JP4227344B2 - 風味向上剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風味を向上させるための風味向上剤に関し、詳しくは、甘味素材含有飲食品、食塩含有飲食品、果実または果汁含有飲食品、香料含有飲食品及び発酵飲食品の風味を向上させるための風味向上剤及び該風味向上剤を含む飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
食物を味わったとき、我々は多様な味を感じる。一般的には甘味、塩味、酸味、苦味の4つの基本的な味と、渋味、辛味、エグ味、旨味などの味、さらには素材の持つ独特の味や臭い、例えば青臭味、発酵臭などが合わさり、食物の複雑な風味として感じられる。
【0003】
食物は上記のような基本的な味とその他のさまざまな味が複合されて味を呈している。甘味、塩味、旨味は一般的に食品の好ましい味と考えられ、これらは食品に積極的に付加されることが多い。また、素材の持つ独特な味の中でも卵、果実または果汁は多くの食品に用いられ、一般的に好ましい味と考えられ、できるだけこれらの味を生かそうとされる。これに対して好ましくない味には、苦味、渋味、エグ味、青臭味などの異味または嫌味と表現される味がある。また、酸味はさわやかな酸味は好ましい味として扱われる場合があるが、舌を刺すような刺激のある酸味は異味として扱われる。苦味はコーヒーやビールなどは苦味を特徴とし、それを好む人の嗜好品であるが、一般的には苦手の人が多く、異味とされる。辛味は食品に意識的に付加することが多いため、一般的には異味として扱われない。発酵飲食品に関しては、独特の風味が好ましい味と考えられるが、むれ臭と言われる成分が一定量を超えると発酵飲食品の異味として好まれない味の原因となる。食物の好ましい味と共に存在するこれらの異味は、食品のおいしさを損なう味として、好まれる味の出現、あるいは食品全体の味に影響を与えることから、一般的に好まれない。
【0004】
以上のことから、これまで食品の異味又は異臭として感じられる苦味、渋味、エグ味、青臭味、舌を刺すような刺激のある酸味などを低減しようとする試みが成されてきた。また、一方でおいしさとして感じられる風味自体、例えば甘味風味、塩味風味、卵風味、果実または果汁風味、香料風味、発酵飲食品の発酵由来の風味向上に関する試みが成されてきている。
【0005】
以下に、食品の異味・異臭の低減を主目的とした従来技術について説明する。
【0006】
アスパルテームを呈味改善剤として用いたものとして、コーヒー、紅茶の苦味、渋味、エグ味の低減方法(特開昭58−162260号公報)、野菜の青臭味の低減方法(特開昭59−11156号公報)、エグ味、収斂味、苦味の低減されたヨーグルトの製造方法(特開昭59−224650号公報)、アスパルテームとスクラロースを用いたフレーバー剤の苦味を低減した組成物(特開平2−177870号公報)が報告されている。しかし、アスパルテームやステビアのような高甘味度甘味料自体に苦味、後味などの異味があることが知られており、添加量によってはこれらの嫌味が出現してしまうという欠点がある。また、アスパルテームは甘味料であり、上記報告は、実質上アルパルテームで甘味付けすることにより食品の嫌味が低減されるというものである。つまり、風味の改善だけでなく、甘味の付与が伴ってしまう。また、上記の報告のように呈味改善剤としてアスパルテームを使用する方法が研究され報告されている一方で後に述べるようにアスパルテーム自体の呈味改善方法も研究されているという問題がある。
【0007】
ブラックペッパー、ホワイトペッパーなどのペッパー抽出物を呈味改善剤として用いたものとして、苦味と後味の改善されたビール(特開昭64−55171号公報)およびアスパルテームの後味、渋味の改善方法(特開昭64−63356号公報)が報告されている。しかしペッパー抽出物はかなり限定された用途での風味改善剤であり、汎用性に欠ける。また、添加量によってはペッパー自体の風味や辛味が出現してしまうことが記載されている。
【0008】
苦味、嫌味を有することから呈味改善を求められているステビア甘味料に関しては、ステビアに含まれる配糖体甘味物質であるレバウディオサイドAをステビオサイドの呈味改善に用いる方法(特開昭52−122676号公報)、α−グルコシルレバウディオサイドをステビア抽出物と併用する呈味改善方法(特開昭63−87959号公報)、昆布エキスをステビア抽出物の呈味改善剤に用いる方法(特開昭57−138357号公報)、プルラン、アルギン酸塩、カラヤガム、キサンタンガムをステビア抽出物の呈味改善剤に用いる方法(特開昭56−55174号公報)、還元澱粉糖化物をステビア抽出物の呈味改善剤に用いる方法(特開昭55−114271号公報)、L−ヒスチジン塩酸塩をステビオサイドの呈味改善剤に用いる方法(特開昭56−11772号公報)、有機酸塩をステビオサイドの呈味改善剤に用いる方法(特開昭60−188035号公報)が報告されている、これらの方法は、ステビア甘味料に限定した呈味改善方法であり、その他の飲食品の呈味改善に用いることができる汎用性のある方法ではない。
【0009】
甘味料、健康食品素材、漢方薬に使用されているグリチルリチン酸またはその塩類は、苦味、嫌味、アク味などを有し、その呈味改善剤として有機酸塩を用いる方法(特開昭60−188036号公報)、レバウディオサイドAを用いる方法(特開昭52−114055号公報)が報告されている。これらもグリチルリチン酸及びその塩類に限定した呈味改善方法であり、その他の飲食品の呈味改善に用いることができる汎用性のある方法ではない。
【0010】
また、大豆加工品の青臭味、苦味、渋味、収斂味を低減する方法として、サイクロデキストリンを添加する方法(特開昭51−148052号公報)、豆乳にアルギニンもしくはリジンを添加した豆乳の製造方法(特開昭56−131341号公報)、大豆加工品中のイソフラボノイドまたはその配糖体にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼまたはプルラナーゼを作用させ糖を付加させることにより呈味改善を行う方法(特開平11−318373号公報)が報告されている。これらの方法も、大豆の青臭味や渋味といった大豆特有の嫌味の改善方法であり、汎用性のある方法ではない。また、糖の付加反応のような物質の構造を変える方法は、反応条件の設定及びその装置が必要であるため、呈味改善剤を添加・混合する方法よりも複雑で手間の掛かる方法である。
【0011】
ポリフェノール類の苦味、渋味を改善する方法として、茶抽出物をキチンに吸着または化学結合させることにより、ポリフェノールの苦味と渋味を消した茶抽出物組成物(特開平5−279264号公報)、茶抽出物または茶飲料に含まれるポリフェノール類を酵素反応によって配糖化することにより渋味を改善した茶抽出物または茶飲料の製造方法(特開平8−298930号公報)、焙炒カカオマスを酵素処理することによりタンニン類を酸化重合させることによりエグ味、渋味を低減させる方法(特開平3−15344号公報)が報告されている。これらも化学的にポリフェノールの構造を変化させる方法であるため、簡便さに欠け、またポリフェノール以外の嫌味物質に対する効果は不明である。
【0012】
健康食品素材の嫌味を低減させる方法として、乾燥したアミ類やオキアミ類の抽出物を健康食品素材の苦味のマスキングに用いる方法(特開平10−179077号公報)、サイクロデキストリンおよび糖類を添加することによりクチナシエキスの苦味、エグ味を低減させた健康飲料(特開平7−8223号公報)、γ−サイクロデキストリンを霊芝抽出物の呈味改善に用いる方法(特開昭58−109424号公報)、蕃果抽出物を添加し、枯れ草臭、青臭味、樟脳臭、苦味を改善したグアバ茶飲料(特開平9−84565号公報)、リンゴ酸により苦味が低減されたキダチアロエ食品(特開平11−225702号公報)、アロエ抽出物に含有される配糖体を酵素により加水分解することにより苦味を低減する方法(特開昭59−192075号公報)が報告されている。これらの方法も汎用性が無かったり、風味改善剤自体の味が付与されてしまうという欠点がある。
【0013】
食品添加物である脂肪酸モノグリセライドの収斂味を天然高甘味度甘味料により改善する方法(特開昭58−47480号公報)、糖蜜をイオン交換樹脂処理して得られる非糖分濃縮物を用いた、塩化ナトリウ代替品である塩化カリウムのエグ味の低減剤(特開平6−14742号公報)、キキョウ根の水または水性溶媒抽出物により、砂糖・食塩代替品の苦味、渋味を低減する方法(特開昭60−9462号公報)、コーヒー豆加水分解物を用いた有機酸含有食品の酸味、渋味、苦味の改善剤(特開平9−94080号公報)が報告されている。これらの方法も用途が限定されており、また呈味改善剤自体の味が付与されてしまうという欠点がある。
【0014】
また、広い範囲の飲食品の呈味改善剤として、ヘスペリジン配糖体またはヘスペリジン配糖体とヘスペリジンの混合物を用いる苦味、渋味、酸味、青臭味、エグ味に対する呈味改善方法(特開平11−318379号公報)、塩類の苦味やエグ味の、魚肉の生臭み、植物性タンパクのにおいをマスキングする効果のある酵母エキス組成物(特開昭61−249362号公報)が報告されている。これらの方法は汎用性には優れているが、上市されている呈味改善剤であるヘスペリジン配糖体は柑橘類から抽出したヘスペリジンを酵素処理したものが使用されるため、コスト的に問題がある。また酵母エキス組成物は酵母エキス自体の味を有するため、実質的には用途や添加量が限られている。
【0015】
発酵飲食品の風味を改善または増強させる方法として、発酵飲食品の製造方法を改良する方法が成されてきた。臭気の改善された発酵バターミルク(特開昭54−163857号公報)、食酢の製造法(特開平06−46825号公報)、発酵加工食品及びその製造方法(特開2001−136933号公報)などがある。しかし、これらは発酵飲食品に限った方法であり、汎用性に欠ける。
【0016】
一方、食品のおいしさとして感じる風味自体、例えば甘味、塩味、卵、果実または果汁、香料の各風味そのものを向上させる方法として、使用する甘味素材、食塩、卵、果実または果汁の使用量を増加させるか、または香料の使用量を増加させて風味を付与する方法が知られているが、好ましい風味そのものを向上させる方法は多く検討されていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、微量で効果が現れ、従って飲食品に添加したときに味や臭いがほとんど感じられず、安全性が高く、安価に製造できる、汎用性のある飲食品の風味向上剤が求められている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題点に鑑み、飲食品に添加したときに、添加された素材自体の味や臭いがほとんど感じられず、また安全性が高く、低コストで製造でき、汎用性のある風味向上剤を得るべく鋭意検討を重ねてきた結果、古来より食品として使用されている甘蔗由来のエキスが優れた風味向上効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
本発明は、甘蔗由来のエキスを有効成分とする飲食品の風味向上剤を提供する。また、本発明は、本発明の風味向上剤を含む飲食品をまた提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の風味向上剤は、甘蔗由来のエキスを有効成分として含む。本発明において「甘蔗由来のエキス」とは、甘蔗を原料として得られるエキスをいう。
【0021】
「甘蔗由来のエキス」は、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液、及び甘蔗由来の糖蜜から選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分であることが好ましい。
【0022】
「甘蔗由来のエキス」は、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液、及び甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料(以下、単に原料ということがある)を固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理して得られる画分である。さらに好ましくは、原料を、固定担体として合成吸着剤を充填されたからカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から成る群から選ばれる溶出溶媒で溶出することによって得られる画分であることが好ましい。
【0023】
本発明において「甘蔗汁」とは、甘蔗(サトウキビ)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁、または原糖製造工場における石灰処理した清浄汁、濃縮汁を包含する。
【0024】
本発明において「甘蔗の溶媒抽出液」とは、甘蔗を汎用の有機溶媒で抽出した抽出液を濃縮、乾固後、水に再溶解した抽出液などを意味する。直上の有機溶媒としては、例えばメタノールやエタノールなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独でも組み合わせて使用しても良い。さらに、これらの溶媒と水を組み合わせて使用しても良い。
【0025】
本発明において「甘蔗由来の糖蜜」とは、結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜を意味し、例えば、原糖製造工場における1番蜜、2番蜜、製糖廃蜜、および精製糖製造工場における洗糖蜜、1〜7番蜜、精糖廃蜜などが挙げられる。また、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも同様に用いることもできる。
【0026】
このような「甘蔗由来のエキス」は、具体的には例えば次のようにして得ることができる。
【0027】
甘蔗抽出物又は甘蔗由来の糖蜜を、固定担体を用いたカラムに通液する。上記甘蔗抽出物又は糖蜜は、そのまま又は水で任意の濃度に調整して、固定担体を充填したカラムに通液することができる。なお異物除去のために、カラムで処理する前に、甘蔗抽出物又は甘蔗由来の糖蜜をろ過することが望ましい。ろ過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーンろ過、ケイソウ土ろ過、精密ろ過、限外ろ過等の手段を好ましく使用できる。
【0028】
固定担体としては、合成吸着剤が好ましい。合成吸着剤としては、好ましくは有機系樹脂を用いることができ、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸系メタクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用できる。さらに好ましくは芳香族系樹脂であり、特に無置換基型の芳香族系樹脂が使用できる。合成吸着剤として、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系樹脂の芳香族系樹脂などが使用でき、芳香族系樹脂としては、例えば疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、無置換基型の芳香族系樹脂、無置換型に特殊処理を施した芳香族系樹脂等の多孔性樹脂が使用できる。より好ましくは無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂が使用できる。そのような合成吸着剤は市販されており、例えばダイヤイオン(商標)系としてHP−10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、HP−50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP−825、SP−800、SP−850、SP−875、SP−70、SP−700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP−900(芳香族系樹脂、商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)として、XAD−2、XAD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、芳香族系樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);HP−2MG、EX−0021(以上、アクリル酸系エステル樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)系として、HP1MG、HP2MG、(以上、アクリル酸系メタクリル樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)系としてLH20、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、いずれも商品名、ファルマシア バイオテク株式会社製)などが挙げられる。中でも、SP−850が特に好ましい。
【0029】
固定担体の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類などによって変化する。原料(甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び糖蜜から選ばれる)の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。
【0030】
原料(甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜から選ばれる)を上記カラムに通すことにより、原料中の本発明の効果を有する成分は固定担体に吸着され、スクロース、グルコース、フラクトース及び無機塩類の大部分がそのまま流出する。
【0031】
固定担体に吸着された成分は、溶出溶媒により溶出する。ここで、本発明の効果を有する成分を効率よく溶出するには、その前に残留するスクロース、グルコース、フラクトース及び無機塩類を水洗により充分に洗い流すことが好ましい。これにより、吸着されている目的の効果を有する成分をより効率よく回収することができる。
【0032】
溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる。溶出溶媒は水とアルコールの混合溶媒、特にエタノール−水混合溶媒が好ましく、更に、室温において効率よく目的の効果を有する成分を溶出できるため、50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。更に、カラム温度を上げることにより、エタノール−水混合溶媒のエタノール混合比を減らすことができ、目的とする本発明の効果を有する成分を溶出することができる。この場合、カラム内は常圧もしくは加圧された状態である。このように、本発明の効果を有する成分は、前記溶媒で溶出される画分に存在する。
【0033】
溶出速度はカラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類等によって変化するので特に限定されないが、SV=0.1〜10が好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)は、1時間あたり樹脂容積の何倍量の液体を通液するかという単位である。
【0034】
本発明の「甘蔗由来のエキス」の形状は特に限定されないが、液状又は粉末状でもよく、又は通常用いられる製剤用担体を使用し固形製剤若しくは液体製剤としてもよい。これらの製剤化の方法は公知である。このようにして得られた「甘蔗由来のエキス」は、液状又は粉末状で保存することができる。保存は特に液状の場合、冷蔵保存が好ましい。
【0035】
液状の甘蔗由来のエキスとして、後述する製造例1の甘蔗由来のエキスを挙げることができる。この場合、甘蔗由来のエキスは固形分20%以上に濃縮することが、腐敗防止の観点から好ましい。また、保存は冷蔵保存が好ましい。
【0036】
粉末である甘蔗由来のエキスとして、前記液状の甘蔗由来のエキスを公知の方法により粉末状とした甘蔗由来のエキスを挙げることができる。例えば、公知の方法として、例えばスプレードライ法、凍結乾燥法、流動層造粒法、又は賦形剤を用いた粉末化法を使用することができる。
【0037】
「甘蔗由来のエキス」は、天然物由来であるため、原料となる甘蔗、甘蔗の産地、気候など及びエキスの製造方法によりその分析値は異なる。例えば、後述する製造例1の甘蔗由来のエキスの一分析値は、以下の通りである。
【0038】
固形分は37.4重量%、ブリックス(Bx.)は40.6、糖含量は固形分当たり9.8%(内訳;スクロース6.8%、グルコース1.4%、フラクトース1.6%)、ポリフェノール含量は固形分当たり5.0%である。
【0039】
なお、固形分は常圧加熱乾燥法により、ブリックスはブリックス計により測定した。また、糖含量(スクロース、グルコース及びフラクトース含量)は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めたものを、それぞれ各サンプルの固形分重量に対する比(%)として示した。ポリフェノール含量はカテキン水溶液を標準溶液として検量線を引き、フェノール試薬で反応させて波長760nmの吸光度を測定するフォリン−チオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示した。
【0040】
本発明による風味向上剤は「甘蔗由来のエキス」を含み、該剤を固形製剤とする場合、例えば液状の甘蔗由来のエキスにコーンスターチ又はデキストリンなどを混和して、調製してもよい。これらの製剤化の方法は公知である。
【0041】
本発明の「風味」とは、甘味素材含有飲食品の甘味風味、食塩含有飲食品の塩風味、卵含有食品の卵風味、果実または果汁含有飲食品の果実または果汁風味、香料含有飲食品の香料風味ならびに発酵飲食品の発酵由来の風味をいい、それらの風味はそれら飲食品において本来好ましい味を呈するものである。
【0042】
本発明でいう「風味の向上」または「風味向上」とは、甘味素材含有飲食品の甘味風味、食塩含有飲食品の塩風味、卵含有食品の卵風味、果実または果汁含有飲食品の果実または果汁風味、香料含有飲食品の香料の風味ならびに発酵飲食品の発酵由来の風味の向上を含む。
【0043】
本発明に係る甘蔗由来の風味向上剤によって風味が向上される飲食品としては、甘味素材含有飲食品、食塩含有飲食品、卵含有飲食品、果実または果汁含有飲食品、香料含有飲食品、発酵飲食品などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0044】
本発明の風味向上剤による飲食品の風味向上としては、例えば次のようなものを挙げることができる。
【0045】
1.甘味素材含有飲食品
甘味素材含有飲食品とは味質として甘味を含有する飲食品であれば特に限定されるものではなく、焼き菓子、冷菓、デザート、和菓子、キャンディー、チューインガム、チョコレート、打錠菓子、果皮の甘味料漬け、清涼飲料、アルコール飲料、野菜ジュースなどが挙げられる。甘味素材は甘味料により付与した甘味に限らず、素材の成分として含まれている糖による甘味も含む。また甘味を付与する甘味料は砂糖、果糖、ブドウ糖、パラチノースなどの糖類、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、エリスリトール、還元パラチノース、還元水飴、還元麦芽糖水飴などの糖アルコール、ステビア甘味料、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、グリチルリチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンなどの高甘味度甘味料、ハチミツ、メープルシロップ及びこれら甘味料の混合物などが挙げられる。本発明の風味向上剤を添加することにより、甘味素材含有飲食品の甘味度を増し、純粋な甘味を引き立たせるとともに自然な甘味にすることができるため、甘味風味を向上することができる。また、本発明の風味向上剤を添加することにより、甘味素材含有飲食品中の他素材の異味や甘味料自体の異味を低減し、さらには甘味素材含有飲食品の加工臭、劣化臭を低減することができる。
【0046】
2.食塩含有飲食品
食塩含有飲食品の風味向上とは、食塩を含有する飲食品であれば特に限定されるものではなく、漬け物、キムチ、山菜加工品、味付けメンマなどの農産加工品、ハム、ソーセージ、ベーコン、コンビーフ、食肉加工缶詰などの畜産加工品、魚肉ハム、・ソーセージ、かまぼこ、海苔佃煮、水産フライなどの水産加工品、ハンバーグ、ミートボール、シューマイ、グラタンなどの調理済食品、ソース、マヨネーズ、ドレッシング、たれ、浅漬けの素、醤油、みそ、つゆの素、風味調味料などの調味料、カレー、レトルトカレー、パスタソース、スープ、どんぶりの素、シチュー、お茶漬け、ピザソースなどの調味食品、ポテトチップ、ポップコーンなどのスナック菓子、スナック麺、ピラフ、ピザパイなどが挙げられる。本発明の風味向上剤を添加することにより、食塩含有飲食品の塩風味を向上することができる。また、本発明の風味向上剤を添加することにより、飲食品中の他素材の異味や飲食品の加工臭、劣化臭を低減することができる。
【0047】
3.卵含有飲食品
本発明の卵含有飲食品とは、卵を含有している飲食品であれば特に限定されるものではなく、スポンジケーキ、パウンドケーキ、ビスケット、クッキーなどの焼き菓子、プリン、カスタードクリーム、ババロア、アイスクリームなどの冷菓、ミルクセーキ、そしてマヨネーズ、ドレッシングなどの調味料、卵豆腐、茶碗蒸し、オムレツ、卵サンド、錦糸卵、厚焼き卵、親子丼、お好み焼き、かに玉などの卵料理、カップラーメンの具材などの卵利用調味食品が挙げられる。また卵は鶏卵、うずらの卵、アヒルの卵をはじめ、食に供する卵の全卵、卵白、卵黄などのいずれか又は2種以上を、そのまま又は液状、凍結卵、乾燥卵、濃縮卵、加糖全卵、加糖卵黄などの形態で用いたものを含む。本発明の風味向上剤を添加することにより、卵含有飲食品の卵風味を向上することができる。また、本発明の風味向上剤を添加することにより、飲食品中の他素材の異味や卵自体の加工臭、劣化臭を低減することができる。
【0048】
4.果実または果汁含有飲食品
本発明の果実または果汁含有飲食品とは、果実または果汁を含有している飲食品であれば特に限定されるものではなく、焼き菓子、ゼリー、ババロア、シャーベット、ヨーグルトデザートなどの冷菓、デザートソースなどのソース、ジャム、果汁入り清涼飲料などの清涼飲料、炭酸飲料・アルコール飲料などが挙げられる。また、果実または果汁は生の果実、果汁、または凍結果実、凍結果汁、乾燥果実、濃縮果汁、加糖果汁、砂糖漬け果実、粉末果汁などの形態で用いたものを含む。本発明の風味向上剤を添加することにより、果実または果汁含有飲食品の果実または果汁風味を向上することができる。また、本発明の風味向上剤を添加することにより、飲食品中の他素材の異味や果実または果汁自体の加工臭、劣化臭を低減することができる。また、ホットッベンダーで長時間加熱した飲料は、果実または果汁自体の加熱臭、劣化臭が生じることがあることから、これらの飲料の果実または果汁風味を増強することができる。
【0049】
5.香料含有飲食品
本発明の香料含有飲食品とは、香料を含有している飲食品であれば特に限定されるものではなく、乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料などの茶飲料、スープ、焼き菓子、冷菓、デザート、和菓子、キャンディー、チューインガム、チョコレート、打錠菓子、農産加工品、畜産加工品、水産加工品、各種総菜、加工食品、スナック菓子、ジャムなどが挙げられる。また香料は天然香料及び合成香料、単体香料及び調合香料を含み、水溶性香料、油性香料、乳化香料、粉末香料などの形態で用いられるものを含む。本発明の風味向上剤を添加することにより、香料含有飲食品の香料風味を向上することができる。また、本発明の風味向上剤を添加することにより、飲食品中の他素材の異味や香料自体の加工臭や劣化臭を低減することができる。
【0050】
6.発酵飲食品
本発明の発酵飲食品とは、発酵飲食品自体、発酵飲食品を含有している飲食品であれば特に限定されるものではなく、ビール、発泡酒、ワインなどのアルコール飲料、発酵バター、発酵マーガリン、非熟成チーズなどの乳製品、食酢、味噌、醤油などの調味料、漬け物などが挙げられる。また発酵飲食品を利用した飲食品、例えば食酢を利用したマヨネーズ、ドレッシング、たれ類など、ワインを利用したデザート、冷菓なども含む。本発明の風味向上剤を添加することにより、発酵飲食品中の発酵由来の好ましい風味を増強することができる。また、発酵飲食品には飲食品の発酵工程中に生じるアセトインやジアセチルなどの成分が含まれており、これらはむれ臭と言われ、少量の場合は発酵飲食品独特の風味として好まれるが、多量に含まれると悪臭として好まれない風味である。本発明の風味向上剤を添加することにより、発酵飲食品中のむれ臭成分や発酵飲食品中の他素材の異味を低減させることができる。
【0051】
本発明の風味向上剤の添加量及び添加方法は、添加される飲食品の種類によって適宜選択することができる。通常の添加量は、例えば下記で述べる製造例1の甘蔗由来のエキスの場合、飲食品に対して10〜1000ppmであり、好ましくは50〜500ppmであり、この範囲の添加量で十分な風味向上効果を得ることができる。
【0052】
本発明の風味向上剤の添加方法は、風味の向上を必要とする飲食品に混合することにより行われる。加工食品の場合、風味の向上を必要とする原料に直接混合することが望ましいが、混合が困難であるときには、風味の向上を必要とする原料の表面に風味向上剤の溶液を噴霧する、あるいはこのような溶液に浸漬する、あるいは風味向上剤を含む粉末食品あるいはシート状食品又はシール製品を接触させることもできる。
【0053】
【実施例】
下記に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中「%」は特記のない限り「重量%」である。
【0054】
製造例1
原糖製造工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(固形分18.6%)約1000リットルを、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型限外ろ過(MH25型、有効膜面積2m2×3本、分画分子量10万、ダイセル化学工業株式会社製)でろ過処理した、約750リットルの処理液を得た。合成吸着剤SP−850(商標、三菱化学株式会社)15リットルを、ウォータージャケット付きのカラム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100cm)に充填し、これに前記の圧搾汁ろ過処理液を、流速75リットル/時間(SV=5hr-1)の速度で通液した。なお、圧搾汁ろ過処理液通液中は、ウォータージャケットに、65℃の水を常に循環させた。次に、45リットルのイオン交換水を流速30リットル/時間(SV=2hr-1)でカラムに通液して洗浄した。イオン交換水で洗浄後、カラムから溶出した画分についての糖類の検出を行ったところ、ハンドレフブリックス(Bx.)計(アタゴ株式会社製、N−1E型)において、Bx.が約0になっているのが確認された。その後、溶出溶媒として30リットルの55%エタノール水溶液(エタノール/水=55/45(体積/体積))を流速30リットル/時間(SV=2hr-1)にてカラムに通液して、合成吸着剤に吸着した成分を溶出させた。なお、溶出溶媒およびその後のイオン交換水通液中は、ウォータージャケットに、25℃の水を常に循環させた。55%エタノール水溶液でカラムから溶出した溶出液および、その後のイオン交換水を20分間流して得られた溶出液を混合し、濃縮機にて約20倍に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)435gを得た。
【0055】
製造例2
原糖製造工場の製造工程にて得られた清浄汁(固形分11.5%)約620リットルを限外ろ過処理せずにそのまま使用した以外は、製造例1と同様にしてカラム処理を行った。得られた溶出液を濃縮機にて約20倍に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)210gを得た。
【0056】
実施例1(甘味素材含有飲食品の風味向上:青汁)
生のケールをジューサーで絞り、青汁を調製した。被検液として、調製した青汁100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキス0.1gを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照との甘味風味の違いをみるために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0057】
その結果、全員が被検液の甘味は対照に比べて強く感じると答えた。また、対照は青汁特有の青臭味、エグ味が強いのに対し、8人が被検液の青汁特有の青臭味およびエグ味は対照に比べて減少し、残りの2人が被検液のエグ味は対照に比べて減少し、被検液と対照液との青臭味の差はないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは青汁の甘味風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスは青汁の異味を低減させた。
【0058】
実施例2(甘味素材含有飲食品の風味向上:ステビア甘味料)
蔗糖の5%溶液と等甘味度になるように、ステビア甘味料(守田化学工業株式会社製、商品名:SKスイートZ3)の0.033%溶液を蒸留水で調製した。被検液は、この溶液100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照との甘味風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0059】
その結果、7人が被検液の甘味は対照に比べて強く感じたと答え、残りの3人が被検液と対照との甘味の差は感じないと答えた。また、全員が被検液の苦味、金属味、後味は対照に比べて減少したと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはステビア甘味料の甘味風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはステビア甘味料の異味を低減させた。
【0060】
実施例3(甘味素材含有飲食品、果汁含有飲食品の風味向上:デザートミックス)
被検サンプルは、デザートミックス(ハウス食品株式会社製、商品名:フルーチェ、イチゴ)100gに対して、牛乳100mlと牛乳100ml対し製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlとを加えて撹拌して、冷やし固めた。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検サンプルと対照との甘味及び果汁風味の違いをみるために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0061】
その結果、6人が被検サンプルの甘味は対照に比べて強く感じるとともに、被検サンプルのイチゴの果汁感は対照に比べて増したと答え、残りの4人が被検サンプルと対照との甘味の差を感じないが、被検サンプルのイチゴの果汁感は対照に比べて増したと答えた。また、6人が被検サンプルのレトルト臭は対照に比べて低減したと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはフルーチェの甘味風味及び果汁風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはレトルト臭の異味を低減させた。
【0062】
実施例4(食塩含有飲食品の風味向上:ブルーチーズ)
被検サンプルは、ブルーチーズ(森永乳業株式会社製、商品名:KRAFTブルーチーズ)100gに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍に希釈した希釈液0.2mlを添加して、よく練った。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検サンプルと対照との塩風味の違いをみるために、9人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0063】
その結果、全員が被検サンプルの塩味は対照に比べて強く感じたと答えた。また、そのうち7人が被検サンプルのかび臭さ、チーズ臭さ、後味は対照に比べて低減したと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはブルーチーズ特有の塩風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはブルーチーズ特有のカビ臭さ及びチーズ臭さ、並びに後味を低減させた。
【0064】
実施例5(食塩含有飲食品、発酵飲食品の風味向上:漬け物)
被検サンプルは、かつおたくあん(株式会社 新進製)の漬け汁100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍に希釈した希釈液0.1mlを添加し、この漬け汁にかつおたくあん200gを0.5cm幅にスライスして30分間浸漬した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検サンプルと対照との塩風味、発酵風味の違いをみるために、9人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0065】
その結果、7人が被検サンプルの塩風味は対照に比べて強く感じたと答え、残りの2人が被検サンプルと対照との塩風味の差は感じなかったと答えた。また、7人が被検サンプルのたくあん特有の臭み、ステビア甘味料の後味は対照に比べて減少したと答え、残りの2人が被検サンプルと対照との間でそれらの差を感じなかったと答えた。以上のことから、甘味由来のエキスはたくあんの塩風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはたくあん特有の臭み、ステビア甘味料の後味を低減させた。
【0066】
実施例6(果実または果汁含有飲食品の風味向上:グレープフルーツ)
グレープフルーツ果実をジューサーで絞り、グレープフルーツジュースを調製した。被検液は、調製したジュース100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍に希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液及び対照は、果汁の風味を劣化させるために、75℃、15分間、湯浴中で加熱した。被検液と対照との甘味及び果汁風味の違いをみるために、10人の訓練されたパネラーに官能検査により、官能検査を実施した。
【0067】
その結果、全員が被検液の甘味及び果汁感は対照に比べて強く感じたと答えた。また、全員が被検液の苦味及び渋味は対照に比べて減少したと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはグレープフルーツジュースの甘味風味、果汁風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはグレープフルーツジュースの異味を抑えた。
【0068】
実施例7(食塩含有飲食品、卵含有飲食品の風味向上:フリーズドライスープ)
被検液はたまごスープ(味の素株式会社製、商品名:クノールふんわりたまごスープ)1個包装分を熱湯160mlで溶解し、このスープ100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検サンプルと対照との塩風味及び卵風味の違いをみるために、10人の訓練されたパネラーにより官能検査を実施した。
【0069】
その結果、全員が被検サンプルの塩味は対照に比べて強く感じたと答えた。また、6人が被検サンプルの卵の風味は対照に比べてコクのある卵風味となったと答え、残りの4人が被検サンプルと対照との卵の風味の差は感じないと答えた。さらに、6人が被検液の合成的な旨味は対照に比べて低減し、自然な旨味に近いと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはフリーズドライスープの塩風味、卵風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはフリーズドライスープの合成的な旨味を低減させ、自然な旨味に近づけることがわかった。
【0070】
実施例8(発酵飲食品の風味向上:食酢)
被検液は、酢(株式会社飯尾醸造製、商品名:米酢「富士」)を2倍希釈した溶液100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照との発酵の風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0071】
その結果、8人が被検液の刺激的な酸味やむれ臭は対照に比べて減少し、まろやかさ、甘さ、こくを感じたと答え、残りの2人が被検液と対照との間でそれらの差は感じないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは発酵の風味を向上させ、食酢の刺激的な酸味とむれ臭を低減させ、まろやかさ、甘さ、こくなどの風味を向上させることがわかった。
【0072】
実施例9(発酵飲食品の風味向上:発泡酒)
被検液は、発泡酒(アサヒビール株式会社製、商品名:アサヒ本生)100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照との発酵由来の風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0073】
その結果、7人が被検液の苦味は対照に比べてシャープになり、またベッタリとした重い味及び粉っぽい味が減少し、コクが増したと答え、残りの3人が被検液と対照との苦味、ベッタリとした重い味及び粉っぽい味に差を感じないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは発酵の風味を向上させ、発泡酒の苦味をシャープにし、重く粉っぽい味を減少し発泡酒の風味を向上させることがわかった。
【0074】
実施例10(果実または果汁含有飲食品、香料含有飲食品の風味向上:ニアウォーター)
被検液は、ニアウォーター(日本たばこ産業株式会社製、商品名:桃の天然水)100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.05mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照との果汁風味、香料の風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0075】
その結果、8人が被検液の桃の果汁感は対照に比べて増したと答え、残りの2人が被検液と対照との桃の果汁感の差は感じないと答えた。また、8人が被検液中の高甘味度甘味料の合成的な味、後味は対照に比べて減少し、さわやかさ増したと答え、残りの2人が被検液と対照液との間でそれらの差は感じないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは桃の天然水の果汁風味、香料風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスは、高甘味度甘味料の合成的な味、後味を減少させた。
【0076】
実施例11(卵含有飲食品の風味向上:レトルト粥)
被検サンプルは、玉子がゆ(味の素株式会社製、商品名:ちゃんとごはん玉子がゆ)100gに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検サンプルと対照の卵風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0077】
その結果、7人が被検サンプルの卵風味は対照に比べて増したと答え、残りの3人が被検サンプルと対照との卵の風味に差はないと答えた。また、8人が被検サンプルのレトルト臭は対照に比べて減少したと答え、残りの2人が被検サンプルと対照とのレトルト臭の差はないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは玉子がゆの卵風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはレトルト臭を減少させることがわかった。
【0078】
実施例12(果実または果汁含有飲食品、香料含有飲食品の風味向上:加熱用ペットボトル飲料)
被検液は、ホットベンダー用のほっとレモン(カルピス株式会社製、商品名:ほっとレモン)100mlに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液及び対照は、短時間で果汁及び香料を加熱劣化させるために、121℃、20分間でオートクレーブ処理した。被検液と対照との果汁風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0079】
その結果、7人が被検液の果汁風味は対照に比べて増したと答え、残りの3人が被検液と対照との果汁風味の差はないと答えた。また、7人が被検液の渋味及びこもった臭いと味は対照に比べて減少し、さっぱり感が増したと答え、1人が被検液の渋味およびこもった臭いと味は対照に比べて減少したが、さっぱり感の差はないと答え、残りの2人が被検液と対照との間でそれらの差はないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはほっとレモンの果汁風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスはほっとレモンの劣化による異味を減少した。
【0080】
実施例13(香料含有飲食品の風味向上:レトルト鮭粥)
紅鮭がゆ(味の素株式会社製、商品名:ちゃんとごはん紅鮭がゆ)は、紅鮭の風味を紅鮭および香料で風味づけしている商品である。被検サンプルは、紅鮭がゆ100gに対して、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.1mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照との鮭香料風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0081】
その結果、7人が被検サンプルの鮭の風味が対照に比べて増したと答え、残りの3人が被検サンプルと対照との鮭の風味の差はないと答えた。また、7人が被検サンプルのレトルト臭が対照に比べて減少したと答え、残りの3人が被検サンプルと対照とのレトルト臭の差はないと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは紅鮭かゆの鮭の香料風味を向上させることがわかった。また、甘蔗由来のエキスは紅鮭かゆのレトルト臭を減少した。
【0082】
実施例14(香料含有飲食品の風味向上:わさびマヨネーズ)
被検サンプルは、わさびマヨネーズ(株式会社 栗原商店製、商品名:わさびマヨネーズ)100gに対し、製造例1で得られた甘蔗由来のエキスを蒸留水で100倍希釈した希釈液0.2mlを添加した。一方、対照として甘蔗由来のエキスの希釈液の代わりに蒸留水を添加した。被検液と対照とのわさび香料風味の違いを見るために、10人の訓練されたパネラーにより、官能検査を実施した。
【0083】
その結果、8人が被検サンプルのわさびの風味は増したと答え、残りの2人が差はないと答えた。また、5人が被検サンプルの酸味は対照に比べて弱まり、また油のしつこさはさっぱりしたと答えた。以上のことから、甘蔗由来のエキスはわさびマヨネーズのわさびの香料風味を向上させることがわかった。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、甘蔗由来のエキスを甘味素材含有飲食品、食塩含有飲食品、卵含有飲食品、果実または果汁含有飲食品、香料含有飲食品、発酵食品などに添加することにより、飲食品の持つ好ましい風味を向上することができる。また、同時にこれらの飲食品中に含まれる素材の異味、飲食品の加工臭、劣化臭に代表される異味を低減または除去することが可能である。甘蔗由来のエキスは植物由来であり、古来からヒトがそのままかじっていた甘蔗並びに飲用にしていた甘蔗汁などの天然の飲食物中に存在している成分であるため、ヒトの健康を害することもなく安全に使用できる。また、本発明による風味向上剤は、有効添加量では臭いも味も無いため汎用性が高く、使用対象である飲食品の臭い、色、味に影響を与えない。これらのことから、本発明による風味向上剤は産業上非常に有用である。

Claims (5)

  1. 甘蔗由来のエキスを有効成分として飲食品に添加し、該飲食品の風味を向上させる方法であって、甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜から選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分であり、飲食品の風味の向上が、食塩含有飲食品の塩風味の向上、卵含有飲食品の卵風味の向上、香料含有飲食品の香料風味の向上のいずれかである、前記方法。
  2. 甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜から選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することにより得られる画分である請求項1記載の方法。
  3. 食塩含有飲食品が、農産加工品、畜産加工品、水産加工品、調理済食品、調味料、調味食品、スナック菓子、スナック麺である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 卵含有飲食品が、焼き菓子、冷菓、ミルクセーキ、調味料、卵料理、卵利用調味食品である請求項1又は2に記載の方法。
  5. 香料含有飲食品が、乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、茶飲料、スープ、焼き菓子、冷菓、和菓子、キャンディー、チューインガム、チョコレート、打錠菓子、農産加工品、畜産加工品、水産加工品、総菜、加工食品、スナック菓子、ジャムである請求項1又は2に記載の方法。
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