JP3654180B2 - 固体状電解質およびそれを用いた電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
リチウム塩を含む非水系電解液と高分子架橋体からなる固体状電解質および固体状電解質を使用した非水系二次電池に関わる。とりわけリチウムイオン電池に関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポータブル電話機、ビデオカメラ、ノート型パソコン等の小型化および携帯化、あるいは電気自動車の実用化に向けて、より高エネルギー密度の蓄電池が要望されているが、その中でも有機溶剤に塩を溶解させた電解液を用いることにより3V以上の出力が可能な非水系電解液電池が開発されている。その代表例としては現在既に上市されているリチウムイオン二次電池が挙げられる。
これらの非水系電解液電池の正極には、LiMn等のスピネル構造化合物や、一般的にLiMOで表せられるα-NaFeO構造を有するリチウム含有遷移金属複合酸化物等が利用できる。ここでMはCo,Ni,Al,Mn,Ti,Fe等から選ばれる単独もしくは2種類以上の金属元素である。さらにはリチウムの挿入可能なMnOやV等の金属酸化物やTiSやZnS等の金属硫化物、電気化学的酸化還元活性を有するポリアニリンやポリピロール等のπ共役系高分子、分子内に硫黄−硫黄結合の形成−開裂を利用するジスルフィド化合物等を用いることも可能である。
一方負極としては、金属リチウムもしくは各種リチウム合金、SnO等各種金属酸化物、あるいはリチウムを吸蔵放出可能な炭素材料を用いることができる。炭素材料としては天然に産出される黒鉛もしくは有機原料を2000℃以上の高温で焼成し、グラファイト構造が発達した平坦な電位特性を有する黒鉛系炭素材料、あるいは有機原料を1000℃以下の比較的低温で焼成し、黒鉛系材料よりも大きな充放電容量が期待できるコークス系炭素材料等が用いられる。
【0003】
現在上市されているリチウムイオン二次電池における正極と負極の組み合わせとして、現状では正極にはLiCoOやLiMn等のリチウム含有遷移金属複合酸化物が、一方負極には各種炭素材料が用いられる場合が多い。
上記電極には、電極の電子伝導性を向上させる目的として、粉末や繊維状の金属もしくは炭素を加える場合がある。金属としては、銅、銀、アルミ等が、炭素としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。
また電極の製造方法としては、結着剤の役目をする少量の高分子材料、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)を1−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に溶解したものに、各種活物質および適宜炭素や金属の微粉体からなる導電助剤を分散させてペースト状にした電極合剤を、電極芯材となる厚さ数十μmの金属箔の両面又は片面に塗布した後、有機溶剤を除去する方法が広く行われている。その他の結着剤の例としては、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPゴム)、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体やフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の各種フッ素ゴム等が挙げられる。その他では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やSBR、NBR等の高分子のラテックスやディスパージョンに、ポリメタクリル酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性高分子を増粘剤として加えたものを結着剤として利用する方法もある。また電極芯材は集電体とも呼ばれ、正極側にはアルミ箔が、一方負極側には銅箔が一般に用いられることが多い。
また塗布−乾燥直後の電極では、乾燥過程で溶剤が抜けることにより、電極内に空隙が生じ、充填率が低くなりすぎる場合がある。それにより電極合剤中の粒子同士の接触が弱くなり、電子伝導性が不十分となる。そのため、ロールプレス等により、電極の充填率を高め、電極の電子伝導性を向上させることが行われる場合が多い。
【0004】
通常は上記の様な方法で作製した正極と負極とを、両者が対向する形で、隔膜となる高分子製の微孔質フィルムを介して、形が崩れないように何層にもしっかり巻き取り、それを金属製の電池缶に挿入し、最終的に電解液を入れた後、機械的な方法でカシメるか、もしくはレーザー溶接等の方法で完全に密閉することにより電池が製造される。
ここで隔膜としては、ポリプロピレンやポリエチレン製の微孔質膜が使用され、また電解液としては、通常リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水系電解液が用いられる。有機溶媒としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、2−メチル−テトラヒドロフラン、各種グライム類等を単独もしくは2種類以上混合したものが用いられる。リチウム塩としては、電解液にした時のイオン伝導度が高い、あるいは電池の利用電位範囲で電気化学的に安定である等の理由から、主に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四フッ化ほう酸リチウム(LiBF)等が使用される場合が多い。また近年では、ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドリチウム(LiN(CFSO)等の各種イミド塩も検討されている。
リチウムイオン二次電池に代表される上記のような非水電解液系電池においては、高容量化および長寿命化が望まれているが、その一方で安全性の向上や電池形状の自由度の向上等の観点から、固体もしくは固体状の電解質の利用が検討されている。
すなわち、流動性を有する電解液に代えて、高分子化合物にリチウム塩を溶解しイオン伝導性を持たせた電解質や、高分子架橋構造体に電解液を保持することにより流動性を抑えたゲル状の電解質、あるいはイオン導電性を有する無機セラミックス、ガラス等の使用が検討されている。このような固体状の電解質を用いることにより電池からの液漏れを防止することができ、また電池形状自体をフィルム状にすることも可能となる。
【0005】
このような固体もしくは固体状の電解質の中では、室温でのイオン伝導性や成膜性などから、電解液を含むゲル状の電解質が多く検討されている。すなわち室温で電池として動作させるには、室温でのイオン伝導率が1mS/cmオーダーもしくはそれに準ずる値であり、かつ薄膜化が可能である必要がある。したがって、現時点においては高分子架橋構造体で電解液を固定化したゲル電解質を利用することが最も現実的である。
ゲル電解質としてまず考えられるのは、直鎖状の高分子量ポリマーを電解液で可塑化した系である。すなわちポリマーを電解液に高温で溶解させ、成膜した後室温に戻してゲル化させる方法や、ポリマーと電解液の組み合わせにさらに低沸点溶剤で希釈して流動性を持たせた後、低沸点溶剤を揮散させて成膜することにより作製されるもので、このような系ではポリマーに化学的な架橋構造はないものの、極端に高粘性であるか、もしくは電解液と高分子成分との部分的に相分離による物理的な架橋により流動性がなくなり、実質的に固体として扱える。具体的にはポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデンなどの比較的分子量の大きいポリマーを電解液で可塑化したゲル状の電解質が知られている。これらの系は、製造上高粘性の溶液を扱う必要があることや、化学的な架橋構造を持たないため高温下で流動化してしまう等の欠点がある。また物理架橋によるゲル化に関しては、高分子成分と電解液との非常に微妙な親和性によって決定させるため、組み合わせや組成に関して非常に限定されてしまう。
【0006】
次に、各種(メタ)アクリレートモノマーやビニルモノマーを重合する方法がある。すなわち重合可能な二重結合を有するモノマーを電解液に溶解しておき、熱、光、放射線、あるいはラジカル開始剤を用いてモノマーを重合させる方法である。その際一部多官能性のモノマーを加えておくことにより、重合反応時に架橋構造が形成され流動性を失い、電解液を保持したまま系全体を固化させることができる。すなわち電解液を「そのまま固化」させる方法である。このような例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の各種(メタ)アクリル酸エステルモノマーや酢酸ビニル、スチレンおよびその誘導体等のモノマーを電解液中に溶解しておき、重合させるが、その際、多官能性のジメタクリル酸エチレングリコールやジメタクリル酸エチレン等も共存させ、それらを共重合させることにより、架橋構造体が形成され系全体の流動性を失う。その他には、ポリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレートやポリエチレングリコールジメタクリレート等のマクロモノマーを電解液中で重合させたものが知られている。またこれらの重合方法としては紫外線や電子線照射による光重合、あるいは過酸化ジベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤の存在下で熱重合させる方法がある。
また同様にウレタンやエポキシ反応等の重付加型の化学反応を用いて架橋構造を形成させることにより系全体を固化させる方法もある。
重合法もしくは化学架橋法により固体状電解質を作製する場合は必ずしも高粘性の溶液を扱う必要は無く、最終的な形状で固化するため安定性及び保液性に優れ、かつ化学的な架橋構造を有するため耐熱性も高い。またあらかじめ原液を多孔質体や不織布等に含浸させておいて固化させることにより、薄くて強度の高い電解質膜を得ることも可能である。
【0007】
その他、電解液との親和性の高いポリマーであらかじめフィルムを作製しておき、それに電解液を膨潤させることにより、イオン導電性を付与させる方法がある。具体的にはポリフッ化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどの系で検討されている。これらの系では、強度の増強あるいは膨潤後の体積変化を考慮して、あらかじめポリマー膜を多孔質化あるいは架橋させておく場合もある。これらの系は、後から電解液を含浸しているため保液性に劣り、経時的な電解液のしみだしの問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにして製造されるゲル電解質等の固体状電解質に関しては、一般にイオン伝導率が高いものほど良いとされている。しかしながら実際に重要なのは、単なる電解質自体の性能ではなく、その固体状電解質を組み込んだ際の電池の性能である。しかし、上記の従来固体状電解質を用いた場合、電池としての性能は必ずしも満足できるものではない。
本発明は第1に電池の性能向上に直結した固体状電解質を提供することを目的とする。
本発明は第2に極めて簡便に優れた特性の電池を製造することができる固体状電解質を提供することを目的とする。
電池としての特性を改良する目的として、例えば特開平10−74526に記載のものが開発されている。この中では、主にポリエチレンオキシド架橋体を用いた従来の均一相ゲル電解質を用いた電池の製造方法が述べられている。
具体的には、あらかじめ電極に電解液のみを含浸した後に、あらためて電極上で電解質原液(プレポリマー組成物)を塗布し電解質原液をする重合固化することにより電池を製造する方法が述べられている。しかし、このような電池の製造方法は、明らかに煩雑であるという難点があった。
さらに本発明は、第3に優れた電池性能の実現を可能にする固体状電解質の製造方法を提供することを目的とする。
さらにまた本発明は、第4に固体状電解質を用いた特性の優れた二次電池とその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、ゲル電解質の微細構造をコントロールすること、具体的には電解質内部に電解液相を部分的に相分離させ、ゲル電解質中に微細な電解液相の分散構造を持たせることにより実際に電池に組み込んだ際に非常に優れた特性を有する電池が得られる電解質を得る。本発明においては、以下に示すように実際に固体状電解質を電池に組んだ際の電池としての性能に関しては、単なる固体状電解質自体のイオン伝導度等の値のみならず、固体状電解質の微細構造が極めて重要であることを見いだした。
すなわち本発明は、
(1)正極、負極および隔膜を一体化した電池セルに加工した後に該電池セルに架橋構造を形成しうるモノマー原料と電解液とを含む電解質原液を注液し、架橋構造を形成しうるモノマー原料と電解液とを含む電解質原液を重合反応させるとともに架橋させて、電解液および化学架橋を有する高分子架橋体からなる固体状電解質であって、電解液により膨潤されたゲル相と相分離した電解液相とを有する固体状電解質を得る工程を有する非水二次電池の製造方法であって、質量比での電解液量/高分子架橋体比および架橋密度の関係において、電解液が高分子鎖内に包含可能な範囲以上に、架橋密度を上げるかもしくは質量比での電解液/高分子架橋体比を高めることにより、相分離構造を形成することを特徴とする非水二次電池の製造方法、
(2)セパレータを介して正負極板を交互に積層した極板群を容器内に収納した後に、該容器内に前記電解質原液を注液して固体電解質の製造を行う工程を有することを特徴とする(1)項記載の非水二次電池の製造方法、
(3)固体状電解質が、熱、光または重合開始剤により重合可能な低分子化合物をあかじめ電解液に溶解させておき、それを重合反応させ高分子架橋体を形成することにより作製されることを特徴とする(1)又は(2)項記載の非水二次電池の製造方法、
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項において単一の反応点を持つ低分子化合物と、架橋剤として働く2個もしくはそれ以上の反応点を持つ低分子化合物の組み合わせにより、高分子架橋体の架橋度をコントロールすることを特徴とする非水二次電池の製造方法、
(5)前記(4)項において単一の反応点を持つ低分子化合物の単独重合体が電解液に対して可溶性である低分子化合物を含むことを特徴とする非水二次電池の製造方法、
(6)前記(3)〜(5)のいずれか1項において重合可能な低分子化合物として(メタ) アクリレートモノマーを用いることを特徴とする非水二次電池の製造方法、及び
(7)前記(4)項において架橋剤として働く低分子化合物としてジメタクリル酸エチレンが含まれることを特徴とする非水二次電池の製造方法
を提供するものである。
なお、本発明において電解液相の相分離とは、電解質内部で、高分子架橋体が電解液により膨潤された部分(ゲル相)と、それとは別に高分子架橋体中に包含されない電解液の相が存在していることをいう。このような電解質は、高分子架橋体中に電解液が保持されたゲル相のみからなる電解質とは明確に異なる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、このように電解質内部で電解液相が部分的にミクロ相分離を起こした微細構造を有する電解質を製造し、また本電解質を用いることにより高性能の無漏液電池を製造することを可能にした。詳細に関しては、実施例以降で述べるが、電解質としてのイオン伝導率がほぼ同じ、あるいは劣っているにもかかわらず、相分離構造を有する電解質を用いることにより、均一相ゲル電解質に対して圧倒的に優れた特性を有する電池の性能が可能となる。
肉眼でみて従来の均一相ゲル電解質は外観上透明である。一方、本発明の電解質は外観が白濁しており、本発明の主体である電解質内部で部分的に相分離した電解液相が存在した構造を有する電解質である。
次に図1の顕微鏡写真を見てみると(B)の白濁した電解質においては、白く見えるゲル相と、多少黒っぽく見えるマイクロメートルのオーダーの電解液相が明確に相分離している構造が観察された。他方同図(A)の従来の透明のゲル電解質においては、そのような相分離構造は確認されない。
本発明に用いる電解液自体は、通常のものと同様のものであり、成分、組成は特に異なるものではない。具体的には前述したように通常リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水系電解液が用いられる。有機溶媒としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、2−メチル−テトラヒドロフラン、各種グライム類等を単独もしくは2種類以上混合したものが用いられる。リチウム塩としては、電解液にした時のイオン伝導度が高い、あるいは電池の利用電位範囲で電気化学的に安定である等の理由から、主に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四フッ化ほう酸リチウム(LiBF)等が使用される場合が多い。また近年では、ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドリチウム(LiN(CFSO)等の各種イミド塩も検討されている。
【0011】
以下、この本発明の特殊な微細構造を有する電解質について説明する。
ゲル電解質に限らず一般的な均一相ゲルにおいては、高分子架橋体の分子鎖内に分子レベルで液体を包含している。すなわちゲル内部においては相溶性のある架橋鎖と液体が分子レベルで混ざり合っており架橋鎖に架橋点が存在し編み目構造を有することにより、流動性が押さえられている。
ここで一般に高分子架橋体の編み目の大きさを小さくしていくと架橋体内に保持することができる液体の量は減少する。すなわちゲル鎖内に保持することができる液体の量は架橋密度に反比例する。
前記のような電解液を「ゲル化」させる方法である重合法もしくは化学架橋法によりゲル電解質を作製する方法を考えた場合、通常は透明な均一相ゲルが生成する。しかしながら例えば電解液を用いて形成する高分子架橋体の架橋密度を上昇させていくと、もはやゲル化反応によって生成する高分子架橋体は、その分子鎖の編み目内に電解液を包含できなくなることが発生する。このような状態で電解液を「ゲル化」させると、固化反応が進行し高分子架橋体が形成されるにしたがって、電解液は相分離する。ここで極端に固化の速度が遅い場合等は、電解液相とゲル相が完全に(マクロに)分離してしまうことがあるが、固化の速度が十分速い場合、例えば数分〜数時間の範囲であれば、電解液相は電解質のバルク内でミクロ相分離を起こし、全体として固体状であるものの内部には相分離した電解液相を有する電解質が得られる。固化速度はより好ましくは1分間〜2時間の範囲である。ただしここで「ゲル相」とは高分子架橋体の分子鎖の編み目内に電解液が分子レベルで包含されている相のことを指す。このようにして図1の(B)に示した微細構造を有する電解質が合成できると考えられる。
【0012】
電解質のミクロ構造に関しては、ゲル相に関しては電解質としての骨格を成すため連続的でなくてはならない。一方相分離した電解液相に関しては独立でも連続でも良い。また相分離した電解液相のサイズとしては、概ね10μmオーダーもしくはそれ以下すなわち、20μm未満であることが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。下限は分子レベルを越えるものである。一方、電解液相の個々のサイズが大きすぎるとマクロな電解液のしみ出しが問題となる場合がある。ただし本発明の電解質は電解液と高分子架橋体が完全に分離した単なるスポンジではないので部分的に相分離しているといえどもバルク体としての保液性は良好である。
本発明においては架橋密度をコントロールすることにより相分離構造を有する電解質が合成されているということができる。架橋密度のコントロールは、例えば電解質を、添加された低分子化合物を重合させることにより高分子架橋体を形成させる場合は、単一の反応点を有するモノマー(すなわち単独重合により直鎖状ポリマーを与えるもの)と、架橋剤として働く2個もしくはそれ以上の反応点を有するモノマーを組み合わせ、それらの比率を変化させることにより容易に生成する高分子架橋体の架橋密度を変化させることが出来る。例えば本発明の実施例で示したような、メタクリル酸メチルとジメタクリル酸エチレンの組み合わせにおいては、ジメタクリル酸エチレンの比率を多くすれば高分子架橋体の架橋密度は高くなる。なお2個もしくはそれ以上の反応点を有するモノマーの分子量を変化させることにより架橋密度を変化させることも可能であるが、前者の単一の反応点を有するモノマーと架橋剤の組み合わせによる方法の方が、架橋密度の範囲、高分子鎖の化学構造等遙かにコントロール出来る範囲が広い。
ただし架橋密度の範囲には特に制限はない。なぜなら、相分離が起こるか否かは電解液と高分子架橋体の親和性および架橋密度の関係によって決定されるからである。すなわち電解液とゲル鎖の親和性が低い場合、比較的低架橋密度で相分離が起こるが、逆に電解液と高分子架橋体の親和性が高い場合、相分離を起こさせるためにはより架橋密度をより高めなければならない。また架橋密度が同じでも、高分子架橋体に対して電解液量を多くすれば電解液相の相分離は起こりうる。
また原理的に架橋密度を高くすればするほど、相分離した電解液相の量は増えるが、架橋密度が上昇するにつれて電解質か機械的に脆くなってしまう。これについて例示すればメタクリル酸メチルとジメタクリル酸エチレンの組み合わせにおいては、モノマー原料中に含まれるジメタクリル酸エチレンの比率が50wt%を越えると、得られる電解質は非常に脆いものとなり、電池に使用するにはあまり適しているとは言えない。
【0013】
使用する材料に関しては本明細書中ではメタクリル酸メチルとジメタクリル酸エチレンの組み合わせを利用して形成されるゲル電解質の例を示したが、本発明の範囲は、これに限定されるものでは無い。すなわち、モノマー段階で電解液に溶解し、また単一の反応点を有するモノマーの重合により得られる直鎖状ポリマーについては無架橋状態においては電解液に溶解する必要があるが、それ以外は特に限定されるものではない。たとえばメタクリル酸メチルをアクリル酸メチルやメタクリル酸エチルに変更しても同様な特徴を有する電解質が得られることは容易に想像でき、さらには単一の反応点を有するモノマーに関しては1種類である必要はなく2種類以上のモノマーを組み合わせても良い。同様に架橋剤も複数の種類のものを混合しても良い。
ただしポリエチレンオキシド等のポリアルキレンオキシド構造を含む材料に関しては、リチウム塩に対して非常に強い相互作用を持つため電解液の相分離が非常に起こり難く、本発明における電解質への使用は望ましくない。
【0014】
なお、本発明においては電池化する際、電解液で電池を製造するのと同じ要領、すなわち電解質膜を作製せずに、最終的な電池系に組み立てた電池セルに対して固化前の電解質原液を注入し、その状態で固化させることが望ましいが、この場合分子量の大きいマクロモノマーを使用すると電解質原液の粘度が上昇してしまい、電解質原液を電極の細孔もしくは電池に注入しにくくなる。よって電解質原液に含まれるモノマーとしては、分子量が400以下であることが望ましく、さらに望ましくは200以下である。
【0015】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。また適宜本発明の効果をより明確にするための比較例も併せて示す。なお実施例および比較例においては、電解質の試験はもとより、扁平状電池および内部旋回構造を有する円筒型電池を実際に作製し試験した。
1.電解質原液の調製
メタクリル酸メチルモノマー(以下、MMA)と架橋剤であるジメタクリル酸エチレン(以下、EdMA)とを適宜混合し、両者の質量比が97.5:2.5−70:30のモノマー混合体を用意した。また1MのLiClOの溶解させたプロピレンカーボネート溶液を電解液とし、モノマー混合体と電解液が質量比で20:80になるように混ぜ合わせた。そして最終的に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを1000ppm添加し電解質原液とした。なお、MMA:EdMA比率が97.5:2.5のものに関しては、モノマー混合体と電解液が質量比で15:85のものを、またMMAと:EdMA比率が70:30のものに関しては、モノマー混合体と電解液が質量比で25:75のものも用意した。調製した電解質原液の組成に関しては下記表1(No.1〜No.7)にまとめた。
なお電解質原液の調製およびそれ以後の取扱いは全て露点が−60℃以下の乾燥空気中もしくはアルゴン雰囲気下で行った。
2.電解質単独膜の作製
中心部を切り抜いた厚さ1mmのシリコンゴムをスペーサーとして、2枚のガラス板に挟み込み周囲をクリップで固定し電解質膜作成用の型とした。続いてその型に注射器を用いて上記電解質原液を流し込んだ。それを密閉容器に入れて80℃で2時間加熱し、電解質原液を固化させることにより厚さ1mmの電解質単独膜を得た。
3.イオン伝導度の測定
上記の電解質単独膜のイオン伝導度を測定した。具体的には直径16mmに切り抜いた電解質単独膜を直径15mmのステンレス製の電極で挟み、ソーラトロン社製SI−1260電気化学測定装置を用いて複素インピーダンス法で測定を行った。その結果20kHzでの抵抗値の実数部をサンプルのイオン伝導に基づく抵抗値とし、その値からイオン伝導率を算出した。
これらの測定結果に関しては表1にまとめた。
【0016】
4.電解質の組織観察
上記のように作製した電解質に関しては見かけ上大きな違いが見られた。すなわちEdMAの比率が低く架橋度の低いものは透明であったが、EdMAの比率が高く架橋度の高いものは白濁した。
これらの相違を明確にするため電解質の微細構造の観察を行った。この光学顕微鏡により観察をによる微細組織(倍率500倍)の写真を図1に示す。具体的には電解質中の高分子成分の比率が20%で、透明の電解質としてMMA:EdMA比率が97.5:2.5のもの(図1(A))、白濁した電解質としてMMA:EdMA比率が70:30のもの(図1(B))の微細構造を示した。図1(B)においては相分離構造における電解液相のサイズは概ね1〜10μmであった。
5.LiCoO正極の作製
活物質としてLiCoO(日興ファインプロダクツ社製)を900gと、導電剤として黒鉛粉末(ロンザ社製、KS−6 商品名)を70gと、結着剤としてPVDFを30gとを1−メチル−2−ピロリドン420gを混練することにより電極合剤ペーストを作製した。本ペーストをドクターブレード法を用いて厚さ30μmのアルミ箔の片面に乾燥後の電極合剤の質量が約20mg/cmになるように塗布し、100℃で加熱することにより1−メチル−2−ピロリドンを散逸させた。また円筒型電池用の電極に関しては、もう一方の面にも同様な方法で電極合剤ペーストと塗布し、電極合剤層を設けた。その後ロールプレス機を用いて圧縮成型することによりLiCoO電極を作製した。本方法で作製したLiCoO電極を、以下の実施例においては単に正極と呼ぶ。
実際の電池セル作製に際しては、扁平状電池の場合、片面塗工の正極に対して部分的に電極合剤を剥がしてタブを取った30×30mmの大きさのものを使用した。一方円筒型電池に関しては、両面塗工の正極を39mm×400mmにカットし、端部7mmの両面の電極合剤を剥がし、その部分に厚さ50μm、5mm×70mmのアルミ板を電極タブとして超音波溶接機を用いて溶接したものを用いた。
6.炭素負極の作製
活物質として無定型炭素材料(三菱化学社製、商品名MBC−NC)930gと、結着剤としてPVDF70gとを1−メチル−2−ピロリドン800gを混練することにより電極合剤ペーストを作製した。本ペーストをドクターブレード法を用いて厚さ20μmの銅箔の片面に乾燥後の電極合剤の質量が約10mg/cmになるように塗布し、100℃で加熱することにより1−メチル−2−ピロリドンを散逸させた。また円筒型電池用の電極に関しては、もう一方の面にも同様な方法で電極合剤ペーストと塗布し、電極合剤層を設けた。その後ロールプレス機で圧縮成型することにより炭素電極を作製した。本方法で作製した炭素電極を、以下の実施例においては単に負極と呼ぶ。
実際の電池セル作製に際しては、扁平状電池の場合、片面塗工の負極に対して部分的に電極合剤を剥がしてタブを取った31×31mmの大きさの電極を用いた。一方円筒型電池に関しては、両面塗工の正極を40mm×430mmにカットし、中心部7mmの両面の電極合剤を剥がし、その部分に厚さ50μm、5mm×70mmのニッケル板を電極タブとして超音波溶接機を用いて溶接したものを用いた。
【0017】
7.扁平状電池の作製
扁平状電池を作製するにあたり、まず一体化電池セルを作製した。
ガラス瓶中で平均粒径6μmのPVDF粉末(ダイキン工業社製、VP850商品名)2.5gとエタノール47.5gを混合し、超音波洗浄機内で超音波照射することにより、PVDF粉末を分散させた。このPVDF粉末分散液をガラスシャーレに移し取り、親水性PTFE製微孔質膜(日本ミリポア社製、JGWPメンブランフィルター 商品名)を35×35mmに切り抜いたものを浸して両面を濡らしてPVDF粉末を付着させた後、取り出して、片面塗工の扁平状電池用の正極と負極の間に挟み込んでガラス板で両側から固定した。60℃で加熱及び真空乾燥してエタノールを散逸させた後、窒素気流中200℃×10分間加熱して、PVDF粉末を溶融させることにより、親水性PTFE製微孔質膜と正極及び負極を接着させ、正極/隔膜/負極が完全に一体化した電池セルを作製した。
続いて各一体化電池セル内に減圧下で表1に示した組成の電解質原液No.1〜7をそれぞれを注液した。すなわち一体化電池セルを耐圧容器に入れ、全体をドライ真空ポンプを用いて約100kPaまで減圧しておき、そこに電池が完全に漬かるように電解質原液を導入し、減圧状態のまま3分間および常圧に戻し10分間放置することにより、一体化電池セル内に電解質原液を注液した。その後電池セルを容器から取り出し、端子の部分も完全に入るように大きめのアルミラミネートシート製に袋に電池セルを封入した。この状態で80℃で2時間加熱し、電解質原液を固化させた(固体電解質No.1〜7とした)。
このように電解質原液を固化させた後、袋から電池セルを取り出し、電解質が固化していることを確認し、また電池セル表面の余分な電解質を取り除いた後に、最終的に図2のように端子の部分を取り出すような形でアルミラミネートシート製の外装材に減圧封入とすることにより、フィルム状リチウムイオン電池を作製した。
この電池セルを用いたフィルム状リチウムイオン二次電池斜視図で図2(A)に示した。図2(C)に拡大断面部で示すように、アルミラミネートシート製の外装材4は、LiCoO正極1、炭素負極2、電池隔壁3からなり電解液を含浸させた電池セルを減圧封入することにより、フィルム状リチウムイオン二次電池を形成している。図2中、5は正極タブ、6は負極タブ、7は熱融着封口部を示す。本電池の構成で充放電サイクル試験を行った実施例および比較例の結果を表1に示した。
8.円筒型電池の作製
両面塗工の円筒電池用の電極を、ポリオレフィン製セパレーター(ヘキスト社製セルガード#2400 商品名)を介して群巻した後、この群巻した電池コアを電池缶に挿入し、負極の電極タブを電池缶に、正極の電極タブを蓋にスポット溶接した。蓋をかしめる前に、表2に示した組成の電解質原液No.9、10をそれぞれを注液した。注液は扁平状電池のときと同様に減圧下で行なった。注液後、電池缶と蓋とを樹脂製パッキンを介してかしめることにより封止し単三サイズの電池を作製した。そして最終的に電池を80℃で2時間加熱し、内部の電解質原液を固化させた。
このようにして作製した円筒型電池の1例を図3に断面図として示す。図中11はLiCoO正極、12は炭素負極、13はポリオレフィン製セパレーターであり、この構成の電極は電池缶14中に群装されている。15は電池の蓋、16は正極タブ、17は負極タブであり、18は、電池缶14と蓋15との間の樹脂製パッキンである。
9.充放電サイクル試験方法
充放電サイクル試験は25℃の恒温槽内において、扁平状電池の場合、充電上限電圧を4.2Vに設定し、最大電流6mAで5時間充電し、15分間の休止時間をおいた後、放電は6mAの一定電流で電池電圧が2.7Vに達するまでとした。また放電後、次の充電と間にも15分間の休止時間をおいた。この充電−休止−放電−休止を1サイクルとし、サイクルを繰り返した。
一方、円筒電池の場合は、充電時の最大電流および放電時の電流を100mAに変えた以外は、その他の電圧、時間等の条件は、扁平状電池の場合と同じである。
またこれらの充放電サイクル試験の結果を表1および表2にまとめた。
【0018】
比較例
実施例のゲル電解質に代えて、1MのLiClOの溶解させたプロピレンカーボネート溶液のみ電解液(No.8)を電池セルに注液し、図2のように端子の部分を取り出すような形でアルミラミネートシート製の外装材に減圧封入とすることにより、扁平状電池を作製した。同様に電解液のみ(No.11)を注液した円筒型電池を作製し、充放電サイクル試験を行なった。
【0019】
【表1】
Figure 0003654180
【0020】
【表2】
Figure 0003654180
【0021】
表1及び表2に実施例および比較例で作製した電解質の特性およびそれらを用いた電池のサイクル試験の結果を示す。
その結果についてまず表1のNo.1〜5を見てみると、電解質単独のイオン伝導率に関してはほぼ同じであると言える。すなわち高分子架橋体成分と電解液比率が同じで有れば架橋密度によらず電解質自体のバルク体としてのイオン伝導率は実質的に同じであると言える。
しかしながらそれらの電解質を用いた電池の性能は大幅に異なった。すなわち、No.1やNo.2の様に架橋密度が低く電解質が透明で相分離が起きていないと考えられる電解質を用いた電池に関しては、その特性は非常に劣っている。一方、No.4やNo.5の様に白濁し相分離が起きている電解質を用いた電池に関しては、初期3サイクル目の放電容量も高く、またその後の20〜50サイクル目の放電容量維持性もかなり良好である。このようにイオン伝導率がほぼ同じ電解質を用いているのにも関わらず、その電池特性は大きく異なった。
またNo.6の場合は、低架橋度で電解液比率を高めた均一相ゲルであるが、イオン伝導度はNo.1〜5よりも高い。しかしながらこれを用いた電池は初期3サイクル目の放電容量は比較的高いものの、充放電サイクルに伴う放電容量の低下が激しい。
さらにNo.7の場合は、ポリマー比率が高くイオン伝導率の低いものの、高架橋度で白濁し相分離が起きている電解質である。これを用いた電池は初期3サイクル目の放電容量は若干低いものの、No.1やNo.2あるいはNo.6の様な均一相ゲルよりは充放電サイクルに伴う放電容量維持性は明らかに良い。
次に表2のNo.9〜11の結果から、円筒型電池においても、扁平型電池と同様に本発明の相分離型電解質を用いることにより、高性能な無漏液電池を製造することが可能であることが分かる。その際、最終的に電池を加熱する以外、通常の電解液を用いた電池の製造工程を実質的に変える必要がない。
以上のような結果から電池性能に関しては、電解質単体の単なるイオン伝導性のみではなく、それらのミクロの構造が極めて重要であることは明らかとなった。すなわち通常の均一相ゲルの電解質に対し、電解質中にミクロに相分離した電解液相が存在する本発明の電解質は、実際の電池に使用した場合圧倒的に優れており、極めて有用であると言える。
【0022】
【発明の効果】
以上の発明の説明から明らかなように、本発明の技術、すなわち電解質中にミクロに相分離した電解液相が存在する本発明の電解質を用いることにより、非常に高性能の電池が製造可能となる。また本電解質は化学架橋構造を有するため熱安定性も良好である。さらに本技術を最終的な電池形態に組立済みの電池、例えば扁平状の電池あるいは旋回構造を有する電池等に適用すれば、通常の電解液を使用した電池の製造方法を実質的に変更すること無しに、無漏液の電池を製造することが可能となる。またこのような方法を用いることにより大型電池の無漏液化も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体電解質の光学顕微鏡写真を示す。(A)は従来の、(B)は本発明の固体電解質である。
【図2】フィルム状リチウムイオン電池の説明図である。(A)は斜視図、(B)は一部拡大断面図である。
【図3】円筒型電池の1例の断面図である。
【符号の説明】
1 LiCoO正極
2 炭素負極
3 電池隔膜
4 アルミラミネートフィルム製外装材
5 正極タブ
6 負極タブ
7 熱融着封口部
11 LiCoO正極
12 炭素負極
13 ポリオレフィン製セパレーター
14 電池缶
15 蓋
16 正極タブ
17 負極タブ
18 樹脂製パッキン

Claims (7)

  1. 正極、負極および隔膜を一体化した電池セルに加工した後に該電池セルに架橋構造を形成しうるモノマー原料と電解液とを含む電解質原液を注液し、架橋構造を形成しうるモノマー原料と電解液とを含む電解質原液を重合反応させるとともに架橋させて、電解液および化学架橋を有する高分子架橋体からなる固体状電解質であって、電解液により膨潤されたゲル相と相分離した電解液相とを有する固体状電解質を得る工程を有する非水二次電池の製造方法であって、質量比での電解液量/高分子架橋体比および架橋密度の関係において、電解液が高分子鎖内に包含可能な範囲以上に、架橋密度を上げるかもしくは質量比での電解液/高分子架橋体比を高めることにより、相分離構造を形成することを特徴とする非水二次電池の製造方法。
  2. セパレータを介して正負極板を交互に積層した極板群を容器内に収納した後に、該容器内に前記電解質原液を注液して固体電解質の製造を行う工程を有することを特徴とする請求項1記載の非水二次電池の製造方法。
  3. 固体状電解質が、熱、光または重合開始剤により重合可能な低分子化合物をあかじめ電解液に溶解させておき、それを重合反応させ高分子架橋体を形成することにより作製されることを特徴とする請求項1又は2記載の非水二次電池の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において単一の反応点を持つ低分子化合物と、架橋剤として働く2個もしくはそれ以上の反応点を持つ低分子化合物の組み合わせにより、高分子架橋体の架橋度をコントロールすることを特徴とする非水二次電池の製造方法。
  5. 請求項において単一の反応点を持つ低分子化合物の単独重合体が電解液に対して可溶性である低分子化合物を含むことを特徴とする非水二次電池の製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項において重合可能な低分子化合物として(メタ) アクリレートモノマーを用いることを特徴とする非水二次電池の製造方法。
  7. 請求項において架橋剤として働く低分子化合物としてジメタクリル酸エチレンが含まれることを特徴とする非水二次電池の製造方法。
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