JP4151861B2 - 冷電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強電界によって冷電子を放出する電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、光プリンタ、電子顕微鏡、電子ビーム露光装置などの電子発生源や電子銃として、あるいは照明ランプの超小形照明源として、特に、平面ディスプレイを構成するアレイ状のFEA(Field Emitter Array)の電子発生源として有用な冷電子放出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子ディスプレイデバイスとして陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は、電子銃のカソードから熱電子を放出させるためにエネルギー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要とするなどの問題があった。
【0003】
このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に、近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
【0004】
このような冷電子を利用する平面型ディスプレイの構造としては、高真空の平板セル中に、微小な電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されている。そして、そのために使用する電子放出素子として、電界放射現象を利用した電界放射型の冷電子放出素子が注目されている。
【0005】
この電界放射型の冷電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が107V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになり、そのため物質から電子が放出されるという現象を利用している。
【0006】
この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材(エミッタ)に電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる。
【0007】
このような電界放射型の冷電子放出素子の一般的なものとして、図5に示すように、先端が尖った円錐形の冷電子放出素子を例示することができる。この素子においては、絶縁性基板51上に導電層52、絶縁層53及びゲート電極54が順次積層されており、その絶縁層53及びゲート電極54には、導電層52に達する開口部Bが形成されている。そして、その開口部B内の導電層52上に、ゲート電極54に接触しないように、点状突起を有する円錐形状のエミッタ55が形成されている。
【0008】
このような円錐形エミッタでは、スピント型エミッタが広く知られている。 スピント型エミッタを備えた冷電子放出素子の製造例を、図6(a)〜(d)を参照しながら説明する。
【0009】
まず、図6(a)に示すように、予め導電層62が形成された絶縁性基板61上に、絶縁層63及びゲート電極64をスパッタ法又は真空蒸着法等により順次成膜する。続いて、フォトリソグラフィー法と反応性イオンエッチング法(RIE)とを利用して、絶縁層63及びゲート電極64の一部を、導電層62が露出するまで円形の孔(ゲート孔)が開口するようにエッチングする。
【0010】
次に、図6(b)に示すように、斜方蒸着によりリフトオフ材65をゲート電極64上面と側面にのみ形成する。リフトオフ材65の材料としては、Al,MgO等が多く使用されている。
【0011】
続いて、図6(c)に示すように、導電層62上に、その垂直な方向から通常の異方性蒸着により、エミッタ66用の金属材料を蒸着する。このとき、蒸着の進行につれて、ゲート孔の開口径が狭まると同時に導電層62上に円錐形のエミッタ66が自己整合的に形成される。蒸着は、最終的にゲート孔が閉じるまで行なう。エミッタの材料としては、Mo,Ni等を使用することができる。
【0012】
最後に、図6(d)に示すように、リフトオフ材65をエッチングにより剥離することにより、その上に形成されている金属材料をリフトオフし、必要に応じてゲート電極64をパターニングする。これによりスピント型エミッタを備えた冷電子放出素子が得られる。
【0013】
このようなスピント型エミッタを備えた冷電子放出素子は、異方性蒸着法により自己整合的に円錐形状のエミッタを簡便に形成することができ、更にエミッタ材料が広範囲に選定できるという利点を有している。
【0014】
ところで、スピント型エミッタに代表される、微細加工技術を利用した冷電子放出素子を特に平面ディスプレイ等に適用する場合、エミッタからのエミッション電流の変動が小さいことが、高品位な画質を得るには必要不可欠である。
【0015】
エミッション電流の変動は、エミッタを集積化することで、ある程度低減することが可能である。これは、集積化により個々のエミッタにおけるエミッション特性のばらつきの影響が低減されるためである。しかしながら、この方法では、各エミッタからのエミッション電流を見かけ上平均化するに過ぎないため、局所的に現れる異常に大きなエミッション電流を抑制することは不可能である。
【0016】
このようなエミッション電流の変動を低減する手段として、米国特許第3,789,471号明細書では、スピント型エミッタにおいて、導電層とエミッタの間に抵抗層を設ける技術が示されている。
このような抵抗層を具備した冷電子放出素子の構成例を、図7を参照しながら説明する。
【0017】
図7に示すように、絶縁性基板71上に導電層72、抵抗層73、絶縁層74及びゲート電極75が順次積層されており、その絶縁層74及びゲート電極75には、抵抗層73に達する開口部Bが形成されている。そして、その開口部B内の抵抗層73上には、ゲート電極75に接触しないように、円錐形状のエミッタ76が形成されている。
【0018】
この場合、抵抗層73は導電層72とエミッタ76間に電気的に直列に挿入されている。この抵抗層73により、素子間の電流を均一化する作用が得られ、さらに素子破壊につながる大電流を低減するとともに、エミッション電流の変動も抵抗層73の抵抗値に比例して減少させることが可能となる。抵抗層73の比抵抗は、102 から106Ω・cmが適当とされている。
【0019】
一方、半導体集積回路製造技術を応用したシリコンエミッタもまた広く知られている(Tech.Dig.IVMC.,(1991)p26)。
シリコンエミッタを備えた冷電子放出素子の製造例を、図8(a)〜(e)を参照しながら説明する。
【0020】
まず、図8(a)に示すように、単結晶シリコン基板81を熱酸化して表面に酸化シリコン層を形成し、その酸化シリコン層をフォトリソグラフィー法を利用して円形にパターニングすることにより、円形のエッチングマスク用酸化シリコン層82を形成する。この酸化シリコン層82は、後述するように、リフトオフ材としても機能する。なお、酸化シリコン層82の径は、ほぼゲート径に相当する。
【0021】
次に、図8(b)に示すように、サイドエッチレートの高い条件の反応性イオンエッチング法(RIE)によりシリコン基板81をエッチングし、エミッタ83を形成する。
【0022】
続いて、図8(c)に示すように、熱酸化によりシリコン基板81及びエミッタ83の表面にエミッタ先端先鋭化用酸化シリコン層84を形成する。この酸化シリコン層84の形成時に発生する応力により、酸化シリコン層84の内側のエミッタ83の先端が容易に尖鋭化される。
そして、図8(d)に示すように、異方性蒸着法により絶縁層85、ゲート電極86を積層する。
【0023】
最後に、図8(e)に示すように、リフトオフ材としても機能するエッチングマスク用酸化シリコン層82をエッチングによりリフトオフし、更に、エミッタ83の表面の酸化シリコン層84をエッチング除去する。そして必要に応じてゲート電極86をパターニングする。これによりシリコンエミッタを備えた冷電子放出素子が得られる。
【0024】
さらに最近、シリコンエミッタにおいて、シリコンの半導体としての性質を利用して高度な電流制御が可能であることが示されている(Jpn.J.Appl.Phys.vol.35(1996)p6637)。このような電流制御機能を搭載したシリコンエミッタは、MOSFET構造エミッタと称される。このMOSFET構造エミッタを備えた冷電子放出素子の構成を、図9を参照しながら説明する。
【0025】
図9に示すように、p型シリコン基板91の同一平面上に、n型シリコンからなる円錐形のエミッタ92とn型シリコン層93を介してエミッタ配線層94が設けられ、エミッタ92とエミッタ配線層94の間に絶縁層95を介してゲート電極96が設置されている。即ち、このエミッタでは、MOSFET(metal−oxide−semiconductor field−effect−transistor)構造を冷電子放出素子に内蔵した構造をもち、冷電子放出素子のエミッタ配線層94がMOSFETのソース、エミッタ92がドレイン、ゲート電極96がゲート、絶縁層95がゲート絶縁層としてそれぞれ機能する。
【0026】
このようなMOSFET構造エミッタを備えた冷電子放出素子の製造例を、図10(a)〜(g)を参照しながら説明する。
まず、図10(a)に示すように、単結晶のp型シリコン基板101を熱酸化して表面に酸化シリコン層102を形成し、その酸化シリコン層102をフォトリソグラフィー法を利用して円形にパターニングすることにより、円形のエッチングマスク用酸化シリコン層102を形成する。この酸化シリコン層102は、後述するように、リフトオフ材としても機能する。なお、酸化シリコン層102の径は、ほぼゲート径に相当する。
【0027】
次に、図10(b)に示すように、サイドエッチレートの高い条件の反応性イオンエッチング法(RIE)によりp型シリコン基板101をエッチングし、エミッタ103を形成する。
【0028】
続いて、図10(c)に示すようよ、熱酸化によりp型シリコン基板101及びエミッタ103の表面にエミッタ先端先鋭化用ならびに絶縁層用酸化シリコン層104を形成する。この酸化シリコン層104の形成時に発生する応力により、酸化シリコン層104の内側のエミッタ103の先端が容易に尖鋭化される。
【0029】
そして、図10(d)に示すように、全面にゲート電極材料を成膜し、このゲート電極材料をフォトリソグラフィー法を利用してパターニングし、エミッタ配線用の円形孔パターンを形成する。
【0030】
次に、図10(e)に示すように、リフトオフ材としても機能するエッチングマスク用酸化シリコン層102をエッチングして、その上のゲート電極材料をリフトオフし、更に、エミッタ103の表面の酸化シリコン層104をエッチング除去して、エミッタ配線孔Cを形成する。
【0031】
続いて、図10(f)に示すように、リンをイオン注入した後、拡散アニールを施し、エミッタ103をn型化するとともに、エミッタ配線孔Cの底部にn型シリコン領域106を生成する。
【0032】
最後に、図10(g)に示すように、エミッタ配線用及びゲート配線用電極材料としてアルミニウム等の金属薄膜107を成膜した後、必要に応じてゲート電極105をパターニングする。これによりMOSFET構造エミッタを備えた冷電子放出素子が得られる。
【0033】
このようなMOSFET構造のシリコンエミッタを備えた冷電子放出素子では、従来のシリコンエミッタとほぼ同様の作製工程により容易に作製できるにも関わらず、MOSトランジスタを素子に内蔵することにより、トランジスタ制御された、非常に安定したエミッション電流が得られ、かつ局所的な大電流の発生をなくすることができるため、素子破壊も原理的に起こり得ないという大きな特徴を有する。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上説明した従来の冷電子放出素子には、それぞれ次のような問題がある。
【0035】
まず、電流安定化のために抵抗層を設けた、図7に示すような冷電子放出素子においては、局所的な大電流に対して十分な電流低減特性を得るために、より大きな抵抗を与える必要が生じるとともに、電流変動も個々の素子の特性に対して相対的に低減できるに止まること、さらには原理的に動作電圧の上昇が避けられないという問題があった。
【0036】
一方、電流制御機能を搭載した、図9に示すようなMOSFET構造シリコンエミッタでは、トランジスタ制御による非常に高いレベルで安定な電流が得られるが、単結晶シリコン基板を必要とすることから、低コスト化及び大面積化が困難であるという問題があった。
【0037】
また、従来技術による冷電子放出素子においては、素子の駆動電圧はゲート電極にかける冷電子の引き出し電圧(動作電圧)となるため、通常数十ボルト以上の高電圧が必要となり、低コストのIC回路が使用できないため、駆動回路が高価になるという問題があった。
【0038】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決しようとするものであり、動作電圧を上昇させることなく局所的な大電流を抑えるとともに、電流変動を最小限に低減することを可能とした電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0039】
本発明の他の目的は、低コスト化及び大面積化を容易とした電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0040】
本発明の更に他の目的は、駆動電圧を低下させ、回路コストを低減することの可能な電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0041】
本発明の更にまた他の目的は、電流制御機能を持たない従来の素子の同等のプロセスにより容易に作製できる、電界放射型の冷電子放出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0042】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、絶縁性基板上に第1の導電層(ドレイン)と第2の導電層(ソース)を設け、少なくともそれらの導電層の間隙の絶縁性基板上に非単結晶シリコンからなる半導体薄膜、ゲート絶縁層、第3の導電層(ゲート)を積層して設けることにより、薄膜トランジスタ(TFT)構造を実現し、更に、第1の導電層(ドレイン)上には、非単結晶シリコンからなるエミッタを形成することにより、単結晶シリコン基板を使用することなく、容易に薄膜トランジスタを冷電子放出素子の中のエミッタ近傍に作り込むことにより、電流を安定化でき、且つ薄膜トランジスタのゲート電極を素子のスイッチング電極として用いることで、駆動電圧を低減できることを見出した。
【0043】
更に、本発明者は、ゲート電極と第3の導電層(TFTゲート)を同一材料の単層薄膜から加工することで同時に作製し、また絶縁膜をTFTゲート絶縁層を共用し、同一の単層膜から構成することで、簡単な素子構造の冷電子放出素子を容易に作製できることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき、完成させるに至ったものである。
【0044】
即ち、本発明は、絶縁性基板上に、所定の間隔を隔てて設けられた第1の導電層および第2の導電層、前記第1および第2の導電層の間の前記絶縁性基板上、および前記第1の導電層と第2の導電層上に形成された、非単結晶シリコンからなる半導体薄膜、前記半導体薄膜上に形成され、第1の開口部を有する絶縁層、前記絶縁層上に形成され、前記第1の開口部に対応する第2の開口部を有するゲート電極、前記第1及び第2の開口部内に前記ゲート電極に接触しないように形成された、非単結晶シリコンからなるエミッタ、および前記第1の導電層および第2の導電層の間の半導体薄膜上に、ゲート絶縁膜として機能する前記絶縁層を間に介して形成されたゲートとして機能する第3の導電層を具備し、前記ゲート電極と前記第3の導電層は、同一材料からなり、前記絶縁層の同一面上に形成したことを特徴とする冷電子放出素子を提供する。
【0045】
以上のように構成される本発明の冷電子放出素子には、以下の好ましい態様がある。
(1)エミッタと第1の導電層もしくは半導体薄膜層との間に金属材料から成るエッチングストッパ層が介在すること。
【0046】
(2)エミッタ及び半導体薄膜層を構成する非単結晶シリコンが、アモルファスシリコン又はポリシリコンであること。)ミッタが、アモルファスシリコン、またはn型もしくはp型水素化アモルファスシリコンから構成されていること。
【0047】
(4)半導体薄膜層が、ノンドープの水素化アモルファスシリコンから構成されていること。
(5)第1の導電層と半導体薄膜層との間、及び第2の導電層と半導体薄膜層との間に、オーミック層が挟持されていること。
【0048】
(6)オーミック層が、n型水素化アモルファスシリコンから構成されていること。
(7)第1の導電層上に、エミッタが直接設けられていること。
【0049】
(8)半導体薄膜層を囲む第1の導電層、第2の導電層及び第3の導電層が、それぞれドレイン電極、ソース電極及びゲート電極として機能する薄膜トランジスタ構造を形成しており、この薄膜トランジスタがnチャネルエンハンスメントモードで動作すること。
(9)エミッタの形状が、円錐形、円錐台形又は多角錐台形であること。
(10)絶縁性基板が、ガラス基板であること。
【0050】
また、本発明は、(a)絶縁性基板上に金属薄膜層を成膜した後、前記金属薄膜層をパターニングして、第1の導電層及び第2の導電層を、互いに直接接触しないように形成し、続いて、半導体薄膜層、エミッタ材料層、およびエッチングマスク材料層を順次成膜する工程、(b)前記エッチングマスク材料層をゲートの開口径に相当する形状にパターニングしてエッチングマスク層を形成し、このエッチングマスク層をマスクとして用いて、反応性イオンエッチングにより、前記エミッタ材料層を前記半導体薄膜層が露出するまでエッチングすることによりエミッタを形成する工程、(c)前記絶縁性基板に対して垂直方向の異方性蒸着法により、前記半導体薄膜層上に絶縁材料層及びゲート電極材料層を自己整合的に成膜する工程、(d)前記エッチングマスク層を剥離することにより、前記エミッタ上の絶縁材料層及びゲート電極材料層を除去する工程、及び(e)残留するゲート電極材料層をパターニングして、ゲート電極及び第3の導電層を形成する工程を具備することを特徴とする冷電子放出素子の製造方法を提供する。
【0051】
以上のように構成される本発明の冷電子放出素子の製造方法には、以下の好ましい態様がある。
【0052】
(1)工程(a)において、半導体薄膜層を成膜した後、エッチングストッパ層として金属材料を成膜し、工程(b)において、反応性イオンエッチングによりエミッタ材料をエッチングストッパ層が露出するまでエッチングすることによりエミッタを形成した後、エッチングストッパ層をエミッタの下の部分を残してエッチング除去すること。
【0053】
(2)工程(a)において、半導体薄膜層及びエミッタ材料が水素化アモルファスシリコンであり、プラズマエンハンストCVD法によって形成すること。 (3)工程(a)において、エミッタ材料がアモルファスシリコンまたはポリシリコンであること。
【0054】
(4)工程(a)において、エミッタ材料が少なくともシラン及びホスフィンの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたn型の水素化アモルファスシリコンであること。
(5)工程(a)において、半導体薄膜層が、少なくともシランまたはジシランを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたノンドープの水素化アモルファスシリコンであること。
【0055】
(6)工程(a)において、半導体薄膜層が、熱CVD法またはプラズマエンハンストCVD法でアモルファスシリコンを成膜した後、アニール処理を施すことにより形成されたポリシリコン層であること。
(7)工程(a)において、絶縁性基板上に金属薄膜層を成膜した後、続いてオーミック層を成膜し、金属薄膜層とオーミック層とをフォトリソグラフィー法によりパターニングして、第1の導電層及び第2の導電層を同時に形成すること。
【0056】
(8)工程(a)において、オーミック層が、少なくともシラン及びホスフィンの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたn型の水素化アモルファスシリコン層であること。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して、詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る冷電子放出素子を示す断面図である。同図に示すように、この冷電子放出素子においては、絶縁性基板1上に、第1の導電層2と第2の導電層3が設けられ、第1の導電層2と第2の導電層3上、及び第1の導電層2と第2の導電層3の間隙Aには、非単結晶シリコンからなる半導体薄膜層4が配されている。
【0058】
そして、第1の導電層2と第2の導電層3の間隙Aの半導体薄膜層4上には、絶縁層5を介して第3の導電層6が形成されている。また、第1の導電層2上の半導体薄膜層4上には、絶縁層5及びゲート電極7が順次積層された構造を有し、ゲート電極7と絶縁層5とには、半導体薄膜層4に達するエミッタ用孔Bが設けられている。
【0059】
また、エミッタ用孔B内の半導体薄膜層4上には、非単結晶シリコンからなる円錐形または円錐台形のエミッタ8がゲート電極4に接触しないように形成されている。ここで、第3の導電層6とゲート電極7は、同一材料によって構成されている。
【0060】
また、第1の導電層2、第2の導電層3、半導体薄膜層4、ゲート絶縁層5及び第3の導電層6は、共同して、nチャネルエンハンスメントモードで動作する薄膜トランジスタ構造(TFT)を構成している。即ち、第1の導電層2はドレイン、第2の導電層3はソース、半導体薄膜層4はチャネル、絶縁層5はゲート絶縁層、及び第3の導電層6はゲートとして機能している。
【0061】
また、エミッタ8の加工性を向上させするという観点から、図1(b)に示すように、半導体薄膜層4とエミッタ8の間に、エッチングストッパ層11を介在させることが好ましい。
【0062】
また、より良好な電流制御特性を得るという観点から、図1(c)及び図1(d)にそれぞれ示すように、第1の導電層2と半導体薄膜層4との間、及び第2の導電層3と半導体薄膜層4との間に、それぞれオーミック層9を介在させることが好ましい。
【0063】
更に、より低い引き出し電圧(動作電圧)を得るという観点から、第1の導電層2とエミッタ8との間に半導体薄膜層4を介在しない構造とすることも可能である。
【0064】
本発明に係る冷電子放出素子において、絶縁性基板1は、冷電子放出素子の支持基板として用いられており、大面積化が容易な絶縁性の基板を好ましく使用することができる。このような絶縁性基板としては、ガラス基板、セラミックス基板、石英基板などを使用することができるが、中でもガラス基板を好ましく使用することができる。単結晶シリコンの表面に絶縁層が形成された基板も使用することが可能である。
【0065】
本発明に係る冷電子放出素子において、第1の導電層2は、TFTのドレインとして機能する。このような第1の導電層2の材料としては、配線抵抗が低く、下層の絶縁性基板1と密着性が高い材料が適当である。このような材料として、特に好ましくは、Cr、Al、Cr積層膜等を挙げることができる。
【0066】
第1の導電層2の膜厚としては、十分な配線抵抗と密着性が得られる限り、特に制限はないが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmがよい。
【0067】
第2の導電層3は、エミッタ配線層として機能し、且つTFTのソースとしても機能する。このような第2の導電層3の材料としては、配線抵抗が低く、下層の絶縁性基板1と密着性が高い材料が適当である。そのような材料として、特に好ましくはCr、Al、Cr積層膜等を挙げることができる。
【0068】
第2の導電層3の膜厚としては、十分な配線抵抗と密着性が得られる限り、特に制限はないが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmがよい。
【0069】
半導体薄膜層4は、薄膜トランジスタ(TFT)のチャネルとして機能する。そのような半導体薄膜層4としては、液晶ディスプレイのスイッチング素子として広く用いられているTFTと同様の公知の材料から形成することができ、好ましくは、非単結晶シリコンを使用することができる。非単結晶シリコンとしては、アモルファスシリコン(特にノンドープの水素化アモルファスシリコン)やポリシリコンを挙げることができる。
【0070】
なお、絶縁性基板1としてガラス基板を用いる場合には、半導体薄膜層4として、特に水素化アモルファスシリコン、あるいはレーザーアニールによるポリシリコンを好ましく用いることができる。
【0071】
半導体薄膜層4の厚みとしては、TFTのチャネルとして動作し得る厚みとして、通常0.01〜2μm、好ましくは0.03〜0.7μmとする。
【0072】
絶縁層5は、エミッタ8及び第1の導電層2とゲート電極7とを電気的に絶縁するための層である。さらに、半導体薄膜層4と第3の導電層6とを電気的に絶縁するためにも同時に使用される。すなわち、TFTのゲート絶縁層としても機能する。
【0073】
そのような絶縁層5としては、自己整合的に形成するため、異方性蒸着が望ましく、オゾンと酸素の混合ガスを反応ガスとして用いる反応性のチムニー式抵抗加熱蒸着法による酸化シリコンが特に良好な絶縁性を得ることができるので好ましい。ただし、製法によってはTFTのゲート絶縁層を別途成膜するが、そのような場合は、絶縁層5として、従来のTFTと同様の公知の材料から形成することができる。例えば、PECVD法による窒化シリコン、酸化シリコンを用いることができる。
【0074】
絶縁層5の厚みとしては、エミッタ周囲部においては、エミッタ8、第1の導電層2もしくは半導体薄膜層4とゲート電極7との間に十分な絶縁性が保たれ、かつ、TFT部のゲート絶縁層としても同時に機能させるためには、通常、0.01〜2μm、好ましくは0.03〜1μmとする。
【0075】
第3の導電層6は、TFTのゲートとして機能する。このような第3の導電層6の材料としては、配線抵抗が低く、下層の絶縁層5と密着性が高い材料が適当である。このような材料として、特に好ましくはCr、Al、Cr積層膜を挙げることができるが、作製の容易性からゲート電極7と同一材料で構成することを考慮し、Cr、Nbが適当である。
【0076】
第3の導電層6の膜厚としては、十分な配線抵抗と密着性が得られる限り、特に制限はないが、通常0.05〜2.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmがよい。
【0077】
ゲート電極7は、エミッタ8に強電界を集中させるための電極である。ゲート電極7の材料としては、耐電流性の点から高融点金属であって、エミッタ形成時に使用するエッチング液に耐性を有する材料を使用することができ、さらに、第3の導電層6と同一材料とすることを考慮すると、好ましくはCr、Nbを挙げることができる。
【0078】
ゲート電極7の厚みは、必要に応じて適宜決定することができるが、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0079】
エミッタ8は、その表面から電子を直接的に放出する部材であり、非単結晶シリコン薄膜を使用する。ここで、エミッタ8を非単結晶シリコン薄膜、例えばポリシリコン薄膜またはアモルファスシリコン薄膜で形成した場合、エミッタ自体がある程度の抵抗をもつために、より安定なエミッション特性を得ることができる。
【0080】
エミッタ8全体の厚み(高さ)は、必要に応じて適宜決定することができるが、好ましくは0.3〜2μmである。
また、エミッタ8の形状としては、円錐形または円柱形、或いは円錐台形または多角錐台であることが好ましい。
【0081】
オーミック層9は、第1の導電層2及び第2の導電層3と半導体薄膜層4とのオーミック接触を得るために、又はより良好なオーミック接触を得るために設けられている。このようなオーミック層9の材料としては、従来のTFTと同様の公知の材料から形成することができる。例えば、PECVD法によるn型の水素化アモルファスシリコンを用いることができる。
【0082】
オーミック層9の膜厚としては、十分なオーミック特性が得られる限り、特に制限はないが、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.03〜0.07μmである。
【0083】
エッチングストッパ層11としては、エミッタ8を形成する際に反応性イオンエッチングストッパとなる材料であれば良く、Cr、Al等を挙げることができる。その厚みは、0.01〜0.1μmが好ましい。
【0084】
次に、図1(a)に示す冷電子放出素子の製造方法を、図2を参照して、詳細に説明する。
【0085】
工程(a)
まず、絶縁性基板1上に金属薄膜をスパッタ法等により成膜した後、フォトリソグラフィー法により第1の導電層2と第2の導電層3にTFTのチャネル長に相当する間隙とチャネル幅に相当する幅を設けてパターニングする。
【0086】
次に、非単結晶シリコンなどの半導体薄膜層4、エミッタ材料8′をCVD法等により成膜する。ここで、半導体薄膜層4としては、PECVD法で成膜された水素化アモルファスシリコン、又は熱CVDもしくはPECVD法で成膜されたアモルファスシリコン膜を、例えばレーザーアニール等でアニール処理し、生成したポリシリコン膜を好ましく用いることができる。
【0087】
また、エミッタ材料8′の成膜法としては、シランまたはジシランとホスフィンから成る混合ガスを反応ガスとして用いるPECVD法が好ましい。この場合には、n型の水素化アモルファスシリコン膜を形成することができる。あるいはスパッタ法も好ましく利用することができ、この場合には、アモルファスシリコン膜を形成できる。
【0088】
続いて、エッチングマスク材料層10′として酸化シリコン膜を蒸着法、スパッタ法等の通常の成膜法を用いて成膜する(図2(a))。
【0089】
工程(b)
次に、フォトリソグラフィー法により、エッチングマスク材料層10′にゲートの開口径に相当する形状の孔(円形又は多角形)を形成するようにパターニングして、エッチングマスク層10を形成し、反応性イオンエッチングによりエミッタ材料8′を半導体薄膜層4が露出するまでエッチングすることにより、エミッタ8を形成する(図2(b))。
【0090】
工程(c)
続いて、半導体薄膜層4上に、その垂直な方向から通常の異方性蒸着により、絶縁材料5′及びゲート電極材料7′を蒸着する(図2(c))。このとき、絶縁材料5′を形成するための蒸着法としては、自己整合的に形成するために異方性蒸着が望ましく、オゾンと酸素の混合ガスを反応ガスとして用いる反応性のチムニー式抵抗加熱蒸着法により、酸化シリコン膜を形成する。
【0091】
工程(d)
次に、エッチングマスク層10をエッチングにより剥離する(図2(d))。
工程(e)
最後に、絶縁層5、ゲート電極材料層7′をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、ゲート電極7及び第3の導電層6を形成する(図2(e))。これにより、図1(a)に示す冷電子放出素子が得られる。
【0092】
次に、図1(a)に示す冷電子放出素子の変形例としての、図1(b)に示す冷電子放出素子の製造方法を、図3を参照して、詳細に説明する。
工程(a)
まず、絶縁性基板1上に金属薄膜をスパッタ法等により成膜した後、フォトリソグラフィー法により、TFTのチャネル長に相当する間隙とチャネル幅に相当する幅を有するようにパターニングし、第1の導電層2と第2の導電層3を形成する。
【0093】
次に、非単結晶シリコンなどの半導体薄膜層4、エッチングストッパ層11′形成用材料、およびエミッタ材料8′を成膜する。ここで、半導体成膜層4としては、PECVD法で成膜された水素化アモルファスシリコン、又は熱CVDもしくはPECVD法で成膜されたアモルファスシリコン膜を、例えばレーザーアニール等でアニール処理し、生成したポリシリコン膜を好ましく用いることができる。
また、エッチングストッパ層11′形成用材料としては、スパッタ法、蒸着法等によるCrAl薄膜が挙げられる。
【0094】
また、エミッタ材料8′の成膜法としては、シランまたはジシランとホスフィンから成る混合ガスを反応ガスとして用いるPECVD法が好ましい。この場合には、n型の水素化アモルファスシリコン膜を形成することが出来る。あるいはスパッタ法も好ましく利用することができ、この場合にはアモルファスシリコン膜を形成することができる。
続いて、エッチングマスク材料層10′として酸化シリコン膜を蒸着法、スパッタ法等の通常の成膜法を用いて成膜する(図3(a))。
【0095】
工程(b)
次に、フォトリソグラフィー法により、エッチングマスク材料層10′を、ゲートの開口径に相当する形状の孔(円形又は多角形)を形成するようにパターニングして、エッチングマスク層10を形成し、反応性イオンエッチングによりエミッタ材料8′をエッチングストッパ層11′が露出するまでエッチングすることにより、エミッタ8を形成する。続いて、エッチングストッパ層材料11′をエッチングし、エミッタ8の下地部11のみを残す(図3(b))。
【0096】
工程(c)
続いて、半導体薄膜層4上に、その垂直な方向から通常の異方性蒸着により、絶縁材料5′及びゲート電極材料7′を蒸着する(図3(c))。このとき、絶縁材料5′としては、自己整合的に形成するために異方性蒸着が望ましく、例えば、オゾンと酸素の混合ガスを反応ガスとして用いる反応性のチムニー式抵抗加熱蒸着法による酸化シリコン膜を使用することが出来る。
【0097】
工程(d)
次に、エッチングマスク層10をエッチングにより剥離する(図3(d))。
工程(e)
最後に、絶縁層5、ゲート電極材料層7′をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、ゲート電極7及び第3の導電層6を形成する(図3(e′))。これにより、図1(b)に示す冷電子放出素子が得られる。
【0098】
以上説明したように、本発明の冷電子放出素子においては、非単結晶シリコンをチャネルとしたTFT構造を有し、ドレイン電極上に非単結晶シリコンでエミッタを構成することにより、絶縁性基板上においてもトランジスタによって高度に制御されたエミッション電流が得られ、且つエミッタのゲート電極(引き出し電極)ではなく、TFTのゲートをスイッチング電極として用いて駆動することにより、低電圧駆動を実現することができる。
【0099】
さらに、絶縁層をTFTと共用し、ゲート電極と同一の薄膜からTFTゲートを加工形成することで、上記のような電流制御機能を搭載した素子を、容易な製造方法によって得ることが可能である。
【0100】
【実施例】
本発明の冷電子放出素子の具体的製造例について、以下の実施例により具体的に説明する。
【0101】
図1(d)に示す構造の冷電子放出素子を、図4を参照して、以下に説明するように製造した。
【0102】
工程(a)
まず、絶縁性基板1上に、金属薄膜としてCrをスパッタ法により0.05μmの膜厚で成膜した後、オーミック層9としてPECVD法によってn型の水素化アモルファスシリコン膜を、0.05μmの膜厚で成膜した。この成膜は、反応ガスとしてシランガス及びホスフィンガス(ドープ濃度3000ppm)、希釈ガスとして水素を使用し、ガス総流量560sccm、ガス圧1Torr、基板温度350℃、RFパワー60Wの条件で行った。
【0103】
続いて、フォトリソグラフィー法により、第1の導電層2と第2の導電層3を、それらの上層のオーミック層9とともにパターニングし、TFTのチャネルを形成した。
【0104】
次いで、半導体薄膜層4としてPECVD法によってノンドープの水素化アモルファスシリコン膜を、0.3μmの膜厚で成膜した。反応ガスとしてシランガス、また希釈ガスとして水素を使用し、ガス総流量300sccm、ガス圧1Torr、基板温度250度、RFパワー60Wの条件で成膜した。
【0105】
次に、エッチングストッパ層材料11′として蒸着法によってCr膜を0.05μmの膜厚で成膜した。その後、エミッタ材料8′としてスパッタ法によってアモルファスシリコン膜を、0.8μmの膜厚で室温で成膜した。続いて、エッチングマスク材料層10′として酸化シリコン膜を、蒸着法により0.2μmの膜厚で成膜した(図4(a))。
【0106】
工程(b)
次に、通常のフォトリソグラフィー法を用いて、ゲート開口径として1.2μmの円形パターンのエッチングマスク層10を形成した後、反応性イオンエッチングにより、エミッタ材料8′のアモルファスシリコンを、エッチングストッパ層材料11′が露出するまでエッチングした。このときのエッチング条件は、導入ガス:SF6 60sccm/パワー100W/ガス圧4.5Paであった(図4(b))。
【0107】
工程(c)
次に、基板に対して垂直方向からの異方性蒸着法により、絶縁材料5′として酸化シリコンを、ゲート電極材料7′としてNbを、それぞれ0.7μm及び0.2μmの膜厚で蒸着した。ここで、絶縁材料5′の成膜法としては、チムニー抵抗加熱方式を用い、蒸着源としてシリコンモノオキサイド、反応ガスとして酸素とオゾンの混合ガスを用いて、反応性蒸着を行った。条件は、蒸着圧力:5×10−6Torr/蒸着速度:20nm/secであった(図4(c))。
【0108】
工程(d)
次に、エッチングマスク層10を、緩衝フッ酸溶液を用いてウエットエッチングし、上層の絶縁材料5′及びゲート電極材料7′とともに剥離した(図4(d))。
【0109】
工程(e)
最後に、フォトリソグラフィー法により、ゲート電極材料7′をパターニングし、ゲート電極7と第3の導電層6を同時に形成した(図4(e))。これにより、図1(d)に示す構造の冷電子放出素子が得られた。
【0110】
以上のようにして製造された冷電子放出素子を、以下のように試験し、評価した。即ち、各素子のエミッターゲート電極間の距離を0.8μm、エミッタ高さ0.8μm、TFTパラメータとしてチャネル長L=10μm、チャネル幅W=100μmとした構造の素子に対し、蛍光体を塗布した透明電極(アノード)を有するガラス板部材を、距離約30mmで対向させ、エミッタ電極−ゲート電極間に、ゲート電極側が正となる極性で引き出し電圧を印加したところ、約13Vのスイッチング電圧で、良好にかつ安定に電子を放出することができた。
【0111】
得られた典型的なエミッション特性の模式図を図11に示す。図11に示すように、低電界領域ではエミッタ自身の電流電圧特性(E)を示し、高電界領域ではTFTによる電流電圧特性(M)に従がう飽和特性を示した。即ち、エミッション電流がTFTのドレイン電流値を超えた高電界領域を電流のトランジスタ制御による飽和電流領域が得られ、引きだし電圧110V以上で安定なエミッション電流(ME)が得られた。また、TFTのゲート電圧15V以上でエミッション電流が得られ、定電圧でスイッチングができた。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、TFT構造を有する金属でエミッタを構成することにより、絶縁性基板上においてもトランジスタによって高度に制御されたエミッション電流が得られ、且つスイッチング用電極をゲート電極とは別に設けているので、駆動電圧の低減を容易に実現する冷電子放出素子を得ることができる。
【0113】
更に、絶縁層をTFTと共用し、ゲート電極と同一の薄膜からTFTゲートを加工形成することで、電流制御機能を搭載した素子を、容易な製造方法により得ることが可能である。
【0114】
従って、本発明によると、低コストで大面積化が可能なガラス基板上に、電流安定性が高く、かつ低電圧駆動できる冷電子放出素子を得ることができる。更に、フラットパネルディスプレイに応用した場合にも、高速、高精細度の画像が、低消費電力で得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷電子放出素子を示す断面図。
【図2】図1(a)に示す冷電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図3】図1(b)に示す冷電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図4】図1(d)に示す冷電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図5】従来の冷電子放出素子を示す断面図。
【図6】図5に示す冷電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図7】従来の他の冷電子放出素子を示す断面図。
【図8】従来の更に他の冷電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図9】従来の更にまた他の冷電子放出素子を示す断面図。
【図10】図9に示す冷電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図11】本発明の冷電子放出素子の電気特性の一例を示す図。
【符号の説明】
1…絶縁性基板
2…第1の導電層
3…第2の導電層
4…半導体薄膜層
5…絶縁層
5′…絶縁材料層
6…第3の導電層
7…ゲート電極
7′…ゲート電極材料
8…エミッタ
8′…エミッタ材料
9…オーミック層
10…エッチングマスク層
10′…エッチングマスク材料層
11…エッチングストッパ層
51…絶縁性基板
52…導電層
53…絶縁層
54…ゲート電極
55…エミッタ
61…絶縁性基板
62…導電層
63…絶縁層
64…ゲート電極
65…リフトオフ材
66…エミッタ
71…絶縁性基板
72…導電層
73…抵抗層
74…絶縁層
75…ゲート電極
76…エミッタ
81…絶縁性基板
82…導電層
83…エミッタ
84…酸化シリコン層
85…絶縁層
86…ゲート電極
91…p型シリコン基板
92…エミッタ
93…n型シリコン層
94…エミッタ配線層
95…絶縁層
96…ゲート電極
101…p型シリコン基板
102…酸化シリコン層
103…エミッタ
104…酸化シリコン層
105…ゲート電極
106…n型シリコン層
107…金属薄膜
A…エミッタ孔
B…TFTチャネル
E…エミッタ自信の電流電圧特性
M…TFTの電流電圧特性
ME…エミッション電流

Claims (20)

  1. 絶縁性基板上に、所定の間隔を隔てて設けられた第1の導電層および第2の導電層、前記第1および第2の導電層の間の前記絶縁性基板上、および前記第1の導電層と第2の導電層上に形成された、非単結晶シリコンからなる半導体薄膜、前記半導体薄膜上に形成され、第1の開口部を有する絶縁層、前記絶縁層上に形成され、前記第1の開口部に対応する第2の開口部を有するゲート電極、前記第1及び第2の開口部内に前記ゲート電極に接触しないように形成された、非単結晶シリコンからなるエミッタ、および前記第1の導電層および第2の導電層の間の半導体薄膜上に、ゲート絶縁膜として機能する前記絶縁層を間に介して形成されたゲートとして機能する第3の導電層を具備し、前記ゲート電極と前記第3の導電層は、同一材料からなり、前記絶縁層の同一面上に形成したことを特徴とする冷電子放出素子。
  2. 前記エミッタと前記第1の導電層もしくは半導体薄膜層との間に金属材料から成るエッチングストッパ層が介在することを特徴とする請求項1に記載の冷電子放出素子。
  3. 前記エミッタ及び半導体薄膜層を構成する非単結晶シリコンが、アモルファスシリコン又はポリシリコンであることを特徴とする請求項1記載の冷電子放出素子。
  4. 前記エミッタが、アモルファスシリコン、またはn型もしくはp型水素化アモルファスシリコンから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の冷電子放出素子。
  5. 前記半導体薄膜層が、ノンドープの水素化アモルファスシリコンから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷電子放出素子。
  6. 前記第1の導電層と半導体薄膜層との間、及び前記第2の導電層と半導体薄膜層との間に、オーミック層が挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の冷電子放出素子。
  7. 前記オーミック層が、n型水素化アモルファスシリコンから構成されていることを特徴とする請求項6に記載の冷電子放出素子。
  8. 前記第1の導電層上に、前記エミッタが直接設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷電子放出素子。
  9. 前記半導体薄膜層を囲む第1の導電層、第2の導電層及び第3の導電層が、それぞれドレイン電極、ソース電極及びゲート電極として機能する薄膜トランジスタ構造を形成しており、この薄膜トランジスタがnチャネルエンハンスメントモードで動作することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の冷電子放出素子。
  10. 前記エミッタの形状が、円錐形、円錐台形又は多角錐台形であることを特徴とする請求項1に記載の冷電子放出素子。
  11. 前記絶縁性基板が、ガラス基板であることを特徴とする請求項1に記載の冷電子放出素子。
  12. (a)絶縁性基板上に金属薄膜層を成膜した後、前記金属薄膜層をパターニングして、第1の導電層及び第2の導電層を、互いに直接接触しないように形成し、続いて、半導体薄膜層、エミッタ材料層、およびエッチングマスク材料層を順次成膜する工程、(b)前記エッチングマスク材料層をゲートの開口径に相当する形状にパターニングしてエッチングマスク層を形成し、このエッチングマスク層をマスクとして用いて、反応性イオンエッチングにより、前記エミッタ材料層を前記半導体薄膜層が露出するまでエッチングすることによりエミッタを形成する工程、(c)前記絶縁性基板に対して垂直方向の異方性蒸着法により、前記半導体薄膜層上に絶縁材料層及びゲート電極材料層を自己整合的に成膜する工程、(d)前記エッチングマスク層を剥離することにより、前記エミッタ上の絶縁材料層及びゲート電極材料層を除去する工程、及び(e)残留するゲート電極材料層をパターニングして、ゲート電極及び第3の導電層を形成する工程を具備することを特徴とする冷電子放出素子の製造方法。
  13. 前記工程(a)において、半導体薄膜層を成膜した後、エッチングストッパ層として金属材料を成膜し、前記工程(b)において、反応性イオンエッチングによりエミッタ材料をエッチングストッパ層が露出するまでエッチングすることによりエミッタを形成した後、エッチングストッパ層を前記エミッタの下の部分を残してエッチング除去することを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  14. 前記工程(a)において、前記半導体薄膜層及びエミッタ材料が水素化アモルファスシリコンであり、プラズマエンハンストCVD法によって形成することを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  15. 前記工程(a)において、前記エミッタ材料がアモルファスシリコンまたはポリシリコンであることを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  16. 前記工程(a)において、エミッタ材料が少なくともシラン及びホスフィンの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたn型の水素化アモルファスシリコンであることを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  17. 前記工程(a)において、前記半導体薄膜層が、少なくともシランまたはジシランを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたノンドープの水素化アモルファスシリコンであることを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  18. 前記工程(a)において、前記半導体薄膜層が、熱CVD法またはプラズマエンハンストCVD法でアモルファスシリコンを成膜した後、アニール処理を施すことにより形成されたポリシリコン層であることを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  19. 前記工程(a)において、前記絶縁性基板上に金属薄膜層を成膜した後、続いてオーミック層を成膜し、前記金属薄膜層とオーミック層とをフォトリソグラフィー法によりパターニングして、前記第1の導電層及び第2の導電層を同時に形成することを特徴とする請求項12に記載の冷電子放出素子の製造方法。
  20. 前記工程(a)において、オーミック層が、少なくともシラン及びホスフィンの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマエンハンストCVD法で形成されたn型の水素化アモルファスシリコン層であることを特徴とする請求項19に記載の冷電子放出素子の製造方法。
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