JP4235400B2 - パチンコ遊技機の球誘導樋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機の球誘導樋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来パチンコ遊技機は、賞球および貸球となるパチンコ球を貯留する球タンクが装着され、この球タンクの導出口下方にパチンコ球を整列して誘導する球誘導樋が設けられており、所定数のパチンコ球を払出す球払出装置に整列して供給するようにしている。そして、球払出装置の払出し動作に伴い前記球タンクのパチンコ球を前記球誘導樋から順次パチンコ球が供給されるようになっている。
【0003】
また、前記球誘導樋は、ほぼパチンコ球の径と等しい12mmの通路幅で、パチンコ球がほぼ直線状に1列で並ぶ供給通路を単列または仕切壁により複列に区画している。そして、球タンクの導出口での球圧を分散するために上流側の前面壁を高さを違えて段状に膨出して供給通路とほぼ同じ通路幅で同じ傾斜方向の補助通路を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、球タンクの導出口から流出する多量のパチンコ球によって導出口下方に位置する球誘導樋の始端部において補助通路の段差または供給通路を形成しる仕切壁に局所的に球圧が掛かりその球圧によりバランスがとれて球詰りを起しパチンコ球の流下が停止する問題があった。
【0005】
また、補助通路の供給通路との合流地点では補助通路が供給通路と同じ傾斜方向であることから、補助通路のパチンコ球が球圧により強引に供給通路に合流しようとして始端部と同様に球噛み,球詰りを惹き起こして、球払出装置にパチンコ球が供給できなくなるという問題があった。
【0006】
さらに、供給通路が仕切壁により区画されて複列で流下する球誘導樋にあっては、例えばそれぞれの供給通路に球払出装置が設けられ、一方の球払出装置が可動して一方の供給通路のみが流下した場合に、特に導出口下方の始端部において前記仕切壁によりパチンコ球が相互に自由に移動することができず、他方の供給通路のパチンコ球が動かないためにバランスがとれて球詰りを起したり、導出口からの供給が間に合わず球切れを起したりするという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、球詰りすることなく確実に球払出装置にパチンコ球を供給することができるパチンコ遊技機の球誘導樋を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、球タンクの導出口からの落下球を受ける幅広の球受部と、前記球受部の下流に位置しパチンコ球を整列して導く主流路と、前記主流路に並設され下流に向って次第に幅員を狭くして該主流路に合流する副流路とで構成され、前記球受部は前記主流路より急傾斜状に形成し、前記副流路は少なくとも後半部を前記主流路より緩傾斜状乃至主流路に対し逆傾斜状に形成したことを特徴とする。つまり、球タンクの導出口と相対する前記球誘導樋の始端部である球受部の傾斜角度を主流路の傾斜角度に比して大きく設定して急傾斜とし、前記副流路の後半部を前記主流路の傾斜に対して負角となるように設定している。そして、球タンクの導出口の下方に位置する球誘導樋の始端部である球受部でパチンコ球が幅方向に自由に移動できるようにして、球圧が最もかかる球受部での球詰りを防止すると共に副流路の球圧を主流路の球圧に比して弱くして合流地点での球詰りをも防止する。ここでいう「負角」とは主流路の傾斜角度に対して負の方向に傾斜する角度を意味し、主流路の傾斜に比して緩やかな下り傾斜であり、水平または逆傾斜である。また、前記幅広の球受部は一部または全部が球タンクの導出口の下方に位置して設けられる。
【0009】
また、前記副流路を主流路の両側にそれぞれ拡幅状に並設してもよく、各副流路の合流地点はパチンコ球の合流時に球圧が集中して球詰りしないように合致することなく流下方向に互いにずらすようにするのが好ましい。さらに、前記各副流路の幅員をそれぞれ異ならせ、各副流路を流下するパチンコ球の数量を異なるようにすることにより、合流地点で球圧差が生じるようにしてもよい。好ましくは幅員が広く球圧が大きい副流路が下流側または下方で合流するようにするのがよい。
【0010】
請求項2記載の発明は、球タンクの導出口からの落下球を受ける幅広の球受部と、前記球受部の下流に位置し仕切壁により区画してパチンコ球を整列して導く2列の主流路と、前記各主流路に並設され下流に向って次第に幅員を狭くして該主流路に合流する副流路とで構成され、前記球受部は前記主流路より急傾斜状に形成し、前記副流路は少なくとも後半部を前記各主流路より緩傾斜状乃至各主流路に対し逆傾斜状に形成したことを特徴とし、始端部である球受部でパチンコ球が幅方向に分散して他方の球通路側からもパチンコ球が補給されるように移動し、常に均等状態とすることができる。なお、前記仕切壁は終端まで設ける必要はなく途中で途切らせて複列を単列に合流させるようにしてもよい。このとき幅員を狭めるようにするのが好ましい。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記副流路は前記主流路との合流地点でパチンコ球1個程度の段差を生じるようにしたことを特徴とする。好ましくは前記副流路の合流地点の高さを球心を支持する7mm〜9.5mm程度とするのがよい。これによりパチンコ球を1段に整列しやすくなると共に球誘導樋の取付位置を従来より高くでき、機構板の開口窓を大きくすることができることから遊技盤面の中央役物も大型化することができる。
【0012】
また、前記主流路の幅員をパチンコ球がランダムに並ぶ幅広とし、パチンコ球が幅方向に自由に移動できるようにするのが好ましく、その通路幅は14mmからパチンコ球のほぼ3個半とするのがよい。ここでいう「ランダム」とは連続するパチンコ球の球心がほぼ直線状に結ばれることなく、連続するパチンコ球の球心がジグザグ状に結ばれ得る状態を意味する。
【0013】
前記球タンクの導出口からの落下球を受ける球受部を可動自在に軸支して傾斜角度を無段階または多段階に任意で変更可能とするのがよい。球受部の傾斜角度を変更可能とすることでパチンコ遊技機毎または機種毎で最適条件に設定することができる。
【0014】
前記主流路の底壁と前記球タンクの導出口の開口縁までの高さはパチンコ球が三段で積み重なって流下しない高さであるパチンコ球2個半程度が好ましく、球誘導樋の高さを低くでき成形および保管がしやすくなり、さらにパチンコ球が整列しやすくなる。
【0015】
なお、本発明の「パチンコ遊技機」は、パチンコ球を使用して賞球等を球払出装置から払出す遊技機を意味し、雀球遊技機,アレンジボール式遊技機,パチンコ球を使用した回胴式遊技機(パチロット)等の遊技機をも含む。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面を参照して説明する。図1は本発明に係るパチンコ遊技機の裏面図である。図において、1はパチンコ遊技機の機枠、2は該機枠に開閉自在に装着される前面枠、3は前面枠2の後面に着脱自在に取付けられる遊技盤であって、該遊技盤3の裏面には入賞球集合カバー4が配設されており、該入賞球集合カバー4の裏面に基板ボックス5が装着されている。該基板ボックス5にはパチンコ遊技機の遊技内容を制御するための回路基板が収納されている。
【0017】
6は遊技盤3の裏面に装着される機構板であり、合成樹脂によりほぼ方形状に形成されている。この機構板6のほぼ中央には、窓部7が開設されており、前記基板ボックス5および遊技盤3に設けられる可変表示装置等の中央役物13の後部を臨ませている。前記窓部7の上方にパチンコ球を貯留する球タンク8が取付けられ、該球タンク8の下方にはパチンコ球を整列して導き出す球誘導樋9が設けられている。そして、前記球誘導樋9の下流端は屈曲誘導樋10を介して所定数のパチンコ球を払出す球払出装置11に接続されており、該球払出装置11の下方には、払出されたパチンコ球を前面枠1の前面側に設けられる打球供給皿(図示せず)へ導くための排出樋12が形成される。33は球抜樋であり、機構板6の軸支部側方に臨んで設けられている。
【0018】
前記球タンク8は、上面が開口する平面略長方形の箱状に形成され、底壁15はほぼ平坦面であり、図4および図7に示すように一側壁に向って3°の緩やかに下傾としている。そして、底壁15の下流端部であり、かつ前後幅のほぼ中央に後述する球誘導樋9の上流始端部分に対応して、長方形状の導出口16が開設される。
【0019】
前記球誘導樋9は、図2乃至図8に示すように、機構板6に接する後面壁19と、該後面壁19に対向する前面壁18および底壁20とにより上面が開口して形成される。そして、少なくとも前記球タンク8の導出口16と相対し該球タンク8の導出口16からの落下球を受ける幅広の球受部90と、前記球受部90の下流に位置しパチンコ球を整列して導く主流路21と、前記主流路21に並設され下流に向って次第に幅員を狭くして該主流路21に合流する副流路22とで構成され、前記球受部90は前記主流路21より急傾斜状に形成し、前記副流路22は少なくとも後半部を前記主流路21より緩傾斜状乃至主流路21に対し逆傾斜状に形成している。つまり、球受部90を幅広で傾斜角度を主流路21の傾斜角度より大きく設定していることから、前記球タンク8の導出口16から流出するパチンコ球の球圧が局所的に掛かることがなく、しかも初速度を速めることによって球誘導樋9の始端部である球受部90でパチンコ球が滞留することがなく球詰りの要因であるバランスを崩し球詰りが起こらないようにしている。
【0020】
前記副流路22は前面壁18を湾曲状に膨出して形成され、本実施の形態において少なくとも後半部を長手方向のみに傾斜して前記主流路21の傾斜に対して負角に形成し、前記主流路21を断面凹溝状に形成すると共に該主流路21との合流地点17で高低差つまり段差を生じるようにしている。ここでいう「合流地点」とは副流路22のパチンコ球が膨出した湾曲状の前面壁18により誘導され副流路22の支持面から強制的に外れ主流路21側に流落し得る部位を意味している。また「負角」とは主流路の傾斜角度に対してマイナスの角度であり、主流路21の傾斜角度より緩やかな傾斜状乃至逆傾斜状となることを意味し、主流路21の流速および球圧に比して副流路22の流速および球圧を弱くすることを目的とし、実施の形態に示す傾斜角度に限定されるものではない。なお、副流路22を水平とした際には副流路22の球支持部を主流路21側に緩やかに下傾させるのが好ましい。
【0021】
また、前記主流路21の終端側はクランク状に約15°の急傾斜に屈曲して、多段に積み重なったパチンコ球を該傾斜差により下段のパチンコ球の流速を速くして、上段のパチンコ球を下段のパチンコ球間に入り込ませて整流するようにしている。そして、その上面を覆うように主流路21を複数段で流下するパチンコ球を一段に球均しすると共に、前面壁18側からの球零れを防止する蓋部材23が緩やかな下傾状に設けられている。前記蓋部材23は、図2および図3に示すように前後面壁18,19に異なる方向(横方向および上方向)に形成された溝部24a,24bに蓋部材23の側方に突設した突起25a,25bを係合して固着するようにしている。具体的には前記蓋部材23の固着は、先ず突起25aを溝部24aにほぼ水平方向から嵌合し、次に前記突起25aを回動支軸として突起25bが溝部24bの上方から臨むように嵌合して固着する。このように、前記蓋部材23の取着けを容易にすると共に、突起25a,25bを異なる方向から溝部24a,24bに係合することでパチンコ球の流下により蓋部材23が無用に外れることはない。
【0022】
また、図6および図7に示すように前記副流路22との傾斜角度の差によって凹溝状に形成される主流路21の底壁20隅部に、パチンコ球の流下に支障のないようにパチンコ球の半球未満の幅のゴミ落し孔26が千鳥状に穿設され、該ゴミ落し孔26から主流路21の塵埃を落下排除するようにしている。そして、底壁20下面には球誘導樋9の撓みを防止する三角板状の翼片27がリブを介して所定間隔で水平状に設けられており、従来の垂直状に設けられる撓み防止片と比較して強度効果に遜色はなく、しかも球誘導樋9の下方側への突出を少なくできてその分窓部7を大きく広げることができる。
【0023】
また、前記翼片27間にゴミ等による万一の球詰りのために球詰解除手段28として箱体29に収納される振動モータ30が任意の翼片27間に着脱自在に取付けられる。前記振動モータ30は図4に示すようにモータ軸30aに偏心円盤31を設けることにより構成され、該偏心円盤31が回転することにより振動が発生するようになっている。前記箱体29は取付手段として前記リブとほぼ同じ肉厚であり前記翼片27と底壁20との隙間に嵌めこむ鍔状の取付板29aが一体に設けられ、箱体29内に形成された区画壁29bを介して振動モータ30と偏心円盤31とが収納される。なお、前記球詰解除手段28としての振動モータ30は図4鎖線に示すように任意で取着位置を変更することが可能であり、パチンコ球の流下状況等によりホール毎またはパチンコ遊技機毎に最適条件にすることができる。そして、後述する屈曲誘導樋10に設けられる球切れ検出器35が球切れを検知すると、前記振動モータ30が作動し、その振動により球詰りを自動的に解消して球払出装置11にパチンコ球を供給するようにしている。なお、前述したように前記振動モータ30は万一の球詰りのためのものであり、必ず設けなければならないものではない。
【0024】
前記球誘導樋9は、実施の形態において図4および図5に示すように、前記導出口16に相対し該導出口16からの落下球を受ける幅広の球受部90を約20°の急傾斜面として、その下流の主流路21を2°〜7°の緩傾斜状(図上4°)に形成している。そして、前記主流路21の幅員はパチンコ球が幅方向に平行に2個並ばずパチンコ球が半複数列でジグザグ状に接触状に流下し得る約21mmの幅広としている。これは、主流路21が通常の12mm幅であると連続するパチンコ球の球心距離が球径の約11mmであるが、幅員を21mmの幅広とすることにより主流路21にパチンコ球がジグザグ状に並び後続のパチンコ球との球心距離が球径の約半分の5.5mmとなる。これにより、球払出装置11が高速で払出しを行ってもパチンコ球間に隙間が空くことがなく、この間隙によるトラブルを未然に防いで確実に供給し続けることができる。
【0025】
また、前記副流路22の幅員はパチンコ球径よりやや幅広の14mmの通路幅をとして下流側を次第に狭くなる約320Rの緩やかな円弧状に形成している。そして、副流路22の後半部を前記主流路21の傾斜4°に対して−7°の負角として約3°の緩やかな逆傾斜状に形成し、前記主流路21との合流地点17でパチンコ球1個程度(約9.5mm)の高低差を生じるようにしている。この高さは接触状態のパチンコ球とパチンコ球の間に同一面内で載ったパチンコ球の下端高さに匹敵し、主流路21を流下する最下段のパチンコ球とパチンコ球の間にスムーズに入り得る高さである。この実施の形態において合流地点17は副流路22の終端からパチンコ球2〜3個分の範囲である。また、副流路22の異傾斜の交差によって形成される変傾線Cは、主流路21に向って下流側に約30°傾斜しており、通常時副流路22のパチンコ球は後半部の逆傾斜部を上らず該変傾線Cに沿って誘導されて流下し主流路21に合流する。
【0026】
そして、上記構成の球誘導樋9は前記球タンク8の下方に位置して後面壁19を機構板6に当接して、ビス止めおよび係止具等の適宜手段によってパチンコ球が自然流下するように傾斜して取付けられる。図上は係止具としての所謂「ナイラッチ」により取着するようにしている。このとき、図4に示すように球タンク8の導出口16の開口端から主流路21の底壁20までの高さは2段に重なったパチンコ球が流下し得るパチンコ球約2個程度(21mm〜24mm)としている。なお、上記実施の形態において前記主流路21の前面壁18側の一側に副流路22を拡幅状に設けるようにしたが、後面壁19側に設けるようにしても前記主流路21の前後面壁18,19の両側に副流路22を拡幅状に設けるようにしてもよく、球誘導樋9の球受部90を主流路21の傾斜角度より大きい傾斜角度の急傾斜面として、副流路22も後半部を主流路21の傾斜角度より負角にすればよい。また、主流路21の両側に副流路22を設けた際には各副流路22の合流地点17はパチンコ球の合流時に球圧が集中して球詰りしないように合致することなく流下方向に互いにずらすようにするのが好ましい。さらに各副流路22の傾斜角度を同一にする必要はなく、異傾斜として合流地点17で高さ方向に球圧をずらすようにしてもよい。
【0027】
前記屈曲誘導樋10は、供給通路36の幅員を球誘導樋9の主流路21と同じ21mmとして下流側を90°捻って幅広方向を前後方向から左右方向に変化させている。また、垂直通路部に球切れを検知する球切れ検出器35が設けられ、該球切れ検出器35の検知によって前記振動モータ30を作動するようにしている。前記球切れ検出器35の設置位置は、球払出装置11に球止される最先のパチンコ球から該球切れ検出器35までの間に約25個(100円分の貸球に相当)のパチンコ球が在る位置が選ばれ、球切れ検出器35で検知後少なくとも100円分の貸球が払出し可能となっている。なお、球切れ検出器35の検知によって遊技者または店員が視認し得るパチンコ遊技機の前面のランプ表示等を点灯させるようにしてもよい。34は球抜装置であり、球抜弁が前記球切れ検出器35の対向位置に跨って設けられており、該球抜装置34の操作後に前記球切れ検出器35が作動するようになっていることから、従来球抜きしても前記球切れ検出器35が作動する位置になかったために悪戯または誤って球抜きした際に確認することができなかったが、悪戯または誤って球抜きした際に球切れ報知により確認することができる。なお、上記屈曲誘導樋10の供給通路36の下流側を90°捻るようにしたが、後述する球払出装置11の球流路38によってはそのまま捻ることなく供給通路36を垂下するようにしてもよい。また、上記屈曲誘導樋10は供給通路36の幅員を球誘導樋9の主流路21と同じ21mmとしたが、球誘導樋9との接続部である始端部から球切れ検出器35が設けられる屈曲部終端までの屈曲通路部をパチンコ球が2個並列し得る24mmの通路幅として、その下方の垂直通路部を徐々に21mmの通路幅に狭めるようにしてもよく、屈曲誘導樋10の始端部を24mmの幅広とすることで幅方向に球誘導樋9の球圧が拡散し、前後上下の四側で囲まれた供給通路36で始端部が上下方向にも球径より余裕があることから球圧により対角状に球詰りするのを未然に防いで、屈曲部でのパチンコ球の流下をスムーズにすることができる。
【0028】
前記球払出装置11は、図9に示すように箱枠状のケース体37に前記屈曲誘導樋10の供給通路36と連通する球流路38と、前記球流路38の一側に外周部を突出させることにより該球流路38を流下するパチンコ球によって従動回転するように回転軸39によって鉛直面内で回転自在なるように支持したスプロケット40と、球流路38の他側で前記回転軸39より下部位置にて窓孔41から該球流路38中に臨んで最先のパチンコ球を支持する先端部が出没するように支軸42に回転自在に軸支された作動体43と、該作動体43の後端部に係合片44を介してプランジャーヘッド45を係止させているアクチュエータたるソレノイド46とを備えている。
【0029】
なお、48は投光器と受光器とからなる光学式の球計数用センサで、該センサ48は作動体43により制止されるパチンコ球の僅かに下流位置で、しかも球流路38の中心線からずれた位置でその光軸が交差するように配置され、該作動体43による制止が開放された直後のパチンコ球がこの光軸を遮ることで該パチンコ球を検知する。また、49は作動体43により制止されたパチンコ球とその1つ上に停止しているパチンコ球との隙間を光軸が通過するように配置された制御用センサである。また、前記センサ48,49は上記のような光学式に限らず磁気式近接センサ等種々のセンサを使用可能である。
【0030】
前記球流路38はほぼ垂直状をしており、球入口を前記球誘導樋9の主流路21と同じパチンコ球が半複数列でランダムに流下し得る21mmの幅広の内幅を有し、前記スプロケット40および作動体43が臨む下流部は緩やかな円弧状傾斜面(約50R)によって該スプロケット40が回転し得る方向に向ってパチンコ球ほぼ1個分の12mmに絞り込んでいる。なお、前記屈曲誘導樋10の終端をパチンコ球ほぼ1個分の12mmに絞り込んで、球流路38の球入口を同幅の12mmとしてもよい。
【0031】
また、前記スプロケット40の爪部40bは球流路38内にて連なっているパチンコ球間に介入しパチンコ球どうしを非接触状態に離間させるので、球計数用センサ48による検知が容易となり検知ミスがなくなって払出球数に過不足が生じるのを確実に防止することができる。さらに、前記スプロケット40の各爪部40bの先端は嘴状に尖った形状に形成され、この爪先と球流路38の側壁との間でパチンコ球が架橋状態となることを防ぐようにしている。
【0032】
この球払出装置11では、パチンコ球の直径とスプロケット40の歯底部40aの半径との和が球流路38中に突出した作動体43の先端部と該スプロケット40の中心との距離よりも大であるように設定されているので、該作動体43の先端部が球流路38中に突出することにより、パチンコ球を該作動体43の先端部とスプロケット40の歯底部40aとの間に静止させることができ、これによって該パチンコ球の払出しが停止される。また前記作動体43の先端部が球流路38から後退して、パチンコ球の直径とスプロケット40の歯底部40aの半径との和が球流路38中に突出した作動体43の先端部と該スプロケット40の中心との距離よりも小となることで該パチンコ球の払出しがなされる。
【0033】
また、この球払出装置11では、球流路38中に作動体43の先端部が突出する途中過程で、スプロケット40の中心とパチンコ球と該作動体43の先端部とが略々一直線に並ぶときも該パチンコ球の外周面とスプロケット40の歯底部40aとの間に常に隙間が形成されるように、前記歯底面40aの形状,寸法および回転軸39の位置が設定されている。この隙間があることにより、例えば停電時、あるいは所定数のパチンコ球が払い出されたところでソレノイド40が消磁され作動体43の先端部が突出する際に、パチンコ球が前記作動体43の先端部によって押されても該パチンコ球は前記スプロケット40を回転させつつこの隙間に逃げ込む余裕があることとなるので、架橋状態となるおそれがなく球噛みすることがない。
【0034】
このように構成した球払出装置11では、常態ではコイルバネ51の弾性により作動体43の先端部が球流路38中に突出していて該作動体43の先端部とスプロケット40の歯底部40aとの間にパチンコ球が静止され、該球流路38中のパチンコ球の流下を止めるようにしている。そして、ソレノイド46が励磁されることによってプランジャーヘッド45がコイルバネ51の弾性に抗して牽引されることから前記作動体43は支軸42を中心として回転し、作動体43の先端部が球流路38から後退しパチンコ球は自重により払い出される。
【0035】
上記した球誘導樋9および屈曲誘導樋10,球払出装置11等が装着されたパチンコ遊技機に図示しない補給経路からパチンコ球が補給されると、球タンク8の底壁15の傾斜によって導出口16からパチンコ球が球誘導樋9に流出して、屈曲誘導樋10を介して球払出装置11に供給される。このとき、球誘導樋9において主流路21に二段状でジグザグ状に並ぶと共に副流路22にもランダムに並ぶが、副流路22の後半部が上り傾斜となっていることから後半部にパチンコ球のない空間部ができる。
【0036】
この状態で貸球または賞球の払出し信号が発せられると球払出装置11ソレノイド46が励磁されプランジャーヘッド45が牽引されると、作動体43の先端部が球流路38中から没してパチンコ球は自重により払い出され、球検知センサ48により所定個数を検知するまで払出しを続ける。このとき、球流路38のパチンコ球は図9鎖線に示すようにジグザグ状の状態から下流側の傾斜面で徐々に絞られスプロケット40により所定の球間隔をあけるようにして球検知センサ48によって確実に検知される。そして、高速の払出しが行われても球流路38の通路幅が幅広であるため、パチンコ球どうしの球心間隔がパチンコ球1個分より小さくなり、球流路38を単列で供給される場合と異なりパチンコ球間に隙間が空くことがなく、球詰りすることなく次々にスプロケット40に送り込まれて連続状態で確実に歯底部40bに受入れられて高速の払出しにも十分対応することができる。
【0037】
また、前記球誘導樋9のパチンコ球は、導出口16の下方に位置する始端部である球受部90が幅広の急傾斜面であることから局所的に球圧が掛かることがない。しかも、初速度を速めて球詰りが起りやすい導出口16部においてパチンコ球が滞留することがなく、球詰りの要因であるバランスを崩し球詰りが起こることがない。そして、前記払出し動作に伴って主流路21のパチンコ球がほぼ二段に重なった状態で流下し、副流路22のパチンコ球は異傾斜が交差した変傾線Cに沿って主流路21と合流する。また、球タンク8への補給時等により導出口16に球圧が強く掛かったときには副流路22の後半部が主流路21の傾斜に対して負角であることから副流路22のパチンコ球は逆傾斜を上りながら終端の前側壁18の湾曲により主流路21に誘導され、合流地点17で一気に合流することなく球圧が分散吸収して弱められた状態で合流する。しかも、副流路22の合流地点17での高さ位置がパチンコ球ほぼ1個程度であることから、副流路22のパチンコ球はほぼ高さ位置を変えることなく主流路21を流下する二段目のパチンコ球間に無理なく合流し得る。
【0038】
また、主流路21のパチンコ球が流下するのに伴い上段のパチンコ球は、払出し動作によって最先のパチンコ球から順次移動する僅かなタイミングのずれにより下段を流下するパチンコ球間に生じる隙間に割り込んで一段に整列されて屈曲誘導樋10に導かれる。このときまだ段状で流下するパチンコ球は前記蓋部材23により強制的に一段に球均しされる。また、払出しを停止した時に惰性により主流路21の終端に上流側の球圧が掛かり屈曲誘導樋10との接続部付近でパチンコ球が再度段状になり得るが、逆に段状になることで球圧が吸収されることになり、球払出装置11に過重な球圧が掛かることはない。しかも、段状になったパチンコ球は、球誘導樋9の終端部が急傾斜となっていることで下段のパチンコ球の流速が上流側より速く、段状となったパチンコ球が下段のパチンコ球間にすぐに落入して一段で流下することになる。
【0039】
このように、主流路21が単流であっても該主流路21の側方に副流路22が拡幅状に設けられ、しかも導出口16に相対し該導出口16からのパチンコ球を受ける球受部90を幅広の急傾斜面としたので、球タンク8の導出口16を所定幅に広く開口することができる。さらに、段差等のパチンコ球の動きが規制される要因がなくパチンコ球が幅方向に自由に移動し得るために局所的に球圧が掛かることがなく、球タンク8の導出口16での球圧を分散して球詰りを防止する。また、副流路22の後半部の傾斜角度を主流路21の傾斜角度より負角に設定することにより、副流路22を流下するパチンコ球が強引に合流することがないため、球圧によって球詰りを起すことなく主流路21へスムーズに合流させることができる。
【0040】
また、主流路21との合流地点17の段差をほぼパチンコ球1個分とすることで、球誘導樋9としての高さを低く設定できるために従来に比べて球誘導樋9を上方に上げることができ、それに伴い機構板6の窓部7を大きくすることができる。このため、パチンコ遊技機の遊技内容が高度化し、遊技盤3に設けられる可変表示装置等の中央役物13やその遊技内容を制御する回路基板が大きくなり、それに伴ってその回路基板を収納する基板ボックス5が大きくなっても十分に対応することができる。また、当然のことながら球誘導樋9の成形が簡単になり、嵩張ることがないため保管および輸送コストが低減する。
【0041】
なお、上記実施の形態において主流路21の通路幅を21mmとしたが、本発明はこの通路幅に限定されるものではなく、パチンコ球の径とほぼ等しい12mmからパチンコ球が幅方向に3個並ばない35mm程度の範囲が好ましい。また、前記球受部90および主流路21,副流路22の傾斜角度は実施の形態に限定されるものではなく、球誘導樋9の長さおよび大きさによって適宜設定変更可能である。例えば球受部90の傾斜角度は、好ましくは10°〜45°の間で変更するのがよい。というもの緩傾斜にするとパチンコ球が滞りがちになり、さらに急傾斜にすると球圧が強くなりすぎて球詰り等の弊害を起すからである。好ましくは図10に示すように球受部90を可動自在にして傾斜角度を無段階または多段階に任意で変更可能とするのがよい。このとき可動自在とした球受部90の下流側を軸支92して該球受部90を最も傾斜させた状態で上流側に生じる隙間でパチンコ球が滞留しないようにするのが好ましく、図上球誘導樋9の上流側壁を前記支軸92を中心とした円弧状に形成して前記隙間をパチンコ球の半球以下としている。なお、可動自在とした球受部90の固定手段は特に限定されるものではなく、螺着,圧着等種々な方法が考えられる。
【0042】
図11乃至図15は、他の実施の形態を示す。この実施の形態において、前記実施の形態と異なる点は主に球誘導樋の主流路21を仕切壁53により区画し、パチンコ球が複列で流下するようにした点であり同じ構成要素には同一符号を付して説明する。なお、球誘導樋の変更にともない屈曲誘導樋および球払出装置も変更する。
【0043】
この実施の形態の球誘導樋9Aは、図11乃至図13に示すように、球タンク8の導出口16の下方に位置する始端部を幅方向に自由に移動できるように幅広の球受部90として形成し、その下流に仕切壁53によって前記主流路21をパチンコ球ほぼ1個分(約12mm)の幅員を有しパチンコ球を整列して導く2列の緩傾斜状の球通路21a,21bに区画形成すると共にそれぞれの球通路21a,21bに対応するように前後面壁18,19を膨出して主流路21とほぼ同じ幅員を有する副流路22a,22bを設けている。そして、前記副流路22a,22bは少なくとも後半部を前記球通路21a,21bに対して負角となるようにすることにより、球通路21a,21bと徐々に段差を形成し合流地点17a,17bではほぼパチンコ球1個程度の高低差を生じるようにしている。なお、図12において底壁の傾斜方向を矢印にて示している。また、前記仕切壁53は、前記急傾斜の球受部90の下方位置を始端として徐々に高くなり最高点で2段に積み重なったパチンコ球の球心を支持する高さを有している。そして、仕切壁53の終端部は徐々に低くなりパチンコ球のほぼ1個程度として、前記蓋部材23の下面に設けられた挟持溝54により挟持され仕切壁53が撓むのを防止するようにしている。このように、球誘導樋9Aは球通路21a,21bおよび副流路22a,22bが仕切壁53を介して対称的に設けられており、球通路21a,21bの底部20には前記実施の形態で示したゴミ落とし孔26が千鳥状の同じパターンで設けられている。また、底壁20下面には前記実施の形態で示した三角板状の翼片27がリブを介して所定間隔で設けられている。なお、図12に示す矢印は底壁20の傾斜方向を示している。
【0044】
また、この実施の形態において球タンク8の導出口16は一辺をパチンコ球3個程度が落下可能な約38mm四方の開口としている。また、前記球誘導樋9Aに連通する屈曲誘導樋10は仕切壁55により通路幅が12mmに区画されたものが装着され、その下方に取着される球払出装置11Aもそれに対応するものが装着される。具体的には、球払出装置11Aは図14および図15に示すように、本体ベース56と駆動モータ57とリードスクリュー58によって大略構成されている。本体ベース56には屈曲誘導樋10の供給通路36a,36bに接続する2条の流入通路59a,59bがそれぞれ形成されている。前記駆動モータ57はモータ取付フレームを介して本体ベース56に取付けられており、これの出力軸57aに前記リードスクリュー58が固着されている。このリードスクリュー58は流入通路59a,59bの最先端部のパチンコ球を支持して移送する移送部としての突条60を螺旋状に設けて構成されており、該突条60は、本実施の形態の場合、リードスクリュー58が1回転することによって流入通路59a,59bの最先端部のパチンコ球を排出通路61a,61bに払出すようにその螺旋形状が選ばれている。また、前記排出通路61a,61bにはリードスクリュー58の回転によって払出されるパチンコ球を検出する球計数用センサ62a,62bが設けられている。
【0045】
そして、球タンク8にパチンコ球が供給されると導出口16から急傾斜面の球受部90に落下して球誘導樋9A等にパチンコ球が充満する。このとき副流路22a,22bの後半部が逆傾斜となっていることからパチンコ球がない状態となっている。この状態で払出し信号が出されると、球払出装置11Aの駆動モータ57が作動し、リードスクリュー58が回転し流入通路59a,59bに連続状態で待機するパチンコ球が突条60に支持されつつ排出通路61a,61bを下降し、リードスクリュー58が1回転するとその最先のパチンコ球が突状60の支持から外れて球計数用センサ62a,62bで計数され、排出樋12に排出される。そして、球計数用センサ62a,62bで所定数のパチンコ球が計数されると球払出装置11Aの駆動モータ57が停止する。
【0046】
また、前記球誘導樋9Aにおいては上記払出し動作に伴って主流路21の両球通路21a,21bのパチンコ球が流下し、それぞれの副流路22a,22bのパチンコ球が前記実施の形態と同様に異傾斜によって形成される変傾線Cに沿って球通路21a,21bに合流し、導出口16からの球圧によっては合流地点17a,17bにおいて、副流路22a,22bの逆傾斜を上ることにより球圧を減衰されたパチンコ球が主流路21の両球通路21a,21b下段のパチンコ球上に斜め上方から割り込み合流する。このとき仕切壁53の始端部が導出口16の相対位置になく、しかも該導出口16の相対位置が急傾斜面の球受部90となっていることから幅方向の移動が自由となり仕切壁53に当接しても球圧によりどちらかの球通路21a,21bに振分けられることになり仕切壁53によって球噛みを起すことがない。
【0047】
なお、球払出装置11Aは上記したものに限定されるものではなく、複数の球通路21a,21bのパチンコ球を同時または交互に払出すものであってもよい。さらに、球誘導樋9Aの複数の球通路21a,21bに対して1個の球払出装置11Aを設けることなく、前記球誘導樋9Aの各球通路21a,21bに対して例えば貸球および賞球用の球払出装置をそれぞれ設けるようにしてもよく、一方の球払出装置だけが作動して一方の球通路21a(21b)のパチンコ球が流下しても球誘導樋9Aの始端部が幅広の急傾斜状の球受部90となっていることから、パチンコ球が常に幅方向に分散し滞留することがなく他方の球通路21b(21a)側からもパチンコ球が補給されるように移動するため、球詰りおよび球切れすることもなく確実に球払出装置に供給することができる。このようにそれぞれの副流路22a,22bのパチンコ球を独立して流下させることで、上記構造の球誘導樋9Aの特徴を遺憾なく発揮することができる。なお、球通路21a,21bおよび副流路22a,22bの幅員および傾斜角度は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0048】
また、図16に示すように導出口16の下方に相対位置する球誘導樋9(9A)の幅広の球受部90を上流側のパチンコ球1個程度の始端部を緩やかな傾斜部91としてもよく、恰も球タンク8の導出口16がずれたようになり球タンク8の端部のパチンコ球が緩やかな傾斜部91で一旦受けられることで球圧が緩衝され、導出口16から一気に流出することなく他のパチンコ球の球圧等の状況に応じて導出口16から流出する。
【0049】
また、前記実施の形態において、仕切壁53を介して球通路21a,21bおよび副流路22a,22bを対称的に設けるようにしたが、球誘導樋9Aの始端部を主流路の傾斜角度より大きい幅広の急傾斜状の球受部とする本発明の基本構成を逸脱しない範囲であれば、それぞれの球通路21a,21bおよび副流路22a,22bの幅員および傾斜角度を変更し異ならせるようにしてもよい。
【0050】
例えば図17に示すように、球誘導樋9Bは球タンク8の導出口16と相対する球受部90を、球通路21a,21bの傾斜角度より大きい幅広の急傾斜面としており、前記球受部90の下流から始まる仕切壁53により形成される球通路21a,21bのそれぞれをパチンコ球よりやや幅広の約14mmの幅員として、球誘導樋9Bの終端にて仕切壁53を途切らせて前面壁18を徐々に狭めて約24mmの通路幅に絞り込んで単列で流下するようにしている。そして、それぞれの球通路21a,21bに対応する副流路22a,22bをパチンコ球が複数列または半複数列にランダムに流下し得る36mmの通路幅とパチンコ球よりやや幅広の14mmの通路幅としている。これにより、球誘導樋9Bの全幅が後述する球タンク8の全幅とほぼ等しくなり、球誘導樋9B全体のパチンコ球貯留量を多くすることができる。また、球通路21a,21bの前面壁18側を絞り込んで単流にすることで、副流路22a,22bの幅員により球量の多い球通路21a側の流速が球通路21bより僅かに速くなるのを抑制して流速調整することになり、スムーズに単列に合流させることができる。なお、複列の球通路21a,21bのそれぞれの傾斜角度を異ならせることでも流下速度を変化させることは可能である。
【0051】
そして、副流路22a,22bの前半部を前記球通路21a,21bの傾斜角度に対してそれぞれ−2°の負角として2°の緩やかな緩傾斜にして、球通路21a,21bと副流路22a,22bの流速および球圧を異ならせると共に球通路21a,21bと副流路22a,22bとに徐々に段差を生じさせるようにしている。一方の副流路22bの後半部を、長手方向にのみ傾斜して前記球通路21bの傾斜角度4°に対して−14°の負角とした10°の逆傾斜状の上り傾斜とし、他方の副流路22aの後半部は球通路21aの傾斜角度4°に対して最大−16°の負角とした12°の上り傾斜とすると共に底部が球通路21aから離れるに従って高くなるようにして球通路21a側にも傾斜させ、湾曲状に膨出した前後面壁18,19により誘導される合流地点17a,17bではそれぞれほぼパチンコ球1個程度の高低差を生じるようにしている。なお、図17において底壁の傾斜方向を矢印にて示している。
【0052】
また、前記副流路22aの終端は、前面壁18を第一絞り部18aと第二絞り部18bとにより段階的に狭くして、前記第一絞り部18aの前面壁18を球圧によりパチンコ球が上り得る上面拡開状に傾斜させており、第二絞り部18bをパチンコ球が1個程度支持される幅でパチンコ球3個分程度の長さとしている。そして、下流側の逆傾斜部64は、球通路21a側に約12°〜14°下傾して球通路21aから離れるに従って高くなる球圧抑制部65と、さらに稜線を介して10°〜12°球通路21a側に下傾する誘導補助部66と、前記第二絞り部18bに位置し球通路21a側にのみ緩やかに下傾する球逃し通路部67とで構成している。なお、この実施の形態において前記球逃し通路部67が前記合流地点17aに相応する。
【0053】
図18は上記球誘導樋9Bに対応して設けられる球タンク8の一例を示し、従来ホールにおいて独自で球切れセンサSを球タンク8に装着することがあり、前記センサSが嵩張ることから球タンク8の貯留量が所定量より少なくなり、特に補給時に球タンク8の前面壁14側からパチンコ球が溢れ出すという問題があった。そこで、図18に示すように球タンク8の前側壁14側に沿うように前記導出口16とは別に少なくともパチンコ球1個が落下し得る幅を有する球落下口68を形成し、前側壁14側から零れ出ていたパチンコ球を該球落下口68から下方に位置する球誘導樋9Bの副流路22aに落下するようにしている。なお、前記球落下口68の上流部を除く開口縁は5mm程度のリブ壁69によって囲われており、底壁15の最下段のパチンコ球のほとんどは前記導出口16から流出する。また、前記リブ壁69は前記球落下口68の中央を分断するようにも設けられ前側壁14側の撓みを防止すると共に前記センサSの位置決めの機能もなしている。さらに、前記球落下口68を設けることで前記導出口16に一気に球圧がかかることがなく、球圧を分散することができ導出口16での球詰りも解消し、導出口16を必要以上に大きく開口することがないため、多量のパチンコ球が導出口16から一気に流出して起きる球誘導樋9Bでの球詰りも解消するという効果を奏する。
【0054】
また、前記球誘導樋9Bに連通する屈曲誘導樋10は供給通路36の通路幅が24mmの幅員を有するものが装着され、その下方に取着される球払出装置11Bもそれに対応するものが装着される。具体的には、図19および図20に示すように該球払出装置11Bは箱枠状のケース体70に前記屈曲誘導樋10の供給通路36と連通する屈曲状の球流路71と、該球流路71に臨み最先のパチンコ球を支持する回転体72と、該回転体72の拘束から解除されたパチンコ球が払出される排出通路73とを備え、ケース体70に前記回転体72を駆動する電気的駆動源としてのモータ74が取付けられる。前記球流路71と排出通路73との連通部はガイド壁75により回転体72の中心側に絞り込まれ通路幅をパチンコ球のほぼ1個程度としている。また、前記排出通路73は、回転体72の回転方向に約5°の傾斜で振っており、パチンコ球の回転体72からの拘束解除を速くして、側壁での摩耗をし難くしている。76は回転体72の拘束から解放された直後のパチンコ球を検知する球検知センサである。
【0055】
また、前記回転体72は、合成樹脂により成形され図19および図20に示すように本実施の形態では球流路71の中心に位置して前記球流路71を流下するパチンコ球を支持し得る16mmの寸法を有しており、その中心をモータ軸74aに取付けモータ74の回転により幅方向と直交する方向に回動するようにしている。そして、前記回転体72の周面に軸方向と平行な溝状の球受凹部77を複数(本実施の形態では6条)形成し、該球受凹部77間を一部直線部を有する巴形としている。また、前記球受凹部77はほぼパチンコ球径に等しく、その深さは約3.5mmであり、前記球流路71にランダムに並んだパチンコ球を1個のみ受入れる形状が選ばれる。そして、前記球受凹部77の一側部に交互となるように球支持部78が設けられ、前記球支持部78の上面は内方に下傾する傾斜面としており、球受凹部77にパチンコ球が受入れられていない場合には該傾斜面によって必ず球受凹部77にパチンコ球が受入れられるようにしている。したがって、球流路71の最先のパチンコ球がどこに位置してもいずれかの球受凹部77で必ず受入れることになる。なお、前記球受凹部77の数は球支持部78が球受凹部77の側方に交互に設けられることから必ず偶数となる。
【0056】
そして、払出し信号により球払出装置11Bが駆動すると、回転体72が回転し球受凹部77で前記球流路71の最先のパチンコ球を受入れて1個ずつ排出通路73に払出す。このとき図20に示すように球流路71をパチンコ球がほぼ並列状にランダムに流下するも確実に1個ずつ球受凹部77に受入れられ、球支持部78に支持されたパチンコ球が傾斜面により内方に寄りながら次の球受凹部77に受入れられる。このとき前記球支持部78を巴形にすることにより、球支持部78で支持されたパチンコ球をさらに素早くスムーズに球受凹部77に受入れさせることができる。
【0057】
また、前記球誘導樋9Bにおいては上記払出し動作に伴って主流路21の両球通路21a,21bのパチンコ球が流下し、常態において前記副流路22a,22bのパチンコ球は、副流路22a,22bを異傾斜とすることにより生ずる変傾線Cに沿ってパチンコ球が主流路21の球通路21a,21bに合流する。このとき球通路21a,21bのパチンコ球は通路幅が14mmと僅かにパチンコ球の径(11mm)より大きいことから下段のパチンコ球は左右に偏位してジグザグ状に流下し、それに伴い上段のパチンコ球も僅かに偏って位置している。このため、副流路22a,22bのパチンコ球は球通路21a,21bに合流しやすくなる。また、副流路22a,22bを流下するパチンコ球の球圧が大きいと、副流路22a,22bのパチンコ球は異傾斜を上り球圧を減少した状態で合流地点17a,17bから球通路21a,21bに合流する。特に副流路22a側のパチンコ球は、球圧により前記球圧抑制部65を上り球圧を減少するが、さらに大きい球圧がかかると前記球圧抑制部65の終端である第一絞り部18aの湾曲状の傾斜面をのぼり、球圧を減少させた状態で誘導補助部66から球通路21aを流下するパチンコ球の上段に載るようにして合流する。また、前記誘導補助部66により誘導されて球通路21aに合流しようとするパチンコ球は、球通路21aの流速に負けて合流し損ねても、誘導補助部66を上りながら前記球逃し通路部67に移動し、球圧から解放された状態で第二絞り部18bの湾曲した前面壁18に誘導されて球詰りすることなく該球逃し通路部67からスムーズに合流させることができる。そして、払出し動作によるパチンコ球の移動のタイミングがずれることにより、最下段のパチンコ球間の隙間に上段のパチンコ球が割り込み整列し、終端で単列に合流して前記球払出装置11Bにパチンコ球を確実に供給することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態において球タンク8および球誘導樋9(9A,9B)等を機構板6に装着するようにしたが、実施の形態に限定されることなく前面枠2または遊技盤3等に直接設けるようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の「パチンコ遊技機」は、パチンコ球を使用して賞球等を球払出装置から払出す遊技機を意味し、雀球遊技機,アレンジボール式遊技機,パチンコ球を使用した回胴式遊技機(パチロット)等の遊技機をも含む。
【0060】
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、本発明においては、少なくとも球タンクの導出口と相対位置する球誘導樋の始端部を同一傾斜面の球受部とすると共に傾斜角度を球払出装置にパチンコ球を導く主流路に比して大きく設定し、前記主流路に並設した副流路の少なくとも後半部を前記主流路の傾斜に対して緩傾斜状乃至逆傾斜状となるように設定したことで、球タンクの導出口から流出するパチンコ球の球圧が局所的に掛かることがなく、しかも急傾斜とすることで初速度を速めて球詰りを起しやすい導出部に相対する球受部でパチンコ球が滞留することがない。したがって、ひしめき合って球噛みが起きるような事態を確実に解消すると共にパチンコ球をスムーズに流下させることができる。また、副流路上のパチンコ球を主流路に無理なく合流させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ遊技機の裏面図である。
【図2】球誘導樋の斜視図である。
【図3】球誘導樋の分解斜視図である。
【図4】球誘導樋部分の正面断面図である。
【図5】機構板に取付けた状態の球誘導樋の平面図である。
【図6】球誘導樋の底面図である。
【図7】図5のX−X線断面図である。
【図8】図5のY−Y線断面図である。
【図9】球払出装置部分の正面断面図である。
【図10】他の実施の形態の球誘導樋部分の要部断面図である。
【図11】他の実施の形態の球誘導樋部分の正面断面図である。
【図12】図11の球誘導樋の平面図である。
【図13】図12のZ−Z線断面図である。
【図14】他の実施の形態の球払出装置の斜視図である。
【図15】球払出装置部分の正面断面図である。
【図16】他の実施の形態の球誘導樋の要部断面図である。
【図17】他の実施の形態の球誘導樋の平面図である。
【図18】他の実施の形態の球タンクの平面図である。
【図19】他の実施の形態の球払出装置部分の正面断面図である。
【図20】図19の側断面図である。
【符号の説明】
8 球タンク
9,9A,9B 球誘導樋
11,11A,11B 球払出装置
16 導出口
17,17a,17b 合流地点
20 底壁
21 主流路
21a,21b 球通路
22,22a,22b 副流路
53 仕切壁
90 球受部

Claims (3)

  1. 球タンクの底壁に開設された導出口に相対し該導出口からの落下球を受ける幅広の球受部と、前記球受部の下流に位置しパチンコ球を整列して導く主流路と、前記主流路に並設され下流に向って次第に幅員を狭くして該主流路に合流する副流路とで構成され、
    前記球受部は前記主流路より急傾斜状に形成すると共に、その下流端部が該導出口下方位置を越えており、
    前記副流路は少なくとも後半部を前記主流路より緩傾斜状乃至主流路に対し逆傾斜状に形成したことを特徴とするパチンコ遊技機の球誘導樋。
  2. 前記主流路は仕切壁により2列に区画されていることを特徴とする請求項1記載のパチンコ遊技機の球誘導樋。
  3. 前記副流路は前記主流路との合流地点でパチンコ球1個程度の段差を生じるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のパチンコ遊技機の球誘導樋。
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