JP4240894B2 - リチウムイオン伝導性ゲル状電解質及びポリマーリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン伝導性ゲル状電解質並びにポリマーリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気デバイスの電解質としては、一般的に液体電解質、特に有機電解液にイオン性化合物を溶解させたものが用いられてきたが、液体電解質は、電解液の外部への液漏れ、揮発、電極物質の溶出などが、発生しやすいため、長期信頼性などが問題となっていた。
【0003】
電解質として、電解液を高分子化合物でゲル化し、電解液の流動性を無くしたゲル状ポリマー電解質を用いることは、液体を収容するための容器が不要となり、電池構造の簡略化が可能となり、耐漏液性を含めた、安全性、貯蔵性に優れた電池を構成できるという利点を有する。そのために、電解液を非液状化させるための検討が行われている。ゲル状電解質の他に、有機溶媒を全く使用しない電解質、あるいは、電解質合成時は低沸点の有機溶媒を使用するが、その後に加熱などにより、低沸点の有機溶媒を除去してしまう高分子固体電解質がある。
【0004】
このような高分子固体電解質は、安全性の面では、ゲル状電解質より優れた材料を得る可能性があるが、イオン伝導率などの電池に関する必要条件を十分満たすような、材料は見当たらない。例えば、特許2715309号公報では、半固体高分子電解質膜が提案され、10-4S/cmのイオン伝導率が達成されている。しかしながら、この値は有機電解液の10-3〜10-2S/cmと比較して、十分であるとは言えない。
【0005】
また、特公平7−32022号公報でも、リチウム塩と高分子ポリマーからなるリチウムイオン伝導性ゲル電解質が提案され、10-4S/cmのイオン伝導率が達成されているが、上記と同じく、十分であるとは言えない。
さらに、特開平11−80296号公報では、20℃で1mS/cmの良好な伝導度を有するゲル状電解質が、特開平6−187822号公報では、高分子固体電解質が提案されているが、低温での伝導度は、十分であるとは言えない。固体電解質のリチウム電池などへの応用開発において、電子機器類では、低温特性も必要とされている。
【0006】
また、高分子固体電解質のベースポリマーとして、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどが一般的に知られているが、エーテル結合を有する材料は、一般的にガラス転移温度が低く、温度が高くなると、柔軟性が増し、機械的強度が弱くなるという問題点がある。さらに、充放電サイクルを繰り返すと、ポリマー鎖が負極のリチウムと反応してしまい、サイクル特性に問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電解質として、高分子固体電解質を使用する場合、有機溶媒を使用しないため、イオンを伝播する役目を担うのはポリマー鎖である。一般的に、ポリマーの主鎖は、側鎖に比べて、運動性が悪いため、高分岐の側鎖を有する高分子固体電解質を利用することによって、イオンの伝播能力を高め、高イオン伝導率を目指す方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、低温での分子鎖の運動が妨げられるのは避けられず、それほどの高イオン伝導率が達成されていない。また、低温での運動性を高めるために、ポリマーのガラス転移温度を下げると、イオン伝導率の向上は見られるが、その場合、機械強度を大幅に低下させたり、高温での安定性には問題を生じる。高分子固体電解質と比較して、ゲル状電解質は比較的良好なイオン伝導率を達成しているといえるが、低温でのイオン伝導率は十分ではない。
【0009】
本発明は、低温での高イオン伝導率を有するリチウムイオン電導性ゲル状電解質及びそれを用いたポリマーリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意努力を重ねた結果、ゲル状電解質に特定の高分子ポリマーを用い、塩モノマー成分によるイオン的な相互作用を高分子マトリックス中に均一に存在させることにより、解離したイオンをゲル状電解質中に安定に存在させることができ、良好なイオン伝導率が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、高分子ポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるリチウムイオン伝導性ゲル状電解質において、高分子ポリマーが、ラジカル重合性二重結合を有するアンモニウム塩とラジカル重合性二重結合を有する酸成分から成る多官能性塩モノマーであるイオン的相互作用を有する塩モノマーを必須成分として重合して得られるポリマーであり、イオン的相互作用を高分子マトリックス中に有することを特徴とするリチウムイオン伝導性ゲル状電解質であり、好ましくは高分子ポリマーが、イオン的相互作用を有する塩モノマー成分と、化学架橋を形成する成分とを含んで重合して得られる共重合体、あるいは、高分子ポリマーが、イオン的相互作用を有する塩モノマー成分と、化学架橋を形成する成分と、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとを含んで重合して得られる共重合体であることを特徴とするリチウムイオン伝導性ゲル状電解質であり、より好ましくは、前記アンモニウム塩が、ラジカル重合性二重結合を有する四級アンモニウム塩、酸成分が、ラジカル重合性二重結合を有するスルホン酸である。更に本発明は、正極と負極の間に、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質をゲル化させて配置してなるポリマーリチウムイオン二次電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質は、高分子ポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなり、前記高分子ポリマーは、イオン的相互作用を有する塩モノマー成分を必須とし、さらには化学架橋を形成する成分を含み、あるいは化学架橋を形成する成分と、メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルを含んで合成される共重合体である。
【0013】
本発明に用いるイオン的相互作用を有する塩モノマー成分は、二重結合を有するアミン成分と二重結合を有する酸成分から合成される多官能性塩モノマーを用いることが好ましい。
【0014】
二重結合を有するアミン成分としては、二重結合を有する一級、二級、三級、及び四級アンモニウム塩などが使用できるが、安定性の点から、好ましくは四級のアンモニウム塩であり、中でも、そのクロリドが挙げられる。例えば、2−メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリル酸アミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライドなどが挙げられる。
【0015】
二重結合を有する酸成分として、好ましくは、二重結合を有するカルボン酸やスルホン酸などが挙げられるが、前記二重結合を有するアミン成分とイオン結合を形成可能な酸成分であれば、特に限定されるものではない。中でも、ゲルに導入された場合の分極の大きさ、また塩モノマー合成時の容易さから酸性度の高い二重結合を有するスルホン酸が好ましい。例を挙げると、2−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンスルホン酸、4-ビニルベンゼンスルホン酸、2−メチル−1−ペンテン−1−スルホン酸、1−オクテン−1−スルホン酸、4−ビニルベンゼンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸などを用いることが可能である。
【0016】
イオン的相互作用を有する塩モノマー成分である多官能性塩モノマーの合成の例としては、二重結合を有するスルホン酸のスルホン酸基を、炭酸銀によりAg化した後、二重結合を有するアンモニウム塩のクロリドと反応させることにより得る方法が挙げられる。反応は、塩化銀が白色固体として析出することにより進行する。
【0017】
イオン的相互作用を有する塩モノマー成分は、高分子マトリックス中で解離した電解質のイオンを安定化させる働きがある。元来、溶媒中ではイオン結合性を有する成分は解離し、それにより生成したイオン成分は浮遊してしまうが、化学結合により架橋されたゲル中では、ポリマー鎖は自由度を失うため、ゲル中のイオン結合は、フリーのイオン同士の結合と比べて、はるかに安定に存在できる。そのため、ゲル中に存在するイオン的相互作用は大きく分極した状態で安定に存在し、解離した電解質の安定化に貢献する。それに対して、解離した電解質のイオンは、フリーの状態であるため解離したままである。
【0018】
本発明に用いる化学架橋を形成する成分としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリルレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリルレート、ネオペンチルグリコージアクリルレート、トリプロピレングリコールジアクリルレート、ポリプロピレングリコールジアクリルレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどの多官能アクリレート化合物や多官能メタクリレート化合物などが挙げられる。
【0019】
本発明の高分子ポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるリチウムイオン伝導性ゲル状電解質において、高分子ポリマーがイオン的相互作用を有する塩モノマー成分のみを重合させてもゲル状電解質を得ることはできるが、化学架橋を形成する成分を加えるとゲル状電解質の安定性が高まり、より多量の溶媒を保持することができ、高温での安定性も高めることができる。その他、化学架橋成分の役割としては、高分子マトリックス中に導入されたイオン的相互作用を有する塩モノマー成分が、充放電を繰り返した際、電極界面へ移動しようとするのを制御するという働きが挙げられる。電荷を有する成分が電極へ移動してしまうことは、電池の容量の低下、あるいはサイクル特性の著しい低下を招く原因となる。つまり、前記多官能性塩モノマーを例にすると、塩モノマーを形成するアミン成分や酸成分を塩モノマー化させずに使用した場合、それぞれにカウンターイオンが存在するため、電解質中で遊離するイオンを導入することになる。また、アミン成分と酸成分が均等割合に無い場合、有機電解質溶液を含有するゲル電解質の温度による体積変化を大きくしてしまう原因となりうるため、均等にゲル中に導入する必要があるが、作業的に困難を要し、時間がかかる作業となる。塩モノマーとすることによって、カウンターイオンをゲル中に導入させることなく、電荷を有する成分を均等に導入することが可能となる。
【0020】
本発明に用いるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は一種類、あるいは二種類以上を混合して用いても良い。
アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルの役割としては、電池などに使用される溶媒を多量に保持できることが挙げられる。
【0021】
本発明に用いるリチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiBF4、LiAsF6などが挙げられる。
【0022】
本発明に用いる有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらは電解液となる。また、これらは、単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0023】
本発明のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質は、上記種々の成分を有機溶媒に溶解し、モノマーを重合させて得られるが、重合の際、上記成分の他に、重合開始剤などを添加して重合させることができる。重合開始剤としては、過酸化ジベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物など当業者に公知な重合開始剤を使用することができる。
【0024】
本発明のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質を得る方法の例としては、イオン的相互作用を有する成分、あるいはイオン的相互作用を有する成分に加えて化学架橋を形成する成分と、あるいはさらにアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとを、有機溶媒に溶解したリチウム塩を含むリチウム電解質溶液に溶かし(溶液1)、均一になるまで室温で攪拌する。これにより、リチウムイオン伝導性ゲル状電解質の製造と共に、高分子ポリマーを調整できる。また、同時にアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ジベンゾイルなどの重合開始剤を、前記同様のリチウム電解質溶液に溶解させる(溶液2)。得られた溶液2を、溶液1に添加し、攪拌する(溶液3)。こうして得られた溶液3を、1時間ないし2時間程度、60℃のオーブンに入れて加熱することにより、リチウムイオン伝導性ゲル状電解質が得られる。
【0025】
本発明のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質において、各成分の割合の例としては、イオン的相互作用を有する成分が、1mmol/L 〜2mol/L 程度、化学架橋を形成する成分を加える場合は、5mmol/L 〜500mmol/L 程度、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを加える場合は、500mmol/L 〜2mol/L 程度、重合開始剤が、5mmol/L〜100mmol/L 程度である。
また、有機溶媒に溶解させたリチウム塩の濃度は、0.1〜2mol/Lが望ましい。
【0026】
本発明のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質は、電池、電気二重層キャパシタ及びその他の電気化学デバイス用材料等として有用である。
【0027】
本発明のポリマーリチウム二次電池は、正極、負極、電解質層を備えた二次電池に於いて、この電解質が前記リチウムイオン伝導性ゲル状電解質である二次電池の発明であり、以下の様にしてポリマーリチウム二次電池を作製することができる。
本発明において、正極、負極は特に限定されず、通常のゲル状電解質に用いられているものであれば、特に限定されない。負極は負極活物質と負極結着剤からなり、負極活物質はリチウムイオンを脱着できる炭素系材料ないし金属リチウム又はリチウムアルミニウム合金などのリチウム合金などが、負極結着剤はポリフッ化ビニリデンなどがある。これら負極構成材料をN-メチルピロリドンなどの有機溶媒に分散させ、銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属箔の集電体上に塗布、乾燥することで得られる。
正極はリチウム酸化物などの正極活物質と正極結着剤からなる。正極活物質としてはリチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・マンガン複合酸化物などが、正極結着剤は負極結着剤と同様な化合物が使用できる。これら正極構成材料を負極同様に集電体上に塗布して正極を作製することができる。
電解質層にポリプロピレン等の不織布あるいは多孔質フィルムからなるセパレーターを使用する。それぞれに本発明のゲル状電解質構成成分を含浸させ、次いで硬化させることで得られる。
正極、電解質層、負極を重ね合わせアルミラミネートフィルムでユニットを覆い、正極、負極から端子を取り出し、密閉してポリマーリチウム二次電池が得られる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例により、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
[実施例1]
<塩モノマーAの合成>
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸10.36g(50mmol)を水500mlに溶かし、それに炭酸銀13.8g(50mmol))を添加して、8時間攪拌し、濾過後無色透明の液を得た。3−メタクリル酸アミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの水溶液を、100mmol/Lになるように調製し、得られた液に滴下反応させた。 反応の進行と同時に塩化銀の白色固体が析出した。反応は導電率計で、導電率を測定しながら行った。3−メタクリル酸アミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの水溶液を、492.0ml滴下した時点で、導電率が最小値を示し、その点を終点とした。濾過により析出した塩化銀を取り除き、無色透明の水溶液を得た。濾液をエバポレーターにより濃縮し、少し粘調な水溶液を得た。
得られた溶液をエタノールで希釈し、それを大量のテトラヒドロフランに滴下して白色の沈殿物を得た。濾過により得られた白色粉末(以下、塩モノマーA)を真空乾燥し、示差走査熱分析(DSC)により生成物の融点の確認を行った。融点は152℃であり、得られた化合物は単一の塩モノマーであることを確認した。
【0030】
<リチウムイオン伝導性ゲル状電解質の合成と導電率評価>
上記塩モノマーAの0.156g、メタクリル酸メチルを0.524ml、メチレンビスアクリルアミド0.038gを試験管に入れ、それに有機電解質液4.2mlを添加し、攪拌して溶解させる。有機電解質溶液としては、LiPF6を含むエチレンカーボネート(以下、EC)/プロピレンカーボネート(以下、PC)混合溶媒(モル比で1:1)を使用した。使用した有機電解質溶液の濃度は1mol/Lである。得られた溶液を脱気し、それにアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)82mgを、上記有機電解質溶液2mlに溶かしたものを0.2ml添加した。攪拌後、得られた均一な透明溶液を60℃に加熱し、80分後、無色透明の均一なゲル状電解質を得た。ゲル電解質の作製は、窒素雰囲気下で行った。
上記のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質を交流インピーダンス法により、−20℃から80℃の温度範囲で伝導率を測定した。測定した周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vで測定した。結果を図1に示す。80℃で10mS/cm、−20℃で0.9mS/cmの結果が得られた。得られたゲル状電解質は、1ヵ月後も無色透明な均一状態を保持していた。
【0031】
[実施例2]
<塩モノマーBの合成>
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸10.36g(50mmol)を水500mlに溶かし、それに炭酸銀13.8g(50mmol)を添加して8時間攪拌し、濾過後無色透明の液を得た。メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライドの水溶液を100mmol/Lになるように調製し、得られた液に滴下反応させた。反応の進行と同時に塩化銀の白色固体が析出した。反応は導電率計で導電率を測定しながら行った。メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライドの水溶液を515.0ml滴下した時点で、導電率が最小値を示し、その点を終点とした。濾過により析出した塩化銀を取り除き、無色透明の水溶液を得た。濾液をエバポレーターにより濃縮すると白色の結晶が析出した時点でエバポレートを終了し、冷蔵庫で一日放置した。再結晶により白色結晶が析出した。濾過により得られた白色結晶(以下、塩モノマーB)を真空乾燥し、示差走査熱分析(DSC)により生成物の融点の確認を行った。融点は166℃であり、得られた化合物は単一の塩モノマーであることを確認した。
【0032】
<リチウムイオン伝導性ゲル状電解質の合成と導電率評価>
上記塩モノマーBの0.181g、メタクリル酸メチル0.524ml、メチレンビスアクリルアミド0.038gを試験管に入れ、それに有機電解質液4.2mlを添加し攪拌溶解させる。有機電解質溶液としては、LiPF6を含むEC/PC混合溶媒(モル比で1:1)を使用した。 使用した有機電解質溶液の濃度は1mol/Lである。得られた溶液を脱気し、それにAIBN82mgを、上記有機電解質溶液2mlに溶かしたものを、0.2ml添加した。攪拌後、得られた均一な透明溶液を60℃に加熱し、80分後、無色透明の均一なゲル状電解質を得た。
ゲル電解質の作製は、窒素雰囲気下で行った。上記のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質を交流インピーダンス法により、−20℃から80℃の温度範囲で伝導率を測定した。測定した周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vで測定した。結果を図1に示す。80℃で12mS/cm、−20℃で0.9mS/cmの結果が得られた。 得られたゲル状電解質は、1ヵ月後も無色透明な均一状態を保持していた。
【0033】
[実施例3]
実施例2と同様に塩モノマーB0.340g、を有機電解質溶液4.0mlに溶解した。脱気後、過酸化ジベンゾイル0.024gを有機電解質溶液1.0mlに溶解したものを添加した。撹拌後得られた均一な透明溶液を60℃に加熱して60分後ゲル状電解質を得た。
実施例2と同様な方法で伝導度を測定したところ、−20℃において1.1mS/cm、25℃において5.1mS/cmの結果が得られた。
【0034】
[実施例4]
実施例2と同様に塩モノマーB0.340g、N,N-メチレンビス(アクリルアミド)0.039g、を有機電解質溶液4.0mlに溶解した。脱気後、過酸化ジベンゾイル0.024gを有機電解質溶液1.0mlに溶解したものを添加した。撹拌後得られた均一な透明溶液を60℃に加熱して60分後ゲル状電解質を得た。
実施例2と同様な方法で伝導率を測定したところ−20℃において0.96mS/cm、25℃において4.5mS/cmの結果が得られた。
【0035】
[比較例]
比較例では、実施例の塩モノマーは使用せず、その他は実施例1と同じ条件でゲル状電解質を作製し、伝導率の測定を行った。 −20℃で0.65mS/cmの結果が得られた。得られたゲル状電解質は、室温で2日間放置すると白色部分がゲル中に生じていた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、解離した電解質のイオンを安定化することができ、低温での高伝導率が達成できる。さらに、これをリチウム二次電池の負極と正極の間に配することにより、低温でも電池特性を低下させることのない電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゲル状電解質の伝導率の温度依存性を示す図である。
Claims (5)
- 高分子ポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるリチウムイオン伝導性ゲル状電解質において、高分子ポリマーが、ラジカル重合性二重結合を有するアンモニウム塩とラジカル重合性二重結合を有する酸成分から成る多官能性塩モノマーであるイオン的相互作用を有する塩モノマーを必須成分として重合させて得られるポリマーであり、イオン的相互作用を高分子マトリックス中に有することを特徴とするリチウムイオン伝導性ゲル状電解質。
- 高分子ポリマーが、化学架橋を形成する成分を含んで重合させて得られる共重合体である請求項1記載のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質。
- 高分子ポリマーが、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを含んで重合させて得られる共重合体である請求項1又は2記載のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質。
- アンモニウム塩が、ラジカル重合性二重結合を有する四級アンモニウム塩、酸成分が、ラジカル重合性二重結合を有するスルホン酸である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質。
- 正極と負極の間に、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性ゲル状電解質をゲル化させて配置してなるポリマーリチウムイオン二次電池。
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