JP3687527B2 - 電界放射型電子源の製造方法、電界放射型電子源 - Google Patents

電界放射型電子源の製造方法、電界放射型電子源 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射により電子線を放射するようにした電界放射型電子源およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電界放射型電子源として、例えば米国特許3665241号などに開示されているいわゆるスピント(Spindt)型電極と呼ばれるものがある。このスピント型電極は、微小な三角錐状のエミッタチップを多数配置した基板と、エミッタチップの先端部を露出させる放射孔を有するとともにエミッタチップに対して絶縁された形で配置されたゲート層とを備え、真空中にてエミッタチップをゲート層に対して負極として高電圧を印加することにより、エミッタチップの先端から放射孔を通して電子線を放射するものである。
【0003】
しかしながら、スピント型電極は、製造プロセスが複雑であるとともに、多数の三角錐状のエミッタチップを精度良く構成することが難しく、例えば平面発光装置やディスプレイなどへ応用する場合に大面積化が難しいという問題があった。また、スピント型電極は、電界がエミッタチップの先端に集中するので、エミッタチップの先端の周りの真空度が低くて残留ガスが存在するような場合、放射された電子によって残留ガスがプラスイオンにイオン化され、プラスイオンがエミッタチップの先端に衝突するから、エミッタチップの先端がダメージ(例えば、イオン衝撃による損傷)を受け、放射される電子の電流密度や効率などが不安定になったり、エミッタチップの寿命が短くなってしまうという問題が生じる。したがって、スピント型電極では、この種の問題の発生を防ぐために、高真空(約10-5Pa〜約10-6Pa)で使用する必要があり、コストが高くなるとともに、取扱いが面倒になるという不具合があった。
【0004】
この種の不具合を改善するために、MIM(Metal Insulator Metal)方式やMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の電界放射型電子源が提案されている。前者は金属−絶縁膜−金属、後者は金属−酸化膜−半導体の積層構造を有する平面型の電界放射型電子源である。しかしながら、このタイプの電界放射型電子源において電子の放射効率を高めるためには(多くの電子を放射させるためには)、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜厚を薄くする必要があるが、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜厚を薄くしすぎると、上記積層構造の上下の電極間に電圧を印加した時に絶縁破壊を起こす恐れがあり、このような絶縁破壊を防止するためには上記絶縁膜や上記酸化膜の膜厚の薄膜化に制約があるので、電子の放出効率(引き出し効率)をあまり高くできないという不具合があった。
【0005】
また、近年では、特開平8−250766号公報に開示されているように、シリコン基板などの単結晶の半導体基板を用い、その半導体基板の一表面を陽極酸化することにより多孔質半導体層(ポーラスシリコン層)を形成して、その多孔質半導体層上に金属薄膜を形成し、半導体基板と金属薄膜との間に電圧を印加して電子を放射させるように構成した電界放射型電子源(半導体冷電子放出素子)が提案されている。
【0006】
しかしながら、上述の特開平8−250766号公報に記載の電界放射型電子源では、基板が半導体基板に限られるので、大面積化やコストダウン化が難しいという不具合がある。また、特開平8−250766号公報に記載の電界放射型電子源では電子放出時にいわゆるポッピング現象が生じやすく、電子放出量にむらが起こりやすいので、平面発光装置やディスプレイなどに応用すると、発光むらができてしまうという不具合がある。
【0007】
そこで、本願発明者らは、特願平10−272340号、特願平10−272342号において、多孔質多結晶半導体層(例えば、多孔質化された多結晶シリコン層)を急速熱酸化(RTO)技術によって急速熱酸化することによって、導電性基板と金属薄膜(表面電極)との間に介在し導電性基板から注入された電子がドリフトする強電界ドリフト層を形成した電界放射型電子源を提案した。この電界放射型電子源10’は、例えば、図14に示すように、導電性基板たるn形シリコン基板1の主表面(一表面)側に酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜よりなる表面電極7が形成され、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2が形成されている。なお、強電界ドリフト層6の厚さは例えば1.5μmに設定されている。
【0008】
図14に示す構成の電界放射型電子源10’では、表面電極7を真空中に配置するとともに図15に示すように表面電極7に対向してコレクタ電極12を配置し、表面電極7をn形シリコン基板1(オーミック電極2)に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極12を表面電極7に対して正極として直流電圧Vcを印加することにより、n形シリコン基板1から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(なお、図15中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e-の流れを示す)。したがって、表面電極7としては、仕事関数の小さな材料を用いることが望ましい。ここにおいて、表面電極7とオーミック電極2との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと称し、コレクタ電極12と表面電極7との間に流れる電流を放出電子電流Ieと称し、ダイオード電流Ipsに対する放出電子電流Ieが大きい(Ie/Ipsが大きい)ほど電子放出効率が高くなる。なお、この電界放射型電子源10’では、表面電極7とオーミック電極2との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。
【0009】
この電界放射型電子源10’では、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で放出することができる。ここにおいて、強電界ドリフト層6は、図16に示すように、少なくとも、導電性基板たるn形シリコン基板1の主表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在するナノメータオーダのシリコン微結晶63と、シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜であるシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。すなわち、強電界ドリフト層6は、各グレインの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持されていると考えられる。したがって、強電界ドリフト層6に印加された電界はほとんどシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子はシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され多結晶シリコンのグレイン51間を表面に向かって図16中の矢印Aの向きへ(図16中の上方向へ向かって)ドリフトするので、電子放出効率を向上させることができる。ここに、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。ここに、この電界放射型電子源10’の電子放出原理は、弾道型電子放出現象と呼ばれている。なお、表面電極7の膜厚は10nmないし15nm程度に設定されている。
【0010】
ところで、上記導電性基板としてn形シリコン基板1などの半導体基板の代わりに、ガラス基板などの絶縁性基板上に導電性層を形成したものを使用すれば、電子源の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0011】
しかしながら、上述の強電界ドリフト層6の形成にあたって、多結晶シリコン層を陽極酸化処理にて多孔質化することによってシリコン微結晶63を有する多孔質多結晶シリコン層を形成し、さらに急速熱酸化技術によって多孔質多結晶シリコン層のグレイン51およびシリコン微結晶63それぞれの表面にシリコン酸化膜52,64を形成しており、この際の酸化温度が比較的高温(800℃〜900℃の温度範囲)なので、絶縁性基板として高価な石英ガラスを用いざるをえず、大面積化および低コスト化が制限されるという不具合があった。
【0012】
この種の不具合を解決する手段としては、600℃以下の低温プロセスで多孔質多結晶シリコン層を酸化する方法として、電解質溶液中で電気化学的に酸化する方法が提案されている。このように多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化する方法を採用することにより、絶縁性基板として耐熱温度が石英ガラス基板に比べて低く価格が石英ガラス基板に比べて安価なガラス基板(例えば、無アルカリガラス基板、低アルカリガラス基板、ソーダライムガラス基板など)を用いることが可能となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化する場合には、多孔質多結晶シリコン層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板(導電性層)と対極との間へ定電流を所定時間だけ流しているが、急速熱酸化技術によって多孔質多結晶シリコン層を酸化して強電界ドリフト層6を形成したものに比べて電子源としての絶縁耐圧や電子放出効率が低い不良品が発生する確率が高く、歩留まりが低下してしまうという不具合があった。なお、絶縁耐圧が低い原因としては、上述のシリコン酸化膜52,64の耐圧が不十分であることが考えられる。また、電子放出効率が低い原因としては、シリコン酸化膜64の膜厚が大きすぎることが考えられる。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、大面積化および低コスト化が可能で歩留まりを高めることができる電界放射型電子源の製造方法、電界放射型電子源を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、導電性基板と、導電性基板の一表面側に設けられ電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了することを特徴とし、多孔質半導体層を電気化学的な酸化処理により酸化しているので、多孔質半導体層を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が図れ、また、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了するので、絶縁耐圧および電子放出効率の低下を抑制でき、歩留まりを高めることができてコストを削減できる。ここにおいて、絶縁耐圧および電子放出効率の低下が抑制されるのは、酸化処理中に形成された酸化膜が絶縁破壊してしまうのを抑制することができ、当該酸化膜の耐圧の低下を防止できるとともに、当該酸化膜の膜厚が大きくなりすぎるのを防止できるからであると考えられる。
【0016】
請求項2の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に設けられ電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止し、次に、導電性基板と対極との間へ通電期間に定電圧を印加して酸化し、導電性基板と対極との間の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると酸化処理を終了することを特徴とし、多孔質半導体層を電気化学的な酸化処理により酸化しているので、多孔質半導体層を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が図れ、また、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止し、次に、導電性基板と対極との間へ通電期間に定電圧を印加して酸化し、導電性基板と対極との間の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると酸化処理を終了するので、絶縁耐圧および電子放出効率の低下を抑制でき、歩留まりを高めることができてコストを削減でき、しかも請求項1の発明に比べて絶縁耐圧が向上する。ここにおいて、絶縁耐圧および電子放出効率の低下が抑制されるのは、酸化処理中に形成された酸化膜が絶縁破壊してしまうのを抑制することができ、当該酸化膜の耐圧の低下を防止できるとともに、当該酸化膜の膜厚が大きくなりすぎるのを防止できるからであると考えられ、請求項1の発明に比べて絶縁耐圧が向上するのは、酸化処理における酸化を過不足なく行うことができ、酸化処理中に形成される酸化膜がより緻密になるからであると考えられる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記酸化処理において上記導電性基板と上記対極との間に間欠的に通電するので、酸化中に発生した水素に起因した気泡が多孔質半導体層の表面に付着するのを抑えることができ、酸化膜の膜厚のばらつきを抑えることができるから、酸化膜の耐圧が向上する。その結果、耐圧および経時安定性が向上するとともに、より強電界を印加することができる電界放射型電子源を提供することができ、電界放射型電子源の電子放出効率が向上する。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とするものであり、大面積化を図ることができるとともに、導電性基板の材料コストの低減および歩留まりの向上による低コスト化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の電界放射型電子源10は、図4に示すように、ガラス基板(例えば、無アルカリガラス基板)よりなる絶縁性基板11の一表面上に導電性材料よりなる導電性層8が形成され、該導電性層8上に電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質多結晶シリコンよりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に導電性薄膜よりなる表面電極7が形成されている。ここに、絶縁性基板11と導電性層8とで導電性基板を構成している。なお、表面電極7の厚さは10nm〜15nmの範囲で設定されている。
【0020】
本実施形態の電界放射型電子源10では、例えば図5に示すように、表面電極7を真空中に配置するとともに表面電極7に対向してコレクタ電極21を配置し、表面電極7を導電性層8に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21を表面電極7に対して正極として直流電圧Vcを印加することにより、導電性層8から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(なお、図5中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e-の流れを示す)。ここにおいて、表面電極7と導電性層8との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと称し、コレクタ電極21と表面電極7との間に流れる電流を放出電子電流Ieと称し、ダイオード電流Ipsに対する放出電子電流Ieが大きい(Ie/Ipsが大きい)ほど電子放出量が多くなる。
【0021】
なお、強電界ドリフト層6は、従来構成と同様の構造を有し、図16に示すように、少なくとも、導電性層8の主表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在するナノメータオーダのシリコン微結晶63と、シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜であるシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。すなわち、強電界ドリフト層6は、各グレインの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持されていると考えられる。したがって、強電界ドリフト層6に印加された電界はほとんどシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子はシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され多結晶シリコンのグレイン51間を表面に向かって図16中の矢印Aの向きへ(図16中の上方向へ向かって)ドリフトするので、電子放出効率を向上させることができる。ここに、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0022】
以下、上述の電界放射型電子源10の基本的な製造方法について図6を参照しながら説明する。
【0023】
まず、絶縁性基板11の一表面(図6(a)における上面)上に導電性材料よりなる導電性層8を例えばスパッタ法によって形成することにより、図6(a)に示すような構造が得られる。なお、導電性層8の成膜方法はスパッタ法に限らず例えば蒸着法でもよい。
【0024】
導電性層8を形成した後、所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層3を例えばプラズマCVD法によって形成することにより、図6(b)に示すような構造が得られる。ここにおいて、ノンドープの多結晶シリコン層3は、プラズマCVD法により堆積しているので、600℃以下(100℃〜600℃)の低温プロセスで成膜することができる。なお、ノンドープの多結晶シリコン層3の形成方法は、プラズマCVD法に限らず、触媒CVD法により形成してもよく、触媒CVD法でも600℃以下の低温プロセスで成膜することができる。
【0025】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、導電性層8を正極として、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコン層4が形成され図6(c)に示すような構造が得られる。ここにおいて、本実施形態では、陽極酸化処理の条件として、陽極酸化処理の期間、多結晶シリコン層3の表面に照射する光パワーを一定、電流密度を一定としたが、この条件は適宜変更してもよい(例えば、電流密度を変化させてもよい)。
【0026】
その後、多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的な酸化処理により酸化することによって強電界ドリフト層6が形成され、図6(d)に示す構造が得られる。なお、電気化学的な酸化処理については後述する。
【0027】
強電界ドリフト層6を形成した後は、強電界ドリフト層6上に導電性薄膜(例えば、金薄膜)からなる表面電極7を例えば蒸着により形成することによって、図6(e)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。なお、本実施形態では、表面電極7の膜厚を10nm〜15nmとしてあるが、この膜厚は特に限定するものではなく、強電界ドリフト層6を通ってきた電子がトンネルできる膜厚であればよい。また、本実施形態では、表面電極7となる導電性薄膜を蒸着により形成しているが、導電性薄膜の形成方法は蒸着に限定されるものではなく、例えばスパッタ法を用いてもよい。
【0028】
次に、上述の多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的に酸化する酸化処理について詳述する。
【0029】
本願発明者らは、多孔質多結晶シリコン層4を対極とともに電解質溶液としての1MのH2SO4水溶液中に浸漬した状態で導電性層8と対極(白金電極)との間へ定電流を通電した時の導電性層8と対極との間の電圧を検出すると、検出電圧が時間経過につれて図7に示すように変化することを実験的に確認した。すなわち、図7は通電時間を260秒としたときの通電開始から通電終了までの検出電圧の時間変化を示すものであって、検出電圧は、通電開始後に約23Vまで徐々に増加し、その後、通電を終了するまで減少と増加とを交互に繰り返している(振動している)。図7に示すように検出電圧が変化したときに形成された強電界ドリフト層を有する電子源について電子放出特性を測定したところ、上記ダイオード電流Ipsは図8のイに示すように観測されたが、上記放出電子電流(以下、エミッション電流と称す)Ieは観測されず(測定限界以下)、不良品であることが分かった。なお、図8の横軸は上記直流電圧ps(図5参照)、縦軸は電流密度である。
【0030】
ここに、本願発明者らは、電気化学的な酸化を行っているときのポテンシャルに対応した上記検出電圧が図7に示すように時間経過につれて単調に増加するのではなく、ある時点で減少し始めることから、ポテンシャルの増加によって電界が高くなり、局所的に酸化膜(シリコン酸化膜52,64)の絶縁破壊が起こることによって上記検出電圧が減少し、結果的に絶縁破壊が起きた箇所での耐圧が低くなることで、電子源としての絶縁耐圧が低下してしまいエミッション電流Ieが観測されない不良品が発生してしまうと考えた。
【0031】
そこで、本実施形態では、多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的に酸化する酸化処理において、図1に示すように、多孔質多結晶シリコン層4を白金電極よりなる対極49とともに処理槽42内に入った1MのH2SO4水溶液よりなる電解質溶液41中に浸漬した状態で導電性層8と対極49との間へ電流源43から定電流を通電して酸化し、電圧検出部44による導電性層8と対極49との間の検出電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で制御部45が電流源43をオフさせることで酸化処理を終了している。すなわち、導電性層8と対極49との間への通電開始後に検出電圧が図2中に実線で示すように徐々に増加し(つまり、検出電圧の変化方向が増加方向にある)、検出電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了させている。なお、この時点で酸化処理を終了しなければ、図2中に一点鎖線で示すように検出電圧がしばらく減少するものと考えられる(要するに、上述の図7と同様に減少と増加とを繰り返すものと考えられる)。
【0032】
上述の製造方法により製造した電界放射型電子源10の電子放出特性を図3に示す。図3の横軸は上記直流電圧Vps、縦軸は電流密度を示し、同図中のイはダイオード電流Ipsを、ロはエミッション電流Ieを示す。図3から、上述の製造方法により製造した電界放射型電子源10では、ダイオード電流Ipsとエミッション電流Ieとの両方が観測され、直流電圧Vpsを20Vとするまでエミッション電流Ieが観測されており、良好なエミッション電流Ieおよび電子放出効率(Ie/Ips)が得られていることが分かる。したがって、図8に示した特性のものに比べて電子源の絶縁耐圧が向上していることが確認された。要するに、本実施形態の電界放射型電子源10においても、多孔質多結晶シリコン層を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層6を形成したものと同様に、直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。なお、特性測定時の上記直流電圧Vcは100V一定とした。
【0033】
しかして、上述の製造方法によれば、多孔質半導体層たる多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的な酸化処理により酸化することで強電界ドリフト層6を形成しているので、多孔質多結晶シリコン層4を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層6を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することができ、しかも多結晶シリコン層3をプラズマCVD法などの低温プロセスで成膜し、かつ、表面電極7を蒸着法、スパッタ法などにより成膜しているので、600℃以下の低温プロセスで電界放射型電子源10を製造することができ、絶縁性基板11として、石英ガラス基板に比べて安価な無アルカリガラス基板を用いることができて、低コスト化が図れるとともに、より一層の大面積化を図ることができ、さらに上記多結晶シリコン層3の形成温度によっては低アルカリガラス基板、ソーダライムガラス基板などの無アルカリガラス基板に比べて耐熱温度の低いガラス基板を用いることも可能になる。
【0034】
また、上記酸化処理では、多孔質多結晶シリコン層4を対極とともに電解質溶液41中に浸漬した状態で導電性層8と対極49との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性層8と対極49との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了するので、絶縁耐圧および電子放出効率の低下を抑制でき、歩留まりを高めることができてコストを削減できる。ここにおいて、絶縁耐圧および電子放出効率の低下が抑制されるのは、酸化処理中に形成されたシリコン酸化膜52,64が絶縁破壊してしまうのを抑制することができ、当該シリコン酸化膜52,64の耐圧の低下を防止できるとともに、当該シリコン酸化膜52,64の膜厚が大きくなりすぎるのを防止できるからであると考えられる。なお、上述の製造方法で製造された電界放射型電子源は、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を放出することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、制御部45が電流源43をオフさせることにより酸化処理を終了させているが、電解質溶液41中から取り出すことにより酸化処理を終了してもよいし、電解質溶液41を排出することにより酸化処理を終了するようにしてもよい。
【0036】
(実施形態2)
本実施形態の電界放射型電子源10の構成は実施形態1と同じであって、多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的に酸化する酸化処理に特徴がある。
【0037】
すなわち、本実施形態においては、多孔質多結晶シリコン層4を電気化学的に酸化する酸化処理において、まず実施形態1と同様、図1に示すように、多孔質多結晶シリコン層4を白金電極よりなる対極49とともに処理槽42内に入った1MのH2SO4水溶液よりなる電解質溶液41中に浸漬した状態で導電性層8と対極49との間へ電流源43から定電流密度(例えば、12.5mA/cm2)の定電流を通電して酸化し、電圧検出部44による導電性層8と対極49との間の検出電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で制御部45が電流源43をオフさせることで酸化処理を一旦停止する。すなわち、導電性層8と対極49との間への通電開始後に検出電圧が図9中に実線で示すように徐々に増加し(つまり、検出電圧の変化方向が増加方向にある)、検出電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止させている。なお、この時点で酸化処理を終了しなければ、図9中に一点鎖線で示すように検出電圧がしばらく減少するものと考えられる(要するに、上述の図7と同様に減少と増加とを繰り返すものと考えられる)。
【0038】
上述のように酸化処理を一旦停止した後、図11に示すように、導電性層8と対極49との間へ電圧源46から定電圧(例えば、30V)を印加して酸化し、制御部48が電流センサ47により検出した導電性層8と対極49との間の電流に基づいて求めた電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると制御部48が電圧源46をオフさせることで酸化処理を終了する。ここにおいて、所定範囲とは電流密度の規定時間での変動幅が略零となって電流密度を一定とみなせる程度に設定すればよい。すなわち、導電性層8と対極49との間へ定電圧を印加し図12に示すように導電性層8と対極49との間に流れる電流の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ったと制御部48にて判定されたときに酸化処理を終了させている(図12に示す例では定電圧の印加開始から約680秒が経過したときに酸化処理を終了させている)。
【0039】
上述の製造方法により製造した電界放射型電子源10の電子放出特性を図13に示す。図13の横軸は上記直流電圧Vps、縦軸は電流密度を示し、同図中のイはダイオード電流Ipsを、ロはエミッション電流Ieを示す。図13から、上述の製造方法により製造した電界放射型電子源10では、ダイオード電流Ipsとエミッション電流Ieとの両方が観測され、直流電圧Vpsを20Vとするまでエミッション電流Ieが観測されており、良好なエミッションIeおよび電子放出効率(Ie/Ips)が得られていることが分かる。要するに、本実施形態の電界放射型電子源10においても、多孔質多結晶シリコン層を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層6を形成したものと同様に、直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。なお、特性測定時の上記直流電圧Vcは100V一定とした。また、比較のために定電流による酸化処理を一旦停止した後に定電圧による酸化を行わずに表面電極7を形成したものについて電子放出特性の測定を行ったところ、図10に示すような結果が得られた。ここに、図13と図10とを比較すると、本実施形態のように定電流による酸化処理を一旦停止した後に定電圧による酸化を適宜行うことにより、絶縁耐圧が向上していることが分かる。
【0040】
しかして、上述の製造方法によれば、上記酸化処理では、多孔質多結晶シリコン層4を対極49とともに電解質溶液41中に浸漬した状態で導電性層8と対極49との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性層8と対極49との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止し、次に、導電性層8と対極49との間へ通電期間に定電圧を印加して酸化し、導電性層8と対極49との間の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると酸化処理を終了するので、絶縁耐圧および電子放出効率の低下を抑制でき、歩留まりを高めることができてコストを削減できる。ここにおいて、絶縁耐圧および電子放出効率の低下が抑制されるのは、酸化処理中に形成されたシリコン酸化膜52,64が絶縁破壊してしまうのを抑制することができ、当該シリコン酸化膜52,64の耐圧の低下を防止できるとともに、当該シリコン酸化膜52,64の膜厚が大きくなりすぎるのを防止できるからであると考えられ、定電圧を印加して適宜酸化する過程を追加することで絶縁耐圧が向上するのは、酸化処理における酸化を過不足なく行うことができ、酸化処理中に形成されるシリコン酸化膜52,64がより緻密になるからであると考えられる。
【0041】
ところで、上記各実施形態では、強電界ドリフト層6を酸化した多孔質多結晶シリコンにより構成しているが、その他の酸化した多孔質多結晶半導体層により構成してもよい。また、上記各実施形態では、上記酸化処理において導電性層8と対極49との間に連続的に通電しているが、間欠的に通電するようにすれば、酸化中に発生した水素に起因した気泡が多孔質多結晶シリコン層の表面に付着するのを抑えることができ、シリコン酸化膜52,64の膜厚のばらつきを抑えることができるから、シリコン酸化膜52,64の耐圧が向上する。その結果、耐圧および経時安定性が向上するとともに、より強電界を印加することができる電界放射型電子源10を提供することができ、電界放射型電子源10の電子放出効率が向上する。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に設けられ電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了することを特徴とし、多孔質半導体層を電気化学的な酸化処理により酸化しているので、多孔質半導体層を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が図れ、また、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了するので、絶縁耐圧および電子放出効率の低下を抑制でき、歩留まりを高めることができてコストを削減できるという効果がある。ここにおいて、絶縁耐圧および電子放出効率の低下が抑制されるのは、酸化処理中に形成された酸化膜が絶縁破壊してしまうのを抑制することができ、当該酸化膜の耐圧の低下を防止できるとともに、当該酸化膜の膜厚が大きくなりすぎるのを防止できるからであると考えられる。
【0043】
請求項2の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に設けられ電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止し、次に、導電性基板と対極との間へ通電期間に定電圧を印加して酸化し、導電性基板と対極との間の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると酸化処理を終了することを特徴とし、多孔質半導体層を電気化学的な酸化処理により酸化しているので、多孔質半導体層を急速熱酸化技術により酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が図れ、また、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止し、次に、導電性基板と対極との間へ通電期間に定電圧を印加して酸化し、導電性基板と対極との間の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると酸化処理を終了するので、絶縁耐圧および電子放出効率の低下を抑制でき、歩留まりを高めることができてコストを削減でき、しかも請求項1の発明に比べて絶縁耐圧が向上するという効果がある。ここにおいて、絶縁耐圧および電子放出効率の低下が抑制されるのは、酸化処理中に形成された酸化膜が絶縁破壊してしまうのを抑制することができ、当該酸化膜の耐圧の低下を防止できるとともに、当該酸化膜の膜厚が大きくなりすぎるのを防止できるからであると考えられ、請求項1の発明に比べて絶縁耐圧が向上するのは、酸化処理における酸化を過不足なく行うことができ、酸化処理中に形成される酸化膜がより緻密になるからであると考えられる。
【0044】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記酸化処理において上記導電性基板と上記対極との間に間欠的に通電するので、酸化中に発生した水素に起因した気泡が多孔質半導体層の表面に付着するのを抑えることができ、酸化膜の膜厚のばらつきを抑えることができるから、酸化膜の耐圧が向上する。その結果、耐圧および経時安定性が向上するとともに、より強電界を印加することができる電界放射型電子源を提供することができ、電界放射型電子源の電子放出効率が向上するという効果がある。
【0045】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とするものであり、大面積化を図ることができるとともに、導電性基板の材料コストの低減および歩留まりの向上による低コスト化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の製造方法における酸化処理の説明図である。
【図2】同上における酸化処理の説明図である。
【図3】同上の製造方法で説明した電界放射型電子源の電子放出特性図である。
【図4】同上の電界放射型電子源の概略断面図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図7】比較例における酸化処理の説明図である。
【図8】比較例の電子放出特性図である。
【図9】実施形態2の製造方法における酸化処理の説明図である。
【図10】同上の比較例の電子放出特性図である。
【図11】同上の製造方法における酸化処理の説明図である。
【図12】同上の製造方法における酸化処理の説明図である。
【図13】同上の製造方法で説明した電界放射型電子源の電子放出特性図である。
【図14】従来例を示す電界放射型電子源の概略断面図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【図16】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
4 多孔質多結晶シリコン層
8 導電性層
11 絶縁性基板
41 電解質溶液
42 処理槽
43 電流源
44 電圧検出部
45 制御部
49 対極

Claims (4)

  1. 導電性基板と、導電性基板の一表面側に設けられ電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を終了することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
  2. 導電性基板と、導電性基板の一表面側に設けられ電気化学的な酸化処理により酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜よりなる表面電極とを備え、表面電極を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上記酸化処理では、多孔質半導体層を対極とともに電解質溶液中に浸漬した状態で導電性基板と対極との間へ通電期間に定電流を通電して酸化し、導電性基板と対極との間の電圧の変化方向が減少方向に変化した時点で酸化処理を一旦停止し、次に、導電性基板と対極との間へ通電期間に定電圧を印加して酸化し、導電性基板と対極との間の電流密度の規定時間での変動幅があらかじめ定めた所定範囲内に入ると酸化処理を終了することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
  3. 上記酸化処理において上記導電性基板と上記対極との間に間欠的に通電することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電界放射型電子源の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする電界放射型電子源。
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