以下、本発明の一実施形態を図1〜図20に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の遊技機10はパチンコ遊技機であって、前側が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技盤11の遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ハンドル28が設けられている。操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
図2に示すように、遊技領域R1は全体が略円形状となっていて、ガイドレール12により囲まれている。遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、遊技盤表示窓11Hが貫通形成され、この遊技盤表示窓11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。
遊技盤表示窓11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から遊技盤表示窓11Hに嵌め込まれて遊技盤11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、センター始動入賞口14A及びアウト口16が、上から順に並べて設けられている。センター始動入賞口14Aは、ポケット構造をなし、その上面の開口部に遊技球が入球すると特別図柄当否判定が行われて、その特別図柄当否判定の結果が表示画面13Gにて表示される。
表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が設けられると共に、表示装飾枠23の右辺部のうち始動ゲート18より下方位置には、サイド始動入賞口14Bが形成されている。始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、遊技球が始動ゲート18を通過すると普通図柄当否判定が行われる。また、サイド始動入賞口14Bは、右側に開口し、可動片14Hによって開閉される。具体的には、可動片14Hは、通常は、鉛直に起立した閉位置に配置され、上述の普通図柄当否判定の結果が当りとなったことを条件にして、下端部を中心に回動し、横倒しとなった開位置(図2に示す位置)に配置される。開位置に配置された可動片14Hは、上方から流下する遊技球を受け止めてサイド始動入賞口14Bへと案内する。センター始動入賞口14Aと同様に、サイド始動入賞口14Bに遊技球が入球したときも、特別図柄当否判定が行われ、その結果が表示画面13Gにて表示される。
表示装飾枠23の右下には、左下がりに傾斜し且つ複数の球落下口25Aを有した傾斜誘導部25が形成されている。傾斜誘導部25は、表示装飾枠23の右側に形成された右側流下路24Rを流下してきた遊技球を受け止めて左側へと誘導し、球落下口25Aから遊技球を落下させる。なお、詳細には、傾斜誘導部25は、複数の釘を列状に並べて構成される道釘で構成されている。
傾斜誘導部25における複数の球落下口25Aの下方には、第1大入賞部30が設けられている。第1大入賞部30は、前方に開口した横長矩形状の第1大入賞口31を有し、その第1大入賞口31が第1開閉扉41によって開閉されるようになっている。第1開閉扉41は、第1大入賞口31の下方開口縁を中心にして回動可能となっていて、通常は、略鉛直に起立した状態に保持されて、第1大入賞口31を閉塞している。
第1大入賞部30の下方には、第2大入賞部60が設けられている。第2大入賞部60は、第1大入賞口31より幅広な横長矩形状の第2大入賞口61を有し、その第2大入賞口61が第2開閉扉81によって開閉されるようになっている。第2開閉扉81は、第2大入賞口61の下方開口縁を中心にして回動可能となっていて、通常は、起立姿勢に保持されて、第2大入賞口61を閉塞している。なお、第1大入賞口31と第2大入賞口61とは、右辺部が揃えて配置されている。
第1大入賞口31と第2大入賞口61は、上述した特別図柄当否判定の結果が当りとなったことを条件にして行われる大当り遊技の実行中に開放される。具体的には、大当り遊技が実行されると、第1開閉扉41と第2開閉扉81の何れか一方が、所定期間(例えば、10秒)に亘って前方に倒れる。これにより、第1大入賞口31と第2大入賞口61の何れか一方に遊技球が入球可能となる。ここで、何れか一方の大入賞口31,61を入賞可能状態(所定期間内に繰り返し行われる開閉動作も含む)としてから入賞不可状態とするまでの(開放状態から閉塞状態までの)動作を「ラウンド」と称すると、1回の大当り遊技は、所定回数(例えば、16ラウンド)のラウンドが実行されるまで継続する。1回のラウンドは、大入賞口31,61の開放時間が予め設定された上限時間に達するか、又は、規定上限数(例えば、10個)の遊技球が入賞すると終了する。本実施形態では、第1大入賞口31と第2大入賞口61が、1ラウンドごと交互に開放されるように構成されている。なお、本構成によれば、ラウンド終了直後(短いインターバル時間を有する構成も含む)に、次のラウンドを開始することが可能となるので、第1大入賞口31及び第2大入賞口61へ向けて打ち出された遊技球の取りこぼしが低減されると共に、大当り遊技を迅速に消化することが可能となる。
図2に示すように、遊技領域R1には、遊技球が入球可能な一般入賞口21が複数設けられている。一般入賞口21は、センター始動入賞口14Aと同様に、ポケット構造をなし、遊技球を受け入れ可能となっている。詳細には、一般入賞口21は、遊技領域R1における左下部分と第1大入賞部30の右側に配置されている。なお、センター始動入賞口14A、サイド始動入賞口14B、第1大入賞口31、第2大入賞口61及び一般入賞口21の何れかに遊技球が入球すると、各入賞口に対応して設定された所定数の賞球が上皿26に払い出される。また、上記の何れの入賞口にも入球しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に取り込まれる。
以下、第1大入賞部30及び第2大入賞部60について、詳説する。図3に示すように、第1大入賞部30は、第1大入賞口31の後方に第1入賞部屋32を備えている。第1入賞部屋32は、左右方向に延びた横長構造をなし、遊技盤11の前面に対して後側に陥没している。図5及び図8に示すように、第1入賞部屋32の左側壁32Lには、検出スイッチ34が備えられ、その検出スイッチ34に形成された検出孔34Aが、第1入賞部屋32に連通している。そして、遊技球が検出孔34Aを通過すると、第1大入賞部30への遊技球の入賞が確定する。
第1入賞部屋32の底部には、左下がりに傾斜した誘導スロープ33が形成されていて、第1入賞部屋32に受け入れられた遊技球を誘導スロープ33にて検出孔34A側へと誘導することが可能となっている。具体的には、検出スイッチ34は、矩形板状のスイッチ本体34Bの一端寄り位置に検出孔34Aを備えた構造をなして、検出孔34Aを通過した遊技球を検出する。そして、図5に示すように、スイッチ本体34Bは、検出孔34Aの中心軸が誘導スロープ33と略平行となるように配置されている。これにより、誘導スロープ33により誘導された遊技球を検出孔34Aへとスムーズに通過させることが可能となる。検出孔34Aを通過した遊技球は、球排出路38を流下して第1大入賞部30から排出される。
図6に示すように、第1入賞部屋32の奥面のうち検出孔34Aから離れた側(右側)の部分には、検出孔34A側(左側)へ向かうに従って第1入賞部屋32の奥行きが大きくなるように傾斜した奥側傾斜部35が形成されている。本構成によれば、奥側傾斜部35によって、第1入賞部屋32の右側部分に受け入れられた遊技球を検出孔34A側へと誘導することが可能となる。
第1入賞部屋32のうち検出孔34A側の部分には、第1入賞部屋32の奥行きが略一定となるように遊技盤11の前面と略平行になった奥側平坦部36が形成されている。また、奥側傾斜部35と奥側平坦部36の間には、少なくとも一部が奥側平坦部36と平行となった段差部35Dが設けられている。本構成によれば、奥側傾斜部35によって第1入賞部屋32の奥側に誘導される遊技球の勢いを段差部35Dで低減させることが可能となる。なお、本実施形態では段差部35Dを設けているが、図7で示すように、段差部35Dを設けず、奥側傾斜部35と奥側平坦部36とを、奥側に凹むように円弧状に湾曲した円弧部35Rで繋ぐ構成としてもよい。この構成の場合は、遊技球の流れをスムーズにすることが可能となる。
次に、第1大入賞口31を開閉する第1開閉扉41について説明する。図9(A)に示すように、第1開閉扉41は、矩形板状の扉本体42と、扉本体42の下端部から左右両側に突出した回動軸部41J,41Jとを備えている。回動軸部41J,41Jは、第1大入賞口31の開口縁の両側部に回動可能に支持される。
図9(B)に示すように、扉本体42の左右両辺部からは、1対のサイド突片41S,41Sが裏側に突出し、扉本体42の裏面で受け止めた遊技球が左右両側から落下することを抑制可能となっている。また、1対のサイド突片41S,41Sのうち右側のサイド突片41Sは、回動軸部41Jに対して扉本体42と反対側に突出した後方突部48を有している。そして、その後方突部48に、第1駆動源44(図3参照)からの動力を受けて回動軸部41Jを中心に第1開閉扉41を回動させるための駆動軸部43が備えられている。
図9(B)に示すように、第1開閉扉41(扉本体42)の裏面は、第1開閉扉41が開位置に配置されたときに、後下がりに傾斜して遊技球を第1入賞部屋32へと誘導する誘導面41Mとなっている。また、図9(B)に示すように、第1開閉扉41の裏側には、第1開閉扉41の幅方向(即ち、左右方向)で対向するように1対の誘導突部45,46が突出形成されている。
図6及び図9(B)に示すように、1対の誘導突部45,46のうち検出孔34Aから離れた側、即ち、右側に配置される第1誘導突部45は、誘導面41Mにおける奥側の隅部に配置され、左右方向に延びて略水平な稜線部45Eを上部に有している。第1誘導突部45のうち稜線部45Eより前側に配置される部分には、前側が先細りとなる平面視三角形状をなして稜線部45Eから前下がりに傾斜する三角上面45Aが備えられている。そして、第1誘導突部45のうち三角上面45Aより左側部分が、左斜め前方へ下り且つ下端部が幅広な三角形状の第1傾斜面45Bとなっている。なお、第1誘導突部45のうち三角上面45A及び第1傾斜面45Bの後側に配置には、回動軸部41Jと同軸の円弧面の一部を切除してなる円弧状後面45Cで構成されている。
1対の誘導突部45,46のうち検出孔34A側、即ち、左側に配置される第2誘導突部46は、誘導面41Mにおける左側の端部に配置され、左右方向に延びて略水平な稜線部46Eを上部に有している。第2誘導突部46のうち稜線部46Eより前側に配置される部分には、後側が幅狭となる平面視台形状をなして稜線部46Eから前下がりに傾斜する台形上面46Aが備えられている。そして、第2誘導突部46のうち台形上面46Aより右側部分が、右斜め後方へ下り且つ下端部が幅広な三角形状の第2傾斜面46Bとなっている。なお、第2誘導突部46のうち台形上面46Aの後側には、回動軸部41Jと同軸の円弧面の一部を切除してなる円弧状後面46Cが備えられ、その円弧状後面46Cの右側の端部と第2傾斜面46Bとの間が、連絡面46Dにて連絡されている。
本実施形態の遊技機10では、図6及び図9(B)に示すように、第1開閉扉41に1対の誘導突部45,46が設けられることで、誘導面41Mに、遊技球を検出孔34A側へと誘導する誘導路47が形成されている。具体的には、誘導路47は、第1誘導突部45と第2誘導突部46との挟まれた部分と、第1傾斜面45Bと、第2傾斜面46Bと、によって構成されている。
図6に示すように、誘導路47の右側の縁部(第1誘導突部45。詳細には、第1傾斜面45Bの下端部。)は、第1入賞部屋32へ向かうに従って左側へ向かうように直線状に傾斜した第1誘導傾斜部45Kとなっている。そして、第1誘導傾斜部45Kの延長線L1上に、上述した検出孔34Aが配置されている。なお、ここで、第1誘導傾斜部45Kは、上述した第1入賞部屋32の奥側傾斜部35と略平行に配置されている。
また、図6に示すように、誘導路47の左側の縁部(第2誘導突部46。詳細には、第2傾斜面46Bの下端部。)は、検出孔34Aよりも右側に配置され、第1入賞部屋32へ向かうに従って左側へ向かうように直線状に傾斜した第2誘導傾斜部46Kとなっている。このように、本実施形態では、誘導路47の左右の縁部(第1誘導傾斜部45Kと第2誘導傾斜部46K)が共に、奥側へ向かうに従って検出孔34Aへ向かうように配置されている。
また、図4に示すように、誘導路47の右側部における奥側(第1入賞部屋32側)の縁部(詳細には、第1傾斜面45Bの奥側の縁部)には、誘導スロープ33と略平行となるように左下がりに傾斜した傾斜受け渡し部45Lが形成されている。これにより、誘導スロープ33と誘導路47の間の高低差が大きくなることが抑えられる。
次に、第1大入賞部30の動作について説明する。第1大入賞部30は、通常の遊技状態では、第1大入賞口31に遊技球が入球困難な閉状態となっている。具体的には、図10に示すように、第1開閉扉41が略鉛直に起立した閉位置に配置されて、第1大入賞口31を閉塞する。このとき、第1開閉扉41は、第1大入賞口17の開口縁と当接することで閉位置に位置決め(移動規制)されている。なお、第1開閉扉41のサイド突片41S,41Sは、サイド受容凹部32S,32Sに受容される。
大当り遊技が開始されると、所定のラウンドで、第1大入賞部30は、第1大入賞口31に遊技球が入球可能な開状態となる。具体的には、図11に示すように、第1開閉扉41が回動軸部41Jを中心に回動して、第1開閉扉41を側方から見ると後下がり(前上がり)に傾斜した開位置に配置される。そして、第1開閉扉41は、誘導面41Mにて遊技球を受け止めて第1大入賞口31へと誘導可能な状態となる。このとき、第1開閉扉41は、後方突部48(図9(B)参照)が右側のサイド受容凹部32S(図5参照)の奥壁に下方から当接することで、閉位置に位置決めされている。
第1大入賞部30に遊技球を入球させるためには、遊技領域R1の右側流下路24Rを流下させる。右側流下路24Rを流下してきた遊技球は、傾斜誘導部25によって第1大入賞部30の上方へと誘導され、球落下口25Aから落下する。このように、第1大入賞部30へ入球する遊技球は、遊技領域R1の右側から流下してくるので、第1開閉扉41が遊技球を受け止める範囲は、右側に偏り易くなる。一方で、第1入賞部屋32から遊技球を排出させる検出孔34Aは、第1入賞部屋32の左側に配置されている。その結果、第1開閉扉41にて受け止めた遊技球を検出孔34Aから排出するまでの時間がかかり易くなり、1回のラウンドを終了させるために必要な規定上限数以上の遊技球が第1入賞部屋32に入球する、所謂、オーバー入賞が発生するという問題が生じ得る。
ここで、本実施形態の遊技機10では、第1開閉扉41の誘導面41Mに形成された誘導路47によって、第1開閉扉41に受け止められた遊技球が検出孔34Aへ向けて流下し易くなっているので、第1開閉扉41に受け止められた遊技球が検出孔34Aへ到達するまでの時間を短縮可能となる。しかも、第1誘導突部45における第1傾斜面45Bの下端部は、第1入賞部屋32へ向かうに従って検出孔34A側(左側)へ向かうように直線状に傾斜した第1誘導傾斜部45Kとなっていて、第1誘導傾斜部45Kの延長線L1上に、上述した検出孔34Aが配置されているので、誘導面41Mのうち誘導路47の右側で受け止められた遊技球を検出孔34A側へ向けて流下させ易くすることが可能となる。さらに、第2誘導突部46における第2傾斜面46Bの下端部は、第1入賞部屋32へ向かうに従って左側へ向かうように直線状に傾斜した第2誘導傾斜部46Kとなっているので、誘導面41Mのうち誘導路47の左側で受け止められた遊技球についても検出孔34A側へ向けて流下させ易くすることが可能となる。
また、第1誘導突部45の傾斜受け渡し部45Lによって、誘導スロープ33と誘導路47の間の高低差が大きくなることが抑えられるので、誘導面41Mから誘導スロープ33への遊技球の受け渡しをスムーズに行うことが可能となる。しかも、第1誘導傾斜部45Kは、奥側傾斜部35と略平行になっているので、遊技球が第1誘導突部45を乗り越えて第1入賞部屋32へ受け入れられた場合であっても、その遊技球を、第1誘導傾斜部45Kに誘導される別の遊技球との干渉を抑制しながら検出孔34Aに向けて誘導することが可能となっている。さらに、奥側傾斜部35によって検出孔34A側に誘導される遊技球は、段差部35Dによって減速されるので、奥側傾斜部35に誘導された遊技球が奥側平坦部36に跳ね返されて第1開閉扉41の誘導路47を転動する遊技球と衝突することが抑制され、誘導路47を転動する遊技球を検出孔34Aへスムーズに誘導することが可能となる。
第1大入賞部30の説明は以上である。次に、第2大入賞部60について説明する。
第2大入賞部60の説明では、まず、第2大入賞口61を開閉する第2開閉扉81について説明する。図12(A)に示すように、第2開閉扉81は、矩形板状の扉本体82の下端両側部に、扉本体の幅方向に延びる回動軸部81J,81Jを備えた構造になっている。回動軸部81J,81Jには、回動軸部81Jの中心軸上で互いに離れる方向に突出した突起83,83が設けられ、それら突起83,83が、第2大入賞口61の開口縁の両側部に回動可能に支持されている。そして、第2開閉扉81は、図11に示す閉位置と、図10に示す開位置との間を回動する。
図10及び図12(B)に示すように、第2開閉扉81(扉本体82)の裏面は、第2開閉扉81が開位置に配置されたときに、第2開閉扉81を側方から見ると後下がり(前上がり)に傾斜して遊技球を第2入賞部屋62へと誘導する誘導面81Mとなっている。図12(B)に示すように、扉本体82の左右両辺部からは、1対のサイド突片81S,81Sが裏側に突出し、誘導面81Mで受け止められた遊技球が左右両側から落下することが抑制されている。また、1対の回動軸部81J,81Jには、後側に張り出す後方張出部86,86が形成されている。また、1対の後方張出部86,86のうち一方の後方張出部86(本実施形態では、右側の後方張出部86)からは、第2駆動源85(図3参照)からの動力を受けて、回動軸部81Jを中心に第2開閉扉81を回動させるための駆動軸部84が備えられている。
図3に示すように、第2大入賞部60は、第2大入賞口61の後方に第2入賞部屋62を備えている。第2入賞部屋62は、左右方向に延びた横長構造をなし、遊技盤11の前面に対して後側に陥没している。また、第2入賞部屋62の左右両側には、第2開閉扉81のサイド突片81S,81Sを受容可能なサイド受容凹部62S,62Sが形成されている。
また、図13に示すように、第2入賞部屋62の奥面のうち、左右方向の両側部には、中央部に向かうに従って第2入賞部屋62の奥行きが大きくなるように傾斜した傾斜面66A,66Aが形成されている。また、第2入賞部屋62の奥面のうち、左右方向の中央部は、遊技盤11の前面と平行に延びた平坦面66Bとなっている。
図5及び図13に示すように、第2入賞部屋62の底部には、第2大入賞口61から入球してきた遊技球が転動可能な奥側転動面63が形成されている。奥側転動面63のうち左右方向の中央部は、左右方向の両側部に対して段付き状に陥没した陥没部64になっていて、その陥没部64の両横に、陥没部64に向かうに従って下るように傾斜したサイド転動部65,65が設けられている。サイド転動部65,65は、開位置に配置された第2開閉扉81の内面との間に殆ど段差が生じないように構成されており、第2開閉扉81からサイド転動部65,65へと遊技球がスムーズに乗り移ることが可能となっている。
陥没部64の底面は、第2入賞部屋62から遊技球を排出するための球排出孔64Aを有した排出領域R2となっている。本実施形態では、排出領域R2に、円形状をなす1対の球排出孔64A,64Aが横並びに配置されている。
詳細には、排出領域R2(陥没部64の底面)の一部は、第2入賞部屋62への入球数をカウントするための検出スイッチ68,68によって構成されている。検出スイッチ68は、矩形板状のスイッチ本体68Bの一端寄り位置に円形の検出孔68Aを備えた構造をなし(図14参照)、陥没部64に形成された矩形開口69にスイッチ本体68Bが下方から宛がわれることで、スイッチ本体68Bが陥没部64の底面の一部を構成している。なお、検出スイッチ68の検出孔68Aによって、上述の球排出孔64Aが構成されている。
図14に示すように、排出領域R2(陥没部64の底面)は、前下がりに傾斜している。従って、陥没部64に受け入れられた遊技球は、前側に転動する。ここで、サイド転動部65の前端部と排出領域R2の前端部との高低差は、遊技球の半径以上となっている。従って、陥没部64からサイド転動部65,65への遊技球の移動が困難となっている。なお、排出領域R2の後端部は、サイド転動部65,65より低い位置に配置されている。本実施形態では、排出領域R2の奥行きが遊技球1個分以上、2個分未満となっているので、排出領域R2の水平面に対する傾斜角度を約10度とすることで、排出領域R2の後端部をサイド転動部65より低く配置することが可能となっている。
図13及び図14(A)に示すように、排出領域R2(陥没部64の底面)のうち1対の球排出孔64A,64Aの間からは、前後方向(第2入賞部屋62の奥行き方向)に延びた中間壁67が突出している。図14(A)に示すように、中間壁67の上端部は、陥没部64の底面と同様に、前下がりに傾斜している。本実施形態では、中間壁67の上端部は、排出領域R2と略平行となっている。また、排出領域R2と中間壁67との高低差は、遊技球の半径より小さくなっていて、中間壁67の高さは、1対のサイド転動部65,65を超えない高さに構成されている。なお、図13の例では、中間壁67の上面は、球排出孔64A,64Aに向かって緩やかに下り傾斜しているが、畝状に隆起してもよいし、平坦であってもよい。
次に、第2大入賞部60の動作について説明する。第2大入賞部60は、通常の遊技状態では、第2大入賞口61に遊技球が入球困難な閉状態となっている。具体的には、図11に示すように、第2開閉扉81が略鉛直に起立した閉位置に配置されて、第2大入賞口61を閉塞する。詳細には、第2開閉扉81は若干後下がりに傾いた状態となっていて、扉本体82の下端部が回動軸部81Jの中心より後側に配置されると共に、扉本体82の上端部が回動軸部81Jの中心の上方に配置されている。なお、第2開閉扉81は、第2大入賞口61の開口縁と当接することで閉位置に位置決め(移動規制)され、第2開閉扉81のサイド突片81S,81Sは、サイド受容凹部62S,62Sに受容される。
大当り遊技が開始されると、所定のラウンドで、第2大入賞部60は、第2大入賞口61に遊技球が入球可能な開状態となる。具体的には、図10に示すように、第2開閉扉81が回動軸部81Jを中心に回動して、後下がりに傾斜した開位置に配置される。そして、第2開閉扉81は、誘導面81Mにて遊技球を受け止めて第2大入賞口61へと遊技球を誘導可能な状態となる。このとき、第2開閉扉81は、後方張出部86,86が右側のサイド受容凹部62S,62Sの奥壁75に下方から当接することで、開位置に位置決めされている(図10には、一方の後方張出部86とサイド受容凹部62Sのみが示されている。)。
第2大入賞口61から第2入賞部屋62へ進入した遊技球は、排出領域R2(陥没部64の底面)の球排出孔64A,64A(検出孔68A,68A)から排出され、これにより、第2大入賞部60への入賞が確定する。このとき、1対の球排出孔64A,64Aの間には、前後方向に延びた中間壁67が備えられている。中間壁67は、第2入賞部屋62内の遊技球を何れか一方の球排出孔64Aに振分可能にするために球排出孔64A,64A(検出孔68A,68A)の各々に向けて傾斜した傾斜面67Mを有する構成となっている。ここで、中間壁67の高さは、1対のサイド転動部65,65を超えない高さに構成されているので、中間壁67の上に乗った遊技球がサイド転動部65,65に乗り上げることを抑制可能となり、陥没部64に受容された遊技球が、サイド転動部65へ抜け出ることを抑えられる。
ここで、中間壁67の上に乗った遊技球が滞留すると、遊技球の排出スピードが遅くなり、1回のラウンドを終了させるために必要な規定上限数以上の遊技球が第2入賞部屋62に入球する、所謂、オーバー入賞が生じ得る。しかしながら、本実施形態の遊技機10では、中間壁67の上端部が前下がりに傾斜しているので、中間壁67の上に乗った遊技球を、前側(第2大入賞口61側)へと寄せ(図14(A)参照)、第2開閉扉81を開閉することで、中間壁67の上に乗った遊技球に第2開閉扉81が接触したり、開閉動作による衝撃等が発生することで、遊技球に動きを持たすことが可能となる(図14(B)参照)。これにより、中間壁67の上に乗った遊技球の滞留を抑えることが可能となり、遊技球の滞留、或は球詰まりを抑制することが可能となる。さらに、排出領域R2と中間壁67との高低差は、遊技球の半径より小さくなっているので、第2開閉扉81によって遊技球を移動させる際、中間壁67が遊技球の移動の妨げになることが抑制される。
また、本実施形態では、排出領域R2が、前下がりに傾斜するように構成されているので、排出領域R2を転動する遊技球についても、前側(第2大入賞口61側)へと寄せ、第2開閉扉81が閉じたときの衝撃で移動させることが可能となり(図15(A)及び図15(B)参照)、滞留を抑制することが可能となる。しかも、球排出孔64Aは、斜め後下方へ延びるように配置されているので、中間壁67や排出領域R2を転動する遊技球と、球排出孔64Aに受け入れられた遊技球との干渉を避け易くすることが可能となる。
ところで、図10に示すように、第2大入賞部60は、第1大入賞部30の直下に配置されているので、第2開閉扉81が上流から流下した遊技球を受け止めるときの衝撃は、第1開閉扉41が遊技球を受け止めるときの衝撃よりも大きくなる。しかも、上述したように、第2開閉扉81は、第1開閉扉41よりも幅広となっている(図5参照)。従って、第2開閉扉81は、第1開閉扉41よりも、遊技球との衝撃によって変形し易いという問題がある。
このような第2開閉扉81の変形を防止すべく、図10に示すように、第2大入賞部60には、第2大入賞口61の下方開口縁から上方に突出した支持突部71が備えられている。この支持突部71は、開位置に位置決めされた第2開閉扉81に下方から当接して、第2開閉扉81を支持可能に構成されている。
具体的には、支持突部71は、第2大入賞口61の幅方向の中央に配置されることで、第2開閉扉81のうち最も変形が生じやすい部分を支持可能となっている。また、支持突部71は、第2開閉扉81と面当接可能な傾斜当接面71Kを上部に備えていて、これにより、第2開閉扉81の支持の安定化が図られている。また、図11に示すように、支持突部71は、第2開閉扉81が閉位置に配置された状態で、扉本体82の上端部の下方且つ下端部の前方に配置される。このように、本実施形態では、第2開閉扉81が後下がりに傾斜することで扉本体82の下端部の前方に生じたスペースに支持突部71が受容されるので、支持突部71が第2大入賞口61の開口縁から前方に突出することを抑制しつつ、傾斜当接面71Kの面積を大きくすることが可能となっている。
第1大入賞部30及び第2大入賞部60の説明は以上である。ところで、第1大入賞部30の球排出路38から排出された遊技球は、振分装置100に受け入れられる。以下、振分装置100について説明する。
図16に示すように、振分装置100は、第1大入賞部30及び第2大入賞部60の左側に配置され、第1入賞部屋32の球排出路38に連通する導入流路110を上部に備えている。導入流路110は、導入樋111の前方がフロントプレート101で閉塞されることで形成されている(図16及び図17参照)。なお、フロントプレート101は、遊技盤11に取り付けられて遊技領域R1の一部を構成し、上述した第1大入賞口31及び第2大入賞口61を形成する第1開口部102及び第2開口部103を有している。
図16に示すように、導入流路110は、球排出路38の終端から左下がりに傾斜した傾斜流路110Aと、傾斜流路110Aの終端から下方に垂下する垂下流路110Bと、で構成されている。そして、傾斜流路110Aが第1入賞部屋32の球排出路38に連絡することで、第1入賞部屋32から排出された遊技球が導入流路110を流下するようになっている。
図16及び図17に示すように、振分装置100は、導入流路110から2股に分岐した第1分岐流路121と第2分岐流路122を備えている。第1分岐流路121は、導入樋111の下方から左斜め下方に延びた第1分岐樋123の前方がフロントプレート101で閉塞されることで構成されている。また、第2分岐流路122は、導入樋111の下方から右斜め下方に下るように延びた第2分岐樋124の前方がフロントプレート101で閉塞されることで構成されている。
図18に示すように、第1分岐樋123は、第1分岐流路121の幅方向で対向した1対の第1流路壁123A,123Bを有し、第2分岐流路122から離れた側(導入流路110に近い側)の第1外側流路壁123Aが導入樋111に連絡している。第2分岐樋124は、第2分岐流路122の幅方向で対向した1対の第2流路壁124A,124Bを有し、第1分岐流路121から離れた側(導入流路110に近い側)の第2外側流路壁124Aが導入樋111に連絡している。1対の第1流路壁123A,123Bのうち第2分岐流路122に近い側(導入流路110から離れた側)の第1内側流路壁123Bは、1対の第2流路壁124A,124Bのうち第1分岐流路121に近い側(導入流路110から離れた側)の第2内側流路壁124Bと連絡している。なお、導入樋111、第1分岐樋123及び第2分岐樋124の奥壁は、フロントプレート101と対向するバックプレート104によって構成されている。
第1分岐流路121及び第2分岐流路122の途中には、上述した検出スイッチ34と同様の第1検出スイッチ121S及び第2検出スイッチ122Sが備えられていて、第1分岐流路121及び第2分岐流路122を流下する遊技球が検出される。なお、本実施形態では、第2検出スイッチ122Sにて遊技球が検出されると、大当り遊技の終了後に、遊技者に有利な特典遊技が付与されるV入賞となる。即ち、第2分岐流路122は、遊技球をV入賞させるためのV入賞路となっている。
第1分岐流路121及び第2分岐流路122は、それぞれ、第1排出ダクト121Dと第2排出ダクト122Dに連絡している。そして、第1排出ダクト121D及び第2排出ダクト122Dから排出される遊技球が、遊技盤11の下方に備えられた図示しないダクトに取り込まれて、遊技機10が設置された遊技ホールの遊技球循環システムに送られる。
図18に示すように、導入樋111の下方で、第1分岐樋123と第2分岐樋124とに挟まれた部分は、導入流路110、第1分岐流路121及び第2分岐流路122の共有エリア129になっている。そして、共有エリア129には、導入流路110から進入した遊技球を、第1分岐流路121と第2分岐流路122の何れか一方に振り分けるために振分部材130が備えられている。
詳細には、バックプレート104には、振分部材130用に共有エリア129内に中心を有する円形の受容孔131Aが形成されている。受容孔131Aの直径は、導入流路110の幅より僅かに大きくなっていて、受容孔131Aの一部が共有エリア129からはみ出して導入流路110、第1分岐流路121及び第2分岐流路122に突入している。また、受容孔131Aの中心は、導入流路110の幅方向の中心より僅かに第2分岐流路122側にずれた配置になっている。
振分部材130は、受容孔131Aに回動可能に受容された回動ベース131と、回動ベース131の前端面から突出した振分突片132とを有している。回動ベース131の前端面は、バックプレート104の前面と略面一になっていて、その回動ベース131の前端面のうち回動ベース131の中心軸から離れた(オフセットした)位置に振分突片132が配置されている。振分突片132は、遊技球1つ分の幅をなし、振分突片132における回動ベース131の中心軸側を向いた面は球受け面132Mになっている。また、球受け面132Mと回動ベース131の前端面とが交差する角部には、複数の三角リブ133が備えられ、これら三角リブ133は、回動ベース131の前端面と球受け面132Mとに当接した遊技球と干渉しない高さになっている。即ち、三角リブ133にて、遊技球の流下を妨げずに、振分突片132が補強されている。
また、振分装置100には、回動ベース131を受けて受容孔131Aの中心軸回りに回動させる振分用駆動源135(図17参照)が備えられている。そして、回動ベース131が回動することで、振分突片132が第1分岐流路121を閉塞して球受け面132Mにて遊技球を第2分岐流路122に案内する第1位置(図19(B)参照)と、振分突片132が第2分岐流路122を閉塞して球受け面132Mにて遊技球を第1分岐流路121に案内する第2位置(図18)との間を移動する。本実施形態では、回動ベース131が受容孔131A内で回動する構成となっているので、回動ベース131で遊技球の流下を妨げることなく、振分突片132を支持することが可能となる。
図19(B)に示すように、振分部材130が第1位置に配置された状態では、振分突片132は、右下がり傾斜して、第1分岐樋123の第1外側流路壁123Aとの間に遊技球が通過不能な空間を形成すると共に、第2分岐樋124の第2外側流路壁124Aとの間に遊技球が通過可能な空間を形成する。このとき、振分突片132の下端部が第1内側流路壁123Bと第2内側流路壁124Bとの連絡部分に近接配置されることで、その連絡部分と振分突片132との間を遊技球が通過不能となっている。振分部材130が第1位置から反時計方向に回動すると、図19(A)に示す中間位置を経て、図18に示す第2位置に配置される。なお、振分部材130が第2位置から時計方向に回動すると、中間位置を経て第1位置に配置される。
図18に示すように、振分部材130が第2位置に配置された状態では、振分突片132は、左下がりに傾斜して、第2分岐樋124の第2外側流路壁124Aとの間に遊技球が通過不能な空間を形成すると共に、第1分岐樋123の第1外側流路壁123Aとの間に遊技球が通過可能な空間を形成する。このときも、振分突片132の下端部が第1内側流路壁123Bと第2内側流路壁124Bとの連絡部分に近接配置されることで、その連絡部分と振分突片132との間を遊技球が通過不能となっている。
図19(A)に示すように、振分部材130が中間位置に配置された状態では、振分突片132は、略水平に配置され、第1分岐流路121と第2分岐流路122とに跨って配置される。そして、図19(A)から図18への変化に示すように、振分部材130は、中間位置から第1位置へ移動するときに、振分突片132の右側の端部(第2外側流路壁124A側の端部)が上流側(導入流路110側)に持ち上げられるように回動して、第2外側流路壁124Aとの間隔を狭めると共に、第1外側流路壁123Aとの間隔を広げる。また、図19(A)から図19(B)への変化に示すように、振分部材130は、中間位置から第2位置へ移動するときに、振分突片132の左側の端部(第1外側流路壁123A側の端部)が導入流路110側、即ち、第1分岐流路121の上流側に持ち上げられるように回動して、第1外側流路壁123Aとの間隔を狭めると共に、第2外側流路壁124Aとの間隔を広げる。
ところで、本実施形態の遊技機10では、第1大入賞口31の開放態様として、ショート開放とロング開放の2種類が設けられている。ショート開放は、ロング開放よりも第1大入賞口31の開放時間が短くなっている。なお、本実施形態においては、「第1大入賞口31の開放時間」とは、第1大入賞口31の開放の上限時間を指すものとする。
図20(A)には、ショート開放のときの、第1開閉扉41の動作と、振分部材130の動作のタイムチャートが示されている。また、図20(B)には、ロング開放のときの、第1開閉扉41の動作と、振分部材130の動作のタイムチャートが示されている。なお、図20(A)及び図20(B)では、第1大入賞口31が所定の開放時間まで開放する例が示されている。
図20(A)に示すように、大当り遊技で所定のラウンドが開始されるラウンド開始タイミングt0より前では、第1開閉扉41は閉位置(図10参照)に配置され、振分部材130は第2位置(図18参照)に配置されている。ラウンド開始タイミングt0になると、第1開閉扉41が開位置(図11参照)へと移動し、第1大入賞口31に遊技球が入球可能となる。次いで、第1開放タイミングt1になると、振分部材130が第1位置(図19(B)参照)へと移動し、第2分岐流路122(V入賞路)が開放される。このとき、第1開閉扉41は、開位置に配置されたままである。
ショート開放の開放時間が経過して、ラウンド終了タイミングt2になると、第1開閉扉41が閉位置へと移動して、第1大入賞口31に遊技球が入球困難となる。このとき、振分部材130は、第1位置に配置されたままである。次いで、第1閉鎖タイミングt3になると、振分部材130が第2位置(図18参照)へと移動し、第2分岐流路122が閉鎖される。なお、ここで、ラウンド開始タイミングt0から第1閉鎖タイミングt3までの時間は、ラウンド開始タイミングt0で第1大入賞口31に入球した遊技球が共有エリア129へ到達するまでにかかる時間よりも短く設定されている。従って、第1大入賞口31に入球した遊技球は、第1開放タイミングt1から第1閉鎖タイミングt3の間、第2分岐流路122が開放されても、第2分岐流路122への遊技球の入球が困難となっている。
図20(B)には、ロング開放のときの、第1開閉扉41の動作と、振分部材130の動作のタイムチャートが示されている。同図に示されるように、ロング開放の場合においても、ラウンド開始タイミングt0になると、第1開閉扉41が開位置(図11参照)へと移動し、第1大入賞口31に遊技球が入球可能となる。そして、第1開放タイミングt1になると、振分部材130が第1位置(図19(B)参照)へと移動し、第2分岐流路122が開放される。このとき、第1開閉扉41は、開位置に配置されたままである。
次いで、第1閉鎖タイミングt3になると、振分部材130が第2位置(図18参照)へと移動し、第2分岐流路122が閉鎖される。次いで、第2開放タイミングt4になると、振分部材130が、再び、第1位置へと移動し、第2分岐流路122が再度開放される。第1閉鎖タイミングt3及び第2開放タイミングt4においても、第1開閉扉41は開位置に配置されたままである。
ロング開放の開放時間が経過して、ラウンド終了タイミングt5になると、第1開閉扉41が閉位置へと移動し、第1大入賞口31に遊技球が入球困難となる。次いで、第2閉鎖タイミングt6になると、振分部材130が第2位置へと移動し、第2分岐流路122が閉鎖される。
図20(A)と図20(B)との比較から明らかなように、第1大入賞口31の開放がショート開放であるかロング開放であるかに拘わらず、振分部材130の動作は同じになっている。これにより、振分用駆動源135(図17参照)による振分部材130の制御の統一化が図られる。
ここで、ロング開放時において第2開放タイミングt4で振分部材130が第1位置へと移動するときに、導入流路110から第1分岐流路121へと流下する遊技球があると、その遊技球が振分部材130と第1外側流路壁123A(図18参照)との間に挟まれて、球詰まりを誘発する可能性がある。このような球詰まりを抑制すべく、本実施形態では、図18に示すように、第1外側流路壁123Aに球逃がし部125が形成されている。
球逃がし部125は、第1外側流路壁123Aの少なくとも一部を振分部材130の回動中心から遠ざかるように突出させて構成されている。そして、球逃がし部125は、第1位置へ移動する途中の振分部材130との間に遊技球1個分以上の間隔を形成する。具体的には、球逃がし部125は、共有エリア129で第1分岐流路121側へ向かうに従って振分部材130の回動領域(回動ベース131)との間隔を広げる円弧形状に形成されている。これにより、振分部材130が第1位置へ移動するときに、第1分岐流路121へと向かう遊技球をスムーズに流下させることが可能となる。
ここで、本実施形態では、ラウンド終了タイミングt5から第2閉鎖タイミングt6までの時間は、ラウンド終了タイミングt5で第1大入賞口31に入球した遊技球が共有エリア129へ到達するまでにかかる時間よりも長く設定されている。従って、第2閉鎖タイミングt6で振分部材130が第2位置へ移動するときには、第1大入賞口31に入球した遊技球の振り分けが完了していて、振分部材130による球詰まりが発生し難くなっている。これにより、第1外側流路壁123Aに球逃がし部125を備えるだけで、振分部材130による球詰まりを抑制することが可能となる。また、本実施形態では、導入流路110が第1大入賞部30の側方に配置されると共に、第1分岐流路121が導入流路110に対して右側に、第2分岐流路122が左側に配置されている。そして、球逃がし部125は、振分装置100の右側に配置されているので、球逃がし部125が、第1大入賞部30や第2大入賞部60に配設された役物や装置と干渉することを抑制可能となる。また、それら役物や装置を効率よく配置することで、それら役物や装置以外の遊技部材の取り付けスペースを大きくすることが可能となる。
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。なお、本実施形態では、第2大入賞口61が本発明の「入球口」に、第2入賞部屋62が本発明の「入球領域」に、第2開閉扉81が本発明の「開閉扉」に、それぞれ相当する。
次に、遊技機10の作用効果について説明する。本実施形態の遊技機10では、遊技者により操作ハンドル28が操作されると、遊技球が遊技領域R1に順次打ち込まれる。遊技球がセンター始動入賞口14A又はサイド始動入賞口14Bに入球すると、その入球に基づいて大当たり遊技の当否判定が行われ、その判定結果が当たりであると、大当たり遊技が実行される。
大当り遊技が実行されると、第1大入賞部30の第1大入賞口31と第2大入賞部60の第2大入賞口61がラウンド毎に交互に開放される。そして、右側流下路24R及び傾斜誘導部25を流下してきた遊技球が第1開閉扉41又は第2開閉扉81に受け止められると、第1大入賞口31又は第2大入賞口61から第1入賞部屋32又は第2入賞部屋62に遊技球が受け入れられる。
第2大入賞口61から第2入賞部屋62へ進入した遊技球は、排出領域R2(陥没部64の底面)の球排出孔64A,64A(検出孔68A,68A)で検出され、これにより、第2大入賞部60への入賞が確定する(図13、図14(A)及び図14(B)参照)。このとき、1対の球排出孔64A,64Aの間には、前後方向に延びた中間壁67が備えられているので、何れか一方の球排出孔64Aから遊技球を排出させやすくなっている。
ここで、中間壁67の上に乗った遊技球が滞留すると、遊技球の排出スピードが遅くなり、1回のラウンドを終了させるために必要な規定上限数以上の遊技球が第2入賞部屋62に入球する、所謂、オーバー入賞が生じ得る。しかしながら、本実施形態の遊技機10では、中間壁67の上端部が前下がりに傾斜しているので、中間壁67の上に乗った遊技球を、前側(第2大入賞口61側)へと寄せ(図14(A)参照)、第2開閉扉81を開閉することで、中間壁67の上に乗った遊技球に第2開閉扉81が接触したり、第2開閉扉81の開閉動作による衝撃等が発生することで、遊技球に動きを持たすことが可能となる(図14(B)参照)。これにより、中間壁67の上端部に乗った遊技球の滞留を抑えることが可能となり、遊技球の滞留或は球詰まりを抑制することが可能となる。また、中間壁67の高さは、1対のサイド転動部65,65を超えない高さに構成されているので、第2開閉扉81との衝撃によって移動する遊技球がサイド転動部65,65へ乗り上げることが抑制可能となっている。さらに、排出領域R2と中間壁67との高低差は、遊技球の半径より小さくなっているので、第2開閉扉81によって遊技球を移動させる際、中間壁67が遊技球の移動の妨げになることが抑制される。
また、本実施形態では、排出領域R2が、前下がりに傾斜するように構成されているので、排出領域R2を転動する遊技球についても、前側(第2大入賞口61側)へと寄せ、第2開閉扉81を開閉することで、排出領域R2の上を転動する遊技球に第2開閉扉81が接触したり、第2開閉扉81の開閉動作による衝撃等が発生することで、遊技球に動きを持たすことが可能となる(図15(A)及び図15(B)参照)、滞留或は球詰まりを抑制することが可能となる。しかも、球排出孔64Aは、斜め後下方に向けて配置されているので、中間壁67や排出領域R2を転動する遊技球と、球排出孔64Aに受け入れられた遊技球との干渉を避け易くすることが可能となる。
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、排出領域R2が前下がりに傾斜していたが、略水平であってもよい。
(2)上記実施形態では、球排出孔64A,64A(検出孔68A,68A)が排出領域R2から斜め後下方へ延びるように構成されていたが、図21に示すように、鉛直下方へ延びるように構成されてもよい。
(3)上記実施形態では、球排出孔64Aを2つのみ備えた構成であったが、2つの球排出孔64Aの間に前後方向に延びた中間壁67を備えていれば、球排出孔64Aを3つ以上備えていてもよい。
(4)上記実施形態では、奥側転動面63に陥没部64を備えた構成になっていたが、陥没部64を備えない構成であってもよい。この場合において、奥側転動面63の全体を前下がりに傾斜させてもよい。
(5)上記実施形態では、本発明の「入球口」が、入球によって遊技者に賞球を付与可能な入賞口で構成されていたが、例えば、入球した遊技球を使用して演出等を行う演出用役物の入球口で構成されてもよい。
(6)上記実施形態では、第1大入賞部30は大当たり遊技の実行中に開放する構成で使用されているが、第1大入賞部30を当否判定用の当否判定用入賞装置としてもよい。具体的には、所定の入賞口への入球を起因に当否判定用入賞装置の入賞口(第1大入賞口31)を開放するか否かを判定し、その判定結果に基づき振分部材130を第1位置や第2位置に移動し、入賞口(第1大入賞口31)に入球した遊技球が第1分岐流路121に流下したら外れで、第2分岐流路に流下し第2検出スイッチ122Sで検出されたら第2大入賞口61が開放する大当たり遊技が実行されるという構成のための入賞装置の構成であってもよい。
なお、上記実施形態及び他の実施形態(1)〜(6)には、以下[1]〜[5]の特徴的な構成が含まれていると言える。
[1]前方に開口した入球口から遊技球を受け入れ可能な入球領域と、前記入球口を開閉する開閉扉と、前記入球領域の底部に形成され、前記入球口の開放時に遊技球が転動可能な奥側転動面と、前記奥側転動面の少なくとも一部に形成されて、前記入球領域に受け入れられた遊技球を下方へと排出する1対の球排出孔を有する排出領域と、前記1対の球排出孔の間で前後方向に延び、上端部が前下がりに傾斜した中間壁と、を備えたことを特徴とする遊技機。
[1]の構成では、1対の球排出孔の間で前後方向に延びた中間壁の上端部が前下がりに傾斜しているので、中間壁の上に乗った遊技球を、入球口側へと寄せ、開閉扉の開閉動作を利用して遊技球を動かすことが可能となる。これにより、中間壁の上に乗った遊技球の滞留を抑えることが可能となり、入球領域内での遊技球の滞留を抑制することが可能となる。
[2]前記排出領域は、前下がりに傾斜するように構成され、各前記球排出孔は、後下がり方向に向けて構成されていることを特徴とする[1]に記載の遊技機。
[2]の構成によれば、排出領域を転動する遊技球についても、滞留を抑制することが可能となる。また、球排出孔は、後下がり方向へ向けて構成されているので、中間壁や排出領域を転動する遊技球と、球排出孔に受け入れられた遊技球との干渉を避け易くすることが可能となる。
[3]前記排出領域と前記中間壁との高低差を、遊技球の半径より小さくしたことを特徴とする[1]又は[2]に記載の遊技機。
[3]の構成によれば、開閉扉との衝撃により遊技球を移動させるときに、中間壁が遊技球の移動の妨げになることが抑制されるので、前記排出領域に遊技球を誘導させ易くすることが可能となる。
[4]前記奥側転動面のうち左右方向の中央部に陥没部を設けて、その陥没部の底面に前記排出領域を形成すると共に、前記奥側転動面のうち前記陥没部の両横に、前記陥没部に向かって下るように傾斜して遊技球を前記陥没部に案内する1対のサイド転動部を設け、前記中間壁の高さを、前記1対のサイド転動部を超えない高さとしたことを特徴とする[1]〜[3]のうち何れか1に記載の遊技機。
[5]前記奥側転動面の奥行きを、遊技球1個分以上、2個分未満とすると共に、前記サイド転動部の前端部と前記排出領域の前端部との高低差を、遊技球の半径以上とし、前記中間壁の上端部の水平面に対する傾斜角を、約10度以下としたことを特徴とする[4]に記載の遊技機。
[4]の構成によれば、中間壁の高さは、1対のサイド転動部を超えない高さになっているので、中間壁の上に乗った遊技球がサイド転動部に乗り上げることを抑制可能となる。これにより、奥側転動面のうち陥没部に受容された遊技球が、サイド転動部へ抜け出ることを抑えて、その遊技球を球排出孔から排出することが可能となる。具体的には、[5]の構成のように、奥側転動面の奥行きを、遊技球1個分以上、2個分未満とすると共に、サイド転動部の前端部と排出領域の前端部との高低差を遊技球の半径以上とし、中間壁の上端部の水平面に対する傾斜角を約10度以下とすればよい。