JPH08329832A - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法

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JPH08329832A
JPH08329832A JP7156788A JP15678895A JPH08329832A JP H08329832 A JPH08329832 A JP H08329832A JP 7156788 A JP7156788 A JP 7156788A JP 15678895 A JP15678895 A JP 15678895A JP H08329832 A JPH08329832 A JP H08329832A
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layer
silicon substrate
emitter
silicon
electron
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JP7156788A
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English (en)
Inventor
Akihiro Hoshino
昭裕 星野
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 共通シリコン基板上に複数の電子放出素子を
設けた場合でも、エッチングによりエミッタ電極を形成
する際のエッチング深さをすべてのエミッタ電極につい
て均一となるようにする。 【構成】 シリコン基板1、エミッタ配線層2、絶縁層
3及びゲート電極4が順次積層され、ゲート電極4と絶
縁層3とエミッタ配線層2にはシリコン基板1に達する
開口部Aが設けられ、その開口部A内のシリコン基板1
にコーン型のシリコンエミッタ電極5がゲート電極4に
接触しないように設けられてなる電界放射型の電子放出
素子において、エミッタ配線層2をシリコン基板1にイ
オン注入法により高濃度でドーパントが注入された高ド
ープ領域層から構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強電界によって電子を
放出する電界放射型の電子放出素子に関する。より詳し
くは、光プリンタ、電子顕微鏡、電子ビーム露光装置な
どの電子発生源や電子銃として、あるいは照明ランプの
超小型照明源として、特に、平面ディスプレイを構成す
るアレイ状のFEA(Field Emitter Array) の電子発生
源として有用な電子放出素子及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子ディスプレイデバイスと
して陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は、電
子銃のカソードから熱電子を放出させるためにエネルギ
ー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要と
するなどの問題があった。
【0003】このため、熱電子ではなく冷電子を利用で
きるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減さ
せ、しかも、デバイス自体を小型化した平面型のディス
プレイが求められ、更に、近年では、そのような平面型
ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現すること
も強く求められている。
【0004】このような冷電子を利用する平面型ディス
プレイの構造としては、高真空の平板セル中に、微小な
電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されてい
る。そして、そのために使用する電子放出素子として、
電界放射現象を利用した電界放射型の電子放出素子が注
目されている。
【0005】電界放射型の電子放出素子は、物質に印加
する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面
のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が10
7V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトン
ネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるように
なり、そのため物質から電子が放出されるという現象を
利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に
従うために、電子を放出する部材(エミッタ電極)に電
界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電
圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる。
【0006】このような電界放射型の電子放出素子とし
ては、先端が尖ったコーン型エミッタ電極を備えた電子
放出素子(J.Applied physics,Vol.39,No.7,3504-3505(1
968), 特開昭61-221783 号公報等) が一般的である。中
でも、単結晶シリコン基板から作製されたコーン型シリ
コンエミッタ電極を有する電子放出素子が好ましい素子
として考えられている。これは、そのコーン型シリコン
エミッタ電極の先端を比較的容易に尖鋭化することがで
きるためである。
【0007】このようなコーン型シリコンエミッタ電極
を備えた電子放出素子は、図4に示すように、シリコン
基板41、熱酸化SiO2層42、絶縁層43及びゲー
ト電極44が順次積層されており、その熱酸化SiO2
層42、絶縁層43及びゲート電極44にはシリコン基
板41に達する開口部Aが形成されており、そして、そ
の開口部A内のシリコン基板41には、少なくともゲー
ト電極44に接触しないように、点状突起Poを有する
円錐形状(コーン型)のシリコンエミッタ電極45が形
成されている構造を有する。この場合、電子放出効率を
更に向上させるために、ゲート電極44の表面が、コー
ン型シリコンエミッタ電極45の点状突起Poより高い
位置にくるようになっている。このような電子放出素子
においては、コーン型シリコンエミッタ電極45に印加
された電圧は、その点状突起Poに効率よく集中するの
で、比較的低い印加電圧で冷電子を放出することができ
る。
【0008】ところで、図4に示す電子放出素子は図5
に示すように製造されている。
【0009】まず、図5(a)に示すように、単結晶シ
リコン基板41を熱酸化して表面にSiO2薄膜を形成
し、そのSiO2薄膜をフォトリソグラフィー法を利用
して円形(エミッタ電極平面パターン形状)にパターニ
ングすることにより、円形のSiO2からなるエッチン
グマスク46を形成する。このエッチングマスク46は
後述するようにリフトオフ材としても機能する。なお、
エッチングマスクの径はゲート径に相当する。
【0010】次に、図5(b)に示すように、サイドエ
ッチレートの高い条件の反応性イオンエッチング(RI
E)によりシリコン基板41をエッチングし、先端が先
鋭化していない略コーン型シリコンエミッタ電極45a
を形成する。
【0011】続いて、図5(c)に示すように、熱酸化
によりシリコン基板41及び略コーン型シリコンエミッ
タ電極45aの表面に熱酸化SiO2層42を形成す
る。このSiO2層42の形成の際に発生する応力によ
り、熱酸化SiO2層42の内側のシリコンエミッタ電
極45aの先端が容易に尖鋭化される。
【0012】そして、図5(d)に示すように、蒸着法
により絶縁膜43、ゲート電極44を積層する。
【0013】最後に、図5(e)に示すように、リフト
オフ材としても機能するエッチングマスク46をエッチ
ングによりリフトオフし、更に、略コーン型シリコンエ
ミッタ電極45aの表面の熱酸化SiO2層42をエッ
チング除去する。そして必要に応じてゲート電極44を
パターニングする。これにより先鋭な先端を有するコー
ン型シリコンエミッタ電極45を備えた電子放出素子が
得られる。
【0014】このようにして得られる電子放出素子は、
エミッタ電極の先端から効率良く電子を放出できるた
め、優れた電圧電流特性をその素子に実現することがで
きるものとなる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うなコーン型シリコンエミッタ電極を備えた電子放出素
子を用いて平面ディスプレイを構成する場合、共通シリ
コン基板に膨大な数の素子を均一に作製する必要があ
る。
【0016】しかしながら、従来のコーン型シリコンエ
ミッタ電極を備えた電子放出素子の場合、大面積の共通
シリコン基板に形成すべき複数のエミッタ電極のすべて
の先端の加工を均一に行うことは以下に説明するように
実際上不可能であるという問題があった。
【0017】即ち、図5に示したような工程に従って電
子放出素子を作製する場合、エミッタ電極及びゲート電
極の形状の制御あるいはゲート電極及びエミッタ電極の
それぞれの基板からの高さ(もしくはそれら間隔)の制
御は、エッチング条件(エッチング時間、エッチャント
の種類、エッチャントの噴射速度、エッチング温度等)
に大きく依存している。しかし、エッチング条件をすべ
ての素子に対して完全に同一なものとすることは実際上
不可能であった。従って、エミッタ電極を形成する際の
エッチング深さを、複数の電子放出素子のすべてについ
て均一とすることはできないという問題があった。この
ため、すべてのエミッタ電極の形状を均一なものとする
ことができず、しかもエミッタ電極の先端とゲート電極
との最短距離にバラツキが生じるために、エミッタ電極
の先端の電界強度が個々の素子の間で異なり、電子放出
特性が不均一となっていた。
【0018】本発明は、以上の従来技術の課題を解決し
ようとするものであり、共通シリコン基板上に複数の電
子放出素子を設けた場合でも、エッチングによりエミッ
タ電極を形成する際のエッチング深さをすべてのエミッ
タ電極について均一となるようにすることを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、(1)シリ
コン基板にイオン注入法によりホウ素イオンなどのドー
パントを注入する際に、シリコン基板内の深さ方向のあ
る同一レベルの領域に高い濃度でドーパントが注入され
た高ドープ領域層を形成することができること、(2)
高ドープ領域層に注入すべきドーパントの種類や濃度あ
るいはエッチャントの種類や濃度などを適宜選択するこ
とによりそれをエッチングストッパー層として機能させ
ることができること、(3)そのような高ドープ領域層
のシリコン基板表面からの深さの制御は、イオン注入用
マスクの厚みなどをかえることにより正確にできるこ
と、(4)また、そのような高ドープ領域層は、シリコ
ン基板母材よりも導電性に優れているので配線層として
使用することが可能であること、(5)従って、シリコ
ン基板からコーン型シリコンエミッタ電極を形成する際
に、高ドープ領域層をエッチングストッパー層として利
用することにより、エッチング深さを正確に制御するこ
とができ、しかもエミッタ配線層としても利用できるこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0020】即ち、本発明は、シリコン基板、エミッタ
配線層、絶縁層及びゲート電極が順次積層され、該ゲー
ト電極と絶縁層とエミッタ配線層にはシリコン基板に達
する開口部が設けられ、その開口部内のシリコン基板に
コーン型シリコンエミッタ電極がゲート電極に接触しな
いように設けられてなる電界放射型の電子放出素子にお
いて、エミッタ配線層がシリコン基板にイオン注入法に
より高濃度でドーパントが注入された高ドープ領域層で
あることを特徴とする電子放出素子を提供する。
【0021】また、本発明は、上記の電子放出素子の製
造方法であって、 (a) シリコン基板の表面を熱酸化してSiO2薄膜
を形成し、そのSiO2薄膜をパターニングして、エミ
ッタ電極平面パターン形状のイオン注入用マスクを形成
する工程; (b) シリコン基板に、イオン注入用マスク側からド
ーパントをイオン注入し、シリコン基板内部に高ドープ
領域層を形成する工程; (c) シリコン基板のイオン注入側の表面を、その高
ドープ領域層がエッチングストッパーとして機能するよ
うなエッチャントを用いてエッチングすることにより、
その高ドープ領域層を露出させてエミッタ配線層とし、
且つイオン注入用マスクの下層のシリコン基板から略コ
ーン型シリコンエミッタ電極を形成する工程; (d) 略コーン型シリコンエミッタ電極の表面を熱酸
化してSiO2薄膜を形成する工程; (e) シリコン基板のイオン注入側の表面に、絶縁層
用材料、続いてゲート電極用材料を順次成膜することに
より、エミッタ配線層上に絶縁層及びゲート電極を形成
する工程; 及び (f) 略コーン型シリコンエミッタ電極の表面の熱酸
化SiO2薄膜をエッチングにより除去するとともに、
イオン注入用マスクをリフトオフしてコーン型シリコン
エミッタ電極を形成する工程 を含んでなることを特徴とする製造方法を提供する。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】図1は本発明の電子放出素子の断面図であ
る。同図に示すように、この電子放出素子は、シリコン
基板1、エミッタ配線層2、絶縁層3及びゲート電極4
が順次積層された構造を有する。そして、ゲート電極4
と絶縁層3とエミッタ配線層2とにはシリコン基板1に
達する開口部Aが設けられ、その開口部A内のシリコン
基板1にコーン型シリコンエミッタ電極5がゲート電極
4に接触しないように設けられている。ここで、エミッ
タ配線層2はシリコン基板1にイオン注入法により高い
濃度でドーパントが注入された高ドープ領域層である。
【0024】本発明において、シリコン基板1は電子放
出素子の支持基板として用いられており、しかもエミッ
タ形成材料としても用いられている。このようなシリコ
ン基板1としては、単結晶シリコンを好ましく使用する
ことができる。また、シリコン基板の表面の結晶面は、
エッチング性の点で(1,1,0)面となることが好ま
しい。
【0025】エミッタ配線層2は、前述したようにシリ
コン基板1にイオン注入法により高い濃度でドーパント
が注入された高ドープ領域層である。ここで、ドーパン
トとしては、エッチングストッパー層として機能できる
ようなイオン種、例えば、ホウ素イオンなどを使用する
ことができる。
【0026】また、シリコン基板1ヘのドーパントのイ
オン注入は市販のイオン注入装置を用いて行うことがで
き、ドーパントのドーズ量や高ドープ領域層におけるド
ーパント濃度は、ドーパントの種類や要求されるエッチ
ングストッパー能や導電率などに応じて適宜決定するこ
とができる。
【0027】なお、高ドープ領域層をエミッタ配線層2
として使用する理由及びその使用により得られる効果に
ついては、本発明の製造方法の説明において更に詳細に
説明する。
【0028】絶縁層3は、エミッタ配線層2とゲート電
極4とを電気的に絶縁するための層である。このような
絶縁層3としては、電子放出素子の絶縁層として用いら
れている公知の材料から形成することができるが、良好
な絶縁性を示し、しかも異方性蒸着法で形成できる酸化
シリコン膜を挙げることができる。
【0029】絶縁層3の厚みとしては、エミッタ配線層
2とゲート電極4との間に十分な絶縁性が保たれればよ
く、例えば、0.2〜2μm、好ましくは0.3〜0.
7μmとする。
【0030】ゲート電極4は、後述するコーン型シリコ
ンエミッタ電極5に強電界を集中させるための電極であ
る。ゲート電極4の材料としては、耐電流性の点から高
融点金属を使用することができ、好ましくはCr、W、
Ta又はNbを挙げることができる。中でも、Nbを使
用することが好ましい。
【0031】ゲート電極4の厚みは、必要に応じて適宜
決定することができるが、0.1〜0.5μmとする。
【0032】コーン型シリコンエミッタ電極5は、その
先端(Po)から電子を直接的に放出する電極である。
【0033】なお、高ドープ領域層からなるエミッタ配
線層2の配線抵抗を更に低減させたい場合には、図2に
示すようにエミッタ配線層2上にCr、Nbなどの金属
からなるエミッタ配線補助層6を設けることが好まし
い。
【0034】本発明の電子放出素子は図5に示したよう
な従来の電子放出素子の製造手法を利用して製造するこ
とができる。例えば、図1に示した構造の電子放出素子
は図3に示すように製造することができる。
【0035】工程(a) まず、シリコン基板1の表面に、公知の手法を利用し、
好ましくは1〜2μm厚さのSiO2薄膜を形成する。
そして、そのSiO2薄膜を、公知のフォトリソグラフ
法を利用してパターニングし、エミッタ電極平面パター
ン形状のSiO2薄膜からなるイオン注入用マスク7を
形成する(図3(a))。
【0036】工程(b) 次に、シリコン基板1に、図3(b)に示すように、イ
オン注入用マスク7側からドーパントをイオン注入す
る。これにより、シリコン基板1内部に高濃度でドーパ
ントが注入された高ドープ領域層2aを形成する(図3
(b))。
【0037】本発明で利用するイオン注入法によれば、
イオン注入用マスク厚みなどのイオン注入条件を制御す
ることにより高濃度のドーパントを含む高ドープ領域層
をシリコン基板の所望の深さに作り込むことができる。
また、そのような高ドープ領域層2aはエッチングスト
ッパー層として利用できる。この点について、シリコン
基板1内に高濃度でホウ素イオンが注入された高ドープ
領域層2aを形成してエミッタ配線層とする場合を具体
的に説明する。
【0038】例えば、加速電圧1000KeVの加速電
圧でホウ素イオンをシリコン基板1に注入した場合、注
入されたホウ素イオンは、シリコン基板1の表面から深
さが深くなるにつれ濃度が増加し、約2μmの深さでピ
ークに達し、その後急激に減少する。このことは、シリ
コン基板1の表面ではなく、表面から約2μmの深さの
ところに高濃度でホウ素イオンが注入された層状の領域
(即ち、高ドープ領域層2a)が形成されていることを
意味する。
【0039】また、シリコン基板1を水酸化カリウム水
溶液でエッチングしてシリコンエミッタ電極5を形成す
る場合、1×1020個/cm3以上の濃度でホウ素イオ
ンがドープされた高ドープ領域層のエッチングレート
は、ホウ素イオン濃度がドープされていないシリコン基
板1に対するエッチングレートの数十分の1に低下す
る。従って、ホウ素イオン濃度が1×1020/cm3
上の高ドープ領域層2aは、エッチャントとして水酸化
カリウム水溶液を使用する場合にはエッチングストッパ
ー層として機能する。
【0040】しかも、そのような高ドープ領域層2a
は、シリコン基板1の母材よりも良好な導電性を有する
ために、配線層としても機能する。
【0041】よって、エッチングストッパー層として機
能する高ドープ領域層2aをエミッタ配線層2として使
用することにより、共通のシリコン基板1に形成される
複数の電子放出素子のすべてのシリコンエミッタ電極5
を形成する際のエッチング深さを均一とすることができ
る。このため、すべてのシリコンエミッタ電極5の形状
を均一なものとすることができ、しかもシリコンエミッ
タ電極5の先端とゲート電極4との最短距離のバラツキ
が生じにくくなり、シリコンエミッタ電極5の先端の電
界強度が個々の素子の間で均一となり、電子放出特性も
均一となる。
【0042】また、シリコン基板1内の高ドープ領域層
2aの深さは、イオン注入用マスク7の厚みなどのイオ
ン注入条件を制御することによりコントロールすること
ができるので、絶縁層3の膜厚ムラが生じた場合でも、
その膜厚ムラに応じてイオン注入用マスク7の厚みを変
化させることにより、高ドープ領域層2aの深さ方向の
位置を補正することができる。従って、ゲート電極4と
シリコンエミッタ電極5との距離を大面積の共通シリコ
ン基板1上において一定にすることができる。
【0043】工程(c) 次に、シリコン基板1のイオン注入側の表面を、その高
ドープ領域層2aがエッチングストッパーとして機能す
るようなエッチャントを用いてエッチングする。これに
より、高ドープ領域層2aが露出してエミッタ配線層2
となる。この際に、イオン注入用マスク7の下のシリコ
ン基板1には、先端が尖鋭ではない略コーン型シリコン
エミッタ電極5aが形成される(図3(c))。
【0044】工程(d) 次に、略コーン型シリコンエミッタ電極5aの表面を、
常法により熱酸化し、0.1〜0.2μm厚程度の熱酸
化SiO2薄膜8を形成する(図3(d))。この際、
熱酸化SiO2薄膜8の形成時に発生する応力により、
その内側の略コーン型シリコンエミッタ電極5aの先端
は先鋭化する。
【0045】工程(e) 次に、シリコン基板1の全面に、絶縁層用材料、続いて
ゲート電極用材料を順次成膜することにより、エミッタ
配線層上に絶縁層3及びゲート電極4を形成する(図3
(e))。この際に、イオン注入用マスク7上には、絶
縁層用材料層3aとゲート電極用材料層4aとが形成さ
れる。
【0046】工程(f) 最後に、略コーン型シリコンエミッタ電極5aの表面の
熱酸化SiO2薄膜8及びイオン注入用マスク7を、緩
衝フッ酸液などを用いてエッチングすることにより除去
する。この場合、イオン注入用マスク7はリフトオフ層
として機能する。また、絶縁層3のエミッタ電極側側面
もサイドエッチされ、リーク電流の低減化に有効とな
る。これにより図3(f)に示すような先端が尖鋭化し
たコーン型のシリコンエミッタ電極5を備えた電子放出
素子が製造できる。
【0047】
【作用】本発明の電子放出素子においては、シリコン基
板内部へドーパントをイオン注入することにより形成さ
れた高濃度のドーパントを含有し、所望の深さに形成さ
れる領域(高ドーパント領域層)をエミッタ配線層とし
て使用する。従って、共通のシリコン基板に形成される
複数の電子放出素子のすべてのシリコンエミッタ電極を
形成する際のエッチング深さを均一とすることが可能と
なる。
【0048】
【実施例】本発明の電子放出素子の製造例を以下の実施
例により具体的に説明する。
【0049】実施例1 工程(a) シリコン基板を常法に従って熱酸化し、その表面に1μ
m厚のSiO2膜を形成した。そのSiO2膜をフォトリ
ソグラフ法によりエッチングして、エミッタ電極平面パ
ターン形状のSiO2薄膜からなるイオン注入用マスク
を形成した。 工程(b) 次に、加速電圧1000KeVでホウ素イオンをシリコ
ン基板に、イオン注入用マスク側からイオン注入した
(ドーズ量=1×1016イオン/cm2)。このイオン
注入されたホウ素イオンはシリコン基板の中に、約1.
6μmの深さにまで到達し、その位置でのホウ素イオン
濃度が最も高くなり、1×1020イオン/cm3以上の
濃度の高ドープ領域層が形成された。
【0050】工程(c) 次に、シリコン基板のイオン注入用マスク側表面を、K
OH水溶液(温度35℃)を用いて、高ドープ領域層が
露出するまで異方性エッチングし、露出した高ドープ領
域層をエミッタ配線層とした。
【0051】このエッチングにより、イオン注入用マス
クの下のシリコン基板から、先端が尖鋭ではない略コー
ン型のシリコンエミッタ電極が形成された。
【0052】工程(d) 続いて、略コーン型のシリコンエミッタ電極の表面を常
法により熱酸化して、約0.1μm厚さのSiO2膜を
形成した。
【0053】工程(e) 次に、チムニー型蒸着機を用いてエミッタ配線層上に、
約1μm厚のSiO2絶縁層及び0.3μm厚のNbゲ
ート電極を形成した。
【0054】なお、イオン注入用マスク上にも、SiO
2膜とNb膜とが形成された。
【0055】工程(f) 次に、緩衝フッ酸を用いて、略コーン型のシリコンエミ
ッタ電極の表面の熱酸化SiO2膜をエッチングにより
除去した。この際、SiO2膜からなるイオン注入用マ
スクがリフトオフされた。また、Nbゲート電極の下方
のSiO2絶縁層もサイドエッチングされた。これによ
り、図1に示すような電子放出素子が得られた。
【0056】このようにして得られた電子放出素子を2
00個集積したアレイを試作し、以下のように試験・評
価した。
【0057】即ち、各素子のエミッタ−ゲート間の距離
を約0.3±0.05μmに設計した構造の素子に対
し、蛍光体を塗布した透明電極(アノード)を有するガ
ラス板部材を距離30mmで対向させ、エミッタ−ゲー
ト間にゲート側が正となる極性で引き出し電圧120V
を印加したところ、蛍光面全面が実質的に均一な輝度に
発光した。
【0058】
【発明の効果】本発明の電子放出素子によれば、共通シ
リコン基板上に複数の電子放出素子を設けた場合でも、
エッチングによりエミッタ電極を形成する際のエッチン
グ深さをすべてのエミッタ電極について均一となるよう
にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の断面図である。
【図2】本発明の電子放出素子の断面図である。
【図3】本発明の電子放出素子の製造工程図である。
【図4】従来の電子放出素子の断面図である。
【図5】従来の電子放出素子の製造工程図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 エミッタ配線層 2a 高ドープ領域層 3 絶縁層 4 ゲート電極 5 コーン型シリコンエミッタ電極 5a 略コーン型シリコンエミッタ電極 6 エミッタ配線補助層 7 イオン注入用マスク 8 熱酸化SiO2薄膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板、エミッタ配線層、絶縁層
    及びゲート電極が順次積層され、該ゲート電極と絶縁層
    とエミッタ配線層とにはシリコン基板に達する開口部が
    設けられ、その開口部内のシリコン基板にコーン型シリ
    コンエミッタ電極がゲート電極に接触しないように設け
    られてなる電界放射型の電子放出素子において、エミッ
    タ配線層がシリコン基板にイオン注入法により高濃度で
    ドーパントが注入された高ドープ領域層であることを特
    徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 ドーパントがホウ素イオンである請求項
    1記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 エミッタ配線層と絶縁層との間に、エミ
    ッタ配線補助層として金属薄膜層が形成された請求項1
    又は2記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電子放出素子の製造方法
    において: (a) シリコン基板の表面を熱酸化してSiO2薄膜
    を形成し、そのSiO2薄膜をパターニングして、エミ
    ッタ電極平面パターン形状のイオン注入用マスクを形成
    する工程; (b) シリコン基板に、イオン注入用マスク側からド
    ーパントをイオン注入し、シリコン基板内部に高濃度で
    ドーパントが注入された高ドープ領域層を形成する工
    程; (c) シリコン基板のイオン注入側の表面を、その高
    ドープ領域層がエッチングストッパーとして機能するよ
    うなエッチャントを用いてエッチングすることにより、
    その高ドープ領域層を露出させてエミッタ配線層とし、
    且つイオン注入用マスクの下層のシリコン基板から略コ
    ーン型シリコンエミッタ電極を形成する工程; (d) 略コーン型のシリコンエミッタ電極の表面を熱
    酸化して熱酸化SiO2薄膜を形成する工程; (e) シリコン基板のイオン注入側の表面に、絶縁層
    用材料、続いてゲート電極用材料を順次成膜することに
    より、エミッタ配線層上に絶縁層及びゲート電極を形成
    する工程; 及び (f) 略コーン型シリコンエミッタ電極の表面の熱酸
    化SiO2薄膜をエッチングにより除去するとともに、
    イオン注入用マスクをリフトオフしてコーン型シリコン
    エミッタ電極を形成する工程 を含んでなることを特徴とする製造方法。
  5. 【請求項5】 ドーパントがホウ素イオンである請求項
    4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(c)において用いるエッチャント
    が水酸化カリウム水溶液である請求項5記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 工程(f)において、緩衝フッ酸を用い
    てエッチングを行う請求項4〜6のいずれかに記載の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109891547A (zh) * 2016-10-13 2019-06-14 科磊股份有限公司 包含具有硼层的硅衬底上的场发射器的多柱电子束光刻

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