[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態のパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する)を図1〜図15に基づいて説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面が前面枠10Zに覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能となっている。
ガラス窓10Wの下方には、上皿26と下皿27とが上下2段に並べて配置されている。パチンコ遊技機10の前面に向かって上皿26の右側方には、上皿26に貯留された遊技球を下皿27に排出する球抜きボタン26Aが備えられている。下皿27の右側方には、図示しない、所謂、ドル箱に遊技球を排出する球排出ボタン27Aが備えられると共に、球貸し状態表示モニタ27B及び球貸し操作ボタン27Cが備えられている。また、下皿27の左側方には、操作ボタン28Aが備えらている。さらに、パチンコ遊技機10の前面のうち、右下角部には操作ノブ28Bが備えられている。操作ノブ28Bを操作すると、上皿26に貯留された遊技球が、順次、遊技領域R1へと弾き出される。
遊技領域R1は略円形状となっていて、ガイドレール12により囲まれている。遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、遊技板表示窓11Wが貫通形成され、遊技板表示窓11Wを通して液晶表示装置24の液晶画面24Gが前方に臨んている。
遊技板表示窓11Wの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から遊技板表示窓11Wに嵌め込まれて遊技板11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、始動入賞口14A,14B、大入賞口15、アウト口16が上から順に並べて配置され、大入賞口15の左右両側にはガイドレール12に沿って複数の一般入賞口20が配置されている。遊技領域R1を流下した遊技球が始動入賞口14A,14Bの何れかに入球すると当否判定が行われて、その当否判定結果が液晶画面24Gにて表示される。そして、当否判定結果が当りになると、複数ラウンドに亘って所定期間(例えば、10秒)、大入賞口15に遊技球が入賞可能となり、これにより大入賞口15に多くの遊技球が入球する。これら入賞口14A,14B,15,20に遊技球が入球すると、パチンコ遊技機10の裏側に備えられた払出装置50から所定数(例えば、1球入球に付き、一般入賞口20では1個、始動入賞口14A,14Bでは4個、大入賞口15で10個)の遊技球が上皿26に払い出される。なお、これら入賞口14A,14B,15,20の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口16に取り込まれ、遊技板11の下方に備えられた図示しないダクトからパチンコ遊技機10が設置された遊技ホールの遊技球循環システムに送られる。
図2に示すように、パチンコ遊技機10の裏側には、機構板13が備えられ、この機構板13に種々の部品が組み付けられている。機構板13は、合成樹脂で構成され、全体として遊技板11より縦方向に長い矩形状になっていて、遊技板11の裏面側に重ねて取り付けられている。機構板13には、遊技板11の貫通孔11Wと対向する位置に図示しない表示窓が形成され、その表示窓に液晶表示装置24が取り付けられてパチンコ遊技機10の裏側に露出している。
ところで、パチンコ遊技機10の裏側には、遊技球循環システムから排出された遊技球を払出装置50へと案内する傾斜樋30と垂下樋40とが備えられている。傾斜樋30は、パチンコ遊技機10の上辺部に配置され、緩やかに傾斜して延びている。垂下樋40は、パチンコ遊技機10の右側辺部に配置されて鉛直方向に延び、その中間部に払出装置50が配置されている。以下、各部位について詳説する。なお、以下の説明においては、特記しない限り、「右側」とは、パチンコ遊技機10を裏側から見たときの「右側」をいい、その反対を「左側」ということとする。
傾斜樋30は、図5に示す樋構成体30Kから構成されている。樋構成体30Kは、全体が透明な樹脂で構成され、図示しない取付片にて機構板13にビス留めされている。
傾斜樋30は、球受部31と第1導入部33と第2導入部35とを備えている。球受部31は、図3に示すように、パチンコ遊技機10の左上端寄り位置から中央位置にかけて配置され、その上方に遊技球循環システムの図示しない排出口が備えられている。球受部31は、平面形状が略四角形の上面開放のタンク構造をなし、図8に示すように、内部に遊技球を複数列複数段又はランダム複数段、収容可能な大きさになっている。
図5に示すように、球受部31には、その底面中央に前後方向に延びる稜線31Aが備えられ、球受部31の底面が稜線31Aに向かって傾斜した左側傾斜面31Lと右側傾斜面31Rとになっている。稜線31Aの機構板13と反対側の端部付近からは、第1導入部33が下方に段付き状に突出し、その球受部31の右側傾斜面31Rと第1導入部33の底面33Mとの間が段差壁33Dになっている。図8に示すように、段差壁33Dは、鉛直に起立し、その高さが下流側に向かって徐々に高くなり、最も高いところで遊技球の直径の1倍以上、2倍未満となっている。
なお、本実施形態では、右側傾斜面31Rが段付き状に傾斜した構成になっているが、左側傾斜面31Lと同様に、右側傾斜面31R全体が同じ傾斜であってもよい。また、左側傾斜面31Lを、右側傾斜面31Rと同様に、段付き状に傾斜させた構成であってもよい。
図7に示すように、第1導入部33は、遊技球、1つ分流下可能は幅になっていて、球受部31の側壁31Sに沿って水平方向で直線状に延びてから後方に緩やかに屈曲し、そこから水平方向で遊技板11と略平行に延びている。また、球受部31の後方側の右角部は、第1導入部33の下流側の直線部分に向かって徐々に幅狭になった絞り部32になっている。その絞り部32の第1導入部33に向かって傾斜した傾斜側壁32Aは、第1導入部33の下流側で段差壁33Dと合流し、遊技球が複数段、積上げ可能な高さの流路となっている(図8参照)。これにより、球受部31で複数列複数段又はランダム複数列になった遊技球群が絞り部32で徐々に絞られて、第1導入部33を通過したときには、1列複数段に整列される。
第1導入部33と第2導入部35との間には、水平方向で湾曲した関所部34が備えられている。関所部34は、第1関所部34Aと、第2関所部34Bとから構成されている。第1関所部34Aは、第1導入部33の端部から後方に傾斜し、そこから直線状に延びた後、前方に傾斜している。第2関所部34Bは、第1関所部34Aの端部から直線状に僅かに延びた後、後方に緩やかに傾斜している。第1関所部34Aは、第2関所部34Bに比べて後方に膨出し、比較的、きついカーブになっている一方、第2関所部34Bは、緩やかなカーブになっていて、滑らかに第2導入部35に連絡している。また、これら第1関所部34A及び第2関所部34Bは、遊技球、1つ分、流下可能な幅になっている。
第2導入部35は、第2関所部34Bの端部から水平方向から見て遊技板11と略平行に延び、下方に略直角に屈曲した垂下樋40に連絡している。また、第2導入部35は、関所部34と同様に、遊技球、1つ分の幅をなしている。
図8に示すように、第1導入部33から第2導入部35の範囲にかけては、流路が天井面39Jにて覆われている。詳細には、図6に示すように、第1導入部33から第2導入部35の始端部にかけては、側壁の上端部にカバー体39が架け渡され、そのカバー体39のうち、第1及び第2の導入部33,35と関所部34の底面33M,34M,35Mとの対向面が天井面39Jになっている。図8に示すように、カバー体39は、第1導入部33の下流側で底面33Mに向かって湾曲した湾曲部39Kを備えている。これにより、第1導入部33では、底面33Mに対して、例えば、遊技球の直径の4倍程度、上方から天井面39Jが対向しているのに対し、関所部34から第2導入部35では、底面34M,35Mに対して、例えば、遊技球の直径の2倍以上3倍未満、上方から天井面39Jが対向している。この構成により、第1導入部33から関所部34に進入する1列複数段の遊技球群が、天井面39Jによって1列2段に整列される。
一方、第2導入部35の中間部から終端部にかけては、後述するケース体40Kの内部に形成されており、対向する側壁の間に架け渡された天井壁35Jの底面35Mとの対向面が天井面39Jになっている。天井壁35Jは、底面35Mに対して、遊技球の直径の1倍以上、2倍未満の高さをあけて対向し、終端部が垂下樋40に向かって円弧状に湾曲すると共に、底面35Mに向かって徐々に接近している。なお、樋構成体30Kとケース体40Kは、樋構成体30Kの右端部とケース体40Kに形成された連通孔40Aとが連通した状態で機構板13に固定されている。そして、これら樋構成体30Kの一部とケース体40Kの一部とで本発明に係る第2導入部35が構成されている。
図7に示すように、第1導入部33から第2導入部35のうち、関所部34の第1関所部34Aと第2関所部34Bとの間には境界線P1が備えられ、この境界線P1を境に上流側と下流側とで底面の勾配が異なっている。具体的には、図9に示すように、第1導入部33から第1関所部34Aまでの底面33M,34M1は、比較的、勾配が緩い、例えば、θ1=5度で設定されているのに対し、第2関所部34Bから第2導入部35の中間部までの底面34M2,35M(35M1)は、底面33M,34M1に比べて急勾配、例えば、θ2=10度に設定されている。これにより、図8に示すように、第1関所部34Aで流下速度を抑えられた1列2段の遊技球群が第2関所部34Bへと進入すると、遊技球の流下加速度が上がり、1列2段の遊技球群の先頭から遊技球が1つずつ離脱していき、1列1段に引き伸ばされる。
また、本実施形態では、第2導入部35の中間部に境界線P2が備えられ、第2導入部35の中間部以降の底面35M2が第2関所部34Bから第2導入部35の中間部までの底面34M2、35M1よりさらに急勾配な、例えば、θ3=15度に設定されている。これにより、1列1段に引き伸ばされた遊技列を、勢いよく垂下樋40へと流下させることができる。
カバー体39には、天井面39Jから底面35Mに向かって積上規制部39Tが突出している。積上規制部39Tは、第2導入部35の中間部でかつ境界線P2より上流側に位置し、底面35Mに対して、遊技球の直径の1倍以上、2倍未満の高さをあけて対向している。これにより、仮に第2導入部35に遊技球群が1列2段で進入してきたとしても、積上規制部39Tにより確実に遊技球群を1列1段に引き伸ばして、垂下樋40へと案内することができる。
さて、垂下樋40は、図2に示したケース体40Kの内部に形成されている。ケース体40Kは、前後方向に扁平で上下に細長い略直方体形状になっていてる。また、全体が透明な樹脂から構成され、ケース体40Kの外側から1列になった遊技球列が流下する様子を透視可能となっている。
ケース体40Kは、第1ケース体81と第2ケース体82と払出装置50とから構成され、第1ケース体81と第2ケース体82との間に払出装置50を配置してなる。第1ケース体81は、支持ベース81S(図10参照)とバックプレート81Bとから構成され、垂下樋40の流路を挟んでバックプレート81Bと支持ベース81Sの前面壁である支持プレート81Pとが前後方向で対向している。支持プレート81Pとバックプレート81Bとは、概ね同じ形状になっていて、支持プレート81Pの後面から突出した外周壁81Wがバックプレート81Bに突き当てられた状態で、支持プレート81Pが機構板13に重ねられてビスにて固定されている。なお、払出装置50及び第2ケース体82においても、第1ケース体81の構造と同様に、支持ベース50S,82Sとバックプレート50B,82Bとから構成され、支持ベース50S,82Sの前面壁が支持プレート50P,82Pになっていて、支持プレート50P,82Pの後面から突出した外周壁50W,82Wがバックプレート50B、82Bに突き当てられた状態で、支持プレート50P,82Pが機構板13に重ねてビスにて固定されている。
垂下樋40は、上流側から順に第1〜第5の流路41〜45で構成され、第1〜第4の流路41〜44が第1ケース体81に形成される一方、第5流路45が第2ケース体82に形成され、第4流路44と第5流路45との間が払出装置50に形成された払出流路50Rを介して連絡している。以下、各部位毎に説明する。
図10に示すように、第1ケース体81には、左上端部に支持ベース81Sの外周壁81Wを切り欠いてなる前述の連通孔40Aが設けられている。支持ベース81Sには、バックプレート81Pに向かって流路側壁が起立していて、連通孔40Aから第2導入部35及び第1〜第4の流路41〜44が延びている。
詳細には、流路側壁の一部は、連通孔40Aから右下がりに傾斜して延び、第2導入部35の底面35Mを構成している。底面35Mの終端部から第1ケース体81の右側辺部に沿って鉛直に延びた流路側壁は、直線壁41A,41Bになっていて、第1流路41を構成している。さらに、直線壁41A,41Bの下端部から左側方に屈曲して、左側の側壁81Wまで左下がりに傾斜した流路側壁は、傾斜壁42A,42Bになっていて、第2流路42を構成している。傾斜壁42A,42Bの下端部から左側辺部に沿って鉛直に延びた流路側壁は、直線壁43A,43Bになっていて、第3流路43を構成している。第3流路43は、図13に示すように、その下端部が前後方向で遊技球の直径の1/2倍程度、前方に屈曲したクランク屈曲部46になっている。クランク屈曲部46が位置する第1ケース体81の下端部分は左右方向の全体に亘って前方に屈曲し、クランク屈曲部46に連続する次述する第4流路44はそれより上流側の第1〜第3の流路41〜43に比べて前方に配置されている。図10に示すように、直線壁43A,43Bの下端部から延びる流路側壁は、右側方に屈曲して水平方向で遊技板11と平行に緩やかに傾斜した傾斜壁44A,44Bと、傾斜壁44A,44Bの下端部から第1ケース体81の右側辺部に沿って鉛直に延びた直線壁44C,44Dとになっていて、これら傾斜壁44A,44B及び直線壁44C,44Dによって第4流路44を構成している。そして、支持プレート81Pとバックプレート81Bとが遊技球1つ分の間隔をあけて対向すると共に、対向する流路側壁同士が遊技球1つ分の間隔をあけて対向することで、第1〜第4の流路41〜44が1列構造となっている。なお、流路側壁の一部は、外周壁81Wに兼用されていると共に、第1〜第4の流路41〜44の屈曲部分は、滑らかな曲線で連絡されている。
ここで、第3流路43のうち、クランク屈曲部46より上流側の直線部分が、本発明の「検出用直線部」に相当し、クランク屈曲部46及び第4流路44の傾斜壁44A,44Bにより構成された傾斜直線部44Eが、本発明の「下側減速用屈曲部」に相当する。そして、本実施形態では、第3流路43に進入した遊技球列が、遊技球列の途中に空隙が生じた状態でクランク屈曲部46及び傾斜直線部44Eを通過すると、クランク屈曲部46と第3流路43と第4流路44との屈曲部分で遊技球列の流下速度が減速されて、少なくとも2球分の空隙を1/3球以下に縮めることができるようになっている。
図10に示すように、第1ケース体81のうち、第2導入部35の下方で第1流路41の上流側の左側方には、第1検出部61が備えられている。第1検出部61は、支持プレート81Pに形成された位置決め部83,83の間に配置され、支持部61Sの一端部に直動片61Hを直動可能に支持している。直動片61Hは台形状になっていて、直動片61Hから側方に突出した楔状の一端部が押圧部61Aになっている一方、他端部が検知部61Bになっている。そして、直動片61Hは、直線壁41Aに貫通形成された挿通孔41Hから押圧部61Aの先端部が突出するように一端側に付勢され(以下、「第1位置」という)、第1流路41を遊技球が通過すると、押圧部61Aが押されて挿通孔41H内に退避する(以下、「第2位置」という)。これにより、検知部61Bが図示しないセンサーに検出され、第1流路41内の遊技球の有無が検出される。
図14に示すように、第1ケース体81のうち、第3流路43と第2流路42と第4流路44とによって囲まれた包囲領域R2には、第2検出部62が備えられている。第2検出部62は、回動軸62Jを有し、その回動軸62Jから検知レバー62Aと付勢レバー62Fとを張り出したレバー構造となっている。回動軸62Jは、第3流路43の直線壁43Bに貫通形成された検知窓43Hのうち、第3流路43と反対側の開口縁に配置され、支持プレート81Pとバックプレート81Bとの間で水平方向に延びている。検知窓43Hは、検知レバー62Aが収容可能な大きさになっている。
検知レバー62Aは、平板状をなして第3流路43の流下方向に延びている。また、検知レバー62Aの第3流路43と反対側の側面には、突片62Tが突出していると共に、突片62Tと直交する遮蔽片62Bが突出している。突片62Tは、検知レバー62Aの長手方向に沿って一端部から回動軸62Jにおける付勢レバー62Fの基端部まで延びている。遮蔽片62Bは、検知レバー62Aの幅方向全体に亘って延びかつ突片62Tより突出量が大きくなっている。また、遮蔽片62Bは、その先端部が楔形状となっている。
付勢レバー62Fは、略菱形状をなし、検知レバー62Aと一体に回動可能となっていて、その自重が検知レバー62A、突片62T及び遮蔽片62Bより重くなっている。これにより、第2検出部62が、図14に示す検知レバー62Aが第3流路43内に突出した第1位置に付勢されている。付勢レバー62Fは、その一側辺部がバックプレート81Bから突出した係止壁81Kと面当接可能となっていて、これにより第2検出部62が回動範囲の一端で規制されている。そして、第3流路43を遊技球が通過すると、図15に示すように、遊技球が検知レバー62Aを押圧することで、検知レバー62Aが第3流路43から退避する。すると、突片62Tがバックプレート81Bから突出した規制片81Tに面当接して第2位置に配置され、これにより検知レバー62Aが回動範囲の他端で規制される。検知レバー62Aは第2位置に位置すると、鉛直方向に延びて、第3流路43を向く側面が第3流路43の直線壁43Bと面一になる。
また、包囲領域R2には、第2検出部62の下方に検知基板73が配置されている。検知基板73のうち、遮蔽片62Bの回動領域と重なる位置には、検知スイッチ72が実装されている。検知スイッチ72は、門型状のフォトセンサであり、投光部72Aと受光部72Bとが上下方向で対向するように配置されている。そして、検知スイッチ72は、図14に示すように、検知レバー62Aが第1位置に配置されたときには、投光部72Aと受光部72Bとの間で投受光が可能なオン状態となる一方、図15に示すように、検知レバー62Aが第2位置に配置されたときには、投光部72Aと受光部72Bとの間に遮蔽片62Bが配置されて投受光が遮断されるオフ状態となる。これにより、第3流路43内の遊技球の有無が検出される。
ところで、図15に示すように、検知レバー62Aは、遊技球が当接可能な当接領域T1における遊技球の流下方向の長さが遊技球の1.5球分以上、2球分以下になっている。これにより、第3流路43内の遊技球列の途中に遊技球、遊技球、2球分より小さい空隙がある場合には、検知レバー62Aは第2位置に維持されて、検知スイッチ72がオフ状態に保たれる一方、遊技球、2球分以上の空隙(以下、「特定空隙」ということとする)がある場合には、検知レバー62Aが第1位置に復帰して、検知スイッチ72がオン状態に切り替わる。これにより、遊技球列の途中に特定空隙があると判別されて、払出装置50による払い出しが中断される。
また、第2検出部62及び検知スイッチ72は、垂下樋40内の遊技球が空になったことを検出する球切れ検出部に兼用されている。これにより、検知スイッチ72が所定期間、オン状態の場合に払出装置50への遊技球の供給が途絶えていると判定し、球切れスイッチとして作動する。なお、第2検出部62及び検知スイッチ72が、本発明の「遊技球検出手段」に相当する。また、回動軸62Aが本発明の「移動軸」に相当し、検知レバー62Aが本発明の「検知部」に相当する。
図11に示すように、払出装置50の支持プレート50Pには、バックプレート50Bに向かって払出流路50Rを構成する流路側壁が起立している。流路側壁の一部は、払出装置50の右側辺部に沿って直線状に延びる直線壁53A,53Bになっていて、これら直線壁53A,53Bによって払出流路50Rの直線部53が構成されている。また、流路側壁の一部は、直線壁53A,53Bの下端部から左側方に屈曲して膨らむように湾曲して、そこから傾斜して延びる湾曲壁54A,54Bになっていて、これら湾曲壁54A,54Bによって払出流路50Rの湾曲部54が構成されている。そして、支持ベース50Sとバックプレート50Pとが遊技球1つ分の間隔をあけて対向すると共に、直線壁53A,53B及び湾曲壁54A,54B同士が遊技球1つ分の間隔をあけて対向することで、払出流路50Rが1列構造となっている。なお、直線壁53Bは、支持ベース50Sの側壁50Wに兼用されている。
支持ベース50Sのうち、湾曲部54の中間部、左側方には、回転部材52が備えられている。回転部材52は円柱状をなし、中心軸52Jが湾曲壁54Aの傾斜に沿って斜めに配置されている。また、回転部材52には、外周面から側方に張り出した螺旋状突壁52Rが備えられ、螺旋状突壁52Rが湾曲壁54Aに貫通形成された挿通孔54Hから湾曲部54内に突入して遊技球の通過を規制している。
回転部材52の上方には、ステッピングモータ51が配置されている。ステッピングモータ51は、その回動軸51Jが中心軸52Jと同軸になるように配置されている。そして、出力シャフト51Sが回転部材52に係合して、回転部材52が回転駆動可能となっている。これにより、払出条件が成立すると、ステッピングモータ51が駆動して回転部材52が回転し、螺旋状突壁52Rの下端部が湾曲部54内を通過して払出流路50Rから遊技球が払い出される一方、特定空隙がある場合には、ステッピングモータ51が駆動を停止して、払い出しを中断する。なお、ステッピングモータ51が、本発明に係る「払出制御部」に相当する。
図12に示すように、第2ケース体82の支持プレート82Pには、バックプレート82Bに向かって第5流路45を構成する流路側壁82Rが起立している。第5流路45は、払出流路50Rの終端部から鉛直に延びてから左右方向でU字状に屈曲して延びている。第5流路45の下方には、左右方向に遊技球、複数個分の幅を有する貯留空間46が配置され、その貯留空間46の下端部から上皿排出路46Aと下皿排出路46Bとが鉛直に延びている。第5流路45は、その下流部分が上皿排出路46Aに向かって傾斜し、第5流路45から排出された遊技球を貯留空間46を経て上皿排出路46Aへと案内するようになっている。上皿排出路46A及び下皿排出路46Bの終端部には、機構板13側に排出口40B,40Cが貫通形成されており、これら排出口40B,40Cから図示しない流下樋を通って遊技球が上皿26又は下皿27へと払い出される。
支持ベース50Sのうち、第5流路45がU字状に屈曲した部分には、第3検出部63が備えられている。第3検出部63は、回転軸63Jから検知レバー63Aと遮蔽レバー63Bとを張り出したレバー構造をなしている。検知レバー63Aは、平板状になっていて、自重により第5流路45内に突出するように付勢されている。そして、第5流路45を遊技球が通過すると、検知レバー63Aが遊技球に押されて第5流路45から退避する。これにより、遮蔽レバー63Bが図示しないセンサにて検出され、第5流路45の遊技球の有無が検出される。
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、このパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。傾斜樋30の球受部31に収容された複数列複数段又はランダム複数段に積み上がった遊技球群は、絞り部32、第1導入部33、関所部34を経て、第2導入部35を通過するときには1列1段に引き延ばされる。そして、第2導入部35の終端部から略鉛直に屈曲した垂下樋40へと進入する。
遊技球列は、鉛直に延びた第1流路41により流下速度が上がり、スムーズに屈曲して第2流路42へと流下する。このとき、第1検出部61の押圧部61Aは、遊技球に押されて直動片61Hが第2位置に移動する。そして、遊技球列が第2流路42から鉛直に延びた第3流路43へと進入すると、再び、流下速度が上がり、払出装置50へと流下していく。すると、第2検出部62の検知レバー62Aが、図15に示すように遊技球に押されて第1位置から第2位置に移動する。
そして、遊技球列が払出装置50の払出流路50Rに流れ込み、直線部53を経て湾曲部54に至る。払出条件が成立するまでの間、遊技球列の先頭の遊技球が回転部材52の螺旋状突壁52Rにて通過を規制された状態となる。遊技領域R1を流下した遊技球のいくつかが、入賞口14A,14B,15,20の何れかに入球するか又は球貸し操作ボタン27Cが操作されると、払出条件の成立により、払出装置50のステッピングモータ51が回転駆動される。すると、回転部材52が回転し、螺旋状突壁52Rの下端部から所定個数の遊技球が払出流路50Rから排出されて、第5流路45から上皿26又は下皿27へと払い出される。
ところで、遊技球列の途中に空隙が生じた状態で、払い出し動作中の払出装置50に遊技球列が流れ込むと、球詰りが起きる虞がある。これに対し、本実施形態のパチンコ遊技機10では、払出装置50の上流にクランク屈曲部46と傾斜直線部44Eとを設けたので、遊技球列の途中に空隙が生じた場合に、少なくとも遊技球、2球分の空隙をこれらクランク屈曲部46及び傾斜直線部44Eを通過することで1/3球分以下に縮められた状態で払出装置50に遊技球列を送給することができる。また、クランク屈曲部46と傾斜直線部44Eで減速させてから遊技球列を払出装置50に送給するので、球詰まりを減少させることも可能となる。一方、遊技球列の途中にクランク屈曲部46及び傾斜直線部44Eで1/3球分以下に縮めることが困難な遊技球、2球分以上の特定隙間が遊技球列の途中に生じた場合には、検知レバー62Aの当接領域T1における遊技球の流下方向の長さを2球分以下としたので、特定空隙を検知レバー62Aの回動位置、即ち、第1位置に復帰したことに基づいて検出し、この検出結果に基づいて、払出装置50の払い出しを中断する。これらにより、払出装置50に1/3球分より大きな空隙を含んだ遊技球列が供給されることが減少し、払出装置50における球詰まりを減らすことができる。
そして、払い出しの中断に伴い、遊技球列が停止すると、特定隙間を挟んだ後続の遊技球又は遊技球列が前の遊技球列に追い付いて特定隙間が解消される。その後、第3流路43内を遊技球列が通過して、検知レバー62Aが第2位置に移動して払出装置50による払い出しが再開されると、遊技球列がスムーズに払出装置50に流れ込む。
また、本実施形態では、検知レバー62Aの当接領域T1における遊技球の流下方向の長さは、1.5球分以上であるので、特定空隙ではない空隙の発生に応じて過度に払出装置50による払い出しを中断することを低減することができる。
払出装置50の遊技球の払い出しに伴って、遊技球循環システムから新たに排出された遊技球又は球受部31に収容されていた遊技球が、順次、第1導入部33へと案内される。そして、上述の如く、1列1段に整列された後、続々と垂下樋40に流れ込み、払出装置50へと流下する遊技球が補給される。
ここで、払出装置50への遊技球の供給が途絶えると、第2検出部62の検知レバー62Aが球切れスイッチとして作動して、遊技球が補給される。本実施形態では、第2検出部62を遊技球の有無の検出に加えて、球切れ検出部に兼用したので、それらを別々に設けた場合に比べて製造コストが抑られかつ構成をコンパクトにすることができる。
このように、本実施形態によれば、払出装置50における球詰まりが減るので、従来、球詰まりの頻度増加のために払出装置における遊技球の流下速度を上げることができなかったところが、流下速度を上げることが可能になる。また、従来は、流下速度を上げることができなかったために2列構造の垂下樋を1列構造にすることができなったところを、1列構造にすることが可能になる。そして、垂下樋を1列構造にすることで、パチンコ遊技機10の裏面側における部品の配置スペースを広くすることができる。
また、本実施形態では、第2検出部62は、検知レバー62Aを第1位置に付勢するために付勢レバー62Fの自重を利用しているので、バネ等の弾発力を利用する場合に比べて付勢力の変動が抑えられ、安定した特定空隙の検出が可能になる。しかも、検知レバー62Aの位置を検出する検知スイッチ72が非接触式であるので、接触式の場合のように検知レバーの回動抵抗が変動するようなことがなく、安定した特定空隙の検出が可能になる。
さらに、本実施形態では、包囲領域R2に検知スイッチ72を実装した検知基板73を配置したので、包囲領域R2の有効利用が図られ、コンパクトな構成にすることができる。さらに、付勢レバー62Fの下方に、検知スイッチ72を構成する投光部72A及び受光部72Bを配置し、それら投光部72A及び受光部72Bの間に進退する遮蔽片62Bを検知レバー62Aの先端部に設けたことで、検知レバー62Aと検知スイッチ72とがコンパクトにまとまる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、払出装置50を垂下樋40の途中に配置した構成になっていたが、垂下樋40の終端部に配置した構成であってもよい。
(2)前記実施形態では、垂下樋40が第1〜第5の流路41〜45で構成されていたが、例えば、第1及び第2の流路41,42を排除した構成であってもよい。
(3)前記実施形態では、第2検出部62が、遊技球の有無の検出と、球切れ検出とに兼用されていたが、第2検出部62とは別に球切れ検出部を備えた構成であってもよい。
(4)前記実施形態では、検知スイッチ72が非接触式であったが、接触式であってもよい。
(5)前記実施形態では、第2検出部62の検知レバー62Aを第1位置に付勢するために付勢レバー62Fの自重を利用していたが、例えば、バネの弾発力を利用した構成であってもよい。
(6)前記実施形態では、クランク屈曲部46が、前方に屈曲した形状になっていたが、後方に屈曲した形状であってもよいし、左右方向に屈曲した形状であってもよい。
(7)前記実施形態では、第2検出部62が回動軸62Jを中心に第1位置と第2位置との間を回動する構成になっていたが、第1検出部61と同様に、第1位置と第2位置との間を移動する構成であってもよい。
なお、上記実施形態には、以下の[特徴1]〜[特徴6]が含まれている。
[特徴1]
遊技機の裏側の上辺部に沿って延び、上方から供給される複数の遊技球を一端部で受けて他端部に流下させるように底面が傾斜した傾斜樋と、
前記傾斜樋の他端部から下方に延びた垂下樋と、
前記垂下樋の途中又は下端部に設けられて遊技球を堰き止め、予め定められた払出条件の成立に起因して、予め定められた所定複数の遊技球を通過させて遊技者に払い出す払出装置とを備えた遊技機において、
前記垂下樋のうち前記払出装置より上流側に、鉛直方向に延びかつ前記遊技球の有無を検出するための遊技球検出手段を有した検出用直線部と、前記検出用直線部の上端部に連続しかつ屈曲した上側減速用屈曲部と、前記検出用直線部の下端部に連続しかつ屈曲した下側減速用屈曲部とを設けて、前記検出用直線部内の遊技球列の途中に空隙が生じた場合に、少なくとも遊技球2球分の空隙を前記下側減速用屈曲部内で1/3球分以下に縮めるように遊技球を前記下側減速用屈曲部内で減速し、
前記遊技球検出手段は、上下方向に延びて、前記垂下樋の内部に突出した第1位置と、前記第1位置より前記垂下樋内への突出量が小さい第2位置との間で移動すると共に前記第1位置に付勢され、前記垂下樋内の遊技球に押されて前記第2位置に移動する検知部と、前記検知部が前記第1位置と前記第2位置と何れに位置しているかを検出する検知スイッチとからなり、
前記検知部は、遊技球が当接可能な部位の上下方向の長さが遊技球1.5球分以上、2球分以下をなし、
前記検知部が前記第1位置に位置していると前記検知スイッチが検出したことを以て、前記検出用直線部内の遊技球列の途中に遊技球2球分以上の特定空隙が生じたか否かを判別し、前記特定空隙が生じたと判定したときに前記払出装置による払い出しを中断する払出制御部を備えた遊技機。
特徴1の遊技機では、垂下樋に、遊技球の有無を検出するための遊技球検出手段を有した検出用直線部と、検出用直線部の下端部に連続した減速用屈曲部とが設けられ、検出用直線部内の遊技球列の途中に空隙が生じた場合に、少なくとも遊技球2球分の空隙が減速用屈曲部内で1/3球分以下に縮められた状態で遊技球列が払出装置に送給される。そして、減速用屈曲部で1/3球分以下に縮めることが困難な特定空隙(遊技球2球分以上の空隙)が検出用直線部内の遊技球列の途中に生じた場合には、払出装置による払い出しを中断する。これらにより、払出装置に1/3球分より大きな空隙を含んだ遊技球列が供給されることが減少し、払出装置における球詰まりを減らすことができる。また、遊技球の有無によって位置が変わる検知部のうち、遊技球が当接可能な当接領域における遊技球の流下方向の長さが2球分以下であるから、遊技球2球分以上の特定空隙を検知部の位置に基づいて検出することができる。さらには、遊技球が当接可能な当接領域における遊技球の流下方向の長さは、1.5球分以上であるので、特定空隙ではない空隙の発生に応じて過度に払出装置による払い出しを中断することを低減することができる。
[特徴2]
前記遊技球検出手段を、前記垂下樋内の遊技球が空になったことを検出する球切れ検出部に兼用した特徴1に記載の遊技機。
特徴2の遊技機では、遊技球検出手段を、垂下樋内の遊技球が空になったことを検出する球切れ検出部に兼用しているので、それらを別々に設けた場合に比べて製造コストが抑られかつ構成がコンパクトになる。
[特徴3]
前記垂下樋は、複数の遊技球を1列に並べて流下させる1列構造をなしている特徴1又は2に記載の遊技機。
上記したように本発明によれば、払出装置における球詰まりが減るので、従来、球詰まりの頻度増加のために払出装置における遊技球の流下速度を上げることができなかったところが、流下速度を上げることが可能になる。また、従来は、流下速度を上げることができなかったために2列構造の垂下樋を1列構造にすることができなったところを、特徴3の発明のように、1列構造にすることが可能になる。また、垂下樋を1列構造にすることで、遊技機の裏面側における部品の配置スペースを広くすることができる。
[特徴4]
前記検知部は、前記垂下樋外で略水平になった移動軸を有し、その移動軸から前記検知部が延びたレバー構造をなし、前記垂下樋の外部に位置して前記検知部と一体に移動する遮蔽片を備え、
前記検知スイッチは、前記遮蔽片の移動領域を挟んで対向した投光部と受光部とを有し、前記検知部が前記第1位置及び前記第2位置の一方に位置したときに前記遮蔽片によって前記投光部と前記受光部との間の投受光を遮られ、前記検知部が前記第1位置及び前記第2位置の他方に位置したときに前記投光部と前記受光部との間の投受光が可能になることでオンオフされる特徴1乃至3の何れか1に記載の遊技機。
特徴4の遊技機では、検知部の位置を検出する検知スイッチが非接触式であるので接触式の場合のように検知部の抵抗が変動するようなことがなく、安定した特定空隙の検出が可能になる。
[特徴5]
前記移動軸から前記検出用直線部と反対側に延びて前記検知部と一体に移動すると共に、自重により前記検知部を前記第1位置に付勢する付勢レバーと、
前記垂下樋の前記検出用直線部に前記移動軸の下方に設けられ、前記検知部と対向する検知窓とを備え、
前記遮蔽片を、前記検知部の先端部から前記検知窓に向かって突出させて、その遮蔽片の前記移動領域を前記付勢レバーの下方まで延ばし、前記投光部及び前記受光部を、前記付勢レバーの下方に配置した特徴4に記載の遊技機。
特徴5の遊技機では、検知部を第1位置に付勢するために付勢レバーの自重を利用しているので、バネ等の弾発力を利用する場合に比べて付勢力の変動が抑えられ、安定した特定空隙の検出が可能になる。また、その付勢レバーの下方に、検知スイッチを構成する投光部及び受光部を配置し、それら投光部及び受光部の間に進退する遮蔽片を検知部の先端部に設けたことで、検知部と検知スイッチとがコンパクトにまとまる。
[特徴6]
前記下側減速用屈曲部は、前記検出用直線部の下端部から前記移動軸の軸方向にクランク状に屈曲したクランク屈曲部と、前記クランク屈曲部の下端から前記移動軸と直交する面内で屈曲して斜め下方に延びた傾斜直線部とを有し、
前記傾斜直線部の上方で前記検出用直線部の側方となる空間に前記投光部及び前記受光部を実装した検知基板が配置されている特徴4又は5に記載の遊技機。
特徴6の遊技機では、下側減速用屈曲部に含まれる傾斜直線部の上方空間で検出用直線部の側方となる空間に投光部及び受光部を実装した検知基板が配置され、前記上方空間の有効利用が図られ、コンパクトな構成にすることができる。