JP4233153B2 - 潤滑油供給装置及びこれを用いた直線運動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば直線案内装置やボールねじ、ボールスプライン等、ボール又はローラ等の転動体を介して軌道軸とスライド部材とが相対的に移動自在に係合した直線運動装置において、その軌道軸の表面に対して潤滑油を塗布する潤滑油供給装置、更にはこれを用いた直線運動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の直線運動装置の一つとしては、工作機械や搬送装置等の直線案内部に使用され、ベッド又はサドル等の固定部上でテーブル等の可動体を案内する直線案内装置が知られている。この直線案内装置は、上記固定部上に配設されると共に長手方向に沿ってボールの転走溝が形成された軌道レール(軌道軸)と、多数のボールを介して上記軌道レールの転走溝と対向する負荷転走溝を有すると共に、この負荷転走溝を転走するボールの無限循環路が形成された摺動台(スライド部材)とからなり、ボールの無限循環に伴い、上記可動体を支持した摺動台が軌道レールに沿って連続的に直線運動するように構成されている。また、これとは逆に、固定した摺動台に対して軌道レールが運動するように構成されている場合もある。
【0003】
このような直線案内装置を使用するに当たっては、ボールそれ自体の摩耗やこれが転走する軌道レールの転走溝あるいは摺動台の負荷転走溝の摩耗を抑え、該摺動台の高精度の運動を長期にわたって維持する観点から、かかるボールや上記転走溝等を使用条件に応じて適切に潤滑してやる必要があり、従来より摺動台の運動に合わせて軌道レールのボール転走溝等に潤滑油を塗布する潤滑油供給装置が提案されている(特開平10−184683号公報)。同公報に開示される装置は、軌道レールに対して潤滑油を塗布する塗布体と、潤滑油を吸収して保持すると共に上記塗布体に対して潤滑油を供給する吸蔵体と、これら吸蔵体から塗布体への潤滑油の供給量を制御する油量調整板と、これら塗布体、吸蔵体及び油量調整板を収容する潤滑油収容室を有すると共に上記摺動台に装着されるケーシングとから構成されており、これを摺動台の移動方向の前後両端面に装着することにより、塗布体から滲み出した潤滑油が摺動台の移動に伴って軌道レールの表面に塗布され、転走溝やボールに潤滑油が供給されるようになっている。また、この装置では吸蔵体に保持された潤滑油が油量調整板によって略定量ずつ塗布体に供給されるので、必要最低限の量の潤滑油を長期にわたって安定的に軌道レールに塗布することができるといった利点を備えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような潤滑油を長期にわたって安定的に供給し得る従来の潤滑油供給装置の長所を更に延ばすべくなされたものであり、その目的とするところは、ケーシング内の潤滑油吸蔵体に対して外部から潤滑油を補給することにより、極めて長期にわたって潤滑油を安定的に供給することが可能な潤滑油供給装置及びこれを用いた直線運動装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、転動体を介して軌道軸に係合するスライド部材に装着され、かかるスライド部材と軌道軸の相対的な移動に伴って該軌道軸に潤滑油を塗布する潤滑油供給装置であって、上記軌道軸に当接して該軌道軸に対して潤滑油を塗布する塗布体と、潤滑油を吸収してこれを保持する一方、上記塗布体に対して潤滑油を供給する吸蔵体と、上記吸蔵体から塗布体ヘ供給される潤滑油の量を制御する流量制御手段と、これら塗布体、吸蔵体及び流量制御手段を収容する潤滑油収容室を有すると共に上記スライド部材に固定されるケーシングとを備え、更に、上記ケーシングには上記吸蔵体に対して潤滑油を補給するための潤滑油補給孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の直線運動装置は、転動体の転走面が形成された軌道軸と、上記転動体を介して軌道軸に係合すると共に該軌道軸と相対的に移動するスライド部材とから構成され、上記スライド部材に対して本発明の潤滑油供給装置を装着し、かかるスライド部材と軌道軸との相対移動に伴って上記軌道軸の表面に潤滑油を塗布することを特徴とするものである。
【0007】
このような技術的手段によれば、スライド部材に固定されるケーシングの潤滑油収容室には潤滑油を吸収保持した吸蔵体及びこの吸蔵体から潤滑油が供給されると共に軌道軸に当接する塗布体が収容されていることから、スライド部材と軌道軸とが相対的に移動すると、上記塗布体から軌道軸の表面に対して潤滑油が塗布される一方、塗布された量と略同量の潤滑油が吸蔵体から塗布体へと供給される。従って、スライド部材の軌道軸に対する走行距離が累積的に増加するにつれて、上記吸蔵体に保持されている潤滑油の量は減少していくことになる。
【0008】
しかしながら、本発明では上記ケーシングに潤滑油補給孔が設けられており、かかる補給孔を介して潤滑油収容室内の吸蔵体に対して外部から潤滑油を補給することができるので、例えばスライド部材が所定の距離を走行する度に吸蔵体に対して潤滑油を補給すれば、半永久的に軌道軸に対して潤滑油を塗布し続けることができる。
【0009】
このような本発明において、上記潤滑油補給孔を用いた潤滑油の補給は軌道軸に対する摺動台の走行距離等に応じて適宜行うようにしても差し支えないが、かかる補給作業の手間や潤滑油の不足等の不慮の事態の発生を考慮すると、上記潤滑油補給孔に補給用配管を接続するための雌側継手部を形成し、摺動台の走行中も補給用配管を潤滑油補給孔に接続して継続的に潤滑油の補給を行うのが好ましい。
【0010】
また、先に本願出願人が提案した特願平10−106104号に記載の如く、直線運動装置はベッド等の固定部に対して種々の取り付け姿勢で配設されることから、重力の影響を排して軌道軸に対する潤滑油の塗布を偏りなく均一に行うためには、ケーシング内の潤滑油収容室を複数に区分形成しておくことが好ましい。従って、このような観点から複数の潤滑油収容室をケーシング内に設けた場合には、一つの潤滑油補給孔から複数の潤滑油収容室の全ての吸蔵体に対して潤滑油の補給を行い得るよう、潤滑油補給孔から補給された潤滑油を吸収保持すると共に全ての吸蔵体に接触する潤滑油の分配補給体をケーシング内に設け、かかる分配補給体を介して各吸蔵体に潤滑油が補給されるように構成するのが好ましい。
【0011】
更に、このようにして全ての吸蔵体に接触する分配補給体を設けた場合、スライド部材に装着されたケーシングの姿勢によっては、一の吸蔵体に保持された潤滑油が重力の影響により分配補給体を介して他の吸蔵体に流動してしまい、各吸蔵体に含まれる潤滑油の量に偏りが生じてしまう懸念がある。従って、かかる観点からすれば、上記塗布体、吸蔵体及び分配補給体をいずれも繊維交絡体から形成すると共に、かかる繊維交絡体の空隙率が塗布体、吸蔵体、分配補給体の順に大きくなるように設定するのが好ましい。このように空隙率を設定すれば、潤滑油は毛管減少によって分配補給体から吸蔵体へ、吸蔵体から塗布体へと流動するので、吸蔵体内の潤滑油が分配補給体を介して他の吸蔵体へ流動するのを抑えることが可能となる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の潤滑油供給装置及びこれを用いた直線運動装置を詳細に説明する。
図1乃至図3は本発明の直線運動装置の一例としての直線案内装置に潤滑油供給装置を装着した例を示す分解斜視図、側面図及び断面図である。この直線案内装置は、長手方向に沿ってボールの転走面11が形成された軌道レール(軌道 軸)1と、転動体としての多数のボール3を介してこの軌道レール1に係合すると共に内部に該ボール3の無限循環路を備えた摺動台 (スライド部材)2と、この摺動台2の移動方向の前後両端面に装着されると共に、かかる摺動台2の移動に伴って軌道レール1の表面に潤滑油を塗布する一対の潤滑油供給部材4,4と、軌道レール1に密着するシールリップ部51を備えて上記潤滑油供給部材4の外側に配置されたエンドシール5とから構成されており、かかるボール3の循環に伴って上記摺動台2が軌道レール1上を往復運動するように構成されている。
【0013】
上記潤滑油供給部材4及びエンドシール5は固定ボルト28によって摺動台2に固定されるが、固定ボルト28の締結によって潤滑油供給部材4を押し潰してしまうことがないよう、固定ボルト28の貫通孔29にはカラー27が装着されている。また、上記潤滑油供給部材4には潤滑油補給孔6が設けられており、この補給孔6には雄側継手部60aが螺合する雌側継手部60bが形成され、補給用配管61を常時接続して潤滑油補給部材4の内部に適宜潤滑油を補給することができるようになっている。
【0014】
上記軌道レール1は断面略矩形状に形成されており、上記ボール転走面11は、本実施例の場合、軌道レール1の両側面に1条ずつ、上面の両縁部に各1条の合計4条形成されている。尚、これらの図中において、符号12は軌道レール1をベッド等の固定部に取り付ける固定ボルトの挿通孔である。
【0015】
一方、上記摺動台2は、テーブル等の可動体の取付面21及び当該可動体の固定ボルトが螺合するタップ孔22を有する移動ブロック20と、この移動ブロック20の前後両端面に対して固定される一対の蓋体30,30とから構成されており、かかる蓋体30を移動ブロック20に固定することで当該摺動台2内にボール3の無限循環路が具備されるようになっている。
【0016】
図3に示すように、上記移動ブロック20は取付面21が形成された水平部20a及びこの水平部20aから垂れ下がる一対のスカート部20b,20bを備えて断面略サドル状に形成されており、これら水平部20aの下面側及び各スカート部20bの内面側には軌道レール1のボール転走面11に対向する4条の負荷転走面23が形成されている。また、上記水平部20a及び各スカート部20bには各負荷転走面23に夫々対応したボール戻し孔24が形成されている。
【0017】
ここで、軌道レール1の上面の2条列の各ボール3の接触角はレール中心に向かって下向きに45°に設定されており、軌道レール1の両側面の各条列のボール3の接触角はレール中心に向かって上向き45°とされている。
尚、ボール転走面11及び負荷転走面23の条数、接触角、並びに断面形状は必要に応じて適宜変更されるものである。
【0018】
図4は上記摺動台2に形成されたボール3の無限循環路6を示す断面図である。上記蓋体30には移動ブロック20の各負荷転走面23を転走していたボール3を上記ボール戻し孔24に向けて方向転換させる略半円形状の案内溝31が形成される一方、かかる蓋体30が固定される移動ブロック20の前後両端面には半円状のボール案内部25が突設されており、蓋体30を移動ブロック20の前後両端面に固定すると、上記案内溝31の内部にボール案内部25が嵌まり込んで略U字形のボール3の方向転換路が形成され、かかる方向転換路によって各負荷転走面23とこれに対応するボール戻し孔24とが連結され、ボール3の無限循環路が形成されるようになっている。尚、軌道レール1のボール転走面11を転走していたボール3を上記方向転換路内に円滑に導き入れるため、上記蓋体30の案内溝31の軌道レール1側の端部には断面鋭角のボール掬い上げ部32が形成されている。
【0019】
これにより、軌道レール1のボール転走面11と移動ブロック20の負荷転走面23との間で荷重を負荷していたボール3は、摺動台2の移動に伴って上記負荷転走面23を転走し終えると上記荷重から開放されて一方の蓋体30の方向転換路に入り込み、そのままの無負荷状態で負荷転走面23における転走方向とは逆方向へ向かって移動ブロック20のボール戻し孔24を転走する。また、ボール戻し孔24を転走し終えたボール3は他方の蓋体30の方向転換路を介して再度軌道レール1と移動ブロック20との間の負荷域に入り込み、荷重を負荷しながら上記負荷転走面23を転走する。
【0020】
更に、本実施例では無限循環路内を循環するボール同士の接触を防止するため、これらボール3は図4及び図5に示すように帯状のボール連結体33に所定間隔で配列されており、ボール3の循環に伴ってこのボール連結体33も摺動台2の無限循環路内を循環するようになっている。この帯状リテーナ33は、互いに隣接するボール3の間に配されて該ボール3を回転自在に保持する複数の間座34と、これら間座34をその両側で相互に連結する帯状の連結部35とから構成されており、ボール3を中子とした合成樹脂の射出成形によって作られている。従って、ボール3を保持した状態で自由に屈曲し得る可撓性を備えており、図4に示す如くボール3と共に摺動台2の無限循環路を自在に屈曲しながら循環する。
【0021】
また、図3及び図4に示すように、上記移動ブロック20のボール戻し孔24の内径及び負荷転走面23の両側には合成樹脂が射出成形によって肉付けされると共に、これら合成樹脂の部位にはボール3の循環方向に沿って連続する一対の誘導溝が形成されており、上記ボール連結体33はその連結部35を該誘導溝に遊嵌させながら摺動台2の無限循環路を循環するように構成されている。
【0022】
図6乃至図12は上記潤滑油供給部材4を示すものである。
図示のように、潤滑油供給部材4は、上記摺動台2のエンドプレート24に装着されるケーシング40と、このケーシング40内に収容されると共に上記軌道レール1に当接して該軌道レール1に潤滑油を塗布する塗布体41と、この塗布体41と共に上記ケーシング40内に収容され、潤滑油を吸収して保持する一方で上記塗布体41に対して潤滑油を供給する吸蔵体42と、これら塗布体41と吸蔵体42との間を隔離する油量調整板43とを有している。
【0023】
上記ケーシング40は、吸蔵体42及び塗布体41の収容スペースとなる潤滑油収容室44を備えたケーシング本体45と、このケーシング本体45の潤滑油収容室44を密閉する蓋基板46とから構成されており、上記蓋基板46側が摺動台2の蓋体30に当接するようにして装着される。
【0024】
かかるケーシング本体45は例えば鋼板からなる基板47の輪郭に沿ってゴム、合成樹脂等からなる側壁48を立設したものであり、かかる基板47及び側壁48によって囲まれた凹所が上記塗布体41及び吸蔵体42を収容する潤滑油収容室44となっている。この潤滑油収容室44は上記固定ボルト28 (図1参照)の貫通孔29及び潤滑油補給孔6を避けるようにして形成されると共に、軌道レール1の左右両側面に対応する2つの潤滑油収容室44,44が夫々独立して設けられており、軌道レール1の左側面を潤滑する塗布体41及び吸蔵体42と右側面を潤滑するそれとが独立して収容されるようになっている。
【0025】
かかる塗布体41は含浸する潤滑油を澱みなく軌道レール1に塗布することができるよう、毛管現象による潤滑油の移動が生じ易い材質、例えば空隙率の低いフェルト等の繊維交絡体が適しており、本実施例では空隙率54%の羊毛フェルトを使用している。また、上記吸蔵体42は潤滑油を多量に吸収保持することができるよう、空隙率の高いフェルト等の繊維交絡体が適している。この実施例では空隙率81%のレーヨン混合羊毛フェルトを使用している。
【0026】
一方、図6、図11及び図12に示すように、上記ケーシング本体45の側壁48には軌道レール1の転走面11と対向する位置に凹溝48aが形成されており、かかる凹溝48aからは潤滑油収容室44に収容した塗布体41の一部である塗布片41aが突出し、上記転走面11に当接するようになっている。すなわち、上記吸蔵体42から塗布体41へ供給された潤滑油は該塗布片41aを介して軌道レール1の転走面11に塗布される。前述したように、この実施例の直線案内装置ではボール3が軌道レール1のボール転走面11及び摺動台2の負荷転走面23に対して45°の接触角で当接していることから、図7、図10及び図12に示すように、上記塗布片41aもこの接触角線上でボール転走面11に当接している。このように、ボール転走面11に対するボール3の接触点及びその近傍にのみ塗布片41aを接触させたことにより、塗布される潤滑油の量が必要最小限に抑えられる。
【0027】
また、上記潤滑油収容室44は軌道レール1の左側面に対応したものと、右側面に対応したものとが夫々独立して設けられており、この実施例では軌道レール1の左右には各々2条の転走面11,11が形成されていることから、軌道レール1の左側に位置して互いに隣接する二つの塗布片41a,41aと、右側に位置して互いに隣接する二つの塗布片41a,41aに対しては別個の潤滑油収容室44,44から潤滑油が供給されることとなる。
【0028】
また、上記側壁48には潤滑油収容室44の内周縁に沿って段部54が形成されており、かかる段部54に上記油量調整板43が嵌合して、塗布体41と吸蔵体42とを隔離するように構成されている。上記油量調整板43は例えばステンレス薄板(本実施例では厚さ0.1〜0.2m m)から形成されており、吸蔵体42に含浸された潤滑油を塗布体41へ供給する供給孔56が例えば1穴だけ開設されている。かかる供給穴56の径及び数、すなわちその開口面積に応じて吸蔵体42から塗布体41への潤滑油の供給量が制御される。すなわち、油量調整板43は、吸蔵体42から塗布体41へ供給される潤滑油の量を制御する流量制御手段として機能する。尚、この実施例では一対の潤滑油収容室44,44に跨がるようにして1枚の油量調整板43を設け、これによって夫々の潤滑油収容室44における吸蔵体42と塗布体41との間を離隔している。
【0029】
また、上記吸蔵体43から塗布体42への潤滑油の供給を円滑に行うため、図8に示すように、上記ケーシング本体45の側壁48には空気孔55が開設されており、ケーシング40内の圧力が常に大気圧に保たれるようになっている。従って、吸蔵体42から塗布体41への潤滑油の移動は、主として繊維交絡体の内部における潤滑油の毛管現象に依存していることになる。もっとも、吸蔵体42に含浸された潤滑油のうち、油量調整板43の供給孔56よりも上方に位置する潤滑油は重力によっても塗布体41へ移動することとなる。
【0030】
この潤滑油供給部材4では上記潤滑油補給孔6からケーシング40の内部の吸蔵体42に対して潤滑油をつぎ足すことができるが、図6、図9、図11及び図12に示すように、各潤滑油収容室44の吸蔵体42の間には同じくフェルト等の繊維交絡体からなる分配補給体7が設けられており、潤滑油補給孔6からケーシング40内に補給された潤滑油はこの分配補給体7を介して各吸蔵体42に吸収されるようになっている。これは、各潤滑油収容室44に個別に対応して複数の潤滑油補給孔を設けたのでは給油工数が多くなること等に鑑み、潤滑油補給孔6を一つとし、該分配補給体7を通じて各潤滑油収容室44に分割するものである。図12はこの分配補給体7と一対の吸蔵体42,42とを上記ケーシング本体45に収容した状態を示す図である。分配補給体7は潤滑油補給孔6と重なるようにしてケーシング40内に収容されており、両側から突出した一対の突片70,70のみが隣接する吸蔵体42に接触している。つまり、接触面積を小さくしている。各潤滑油収容室44には分配補給体7を介して給油されるから、各潤滑油収容室44,44間で潤滑油が移動しようとすると、該分配補給体7を経なければならない。各々の吸蔵体42に対する分配補給体7の接触面積を小さくしたことで、各吸蔵体42間の流路抵抗が大きくなり、各吸蔵体42間での潤滑油の移動が抑えられる。尚、分配補給体7と上記塗布体41との間には油量調整板43が位置するので、分配補給体7に補給された潤滑油が吸蔵体42を介することなく直接に塗布体41に吸収されることはない。
【0031】
また、上記分配補給体7を形成する繊維交絡体の空隙率は上記吸蔵体よりも大きく、例えば81.5%に設定されており、補給された潤滑油が毛管現象によって分配補給体7から吸蔵体42へと容易に流動する反面、吸蔵体42から分配補給体7へ逆流し難い構造となっている。このため、この実施例の潤滑油供給部材4では、例えば図12の紙面右側に位置する吸蔵体42が紙面左側に位置する吸蔵体42よりも鉛直下方に位置するような姿勢でこれを使用したとしても、上方に位置する吸蔵体42の潤滑油が分配補給体7を介して下方に位置する吸蔵体42に流動してしまうのを極力防止することができ、両方の吸蔵体42,42に常に略同量の潤滑油を保持することができるものである。すなわち、4条全てのボール転走面11に対して均一な潤滑がなされる。
【0032】
このように構成された潤滑油供給部材4は、先ず上記側壁48を加硫接着によって基板47に接合して上記ケーシング本体45を製作し、かかるケーシング本体45の潤滑油収容室44に潤滑油を含浸した吸蔵体42を収めると共に、上記分配補給体7を一対の吸蔵体42,42の間で潤滑油補給孔6に重ねて収容した後、かかる吸蔵体42を覆うようにして油量調整板43をケーシング本体45の側壁48の段部54に嵌合させる。次いで、油量調整板43の上に一対の塗布体41を重ねると共に、これら塗布体41,41の間を仕切り壁8にて区画し、最後に蓋基板46を加硫接着によってケーシング本体45の側壁48と接合する。これにより、内部に塗布体41、吸蔵体42及び分配補給体7が収容された潤滑油供給部材4が完成する。
【0033】
以上のように構成された本実施例の直線案内装置では、上記摺動台2が軌道レール1上を移動すると、かかる摺動台2に装着された潤滑油供給部材4によって軌道レール1のボール転走面11に潤滑油が塗布され、このボール転走面11を転動するボール3の潤滑が行われる。また、上記潤滑油供給部材4の外側には軌道レール1の表面と密着するエンドシール5が装着されているので、潤滑油供給部材4から軌道レール1に塗布された潤滑油が該エンドシール5よりも外側に漏れ出すことがなく、上記潤滑油供給部材4から軌道レール1の転走面11に塗布される僅かな潤滑油のみでボール3を確実に潤滑することができるものである。
【0034】
ところで、図6及び図7並びに図9乃至図12に示すように、潤滑油供給部材4の内側面には、軌道レール1の両側面に摺接するサイドシール48dが形成されている。このサイドシール48dはエンドシール5と協働して潤滑油供給部材4の内外をほぼ完全に密封する。
【0035】
潤滑状況を更に詳述する。潤滑油供給部材4の内部では、上記塗布体41から軌道レール1に対して潤滑油が塗布されて該塗布体41に含まれている潤滑油が減少してくると、上記吸蔵体42に保持されている潤滑油が油量調整板43の供給孔56を介して塗布体41に移動し、かかる塗布体41は常に適度に潤滑油を保持した状態となる。一方、摺動台2が所定距離あるいは所定時間だけ走行すると、潤滑油が補給用配管61を介して潤滑油供給部材4に補給され、補給孔6から内部に補給された潤滑油は分配補給体7を介して各潤滑油収容室44内の吸蔵体42に吸収されて保持される。
【0036】
これにより、本実施例の潤滑油供給部材4では内蔵する塗布体41に対して途切れることなく潤滑油が吸収保持され、塗布片41aが常に軌道レール1に対して潤滑油を塗布し続けるので、この直線案内装置では軌道レール1のボール転走面11を半永久的に潤滑し続けることができ、軌道レール1に対する摺動台2の運動を常に良好な状態に維持することができるものである。
【0037】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、潤滑油供給装置のケーシングに潤滑油補給孔が設けられていることから、軌道軸に対するスライド部材の累積走行距離あるいは累積走行時間が増加し、塗布体及び吸蔵体に保持された潤滑油の消費が進んでいっても、上記潤滑油補給孔を介して潤滑油収容室内の吸蔵体に対して外部から潤滑油を補給することができるので、上記塗布体から軌道軸に対して途絶えることなく潤滑油を塗布し続けることができ、この潤滑油供給装置を装着した直線運動装置を半永久的に潤滑することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の潤滑油供給部材を直線案内装置に適用した実施例を示す分解斜視図である。
【図2】 実施例に係る直線案内装置を示す一部断面を含む側面図である。
【図3】 図2のIII−III断面図である。
【図4】 実施例に係る直線案内装置の無限循環路にボール連結体を組み込んだ状態を示す断面図である。
【図5】 実施例に係る直線案内装置が具備するボール連結体の一部を示す斜視図である。
【図6】 実施例に係る潤滑油供給部材の分解斜視図である。
【図7】 実施例に係る潤滑油供給部材の正面図である。
【図8】 図7に示す潤滑油供給部材の右側面図である。
【図9】 (a)は図7のA−A断面図、(B)は図7のB−B断面図である。
【図10】 実施例に係る潤滑油供給部材の背面図である。
【図11】 実施例に係る潤滑油供給部材のケーシング本体に吸蔵体と分配補給体とを収容した状態を示す背面図である。
【図12】 実施例に係る潤滑油供給部材から蓋部材を取り外した状態を示す背面図である。
【符号の説明】
1…軌道レール(軌道軸)、2…摺動台(スライド部材)、3…ボール(転動体)、4…潤滑油供給部材、6…潤滑油補給孔、7…分配補給体、40…ケーシング、41…塗布体、41a…塗布片、42…吸蔵体、43…油量調整板(流量制御手 段)、44…潤滑油収容室

Claims (4)

  1. 転動体を介して軌道軸に係合するスライド部材に装着され、かかるスライド部材と軌道軸の相対的な移動に伴って該軌道軸に潤滑油を塗布する潤滑油供給装置であって、
    上記軌道軸に当接して該軌道軸に対して潤滑油を塗布する塗布体と、潤滑油を吸収してこれを保持する一方、上記塗布体に対して潤滑油を供給する吸蔵体と、上記吸蔵体から塗布体へ供給される潤滑油の量を制御する流量制御手段と、これら塗布体、吸蔵体及び流量制御手段を収容する潤滑油収容室を有すると共に上記スライド部材に固定されるケーシングとを備え、更に、上記ケーシングには上記吸蔵体に対して潤滑油を補給するための一つの潤滑油補給孔が設けられ、
    上記ケーシング内には、上記潤滑油収容室が複数形成される一方、上記潤滑油補給孔から補給される潤滑油を吸収保持し、全ての潤滑油収容室内の吸蔵体に接触する潤滑油の分配補給体が設けられ、補給潤滑油が上記分配補給体を介して各吸蔵体に供給されることを特徴とする潤滑油供給装置。
  2. 上記塗布体、吸蔵体及び分配補給体はいずれも繊維交絡体から形成されると共に、かかる繊維交絡体の空隙率が塗布体、吸蔵体、分配補給体の順に大きくなることを特徴とする請求項1記載の潤滑油供給装置。
  3. 上記分配補給体は、上記潤滑油補給孔と重なるようにして上記ケーシング内に収容されると共に上記吸蔵体方向に突出する一対の突片を有し、これら突片のみが上記吸蔵体に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の潤滑油供給装置。
  4. 転動体の転走面が形成された軌道軸と、上記転動体を介して軌道軸に係合すると共に該軌道軸と相対的に移動するスライド部材と、このスライド部材に装着すると共に、かかる相対移動に伴って上記軌道軸の表面に潤滑油を塗布する請求項1乃至3のいずれかに記載の潤滑油供給部材とを備えたことを特徴とする直線案内装置。
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