなる表面電
    極を形成することを特徴とする電界放射型電子源の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電界放射型電子源と、該
    電界放射型電子源の上記仮想表面に対向配置され前記電
    界放射型電子源との間の空間が真空に保たれる平板状の
    ガラス基板と、ガラス基板における前記仮想表面への対
    向面側に設けられ電界放射型電子源からの電子線を受け
    て可視光領域の光を発光する蛍光体層とを備えてなるこ
    とを特徴とするディスプレイ装置。
  5. 【請求項5】 上記ガラス基板は、請求項1記載の電界
    放射型電子源が形成された上記導電性基板との対向面の
    面積が上記導電性基板よりも大きく設定されてなること
    を特徴とする請求項4記載のディスプレイ装置。
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