JP2002121218A - 重合体およびそれを含む高分子固体電解質 - Google Patents

重合体およびそれを含む高分子固体電解質

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JP2002121218A
JP2002121218A JP2000318116A JP2000318116A JP2002121218A JP 2002121218 A JP2002121218 A JP 2002121218A JP 2000318116 A JP2000318116 A JP 2000318116A JP 2000318116 A JP2000318116 A JP 2000318116A JP 2002121218 A JP2002121218 A JP 2002121218A
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稔 青木
Masaji Ito
正自 伊藤
Kinsei Han
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温でも高いイオン伝導性を示す高分子固体
電解質を提供する。 【解決手段】 下記式(1): 【化1】 ただし、R1及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数
1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素原
子数6〜10のアリール基を表わし;R2は、炭素原子
数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン残基を表わ
し;X-は、酸の脱プロトン残基を表わし;Y+は、含窒
素化合物のカチオンを表わし;Zは、モノエチレン性不
飽和化合物の残基を表わし;mは、主鎖を構成する構成
単位:−(R2O)−に結合する分岐鎖の平均付加モル
数を表わし、2〜20であり;nは、3〜500であ
り;およびpは、0〜2である、で示される重合体、お
よび当該重合体を必須成分として含む高分子固体電解
質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温で溶融塩とな
る高分子固体電解質およびこれに使用される重合体に関
するものである。特に、本発明は、10℃以下の低温領
域で優れたイオン伝導性を示す高分子固体電解質および
これに使用される重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料電池等の電解質材料として、
無機化合物を混合したものを高温に加熱溶融させたもの
が知られているが、一般的に無機化合物を混合した系で
得られる溶融塩は、低融点と言われているものでも30
0℃程度であり、実用電池として利用するためには、そ
の融点を飛躍的に低下させることが課題とされていた。
【0003】そこで、室温でも充分なイオン伝導度を発
現する試みが行われており、有機化合物の塩に無機塩を
添加して得られる室温溶融塩の開発が精力的に行われて
きた。例えば、特開昭60−133669号公報等に
は、アルミニウムハロゲン化物と1,3−ジアルキルイ
ミダゾールハライドあるいは1,2,3−トリアルキル
イミダゾールハライドの混合物を用いた電解質が開示さ
れている。しかしながら、前記の化合物を用いた電解質
は、室温で溶融し高いイオン伝導性を示すものの、アル
ミニウムハロゲン化物が、僅かな水分の混入によって分
解する難点があり、また溶融塩の相状態が温度変化に対
して不安定であるという問題があった。
【0004】このため、上記問題を克服するために、
1,3−ジアルキルイミダゾールハライド、1,2,3
−トリアルキルイミダゾールハライド、1−ビニル−3
−アルキルイミダゾリウムハライド、1−ビニル−2,
3−ジアルキルイミダゾリウムハライド及び1,3−ジ
アルキル−4(5)−ビニルイミダゾリウムハライドな
どから選ばれるイミダゾリウム誘導体に酸モノマー、ポ
リ(ビニルスルホンアミド)化合物、トリフルオロメタ
ンスルホンイミド類などを反応させて得られる溶融塩モ
ノマーに、重合開始剤を添加して重合させるなどして得
られた溶融塩ポリマーを用いた、室温での高いイオン伝
導性及び優れた温度安定性を有する高分子固体電解質
が、特開平8−207927号公報及び特開平9−14
3552号公報で;1,3−ジアルキルイミダゾリウム
ハライド、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムハ
ライドから選ばれるイミダゾリウム誘導体とモノマー類
を反応して溶融塩モノマーとし、これを重合させて得ら
れる溶融塩ポリマーを必須成分として含む高分子固体電
解質が特開平10−83821号公報で;さらには、高
分子酸類,あるいは多孔性高分子固体または高分子薄膜
に負電荷を導入したポリアニオン樹脂に、イミダゾリウ
ム塩誘導体を含浸させた高分子固体電解質が特開平11
−86632号公報で、報告された。
【0005】しかしながら、上記公報に開示される高分
子固体電解質は、確かに室温(30℃付近)でのイオン
伝導性は高いものの、より低い温度、例えば、10℃以
下の低温領域でのイオン導電性は顕著に低下してしま
い、これを用いた燃料電池やリチウム2次電池などは低
温での使用が困難であるという欠点があった。この点に
ついては、従来の高分子固体電解質も、30℃でのイオ
ン伝導度(logσ、S/cm)が−3〜−4であるの
に対して、0℃では−6にまで低下し、やはり同様の問
題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、上記諸事情を鑑みてなされたものであり、低温でも
高いイオン伝導性を示す高分子固体電解質を提供するも
のである。
【0007】また、本発明の他の目的は、このような高
分子固体電解質に使用されるのに適した重合体を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の水
溶性グラフト重合体を用いて、諸目的を達成すべく鋭意
検討を行なった結果、水溶性グラフト重合体の両末端を
アルキル基またはアリール基に置換した後、特定のハロ
ゲン化含窒素化合物と反応させることによって得られる
重合体を高分子固体電解質に使用すると、得られた高分
子固体電解質は10℃以下の低温領域においてもほとん
どイオン伝導度の低下が認められないことを発見した。
上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、上記諸目的は、下記(1)〜
(14)によって達成される。
【0010】(1) 下記式(1):
【0011】
【化4】
【0012】ただし、R1及びR3は、それぞれ独立し
て、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル
基または炭素原子数6〜10のアリール基を表わし;R
2は、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレ
ン残基を表わし;X-は、酸の脱プロトン残基を表わ
し;Y+は、含窒素化合物のカチオンを表わし;Zは、
モノエチレン性不飽和化合物の残基を表わし;mは、主
鎖を構成する構成単位:−(R2O)−に結合する分岐
鎖の平均付加モル数を表わし、2〜20であり;nは、
3〜500であり;およびpは、0〜2である、で示さ
れる重合体。
【0013】(2) 式(1)において、R2は、エチ
レン残基、プロピレン残基または2,3−ブチレン残基
を表わす、前記(1)に記載の重合体。
【0014】(3) 式(1)において、R2は、エチ
レン残基を表わす、前記(2)に記載の重合体。
【0015】(4) 式(1)において、X-は−CO
-または−SO3 -を有する残基を表わす、前記(1)
から(3)のいずれかに記載の重合体。
【0016】(5) 式(1)において、X-は−CO
-を有する残基を表わす、前記(4)に記載の重合
体。
【0017】(6) 式(1)において、Y+は第4級
アンモニウムイオンを表わす、前記(1)から(5)の
いずれかに記載の重合体。
【0018】(7) 該第4級アンモニウムイオンは下
記のいずれかである、前記(6)に記載の重合体。
【0019】
【化5】
【0020】ただし、R4、R5、R6及びR7は、それぞ
れ独立して、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のア
ルキル基を表わす。
【0021】(8) 式(1)において、Zはマレイン
酸、フマル酸または無水マレイン酸の残基を表わす、前
記(1)から(7)のいずれかに記載の重合体。
【0022】(9) 前記重合体は−30℃以下のガラ
ス転移温度を有する、前記(1)から(8)のいずれか
に記載の重合体。
【0023】(10) 下記式(2):
【0024】
【化6】
【0025】ただし、R1及びR3は、それぞれ独立し
て、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル
基または炭素原子数6〜10のアリール基を表わし;R
8は、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレ
ンを表わし;およびnは、3〜500である、で示され
る化合物及び酸基を有する単量体を重合することによっ
て得られた重合体(A)をカチオン性含窒素化合物と反
応することによって得られる重合体。
【0026】(11) 前記式(2)で示される化合物
及び酸基を有する単量体をモノエチレン性単量体の共存
下で重合することによって得られた重合体(B)をカチ
オン性含窒素化合物と反応することによって得られる重
合体。
【0027】(12) 該カチオン性含窒素化合物は第
3級アミンにアルキルハライドを反応させることによっ
て得られる、前記(10)または(11)に記載の重合
体。
【0028】(13) 該第3級アミンの25℃の水溶
液におけるpKaは5〜12である、前記(12)に記
載の重合体。
【0029】(14)前記(1)から(13)のいずれ
かに記載の重合体を必須成分として含む高分子固体電解
質。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】第一の概念によると、本発明は、上記式
(1)で示される重合体を提供するものである。本重合
体は、10℃以下という低温領域においても、イオン伝
導性を有意に低下させないため、低温での使用が要求さ
れる高分子固体電解質の材料として好適である。
【0032】上記式(1)において、置換基「R1」及
び「R3」は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖
のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を
表わす。この際、置換基「R1」及び「R3」は、同一で
あってもあるいは異なるものであってもよい。置換基
「R1」および/または「R3」が炭素原子数1〜4の直
鎖または分岐鎖のアルキル基を表わす際のアルキル基と
しては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−
ブチル、シクロプロピル、及びシクロブチルなどが挙げ
られる。また、置換基「R1」および/または「R3」が
炭素原子数6〜10のアリール基を表わす際のアリール
基としては、フェニル、o−、m−及びp−トリル、
2,3−及び2,4−キシリル、メシチル、o−、m−
及びp−クメニル、ベンジル、α−メチルベンジル、フ
ェネチル、スチリル、シンナミル、及びナフチルなどが
挙げられる。これのうち、メチル、エチル、ブチル及び
フェニル、より好ましくはメチル、エチル及びフェニル
が置換基「R1」および/または「R3」として好まし
い。
【0033】また、上記式(1)において、置換基「R
2」は、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキ
レン残基、すなわち、メチレン(−CH2−)、エチレ
ン(−CH2CH2−)、トリメチレン(−CH2CH2
2−)、プロピレン(−CH(CH3)CH2−)、テ
トラメチレン(−CH2CH2CH2CH2−)、1,2−
ブチレン(−CH2CH(CH2CH3)−)、1,3−
ブチレン(−CH2CH 2CH(CH3)−)または2,
3−ブチレン(−CH(CH3)CH(CH3)−)等の
アルキレンの残基を表わす。なお、本明細書において、
「アルキレン残基」ということばは、上記したアルキレ
ンから水素原子1個を除いた基を意味する。また、本発
明によるアルキレン残基において、上記したアルキレン
から1個除かれる水素原子の位置は、特に制限されず、
所望の物性や製造のし易さなどを考慮して適宜選択され
る。これらのうち、置換基「R2]としては、エチレン
残基、イソプロピレン残基及び2,3−ブチレン残基が
好ましく、エチレン残基及びプロピレン残基がより好ま
しく、エチレン残基が特に好ましい。
【0034】上記式(1)において、置換基「X-
は、酸の脱プロトン残基を表わし、例えば、−CO
-、または−SO3 -を有する残基を表わす。これらの
うち、−COO-を有する残基としては、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸な
どの残基が挙げられる。また、−SO3 -を有する残基と
しては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、スルホン酸エチルメタクリレート、3−アリロ
キシ−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、p−スチ
レンスルホン酸、アリルスルホン酸及びビニルスルホン
酸などの残基が挙げられる。これらのうち、−COO-
を有する残基、より好ましくはアクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸及びフマル酸の残基、特に好ましくはア
クリル酸及びメタクリル酸の残基が、置換基「X-」と
して好ましく使用される。
【0035】また、上記式(1)において、置換基
「Z」は、モノエチレン性不飽和化合物の残基を表わ
す。なお、該「モノエチレン性不飽和化合物の残基」
は、単一または複数のモノエチレン性不飽和化合物成分
を重合して得られるモノエチレン性不飽和化合物の残基
を含むものである。本発明において使用されるモノエチ
レン性不飽和化合物の残基としては、具体的には、マレ
イン酸の残基;フマル酸の残基;無水マレイン酸の残
基;マレイン酸ジメチル及びマレイン酸ジエチル等のマ
レイン酸のアルキルエステル類の残基;フマル酸ジメチ
ル及びフマル酸ジエチル等のフマル酸のアルキルエステ
ル類の残基;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及びス
テアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)ア
クリレートの残基;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの残基;酢酸
ビニル等の酢酸アルケニルエステル類の残基;スチレン
等の芳香族ビニル類の残基;(メタ)アクリロニトリ
ル、(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリルアミド
の残基;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートの残
基;ならびに2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸の残基などが挙げられる。これらのうち、生
成ポリマーのイオン導電性および合成の容易さを考慮す
ると、置換基「Z」は、マレイン酸、フマル酸及び無水
マレイン酸のいずれかの残基であることが好ましく、特
に無水マレイン酸の残基であることが好ましい。なお、
本明細書において、「モノエチレン性不飽和化合物の残
基」とは、上記したモノエチレン性不飽和化合物の不飽
和二重結合性炭素原子に直接結合する水素原子1個を除
いて生じる一価の基を意味する。
【0036】さらに、上記式(1)において、nは、主
鎖を構成する構成単位:−(R2O)−の繰り返し数を
表わす数であり、3〜500、好ましくは5〜100、
より好ましくは5〜50である。この際、主鎖の各繰り
返し単位に結合する分岐鎖は、同一の分岐鎖が各繰り返
し単位に結合していても、あるいは各繰り返し単位ごと
に結合する分岐鎖が異なるものであってもよいが、反応
の簡便さを考慮すると、好ましくは同一の分岐鎖が各繰
り返し単位に結合する。あるいは、主鎖の各繰り返し単
位に結合する分岐鎖は、すべての主鎖を構成する−(R
2O)−に結合する必要はなく、イオン伝導性等の所望
の特性などに応じて適宜選択されるが、主鎖の各繰り返
し単位に結合する分岐鎖が、主鎖を構成する−(R
2O)−の全繰り返し単位(全R2数)の、30〜100
%、好ましくは60〜100%の割合で主鎖を構成する
−(R2O)−に結合する。また、主鎖を構成する−
(R2O)−の繰り返し単位は、同一の繰り返し単位か
らなるものであってもまたは異なる繰り返し単位からな
るものであってもよく、後者の場合には、その繰り返し
単位はブロック状であってもまたはランダム状であって
もよい。
【0037】上記式(1)において、mは、主鎖を構成
する構成単位:−(R2O)−に結合する、−X-+
び−Zpを含む分岐鎖(本明細書中では、単に「分岐
鎖」とも称する)の平均付加モル数を表わし、2〜2
0、好ましくは3〜10である。この際、−X-+及び
−Zpを含む分岐鎖の繰り返し単位は、同一の繰り返し
単位からなるものであってもまたは異なる繰り返し単位
からなるものであってもよく、後者の場合には、その繰
り返し単位はブロック状であってもまたはランダム状で
あってもよい。
【0038】さらに、上記式(1)において、pは、分
岐鎖中の1つの炭素に結合した置換基「Z」の数を表わ
す数であり、0〜2である。さらにまた、本発明におい
て、主鎖の各繰り返し単位に結合する分岐鎖の繰り返し
単位中の、−X-+及び−Z pの分岐鎖の結合順は、上
記式(1)に記載されるものに制限されず、主鎖側か
ら、−Zp及び−X-+の順であってもよく、また、置
換基「Z」が一つの分岐鎖を構成する繰り返し単位内に
複数個存在する(即ち、式(1)におけるpが1または
2である)際にも、−X-+及び−Zpの分岐鎖の結合
順は、特に制限されることはないが、好ましくは、主鎖
側から、−X-+及び−Zpの順である。
【0039】上記式(1)において、置換基「Y+
は、含窒素化合物のカチオンを表わす。含窒素化合物の
カチオンとしては、第4級アンモニウムイオンが好まし
い。
【0040】本発明において、第4級アンモニウムイオ
ンの構造は、特に制限されないが、例えば、下記式で示
されるカチオンが挙げられる。
【0041】
【化7】
【0042】なお、上記第4級アンモニウムイオンのう
ち、環構造を有するものについては、イミダゾール環、
トリアゾール環、ピロリジン環、ピリジン環、シクロヘ
キサン環及びベンゼン環またはこれらにハロゲン原子若
しくは置換基を有する環構造がある。このような場合に
使用できる置換基としては、炭素原子数1〜10、好ま
しくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s
ec−ブチル及びtert−ブチル、シクロプロピル及
びシクロブチルなど;ならびにハロゲン原子、例えば、
フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子などが挙げられ
る。これらのうち、好ましくはフッ素原子が使用でき
る。
【0043】これらのうち、下記式で示される第4級ア
ンモニウムイオンが本発明において特に好ましく使用さ
れる。
【0044】
【化8】
【0045】上記式において、R4、R5、R6及びR
7は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10の直鎖ま
たは分岐鎖のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、シクロプロピル、イソプロピル、n−ブチル、
イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シク
ロブチル、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチ
ル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘ
キシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、及びデシルなどを表わす。好ましくは、置換基「R
4」、「R5」、「R6」及び「R7」は、それぞれ独立し
て、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル
基、即ち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはter
t−ブチルを表わす。
【0046】本発明の重合体は、−30℃以下、より好
ましくは−50℃以下のガラス転移温度(本明細書で
は、単に「Tg」と称することもある)を有することが
好ましい。このようにガラス転移温度の低い重合体を、
例えば、電解質に使用することによって、重合体はかな
り低温領域にあっても軟らかいエラストマー状の粘稠な
状態にあるため、このような重合体を含む電解質は低温
でもイオン伝導度の低下を有効に防止することができ
る。これに対して、重合体のガラス転移温度が−30℃
を超えると、このような重合体を含む電解質は、常温で
は高いイオン伝導度を示していても、低温領域で使用さ
れるとイオン伝導度が急激に低下してしまい、好ましく
ない。
【0047】第二の概念によると、本発明は、前記式
(2)で示される化合物及び酸基を有する単量体を重合
することによって得られた重合体(A)をカチオン性含
窒素化合物と反応することによって得られる重合体を提
供するものである。上記第二の概念による反応は、上記
式(1)において、pが0である際の重合体の製造に好
適に使用できる。
【0048】また、第三の概念によると、本発明は、前
記式(2)で示される化合物及び酸基を有する単量体を
モノエチレン性単量体の共存下で重合することによって
得られた重合体(B)をカチオン性含窒素化合物と反応
することによって得られる重合体を提供するものであ
る。上記第三の概念による反応は、上記式(1)におい
て、pが1または2である際の重合体の製造に好適に使
用できる。
【0049】上記第二及び第三の概念において、式
(2)における、置換基「R1」及び「R3」、ならびに
主鎖を構成する繰り返し単位の数を表わす、「n」は、
上記式(1)における定義と同様である。
【0050】また、上記式(2)において、置換基「R
8」は、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキ
レン、すなわち、メチレン、エチレン、トリメチレン、
プロピレン、テトラメチレン、1,2−ブチレン、1,
3−ブチレンまたは2,3−ブチレン等を表わす。これ
らのうち、置換基「R8]としては、エチレン、イソプ
ロピレン及び2,3−ブチレンが好ましく、エチレン及
びプロピレンがより好ましく、エチレンが特に好まし
い。
【0051】本発明の第二及び第三の概念において、原
料として使用される式(2)の化合物は、公知の方法と
同様にして製造される。例えば、原料として使用される
式(2)の化合物は、アルキレンオキサイドを、水また
はアルコールを開始点として公知の方法で重合した後、
例えば、アルコラート化した後、塩化アルキルまたは塩
化アリールと反応させることによって、このようにして
得られたポリマーの両末端を−OR1基及び−R3基で置
換させて、得られる。この際、アルキレンオキサイドと
しては、エチレンオキサイド、トリメチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、1,
2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド
及びブチレンオキサイドが挙げられ、好ましくは、エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオ
キサイドが、より好ましくはエチレンオキサイド及びイ
ソプロピレンオキサイドが、最も好ましくはエチレンオ
キサイドがアルキレンオキサイドとして使用される。ま
た、式(2)の化合物を得るためのアルコールとして
は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル及びn−ブタノール等の炭素原子数1〜22の第1級
アルコール;炭素原子数3〜18の第2級アルコール;
t−ブタノール等の第3級アルコール;エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタ
ンジオール及びプロピレングリコール等のジオール類;
グリセリン及びトリメチロールプロパン等のトリオール
類;ならびにソルビトール等のポリオール類などが挙げ
られる。
【0052】また、このようにして得られる式(2)の
化合物は、アルキレンオキサイドを構成単位として有す
る数平均分子量が好ましくは200以上、より好ましく
は500以上、最も好ましくは1000以上の化合物で
ある。分子量の上限は、特に存在しないが、好ましくは
20,000以下である。
【0053】本発明の第二及び第三の概念において、原
料として使用される「酸基を有する単量体」ということ
ばは、酸基及び重合性二重結合をその分子内に有する単
量体を意味し、その種類は特に制限されるものではな
く、例えば、カルボン酸基(−COOH)またはスルホ
ン酸基(−SO3H)を酸基として有する単量体などが
挙げられる。これらのうち、カルボン酸基を酸基として
有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸、マレイン酸及びフマル酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を酸基として有する単量体として
は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、スルホン酸エチルメタクリレート、3−アリロキシ
−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、p−スチレン
スルホン酸、アリルスルホン酸及びビニルスルホン酸な
どが挙げられる。これらのうち、カルボン酸基を酸基と
して有する単量体が好ましく、より好ましくはアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸及びフマル酸が、特に好
ましくはアクリル酸及びメタクリル酸が使用される。
【0054】本発明の第二及び第三の概念において、重
合体(A)または(B)との反応に使用されるカチオン
性含窒素化合物は、重合体(A)または(B)と反応し
て、目的とする重合体が得られるものであれば、特に制
限されるものでなく、公知のカチオン性含窒素化合物が
使用できる。具体的には、第4級アンモニウムイオンを
有する化合物(第4級アンモニウム塩)が挙げられる。
この際、第4級アンモニウムイオンは、特に制限されな
いが、例えば、第4級アンモニウムイオンの段落(前記
[化7])で例示されたカチオンなどが挙げられる。こ
れらのうち、前記含窒素化合物のカチオンの好ましい例
示(前記[化8])と同様の第4級アンモニウムイオン
を有する化合物がカチオン性含窒素化合物として好まし
く使用される。
【0055】なお、置換基「R4」、「R5」、「R6
及び「R7」などの定義は、上記第4級アンモニウムイ
オンで述べた定義と同様であるため、ここでは省略す
る。
【0056】このようなカチオン性含窒素化合物(第4
級アンモニウム塩)としては、N,N−ジブチルイミダ
ゾリウムブロミド、N,N−ジエチルイミダゾリウムブ
ロミド、N,N−ジプロピルイミダゾリウムブロミド、
N−エチル−N−メチルイミダゾリウムブロミド、N−
エチル−N−ブチルイミダゾリウムブロミド、N−ブチ
ル−N−プロピルイミダゾリウムブロミド、N−エチル
−N−プロピルイミダゾリウムブロミド、2,4−ジエ
チルトリアゾールブロミド、2−エチル−4−プロピル
トリアゾールブロミド、2−エチル−4−ブチルトリア
ゾールブロミド、N−エチル−N−n−プロピルイミダ
ゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミ
ド、N,N−ジブチルイミダゾリウムビス(トリフルオ
ロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチルイミダ
ゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミ
ド、N,N−ジプロピルイミダゾリウムヘキサフルオロ
ホスフェート、N−エチル−N−メチルイミダゾリウム
パークロレート、N−エチル−N−ブチルイミダゾリウ
ムテトラフルオロボレート、及びN−ブチル−N−プロ
ピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニ
ル)イミドなどが挙げられる。これらのうち、N,N−
ジブチルイミダゾリウムブロミド、N−エチル−N−n
−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンス
ルホニル)イミド及びN,N−ジブチルイミダゾリウム
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好まし
く使用される。
【0057】本発明において、カチオン性含窒素化合物
(第4級アンモニウム塩)は、酸基を有する単量体と反
応して、本発明による上記「Y+」で表わされる第4級
アンモニウムイオンを形成するが、このカチオン性含窒
素化合物(第4級アンモニウム塩)の製造方法は、特に
制限されず、公知の製造方法が使用でき、例えば、第3
級アミンにアルキルハライドを反応させることによって
得られる。この反応において、第3級アミンの25℃の
水溶液におけるpKa(酸の解離定数の、底が10の負
の対数)は、好ましくは5〜12であり、より好ましく
は5〜10、最も好ましくは5〜8である。第3級アミ
ンの25℃の水溶液におけるpKaが5未満であると、
塩基性度が弱すぎて、置換基「Y+」に十分なカチオン
性を付与できず、好ましくない。これに対して、第3級
アミンの25℃の水溶液におけるpKaが12を超える
と、塩基性度が強すぎて、逆にイオン伝導度、特に低温
領域でのイオン伝導度が低下するため、やはり好ましく
ない。
【0058】上記第3級アミンとアルキルハライドとの
反応に使用される第3級アミンは、所望の第4級アンモ
ニウム塩の基本構造によって適宜決定される。また、上
記反応に使用されるアルキルハライドもまた、所望の第
4級アンモニウム塩の構造のプロトン化された部位の置
換基によって適宜決定される。アルキルハライドは、例
えば、式:ABで示され、この際、Aは、炭素原子数1
〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル、好ましくは炭素
原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル(例えば、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチ
ル)を表わし、およびBは、ハロゲン原子、例えば、フ
ッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは臭素を表わ
す。
【0059】上記第3級アミンとアルキルハライドとの
反応は、溶媒中でまたは無溶媒下で行なわれてもよい
が、反応の進行を考慮すると、溶媒中で行なわれること
が好ましい。反応を溶媒中で行なう際に使用される溶媒
としては、特に制限されず、公知の溶媒が使用される
が、原料としての第3級アミン及びアルキルハライドが
容易に溶解して反応系が均一に保たれるものが好まし
い。このような溶媒の例としては、クロロホルム、1,
2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、
ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキ
シド(DMSO)などが挙げられ、これらのうち、1,
2−ジクロロエタン及び1,1,1−トリクロロエタン
が好ましく使用される。
【0060】また、上記第3級アミンとアルキルハライ
ドとの反応条件は、反応が効率良く進行する条件であれ
ば特に制限されないが、例えば、反応温度は、通常、5
0〜200℃であり、また、反応時間は、原料の種類や
量及び他の反応条件によって異なるが、通常、2〜10
時間である。さらに、反応は、常圧下、加圧下または減
圧下で行なわれてもよいが、設備面を考慮すると、反応
を常圧下で行なうことが好ましい。
【0061】また、本発明において、上記「Y+」を提
供する第4級アンモニウム塩は、上記製造方法によれ
ば、ハロゲン原子に限定されるが、ハロゲン原子以外の
アニオンもまた使用できる。このようなアニオンとして
は、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イ
ミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、
パークロレートアニオン及びテトラフルオロボレートア
ニオンなどが挙げられる。これらのアニオンは、上記製
造方法で合成されたハロゲン原子をアニオンとして含む
第4級アンモニウム塩とこれらのアニオンを含むリチウ
ム塩を反応させることによって、第4級アンモニウム塩
中に導入することができる。
【0062】本発明の第三の概念において、式(2)の
化合物と酸基を有する単量体との重合反応において共存
させるモノエチレン性単量体は、上記式(1)における
「Z」に応じて適宜選択され、例えば、マレイン酸;フ
マル酸;無水マレイン酸;マレイン酸ジメチル及びマレ
イン酸ジエチル等のマレイン酸のアルキルエステル類;
フマル酸ジメチル及びフマル酸ジエチル等のフマル酸の
アルキルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビ
ニル等の酢酸アルケニルエステル類;スチレン等の芳香
族ビニル類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アク
ロレイン及び(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート;ならびに2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。こ
の際、モノエチレン性単量体は、所望の重合体の分岐鎖
の構造によって、上記した中から1種または2種以上を
適宜選択して、用いることができる。これらの中でも、
得られた重合体のイオン伝導度を考慮すると、マレイン
酸、フマル酸及び無水マレイン酸、特に無水マレイン酸
が好ましい。
【0063】本発明の第二及び第三の概念において、式
(2)で示される化合物と酸基を有する単量体とを、必
要であればモノエチレン性単量体の共存下で、重合する
方法は、特に制限されないが、例えば、酸基を有する単
量体の酸基がカルボキシル基(−COOH)である際に
は、特開平7−53645号公報及び特開平11−60
652号公報に記載されるのと同様の方法が使用され
る。また、例えば、酸基を有する単量体の酸基がスルホ
ン酸基(−SO3H)である際には、前記公報に記載さ
れる方法において、カルボキシル基を有するモノマーの
代わりに相当するスルホン基を有するモノマーを使用す
る以外は上記公報に記載される方法と同様の方法が使用
される。
【0064】ここで、モノエチレン性単量体を使用しか
つ酸基を有する単量体が酸基としてカルボキシル基を有
する(メタ)アクリル酸である際の、重合方法の好まし
い一実施態様を以下に示す。
【0065】重合開始剤の存在下で、実質的に無溶媒下
で、100℃以上の温度で、式(2)で示される化合物
(a)に、(メタ)アクリル酸(b1)40〜100モル
%およびモノエチレン性単量体(b2)60〜0モル%か
らなる単量体成分(b)を該化合物(a)に対して25
質量%以上の量で重合することによって、所望の重合体
を得る。なお、モノエチレン性単量体を使用しない第二
の概念においては、重合開始剤の存在下で、実質的に無
溶媒下で、100℃以上の温度で、式(2)で示される
化合物(a)に、(メタ)アクリル酸を該化合物(a)
に対して25質量%以上の量で重合することによって、
所望の重合体を得ればよい。
【0066】モノエチレン性単量体(b2)を(メタ)ア
クリル酸(b1)と共に用いる第三の概念の場合には、当
該モノエチレン性単量体(b2)の半量以上(50質量%
以上)を予め化合物(a)に混合した後、(メタ)アク
リル酸(b1)及び残部のモノエチレン性単量体(b2)か
らなる単量体成分(b)ならびに重合開始剤を添加し、
重合することが特に好ましい。
【0067】モノエチレン性単量体(b2)がカルボキシ
ル基を有する単量体である場合の、単量体成分(b)に
おける(メタ)アクリル酸(b1)及びモノエチレン性単
量体(b2)の共重合割合は、それぞれ、(b1)が40〜
100モル%、(b2)が60〜0モル%の範囲であるこ
とが好ましい。また、モノエチレン性単量体(b2)がカ
ルボキシル基を持たない単量体である場合には、共重合
割合は、(b1)が80〜100モル%、(b2)が20〜
0モル%の範囲であることが好ましい。この際、(メ
タ)アクリル酸の占める割合が80モル%より少ない
と、得られる重合体のカルボン酸密度が低く、イオン伝
導性が不十分であり、好ましくない。また、単量体(b
2)がマレイン酸、フマル酸及び無水マレイン酸等のカ
ルボキシル基を有する場合には、(メタ)アクリル酸が
40モル%より少なくても、得られる重合体のカルボン
酸密度の低下をおこさないが、マレイン酸、フマル酸及
び無水マレイン酸等の重合体への導入率が低下し、残存
する単量体が多くなるという問題がある。
【0068】本発明において、重合は、重合開始剤の存
在下で、実質的に溶媒を用いずに行われることが好まし
い。
【0069】重合開始剤としては、公知のラジカル開始
剤を使用することができるが、有機過酸化物が特に好ま
しい。有機過酸化物として例えば、メチルエチルケトン
パーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等の
ケトンパーオキサイド類;t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイ
ドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,
5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テト
ラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパ
ーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)p−ジイ
ソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパー
オキシ)p−ジイソプロピルヘキシン等のジアルキルパ
ーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t
−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート等のパーオキシエステル類;n−ブチル−
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパー
オキシケタール類;ジベンゾイルパーオキサイド等のジ
アシルパーオキサイド類などが挙げられる。これらのう
ち、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びt−ブチルパー
オキシベンゾエートが重合開始剤として好ましく使用で
きる。
【0070】また、上記重合開始剤の量は、特に制限さ
れないが、単量体成分(b)に対して、好ましくは0.
1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%で
ある。重合開始剤の量が上記範囲から外れる場合には、
化合物(a)への単量体成分(b)の重合効率が低下す
る。また、重合開始剤はあらかじめ化合物(a)に添加
しておくこともできるが、単量体成分(b)と同時に添
加することもできる。
【0071】本発明において、水またはアルコール、ト
ルエン等の有機溶剤を重合に使用すると、化合物(a)
への単量体成分(b)の重合効率が低下するため、重合
は実質的に無溶媒下で行われることが好ましい。このた
め、重合開始剤やモノマーの添加するために溶剤を使用
する場合には、その量を極力少なく、好ましくは全量に
対して5質量%以下にするか、あるいは添加後反応系か
らただちに留去することが好ましい。
【0072】また、重合温度は、100℃以上、好まし
くは110℃〜160℃である。この際、重合温度が1
00℃より低いと、化合物(a)への単量体成分(b)
の重合効率が低下する。また、重合温度が160℃より
高い温度では、化合物(a)および得られる重合体
(A)及び(B)の熱分解が起こる恐れがある。
【0073】本発明による重合において、化合物(a)
は、その一部または全量を初期に仕込むことが好まし
い。また、モノエチレン性単量体(b2)として、マレイ
ン酸、フマル酸及び無水マレイン酸からなる群より選ば
れる少なくとも一種を用いる場合には、モノエチレン性
単量体(b2)の使用量の半量以上を化合物(a)と共に
初期に仕込むことが好ましい。そして、残りの単量体と
重合開始剤を、化合物(a)を100℃以上に加熱した
後、別々に滴下する。この時、化合物(a)の一部を初
期に仕込む場合は、残りの化合物(a)は、開始剤また
は単量体と混合して滴下することもできる。
【0074】このようにして製造された重合体(A)及
び(B)の平均分子量は、特に制限されるものではない
が、おおよそ、1,000〜100,000、好ましく
は1,000〜50,000、より好ましくは1,00
0〜30,000である。
【0075】また、このようにして製造された重合体
(A)及び(B)は、さらにカチオン性含窒素化合物と
の反応に供されることによって、本発明の重合体が得ら
れる。従来は、単量体にカチオンを付与するための化合
物を混合した後、重合し、得られるポリマーをそのまま
電解質に使用していたのに対して、本発明は、このよう
に酸基部分(式(2)における「X」)を有する重合体
を予め製造した後に、この重合体とカチオン性含窒素化
合物とを反応させて−X-+を含む重合体を得、得られ
る重合体を電解質に使用することに特徴を有する。
【0076】上記重合体(A)及び(B)と、カチオン
性含窒素化合物との反応は、溶媒中でまたは無溶媒下で
行なわれてもよいが、反応の進行を考慮すると、溶媒中
で行なわれることが好ましい。反応を溶媒中で行なう際
に使用される溶媒としては、特に制限されず、公知の溶
媒が使用されるが、重合体(A)及び(B)ならびにカ
チオン性含窒素化合物が容易に溶解して反応系が均一に
保たれること;反応終了後、除去しやすい性質を有する
こと;および反応中に発生するハロゲン化水素を溶解し
にくいものが好ましい。このような溶媒の例としては、
クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、アセトニト
リル、トルエン、ジイソプロピルエーテル、メチルエチ
ルケトン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエ
タン及び酢酸エチルなどが挙げられ、これらのうち、ク
ロロホルム、アセトン、アセトニトリル及びテトラヒド
ロフランが好ましく使用される。
【0077】また、本発明において、重合体(A)及び
(B)ならびにカチオン性含窒素化合物との反応条件
は、上記反応が効率良く進行する条件であれば特に制限
されないが、例えば、反応温度は、通常、室温〜80
℃、好ましくは室温〜40℃であり、また、反応時間
は、原料の種類や量及び他の反応条件によって異なる
が、通常、2〜50時間である。さらに、反応は、常圧
下、加圧下または減圧下で行なわれてもよいが、設備面
を考慮すると、反応を常圧下で行なうことが好ましい。
【0078】このようにして得られた重合体は、−30
℃以下、より好ましくは−50℃以下のTgを有するた
め、かなり低温領域にあっても軟らかいエラストマー状
の粘稠な状態にあり、広範な温度範囲で、特に低温領域
で、優れたイオン伝導性を示すものである。したがっ
て、本発明の第二及び第三の概念の重合体は、電解質と
して、特にリチウム2次電池用の固体電解質及びゲル電
解質として好適に使用される。
【0079】第四の概念によると、本発明は、本発明の
重合体を必須成分として含む高分子固体電解質を提供す
るものである。
【0080】本発明の高分子固体電解質において、本発
明の重合体は、一種のみを単独で使用してあるいは二種
以上を混合物の形態で使用してもよい。また、本発明の
重合体の高分子固体電解質における含量は、高分子固体
電解質が広範な温度範囲で、特に低温領域で、優れたイ
オン伝導性を示すものであれば特に制限されないが、通
常、高分子固体電解質の全質量に対して、30〜95質
量%、好ましくは50〜90質量%である。この際、重
合体の含量が30質量%未満であると、重合体によるイ
オン伝導性が十分発揮されず好ましくなく、逆に、重合
体の含量が95質量%を超えると、重合体の添加により
見合う効果の向上が認められず、経済的に好ましくな
く、また、リチウム塩の添加量が極端に少なくなるた
め、やはり好ましくない。
【0081】また、本発明の高分子固体電解質は、下記
に詳細に説明するが、リチウム塩を含むものであるが、
本発明の高分子固体電解質を構成するリチウム塩として
は、従来の高分子固体電解質に用いられるものがいずれ
も可能であり、具体的には、LiF、LiBr、LiC
l、LiI、LiOH、LiSCN、LiBF4、Li
AsF6、LiClO4、LiHgI3、LiPF6、Li
SbF6及びLiNbF6等の無機リチウム塩;ならびに
CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、CF3SO3
Li、C49SO3Li、C65SO3Li、C817
3Li、(CF 3SO22NLi、(C25SO22
Li、(C49SO2)(CF3SO2)NLi、(C6
5SO2)(CF3SO2)NLi、(C817SO2)(C
3SO2)NLi、(CF3CH2OSO22NLi、
(CF3CF2CH2OSO22NLi、[(CF32
HOSO22NLi、(CF3SO23CLi及び
[(CF3263−3,5]4Li等の有機リチウム
塩などが挙げられ、これらのうち、(CF3SO22
Li及び(C25SO22NLiなどのリチウム塩が本
発明の高分子固体電解質に好ましく使用される。この
際、リチウム塩は、一種のみを単独で使用してあるいは
二種以上を混合物の形態で使用してもよい。また、リチ
ウム塩の使用量は、本発明の重合体に対して、通常、5
〜70質量%、好ましくは10〜70質量%、より好ま
しくは10〜50質量%の範囲である。この際、リチウ
ム塩の使用量が5質量%未満であると、解離したリチウ
ムイオンの数が不足し、リチウムイオン伝導度を逆に低
下させてしまい好ましくなく、逆に、リチウム塩の使用
量が70質量%を超えると、リチウム塩と重合体の相互
作用が強くなり、逆に解離したリチウムイオンの数が減
少したり、系の粘度が上昇することにより、イオン伝導
度の低下をもたらすため、やはり好ましくない。
【0082】本発明の高分子固体電解質に重合体やリチ
ウム塩に加えて添加できる成分としては、公知の添加剤
がそのまま同様にして使用できるが、高分子固体電解質
のイオン伝導性や機械的強度等の諸特性を向上できるも
のが好ましく、このようなものとしては、例えば、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチ
ロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、DMSO、
DMF、ジメトシキエタン、酢酸メチル、プロピオン酸
メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、エチルメチルカーボネート等の可塑剤;架橋アクリ
ル樹脂、PMMA樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコン樹脂、エポシキ
樹脂、ナイロン、ポリスチレン樹脂、架橋ポリスチレン
樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、
架橋ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース等からなる
有機微粒子;ならびに金属の酸化物、炭化物、窒化物、
ホウ化物等のセラミックス等からなる無機微粒子などが
挙げられる。この際、他の添加剤を使用する際の当該他
の添加剤の含量は、上記諸特性の向上が認められるよう
な量であれば特に制限されるものではなく、従来と同様
の量が使用できるが、重合体に対して、通常、2〜80
質量%、好ましくは5〜50質量%の範囲である。
【0083】本発明の上記高分子固体電解質の製造方法
において、使用される溶剤としては、特に制限されず、
公知の溶媒が使用されるが、均一な反応系が得られるよ
うに重合体ならびにリチウム塩を容易に溶解でき、かつ
最終的に溶剤を容易に除去できるものであるものが好ま
しい。また、微量成分の溶剤の残存が電池性能などの劣
化をきたさないように、用途目的に応じて、溶剤を適宜
選択することが望ましい。このような溶媒の例として
は、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、
ジオキソラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミ
ド、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、1,2−ジクロロ
エタン、ジクロロメタン、ジオキサン、酢酸エチル及び
トルエンなどが挙げられ、これらのうち、テトラヒドロ
フラン、アセトン及びクロロホルムが好ましく使用され
る。
【0084】また、本発明の高分子固体電解質の製造方
法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を同様
にして使用できるが、例えば、本発明の重合体及びリチ
ウム塩を溶剤に溶解した後、該溶剤を除去する方法が使
用できる。この際、溶剤の除去方法としては、特に制限
されるものではなく、揮散除去、蒸留及び減圧吸引など
の公知の方法が同様にして使用できる。これらのうち、
揮散除去が、溶剤の除去方法として好ましく使用でき
る。
【0085】本発明の高分子固体電解質は、イオン伝導
性に優れており、様々な用途に用いることができる。例
えば、リチウム2次電池の電解質として、そのまま固体
電解質であるいは適当な溶媒を吸収した形のゲル電解質
として有用である。加えて、本発明の高分子固体電解質
は、イオン電極の隔膜、アルミ電解コンデンサ等のキャ
パシター、センサーなどの電気化学デバイス用材料とし
ても有用である。
【0086】
【実施例】以下、本発明を実施例によりより具体的に説
明するが、本発明は下記実施例によって限定されるもの
ではない。
【0087】参考例1:重合体(A1)の合成 温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガ
ラス製反応器に、平均分子量500のジメトキシポリエ
チレングリコール57.9gを仕込んで、窒素気流下、
加熱、攪拌下で145℃まで昇温した。次に、温度を1
45〜147℃に保ちながら、アクリル酸42.1g、
ジ−t−ブチルパーオキサイド11.1gを別々に、1
時間にわたって連続的に滴下し、その後1時間攪拌を続
けて重合体(A1)を得た。このようにして得られた重
合体(A1)の平均分子量は、3,000であった。
【0088】参考例2:重合体(B1)の合成 温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガ
ラス製反応器に、平均分子量500のジメトキシポリエ
チレングリコール125g及び無水マレイン酸17.9
6gを仕込んで、窒素気流下、加熱して溶融混合させ、
攪拌下で145℃まで昇温した。次に、温度を145〜
147℃に保ちながら、アクリル酸64.62g、ジ−
t−ブチルパーオキサイド5.36gを別々に、1時間
にわたって連続的に滴下した後、無水マレイン酸17.
96gを添加し、その後1時間攪拌を続けて重合体(B
1)を得た。このようにして得られた重合体(B1)の
平均分子量は、2,150であった。
【0089】実施例1:重合体(1)の合成 還流管を取り付けた200mlの三つ口フラスコに、参
考例1で合成した重合体(A1)4g、N,N−ジブチ
ルイミダゾリウムブロミド7.23gおよびテトラヒド
ロフラン100mlを入れ、攪拌し完全に溶解させた。
溶液中にアルゴンガスのバブリングを行ったまま、室温
(20℃)で24時間反応させた。
【0090】反応終了後、エバポレーターでテトラヒド
ロフランを除去し、残渣を真空乾燥機(100℃、1m
mHg)中で15時間かけて十分に乾燥し、重合体
(1)9.3gを得た。この重合体(1)を示差走査熱
量計による熱分析を行ったところ、ガラス転移温度は−
45.5℃であった。
【0091】実施例2:重合体(2)の合成 還流管を取り付けた200mlの三つ口フラスコに、参
考例2で合成した重合体(B1)4g、N,N−ジブチ
ルイミダゾリウムブロミド5.08gおよびテトラヒド
ロフラン100mlを入れ、攪拌し完全に溶解させた。
溶液中にアルゴンガスのバブリングを行ったまま、室温
(20℃)で24時間反応させた。
【0092】反応終了後、エバポレーターでテトラヒド
ロフランを除去し、残渣を真空乾燥機(100℃、1m
mHg)中で15時間かけて十分に乾燥し、重合体
(2)7.4gを得た。この重合体(2)を示差走査熱
量計による熱分析を行ったところ、ガラス転移温度は−
52.6℃であった。
【0093】実施例3:重合体(3)の合成 還流管を取り付けた200mlの三つ口フラスコに、参
考例2で合成した重合体(B1)4g、N−エチル−N
−n−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタ
ンスルホニル)イミド6.91gおよびテトラヒドロフ
ラン100mlを入れ、攪拌し完全に溶解させた。溶液
中にアルゴンガスのバブリングを行ったまま、室温(2
0℃)で24時間反応させた。
【0094】反応終了後、エバポレーターでテトラヒド
ロフランを除去し、残渣を真空乾燥機(100℃、1m
mHg)中で15時間かけて十分に乾燥し、重合体
(3)9.1gを得た。この重合体(3)を示差走査熱
量計による熱分析を行ったところ、ガラス転移温度は−
51.4℃であった。
【0095】実施例4:高分子固体電解質(1)の合成 50mlのナスフラスコに、実施例1で合成された重合
体(1)0.5g、(CF3SO22NLi0.61g
および脱水したテトラヒドロフラン10mlを入れ、完
全に溶解させた。室温で30分間攪拌の後、テトラヒド
ロフランをエバポレーターで除去した。残渣を真空乾燥
機(100℃、1mmHg)中で15時間かけて充分乾
燥を行い、高分子固体電解質(1)を得た。この高分子
固体電解質(1)を複素インピーダンス法によりイオン
伝導度の測定を行った。その結果、30℃で7.6×1
-4S/cm、10℃で2.8×10-4S/cmという
高いイオン伝導性を示した。
【0096】実施例5:高分子固体電解質(2)の合成 50mlのナスフラスコに、実施例2で合成された重合
体(2)0.5g、(CF3SO22NLi0.46g
および脱水したアセトン10mlを入れ、完全に溶解さ
せた。室温で30分間攪拌の後、アセトンをエバポレー
ターで除去した。残渣を真空乾燥機(80℃、1mmH
g)中で12時間かけて充分乾燥を行い、高分子固体電
解質(2)を得た。この高分子固体電解質(2)を複素
インピーダンス法によりイオン伝導度の測定を行った。
その結果、30℃で6.7×10 -4S/cm、10℃で
2.9×10-4S/cmという高いイオン伝導性を示し
た。
【0097】実施例6:高分子固体電解質(3)の合成 50mlのナスフラスコに、実施例3で合成された重合
体(3)0.5g、(CF3SO22NLi0.22g
および脱水したアセトン10mlを入れ、完全に溶解さ
せた。室温で30分間攪拌の後、アセトンをエバポレー
ターで除去した。残渣を真空乾燥機(80℃、1mmH
g)中で12時間かけて充分乾燥を行い、高分子固体電
解質(3)を得た。この高分子固体電解質(3)を複素
インピーダンス法によりイオン伝導度の測定を行った。
その結果、30℃で8.1×10 -4S/cm、10℃で
4.2×10-4S/cmという高いイオン伝導性を示し
た。
【0098】
【発明の効果】上述したように、本発明は、(ア)上記
式(1)で示される重合体;(イ)上記式(2)で示さ
れる化合物及び酸基を有する単量体を重合することによ
って重合体(A)を得、得られた重合体(A)をカチオ
ン性含窒素化合物と反応することによって得られる重合
体;(ウ)上記式(2)で示される化合物及び酸基を有
する単量体をモノエチレン性単量体の共存下で重合する
ことによって重合体(B)を得、得られた重合体(B)
をカチオン性含窒素化合物と反応することによって得ら
れる重合体;およびこのような重合体を必須成分として
含む高分子固体電解質に関するものである。本発明の重
合体は、低温、特に10℃以下の低温領域でも高いイオ
ン伝導性を維持することができるため、このような重合
体を必須成分として含む高分子固体電解質もまた低温領
域でも高いイオン伝導性を発揮できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 潘 金星 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4J026 AB20 AB21 BA24 BA25 BA33 BA34 DB15 EA08 4J100 BC65H BC73H CA31 GC01 HA44 HC43 JA15 5G301 CA30 CD01 5H026 AA06 HH00 5H029 AM01 AM16 HJ02 HJ11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1): 【化1】 ただし、R1及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数
    1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素原
    子数6〜10のアリール基を表わし;R2は、炭素原子
    数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン残基を表わ
    し;X-は、酸の脱プロトン残基を表わし;Y+は、含窒
    素化合物のカチオンを表わし;Zは、モノエチレン性不
    飽和化合物の残基を表わし;mは、主鎖を構成する構成
    単位:−(R2O)−に結合する分岐鎖の平均付加モル
    数を表わし、2〜20であり;nは、3〜500であ
    り;およびpは、0〜2である、で示される重合体。
  2. 【請求項2】 式(1)において、Y+は第4級アンモ
    ニウムイオンを表わす、請求項1に記載の重合体。
  3. 【請求項3】 下記式(2): 【化2】 ただし、R1及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数
    1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素原
    子数6〜10のアリール基を表わし;R8は、炭素原子
    数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレンを表わし;お
    よびnは、3〜500である、で示される化合物及び酸
    基を有する単量体を重合することによって得られた重合
    体(A)をカチオン性含窒素化合物と反応することによ
    って得られる重合体。
  4. 【請求項4】 下記式(2): 【化3】 ただし、R1及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数
    1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素原
    子数6〜10のアリール基を表わし;R8は、炭素原子
    数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレンを表わし;お
    よびnは、3〜500である、で示される化合物及び酸
    基を有する単量体をモノエチレン性単量体の共存下で重
    合することによって得られた重合体(B)をカチオン性
    含窒素化合物と反応することによって得られる重合体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重
    合体を必須成分として含む高分子固体電解質。
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