JP2003012721A - 高分子固体電解質 - Google Patents

高分子固体電解質

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JP2003012721A JP2001195502A JP2001195502A JP2003012721A JP 2003012721 A JP2003012721 A JP 2003012721A JP 2001195502 A JP2001195502 A JP 2001195502A JP 2001195502 A JP2001195502 A JP 2001195502A JP 2003012721 A JP2003012721 A JP 2003012721A
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carbon atoms
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acid
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Minoru Aoki
稔 青木
Masaji Ito
正自 伊藤
Kinsei Han
金星 潘
Keiichiro Mizuta
圭一郎 水田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いイオン伝導性を示し、金属リチウムに対
する安定性に優れる高分子固体電解質を提供する。 【解決手段】 下記式(1): 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のア
ルキレン残基を表わし、X-は酸の脱プロトン残基を表
わし、Y+は含窒素化合物のカチオンを表わす)で示さ
れる構成単位を含む重合体であって、該重合体を高分子
固体電解質として金属リチウムに対する安定性試験を1
00回繰り返した時に、1回目の電位に対する100回
目の電位の比が1.2倍以下であることを特徴とする重
合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子固体電解質
およびこれに使用される重合体に関し、特に、本発明
は、低温でも優れたイオン伝導性を有し、金属リチウム
に対する安定性にも優れる高分子固体電解質およびこれ
に使用される重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料電池等の電解質材料として、
無機化合物を混合したものを高温に加熱溶融させたもの
が知られているが、一般的に無機化合物を混合した系で
得られる溶融塩は、低融点と言われているものでも30
0℃程度であり、実用電池として利用するためには、そ
の融点を飛躍的に低下させることが課題とされていた。
【0003】そこで、室温でも充分なイオン伝導度を発
現する試みが行われており、有機化合物の塩に無機塩を
添加して得られる室温溶融塩の開発が精力的に行われて
きた。例えば、US−A−4,463,072号公報、
US−A−4,463,071号公報及び特開昭60−
136180号公報には、アルミニウムハロゲン化物と
1,3−ジアルキルイミダゾールハライドあるいは1,
2,3−トリアルキルイミダゾールハライドの混合物を
用いた電解質が開示されている。しかしながら、前記の
化合物を用いた電解質は、室温で溶融し高いイオン伝導
性を示すものの、アルミニウムハロゲン化物が、僅かな
水分の混入によって分解する難点があり、また溶融塩の
相状態が温度変化に対して不安定であるという問題があ
った。
【0004】上記問題を克服するために、1,3−ジア
ルキルイミダゾリウムハライド、1,2,3−トリアル
キルイミダゾリウムハライドから選ばれるイミダゾリウ
ム誘導体とモノマー類とを反応させて溶融塩モノマーと
し、これを重合させて得られる溶融塩ポリマーを必須成
分として含む高分子固体電解質が特開平10−8382
1号公報で、さらには、高分子酸類、あるいは多孔性高
分子固体または高分子薄膜に負電荷を導入したポリアニ
オン樹脂に、イミダゾリウム塩誘導体を含浸させた高分
子固体電解質がUS−A−6,025,457号公報
で、報告されている。
【0005】しかしながら、上記公報に開示される高分
子固体電解質は、室温(30℃付近)でのイオン伝導性
は比較的高いものの、低温領域でのイオン伝導性は著し
く低下してしまう。これでは、これを用いた燃料電池や
リチウム2次電池の適用範囲が非常に狭くなってしま
う。また、高分子固体電解質は、従来のリチウムイオン
2次電池と違って負極に金属リチウムを用いることが出
来る可能性があることが特徴の一つであるが、その特徴
を生かすためには、金属リチウムに対する安定性が重要
な因子となる。したがって金属リチウムに対する安定性
についても改善が強く所望されている。金属リチウムに
対する安定性が悪いということは、その高分子固体電解
質を用いて構成される電池の耐久期間が短いことを意味
するからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記諸事情
を鑑みてなされたものであり、優れたイオン伝導性を有
し、かつ、金属リチウムに対する安定性に優れる高分子
固体電解質を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、すでに、
エチレンオキサイドを80モル%以上構成単位として有
する数平均分子量200以上のポリエーテル化合物
(A)に、(メタ)アクリル酸(b1)40〜100モ
ル%および共重合可能な他のモノエチレン性不飽和単量
体(b2)0〜60モル%からなる単量体成分(B)を
ポリエーテル化合物(A)に対して25質量%以上の量
でグラフト重合して水溶性グラフト重合体を得るに際
し、ポリエーテル化合物(A)に単量体成分(B)を重
合開始剤の存在下で実質的に溶媒を用いず、100℃以
上の温度でグラフト重合反応させることにより、(メ
タ)アクリル酸を主体とするモノエチレン性不飽和単量
体が、高い含有量でポリエーテルにグラフトされ、かつ
グラフト率が高い水溶性グラフト重合体を製造でき、こ
のようにして製造される水溶性グラフト重合体は、水に
難溶性の無機物または有機物の分散剤として、スケール
防止の水処理剤、染色助剤や繊維の帯電防止助剤等の繊
維処理剤に、さらには架橋剤で架橋することで吸水性樹
脂として使用することができることを知得した(EP−
A−639,592号公報)。
【0008】本発明者らは、さらに上記水溶性グラフト
重合体をはじめとして種々の重合体を用いて、諸目的を
達成すべく鋭意検討を行った結果、上記重合体を特定の
含窒素化合物と反応させることによって得られる重合体
を高分子固体電解質に使用すると、得られた高分子固体
電解質は優れたイオン伝導度を有し、従来の高分子固体
電解質のような低温領域におけるイオン伝導度の低下が
見られず、金属リチウムに対する安定性も優れることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、上記諸目的は、下記式(1):
【0010】
【化5】
【0011】(式中、Rは炭素原子数1〜4の直鎖また
は分岐鎖のアルキレン残基を表わし、X-は酸の脱プロ
トン残基を表わし、Y+は含窒素化合物のカチオンを表
わす)で示される構成単位を含む重合体であって、該重
合体を高分子固体電解質として金属リチウムに対する安
定性試験を100回繰り返した時に、1回目の電位に対
する100回目の電位の比が1.2倍以下であることを
特徴とする重合体によって達成される。
【0012】前記重合体は下記式(2):
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R、X-、Y+は前記定義通りであ
り、Zはモノエチレン性不飽和化合物の残基を表わし、
mは主鎖を構成する構成単位:−(RO)−に結合する
分岐鎖構成単位の平均付加モル数を表わし、2〜20で
あり、nは3〜200000であり、pは0〜2であ
り、R1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、カ
ルボン酸基もしくはスルホン酸基を有する基、炭素原子
数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素
原子数6〜10のアリール基を表わす)で示されること
が好ましい。
【0015】また、上記諸目的は、下記式(3):
【0016】
【化7】
【0017】(式中、R1およびR3は、それぞれ独立し
て、水素原子、カルボン酸基もしくはスルホン酸基を有
する基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアル
キル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表わ
し、R2は炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアル
キレンを表わし、nは501〜200000である)で
示される化合物に酸基を有する単量体を重合させること
によって得られた重合体(A)を、カチオン性含窒素化
合物と反応することによって得られる重合体によって達
成される。
【0018】また、上記諸目的は、下記式(3):
【0019】
【化8】
【0020】(式中、R1およびR3は、それぞれ独立し
て、水素原子、カルボン酸基もしくはスルホン酸基を有
する基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアル
キル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表わ
し、R2は炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアル
キレンを表わし、nは3〜200000である)で示さ
れる化合物に酸基を有する単量体をモノエチレン性単量
体の共存下で重合させることによって得られた重合体
(B)を、カチオン性含窒素化合物と反応することによ
って得られる重合体であって、該重合体を高分子固体電
解質として金属リチウムに対する安定性試験を100回
繰り返した時に、1回目の電位に対する100回目の電
位の比が1.2倍以下であることを特徴とする重合体に
よって達成される。
【0021】さらに前記諸目的は、前記記載の重合体を
必須成分として含む高分子固体電解質によって達成され
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】第一の概念によると、本発明は、前記式
(1)で示される構成単位を含む重合体であって、該重
合体を高分子固体電解質として金属リチウムに対する安
定性試験を100回繰り返した時に、1回目の電位に対
する100回目の電位の比が1.2倍以下であることを
特徴とする重合体によって達成される。上記構成を有す
る重合体は、10℃以下という低温領域においても、イ
オン伝導性を有意に低下させないため、低温での使用が
要求される高分子固体電解質の材料として好適である。
【0024】上記式(1)において、「R」は、炭素原
子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン残基、すな
わち、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH
2−)、トリメチレン(−CH2CH2CH2−)、プロピ
レン(−CH(CH3)CH 2−)、テトラメチレン(−
CH2CH2CH2CH2−)、1,2−ブチレン(−CH
2CH(CH2CH3)−)、1,3−ブチレン(−CH2
CH2CH(CH3)−)または2,3−ブチレン(−C
H(CH3)CH(CH3)−)等のアルキレンの残基を
表わす。なお、本明細書において、「アルキレン残基」
ということばは、上記したアルキレンから水素原子1個
を除いた基を意味する。また、本発明によるアルキレン
残基において、上記したアルキレンから1個除かれる水
素原子の位置は、特に制限されず、所望の物性や製造の
し易さなどを考慮して適宜選択される。これらのうち、
「R]としては、エチレン残基、イソプロピレン残基及
び2,3−ブチレン残基が好ましく、エチレン残基及び
プロピレン残基がより好ましく、エチレン残基が特に好
ましい。
【0025】また、第一の概念に係る重合体は、上記式
(1)に示されるように、主鎖を構成する構成単位(−
RO)に結合した分岐鎖において、「X-」で表される
酸の脱プロトン残基を有し、この脱プロトン残基は、含
窒素化合物のカチオン「Y+」とイオン結合している。
ここで、「X-」は酸の脱プロトン残基を表わし、例え
ば、−COO-または−SO3 -を表わす。また、「Y+
は、含窒素化合物のカチオンを表わす。含窒素化合物の
カチオンとしては、第4級アンモニウムイオンが好まし
い。
【0026】「X-」は、主鎖の構成要素(−RO−)
に対して分岐鎖として結合させる化合物に応じて決定さ
れ、「X-」がCOO-となる例として、アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびフマル酸な
どが挙げられる。また、「X -」が−SO3 -となる例と
して、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸、スルホン酸エチルメタクリレート、3−アリロキ
シ−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、p−スチレ
ンスルホン酸、アリルスルホン酸およびビニルスルホン
酸などが挙げられる。「X-」は−COO-であることが
好ましく、この中では、分岐鎖構成化合物はアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸またはフマル酸であるこ
とがより好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸が特
に好ましい。
【0027】分岐鎖として結合させる構成単位は、「X
-」を分岐鎖に含ませる際に用いられる化合物によって
決定され、例えばアクリル酸を用いた場合には、分岐鎖
の構成単位は「−CH(COO-+)CH2−」とな
る。
【0028】「Y+」として使用される第4級アンモニ
ウムイオンは、窒素原子に4つのアルキル基が結合して
なる構造でもよく、環状構造を有するものであってもよ
い。環構造を有するものとしては、イミダゾール環、ト
リアゾール環、ピロリジン環、ピリジン環、シクロヘキ
サン環及びベンゼン環またはこれらにハロゲン原子若し
くは置換基を有する環構造が挙げられる。このような場
合に使用できる置換基としては、炭素原子数1〜10、
好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチ
ル、sec−ブチル及びtert−ブチル、シクロプロ
ピル及びシクロブチルなど;ならびにハロゲン原子、例
えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子などが挙げ
られる。これらのうち、好ましくはフッ素原子が使用で
きる。具体的には、下記式で示されるカチオンが挙げら
れる。
【0029】
【化9】
【0030】これらのうち、下記式で示される第4級ア
ンモニウムイオンが本発明において特に好ましく使用さ
れる。
【0031】
【化10】
【0032】上記式において、R4、R5、R6及びR
7は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10の直鎖ま
たは分岐鎖のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、シクロプロピル、イソプロピル、n−ブチル、
イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シク
ロブチル、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチ
ル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘ
キシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、及びデシルなどを表わす。好ましくは、「R4」、
「R5」、「R6」及び「R7」は、それぞれ独立して、
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、即
ち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブ
チルを表わす。
【0033】第一の概念のより具体的な構成としては、
前記式(2)で示される化合物が挙げられる。
【0034】式(2)において、「Z」は、モノエチレ
ン性不飽和化合物の残基を表わす。なお、該「モノエチ
レン性不飽和化合物の残基」は、単一または複数のモノ
エチレン性不飽和化合物成分を重合して得られるモノエ
チレン性不飽和化合物の残基を含む概念である。本発明
において使用されるモノエチレン性不飽和化合物の残基
としては、具体的には、マレイン酸の残基;フマル酸の
残基;無水マレイン酸の残基;マレイン酸ジメチル及び
マレイン酸ジエチル等のマレイン酸のアルキルエステル
類の残基;フマル酸ジメチル及びフマル酸ジエチル等の
フマル酸のアルキルエステル類の残基;メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレ
ート等のアルキル(メタ)アクリレートの残基;ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートの残基;酢酸ビニル等の酢酸アルケニ
ルエステル類の残基;スチレン等の芳香族ビニル類の残
基;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン
及び(メタ)アクリルアミドの残基;ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル
(メタ)アクリレートの残基;ならびに2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸の残基などが挙げ
られる。これらのうち、生成する重合体のイオン伝導性
および合成の容易さを考慮すると、「Z」は、マレイン
酸、フマル酸及び無水マレイン酸のいずれかの残基であ
ることが好ましく、特に無水マレイン酸の残基であるこ
とが好ましい。なお、本明細書において、「モノエチレ
ン性不飽和化合物の残基」とは、上記したモノエチレン
性不飽和化合物の不飽和二重結合性炭素原子に直接結合
する水素原子1個を除いて生じる一価の基を意味する。
【0035】上記式(2)において、分岐鎖中の1つの
炭素に結合した「Z」の数を表わす数pは、本発明の効
果を高めるためには0〜2であることが好ましい。
【0036】主鎖の各繰り返し単位に結合する分岐鎖の
繰り返し単位中の、−X-+及び−(Z)pの分岐鎖の
結合順は、上記式(2)に記載されるものに制限され
ず、主鎖側から、−(Z)p及び−X-+の順であって
もよく、また、「Z」が一つの分岐鎖を構成する繰り返
し単位内に複数個存在する(即ち、式(2)におけるp
が2である)際にも、−X-+及び−(Z)pの分岐鎖
の結合順は、特に制限されることはないが、好ましく
は、主鎖側から、−X-+及び−(Z)pの順である。
【0037】主鎖を構成する構成単位(−(RO)−)
1モルあたりに結合する、−X-+及び−(Z)pを含
む分岐鎖(本明細書中では、単に「分岐鎖」とも称す
る)の平均付加モル数を表わすmは、イオン伝導性を考
慮すると、2〜20が好ましく、3〜10がより好まし
い。この際、−X-+及び−(Z)pを含む分岐鎖の繰
り返し単位は、同一の繰り返し単位からなるものであっ
てもまたは異なる繰り返し単位からなるものであっても
よく、後者の場合には、その繰り返し単位はブロック状
であってもまたはランダム状であってもよい。
【0038】さらに、上記式(2)において、nは、主
鎖を構成する構成単位:−(RO)−の繰り返し数を表
わす数である。一般にnが大きいほど電極に用いられる
リチウムに対する安定性が向上する。この観点からは、
nは3以上であることが好ましく、100以上であるこ
とがより好ましく、501以上であることが特に好まし
い。一方、nが大きすぎると重合体が硬直し、イオン伝
導性の低下を招来する恐れがある。このため、2000
00以下であることが好ましく、50000以下である
ことがより好ましい。この際、主鎖の各繰り返し単位に
結合する分岐鎖は、同一の分岐鎖が各繰り返し単位に結
合していても、あるいは繰り返し単位ごとに結合する分
岐鎖が異なるものであってもよいが、反応の簡便さを考
慮すると、同一の分岐鎖が各繰り返し単位に結合するこ
とが好ましい。また、主鎖の各繰り返し単位に結合する
分岐鎖は、すべての主鎖を構成する−(RO)−に結合
する必要はなく、イオン伝導性等の所望の特性などに応
じて適宜選択することができる。該分岐鎖は、主鎖を構
成する−(RO)−の全繰り返し単位(全R数)の、3
0〜100%、好ましくは60〜100%の割合で主鎖
を構成する−(RO)−に結合する。また、主鎖を構成
する−(RO)−の繰り返し単位は、同一の繰り返し単
位からなるものであっても、異なる繰り返し単位からな
るものであってもよく、後者の場合には、その繰り返し
単位はブロック状であってもまたはランダム状であって
もよい。
【0039】また、式(2)中、「R1」及び「R3」で
表される重合体末端は、それぞれ独立して、水素原子、
カルボン酸基若しくはスルホン酸基を有する基、炭素原
子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭
素原子数6〜10のアリール基であることが好ましい。
この際、「R1」及び「R3」は、同一であってもあるい
は異なるものであってもよい。「R1」および/または
「R3」がカルボン酸基(−COOH)を有する基を表
わす際の基としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ
酪酸、吉草酸、イソ吉草酸およびピバル酸等のカルボキ
シル化合物の炭素原子に直接結合した水素原子1個を除
いて生じる一価の基などが挙げられる。上記したカルボ
キシル化合物から1個除かれる水素原子の位置は、特に
制限されず、所望の物性や製造のし易さなどを考慮して
適宜選択される。また、「R1」および/または「R3
がスルホン酸基(−SO3H)を有する基を表わす際の
基としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及び
プロパンスルホン酸等の化合物の炭素原子に直接結合し
た水素原子1個を除いて生じる一価の基などが挙げられ
る。上記スルホン酸基を有する化合物から1個除かれる
水素原子の位置もまた、特に制限されず、所望の物性や
製造のし易さなどを考慮して適宜選択される。「R1
および/または「R3」が炭素原子数1〜4の直鎖また
は分岐鎖のアルキル基を表わす際のアルキル基として
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブ
チル、ならびに、シクロプロピルおよびシクロブチルな
どが挙げられる。また、「R1」および/または「R3
が炭素原子数6〜10のアリール基を表わす際のアリー
ル基としては、フェニル、o−、m−及びp−トリル、
2,3−及び2,4−キシリル、メシチル、o−、m−
及びp−クメニル、ベンジル、α−メチルベンジル、フ
ェネチル、スチリル、シンナミル、及びナフチルなどが
挙げられる。これらのうち、水素原子、メチル、エチ
ル、ブチル、フェニル、酢酸の炭素原子に直接結合した
水素原子1個を除いて生じる一価の基及びメタンスルホ
ン酸の炭素原子に直接結合した水素原子1個を除いて生
じる一価の基、より好ましくは水素原子、メチル、エチ
ル、フェニル及び酢酸の炭素原子に直接結合した水素原
子1個を除いて生じる一価の基が、「R1」および/ま
たは「R3」としてより好ましい。
【0040】本発明の重合体は、−30℃以下、より好
ましくは−50℃以下のガラス転移温度(本明細書で
は、単に「Tg」と称することもある)を有することが
好ましい。このようにガラス転移温度の低い重合体を、
例えば、電解質に使用することによって、重合体はかな
り低温領域にあっても軟らかいエラストマー状の粘稠な
状態にあるため、このような重合体を含む電解質は低温
でもイオン伝導度の低下を有効に防止することができ
る。これに対して、重合体のガラス転移温度が−30℃
を超えると、このような重合体を含む電解質は、常温で
は高いイオン伝導度を示していても、低温領域で使用さ
れるとイオン伝導度が急激に低下してしまう恐れがあ
る。
【0041】得られた重合体は、高分子電解質としての
性能を考慮すると、高分子固体電解質として金属リチウ
ムに対する安定性試験を100回繰り返した時に、1回
目の電位に対する100回目の電位の比が1.2倍以下
であることが好ましく、1.1倍以下であることがより
好ましく、1.05倍以下であることが特に好ましい。
【0042】本発明において、金属リチウムに対する安
定性試験とは、重合体を高分子電解質として用いた際の
金属リチウムに対する安定性を評価する試験をいい、以
下の方法によって評価される。まず、金属リチウムを電
極に用いた対称セル(Li/重合体/Li)を作製す
る。この際使用される金属リチウムは、一方が直径14
mm×厚さ0.5mmの大きさの円盤状であり、他方が
直径12mm×厚さ0.5mmの大きさの円盤状であ
り、また、重合体は、直径15mm×厚さ0.1mmの
大きさの円盤状である。この対称セルに一定の電流密度
(0.1mA/hcm2)で電流を60分間流し、20
分間休止した後に、逆方向から同じ一定の電流密度の電
流を60分間流し、このときの電極間の電位を計測す
る。これを1サイクルとして100サイクルまで同じ試
験を繰り返す。このときの電位の変化から、重合体の金
属リチウムに対する安定性を評価できる。従って、1回
目(1サイクル目)の電位に対する100回目(100
サイクル目)の電位の比が低いほど、金属リチウムに対
する安定性が高いことを意味する。例えば、1回目の電
位が1V、100回目の電位が1.1Vであるとき、1
回目の電位に対する100回目の電位の比が1.1倍と
評価する。金属リチウムに対する安定性試験は、株式会
社計測器センター製BS2500−05R1などの公知
の充放電試験機を用いて行うことができる。
【0043】第二の概念によると、本発明は、前記式
(3)で示される化合物に酸基を有する単量体を重合さ
せることによって得られた重合体(A)をカチオン性含
窒素化合物と反応することによって得られる重合体を提
供するものである。上記第二の概念による反応は、上記
式(2)において、pが0である際の重合体の製造に好
適に使用できる。
【0044】また、第三の概念によると、本発明は、前
記式(3)で示される化合物に酸基を有する単量体をモ
ノエチレン性単量体の共存下で重合させることによって
得られた重合体(B)をカチオン性含窒素化合物と反応
することによって得られる重合体を提供するものであ
る。上記第三の概念による反応は、上記式(1)におい
て、pが1または2である際の重合体の製造に好適に使
用できる。
【0045】上記第二及び第三の概念において、式
(3)における、「R1」及び「R3」、ならびに主鎖を
構成する繰り返し単位の数を表わす「n」は、上記第一
の概念における定義と同様である。
【0046】また、上記式(3)において、「R2
は、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレ
ン、すなわち、メチレン、エチレン、トリメチレン、プ
ロピレン、テトラメチレン、1,2−ブチレン、1,3
−ブチレンまたは2,3−ブチレン等を表わす。これら
のうち、「R2」としては、エチレン、イソプロピレン
及び2,3−ブチレンが好ましく、エチレン及びプロピ
レンがより好ましく、エチレンが特に好ましい。
【0047】本発明の第二及び第三の概念において、原
料として使用される式(3)の化合物は、公知の方法と
同様にして製造される。例えば、原料として使用される
式(3)の化合物は、アルキレンオキサイドを、水また
はアルコールを開始剤として公知の方法で重合した後、
例えば、アルコラート化した後、塩化アルキルまたは塩
化アリールと反応させることによって、このようにして
得られたポリマーの両末端を−OR1基及び−R3基で置
換させて得られる。この際、アルキレンオキサイドとし
ては、エチレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、1,2−
ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド及び
ブチレンオキサイドが挙げられ、好ましくは、エチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサ
イドが、より好ましくはエチレンオキサイド及びイソプ
ロピレンオキサイドが、最も好ましくはエチレンオキサ
イドがアルキレンオキサイドとして使用される。また、
式(3)の化合物を得るためのアルコールとしては、例
えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及び
n−ブタノール等の炭素原子数1〜22の第1級アルコ
ール;炭素原子数3〜18の第2級アルコール;t−ブ
タノール等の第3級アルコール;エチレングリコール、
ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオ
ール及びプロピレングリコール等のジオール類;グリセ
リン及びトリメチロールプロパン等のトリオール類;な
らびにソルビトール等のポリオール類などが挙げられ
る。
【0048】また、このようにして得られる式(3)の
化合物は、アルキレンオキサイドを構成単位として有す
る数平均分子量が好ましくは200以上、より好ましく
は5000以上の化合物である。分子量の上限は、特に
存在しないが、好ましくは8000000以下である。
【0049】本発明の第二及び第三の概念において、原
料として使用される「酸基を有する単量体」という言葉
は、酸基及び重合性二重結合をその分子内に有する単量
体を意味し、その種類は特に制限されるものではなく、
例えば、カルボン酸基(−COOH)またはスルホン酸
基(−SO3H)を酸基として有する単量体などが挙げ
られる。これらのうち、カルボン酸基を酸基として有す
る単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸、マレイン酸及びフマル酸などが挙げられる。ま
た、スルホン酸基を酸基として有する単量体としては、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
スルホン酸エチルメタクリレート、3−アリロキシ−2
−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、p−スチレンスル
ホン酸、アリルスルホン酸及びビニルスルホン酸などが
挙げられる。これらのうち、カルボン酸基を酸基として
有する単量体が好ましく、より好ましくはアクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸及びフマル酸が、特に好まし
くはアクリル酸及びメタクリル酸が使用される。
【0050】本発明の第二及び第三の概念において、重
合体(A)または(B)との反応に使用されるカチオン
性含窒素化合物は、重合体(A)または(B)と反応し
て、目的とする重合体が得られるものであれば、特に制
限されるものでなく、公知のカチオン性含窒素化合物が
使用できる。具体的には、第4級アンモニウムイオンを
有する化合物(第4級アンモニウム塩)が挙げられる。
この際、第4級アンモニウムイオンは、特に制限されな
いが、例えば、下記式で示されるカチオンが挙げられ
る。
【0051】
【化11】
【0052】これらのうち、下記式で示される第4級ア
ンモニウムイオンを有する化合物がカチオン性含窒素化
合物として好ましく使用される。
【0053】
【化12】
【0054】なお、「R4」、「R5」、「R6」及び
「R7」などの定義は、上記第4級アンモニウムイオン
で述べた定義と同様であるため、ここでは省略する。
【0055】このようなカチオン性含窒素化合物(第4
級アンモニウム塩)としては、N,N−ジブチルイミダ
ゾリウムブロミド、N,N−ジエチルイミダゾリウムブ
ロミド、N,N−ジプロピルイミダゾリウムブロミド、
N−エチル−N−メチルイミダゾリウムブロミド、N−
エチル−N−ブチルイミダゾリウムブロミド、N−ブチ
ル−N−プロピルイミダゾリウムブロミド、N−エチル
−N−プロピルイミダゾリウムブロミド、2,4−ジエ
チルトリアゾールブロミド、2−エチル−4−プロピル
トリアゾールブロミド、2−エチル−4−ブチルトリア
ゾールブロミド、1−メチル−2−エチル−3−n−ブ
チルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニ
ル)イミド、N−エチル−N−n−プロピルイミダゾリ
ウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
N,N−ジブチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメ
タンスルホニル)イミド、N,N−ジエチルイミダゾリ
ウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
N,N−ジプロピルイミダゾリウムヘキサフルオロホス
フェート、N−エチル−N−メチルイミダゾリウムパー
クロレート、N−エチル−N−ブチルイミダゾリウムテ
トラフルオロボレート、及びN−ブチル−N−プロピル
イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)
イミド、N−メチル−N−n−ブチルピロリジウムビス
(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げら
れる。これらのうち、1−メチル−2−エチル−3−n
−ブチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスル
ホニル)イミド、N,N−ジブチルイミダゾリウムブロ
ミド、N−エチル−N−n−プロピルイミダゾリウムビ
ス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチ
ル−N−n−ブチルピロリジウムビス(トリフルオロメ
タンスルホニル)イミド及びN,N−ジブチルイミダゾ
リウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが
好ましく使用される。
【0056】本発明において、カチオン性含窒素化合物
(第4級アンモニウム塩)は、酸基を有する単量体と反
応して、本発明による上記「Y+」で表わされる第4級
アンモニウムイオンを形成するが、このカチオン性含窒
素化合物(第4級アンモニウム塩)の製造方法は、特に
制限されず、公知の製造方法が使用でき、例えば、第3
級アミンにアルキルハライドを反応させることによって
得られる。この反応において、第3級アミンの25℃の
水溶液におけるpKa(酸の解離定数の、底が10の負
の対数)は、好ましくは5〜12であり、より好ましく
は5〜10、最も好ましくは5〜8である。第3級アミ
ンの25℃の水溶液におけるpKaが5未満であると、
塩基性度が弱すぎて、「Y+」に十分なカチオン性を付
与できず、好ましくない。これに対して、第3級アミン
の25℃の水溶液におけるpKaが12を超えると、塩
基性度が強すぎて、逆にイオン伝導度、特に低温領域で
のイオン伝導度が低下するため、やはり好ましくない。
【0057】上記第3級アミンとアルキルハライドとの
反応に使用される第3級アミンは、所望の第4級アンモ
ニウム塩の基本構造によって適宜決定される。また、上
記反応に使用されるアルキルハライドもまた、所望の第
4級アンモニウム塩の構造のプロトン化された部位の置
換基によって適宜決定される。アルキルハライドは、例
えば、式:ABで示され、この際、Aは、炭素原子数1
〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル、好ましくは炭素
原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル(例えば、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチ
ル)を表わし、およびBは、ハロゲン原子、例えば、フ
ッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは臭素を表わ
す。
【0058】上記第3級アミンとアルキルハライドとの
反応は、溶媒中でまたは無溶媒下で行ってもよいが、反
応の進行を考慮すると、溶媒中で行なわれることが好ま
しい。反応を溶媒中で行なう際に使用される溶媒として
は、特に制限されず、公知の溶媒が使用されるが、原料
としての第3級アミン及びアルキルハライドが容易に溶
解して反応系が均一に保たれるものが好ましい。このよ
うな溶媒の例としては、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DM
SO)などが挙げられ、これらのうち、1,2−ジクロ
ロエタン及び1,1,1−トリクロロエタンが好ましく
使用される。
【0059】また、上記第3級アミンとアルキルハライ
ドとの反応条件は、反応が効率良く進行する条件であれ
ば特に制限されないが、例えば、反応温度は、通常、5
0〜200℃であり、また、反応時間は、原料の種類や
量及び他の反応条件によって異なるが、通常、2〜10
時間である。さらに、反応は、常圧下、加圧下または減
圧下で行なわれてもよいが、設備面を考慮すると、反応
を常圧下で行なうことが好ましい。
【0060】また、本発明において、上記「Y+」を提
供する第4級アンモニウム塩は、上記製造方法によれ
ば、ハロゲン原子に限定されるが、ハロゲン原子以外の
アニオンもまた使用できる。このようなアニオンとして
は、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イ
ミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、
パークロレートアニオン及びテトラフルオロボレートア
ニオンなどが挙げられる。これらのアニオンは、上記製
造方法で合成されたハロゲン原子をアニオンとして含む
第4級アンモニウム塩とこれらのアニオンを含むリチウ
ム塩を反応させることによって、第4級アンモニウム塩
中に導入することができる。
【0061】本発明の第三の概念において、式(3)の
化合物への酸基を有する単量体の重合反応において共存
させるモノエチレン性単量体は、上記式(2)における
「Z」に応じて適宜選択され、例えば、マレイン酸;フ
マル酸;無水マレイン酸;マレイン酸ジメチル及びマレ
イン酸ジエチル等のマレイン酸のアルキルエステル類;
フマル酸ジメチル及びフマル酸ジエチル等のフマル酸の
アルキルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビ
ニル等の酢酸アルケニルエステル類;スチレン等の芳香
族ビニル類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アク
ロレイン及び(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート;ならびに2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。こ
の際、モノエチレン性単量体は、所望の重合体の分岐鎖
の構造によって、上記した中から1種または2種以上を
適宜選択して、用いることができる。これらの中でも、
得られた重合体のイオン伝導度を考慮すると、マレイン
酸、フマル酸及び無水マレイン酸、特に無水マレイン酸
が好ましい。
【0062】本発明の第二及び第三の概念において、式
(3)で示される化合物に酸基を有する単量体を、必要
であればモノエチレン性単量体の共存下で、重合させる
方法は、特に制限されないが、例えば、酸基を有する単
量体の酸基がカルボキシル基(−COOH)である際に
は、EP−A−639,592号公報及びEP−A−8
50,963号公報に記載されるのと同様の方法が使用
される。また、例えば、酸基を有する単量体の酸基がス
ルホン酸基(−SO3H)である際には、前記公報に記
載される方法において、カルボキシル基を有するモノマ
ーの代わりに相当するスルホン基を有するモノマーを使
用する以外は上記公報に記載される方法と同様の方法が
使用される。
【0063】ここで、モノエチレン性単量体を使用しか
つ酸基を有する単量体が酸基としてカルボキシル基を有
する(メタ)アクリル酸である際の、重合方法の好まし
い一実施態様を以下に示す。
【0064】重合開始剤の存在下で、実質的に無溶媒下
で、100℃以上の温度で、式(3)で示される化合物
(a)に、(メタ)アクリル酸(b1)40〜100モ
ル%およびモノエチレン性単量体(b2)60〜0モル
%からなる単量体成分(b)を該化合物(a)に対して
25質量%以上の量で重合することによって、所望の重
合体を得る。なお、モノエチレン性単量体を使用しない
第二の概念においては、重合開始剤の存在下で、実質的
に無溶媒下で、100℃以上の温度で、式(3)で示さ
れる化合物(a)に、(メタ)アクリル酸を該化合物
(a)に対して25質量%以上の量で重合することによ
って、所望の重合体を得ればよい。
【0065】モノエチレン性単量体(b2)を(メタ)
アクリル酸(b1)と共に用いる第三の概念の場合に
は、当該モノエチレン性単量体(b2)の半量以上(5
0質量%以上)を予め化合物(a)に混合した後、(メ
タ)アクリル酸(b1)及び残部のモノエチレン性単量
体(b2)からなる単量体成分(b)ならびに重合開始
剤を添加し、重合することが特に好ましい。
【0066】モノエチレン性単量体(b2)がカルボキ
シル基を有する単量体である場合の、単量体成分(b)
における(メタ)アクリル酸(b1)及びモノエチレン
性単量体(b2)の共重合割合は、それぞれ、(b1)
が40〜100モル%、(b2)が60〜0モル%の範
囲であることが好ましい。また、モノエチレン性単量体
(b2)がカルボキシル基を持たない単量体である場合
には、共重合割合は、(b1)が80〜100モル%、
(b2)が20〜0モル%の範囲であることが好まし
い。この際、(メタ)アクリル酸の占める割合が80モ
ル%より少ないと、得られる重合体のカルボン酸密度が
低く、イオン伝導性が不十分であり、好ましくない。ま
た、単量体(b2)がマレイン酸、フマル酸及び無水マ
レイン酸等のカルボキシル基を有する場合には、(メ
タ)アクリル酸が40モル%より少なくても、得られる
重合体のカルボン酸密度の低下をおこさないが、マレイ
ン酸、フマル酸及び無水マレイン酸等の重合体への導入
率が低下し、残存する単量体が多くなるという問題があ
る。
【0067】本発明において、重合は、重合開始剤の存
在下で、実質的に溶媒を用いずに行われることが好まし
い。
【0068】重合開始剤としては、公知のラジカル開始
剤を使用することができるが、有機過酸化物が特に好ま
しい。有機過酸化物として例えば、メチルエチルケトン
パーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等の
ケトンパーオキサイド類;t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイ
ドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,
5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テト
ラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパ
ーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)p−ジイ
ソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパー
オキシ)p−ジイソプロピルヘキシン等のジアルキルパ
ーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t
−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート等のパーオキシエステル類;n−ブチル−
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパー
オキシケタール類;ジベンゾイルパーオキサイド等のジ
アシルパーオキサイド類などが挙げられる。これらのう
ち、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びt−ブチルパー
オキシベンゾエートが重合開始剤として好ましく使用で
きる。
【0069】また、上記重合開始剤の量は、特に制限さ
れないが、単量体成分(b)に対して、好ましくは0.
1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%で
ある。重合開始剤の量が上記範囲から外れる場合には、
化合物(a)への単量体成分(b)の重合効率が低下す
る。また、重合開始剤はあらかじめ化合物(a)に添加
しておくこともできるが、単量体成分(b)と同時に添
加することもできる。
【0070】本発明において、水またはアルコール、ト
ルエン等の有機溶剤を重合に使用すると、化合物(a)
への単量体成分(b)の重合効率が低下するため、重合
は実質的に無溶媒下で行われることが好ましい。このた
め、重合開始剤やモノマーの添加するために溶剤を使用
する場合には、その量を極力少なく、好ましくは全量に
対して5質量%以下にするか、あるいは添加後反応系か
らただちに留去することが好ましい。
【0071】重合温度は、100℃以上、好ましくは1
10℃〜160℃である。この際、重合温度が100℃
より低いと、化合物(a)への単量体成分(b)の重合
効率が低下する。また、重合温度が160℃より高い温
度では、化合物(a)および得られる重合体(A)及び
(B)の熱分解が起こる恐れがある。また、使用する式
(3)の化合物の粘度が高い場合には、各種公知のニー
ダー(例えば、入江商会株式会社製、PN−1)を用い
て撹拌すればよい。ニーダーを用いての攪拌は、化合物
(a)への単量体成分(b)の重合の際に限らず、粘度
が高い反応液を攪拌させる場合に適宜行うことができ
る。
【0072】なお、本発明による重合において、化合物
(a)は、その一部または全量を初期に仕込むことが好
ましい。また、モノエチレン性単量体(b2)として、
マレイン酸、フマル酸及び無水マレイン酸からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種を用いる場合には、モノエチ
レン性単量体(b2)の使用量の半量以上を化合物
(a)と共に初期に仕込むことが好ましい。そして、残
りの単量体と重合開始剤を、化合物(a)を100℃以
上に加熱した後、別々に滴下する。この時、化合物
(a)の一部を初期に仕込む場合は、残りの化合物
(a)は、開始剤または単量体と混合して滴下すること
もできる。
【0073】このようにして製造された重合体(A)及
び(B)の平均分子量は、特に制限されるものではない
が、1000〜10000000が好ましく、2000
〜1000000がより好ましい。
【0074】また、このようにして製造された重合体
(A)及び(B)を、さらにカチオン性含窒素化合物と
反応させることによって、本発明の重合体が得られる。
従来は、単量体にカチオンを付与するための化合物を混
合した後、重合し、得られるポリマーをそのまま電解質
に使用していたのに対して、本発明は、このように酸基
部分(式(2)における「X」)を有する重合体を予め
製造した後に、この重合体とカチオン性含窒素化合物と
を反応させて−X-+を含む重合体を得、得られる重合
体を電解質に使用することに特徴を有する。
【0075】上記重合体(A)及び(B)と、カチオン
性含窒素化合物との反応は、溶媒中でまたは無溶媒下で
行なわれてもよいが、反応の進行を考慮すると、溶媒中
で行なわれることが好ましい。反応を溶媒中で行なう際
に使用される溶媒としては、特に制限されず、公知の溶
媒が使用されるが、重合体(A)及び(B)ならびにカ
チオン性含窒素化合物が容易に溶解して反応系が均一に
保たれること;反応終了後、除去しやすい性質を有する
こと;および反応中に発生するハロゲン化水素を溶解し
にくいものが好ましい。このような溶媒の例としては、
クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、アセトニト
リル、トルエン、ジイソプロピルエーテル、メチルエチ
ルケトン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエ
タン及び酢酸エチルなどが挙げられ、これらのうち、ク
ロロホルム、アセトン、アセトニトリル及びテトラヒド
ロフランが好ましく使用される。
【0076】また、本発明において、重合体(A)及び
(B)ならびにカチオン性含窒素化合物との反応条件
は、上記反応が効率良く進行する条件であれば特に制限
されないが、例えば、反応温度は、通常、室温〜80
℃、好ましくは室温〜40℃であり、また、反応時間
は、原料の種類や量及び他の反応条件によって異なる
が、通常、2〜50時間である。さらに、反応は、常圧
下、加圧下または減圧下で行なわれてもよいが、設備面
を考慮すると、反応を常圧下で行なうことが好ましい。
【0077】このようにして得られた重合体は、−30
℃以下、より好ましくは−50℃以下のTgを有するた
め、かなり低温領域にあっても軟らかいエラストマー状
の粘稠な状態にあり、広範な温度範囲で、特に低温領域
で、優れたイオン伝導性を示すものである。したがっ
て、本発明の第二及び第三の概念の重合体は、電解質と
して、特にリチウム2次電池用の固体電解質及びゲル電
解質として好適に使用される。
【0078】第二および第三の概念においても、得られ
た重合体は、高分子電解質としての性能を考慮すると、
高分子固体電解質として金属リチウムに対する安定性試
験を100回繰り返した時に、1回目の電位に対する1
00回目の電位の比が1.2倍以下であることが好まし
く、1.1倍以下であることがより好ましく、1.05
倍以下であることが特に好ましい。金属リチウムに対す
る安定性試験法については上記第一の概念における方法
と同様である。
【0079】第四の概念おいて、本発明は、上記第一か
ら第三の概念に係る重合体を必須成分として含む高分子
固体電解質を提供するものである。
【0080】本発明の高分子固体電解質において、本発
明の重合体は、一種のみを単独で使用してあるいは二種
以上を混合物の形態で使用してもよい。また、本発明の
重合体の高分子固体電解質における含量は、高分子固体
電解質が広範な温度範囲で、特に低温領域で、優れたイ
オン伝導性を示すものであれば特に制限されないが、通
常、高分子固体電解質の全質量に対して、30〜95質
量%、好ましくは50〜90質量%である。この際、重
合体の含量が30質量%未満であると、重合体によるイ
オン伝導性が十分発揮されない恐れがあり、逆に、重合
体の含量が95質量%を超えると、重合体の添加により
見合う効果の向上が認められず、非経済的となり、ま
た、リチウム塩の添加量が極端に少なくなる恐れがあ
る。
【0081】また、本発明の高分子固体電解質は、下記
に詳細に説明するが、リチウム塩を含むものであるが、
本発明の高分子固体電解質を構成するリチウム塩として
は、従来の高分子固体電解質に用いられるものがいずれ
も可能であり、具体的には、LiF、LiBr、LiC
l、LiI、LiOH、LiSCN、LiBF4、Li
AsF6、LiClO4、LiHgI3、LiPF6、Li
SbF6及びLiNbF6等の無機リチウム塩;ならびに
CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、CF3SO3
Li、C49SO3Li、C65SO3Li、C817
3Li、(CF 3SO22NLi、(C25SO22
Li、(C49SO2)(CF3SO2)NLi、(C6
5SO2)(CF3SO2)NLi、(C817SO2)(C
3SO2)NLi、(CF3CH2OSO22NLi、
(CF3CF2CH2OSO22NLi、[(CF32
HOSO22NLi、(CF3SO23CLi及び
[(CF3263−3,5]4Li等の有機リチウム
塩などが挙げられ、これらのうち、(CF3SO22
Li及び(C25SO22NLiなどのリチウム塩が本
発明の高分子固体電解質に好ましく使用される。この
際、リチウム塩は、一種のみを単独で使用してあるいは
二種以上を混合物の形態で使用してもよい。また、リチ
ウム塩の使用量は、本発明の重合体に対して、通常、5
〜70質量%、好ましくは10〜70質量%、より好ま
しくは10〜50質量%の範囲である。この際、リチウ
ム塩の使用量が5質量%未満であると、解離したリチウ
ムイオンの数が不足し、リチウムイオン伝導度を逆に低
下させてしまい好ましくなく、逆に、リチウム塩の使用
量が70質量%を超えると、リチウム塩と重合体の相互
作用が強くなり、逆に解離したリチウムイオンの数が減
少したり、系の粘度が上昇することにより、イオン伝導
度の低下をもたらすため、やはり好ましくない。
【0082】本発明の高分子固体電解質に重合体やリチ
ウム塩に加えて添加できる成分としては、公知の添加剤
がそのまま同様にして使用できるが、高分子固体電解質
のイオン伝導性や機械的強度等の諸特性を向上できるも
のが好ましく、このようなものとしては、例えば、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチ
ロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、DMSO、
DMF、ジメトシキエタン、酢酸メチル、プロピオン酸
メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、エチルメチルカーボネート等の可塑剤;架橋アクリ
ル樹脂、PMMA樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコン樹脂、エポシキ
樹脂、ナイロン、ポリスチレン樹脂、架橋ポリスチレン
樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、
架橋ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース等からなる
有機微粒子;ならびに金属の酸化物、炭化物、窒化物、
ホウ化物等のセラミックス等からなる無機微粒子などが
挙げられる。この際、他の添加剤を使用する際の当該他
の添加剤の含量は、上記諸特性の向上が認められるよう
な量であれば特に制限されるものではなく、従来と同様
の量が使用できるが、重合体に対して、通常、2〜80
質量%、好ましくは5〜50質量%の範囲である。
【0083】本発明の上記高分子固体電解質の製造方法
において、使用される溶剤としては、特に制限されず、
公知の溶媒が使用されるが、均一な反応系が得られるよ
うに重合体ならびにリチウム塩を容易に溶解でき、かつ
最終的に溶剤を容易に除去できるものであるものが好ま
しい。また、微量成分の溶剤の残存が電池性能などの劣
化をきたさないように、用途目的に応じて、溶剤を適宜
選択することが望ましい。このような溶媒の例として
は、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、
ジオキソラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミ
ド、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、1,2−ジクロロ
エタン、ジクロロメタン、ジオキサン、酢酸エチル及び
トルエンなどが挙げられ、これらのうち、テトラヒドロ
フラン、アセトン及びクロロホルムが好ましく使用され
る。
【0084】また、本発明の高分子固体電解質の製造方
法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を同様
にして使用できるが、例えば、本発明の重合体及びリチ
ウム塩を溶剤に溶解した後、該溶剤を除去する方法が使
用できる。この際、溶剤の除去方法としては、特に制限
されるものではなく、揮散除去、蒸留及び減圧吸引など
の公知の方法が同様にして使用できる。これらのうち、
揮散除去が、溶剤の除去方法として好ましく使用でき
る。
【0085】本発明の高分子固体電解質は、イオン伝導
性に優れており、様々な用途に用いることができる。例
えば、リチウム2次電池の電解質として、そのまま固体
電解質であるいは適当な溶媒を吸収した形のゲル電解質
として有用である。加えて、本発明の高分子固体電解質
は、イオン電極の隔膜、アルミ電解コンデンサ等のキャ
パシター、センサーなどの電気化学デバイス用材料とし
ても有用である。
【0086】
【実施例】以下、本発明にかかる実施例および比較例に
ついて記載する。
【0087】<参考例1:重合体(A1)の合成>冷却
管、窒素導入管を備えた1000mlニーダー(入江商
会製、PN−1)に、平均分子量35000のポリエチ
レンオキサイド(280g)を仕込み、窒素気流下、攪
拌下でニーダーを130℃まで昇温した。次いで、温度
を125〜135℃に保ちながら、アクリル酸(120
g)およびジ−t−ブチルパーオキサイド(6.0g)
を、別々に2時間にわたって連続的に滴下し、その後1
時間攪拌を続けて重合体(A1)を得た。
【0088】<参考例2:重合体(B1)の合成>温度
計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製
反応容器に、平均分子量5000のポリエチレンオキサ
イド(28g)を仕込み、窒素気流下、攪拌下で125
℃まで昇温した。次いで、温度を125〜135℃に保
ちながら、アクリル酸(12g)およびジ−t−ブチル
パーオキサイド(0.5g)を、別々に2時間にわたっ
て連続的に滴下し、その後1時間攪拌を続けて重合体
(B1)を得た。
【0089】<実施例1:重合体(I)の合成>還流冷
却管を取りつけた100ml三ツ口フラスコに、参考例
1で合成した重合体(A1;5g)、1−メチル−2−
エチル−3−n−ブチルイミダゾリウムビス(トリフル
オロメタンスルホニル)イミド(9.30g)およびテ
トラヒドロフラン(50ml)を入れ、攪拌し完全に溶
解させた。その後、溶液を60℃まで昇温し、その温度
を維持しながら20時間攪拌を続けた。反応終了後、エ
バポレーターでテトラヒドロフランを除去し、残さを真
空乾燥器(100℃、1mmHg)中で15時間かけて
十分に乾燥し、重合体(I)を得た。
【0090】<実施例2:重合体(II)の合成>還流冷
却管を取りつけた100ml三ツ口フラスコに、参考例
2で合成した重合体(B1;5g)、1−メチル−2−
エチル−3−n−ブチルイミダゾリウムビス(トリフル
オロメタンスルホニル)イミド(9.30g)およびテ
トラヒドロフラン(50ml)を入れ、攪拌し完全に溶
解させた。その後、溶液を60℃まで昇温し、その温度
を維持しながら20時間攪拌を続けた。反応終了後、エ
バポレーターでテトラヒドロフランを除去し、残さを真
空乾燥器(100℃、1mmHg)中で15時間かけて
十分に乾燥し、重合体(II)を得た。
【0091】<実施例3:重合体(III)の合成>還流
冷却管を取りつけた100ml三ツ口フラスコに、参考
例1で合成した重合体(A1;5g)、N−メチル−N
−n−ブチルピロリジウムビス(トリフルオロメタンス
ルホニル)イミド(8.8g)およびテトラヒドロフラ
ン(50ml)を入れ、攪拌し完全に溶解させた。その
後、溶液を60℃まで昇温し、その温度を維持しながら
20時間攪拌を続けた。反応終了後、エバポレーターで
テトラヒドロフランを除去し、残さを真空乾燥器(10
0℃、1mmHg)中で15時間かけて十分に乾燥し、
重合体(III)を得た。
【0092】<実施例4〜6>表1に記載の配合比で、
重合体(I)〜(III)およびLiTFSI塩を脱水テ
トラヒドロフラン(20g)中で攪拌混合することによ
って均一の溶液を得た後、テトラヒドロフランを減圧除
去することによって高分子固体電解質(IV)〜(VI)を
得た。
【0093】
【表1】
【0094】実施例4〜6で得られた高分子固体電解質
のイオン伝導性、金属リチウムに対する安定性試験の電
位比の評価試験を行なった結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】なお、イオン伝導度の評価は、SUS電極
を用いてインピーダンスアナライザーHP4294Aを
用いて複素インピーダンス法により行った。金属リチウ
ムに対する安定性試験の評価は金属リチウム2枚に高分
子電解質を挟んだセルを作製し、充放電試験機(BS2
500−05R1)で電流密度0.1mA/hcm2
一定電流を流すことにより行った。
【0097】表に示される通り、本発明に係る重合体を
用いた高分子固体電解質は、優れたイオン伝導度を有
し、金属リチウムに対する安定性に優れることが示され
た。
【0098】
【発明の効果】高分子固体電解質を構成する高分子化合
物として、枝分かれ構造を有するポリアルキレンイミン
にアルキレンオキサイドが付加された高分子化合物を用
いることによって、高分子固体電解質のイオン伝導性お
よび金属リチウムに対する安定性を向上させることがで
きる。従って、本発明にかかる高分子固体電解質が適応
された電池、エレクトロクロミックデバイス、コンデン
サー、センサーは、消費電力が小さく、優れた耐久性を
有するものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 潘 金星 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12号 株式会社日本触媒内 (72)発明者 水田 圭一郎 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J026 AB19 AB20 AB21 BA06 BA25 BA27 BA32 BA34 4J100 AB02Q AB07P AG04Q AJ01P AJ02P AJ09P AJ09Q AK32Q AL03Q AL04Q AL08P AM02Q AM14P AM14Q AM15Q AP01P BA03P BA03Q BA56P CA31 DA01 DA55 HA31 HC43 5G301 CA16 CD01 5H029 AJ02 AK11 AL12 AM00 AM03 AM07 AM16 BJ00 DJ09 EJ13 HJ02 HJ18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1): 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のア
    ルキレン残基を表わし、X-は酸の脱プロトン残基を表
    わし、Y+は含窒素化合物のカチオンを表わす)で示さ
    れる構成単位を含む重合体であって、 該重合体を高分子固体電解質として金属リチウムに対す
    る安定性試験を100回繰り返した時に、1回目の電位
    に対する100回目の電位の比が1.2倍以下であるこ
    とを特徴とする重合体。
  2. 【請求項2】 前記重合体は下記式(2): 【化2】 (式中、R、X-、Y+は前記定義通りであり、Zはモノ
    エチレン性不飽和化合物の残基を表わし、mは主鎖を構
    成する構成単位:−(RO)−に結合する分岐鎖構成単
    位の平均付加モル数を表わし、2〜20であり、nは3
    〜200000であり、pは0〜2であり、R1および
    3は、それぞれ独立して、水素原子、カルボン酸基も
    しくはスルホン酸基を有する基、炭素原子数1〜4の直
    鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素原子数6〜1
    0のアリール基を表わす)で示されることを特徴とする
    請求項1に記載の重合体。
  3. 【請求項3】 下記式(3): 【化3】 (式中、R1およびR3は、それぞれ独立して、水素原
    子、カルボン酸基もしくはスルホン酸基を有する基、炭
    素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基また
    は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、R2は炭
    素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレンを表わ
    し、nは501〜200000である)で示される化合
    物に酸基を有する単量体を重合させることによって得ら
    れた重合体(A)を、カチオン性含窒素化合物と反応す
    ることによって得られる重合体。
  4. 【請求項4】 下記式(3): 【化4】 (式中、R1およびR3は、それぞれ独立して、水素原
    子、カルボン酸基もしくはスルホン酸基を有する基、炭
    素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基また
    は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、R2は炭
    素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレンを表わ
    し、nは3〜200000である)で示される化合物に
    酸基を有する単量体をモノエチレン性単量体の共存下で
    重合させることによって得られた重合体(B)を、カチ
    オン性含窒素化合物と反応することによって得られる重
    合体であって、 該重合体を高分子固体電解質として金属リチウムに対す
    る安定性試験を100回繰り返した時に、1回目の電位
    に対する100回目の電位の比が1.2倍以下であるこ
    とを特徴とする重合体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重
    合体を必須成分として含む高分子固体電解質。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003142160A (ja) * 2001-08-20 2003-05-16 Sumitomo Bakelite Co Ltd リチウムイオン伝導性ゲル状電解質及びポリマーリチウムイオン二次電池
WO2003075391A1 (fr) * 2002-03-07 2003-09-12 Sumitomo Bakelite Company Limited Electrolyte sous forme de gel conducteur lithium-ion et batterie secondaire lithium-ion polymere
JP2004288470A (ja) * 2003-03-20 2004-10-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd リチウムイオン伝導性ゲル状電解質
JP2007258081A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Sumitomo Bakelite Co Ltd 電解質組成物、イオン伝導性電解質及びそれを用いた二次電池

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JP2004288470A (ja) * 2003-03-20 2004-10-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd リチウムイオン伝導性ゲル状電解質
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