JP2022170686A - 酸味・酸臭の抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品又は医薬の酸味・酸臭を抑制できる酸味・酸臭抑制剤等の提供。【解決手段】シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を有効成分とする、酸味・酸臭の抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、酸味・酸臭の抑制剤に関する。また、本発明は、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法に関する。更に、本発明は、酸味・酸臭が抑制された食品又は医薬、並びに、それらの製造方法に関する。
酸味は、甘味、塩味、苦味及びうま味とともに五基本味と呼ばれ、食品の調味に重要な味覚の一つであるが、過剰な酸味・酸臭は、食品の嗜好性を低下させる場合がある。例えば、発酵食品には、特有のうま味、甘味等と併せて、強い酸味・酸臭を有するものがあり、そのような強い酸味・酸臭が、一部の消費者において当該発酵食品が敬遠される原因となっている場合がある。また、食品添加物、医薬品添加物(例、保存料、保存剤、pH調整剤、静菌剤等)には、酸味・酸臭を有するものがあり、そのような添加物は、食品又は医薬に酸味・酸臭を付与し、食品の嗜好性が低下したり、医薬が服用しにくくなったりする場合がある。
こうした食品等の酸味・酸臭を抑制する方法について、従来、種々の提案がなされている。例えば、グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、有機酸又はその塩と併用することで、有機酸又はその塩に特有の酸味や酸臭が抑制できること(特許文献1)、1-オクテン-3-オール、リモネン、テルピネン、p-シメン、ムロロール、カダレン等の香気成分を所定の分量で酢酸含有食品に含有させておくことで、酸味及び酸臭の両方をともに抑制できること(特許文献2)等が報告されている。しかし、いずれの方法も、十分な酸味・酸臭抑制効果は得られていなかった。
一方、特許文献3には、特定の甘味付与化合物及び/又は甘味フレーバー増強化合物と、一つ以上の食品添加剤とを含む組成物が記載され、代表的な食品添加剤として、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン等が例示されている。しかし、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンが酸味及び酸臭を抑制し得ることは記載されていない。
特開2019-187326号公報 特許第6382461号公報 特開2021-169502号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、食品又は医薬の酸味・酸臭を効果的に抑制し得る酸味・酸臭抑制剤、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法、酸味・酸臭が抑制された食品又は医薬、並びに、それらの製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の化合物が酸味及び酸臭を効果的に抑制し得ることを見出し、更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を有効成分とする、酸味・酸臭の抑制剤。
[2]シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン及びβ-カリオフィレンオキシドからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を有効成分とする、酸味・酸臭の抑制剤。
[3]酸味・酸臭が、有機酸又はその塩に起因する、[1]又は[2]記載の抑制剤(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分に酪酸を含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分にプロピオン酸を含まない)。
[4]有機酸又はその塩を含有する食品又は医薬用である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の抑制剤(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分に酪酸を含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分にプロピオン酸を含まない)。
[5]有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、[3]又は[4]記載の抑制剤。
[6]食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される前記化合物の量が、食品又は医薬に対して0.05~50000重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[5]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[7]前記化合物がシクロテンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるシクロテンの量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[6]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[8]前記化合物がプロピオン酸を含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるプロピオン酸の量が、食品又は医薬に対して50~50000重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[7]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[9]前記化合物が(±)-シトロネラールを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される(±)-シトロネラールの量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[8]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[10]前記化合物が2-メチルピラジンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルピラジンの量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[9]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[11]前記化合物が酪酸を含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酪酸の量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[10]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[12]前記化合物がアントラニル酸メチルを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるアントラニル酸メチルの量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[11]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[13]前記化合物がノートカトンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるノートカトンの量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[12]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[14]前記化合物がβ-カリオフィレンオキシドを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるβ-カリオフィレンオキシドの量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[13]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[15]前記化合物が2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの量が、食品又は医薬に対して0.5~5000重量ppbとなるように、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される、[1]~[14]のいずれか一つに記載の抑制剤。
[16]シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加することを含む、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法。
[17]シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン及びβ-カリオフィレンオキシドからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加することを含む、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法。
[18]食品又は医薬が、有機酸又はその塩を含有する、[16]又は[17]記載の抑制方法(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該抑制方法は酪酸を添加することを含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該抑制方法はプロピオン酸を添加することを含まない)。
[19]有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、[18]記載の抑制方法。
[20]食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される前記化合物の量が、食品又は医薬に対して0.05~50000重量ppbである、[16]~[19]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[21]前記化合物がシクロテンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるシクロテンの量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[16]~[20]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[22]前記化合物がプロピオン酸を含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるプロピオン酸の量が、食品又は医薬に対して50~50000重量ppbである、[16]~[21]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[23]前記化合物が(±)-シトロネラールを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される(±)-シトロネラールの量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbである、[16]~[22]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[24]前記化合物が2-メチルピラジンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルピラジンの量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[16]~[23]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[25]前記化合物が酪酸を含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酪酸の量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[16]~[24]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[26]前記化合物がアントラニル酸メチルを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるアントラニル酸メチルの量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbである、[16]~[25]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[27]前記化合物がノートカトンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるノートカトンの量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbである、[16]~[26]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[28]前記化合物がβ-カリオフィレンオキシドを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるβ-カリオフィレンオキシドの量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbである、[16]~[27]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[29]前記化合物が2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンを含む場合、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの量が、食品又は医薬に対して0.5~5000重量ppbである、[16]~[28]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[30]シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、食品又は医薬の製造方法。
[31]シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン及びβ-カリオフィレンオキシドからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、食品又は医薬の製造方法。
[32]食品又は医薬が、有機酸又はその塩を含有する、[30]又は[31]記載の製造方法(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該製造方法は酪酸を添加することを含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該製造方法はプロピオン酸を添加することを含まない)。
[33]有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、[32]記載の製造方法。
[34]前記化合物の添加量が、食品又は医薬に対して0.05~50000重量ppbである、[30]~[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[35]前記化合物がシクロテンを含む場合、シクロテンの添加量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[30]~[34]のいずれか一つに記載の製造方法。
[36]前記化合物がプロピオン酸を含む場合、プロピオン酸の添加量が、食品又は医薬に対して50~50000重量ppbである、[30]~[35]のいずれか一つに記載の製造方法。
[37]前記化合物が(±)-シトロネラールを含む場合、(±)-シトロネラールの添加量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbである、[30]~[36]のいずれか一つに記載の製造方法。
[38]前記化合物が2-メチルピラジンを含む場合、2-メチルピラジンの添加量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[30]~[37]のいずれか一つに記載の製造方法。
[39]前記化合物が酪酸を含む場合、酪酸の添加量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[30]~[38]のいずれか一つに記載の製造方法。
[40]前記化合物がアントラニル酸メチルを含む場合、アントラニル酸メチルの添加量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbである、[30]~[39]のいずれか一つに記載の製造方法。
[41]前記化合物がノートカトンを含む場合、ノートカトンの添加量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbである、[30]~[40]のいずれか一つに記載の製造方法。
[42]前記化合物がβ-カリオフィレンオキシドを含む場合、β-カリオフィレンオキシドの添加量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbである、[30]~[41]のいずれか一つに記載の製造方法。
[43]前記化合物が2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンを含む場合、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの添加量が、食品又は医薬に対して0.5~5000重量ppbである、[30]~[42]のいずれか一つに記載の製造方法。
[44](A)シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物、並びに、
(B)有機酸又はその塩
を含有する食品又は医薬(ただし、(B)有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、前記(A)は酪酸を含まず、(B)有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、前記(A)はプロピオン酸を含まない)。
[45](A)シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン及びβ-カリオフィレンオキシドからなる群より選択される少なくとも一つの化合物、並びに、
(B)有機酸又はその塩
を含有する食品又は医薬(ただし、(B)有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、前記(A)は酪酸を含まず、(B)有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、前記(A)はプロピオン酸を含まない)。
[46](B)有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、[44]又は[45]記載の食品又は医薬。
[47]前記化合物の含有量が、食品又は医薬に対して0.05~50000重量ppbである、[44]~[46]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[48]前記化合物がシクロテンを含む場合、シクロテンの含有量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[44]~[47]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[49]前記化合物がプロピオン酸を含む場合、プロピオン酸の含有量が、食品又は医薬に対して50~50000重量ppbである、[44]~[48]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[50]前記化合物が(±)-シトロネラールを含む場合、(±)-シトロネラールの含有量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbである、[44]~[49]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[51]前記化合物が2-メチルピラジンを含む場合、2-メチルピラジンの含有量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[44]~[50]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[52]前記化合物が酪酸を含む場合、酪酸の含有量が、食品又は医薬に対して0.5~500重量ppbである、[44]~[51]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[53]前記化合物がアントラニル酸メチルを含む場合、アントラニル酸メチルの含有量が、食品又は医薬に対して0.05~50重量ppbである、[44]~[52]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[54]前記化合物がノートカトンを含む場合、ノートカトン含有量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbである、[44]~[53]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[55]前記化合物がβ-カリオフィレンオキシドを含む場合、β-カリオフィレンオキシドの含有量が、食品又は医薬に対して5~5000重量ppbである、[44]~[54]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
[56]前記化合物が2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンを含む場合、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの含有量が、食品又は医薬に対して0.5~5000重量ppbである、[44]~[55]のいずれか一つに記載の食品又は医薬。
本発明によれば、食品又は医薬の酸味・酸臭を抑制できる酸味・酸臭抑制剤を提供できる。本発明の抑制剤は、その有効成分に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく、酸味・酸臭を抑制できる。
また、本発明によれば、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法、酸味・酸臭が抑制された食品又は医薬、並びに、それらの製造方法も提供できる。
1.酸味・酸臭の抑制剤
本発明の酸味・酸臭の抑制剤(本明細書中、「本発明の抑制剤」と称する場合がある)は、シクロテン(CAS登録番号:80-71-7)、プロピオン酸(CAS登録番号:79-09-4)、(±)-シトロネラール(CAS登録番号:106-23-0)、2-メチルピラジン(CAS登録番号:109-08-0)、酪酸(CAS登録番号:107-92-6)、アントラニル酸メチル(CAS登録番号:134-20-3)、ノートカトン(CAS登録番号:4674-50-4)、β-カリオフィレンオキシド(CAS登録番号:1139-30-6)及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン(CAS登録番号:3188-00-9)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物(本明細書中、「酸味・酸臭抑制化合物」と称する場合がある)を有効成分として含有することを、特徴の一つとする。
上記の酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン)は、いずれか一種を単独で使用してよく、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸味・酸臭抑制化合物の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、化学合成法、酵素法、発酵法、抽出法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。酸味・酸臭抑制化合物は市販品を用いてもよい。
本発明において用いられる酸味・酸臭抑制化合物は、一態様として、化学合成法によって製造された化学合成品、あるいは、酸味・酸臭抑制化合物を含有する素材から抽出、精製された単離品であってよい。酸味・酸臭抑制化合物を含有する素材としては、例えば、農畜水産品等の天然物;微生物を培養して得られた培養液、菌体等の発酵生産物;及び、それらの加工品等が挙げられる。
本発明は、酸味・酸臭抑制化合物の化学合成品、単離品に代替して、あるいは、当該化学合成品、単離品に加えて、酸味・酸臭抑制化合物を含有する素材を、そのまま又は所望の程度に精製して用いてもよい。
本発明の抑制剤における酸味・酸臭抑制化合物の含有量は特に制限されないが、本発明の抑制剤に対して、通常0.001重量%以上であり、好ましくは0.1重量%以上であり、特に好ましくは1重量%以上である。また当該量は、本発明の抑制剤に対して、通常100重量%以下であり、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下である。
本発明の抑制剤の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
本発明の抑制剤は、酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)のみからなるものであってよいが、これに加えて、本発明の抑制剤の形態に応じて、慣用の基剤を更に含有するものであってもよい。
本発明の抑制剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロースやグルコースなどの各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、並びにそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
本発明の抑制剤の形態が液体状の場合の基剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、各種動植物油類等が挙げられる。
本発明の抑制剤は、本発明の目的を損なわない限り、酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)に加えて、例えば、賦形剤、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、甘味料(例、砂糖等)、食塩、有機塩類、核酸、調味料(例、グルタミン酸ナトリウム等のうま味調味料等)、着色料、発色剤等を更に含有してよい。
本発明の抑制剤の製造は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法により行い得る。
本発明の抑制剤は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加して用いられる。本発明において「食品」とは、経口的に摂取され得るものを広く包含し、特に断りのない限り、いわゆる食べ物の他、飲料、調味料、サプリメント等も包含される。食品は、食品組成物も包含する概念である。また、本発明において「医薬」とは、医薬品の他、医薬部外品も包含する概念である。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬は、酸味及び/又は酸臭を有し得るものであれば特に制限されないが、本発明の抑制剤は、有機酸又はその塩を含有する食品又は医薬に好適に用いられ得る。したがって、本発明の抑制剤は、有機酸又はその塩を含有する食品又は医薬用であってよい。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬に含有される有機酸は、食品又は医薬に通常含有され得るものであれば特に制限されないが、例えば、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸等が挙げられ、好ましくは、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸であり、より好ましくは、酢酸、クエン酸である。
有機酸の塩は、食品又は医薬に通常含有され得るものであれば特に制限されないが、例えば、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウム等)との塩、第2族元素(例、カルシウム、マグネシウム等)との塩等が挙げられる。
有機酸又はその塩の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、化学合成法、酵素法、発酵法、抽出法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。有機酸又はその塩は市販品を用いてもよい。あるいは、有機酸又はその塩そのものの代わりに、有機酸又はその塩を含有する素材を使用してもよい。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬に含有される有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、本発明の抑制剤は、有効成分に酪酸を含まない。また、本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬に含有される有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、本発明の抑制剤は、有効成分にプロピオン酸を含まない。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬における有機酸又はその塩の含有量(濃度)は特に制限されず、食品又は医薬に通常含有され得る量であればよいが、食品又は医薬に対して、通常0.01~20重量%であり、好ましくは0.05~10重量%であり、より好ましくは0.1~8重量%であり、特に好ましくは0.3~5重量%である。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品の種類は特に制限されないが、例えば、醸造酢、ヨーグルト、サワークリーム、チーズ、漬物、キムチ、味噌、醤油等の発酵食品;果実飲料(例、濃縮果汁、果汁入り飲料等)、ハーブティー等の飲料;合成酢;ポン酢醤油等の果汁入り調味料;食酢(醸造酢、合成酢)を含有する食品(例、イタリアンドレッシング、サウザンアイランドドレッシング、フレンチドレッシング、マヨネーズ、マヨネーズタイプ調味料等のドレッシング;タルタルソース、ウスターソース等のソース;トムヤムクン、酸辣湯等のスープ;マリネ、南蛮漬け、寿司、酢飯、酢豚等);静菌剤、保存料、pH調整剤を用いられ得る食品(例、白米、おにぎり、チャーハン等の米飯類;煮物、揚げ物、サラダ、魚介類、中華麺、ハンバーグ、餃子等の惣菜等);菓子、パン類;及びこれらの加工品(例、電子レンジ調理用食品、インスタント食品(即席麺等)、缶詰食品、瓶詰食品、冷凍食品、乾燥食品等)等が挙げられる。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品は、例えば、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、ダイエタリーサプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、医療用食品、メディカルフード等として提供されるものであってよい。
本発明の抑制剤が用いられ得る医薬の種類、剤形等は特に制限されないが、経口的に摂取し得るものが好ましく、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、エリキシル剤、シロップ剤、マイクロカプセル剤、ドリンク剤、乳剤、懸濁液剤等が挙げられる。
本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって製造し得る。
本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)の量が、食品又は医薬に対して、0.05重量ppb以上(より好ましくは0.1重量ppb以上、更に好ましくは0.5重量ppb以上、特に好ましくは1重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酸味・酸臭抑制化合物の量が、食品又は医薬に対して、50000重量ppb以下(より好ましくは20000重量ppb以下、更に好ましくは15000重量ppb以下、特に好ましくは10000重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酸味・酸臭抑制化合物の量が、食品又は医薬に対して、0.05~50000重量ppb(より好ましくは0.1~20000重量ppb、更に好ましくは0.5~15000重量ppb、特に好ましくは1~10000重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物としてシクロテンを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるシクロテンの量が、食品又は医薬に対して、0.5重量ppb以上(より好ましくは1重量ppb以上、更に好ましくは5重量ppb以上、特に好ましくは10重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるシクロテンの量が、食品又は医薬に対して、500重量ppb以下(より好ましくは200重量ppb以下、更に好ましくは150重量ppb以下、特に好ましくは100重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるシクロテンの量が、食品又は医薬に対して、0.5~500重量ppb(より好ましくは1~200重量ppb、更に好ましくは5~150重量ppb、特に好ましくは10~100重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物としてプロピオン酸を含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるプロピオン酸の量が、食品又は医薬に対して、50重量ppb以上(より好ましくは100重量ppb以上、更に好ましくは500重量ppb以上、特に好ましくは1000重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるプロピオン酸の量が、食品又は医薬に対して、50000重量ppb以下(より好ましくは20000重量ppb以下、更に好ましくは15000重量ppb以下、特に好ましくは10000重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるプロピオン酸の量が、食品又は医薬に対して、50~50000重量ppb(より好ましくは100~20000重量ppb、更に好ましくは500~15000重量ppb、特に好ましくは1000~10000重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物として(±)-シトロネラールを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される(±)-シトロネラールの量が、食品又は医薬に対して、0.05重量ppb以上(より好ましくは0.1重量ppb以上、更に好ましくは0.5重量ppb以上、特に好ましくは1重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される(±)-シトロネラールの量が、食品又は医薬に対して、50重量ppb以下(より好ましくは20重量ppb以下、更に好ましくは15重量ppb以下、特に好ましくは10重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される(±)-シトロネラールの量が、食品又は医薬に対して、0.05~50重量ppb(より好ましくは0.1~20重量ppb、更に好ましくは0.5~15重量ppb、特に好ましくは1~10重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物として2-メチルピラジンを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルピラジンの量が、食品又は医薬に対して、0.5重量ppb以上(より好ましくは1重量ppb以上、更に好ましくは5重量ppb以上、特に好ましくは10重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルピラジンの量が、食品又は医薬に対して、500重量ppb以下(より好ましくは200重量ppb以下、更に好ましくは150重量ppb以下、特に好ましくは100重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルピラジンの量が、食品又は医薬に対して、0.5~500重量ppb(より好ましくは1~200重量ppb、更に好ましくは5~150重量ppb、特に好ましくは10~100重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物として酪酸を含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酪酸の量が、食品又は医薬に対して、0.5重量ppb以上(より好ましくは1重量ppb以上、更に好ましくは5重量ppb以上、特に好ましくは10重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酪酸の量が、食品又は医薬に対して、500重量ppb以下(より好ましくは200重量ppb以下、更に好ましくは150重量ppb以下、特に好ましくは100重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酪酸の量が、食品又は医薬に対して、0.5~500重量ppb(より好ましくは1~200重量ppb、更に好ましくは5~150重量ppb、特に好ましくは10~100重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物としてアントラニル酸メチルを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるアントラニル酸メチルの量が、食品又は医薬に対して、0.05重量ppb以上(より好ましくは0.1重量ppb以上、更に好ましくは0.5重量ppb以上、特に好ましくは1重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるアントラニル酸メチルの量が、食品又は医薬に対して、50重量ppb以下(より好ましくは20重量ppb以下、更に好ましくは15重量ppb以下、特に好ましくは10重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるアントラニル酸メチルの量が、食品又は医薬に対して、0.05~50重量ppb(より好ましくは0.1~20重量ppb、更に好ましくは0.5~15重量ppb、特に好ましくは1~10重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物としてノートカトンを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるノートカトンの量が、食品又は医薬に対して、5重量ppb以上(より好ましくは10重量ppb以上、更に好ましくは50重量ppb以上、特に好ましくは100重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるノートカトンの量が、食品又は医薬に対して、5000重量ppb以下(より好ましくは2000重量ppb以下、更に好ましくは1500重量ppb以下、特に好ましくは1000重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるノートカトンの量が、食品又は医薬に対して、5~5000重量ppb(より好ましくは10~2000重量ppb、更に好ましくは50~1500重量ppb、特に好ましくは100~1000重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物としてβ-カリオフィレンオキシドを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるβ-カリオフィレンオキシドの量が、食品又は医薬に対して、5重量ppb以上(より好ましくは10重量ppb以上、更に好ましくは50重量ppb以上、特に好ましくは100重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるβ-カリオフィレンオキシドの量が、食品又は医薬に対して、5000重量ppb以下(より好ましくは2000重量ppb以下、更に好ましくは1500重量ppb以下、特に好ましくは1000重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加されるβ-カリオフィレンオキシドの量が、食品又は医薬に対して、5~5000重量ppb(より好ましくは10~2000重量ppb、更に好ましくは50~1500重量ppb、特に好ましくは100~1000重量ppb)となるように行うことが好ましい。
一態様として、本発明の抑制剤が酸味・酸臭抑制化合物として2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンを含有する場合、本発明の抑制剤の添加は、十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの量が、食品又は医薬に対して、0.5重量ppb以上(より好ましくは1重量ppb以上、更に好ましくは5重量ppb以上、特に好ましくは10重量ppb以上)となるように行うことが好ましい。また、この場合、本発明の抑制剤の添加は、酸味・酸臭抑制化合物に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく十分な酸味・酸臭抑制効果を得る観点から、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの量が、食品又は医薬に対して、5000重量ppb以下(より好ましくは2000重量ppb以下、更に好ましくは1500重量ppb以下、特に好ましくは1000重量ppb以下)となるように行うことが好ましい。例えば、本発明の抑制剤の添加は、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンの量が、食品又は医薬に対して、0.5~5000重量ppb(より好ましくは1~2000重量ppb、更に好ましくは5~1500重量ppb、特に好ましくは10~1000重量ppb)となるように行うことが好ましい。
本発明の抑制剤を食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加する時期(タイミング)は特に制限されないが、例えば、食品又は医薬の製造中、食品又は医薬の製造後等が挙げられる。
本発明の抑制剤は、酸味及び/又は酸臭を抑制し得る。特に、本発明の抑制剤は、有機酸又はその塩に起因する酸味・酸臭を好適に抑制し得る。本発明において、「酸味」とは、口腔内で感じる「酸っぱい」味をいい、例えば、未熟な果実や腐敗が進んだ食品等において顕著に感じられる。「酸臭」とは、酸味を想起させるような酸っぱい刺激臭をいう。尚、本明細書において「酸味・酸臭」は、「酸味及び/又は酸臭」と同義である。また、本発明において、酸味・酸臭の「抑制」とは、酸味・酸臭の強度を弱めることをいう。
本発明において、酸味・酸臭の有無や強度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。例えば、有機酸又はその塩を含有する食品の官能評価において、当該食品の酸味・酸臭の強度が、当該食品より低濃度で有機酸又はその塩を含有する食品と同等に感じられる場合、酸味・酸臭が抑制されていると評価し得る。
本発明によれば、本発明の抑制剤を含有する食品又は医薬も提供できる。
2.食品又は医薬の製造方法
本発明は、シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、食品又は医薬の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の製造方法において用いられ得る酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)は、前記「1.酸味・酸臭の抑制剤」で説明される酸味・酸臭抑制化合物と同様である。
本発明の製造方法において、酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)の添加量は、上述の本発明の抑制剤の添加における、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酸味・酸臭抑制化合物の量と同様であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)を添加することに加えて、食品又は医薬の製造において慣用の処理工程、調理工程等を、製造する食品又は医薬の種類等に応じて適宜含んでよい。
本発明の製造方法によって製造され得る食品又は医薬は、上述の本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の製造方法によって製造され得る食品又は医薬が有機酸又はその塩を含有し、当該有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、本発明の製造方法は酪酸を添加することを含まない。また、本発明の製造方法によって製造され得る食品又は医薬が有機酸又はその塩を含有し、当該有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、本発明の製造方法はプロピオン酸を添加することを含まない。
本発明の製造方法によれば、例えば、(A)シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物、並びに、(B)有機酸又はその塩を含有する食品又は医薬等を製造し得る。
当該食品又は医薬に含有される(B)有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、前記(A)は酪酸を含まない。また、当該食品又は医薬に含有される(B)有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、前記(A)はプロピオン酸を含まない。
本発明の製造方法によれば、酸味及び/又は酸臭が抑制された食品又は医薬を製造し得る。特に、本発明の製造方法によれば、有機酸又はその塩に起因する酸味・酸臭が抑制された食品又は医薬を製造し得る。
3.酸味・酸臭の抑制方法
本発明は、シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加することを含む、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法(本明細書中、単に「本発明の抑制方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の抑制方法において用いられ得る酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)は、前記「1.酸味・酸臭の抑制剤」で説明される酸味・酸臭抑制化合物と同様である。
本発明の抑制方法において、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)の量は、上述の本発明の抑制剤の添加における、食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加される酸味・酸臭抑制化合物の量と同様であり、好ましい範囲も同様である。
酸味・酸臭抑制化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物)を食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加する時期(タイミング)は特に制限されないが、例えば、食品又は医薬の製造中、食品又は医薬の製造後等が挙げられる。
本発明の抑制方法が用いられ得る食品又は医薬は、上述の本発明の抑制剤が用いられ得る食品又は医薬と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の抑制方法が用いられ得る食品又は医薬が有機酸又はその塩を含有し、当該有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、本発明の抑制方法は酪酸を添加することを含まない。また、本発明の抑制方法が用いられ得る食品又は医薬が有機酸又はその塩を含有し、当該有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、本発明の抑制方法はプロピオン酸を添加することを含まない。
本発明の抑制方法によれば、食品又は医薬の酸味及び/又は酸臭を抑制し得る。特に、本発明の抑制方法によれば、有機酸又はその塩に起因する酸味・酸臭を抑制し得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本明細書において「%」、「ppb」と記載されている場合は、特に断りのない限り、それぞれ「重量%」、「重量ppb」を意味する。
本実施例で用いられる原料、試薬、化合物等は、特に断りのない限り、本技術分野で通常実施されている方法にしたがって容易に入手又は調製可能であるか、あるいは商業的に入手可能なものである。
[実施例1]
(評価サンプルの調製)
0.5重量%酢酸ナトリウム水溶液を酢酸でpH6.0に調整したものに、下表1に示される化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン)を、それぞれ下表1に示される濃度(評価サンプルの総重量に対する割合)で添加して、各評価サンプルを調製した。
(酸味・酸臭の抑制効果の評価)
4名の専門パネルが、各評価サンプルにおける酸味及び酸臭の強度を、下表1に示される化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン)を添加していない0.5重量%酢酸ナトリウム水溶液(酢酸でpH6.0に調整、コントロール)を基準とする下記の評価尺度にて、合議により評価した。
[酸味・酸臭の評価尺度]
± :コントロールと同等の酸味・酸臭が感じられる
+ :酸味・酸臭がコントロールに比べて、やや抑制されている(酢酸ナトリウムの含有量が0.45重量%以上0.5重量%未満である水溶液と同等の酸味・酸臭が感じられる)
++ :酸味・酸臭がコントロールに比べて、抑制されている(酢酸ナトリウムの含有量が0.40重量%以上0.45重量%未満である水溶液と同等の酸味・酸臭が感じられる)
+++:酸味・酸臭がコントロールに比べて、非常に抑制されている(酢酸ナトリウムの含有量が0.40重量%未満である水溶液と同等の酸味・酸臭が感じられる)
結果を下表1に示す。
Figure 2022170686000001
表1に示されるように、シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド又は2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンが添加された酢酸ナトリウム水溶液は、いずれも酸味及び酸臭が抑制されていた。また、これらの化合物に由来する風味は付与されていなかった。当該結果から、これらの化合物は、それぞれ酸味及び酸臭を抑制する作用を有することが確認された。
[実施例2]
(評価サンプルの調製)
0.5重量%クエン酸水溶液に、下表2に示される化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン)を、それぞれ下表2に示される濃度(評価サンプルの総重量に対する割合)で添加して、各評価サンプルを調製した。
(酸味・酸臭の抑制効果の評価)
4名の専門パネルが、各評価サンプルにおける酸味及び酸臭の強度を、下表2に示される化合物(シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン)を添加していない0.5重量%クエン酸水溶液(コントロール)を基準とする下記の評価尺度にて、合議により評価した。
[酸味・酸臭の評価尺度]
± :コントロールと同等の酸味・酸臭が感じられる
+ :酸味・酸臭がコントロールに比べて、やや抑制されている(クエン酸の含有量が0.45重量%以上0.5重量%未満である水溶液と同等の酸味・酸臭が感じられる)
++ :酸味・酸臭がコントロールに比べて、抑制されている(クエン酸の含有量が0.40重量%以上0.45重量%未満である水溶液と同等の酸味・酸臭が感じられる)
+++:酸味・酸臭がコントロールに比べて、非常に抑制されている(クエン酸の含有量が0.40重量%未満である水溶液と同等の酸味・酸臭が感じられる)
結果を下表2に示す。
Figure 2022170686000002
表2に示されるように、シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド又は2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンが添加されたクエン酸水溶液は、いずれも酸味及び酸臭が抑制されていた。また、これらの化合物に由来する風味は付与されていなかった。当該結果から、これらの化合物は、それぞれ酸味及び酸臭を抑制する作用を有することが確認された。
本発明によれば、食品又は医薬の酸味・酸臭を抑制できる酸味・酸臭抑制剤を提供できる。本発明の抑制剤は、その有効成分に由来する風味を食品又は医薬に付与することなく、酸味・酸臭を抑制できる。
また、本発明によれば、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法、酸味・酸臭が抑制された食品又は医薬、並びに、それらの製造方法も提供できる。

Claims (12)

  1. シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を有効成分とする、酸味・酸臭の抑制剤。
  2. 酸味・酸臭が、有機酸又はその塩に起因する、請求項1記載の抑制剤(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分に酪酸を含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分にプロピオン酸を含まない)。
  3. 有機酸又はその塩を含有する食品又は医薬用である、請求項1又は2記載の抑制剤(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分に酪酸を含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該抑制剤は有効成分にプロピオン酸を含まない)。
  4. 有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項2又は3記載の抑制剤。
  5. シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を食品又は医薬、あるいはそれらの原料に添加することを含む、食品又は医薬の酸味・酸臭の抑制方法。
  6. 食品又は医薬が、有機酸又はその塩を含有する、請求項5記載の抑制方法(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該抑制方法は酪酸を添加することを含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該抑制方法はプロピオン酸を添加することを含まない)。
  7. 有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項6記載の抑制方法。
  8. シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、食品又は医薬の製造方法。
  9. 食品又は医薬が、有機酸又はその塩を含有する、請求項8記載の製造方法(ただし、有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、当該製造方法は酪酸を添加することを含まず、有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、当該製造方法はプロピオン酸を添加することを含まない)。
  10. 有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項9記載の製造方法。
  11. (A)シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物、並びに、
    (B)有機酸又はその塩
    を含有する食品又は医薬(ただし、(B)有機酸又はその塩が酪酸を含む場合、前記(A)は酪酸を含まず、(B)有機酸又はその塩がプロピオン酸を含む場合、前記(A)はプロピオン酸を含まない)。
  12. (B)有機酸又はその塩が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、フィチン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸、ギ酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クロロゲン酸、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項11記載の食品又は医薬。
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