JP4219371B2 - 多数個取り配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の製品を縦横に併有する製品領域における各製品ごとに異なる金属メッキ層が形成された複数の導体を有する多数個取り配線基板に関する。
例えば、複数の絶縁層を積層してなる絶縁基体の上面に、発光素子を収容する凹部が開口し、かかる凹部の底面に形成された配線層の表面には、Auメッキ層が被着され、上記凹部の内周面に形成したメタライズ金属層は、その表面にAgメッキ層が被着されている発光素子収納用パッケージ、およびこれを得るための多数個取り用の基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−319939号公報(第1〜11頁、図1,6)
前記特許文献1に開示された発光素子収納用パッケージおよび多数個取り用の基板では、前記の異なる部位に異なる金属メッキ層を個別に被着するため、絶縁基体を形成する複数の絶縁層ごとの表面に、Auメッキ用導体層およびAgメッキ用導体層の何れか一方を形成している。そして、かかるAuメッキおよびAgメッキ専用の各メッキ用導体層を介して、前記配線層の表面にAuメッキ層を被着し、且つ前記メタライズ金属層の表面にAgメッキ層を被着している。
しかしながら、かかる発光素子収納用パッケージおよび多数個取り用の基板では、異なる部位に異なる金属メッキ層を被着すべく、かかるメッキ層の種類に応じた複数の絶縁層ごとの表面に配線層やタイバーを形成し且つ積層して絶縁基体を形成している。この結果、絶縁基体を構成する絶縁層の層数が増加すると共に、各絶縁層ごとの表面に配線層など形成するため、構造が複雑で且つ上記パッケージや上記絶縁基板の厚みが大きくなる。しかも、製造工程も煩雑で且つ工数も増えるため、コスト高になる、という問題があつた。
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、構造が簡素でベース基板の厚みを薄くでき、且つ低コストにより得られると共に、異なる部位ごとに異なる金属メッキ層が形成された複数の製品(配線基板)を縦横に配置する製品領域を有する多数個取り配線基板を提供する、ことを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するため、異なる部位ごとに異なる種類の金属メッキ層を形成するための複数の配線回路を、互いに導通させず且つ基板本体における同じ平面に形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の多数個取り配線基板(請求項1)は、平面視が矩形の表面および裏面を有する絶縁材からなり、複数の製品を縦横方向に有する製品領域、およびかかる製品領域を囲む耳部を有するベース基板と、かかるベース基板の対向する一対の側面またはその付近の耳部に個別に形成された第1および第2の外部導体と、上記ベース基板の製品領域内における複数の製品ごとに形成された第1および第2の導体と、上記第1の外部導体と上記複数の製品ごとに形成された上記第1の導体とを接続する第1配線回路と、上記第2の外部導体と上記複数の製品ごとに形成された上記第2の導体とを接続する第2配線回路と、を備え、上記第1配線回路と第2配線回路とは、互いに導通しないと共に、上記ベース基板における同じ平面に形成されている、ことを特徴とする。
前記多数個取り配線基板によれば、第1の外部導体と複数の製品ごとに形成された第1の導体とを接続する第1配線回路と、第2の外部導体と複数の製品ごとに形成された第2の導体とを接続する第2配線回路とが、前記ベース基板における同じ平面に形成されている。このため、ベース基板は、単層の絶縁層からなる形態、あるいは、2層などの最小限の絶縁層を積層した形態として構成でき、これらの表面および裏面の一方の同じ面(平面)に、第1配線回路と第2配線回路とを、互いに独立して形成している。従って、ベース基板の厚みを薄くでき、且つ個々の製品である複数の配線基板および当該多数個取り配線基板の構造も簡素にできると共に、その製造工程も簡素で且つ容易となるため、低コストで製造することも可能となる。
尚、前記ベース基板を形成する絶縁材には、アルミナなどのセラミック、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミック、あるいはエポキシ系などの樹脂が含まれる。
また、前記第1および第2の外部導体には、ベース基板における対向する一対の側面に形成した切欠部の内面に沿った断面ほぼ半円形の形態、あるいは、上記一対の側面の付近における耳部を貫通する貫通孔の内面に沿った全体がほぼ円筒形の形態が含まれる。
更に、製品領域内における個々の製品に形成される前記第1および第2の導体には、かかる製品である配線基板の表面および裏面の少なくとも一方の同じ面に形成した第1および第2のパッド、あるいは、配線基板ごとの表面に開口するキャビティの底面に形成した電子部品や発光素子を搭載するための搭載用パッドやワイヤボンデイング用のパッドなどが含まれる。
また、第1配線回路および第2配線回路は、第1および第2の外部導体と第1および第2の導体との間を導通するためのタイバーなども含んでいる。
更に、前記ベース基板における同じ平面には、かかるベース基板の表面や裏面のほか、ベース基板を構成する下層側の絶縁層の表面で、且つ上層側の絶縁層における複数の製品ごとの位置に貫通している各キャビティの底面も含まれる。
付言すれば、本発明は、前記第1配線回路および第2配線回路は、前記ベース基板における表面、裏面、および内部における少なくとも1つの同じ平面に形成されている、多数個取り配線基板も含み得る。
これによる場合、例えば、ベース基板の表面および裏面の双方に、第1配線回路および第2配線回路が合計4つにして形成することが可能となる。このため、例えば、ベース基板の表面および裏面ごとに、それぞれ第1配線回路と、第2配線回路とを形成した形態とすることが可能となる。あるいは、ベース基板の内部の平面であって、かかるベース基板の表面に露出するキャビティの底面や凹部の底面に、第1配線回路と第2配線回路とを形成することが可能となる。
また、本発明は、前記第1および第2の外部導体、前記第1および第2の導体、および前記第1および第2配線回路は、上記第1および第2の導体に対し、互いに異なる2種類の金属メッキを形成するものである、多数個取り配線基板も含み得る。これによる場合、例えば、ベース基板の表面または裏面に、その平面にAuメッキ層を形成した第1配線回路と、その表面にAgメッキ層を形成した第1配線回路とを形成した形態とすることが可能となる。
更に、本発明は、前記第1および第2の導体は、前記複数の製品ごとの表面および裏面の少なくとも一方に形成されたパッドであるか、あるいは、上記複数の製品ごとのキャビティの底面に形成された配線層である、多数個取り配線基板も含み得る。
これによる場合、例えば、複数の製品ごとの表面またはキャビティの底面に、Auメッキ層を形成した表面パッドと、Agメッキ層を形成した別の表面パッドとを有する形態などとすることが可能となる。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明における一形態の多数個取り配線基板K1を示す平面図、図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図である。尚、以下において、多数個取り配線基板K1は、単に配線基板K1と記述する。
配線基板K1は、図1,図2に示すように、平面視が長方形(矩形)の表面2および裏面3を有し、複数の製品(配線基板)p1を縦横方向に有する製品領域Pと、かかる製品領域Pを囲む平面視が四角枠形の耳部mとを有する板状のベース基板1を備えている。上記製品領域Pと耳部mとの間や、個々の製品p1,p1間は、図1,図2中の破線で示す仮想の切断予定面fによって区画されている。
尚、表面2および裏面3は、配線基板K1、製品領域P、個々の製品p1、耳部mについて、それぞれ共通して用いる。
ベース基板1は、アルミナなどのセラミック(絶縁材)からなる単層のセラミック層(絶縁層)、または複数のセラミック層を積層したセラミック積層体からなる。
図1,図2に示すように、ベース基板1における対向する左右一対の側面4には、平面視がほぼ半円形の切欠部5,7と、これらの内面とベース基板1の厚み方向とに沿って形成された平面視がほぼ半円形の第1または第2の外部導体6,8とが、側面4ごとに3個ずつ形成されている。かかる外部導体6,8は、WまたはMoなどからなり、耳部mの表面2およひ裏面3にほほ半円形の上・下端面が露出し、それらの窪んだ表面には、図示しないメッキ用電極棒が接触可能である。
製品領域P内における個々の製品p1ごとの表面2には、平面視が台形である第1のパッド(第1の導体)15と、平面視が長方形である第2のパッド(第2の導体)18とが、互いに離間して形成されている。
図1,図2に示すように、各製品p1ごとにおける第1のパッド15は、幅狭のタイバー16を介して、図示の左右方法に沿って互いに接続されると共に、製品領域Pと耳部mとにまたがる表面2に形成されたタイバー11、および左辺の耳部mの表面2に形成されたタイバー9,10を介して、第1の外部導体6の上端部と導通されている。かかる第1のパッド15、タイバー16、タイバー9〜11は、第1配線回路c1を構成している。
一方、各製品p1ごとにおける第2のパッド18は、幅狭のタイバー17を介して、図1の左右方法に沿って互いに接続されると共に、製品領域Pと耳部mとにまたがる表面2に形成されたタイバー14、および右辺の耳部mの表面2に形成されたタイバー12,13を介して、第2の外部導体8の上端部と導通されている。かかる第2のパッド18、タイバー17、タイバー12〜14は、第2配線回路c2を構成している。
尚、第2のパッド18の上には、例えば、導電性接着剤を介してICチップなどの電子部品が追って搭載され、かかる電子部品と第1のパッド15との間は、ボンデイングワイヤによって導通される。
また、前記第1および第2のパッド15,18、タイバー16,17、タイバー9〜14も、WまたはMoなどからなる。
図1に示すように、第1配線回路c1を構成している複数組の第1のパッド15、タイバー11,16と、第2配線回路c2を構成している複数組の第2のパッド18、タイバー14,17とは、ベース基板1の表面2において、互いに平行で且つ離間している。即ち、第1配線回路c1と第2配線回路c2とは、両者のタイバー9,10,12,13を含め、互いに導通しないようにして、ベース基板1の同じ表面(平面)2に形成されている。
第1配線回路c1を構成する第1のパッド15およびタイバー9〜11,16の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAuメッキ層(何れも図示せず)が形成されている。かかるNiメッキ層の厚みは、約1〜15μmであり、Auメッキ層の厚みは、約0.1〜5.0μmである。これらは、後述するように、第1の外部導体6の窪んだ表面にメッキ用電極棒を接触させた状態で、Niメッキ槽およびAuメッキ槽にベース基板1を順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Auメッキを施すことにより形成される。
また、第2配線回路c2を構成する第2のパッド18およびタイバー12〜14,17の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAgメッキ層(何れも図示せず)が形成されている。かかるAgメッキ層の厚みは、約0.5〜5.0μmである。これらは、第2の外部導体8の窪んだ表面にメッキ用電極棒を接触させた状態で、Niメッキ槽およびAgメッキ槽にベース基板1を順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Agメッキを施すことにより形成される。
以上のような配線基板K1は、次のようにして製造した。
先ず、アルミナを主成分とする平面視が長方形である大版のグリーンシートを用意し、かかるグリーンシートにおける対向する一対の側面4に、パンチとダイの受入穴とによる打ち抜き加工によって、当該グリーンシートの表面2と裏面3との厚み方向に沿って平面視がほぼ半円形の切欠部5,7を3個ずつ形成した。
次に、かかるグリーンシートの表面2に対し、前記第1および第2配線回路c1,c2のパターンに倣って、WまたはMo粉末粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷した。更に、上記切欠部5,7ごとの内面にも、同様の導電性ペーストを塗布して、平面視がほぼ半円形の外部導体6,8を形成した。この際、外部導体6,8の上端部と、第1および第2配線回路c1,c2のタイバー9,12とが、耳部mの表面2において互いに接続された。
次いで、表面2に第1および第2配線回路c1,c2が形成され、各切欠部5,7に外部導体6,8が形成されたグリーンシートを、所定の温度帯に加熱して焼成した。この結果、表面2に位置して焼成された第1および第2配線回路c1,c2と、側面4ごとにおいて焼成された第1および第2の外部導体6,8とを有し、焼成済みのアルミナからなる前記ベース基板1が形成された。
更に、第1の外部導体6の窪んだ表面に図示しないメッキ用電極棒を接触させた状態で、Niメッキ槽およびAuメッキ槽にベース基板1を順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Auメッキを施した。その結果、第1配線回路c1を構成する第1のパッド15およびタイバー9〜11,16の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAuメッキ層が前記の厚みで形成された。
そして、第2の外部導体8の窪んだ表面に図示しないメッキ用電極棒を接触させた状態で、Niメッキ槽およびAgメッキ槽にベース基板1を順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Agメッキを施した。その結果、第2配線回路c2を構成する第2のパッド18およびタイバー12〜14,17の表面に、下地のNiメッキ層および表層のAgメッキ層が形成された。
以上の各工程を経ることで、図1,図2に示した配線基板K1が製造できた。
尚、前記大版のグリーンシートを上層側と下層側との2層からなるグリーンシート積層体とし、これらの間に、前記導電性ペーストを所定のパターンで印刷・形成して、互いに導通しない2系統の内部配線導体を形成すると共に、これらと第1および第2配線回路c1,c2とを、上層側のグリーンシートを貫通するビア導体を介して、並列に接続するようにしても良い。
図3は、異なる形態の多数個取り配線基板K2を示す平面図、図4は、図3中のY−Y線の矢視に沿った垂直断面図である。尚、以下において、多数個取り配線基板K2は、単に配線基板K2と記述する。
配線基板K2は、図3,図4に示すように、平面視が長方形(矩形)の表面22および裏面23を有し、複数の製品(配線基板)p2を縦横方向に有する製品領域Pと、かかる製品領域Pを囲む平面視が四角枠形の耳部mとを有する板状のベース基板21を備えている。上記製品領域Pと耳部mとの間や、個々の製品p2,p2間は、図3,図4中の破線で示す仮想の切断予定面fによって区画されている。尚、表面22および裏面23は、配線基板K2、製品領域P、個々の製品p2、耳部mについて、それぞれ共通して用いる。
ベース基板21も、アルミナなどのセラミック(絶縁材)からなる単層のセラミック層、または複数のセラミック層を積層したセラミック積層体からなる。
図3,図4に示すように、ベース基板21における対向する左右一対の側面24付近の耳部mには、平面視がほぼ円形の貫通孔25,31と、これらの内面とベース基板21の厚み方向とに沿って形成されたほぼ円筒形の第1および第2の外部導体26,32とが、側面24ごとに沿って3個ずつ形成されている。かかる外部導体26,32は、WまたはMoなどからなり、耳部mの表面22およひ裏面23にほぼ円形の上・下端面が露出しており、それらの中空部27,33には、図示しないメッキ用電極棒が挿入可能である。
図3,図4に示すように、製品領域P内における個々の製品p2ごとの表面22には、平面視が偏平な六角形である第1のパッド(第1の導体)30と、平面視が長方形である第2のパッド(第2の導体)36とが、互いに離間して形成されている。
各製品p2ごとにおける第1のパッド30は、幅狭のタイバー29を介して、図3,図4の左右方法に沿って互いに接続されると共に、製品領域Pと耳部mとにまたがる表面22に形成されたタイバー29、および左辺の耳部mの表面22に形成されたタイバー28を介して、第1の外部導体26の上端部と導通されている。かかる第1のパッド30、タイバー28,29は、第1配線回路c1を構成している。
一方、各製品p2ごとにおける第2のパッド36は、幅狭のタイバー35を介して、図3,図4の左右方法に沿って互いに接続されると共に、製品領域Pと耳部mとにまたがる表面2に形成されたタイバー35、および右辺の耳部mの表面22に形成されたタイバー34を介して、第2の外部導体32の上端部と導通されている。かかる第2のパッド36、タイバー34,35は、第2配線回路c2を構成している。
尚、第1のパッド30の上には、例えば、導電性接着剤を介してICチップなどの電子部品が追って搭載され、かかる電子部品と第2のパッド36との間は、ボンデイングワイヤによって導通される。また、前記第1および第2のパッド30,36、タイバー28,29,34,35も、WまたはMoなどからなる。
図3に示すように、第1配線回路c1を構成している複数組の第1のパッド30およびタイバー29と、第2配線回路c2を構成している複数組の第2のパッド36およびタイバー35とは、ベース基板21の表面22において、互いに平行で且つ離間している。即ち、第1配線回路c1と第2配線回路c2とは、両者のタイバー28,34を含め、互いに導通しないようにして、ベース基板21の同じ表面(平面)22に形成されている。
第1配線回路c1を構成する第1のパッド30およびタイバー28,29の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAgメッキ層が前記同様の厚みで形成されている。また、第2配線回路c2を構成する第2のパッド36およびタイバー34,35の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAuメッキ層が前記同様の厚みで形成されている。
以上のような配線基板K2は、次のようにして製造した。
先ず、アルミナを主成分とする平面視が長方形である大版のグリーンシートを用意し、かかるグリーンシートの対向する一対の側面24に沿った耳部mに、パンチとダイの受入穴とによる打ち抜き加工により、当該耳部mの表面22と裏面23との厚み方向に沿って断面ほぼ円形の貫通孔25,31を3個ずつ形成した。
次に、かかるグリーンシートの表面22に対し、前記第1および第2配線回路c1,c2のパターンに倣って、WまたはMo粉末粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷した。更に、上記貫通孔25,31ごとの内面に対し、表面22,裏面23ごとに配置するメタルマスクおよびスキージを用い、且つ反対側の開口部から吸引する負圧状態にして、上記同様の導電性ペーストを塗布して、ほぼ円筒形の外部導体26,32を形成した。この際、かかる外部導体26,32の上端部と、第1および第2配線回路c1,c2のタイバー28,34とが、耳部mの表面22において互いに接続された。
次いで、表面2に第1および第2配線回路c1,c2が形成され、各貫通孔25,31に外部導体26,32が形成されたグリーンシートを、所定の温度帯に加熱して焼成した。この結果、表面22に焼成された第1および第2配線回路c1,c2と、各側面24付近の耳部mごとに焼成された外部導体26,31とを有し、焼成済みのアルミナからなる前記ベース基板21が形成された。
更に、第1の外部導体26の中空部27にメッキ用電極棒を挿入し、当該外部導体26の内周面に接触させた。かかる状態で、Niメッキ槽およびAメッキ槽にベース基板21を順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Agメッキを施した。その結果、第1配線回路c1を構成する第1のパッド30およびタイバー28,29の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAgメッキ層が前記同様の厚みで形成された。
そして、第2の外部導体32の中空部33にメッキ用電極棒を挿入し、かかる外部導体32の内周面に接触させた状態で、Niメッキ槽およびAuメッキ槽にベース基板21を順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Auメッキを施した。その結果、第2配線回路c2を構成する第2のパッド36およびタイバー34,35の表面に、下地のNiメッキ層および表層のAuメッキ層が形成された。
以上の各工程を経ることで、図3,図4に示した配線基板K1が製造できた。
尚、前記大版のグリーンシートを上層側と下層側との2層からなるグリーンシート積層体とし、これらの間に互いに導通しない2系統の内部配線導体を形成すると共に、これらと第1および第2配線回路c1,c2とを、上層側のグリーンシートを貫通するビア導体を介して、並列に接続するようにしても良い。
以上のような配線基板K1,K2によれば、第1の外部導体6,26と複数の製品p1,p2ごとに形成された第1のパッド(導体)15,30とを接続する第1配線回路c1と、第2の外部導体8,32と複数の製品p1,p2ごとに形成された第2のパッド(導体)18,36とを接続する第2配線回路c2とが、前記ベース基板1,21における同じ表面(平面)2,22に形成されている。このため、ベース基板1,21は、単層のセラミック層からなる形態、あるいは最小限のセラミック層を積層した形態として構成でき、これらの表面2,22に、第1配線回路c1と第2配線回路c2とを、互いに独立して形成しているので、ベース基板1,21の厚みを薄くできる。しかも、複数の製品(配線基板)p1,p2および配線基板K1,K2の構造もそれぞれ簡素にできると共に、これらの製造工程も簡素で且つ容易となるため、低コストで製造することも可能となる。
図5は、更に異なる形態の多数個取り配線基板K3を示す平面図、図6は、図4中のZ−Z線の矢視に沿った垂直断面図である。尚、以下において、多数個取り配線基板K3は、単に配線基板K3と記述する。
配線基板K3は、図5,図6に示すように、平面視が正方形(矩形)の表面42および裏面43を有し、複数の製品(配線基板)p3を縦横方向に有する製品領域Pと、かかる製品領域Pを囲む平面視が四角枠形の耳部mとを有する板状のベース基板41を備えている。上記製品領域Pと耳部mとの間や、個々の製品p3,p3間は、図5,図6中の破線で示す仮想の切断予定面fによって区画されている。尚、表面42および裏面43は、配線基板K3、製品領域P、個々の製品p3、耳部mについて、それぞれ共通して用いる。
ベース基板41は、図6に示すように、アルミナなどのセラミック(絶縁材)からなる下層側のセラミック層s1と上層側のセラミック層s2とを一体に積層したセラミック積層体である。
図5,図6に示すように、ベース基板41における対向する左右一対の側面44には、平面視がほぼ半円形の切欠部45,51と、これらの内面とベース基板41の厚み方向とに沿って形成された平面視がほぼ半円形の第1または第2の外部導体46,52とが、各側面44に個別に3個ずつ形成されている。かかる外部導体46,52は、WまたはMoなどからなり、耳部mの表面42およひ裏面43にほぼ半円形の上・下端面が露出しており、それらの窪んだ表面には、図示しないメッキ用電極棒が接触可能である。
製品領域P内における個々の製品p3ごとの表面42には、平面視がほぼ正方形のキャビティ57が開口し、かかるキャビティ57の底面には、下層側のセラミック層s1の表面58が露出している。キャビティ57ごとのかかる底面(表面)58には、平面視が長方形である第1のパッド(第1の導体)50と、平面視が台形である第2のパッド(第2の導体)56とが、互いに離間して形成されている。
図5,図6に示すように、各製品p3ごとにおける第1のパッド50は、幅狭のタイバー49を介して、図示の左右方法に沿って互いに接続されると共に、製品領域Pと耳部mとにまたがる下層側のセラミック層s1の表面58に形成されたタイバー48、および左辺の耳部m内の上記表面58に形成されたタイバー47を介して、第1の外部導体46の中間部分と導通されている。かかる第1のパッド50、タイバー47〜49は、第1配線回路c1を構成している。
尚、キャビティ57の底面58に露出するタイバー49の部分以外のタイバー47〜49は、下・上層側のセラミック層s1,s2間に内蔵されている。
一方、各製品p3ごとにおける第2のパッド56は、幅狭のタイバー55を介して、図5,図6の左右方法に沿って互いに接続されると共に、製品領域Pと耳部mとにまたがる下層側のセラミック層s1の表面58に形成されたタイバー54、および右辺の耳部m内の上記表面58に形成されたタイバー53を介して、第2の外部導体52の中間部分と導通されている。かかる第2のパッド56、タイバー53〜55は、第2配線回路c2を構成している。
尚、キャビティ57の底面58に露出するタイバー55の部分以外のタイバー53〜55は、下・上層側のセラミック層s1,s2間に内蔵されている。また、第2のパッド56の上には、例えば、導電性接着剤を介してICチップなどの電子部品が追って搭載され、かかる電子部品と第1のパッド50との間は、ボンデイングワイヤによって導通される。更に、前記第1および第2のパッド50,56、タイバー47〜49,53〜55も、WまたはMoなどからなる。
図5に示すように、第1配線回路c1を構成している複数組の第1のパッド50およびタイバー49と、第2配線回路c2を構成している複数組の第2のパッド56およびタイバー55とは、下層側のセラミック層s1の表面58において、互いに平行で且つ離間している。即ち、第1配線回路c1と第2配線回路c2とは、両者のタイバー47,48、53,54を含めて、互いに導通しないように、ベース基板41内における同じ下層側のセラミック層s1の表面(平面)58に形成されている。
第1配線回路c1を構成する第1のパッド50およびキャビティ57の底面58に露出するタイバー49の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAgメッキ層が前記同様の厚みで形成されている。また、第2配線回路c2を構成する第2のパッド56およびキャビティ57の底面58に露出するタイバー55の表面には、下地のNiメッキ層および表層のAuメッキ層が前記同様の厚みで形成されている。
以上のような配線基板K3は、次のようにして製造した。
予め、アルミナを主成分とする平面視が長方形である大版のグリーンシートを上下2層用意した。
先ず、下層側のグリーンシートの表面に対し、前記第1および第2配線回路c1,c2のパターンに倣って、WまたはMo粉末粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷した。一方、上層側のグリーンシートの各製品p3ごとの中央部に、前記同様の打ち抜き加工によって、断面がほぼ正方形の貫通孔を形成した。
次に、下層側のグリーンシートと上層側のグリーンシートとを積層して、グリ積層体を形成した。この際、かかる積層体の製品p3ごとの表面42には、上記貫通孔からなるキャビティ57が開口し、その底面58には、未焼成の第1および第2のパッド50,56やタイバー49,55の一部が露出していた。
次いで、上記グリーンシート積層体の対向する一対の側面44に対し、前記同様の打ち抜き加工を行って、平面視がほぼ半円形の切欠部45,51を3個ずつ形成した。かかる切欠部45,51の内面における下・上層側のグリーンシート間には、未焼成であるタイバー47,53の外端部が露出していた。
引き続いて、上記切欠部45,51ごとの内面にも、同様の導電性ペーストを塗布して、平面視がほぼ半円形の外部導体46,52を形成した。この際、第1および第2の外部導体46,52の中間部と、第1および第2配線回路c1,c2のタイバー47,53とが、耳部m内において互いに接続された。
更に、下層側のグリーンシートの表面58に第1および第2配線回路c1,c2が形成され、各切欠部45,51に外部導体46,52が形成されたグリーンシート積層体を、所定の温度帯に加熱して焼成した。
この結果、下層側のセラミック層s1の表面58に位置して焼成された第1および第2配線回路c1,c2と、側面44ごとの焼成された外部導体46,52とを有し、焼成済みのアルミナからなる前記ベース基板41が形成された。
次いで、第1の外部導体46の表面にメッキ用電極棒を接触させた状態で、Niメッキ槽およびAuメッキ槽にベース基板41を順次浸漬して、各キャビティ57の底面58に露出する第1のパッド50およびタイバー49に対し、電解Niメッキおよび電解Auメッキを施した。
そして、第2の外部導体52の表面にメッキ用電極棒を接触させた状態で、Niメッキ槽およびAgメッキ槽にベース基板41を順次浸漬して、各キャビティ57の底面58に露出する第2のパッド56およびタイバー55に対し、電解Niメッキおよび電解Agメッキを施した。
以上の各工程を経ることで、図5,図6に示した配線基板K3が製造できた。
尚、配線基板K3において、第1および第2の外部導体は、ベース基板41における一対の側面44ごとに沿った耳部mの表面42と裏面43との間を貫通する断面ほぼ円形の貫通孔の内面に沿ったほぼ円筒形の形態とし、これらの中間位置で、前記タイバー47,53と接続するようにしても良い。
以上のような配線基板K3によれば、第1の外部導体46と複数の製品p3ごとにおけるキャビティ57の底面58に形成された第1のパッド(導体)50とを接続する第1配線回路c1と、第2の外部導体52と複数の製品p3ごとにおけるキャビティ57の底面58に形成された第2のパッド(導体)56とを接続する第2配線回路c2とが、前記ベース基板41における同じ下層側のセラミック層s1の表面(平面)58に形成されている。このため、ベース基板41は、2層のセラミック層s1,s2を積層した形態として構成でき、これらの間で、第1配線回路c1と第2配線回路c2とを、互いに独立して形成しているので、ベース基板41の厚みを薄くできる。しかも、複数の製品(配線基板)p3および配線基板K3の構造もそれぞれ簡素にできると共に、かかる配線基板K3の製造工程も簡素で且つ容易となるため、低コストで製造することも可能となる。
尚、配線基板K3は、複数の製品p3ごとにおけるキャビティ57の底面58において、第1および第2のパッド50,56のみを形成し、これらの表面のみに前記金属メッキ層をそれぞれ形成した形態としても良い。
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
前記ベース基板を形成する絶縁材は、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックとしたり、エポキシ系の樹脂としても良い。かかるガラス−セラミックや樹脂からなるベース基板の場合、第1および第2の外部導体や第1および第2配線回路は、例えばCuやNi−Au系合金などからなるものとし、これらの表面にNiおよびAuメッキ層や、NiおよびAgメッキ層などが形成される。
また、第1および第2配線回路の表面には、Niメッキ層の上に、Pt、Pd、Rhなどの互いに異なる金属メッキ層を形成しても良い。
更に、第1および第2配線回路は、ベース基板の同じ裏面のみに形成したり、ベース基板の表面と裏面との双方に、表・裏面間で互いに導通する2組の回路とした形態、あるいは表・裏面間で導通しない4組の回路とした形態としても良い。
また、第1および第2配線回路は、ベース基板を形成し且つ製品領域内の製品ごとにキャビティを有する最上層側のセラミック層の同じ表面に、例えば、各キャビティの開口部を封止する金属層などとして形成しても良い。
本発明における一形態の多数個取り配線基板を示す平面図。 図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図。 異なる形態の多数個取り配線基板を示す平面図。 図3中のY−Y線の矢視に沿った垂直断面図。 更に異なる形態の多数個取り配線基板を示す平面図。 図5中のZ−Z線の矢視に沿った垂直断面図。
符号の説明
1,21,41……ベース基板
2,22,42……表面/平面
3,23,43……裏面
4,24,44……側面
6,26,46……第1の外部導体
8,32,52……第2の外部導体
15,30,50…第1のパッド(第1の導体)
18,36,56…第2のパッド(第2の導体)
58…………………下層側のセラミック層の表面/キャビティの底面(平面)
K1〜K3…………多数個取り配線基板
p1〜p3…………製品(配線基板)
P……………………製品領域
m……………………耳部
c1…………………第1配線回路
c2…………………第2配線回路

Claims (1)

  1. 平面視が矩形の表面および裏面を有する絶縁材からなり、複数の製品を縦横方向に有する製品領域、およびかかる製品領域を囲む耳部を有するベース基板と、
    上記ベース基板の対向する一対の側面またはその付近の耳部に個別に形成された第1および第2の外部導体と、
    上記ベース基板の製品領域内における複数の製品ごとに形成された第1および第2の導体と、
    上記第1の外部導体と上記複数の製品ごとに形成された上記第1の導体とを接続する第1配線回路と、
    上記第2の外部導体と上記複数の製品ごとに形成された上記第2の導体とを接続する第2配線回路と、を備え、
    上記第1配線回路と第2配線回路とは、互いに導通しないと共に、上記ベース基板における同じ平面に形成されている、
    ことを特徴とする多数個取り配線基板。
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