JP2018099066A - ミルク感増強用組成物 - Google Patents

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邦雄 林
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Ayako Arakawa
朱子 荒川
和世 塩見
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和世 塩見
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Masahiro Okuno
雅浩 奥野
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Abstract

【課題】 カロリーを低減させつつ、あるいはカロリーの増加を抑えつつ、ミルク感が増強された飲食品を製造できる安全で安心な方法を提供する。【解決手段】 ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを有効成分とするミルク感増強用組成物、および、これを用いるミルク感が増強された飲食品の製造方法。本発明によれば、実質的にゼロカロリーの組成物により飲食品のミルク感を効果的に増強することができる。よって、本発明によれば、カロリーを低減させつつ、あるいはカロリーの増加を抑えつつ、豊かなミルク感を有する飲食品を製造することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを有効成分とするミルク感増強用組成物およびこれを用いるミルク感が増強された飲食品の製造方法に関する。
カフェオレやいちごミルク、ミルクティー、アイスクリーム、プリン、ポタージュスープ、グラタンなど、生乳や乳製品を配合した飲食品は、広く市場に展開されている。これらの飲食品において、乳の風味(ミルク感)は美味しさを形成する重要な要素であり、また、昨今では、ミルク感がより強いものが消費者に好まれる傾向がある。このことから、ミルク感を強調し、「ミルク感たっぷり」や「濃厚ミルク感」というように、そのことを宣伝文句とした商品の開発も行われている。
その一方で、カロリーを控えた商品が消費者に好まれる傾向もある。しかしながら、一般に、生乳や乳製品といったミルク感を有する飲食品材料には脂肪分が多く含まれていてカロリーも高く、製品のミルク感を高めるためにその配合量を増加させた場合は、カロリーが増加してしまうという問題がある。
また、生乳や乳製品を配合した飲食品の中には、砂糖の代替として人工甘味料を用いてカロリーを低減させ、低カロリーを謳った商品も多いが、人工甘味料は耐糖能障害を引き起こす可能性が示唆されており(非特許文献1)、健康に対する悪影響への懸念ないし悪印象が払拭できない。
以上のことから、カロリーを低減させつつ、あるいはカロリーの増加を抑えつつ、ミルク感が増強された飲食品を製造できる安全で安心な方法が求められていた。この点、特許文献1には、ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤が([請求項1])、特許文献2には、スクラロースを乳含有製品に配合する乳感の増強方法が([請求項64])、それぞれ記載されている。
特開2014−060987号 特開2015−164428号
Nature, 2014, Vol.514, No.7521, p. 181-186
しかしながら、特許文献1に記載の乳風味増強剤が有効成分とするガラクトオリゴ糖は、砂糖の約半分のカロリーではあるものの、甘味度が約四分の一であるため、砂糖の一部または全部を代替し、同等の甘味度になるよう飲食品に用いた場合は、カロリーが増加することになってしまう。また、特許文献2に記載の乳感増強方法にて用いられるスクラロースは人工甘味料であり、砂糖の600倍の甘味度を有するため、砂糖の代替甘味料として用いることによりカロリーは低減できるが、上述のとおり健康に対する悪影響への懸念ないし悪印象がある。
すなわち、上記文献に記載された発明を鑑みても、カロリーを低減させつつ、あるいはカロリーの増加を抑えつつ、ミルク感が増強された飲食品を製造する、安全で安心な方法は十分に提供されておらず、そのような方法が求められていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、カロリーを低減させつつ、あるいはカロリーの増加を抑えつつ、ミルク感が増強された飲食品を製造できる安全で安心な方法として、ミルク感増強用組成物およびこれを用いるミルク感が増強された飲食品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ミルク感を有する材料を配合する飲食品の製造過程で、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、当該飲食品のミルク感およびミルク感以外の風味が顕著に強くなるとともに、ボリューム感が向上し、甘味の質が良くなることを見出し、係る知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係るミルク感増強用組成物は、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを有効成分としており、前記甘蔗由来エキスは、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜から選択される原料を、合成吸着剤が充填されたカラムに通液し、前記合成吸着剤に吸着された成分を、水、エタノールおよびこれらの混合物から選択される溶媒で溶出することによって得られる画分である。
(2)本発明に係るミルク感増強用組成物は、ボリューム感向上用組成物、風味増強用組成物または甘味質改善用組成物として用いることもできる。
(3)本発明に係るミルク感増強用組成物は、ステビア抽出物1重量部に対して、エリスリトールが5重量部以上100重量部以下、かつ、甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の割合で含有するものであることが好ましい。
(4)本発明に係るミルク感が増強された飲食品の製造方法は、本発明のミルク感増強用組成物を飲食品材料に添加する工程を有する。
エリスリトールはゼロカロリーである。ステビア抽出物もまた、砂糖の200〜300倍という高甘味度を有していて使用量が極少量で済むため、極低カロリーといえる。甘蔗由来エキスもまた、少量の糖を含むものの、使用量が極少量で済むため、極低カロリーといえる。すなわち、本発明に係るミルク感増強用組成物の有効成分は実質的にゼロカロリーである。
したがって、本発明によれば、ミルク感を有する材料の配合量を増加させずとも、ゼロカロリーの組成物によりミルク感を増強できることから、カロリーの増加を抑えつつミルク感が増強された飲食品を製造することができる。あるいは、本発明によれば、ミルク感を有する材料の配合量を低減させることによりカロリーを低減させつつ、ミルク感が増強された飲食品を製造することができる。
また、本発明に係るミルク感増強用組成物の有効成分は、十分かつ良好な甘味を有するため、これを砂糖の代替として用いることにより、カロリーを低減させつつ、ミルク感が増強された飲食品を製造することができる。
また、ステビア抽出物はキク科ステビア属の多年草の葉から抽出されるものであり、甘蔗由来エキスは甘蔗の絞り汁から抽出されるものであるため、いずれも天然由来の成分である。エリスリトールもまた、メロンやキノコといった自然物に元来含まれている成分であり、工業的にはブドウ糖を炭素源とする発酵により生産されるものであるため、天然由来の成分といえる。
したがって、本発明によれば、天然由来の成分からなる安全で安心な組成物により、飲食品のミルク感を増強することができる。
また、本発明によれば、飲食品のボリューム感を向上し、ミルク感以外の好ましい風味を増強し、甘味の質を改善することができる。
以下、本発明に係るミルク感増強用組成物およびミルク感が増強された飲食品の製造方法について詳細に説明する。本発明に係るミルク感増強用組成物(以下、「本組成物」という場合がある。)は、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを有効成分とする。
本発明において、「ミルク感」とは、乳の風味をいう。すなわち、ミルク感は、乳風味、ミルク風味、乳感などと同義に用いられる。
また、本発明において「風味」とは、飲食品の香りや味をいう。本組成物は、ミルク感を増強するとともに、ミルク感以外のヒトにとって好ましい風味をも増強することから、風味増強用組成物として、飲食品のミルク感以外の風味を増強する用途に用いることもできる。「ミルク感以外の風味」として、具体的には、例えば、コーヒーや茶(紅茶、マテ茶、日本茶(緑茶)、中国茶など)、カカオ豆(ココア、チョコレート)などの嗜好飲食品の風味や、果実または果汁(いちご、マンゴー、パパイヤ、りんご、オレンジ、モモ、パイナップル、ベリー類、ブドウ、メロン、キウイフルーツなど)の風味、旨味などを挙げることができる。
また、本発明において「ボリューム感」とは、飲食品の量ではなく味質を指し、ボディ感、コクなどと同義に用いられる。本発明に係るミルク感増強用組成物は、ミルク感を増強するとともにボリューム感をも増強することから、ボリューム感増強用組成物として、飲食品のボリューム感を増強する用途に用いることもできる。
また、本発明において「甘味質」とは、甘味そのものの質を意味する。甘味質は、甘味のコク、厚み、まろやかさ、およびクセの少なさを総合的に評価して、砂糖に近いものほど良好とされている。本発明に係るミルク感増強用組成物は、ミルク感を増強するとともに甘味質をも改善することから、甘味質改善用組成物として、飲食品の甘味質を改善する用途に用いることもできる。
本発明が対象とする飲食品は、ミルク感を有する材料を配合した飲食品である。ミルク感を有する材料としては、例えば、ヤギ、ウシ、馬、羊などの動物の乳や、これを加工してなる乳製品(牛乳、加工乳、ヨーグルト、クリーム、チーズ、バター、ホエイ、粉乳、練乳、バターミルク、発酵乳、乳脂、カゼインなど)の他、豆乳、植物性脂肪を主原料とするクリーム、液体や固体のコーヒークリーミング、マーガリンなどを挙げることができる。
本組成物は、ミルク感を有する材料の配合量が少量であってもミルク感増強効果を奏することができる。したがって、本発明が対象とする飲食品において、ミルク感を有する材料の配合量は特に限定されず、飲食品の種類や所望の味質、製品価格などによって適宜設定することができる。当該配合量として、具体的には、例えば、0.01〜99.9質量%、0.05〜99.9質量%、0.1〜99.9質量%、0.5〜99.9質量%、1〜99.9質量%、2〜99.9質量%、3〜99.9質量%、4〜99.9質量%、5〜99.9質量%、5〜99質量%、5〜98質量%、5〜97質量%、5〜96質量%、5〜95質量%、5〜94質量%、5〜93質量%、5〜92質量%、5〜91質量%、5〜90質量%などを挙げることができる。
「ステビア抽出物」は、ステビア レバウディアナ ベルトニ(Stevia rebaudiana Bertoni)の葉の抽出物であって、ステビオール配糖体(ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドAなど)を主成分とするものをいう。これらのステビオール配糖体のうち、レバウディオサイドAが、特に甘味度が高く、味質が優れていることが知られている。本発明のステビア抽出物において、甘味成分(ステビオール配糖体)中のレバウディオサイドAの含有割合(レバウディオシドA純度)は特に限定されないが、優れた甘味質を提供する観点からは、40%以上、好ましくは50%以上の含有割合を挙げることができる。
なお、本発明のステビア抽出物には、α−グルコシルトランスフェラーゼによる酵素処理を行った酵素処理ステビアも含まれる。
また、本発明において、ステビア抽出物は、Alpha(レバウディオシドA純度が75質量%)、Rebaudioside A(Reb A)(レバウディオサイドA純度が97.5質量%以上)およびSteviol Glycosides(SG95)(レバウディオサイドA純度が50質量%以上)(以上、ピュアサークル社)、レバウディオJ−100、レバウディオA9−90およびステビロンTK(以上、守田化学工業社)、クリサンタ99−PおよびクリサンタAX−P(以上、大日本インキ化学工業社)、ステビアフィンHおよびステビアフィンHN2(以上、日本製紙ケミカル社)、ステビアST−ABおよびハイステビア500(以上、池田糖化工業社)などの市販品を用いることができる。
「エリスリトール」はエリトリトールとも呼ばれ、下記の化学式で表される糖アルコールであり、化学名は1,2,3,4−Butaneterolである。
本発明において、エリスリトールは、グルコースなどを炭素源としてエリスリトール生産菌を培養して生産させ、これを精製して得ることができる。ここで、エリスリトール生産菌としては、例えば、トリゴノプシス属またはカンジダ属に属する微生物(特公昭47−41549号公報)、トルロプシス属、ハンゼヌラ属、ピヒア属またはデバリオミセス属に属する微生物(特公昭51−21072号公報)、モニリエラ属に属する微生物(特開昭60−110295号公報、特開平10−215887)、オーレオバシデュウム属に属する微生物(特公昭63−9831号公報)、イエロビア属に属する微生物(特開平10−215887号公報)などを挙げることができ、培養条件は、各菌に適した通常の条件で行うことができる。また、エリスリトールの精製は、菌体分離、クロマトグラフィーによるエリスリトールの分取、脱塩、脱色、晶析、結晶分解および乾燥の工程を常法に従って行うことができる。また、本発明においては、市販のエリスリトールを用いることもできる。
「甘蔗由来エキス」とは、甘蔗(サトウキビ)を原料として得られるエキスをいう。本発明における甘蔗由来エキスは、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜から選択される原料を、合成吸着剤が充填されたカラムに通液し、前記合成吸着剤に吸着された成分を、水、エタノールおよびこれらの混合物から選択される溶媒で溶出することによって得られる画分であることが好ましい。
ここで、「甘蔗汁」とは、甘蔗を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁ならびに原糖製造過程における石灰処理した清浄汁および濃縮汁を包含する。
また、「甘蔗の溶媒抽出液」とは、甘蔗を汎用の有機溶媒で抽出した抽出液、または当該抽出液を濃縮、乾固した後、水に再溶解した抽出液などを意味する。この場合の有機溶媒としては、例えばメタノールやエタノールなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独でも用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。さらに、これらの有機溶媒と水とを組み合わせて用いてもよい。
また、「甘蔗由来の糖蜜」とは、原糖製造過程における結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液との混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜を意味する。振蜜として、具体的には、例えば、洗糖蜜、1〜7番蜜、精糖廃蜜などが挙げられる。また、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも同様に用いることができる。
甘蔗由来エキスは、上述の原料(甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液または甘蔗由来の糖蜜)を、合成吸着剤が充填されたカラムに通液し、カラムに吸着した成分を溶出溶媒により溶出することによって得ることができる。ここで、当該原料は、そのまま又は水で任意の濃度に調整し、カラムに通液する前に濾過して異物を除去することが望ましい。濾過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーン濾過、ケイソウ土濾過、精密濾過、限外濾過等の手段を使用できる。
合成吸着剤の材質としては、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸系メタクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂などの有機系樹脂を挙げることができる、このうち、好ましくは芳香族系樹脂である。芳香族系樹脂としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン系樹脂やジビニルベンゼン系樹脂を挙げることができる。また、芳香族系樹脂は、無置換基型のもの、疎水性置換基を有するもの、無置換型に特殊処理を施したもののいずれも用いることができるが、好ましくは、無置換基型に特殊処理を施したものである。
本発明において、合成吸着剤は市販品を用いることができる。市販品は、例えば、無置換基型の芳香族系樹脂としては、HP−10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、HP−50(以上、三菱化学社)を、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂としては、例えば、SP−825、SP−800、SP−850、SP−875、SP−70、SP−700(以上、三菱化学社)を、芳香族系樹脂としては、例えば、SP−900(三菱化学社)、XAD−2、XAD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、オルガノ社)を、アクリル酸系エステル樹脂としては、例えば、HP−2MG、EX−0021(以上、オルガノ社)、HP1MG、HP2MG、(以上、三菱化学社)を、架橋デキストランの誘導体としては、例えば、LH20、LH60(以上、ファルマシア バイオテク社)を挙げることができる。
カラムに充填する合成吸着剤の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、合成吸着剤の種類(材質や細孔分布など)によって変化するが、原料の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。
原料をカラムに通液することにより、原料中の本発明の効果を有する成分は合成吸着剤に吸着され、スクロース、グルコース、フラクトース及び無機塩類の大部分がそのまま流出する。
固定担体に吸着された成分は、溶媒により溶出する。ここで、本発明の効果を有する成分を効率よく溶出するには、その前に残留するスクロース、グルコース、フラクトース及び無機塩類を水洗により充分に洗い流すことが好ましい。これにより、吸着されている目的の効果を有する成分をより効率よく回収することができる。
溶媒は、水、エタノールおよびこれらの混合物から選択されるが、このうち、水とエタノールとの混合物が好ましい。室温において効率よく目的の効果を有する成分を溶出できるため、当該混合物においては、エタノール/水が、50/50〜60/40(体積/体積)の割合で混合したものが好ましい。
一方、カラム温度を上げることにより、当該混合物におけるエタノールの割合を減らして、目的の効果を有する成分を溶出することができる。この場合、カラム内は常圧もしくは加圧された状態である。
溶媒による溶出速度は、カラムの大きさ、溶媒の種類、合成吸着剤の種類等によって変化するので特に限定されないが、SV=0.1〜10が好ましい。なお、SV(Space Velocity;空間速度)とは、1時間あたり樹脂容積の何倍量の液体を通液するかという単位である。
本組成物において、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスの含有割合は特に限定されないが、ステビア抽出物1重量部に対して、好ましくはエリスリトールが5重量部以上100重量部以下、かつ、甘蔗由来エキスが0.1重量部以上0.8重量部以下の含有割合を挙げることができる。後述する実施例5に示すように、当該含有割合においては、特に高いミルク感向上効果および/またはボリューム感向上効果を得ることができる。また、ステビア抽出物1重量部に対して、甘蔗由来エキスが0.1重量部以上0.6重量部以下の含有割合である場合は、特に高い風味増強効果を得ることができる。また、ステビア抽出物1重量部に対して、甘蔗由来エキスが0.1重量部以上0.8重量部以下の含有割合である場合は、特に高い甘味質改善効果を得ることができる。
本発明において、ミルク感増強用組成物ないしステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスの形状は特に限定されず、例えば、液体状、粉末状や錠剤などのいずれの形状であってもよい。例えば、甘蔗由来エキスは、上述のカラムから溶媒で溶出したそのままの液体であってもよく、これを噴霧乾燥法やドラムドライ法、凍結乾燥法などの手法により乾燥させて粉末状にした乾燥粉末であってもよい。また、ミルク感増強用組成物ないしステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスの乾燥粉末は、乳糖、デンプン、デキストリン、白糖、沈降シリカなどの各種賦形剤と混合した混合物であってもよく、当該乾燥粉末を水やグリセリン、アルコールなどの各種溶媒に溶かしてなる液体であってもよい。
本発明のミルク感増強用組成物は、後述する実施例1〜5に示すように、飲食品の製造過程で飲食品材料に添加して用いることができる。本組成物は、ミルク感を増強するとともに甘味を付与するため、砂糖などの甘味料の一部を本発明の組成物に置き換えて用いることができる。また、飲食物に添加する方法や添加するタイミングも、砂糖などの甘味料と同様に扱うことができる。なお、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスは、同時に飲食品材料に添加してもよく、異なるタイミングで添加してもよい。
最後に、本発明は、ミルク感が増強された飲食品の製造方法を提供する。本発明に係るミルク感が増強された飲食品の製造方法は、本発明のミルク感増強用組成物を飲食物材料に添加する工程を有する。ここで、飲食物材料には、上述のミルク感を有する材料も含む。本製造方法において、上述した本発明のミルク感増強用組成物と同じまたは相当する発明特定事項については、再度の説明を省略する。
以下、本発明に係るミルク感増強用組成物およびミルク感が増強された飲食品の製造方法について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
以下の実施例において、エリスリトールは「エリスリトール50M」(甘味度0.75、白色粉末、物産フードサイエンス社)を、ステビア抽出物は「Steviol Glycosides(SG95)」(甘味度230、白色粉末、ピュアサークル社)を用いた。ここで、「甘味度」は、10質量%のショ糖水溶液と同等の甘味を呈する濃度(X質量%)を官能試験により決定し、次式1を用いて算出した。
式1;甘味度=ショ糖水溶液の濃度(10質量%)/エリスリトールまたはステビア抽出物の水溶液濃度(X質量%)。
また、甘蔗由来エキスは、「甘蔗由来エキス・デキストリン混合物」を用いた。甘蔗由来エキス・デキストリン混合物は下記のとおり製造した。
〈甘蔗由来エキス・デキストリン混合物の製造〉
原糖製造工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(固形分18.6%)約1000リットルを、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型限外濾過(MH25型、有効膜面積2m×3本、分画分子量10万:ダイセル化学工業社)で濾過処理して、約750リットルの濾液を得た。合成吸着剤SP−850(商標)(三菱化学社)15リットルを、ウォータージャケット付きのカラム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100cm)に充填し、これに前記の濾液を、流速75リットル/時間(SV=5hr−1)の速度で通液した。なお、通液中は、ウォータージャケットに、65℃の水を常に循環させた。次に、45リットルのイオン交換水を流速30リットル/時間(SV=2hr−1)でカラムに通液して洗浄した。イオン交換水で洗浄後、カラムから溶出した画分についての糖類の検出を行ったところ、ハンドレフブリックス(Bx.)計(N−1E型:アタゴ社)において、Bx.が約0になっているのが確認された。その後、溶出溶媒として30リットルの55(v/v)%エタノール水溶液を、流速30リットル/時間(SV=2hr−1)にてカラムに通液することにより、合成吸着剤に吸着した成分を溶出させて、溶出液1を得た。続いて、イオン交換水を20分間流して、溶出液2を得た。なお、溶出溶媒およびイオン交換水の通液中は、ウォータージャケットに25℃の水を常に循環させた。溶出液1および溶出液2を混合し、濃縮機にて約20倍に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(甘蔗由来エキス)435gを得た。甘蔗由来エキス10重量部に対して、90重量部のデキストリンを混合し、甘蔗由来エキス・デキストリン混合物(粉末状)を得た。
なお、得られた甘蔗由来エキスを分析したところ、固形分は37.4重量%、ブリックス(Bx.)は40.6、糖含量は固形分当たり9.8%(内訳;スクロース6.8%、グルコース1.4%、フラクトース1.6%)、ポリフェノール含量は固形分当たり5.0%であった。
上記分析において、固形分は常圧加熱乾燥法により、ブリックスはブリックス計により測定した。また、糖含量(スクロース、グルコース及びフラクトース含量)は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めたものを、固形分重量に対する比(%)として示した。ポリフェノール含量はカテキン水溶液を標準溶液として検量線を引き、フェノール試薬で反応させて波長760nmの吸光度を測定するフォリン−チオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示した。
以下の実施例の表において、「甘蔗由来エキス(相当量)」の配合量は、「甘蔗由来エキス・デキストリン混合物」の配合量に1/10を乗じることにより算出した。
<実施例1>本願組成物の効果の検討;カフェオレ
(1)試料の調製
市販のコーヒー飲料(無糖、UCC社)に牛乳、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキス・デキストリン混合物を添加して、No.1〜4のカフェオレを調製した。その配合を表1の上段に示す。なお、ステビア抽出物およびエリスリトールの配合量は、それぞれの甘味度に基づいて、3重量%のショ糖の甘味度に相当する量とした。
(2)官能試験
本実施例1(1)のカフェオレについて、6名のパネリストにより官能試験を行い、「ミルク感」、「ボリューム感」、「コーヒーの風味(フレーバーの立ち)」および「甘味の質」を評価した。評価は、No.1の試料(エリスリトールおよび甘蔗由来エキスのいずれも添加せず、ステビア抽出物のみを添加したカフェオレ)を比較対照として、パネリストの意見を総合して下記の表2の基準により4段階評価した。その結果を表1の下段に示す。
表1の下段に示すように、ミルク感は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)およびNo.3(ステビア抽出物および甘蔗由来エキスを添加)では△だったのに対して、No.4(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では◎であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したカフェオレのミルク感が、最も強かった。
この結果から、カフェオレについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著なミルク感増強効果が得られることが明らかになった。
また、ボリューム感は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では×、No.3(ステビア抽出物および甘蔗由来エキスを添加)では△だったのに対して、No.4(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したカフェオレのボリューム感が最も大きかった。
この結果から、カフェオレについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著なボリューム感向上効果が得られることが明らかになった。
また、コーヒーの風味は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では×だったのに対して、No.3(ステビア抽出物および甘蔗由来エキスを添加)およびNo.4(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したカフェオレのコーヒーの風味は、ステビア抽出物のみを添加したカフェオレや、ステビア抽出物とエリスリトールとを添加したカフェオレと比較して、強かった。
この結果から、カフェオレについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、コーヒー風味の増強効果が得られることが明らかになった。
また、甘味の質は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では△、No.3(ステビア抽出物および甘蔗由来エキスを添加)では○であったのに対して、No.4(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では◎であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したカフェオレの甘味の質が最も良かった。
この結果から、カフェオレについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著な甘味質の改善効果が得られることが明らかになった。
<実施例2>本願組成物の効果の検討;いちごミルク
いちごピューレに牛乳、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキス・デキストリン混合物を添加して、No.1〜3のいちごミルクを調製した。その配合を表3の上段に示す。なお、ステビア抽出物およびエリスリトールの配合量は、それぞれの甘味度に基づいて、3重量%のショ糖の甘味度に相当する量とした。
続いて、これらのいちごミルクについて実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは3名とし、評価項目の「コーヒーの風味(フレーバーの立ち)」に代えて「いちごの風味(フレーバーの立ち)」を評価した。その結果を表3の下段に示す。
表3の下段に示すように、ミルク感は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では△だったのに対して、No.3(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では◎であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したいちごミルクのミルク感が顕著に強かった。
この結果から、いちごミルクについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著なミルク感増強効果が得られることが明らかになった。
また、ボリューム感は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では×だったのに対して、No.3(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したいちごミルクのボリューム感が最も大きかった。
この結果から、いちごミルクについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著なボリューム感向上効果が得られることが明らかになった。
また、いちごの風味は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では△だったのに対して、No.3(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したいちごミルクのいちごの風味が最も強かった。
この結果から、いちごミルクについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著ないちご風味の増強効果が得られることが明らかになった。
また、甘味の質は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)およびNo.3(ステビア抽出物および甘蔗由来エキスを添加)のいずれも○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したいちごミルクの甘味の質は、ステビア抽出物のみを添加したいちごミルクよりも、良好であった。
この結果から、いちごミルクについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、甘味質の改善効果が得られることが明らかになった。
<実施例3>本願組成物の効果の検討;ミルクティー
紅茶濃縮液に牛乳、水、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキス・デキストリン混合物を添加して、No.1〜3のミルクティーを調製した。その配合を表4の上段に示す。なお、ステビア抽出物およびエリスリトールの配合量は、それぞれの甘味度に基づいて、7重量%のショ糖の甘味度に相当する量とした。
続いて、これらのミルクティーについて実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは3名とし、評価項目の「コーヒーの風味(フレーバーの立ち)」に代えて「紅茶の風味(フレーバーの立ち)」を評価した。その結果を表4の下段に示す。
表4の下段に示すように、ミルク感は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では×だったのに対して、No.3(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したミルクティーのミルク感が最も強かった。
この結果から、ミルクティーについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著なミルク感増強効果が得られることが明らかになった。
また、ボリューム感は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では△だったのに対して、No.3(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では◎であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したミルクティーのボリューム感が最も大きかった。
この結果から、ミルクティーについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著なボリューム感向上効果が得られることが明らかになった。
また、紅茶の風味は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では×だったのに対して、No.3(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したミルクティーの紅茶の風味が最も強かった。
この結果から、ミルクティーについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著な紅茶風味の増強効果が得られることが明らかになった。
また、甘味の質は、No.2(ステビア抽出物およびエリスリトールを添加)では△だったのに対して、No.3(ステビア抽出物および甘蔗由来エキスを添加)では○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したミルクティーの甘味の質が最も良かった。
この結果から、ミルクティーについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、顕著な甘味質の改善効果が得られることが明らかになった。
<実施例4>本願組成物の効果の検討;ポタージュスープ
表5の上段に示す配合により、No.1およびNo.2の粉末ポタージュスープの素を調製した。なお、ステビア抽出物およびエリスリトールの配合量は、それぞれの甘味度に基づいて、5重量%のショ糖の甘味度に相当する量とした。
続いて、これらの粉末ポタージュスープの素を適量の湯に溶かしてポタージュスープを作製し、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは8名とし、評価項目の「コーヒーの風味(フレーバーの立ち)」に代えて「旨味(フレーバーの立ち)」を評価した。その結果を表5の下段に示す。
表5の下段に示すように、No.2(ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを添加)のミルク感、ボリューム感および甘味の質は△であり、旨味は○であった。すなわち、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加したポタージュスープでは、ステビア抽出物のみを添加したポタージュスープと比較して、ミルク感がおよびボリューム感が少し大きく、甘味の質が少し良く、旨味が強かった。
この結果から、ポタージュスープについて、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを併せて添加することにより、ミルク感増強効果、ボリューム感向上効果、甘味質改善効果および旨味増強効果が得られることが明らかになった。
<実施例5>配合割合の検討
(1)エリスリトールの配合割合の検討
ステビア抽出物および甘蔗由来エキスの添加量を固定し、エリスリトールの添加量を変化させて、実施例1(1)に記載の方法によりNo.1〜8のカフェオレを調製した。その配合を表6の上段に示す。表6の最上段の試料名の下部に、ステビア抽出物(S)の添加量に対するエリスリトール(E)の添加量の重量割合を「S:E」で示す。
続いて、これらのカフェオレについて、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは5名とした。その結果を表6の下段に示す。
表6の下段に示すように、ミルク感は、No.2〜4では◎、No.5〜7では○、No.8では△であった。すなわち、ミルク感は、S:E=1:5〜15の試料で顕著に強く、S:E=1:5〜100の試料で強く、S:E=1:200の試料で少し強かった。
この結果から、ステビア抽出物に対するエリスリトールの割合に関わらず、ミルク感増強効果が得られるものの、当該効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対してエリスリトールが5重量部以上100重量部以下の添加量が好ましいことが明らかになった。
また、ボリューム感は、No.2およびNo.3では◎、No.4〜7では○、No.8では△であった。すなわち、ボリューム感は、S:E=1:5〜10の試料で顕著に大きく、S:E=1:5〜100の試料で大きく、S:E=1:200の試料で少し大きかった。
この結果から、ステビア抽出物に対するエリスリトールの割合に関わらず、ボリューム感向上効果が得られるものの、当該効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対してエリスリトールが5重量部以上100重量部以下の添加量が好ましいことが明らかになった。
また、コーヒーの風味は、No.2〜8の全ての試料で○であった。すなわち、コーヒーの風味は、S:E=1:5〜1200の全ての試料で強かった。
この結果から、ステビア抽出物に対するエリスリトールの割合に関わらず、顕著な風味増強効果が得られることが明らかになった。
また、甘味の質は、No.2〜5では◎、No.6〜8では○であった。すなわち、甘味の質は、S:E=1:5〜20の試料で顕著に良く、S:E=1:5〜1200の試料で良かった。
この結果から、ステビア抽出物に対するエリスリトールの割合に関わらず、顕著な甘味質改善効果が得られることが明らかになった。
(2)甘蔗由来エキスの配合割合の検討
ステビア抽出物およびエリスリトールの添加量を固定し、甘蔗由来エキスの添加量を変化させて、実施例1(1)に記載の方法によりNo.1〜7のカフェオレを調製した。その配合を表7の上段に示す。表7の最上段の試料名の下部に、ステビア抽出物(S)の添加量に対する甘蔗由来エキス(K)の添加量の重量割合を「S:K」で示す。
続いて、これらのカフェオレについて、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは5名とした。その結果を表7の下段に示す。
表7の下段に示すように、ミルク感は、No.2では○、No.3〜6では◎、No.7では△であった。すなわち、ミルク感は、S:K=1:0.02〜0.08の試料で顕著に強く、S:K=1:0.01〜0.08の試料で強く、S:K=1:0.16の試料で少し強かった。
この結果から、ステビア抽出物に対する甘蔗由来エキスの割合に関わらず、ミルク感増強効果が得られるものの、当該効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の添加量が好ましいことが明らかになった。
また、ボリューム感は、No.2、3、5および6では○、No.4では◎、No.7では△であった。すなわち、ボリューム感は、S:K=1:0.04の試料で顕著に大きく、S:K=1:0.01〜0.08の試料で大きく、S:K=1:0.16の試料で少し大きかった。
この結果から、ステビア抽出物に対する甘蔗由来エキスの割合に関わらず、ボリューム感向上効果が得られるものの、当該効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の添加量が好ましいことが明らかになった。
また、コーヒーの風味は、No.2〜5で○、No.6で△、No.7で×であった。すなわち、コーヒーの風味は、S:K=1:0.01〜0.06で強く、S:K=1:0.08で少し強かった。
この結果から、風味増強効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.06重量部以下の添加量が好ましいことが明らかになった。
また、甘味の質は、No.2、3および6では○、No.4および5では◎、No.7では△であった。すなわち、甘味の質は、S:K=1:0.01〜0.08の試料で良く、S:K=1:0.04〜0.06の試料で顕著に良く、S:K=1:0.16の試料で少し良かった。
この結果から、ステビア抽出物に対する甘蔗由来エキスの割合に関わらず、甘味質改善効果が得られるものの、当該効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の添加量が好ましいことが明らかになった。
(3)配合割合の検討のまとめ
以上の本実施例5(1)および(2)の結果から、ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを有効成分とする組成物(以下、「本願組成物」という。)において、ミルク感増強効果またはボリューム感向上効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して、エリスリトールが5重量部以上100重量部以下、かつ、甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の割合で含有することが好ましいことが明らかになった。
また、本願組成物において、風味増強効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して、甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.06重量部以下の割合で含有することが好ましいことが明らかになった。
また、本願組成物において、甘味質改善効果を大きくするためには、ステビア抽出物1重量部に対して、甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の割合で含有することが好ましいことが明らかになった。

Claims (4)

  1. ステビア抽出物、エリスリトールおよび甘蔗由来エキスを有効成分とするミルク感増強用組成物であって、
    前記甘蔗由来エキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜から選択される原料を、合成吸着剤が充填されたカラムに通液し、前記合成吸着剤に吸着された成分を、水、エタノールおよびこれらの混合物から選択される溶媒で溶出することによって得られる画分である、前記ミルク感増強用組成物。
  2. ボリューム感向上用、風味増強用または甘味質改善用である、請求項1に記載のミルク感増強用組成物。
  3. ステビア抽出物1重量部に対して、エリスリトールが5重量部以上100重量部以下、かつ、甘蔗由来エキスが0.01重量部以上0.08重量部以下の割合で含有する、請求項1または請求項2に記載のミルク感増強用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のミルク感増強用組成物を、飲食品材料に添加する工程を有する、ミルク感が増強された飲食品の製造方法。
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