JP4214579B2 - マレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキ及び該硬化性インキの硬化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性インキ組成物に関し、更に詳しくは、汎用の光重合開始剤の不存在下で実用的な照射量の紫外線によって硬化し、しかも皮膜臭気が非常に少ない活性エネルギー線硬化性インキ組成物及び該活性エネルギー線硬化性組成物の硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線、可視光線や電子線などの活性エネルギー線により重合する活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化が速いという利点を有し、各種印刷インキ、クリヤーコーティングやオーバープリントワニス、飲料缶等の金属表面の保護や印刷、CDやDVDなど光ディスクの保護膜やレーベル印刷等に実用化が進められている。
【0003】
本発明においては、活性エネルギー線硬化性の印刷インキ(平版インキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、グラビアインキ及び金属インキ(金属用ニス、金属用印刷インキ)を包含する)、クリヤーコーティング及びオーバープリントワニス(以下、OPワニスと省略する。)を纏め、活性エネルギー線硬化性インキと総称する。ここで、紫外線硬化性印刷インキは、顔料分を含有し、一般に1〜100Pa・sと高粘度である。OPワニスは、一般に、印刷インキを印刷後、その表面を被覆する目的で使用され、紫外線硬化性印刷インキよりやや低い粘度のものが使用される場合が多い。また、クリアーコーティングは同様に印刷後、表面を被覆する目的で使用される。また、金属やプラスチックの場合にはこれらの表面保護などに使用される。これらの粘度は最も低く、100〜1000mPa・sのものが、特に200〜500mPa・sのものが一般的に使用される。即ち、用途において、硬化速度の適性化及び粘度調整の必要がある。
【0004】
これらは、一般に、光重合開始剤、ラジカル重合性を有するモノマー及びオリゴマー、必要に応じて、樹脂、顔料(クリヤーコーティング及びオーバープリントワニスには含まれない)並びに添加剤等からなる。
【0005】
光重合開始剤は、速硬化性が要求されることから3〜15重量%と大量に使用される。光重合開始剤として、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、チオキサントン系、水素供与体系等が使用されるが、これらは共重合性を有しないため、硬化皮膜に組み込まれず、また、分子量が低く昇華性を有するため、一部気化し、印刷現場あるいは印刷物の臭気の原因となり、また、皮膜物性の低下を来たすという欠点があった。
【0006】
特に、光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性インキからなる印刷物や硬化皮膜を水中等に放置すると、未反応の光重合開始剤等がブリードするため、食品包装用印刷への使用は不適当なものも多かった。
【0007】
また、光ディスクなどの透明性基板に塗布した場合には、光重合開始剤の断片などが基板のポリカーボネートの透明性を低下させ、光ディスク媒体の長期保存時に情報の読み取り性に悪影響を及ぼす懸念があった。
【0008】
これら光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性インキの欠点を改良するために、共重合性光開始剤が提案されている。例えば、特開昭62−81345号公報には、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン(ダロキュア2959等)をアクリル酸クロリドでエステル化させた共重合性光開始剤が、提案されているが、活性エネルギー線硬化性インキに使用した場合、硬化性が必ずしも良くない。また、特開平6−263813号公報には、ジメチルアミノ安息香酸やベンゾイル安息香酸をエポキシ化合物で高分子量化した光開始剤組成物が、また、特開平8−217814号公報には、分子量300以上の光開始剤とベンゾフェノン誘導体を併用する光開始剤組成物が、それぞれ開示されている。しかしながら、いずれも印刷物の臭気低減を目的としているが、印刷の高速化に追従せず、硬化特性に劣るものであった。
【0009】
一方、特開平6−298817号公報及び「ポリマー・プレプリンツ(Polymer Preprints)」第37巻第348〜349頁(1996年)には、マレイミド化合物を電子受容体として用い、電子供与体と組み合わせて形成される電荷移動錯体を経由する光重合方法が開示されている。
【0010】
また、マレイミド誘導体が光重合することは、「ポリマー・レターズ(Polymer Letters)」第6巻第883〜888頁(1968年)に報告されている。その後、特開昭61−250064号公報、特開昭62−64813号公報及び特開昭62−79243号公報等には、マレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が開示されている。しかしながら、これらの公知文献には、アルキルマレイミド、アリールマレイミドが用いられており、これらの化合物は、光開始剤的機能が弱く、実質的には光重合開始剤を併用する必要があった。
【0011】
また一方、ペンダント型マレイミドが光架橋([2+2]の光環化二量化反応)することは知られており、例えば、特開昭49−58196号公報、特開昭50−123138号公報及び特開昭51−47940号公報には、側鎖にα−アリールマレイミド基を有する光架橋可能な重合体が、特開昭52−988号公報及び特開昭55−160010号公報には、アルキル置換基を有する側鎖型マレイミド基を有する重合体がそれぞれ開示されている。これらのペンダント型マレイミドは、光重合による線状ポリマーの形成等には応用できず、例えば、印刷原版の作製等における重合体の架橋に伴う不溶化目的に利用されている。また、これらのペンダント型マレイミドは、その架橋二量化反応に際し、数十秒〜数分を要し、また、過剰の照射量を必要とする、という問題点を有していた。
【0012】
更に、「ポリメリック マテリアルズ サイエンス アンド エンジニアリング(Polymer Materials Science and Engineering)」 第72巻第470〜472頁(1995年)や「第4回フュージョンUV技術セミナー」第43〜77頁(1996年)には、電子受容体としてマレイミド誘導体、電子供与体としてビニルエーテルを利用する方法が報告されている。それらの文献には、光開始剤不存在下で重合反応性を示すものとして、1,4−ビス(ビニルオキシメチル)シクロヘキサンとシクロヘキシルマレイミドとの組み合わせから成る光重合性組成物、あるいは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルとヒドロキシアルキルマレイミドとの組み合わせから成る光重合性組成物が記載されている。しかしながら、これらの組成物は、反応が進行するものの、硬化塗膜を形成しない、という問題点を有していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭62−81345号公報、特開平6−263813号公報及び特開平8−217814号公報に記載の光開始剤組成物は従来汎用の光開始剤に比較して臭気は低減されるものの、印刷の高速化に追従せず、硬化特性に劣るものであった。
【0014】
また、特開平6−298817号公報及び上記「ポリマー・プレプリンツ(Polymer Preprints)」に記載の重合方法では、完全に硬化させるのに高い照射強度を必要とする問題点を有する。これらに記載のマレイミド化合物は常温で固体のものが多く、単独で硬化するか否かについては示唆すらされていない。これらの文献には、特定のマレイミド誘導体がビニルエーテルと反応すること、アクリレートの開始剤的機能を発現することが開示されているが、実際には、前者に開示された重合方法では実用的な硬化皮膜を与えない、という問題点を有し、また、後者に開示された重合方法では、溶解性の点から幅広い組成で共重合皮膜を形成し得ない、という問題点を有していた。更に、これら記載の材料を主成分として、活性エネルギー線硬化性インキの硬化速度を満足し且つ適性な粘度を調整することが可能か否かの示唆すらなされていない。
【0015】
さらに、上記「ポリマー・レターズ(Polymer Letters)」に記載のマレイミド化合物は固体であり、そのものを固相重合する方法では、実用的な硬化皮膜を得ることは不可能である、という問題点を有していた。
【0016】
一方、特開昭49−58196号公報、特開昭50−123138号公報、特開昭51−47940号公報、特開昭52−988号公報及び特開昭55−160010号公報に記載されている側鎖型マレイミド基を有する重合体は、光架橋による不溶化目的には使用できるものの、硬化皮膜形成等の目的には利用できず、また、これらの架橋反応(光二量化)には実用以上の光照射量を必要とする、という問題点を有していた。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、硬化時の悪臭、硬化皮膜の黄変、硬化皮膜からの溶出物の原因となる汎用の光重合開始剤を使用せず、実用的な光強度、光照射量で硬化し、かつ適性な粘度を有する活性エネルギー線硬化性インキ及び該インキの硬化方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のマレイミド誘導体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、
(1)一般式(1)
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、m及びnは、各々独立した0〜6の整数を表わすが、m+nは1〜6の整数を表わす。R11及びR12は、各々独立して、脂肪族基及び/又は芳香族基からなる炭化水素結合を表わす。G1及びG2は各々独立してエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合を表わす。R2 は、脂肪族基及び/又は芳香族基が(a)エーテル結合、(b)エステル結合、(c)ウレタン結合及び(d)カーボネート結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた平均分子量40〜100,000の(A)(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基、(B)(ポリ)エステル連結鎖又は(ポリ)エステル残基、(C)(ポリ)ウレタン連結鎖又は(ポリ)ウレタン残基あるいは(D)(ポリ)カーボネート連結鎖又は(ポリ)カーボネート残基を表わす。)
で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキを提供する。
【0022】
また、本発明は上記課題を解決するために、(2)(I)上記般式(1)で表わされるマレイミド誘導体及び(II)マレイミド基と共重合性を有する化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性インキを提供する。
【0023】
更に、本発明は上記課題を解決するために、(3)上記(1)又は(2)に記載の活性エネルギー線硬化性インキを、実質上、汎用光重合開始剤の不存在下にて活性エネルギー線を照射することによって当該インキを硬化させ印刷物を得る方法を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性インキに関するものである。
【0025】
上記一般式(1)において、m及びnは、各々独立した0〜6の整数を表わすが、m+nが1以上6以下の整数となる化合物が好ましい。特に、常温で液体であり、単独で硬化皮膜を形成することから、m及びnは、各々独立した1〜5の整数で、m+nが2以上6以下の整数となる化合物が推奨される。
【0026】
R11及びR12は、各々独立して脂肪族及び/又は芳香族基からなる炭化水素結合を表わす。中でも特に、▲1▼アルキレン基、▲2▼シクロアルキレン基、▲3▼アリールアルキレン基及び▲4▼シクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる炭化水素結合が好ましい。ここで、アルキレン基は直鎖状であっても、分岐状であってもよく、また、アリールアルキレン基あるいはシクロアルキル−アルキレン基は、各々、主鎖又は分枝鎖にアリール基又はシクロアルキル基を有しても良い。
【0027】
R11及びR12の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチル−ペンタメチレン基、ネオペンチル基の如き分岐アルキル基を有するアルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基、2−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖又は側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基、2−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖あるいは側鎖にシクロアルキル基を有するシクロアルキル−アルキレン基、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
R2 は脂肪族基及び/又は芳香族基が(a)エーテル結合、(b)エステル結合、(c)ウレタン結合及び(d)カーボネート結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた平均分子量40〜100,000の(A)(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基、(B)(ポリ)エステル連結鎖又は(ポリ)エステル残基、(C)(ポリ)ウレタン連結鎖又は(ポリ)ウレタン残基あるいは(D)(ポリ)カーボネート連結鎖又は(ポリ)カーボネート残基を表わす。R2 は、これらの連結鎖が繰り返しの一単位となって繰り返されたオリゴマーあるいはポリマーで構成される連結鎖であっても良い。
【0029】
R2を表わす連結鎖又は残基を具体的に示すと、例えば、
(a)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エーテル(ポリ)オールから構成される連結鎖又は残基:
【0030】
(b)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エステル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エステル(ポリ)オールから構成される連結鎖又は残基:
【0031】
(c)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エーテル(ポリ)オールとジ〜ヘキサ−カルボン酸(以下、ポリカルボン酸と略記する)とをエステル化して得られる、末端がポリカルボン酸残基である(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される連結鎖又は残基:
【0032】
(d)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合及びエステル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エステル(ポリ)オールとポリカルボン酸とをエステル化して得られる末端がポリカルボン酸残基である(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エステル(ポリ)オール}エステルから構成される連結鎖又は残基:
【0033】
(e)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量100〜40,000の(ポリ)エポキシドを開環して得られる連結鎖又は残基:
【0034】
(f)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エーテル(ポリ)オールと有機(ポリ)イソシアネートとをウレタン化した(ポリ)エーテル(ポリ)イソシアネートから構成される連結鎖又は残基:
【0035】
(g)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エステル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エステル(ポリ)オールと有機(ポリ)イソシアネートとをウレタン化した(ポリ)エステル(ポリ)イソシアネートから構成される連結鎖又は残基:
【0036】
(h)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量40〜100,000の(ポリ)エーテル(ポリ)オールの炭酸エステルから構成される連結鎖又は残基:
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
上記の連結鎖又は残基(a)を構成する(ポリ)エーテル(ポリ)オールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、などが挙げられ、これらの中でも、アルキレングリコール類の各種変性物が好ましい。
【0038】
さらに、上記の連結鎖(a)を構成する(ポリ)エーテル(ポリ)オールとしては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
上記の連結鎖又は残基(b)を構成する(ポリ)エステル(ポリ)オールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類、あるいはエチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物またはメチルバレロラクトン変性物;アジピン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオールの如きポリオールとのエステル化物である脂肪族ポリエステルポリオール;テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸とネオペンチルグリコールの如きポリオールとのエステル化物である芳香族ポリエステルポリオールの如きポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸の如きジカルボン酸とのエステル化物;グリセリンの如き多価水酸基含有化合物と動物・植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリドの如き多価水酸基含有化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
上記の連結鎖又は残基(c)を構成する末端がポリカルボン酸である(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルとしては、例えば、(1) コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、フマル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、シトリック酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸の如きポリカルボン酸と、(2) 上記(a)で示した(ポリ)エーテル(ポリ)オールとのエステル化で得られる末端がポリカルボン酸である(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
上記の連結鎖又は残基(d)を構成する末端がポリカルボン酸である(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エステル(ポリ)オール}エステルとしては、例えば、(1) コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、フマル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、シトリック酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸の如きジ〜ヘキサ−カルボン酸と、(2) 上記(b)に示した(ポリ)エステル(ポリ)オールとのエステル化で得られる、末端がポリカルボン酸である(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エステル(ポリ)オール}エステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
上記の連結鎖又は残基(e)を構成する(ポリ)エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールAやビスフェノールF及びそのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物などから合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物などとから合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型のエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂;フェノール、ビフェノールなどと(メチル)エピクロルヒドリンとの反応物;テレフタル酸、イソフタル酸又はピロメリット酸のグリシジルエステルなどの芳香族エポキシ樹脂;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類、それらのアルキレンオキシド変性物のポリグリシジルエーテル;
【0043】
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族多価アルコールや、それらのアルキレンオキシド変性物のグリシジルエーテル;アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボン酸のグリシジルエステル;多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクルレートやメチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエンの如き脂肪族エポキシ樹脂、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
上記連結鎖又は残基(f)を構成する(ポリ)エーテル(ポリ)イソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの2量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチレン)シクロヘキサンの如き脂環式ジイソシアネート、などのポリイソシアネートと、(ポリ)エーテル(ポリ)オールとのウレタン化反応によって得られる(ポリ)エーテル(ポリ)イソシアネート、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
ポリイソシアネートと反応に用いる(ポリ)エーテル(ポリ)オールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、などが挙げられ、これらの中でも、アルキレングリコール類の各種変性物が好ましい。
【0046】
さらに、ポリイソシアネートとの反応に用いる(ポリ)エーテル(ポリ)オールとしては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類;ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
上記の連結鎖又は残基(g)を構成する(ポリ)エステル(ポリ)イソシアネートとしては、例えば、連結鎖(a)で掲げたポリイソシアネートと、(ポリ)エステル(ポリ)オールとのウレタン化で得られる(ポリ)エステル(ポリ)イソシアネート、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0048】
ポリイソシアネートと反応に用いる(ポリ)エステル(ポリ)オールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物;アジピン酸やダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコールやメチルペンタンジオールの如きポリオールとのエステル化物である脂肪族ポリエステルポリオール;テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコールの如きポリオールとのエステル化物である芳香族ポリエステルポリオールの如きポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸の如きジカルボン酸とのエステル化物;グリセリンの如き多価水酸基含有化合物と動物・植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリドの如き多価水酸基含有化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
上記の連結鎖又は残基(h)を構成する(ポリ)エーテル(ポリ)オールとしては上記(a)記載の(ポリ)エーテル(ポリ)オールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
(ポリ)エーテル(ポリ)オールとの炭酸エステル化に用いられる化合物としては、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル又はフォスゲン等が挙げられる。また、エポキシドと二酸化炭素の交互重合によってもポリカーボネート化することができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
これらの中でも、R2 は、(1)▲1▼炭素原子数2〜24直鎖アルキレン基、▲2▼炭素原子数2〜24分枝アルキレン基、▲3▼水酸基を有する炭素原子数2〜24アルキレン基、▲4▼シクロアルキレン基、▲5▼アリール基及び▲6▼アリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が(a)エーテル結合及び(b)エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた平均分子量100〜100,000の(A)(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基あるいは(B)(ポリ)エステル連結鎖又は(ポリ)エステル残基が好ましく、中でも特に、(2)▲1▼炭素原子数2〜24の直鎖アルキレン基、▲2▼炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基、▲3▼水酸基を有する炭素原子数2〜24のアルキレン基及び/又は▲4▼アリール基を含む繰り返し単位からなる平均分子量100〜100,000の(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基あるいは(3)▲1▼炭素原子数2〜24の直鎖アルキレン基、▲2▼炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基、▲3▼水酸基を有する炭素原子数2〜24のアルキレン基及び/又は▲4▼アリール基を含む繰り返し単位からなる平均分子量100〜100,000の(ポリ)エステル連結鎖又は(ポリ)エステル残基が好ましい。
【0052】
また、近年、活性エネルギー線硬化性インキにおいて、特に紫外線硬化性インキの分野で速硬化性が要求されており、照射量が100mJ/cm2 以下で硬化するインキが求められている。その目的のためには、R11及びR12は、各々独立して、炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、G1及びG2は、各々独立して−COO−又は−OCO−で表わされるエステル結合であり、R2 が、▲1▼炭素原子数2〜6の直鎖アルキレン基、▲2▼炭素原子数2〜6の分枝アルキレン基及び/又は▲3▼水酸基を有する炭素原子数2〜6のアルキレン基を含む繰り返し単位からなる平均分子量100〜1、000の(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基であるマレイミド誘導体を用いることが特に推奨される。
【0053】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに用いられる一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体は、例えば、(a)カルボキシル基を有するマレイミド化合物(a−1)と、カルボキシル基と反応する化合物(a−2)とから、あるいは(b)ヒドロキシル基を有するマレイミド化合物(b−1)と、カルボキシル基を有する化合物(b−2)とから、公知の技術を用いて合成することができる。
【0054】
カルボキシル基を有するマレイミド化合物(a−1)は、例えば、反応式
【0055】
【化3】
【0056】
で示されるように、無水マレイン酸と1級アミノカルボン酸とから、公知の技術[例えば、デー・エイチ・ライヒ(D. H. Rich)ら、「ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー(Journal of Medical Chemistry)」第18巻、第1004〜1010頁(1975年)参照]を用いて合成することができる。
【0057】
また、ヒドロキシル基を有するマレイミド化合物(b−1)は、例えば、反応式
【0058】
【化4】
【0059】
で示されるように、マレイミドとホルムアルデヒドとから、あるいは、反応式
【0060】
【化5】
【0061】
で示されるように、無水マレイン酸と1級アミノアルコールとから、公知の技術(例えば、米国特許第2526517号明細書、特開平2−268155号公報参照)などを用いて合成することができる。
【0062】
上記反応で用いられる1級アミノカルボン酸としては、例えば、アスパラギン、アラニン、β−アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、トリプトファン、トレオニン、バリン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、α−メチル−フェニルアラニン、リジン、ロイシン、シクロロイシン、3−アミノプロピオン酸、α−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、2−アミノカプリル酸、3−アミノカプリル酸、6−アミノカプリル酸、8−アミノカプリル酸、2−アミノノナン酸、4−アミノノナン酸、9−アミノノナン酸、2−アミノカプリン酸、9−アミノカプリン酸、10−アミノカプリン酸、2−アミノウンデカン酸、10−アミノウンデカン酸、11−アミノウンデカン酸、2−アミノラウリン酸、11−アミノラウリン酸、12ーアミノラウリン酸、2−アミノトリデカン酸、13−アミノトリデカン酸、2−アミノミスチン酸、14−アミノミスチン酸、2−アミノペンタデカン酸、15−アミノペンタデカン酸、2−アミノパルミチン酸、16−アミノパルミチン酸、2−アミノヘプタデカン酸、17−アミノヘプタデカン酸、2−アミノステアリン酸、18−アミノステアリン酸、2−アミノエイコサノン酸、20−アミノエイコサノン酸、アミノシクロヘキサンカルボン酸、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ−3−プロピオン酸、3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸、などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、1級アミノカルボン酸であれば、いずれも使用できる。また、ピロリドン、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタムの如きラクタム類を使用することもできる。
【0063】
上記反応で用いられる1級アミノアルコールとしては、例えば、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、2−アミノ−4−メチルチオ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ペンタノール,5−アミノ−1−ペンタノール、(1−アミノシクロペンタン)メタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、7−アミノ−1−ヘプタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、4−アミノ−1−ピペラジンエタノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、アミノトリメチルシクロヘキサノール、などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、1級アミノアルコールであれば、いずれも使用できる。
【0064】
カルボキシル基と反応する化合物(a−2)としては、例えば、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合及び/又はエステル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量100〜1,000,000の2〜6官能のポリオール又はポリエポキシド、などが挙げられる。
【0065】
ヒドロキシル基と反応する化合物(b−2)としては、例えば、(b−2−1)直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合及び/又はエステル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する平均分子量100〜1,000,000の1分子中に2〜6個のカルボキシル基、エーテル結合及び/又はエステル結合を有するジ〜ヘキサ−カルボン酸、(b−2−2)(ポリ)イソシアネート、又は(b−2−3)炭酸エステル、ホスゲンなどが挙げられる。
【0066】
カルボキシル基を有するマレイミド化合物(a−1)と、カルボキシル基と反応する化合物(a−2)の一つであるポリオールとの反応は、特に限定されないが、公知の技術[例えば、シー・イー・リッヒベルグ(C. E. Rehberg)ら、 「オーガニック・シンセシス・コレクティブ・ボリューム(Org. Synth. Collective Volume)」第III巻、第46頁(1955年)参照]を用いて、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を合成することができる。
【0067】
この反応は、常圧又は減圧下で、室温〜150℃の温度範囲で脱水しながら行ない、触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えば、硫酸、燐酸、メタスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、強酸性陽イオン交換樹脂の如きの酸触媒、などが挙げられる。触媒の添加量は、全仕込量に対して0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
【0068】
また、この反応は、反応溶剤として、水と共沸する有機溶剤を用いることができる。そのような有機溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、などが挙げられる。
【0069】
カルボキシル基を有するマレイミド化合物(a−1)と、カルボキシル基と反応する化合物(a−2)の一つであるポリエポキシドとの反応は、特に限定されないが、公知の技術[例えば、特開平4−228529号公報参照]を用いて、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を合成することができる。
【0070】
この反応は、室温〜150℃の温度範囲で行ない、触媒を使用することが望ましい。触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾールの如きイミダゾール類、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミドの如き4級アンモニウム塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、トリブチルアミンの如きアミン類;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンの如きホスフィン類、ジブチル錫ラウレートの如きラウリン酸エステル類;酢酸カリウム、第3リン酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムの如き塩基性アルカリ金属塩類;ナトリウムメチラート、カリウムエチラートの如きアルカリ金属アルコラート類や陰イオン交換樹脂、などが挙げられる。触媒の添加量は、全仕込量に対して10〜10,000ppmの範囲が好ましい。
【0071】
また、この反応では、反応溶剤として各種活性水素を含有しない有機溶剤を使用することができる。そのような有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン、クメン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン類;ギ酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルの如きエステル類、などが挙げられる。
【0072】
ヒドロキシル基を有するマレイミド化合物(b−1)と、ヒドロキシル基と反応する化合物(b−2)の一つであるカルボキシル基を有する化合物(b−2−1)との反応は、特に限定されないが、公知の技術[例えば、シー・イー・リッヒベルグ(C. E. Rehberg)、 「オーガニック・シンセシス・コレクティブ・ボリューム(Org. Synth. Collective Volume)」第III巻、第46頁(1955年)参照]を用いて、前記一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を合成することができる。
【0073】
この反応は、常圧又は減圧下で、室温〜150℃の温度範囲で脱水しながら行ない、触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えば、硫酸、燐酸、メタスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、強酸性陽イオン交換樹脂の如き酸触媒、などが挙げられる。触媒の添加量は、全仕込量に対して0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
【0074】
この際、反応溶剤として、水と共沸する有機溶剤を用いることができる。そのような有機溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、などが挙げられる。
【0075】
ヒドロキシル基を有するマレイミド化合物(b−1)と、ヒドロキシル基と反応する化合物(b−2)の一つである(ポリ)イソシアネート(b−2−2)との反応は、特に限定されないが、公知のウレタン化反応によって、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を合成することができる。
【0076】
この反応は、窒素雰囲気下、例えば、室温〜90℃の温度範囲で行ない、触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート、などの有機チタン化合物、オクチル酸錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ラウレート、などの有機錫化合物、ヨウ化第一錫等を用いることができる。触媒の添加量は、全仕込量に対して10〜10,000ppmの範囲が好ましい。
【0077】
この反応では、反応溶剤として各種活性水素を含有しない有機溶剤を使用することができる。そのような有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン、クメン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン類;ギ酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルの如きエステル類が挙げられる。
【0078】
ヒドロキシル基を有するマレイミド化合物(b−1)と、ヒドロキシル基と反応する化合物(b−2)の一つである炭酸エステル(b−2−3)との反応は、特に限定されないが、公知のエステル交換反応によって、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を合成することができる。
【0079】
この反応は、常圧又は減圧下で、室温〜150℃の温度範囲で生成するアルコールを留去しながら行ない、触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えば、硫酸、燐酸、メタスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、強酸性陽イオン交換樹脂の如き酸触媒、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート、などの有機チタン化合物;オクチル酸錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ラウレート、などの有機錫化合物;アルミニウムトリイソプロポキシドの如きアルミニウムアルコキシド、などが挙げられる。触媒の添加量は、全仕込量に対して0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
【0080】
この際、反応溶剤はなくてもよいが、生成するアルコールと共沸する有機溶剤を用いることができる。そのような有機溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、などが挙げられる。
【0081】
また、上記いずれの反応においても、マレイミド基のラジカル重合を抑制する目的で、ラジカル重合禁止剤を使用することが望ましい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、カテコール、tert−ブチルカテコールの如きフェノール系化合物;フェノチアジン、p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミンの如きアミン類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅の如き銅錯体、などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも、2種以上の併用して用いることもできる。重合禁止剤の添加量は、全仕込量に対して10〜10,000ppmの範囲が好ましい。
【0082】
カルボキシル基と反応する化合物(a−2)として使用するポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類のエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物;
【0083】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類;アジピン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオールの如きポリオールとのエステル反応化物である脂肪族ポリエステルポリオール;テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸とネオペンチルグリコールの如きポリオールとのエステル反応化物である芳香族ポリエステルポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;アクリルポリオール類;ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物;上記の多価水酸基含有化合物の末端エーテル基のモノ及び多価水酸基含有化合物;上記の多価水酸基含有化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸の如きジカルボン酸とのエステル化により得られる多価水酸基含有化合物;グリセリンの如き多価水酸基化合物と、動物、植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリドの如き多価水酸基含有化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、一分子中に2〜6個の水酸基を有するポリオールであれば、いずれも使用することができる。
【0084】
カルボキシル基と反応する化合物(a−2)として使用するポリエポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物などとから合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物などとから合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型のエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂;フェノール、ビフェノールなどと(メチル)エピクロルヒドリンとの反応物;テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸のグリシジルエステルなどの芳香族エポキシ樹脂;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類、それらのアルキレンオキシド変性物のポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族多価アルコール、それらのアルキレンオキシド変性物のグリシジルエーテル;アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸の如きカルボン酸のグリシジルエステル;多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクルレートやメチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエンの如き脂肪族エポキシ樹脂、などが挙げられる。
【0085】
カルボキシル基を有する化合物(b−2−1)として使用する1分子中に2〜6個のカルボキシル基、エーテル結合及びエステル結合を有するジ〜ヘキサ−カルボン酸としては、例えば、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ピロメリット酸の如きジカルボン酸、又は上記ジカルボン酸と、上記ポリオールとをエステル化して得られる一般式(2)
【0086】
【化6】
【0087】
(式中、X’はジカルボン酸残基、Y’はポリオール残基を表わし、nは1〜5の整数を表わす。)
で表わされるポリカルボン酸、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
(ポリ)イソシアネート化合物(b−2−2)としては、例えば、メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの2量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサンの如き脂環式ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;上記ポリイソシアネートとポリオールから得られる一般式(3)
【0089】
【化7】
【0090】
(式中、Xはポリイソシアネート残基、Yはポリオール残基を表わし、nは1〜5の整数を表す。)
で表わされる末端イソシアネート化合物、などが挙げられる。
【0091】
また、上記反応で使用できるポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類;
【0092】
アジピン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオールの如きポリオールとの反応物である脂肪族ポリエステルポリオール;テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコールの如きポリオールとの反応物である芳香族ポリエステルポリオールの如きポリエステルポリオール類;ポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物;上記の多価水酸基含有化合物の末端エーテル基のモノ及び多価水酸基含有化合物;上記の多価水酸基含有化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、などのジカルボン酸とのエステル化により得られる多価水酸基含有化合物;グリセリン、などの多価水酸基化合物と動物、植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリド、などの多価水酸基含有化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2〜6官能のポリオールであれば、いずれも使用できる。
【0093】
炭酸エステル(b−2−3)としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、などが挙げられる。なお、炭酸エステル(b−2−3)として、フォスゲン、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル等を使用することもできる。
【0094】
以上、説明した製法により、本発明の活性エネルギー線硬化性インキに用いられる一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を得ることができるが、本発明に用いる化合物の製法は、これらに限定されるものではない。
【0095】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキには、マレイミド基と共重合性を有する化合物を併用することもできる。そのようなマレイミド基と共重合性を有する化合物は、具体的には、種々の不飽和二重結合を有する化合物であり、そのような化合物としては、例えば、前記一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体及びそれ以外のマレイミド誘導体、(メタ)アクリロイル誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエーテル誘導体、カルボン酸ビニル誘導体、スチレン誘導体、不飽和ポリエステル、などが挙げられる。
【0096】
一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体以外のマレイミド誘導体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−イソプロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメートの如き単官能脂肪族マレイミド類;N−シクロヘキシルマレイミドの如き脂環式単官能マレイミド類;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−2−トリフルオロメチルフェニルマレイミドの如き芳香族単官能マレイミド類;
【0097】
N,N’−メチレンビスマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−トリメチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサンの如き脂環式ビスマレイミド;N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(4,4’−ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N’−2,6−トリレンビスマレイミド、N,N’−〔4,4’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N’−〔4,4’−ビス(3,5−ジエチルフェニル)メタン〕ビスマレイミドの如き芳香族ビスマレイミド類、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なアクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基を有する化合物を大別すると、(A−1);(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(A−2);ウレタン(メタ)アクリレート、(A−3);エポキシ(メタ)アクリレート、(A−4);(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、(A−5);アルキル(メタ)アクリレート又はアルキレン(メタ)アクリレート、(A−6);芳香環を有する(メタ)アクリレート、(A−7);脂環構造を有する(メタ)アクリレート、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な(ポリ)エステル(メタ)アクリレート(A−1)とは、主鎖にエステル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートの総称として、ウレタン(メタ)アクリレート(A−2)とは、主鎖にウレタン結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートの総称として、エポキシアクリレート(A−3)とは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリレートの総称として、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート(A−4)とは、主鎖にエーテル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートの総称として、アルキル(メタ)アクリレート又はアルキレン(メタ)アクリレート(A−5)とは、主鎖が直鎖アルキル、分岐アルキル、直鎖アルキレン基又は分岐アルキレン基であり、側鎖又は末端にハロゲン原子及び/又は水酸基を有していてもよい(メタ)アクリレートの総称として、芳香環を有する(メタ)アクリレート(A−6)とは、主鎖又は側鎖に芳香環を有する(メタ)アクリレートの総称として、脂環構造を有する(メタ)アクリレート(A−7)とは、主鎖又は側鎖に、構成単位に酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい脂環構造を有する(メタ)アクリレートの総称として、それぞれ用いる。
【0100】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な(ポリ)エステル(メタ)アクリレート(A−1)としては、例えば、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬株式会社製の「R−629」又は「R−644」)、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートの如き単官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;ピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン、などの環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
【0101】
ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン、などの環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトンの如き環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール又はヘキサオールの如き多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;
【0102】
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)ペンタンジオール、(ポリ)メチルペンタンジオール、(ポリ)ヘキサンジオールの如きジオール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アルケニルコハク酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸の如き多塩基酸からなるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;前記ジオール成分と多塩基酸とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトンからなる環状ラクトン変性ポリエステルジオールの(メタ)アクリレートの如き多官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なウレタン(メタ)アクリレート(A−2)は、少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物(A−2−1)とイソシアネート化合物(A−2−2)との反応によって得られる(メタ)アクリレートの総称である。
【0104】
少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物(A−2−1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはグリシジル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートの如き水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、上掲の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とε−カプロラクトンとの開環反応物、などが挙げられる。
【0105】
イソシアネート化合物(A−2−2)としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの如き脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアヌレート体の如きポリイソシアネート;上記イソシアネート化合物と各種ポリオール(A−2−3)とのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート、などが挙げられる。
【0106】
ポリイソシアネートを製造するために用いるポリオール(A−2−3)としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコールの如き(ポリ)アルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物等;
【0107】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類;アジピン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオールの如きポリオールとのエステル化反応物である脂肪族ポリエステルポリオール類;テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸とネオペンチルグリコールの如きポリオールとのエステル化反応物である芳香族ポリエステルポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;アクリルポリオール類;ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物;上記の多価水酸基含有化合物の末端エーテル基のモノ及び多価水酸基含有化合物;上記の多価水酸基含有化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸の如きジカルボン酸とのエステル化により得られる多価水酸基含有化合物;グリセリンの如き多価水酸基化合物と、動物、植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリドの如き多価水酸基含有化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なエポキシ(メタ)アクリレート(A−3)は、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートの総称である。エポキシ(メタ)アクリレートの原料となるエポキシド(A−3−1)としては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物などから合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートの如き脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレートの如きヘテロ環含有のエポキシ樹脂、などの脂環式エポキシド;
【0109】
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物などから合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテルの如き芳香族エポキシド;
【0110】
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールの如き脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル、などのアルキレン型エポキシド;
【0111】
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸のなどのカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクルレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエンの如き脂肪族エポキシ樹脂、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0112】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート(A−4)としては、例えば、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類;
【0113】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートの如きアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物と、(メタ)アクリル酸から誘導される多官能(メタ)アクリレート類;ネオペンチルグリコール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランの如き環状エーテルを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;
【0114】
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSの如きビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS、などの水添ビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p’−ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランの如き環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
【0115】
ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランの如き環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランの如き環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオールの如き多価アルコールの単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート又は多官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なアルキル(メタ)アクリレート又はアルキレン(メタ)アクリレート(A−5)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ファルネシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トランス−2−ヘキセン(メタ)アクリレートの如き単官能(メタ)アクリレート類;
【0117】
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートの炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート類;
【0118】
トリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート(以下、ジ、トリ、テトラ、などの多官能の総称として「ポリ」を用いる。)、グリセリンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ヘキサオールの如き多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート類;
【0119】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの如き水酸基含有(メタ)アクリレート類;2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの如き臭素原子を持つ(メタ)アクリレート;
【0120】
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如きフッ素原子を有する(メタ)アクリレート類、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な芳香環を有する(メタ)アクリレート(A−6)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレートの如き単官能(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールSジアクリレートの如きジアクリレート類、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な脂環構造を有する(メタ)アクリレート(A−7)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンチルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロオクチルル(メタ)アクリレート、トリシクロヘプチル(メタ)アクリレート、コレステロイド骨格置換(メタ)アクリレートの如き脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールSの如き水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添トリスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添p,p’−ビフェノール類のジ(メタ)アクリレート;「カヤラッドR684」(日本化薬株式会社製)の如きジシクロペンタン系ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシ(メタ)アクリレートの如き環状構造を持つ多官能(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレートの如き構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0123】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物としては、上記した化合物の他に、例えば、(メタ)アクリル酸ポリマーとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物又はグリシジル(メタ)アクリレートポリマーと(メタ)アクリル酸との反応物の如きポリ(メタ)アクリル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如きアミノ基を有する(メタ)アクリレート;トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートの如きイソシアヌル(メタ)アクリレート;ヘキサキス[((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロトリフォスファゼン]の如きフォスファゼン(メタ)アクリレート;ポリシロキサン骨格を有する(メタ)アクリレート;ポリブタジエン(メタ)アクリレート;メラミン(メタ)アクリレート、なども使用可能である。これらのアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の中でも、一分子中に1〜6個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0124】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリンの如き単官能(メタ)アクリルアミド類、メチレンビス(メタ)アクリルアミドの如き多官能(メタ)アクリルアミド類、などが挙げられる。
【0125】
次に、本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なビニルエーテル基を有する化合物を大別すると、(B−1):他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていても良いアルキルビニルエーテル、(B−2):他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていても良いシクロアルキルビニルエーテル、(B−3):ビニルエーテル基がアルキレン基と結合し、さらに置換基を有していても良いアルキル基、シクロアルキル基及び芳香族基から成る群から選ばれる少なくとも一つの基と、エーテル結合、ウレタン結合及びエステル結合から成る群から選ばれる少なくとも一つの結合を介して結合している構造を有するモノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテル、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なアルキルビニルエーテル(B−1)としては、例えば、メチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、4−アミノブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、イソノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、イソデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、イソドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、イソトリデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、イソペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、メチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なシクロアルキルビニルエーテル(B−2)としては、例えば、シクロプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシシクロプロピルビニルエーテル、2−クロロシクロプロピルビニルエーテル、シクロプロピルメチルビニルエーテル、シクロブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロブチルビニルエーテル、3−クロロシクロブチルビニルエーテル、シクロブチルメチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロペンチルビニルエーテル、3−クロロシクロペンチルビニルエーテル、シクロペンチルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−アミノシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なビニルエーテル基がアルキレン基と結合し、さらに置換基を有していても良いアルキル基、シクロアルキル環及び芳香族環から成る群から選ばれる少なくとも一つと、エーテル結合、ウレタン結合及びエステル結合から成る群から選ばれる少なくとも一つの結合を介して結合している構造を有するモノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテル(B−3)のうち、
【0129】
(B−3−1)エーテル結合を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、
【0130】
テトラメチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールメチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、などが挙げられる。
【0131】
上記(B−3)に分類されるビニルエーテル基を有する化合物のうち、(B−3−2)ウレタン結合を有する化合物は、(a)一分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルと(b)一分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のウレタン化反応によって得ることができる。
【0132】
これらのうち、一分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテル(a)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルエチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、などが挙げられる。
【0133】
一方、一分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物(b)としては、例えば、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネート類;プロピルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの如き脂肪族、脂環族のイソシアネート、などが挙げられる。
【0134】
また、これらのイソシアネートモノマーの一種類以上の二量体、又は、三量体の如きポリイソシアネート原料も使用可能であり、更に上記イソシアネート化合物のうち一分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものと各種アルコール類とのウレタン化反応によって得られるアダクト体も使用することができる。
【0135】
このアダクト体で使用する各種アルコール類としては、一分子中に少なくとも1個の水酸基を持つものが使用できる。その分子量に特に制限はないが、望ましくは平均分子量100,000以下のものである。そのようなアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、プロピレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト、などが挙げられる。
【0136】
このアダクト体で使用するアルコール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなども使用できる。
【0137】
これらのアルコール類は、単独で使用することもでき、2種以上を併用して使用することもできる。
【0138】
アダクト体で使用するポリエステルポリオールとしては、上述のポリオール成分とカルボン酸との反応によって得られるポリエステルポリオールも使用可能である。カルボン酸としては、公知慣用の各種のカルボン酸、又はそれらの酸無水物が使用できる。そのようなカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−ないしはジエチルエステルの如き5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類;オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリット酸、又はこれらの酸無水物やメタノール、エタノールの如きアルコールとのエステル化合物、などが挙げられる。また、ε−カプロラクトンと上述のポリオール成分との開環反応によって得られるラクトンポリオールも使用可能である。
【0139】
アダクト体で使用するポリエーテルポリオールとしては、公知慣用のものが使用できる。そのようなポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールの如きエーテルグリコール、3官能以上のポリオールを開始剤として環状エーテルを開環重合してできるポリエーテルポリオール、などが挙げられるが、ここに例示のものに限定されるものではない。
【0140】
アダクト体で使用するポリカーボネートポリオールは、(c)カーボネートと(d)各種ポリオールとのエステル交換反応によって得ることができる。ここで用いることができるカーボネート(c)としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−トリル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カーボネートもしくは2−トリル−4−トリル−カーボネート;ジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートのようなジアリール−ないしはジアルキルカーボネート、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ここで用いることができるポリオール(d)としては、上掲のアルコール、ポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール、などが挙げられる。
【0141】
上記(B−3)に分類されるビニルエーテル基を有する化合物のうち、(B−3−3)エステル結合を有する化合物は、(e)一分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルと(f)一分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物のエステル化反応によって得ることができる。
【0142】
一分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテル(e)としては、上記のウレタン結合を有する化合物の(a)成分として上述したようなものが挙げられる。
【0143】
一分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物(f)としては、公知のカルボン酸及びその酸無水物を用いることができる。このような化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸;5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−ないしはジエチルエステルの如き5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類;オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリット酸、又はこれらの酸無水物、などが挙げられる。更に、これらのカルボン酸のうち、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物と上記のウレタン結合を有する化合物の(b)成分として挙げたイソシアネートのアダクト体として用いた各種アルコール類との反応によって得られるカルボン酸を用いることもできる。
【0144】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なカルボン酸ビニル誘導体としては、例えば、酢酸ビニル、ケイ皮酸ビニルなどが挙げられる。また、スチレン誘導体としては、例えば、スチレン、ジビニルスチレン、などが挙げられる。
【0145】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な不飽和ポリエステルとしては、例えば、ジメチルマレート、ジエチルマレートの如きマレイン酸エステル類、ジメチルフマレート、ジエチルフマレートの如きフマル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸の如き多価不飽和カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応物、などが挙げられる。
【0146】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な硬化性化合物は、上記した化合物に限定されるものではなく、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体のマレイミド基と共重合性を有する化合物であれば、その1種類又は複数種の化合物を、特に制限なく、併用することができる。
【0147】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキに、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体以外のマレイミド誘導体を併用する場合、併用割合には特に制限はないが、当該インキ中の全重量の95重量%以下が好ましく、特に90重量%以下が特に好ましい。
【0148】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキにアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を併用する場合、併用割合には特に制限がないが、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物100重量部に対して、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を5重量部以上となる割合で用いることが好ましく、20重量部以上となる割合で用いることが、硬化速度の点から特に好ましい。
【0149】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキにビニルエーテル基を有する化合物を併用する場合、併用割合には特に制限がないが、ビニルエーテル基を有する化合物100重量部に対して、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を5重量部以上となる割合で用いることが好ましく、ビニルエーテル基1当量に対してマレイミド基が1当量となる割合で用いることが、硬化速度及び硬化膜特性の点から特に好ましい。
【0150】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキに、マレイミド基と共重合性を有する化合物であって、一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体以外を併用する際の好ましい併用割合の範囲を示したが、活性エネルギー線硬化性インキの使用目的(印刷インキ、OPワニス又はクリヤーコーティング)により顔料の有無や粘度が異なるので、これらの要求特性に応じた配合をすることが必要となる。
【0151】
更に、活性エネルギー線硬化性インキとしては、平版インキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、グラビアインキ、金属印刷用インキ、OPワニス及びクリヤーコーティングなどがあり、インキの種類によって要求特性が異なるので、これらの要求特性に応じた配合をする必要がある。標準的粘度は、平版インキが15〜30Pa・s、フレキソインキが1〜5Pa・s、スクリーンインキが2〜5Pa・s、グラビアインキが1〜5Pa・s、金属インキが20〜90Pa・s、OPワニスが20〜40Pa・s及びクリヤーコーティングが200〜500mPa・sなどであるが、これらの範囲に限定されるものではない。
【0152】
活性エネルギー線硬化性印刷インキやOPワニスは高粘度であるので、3官能〜6官能の高粘度マレイミド誘導体を主成分とすることが好ましい。この時、硬化性成分中(この場合の硬化性成分は、顔料や非重合性添加物を除いた重合可能な化合物成分とする。)、本発明の活性エネルギー線硬化性インキ中の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体の含有割合に特に制限はないが、硬化特性及び粘度調整の目的から、10〜100重量%の範囲が好ましく、20〜90重量%の範囲が特に好ましい。固体のマレイミド誘導体であっても、硬化特性に優れる場合には、その他の材料と併用することなどによって、インキの物性を調製することにより、本発明の活性エネルギー線硬化性インキに用いることもできる。
【0153】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキをスクリーン印刷で用いる場合は、使用するスクリーン版のスクリーンメッシュ数やスキージー速度に応じて、インキのレオロジーを調整する。インキレオロジーを調整し、インキ粘度を下げるには、上記一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体の内、1〜2官能の低粘度成分や共重合可能な化合物の中から低粘度の成分を選び、配合すればよい。
【0154】
これらによって、活性エネルギー線照射時の硬化速度が速く、且つ、粘度が1〜100Pa・sの範囲、好ましくは2〜80Pa・sの範囲にある活性エネルギー線硬化性印刷インキやOPワニスを調整できる。
【0155】
また、クリヤーコーティングの如き低粘度品には、1官能〜2官能の比較的低粘度マレイミド誘導体を主成分とすることが好ましい。この時、硬化性成分中(この場合の硬化性成分は、顔料や非重合性添加物を除いた重合可能な化合物成分とする。)、本発明の活性エネルギー線硬化性インキ中の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体の含有割合に特に制限はないが、硬化特性及び粘度調整の目的から10〜100重量%の範囲が好ましく、20〜90重量%の範囲が特に好ましい。固体のマレイミド誘導体であっても、硬化特性に優れる場合には、その他の材料と併用することなどによって、インキの物性を調製することにより、本発明の活性エネルギー線硬化性インキに用いることもできる。
【0156】
これらによって、活性エネルギー線照射時の硬化速度が速く、且つ、粘度が100〜1000mPa・sの範囲にある活性エネルギー線硬化性クリヤーコーティングを調整できる。特に好ましくは200〜500mPa・sの粘度の活性エネルギー線硬化性のクリヤーコーティングを調整できる。
【0157】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキを活性エネルギー線硬化性印刷インキとして用いる場合、顔料成分が必須である。この印刷インキに使用する顔料には特に制限がなく、一般に紫外線硬化性印刷インキの用いられている顔料を使用することができる。そのような顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンホワイト、ミロリブルー、ウルトラマリンブルーの如き無機顔料;真ちゅう粉、銅粉、アルミニウム粉の如き金属粉顔料;モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、縮合アゾイエロー、イソインドリノンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジスアゾオレンジ、アゾレーキレッド、縮合アゾレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンの如き有機顔料、などが挙げられる。使用目的によって異なるが、一般に、印刷インキ中の顔料の割合は、1〜60重量%の範囲が好ましい。
【0158】
また、本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキからなる活性エネルギー線硬化性印刷インキには、必要に応じて、白艶華、シリカ、タルク、アルミナホワイト、沈降性硫酸バリウム、などの体質顔料を添加することもできる。体質顔料を添加する場合の添加量は、使用目的によって異なるが、30重量%以下に抑えることが好ましい。
【0159】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキからなるOPワニスには、一般に着色目的の顔料は使用しないが、必要に応じて、白艶華、シリカ、タルク、アルミナホワイト、沈降性硫酸バリウム、などの体質顔料を添加することもできる。体質顔料を添加する場合の添加量は、使用目的で異なるが、25重量%以下に抑えることが好ましい。
【0160】
本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキからなるクリヤーコーティングには、一般に着色顔料や体質顔料は使用しない。
【0161】
また、本発明の一般式(1)で表わされるマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性インキをOPワニス又はクリヤーコーティングとして使用する場合、表面張力を調整して下地インキ層との親和性を増し、硬化塗膜を平滑にする目的で、界面活性剤を使用することが好ましい。そのような目的で使用する界面活性剤としては、レベリング剤として市販されている変性シリコーン、アクリル系共重合体、フッ素界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤の如き界面活性剤が使用できる。そのような界面活性剤としては、例えば、ディスパロン#1700系表面調整剤(楠本化成(株))、ペレノール系アクリル共重合物(ヘンケル白水(株))、ペインタット系変性シリコン(ダウコーニング(株))、メガファックフッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株))、ダイノール604アセチレングリコール系界面活性剤(エアープロダクツジャパン(株))、などが挙げられる。
【0162】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、各種紙、板紙、塩ビコート紙、ポリエチレンテレフタレートコート(PETコート)紙、不職布、印刷インキ表面、アルミニウム、鉄、銅、メッキ鋼板、ティンフリースチールの如き金属、PETコート金属やプラスチックコート金属、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ、エポキシフェノールなどのプラスチックフィルム及び成形物、ガラスの如きセラミックス、木材、積層板、繊維、などの表面に有用である。
【0163】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、200〜400nmに固有の分光感度を有しており、光重合開始剤不在下に、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を照射することによって重合させることができ、とりわけ、254nm、308nm、313nm、365nmの波長の光が、本発明の活性エネルギー線硬化性インキの硬化に有効である。また、本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、紫外線以外のエネルギー線の照射によって、あるいは熱によっても硬化させることができる。さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、空気中及び/又は不活性ガス中のいずれにおいても硬化させることができる。
【0164】
波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
【0165】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、光重合開始剤不在下に、紫外線又は可視光線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行なうために、公知慣用の光重合開始剤を添加して硬化させることもできる。光重合開始剤としては、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
【0166】
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
【0167】
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
【0168】
光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性エネルギー線硬化性インキの0.01〜10.00重量%の範囲が好ましい。
【0169】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行なうために、光増感剤を併用することもできる。
【0170】
そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類が挙げられる。
【0171】
光増感剤を使用する場合の配合量は、活性エネルギー線硬化性インキ中0.01〜10.00重量%の範囲が好ましい。
【0172】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性インキには、用途に応じて、非反応性化合物、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料、チキソトロピー付与剤、貯蔵安定剤などを適宜併用することもできる。
【0173】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な非反応性樹脂としては、反応性の低い、あるいは反応性の無い液状もしくは固体状のオリゴマーや樹脂であり、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エポキシ樹脂、液状ポリブタジエン、液状ポリブタジエン誘導体、液状クロロプレン、液状ポリペンタジエン、ジシクロペンタジエン誘導体、飽和ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマー、液状ポリアミド、ポリイソシアネートオリゴマー、キシレン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー、ポリサルファイド系オリゴマー、ポリエステル樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0174】
無機充填剤及び有機充填剤は、一般的に、強度、クッション性、滑り性などの機械的特性の向上のために用いられる。
【0175】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な無機充填剤としては、公知慣用のもの、例えば、二酸化珪素、酸化珪素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、カオリンクレー、焼成クレー、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ガラス、雲母、硫酸バリウム、アルミナホワイト、ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの無機充填剤には、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤などを添加、反応させるなどの方法により、ハロゲン基、エポキシ基、水酸基、チオール基の官能基を持たせることもできる。
【0176】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な有機充填剤としては、公知慣用の、例えば、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、アクリル共重合体、架橋アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン6/66、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機充填剤には、上述の樹脂にハロゲン基、エポキシ基、水酸基、チオール基などの官能基を持たせることもできる。
【0177】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能なカップリング剤としては、公知慣用のものであれば特に制限はないが、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又はγ−クロロプロピルトリメトキシシランの如きシランカップリング剤;テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネートの如きチタネート系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートの如きアルミニウム系カップリング剤;アセチルアセトン・ジルコニウム錯体の如きジルコニウム系カップリング剤、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0178】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキに併用可能な粘着付与剤、消泡剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料及び染料は、公知慣用のものであれば如何なるものも、その硬化性、樹脂特性を損なわない範囲で、特に制限無く使用することができる。
【0179】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキを得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。
【0180】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、実質的には溶剤を必要としないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルの如き酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素などその他の一般によく用いられる有機溶剤によって本発明の活性エネルギー線硬化性インキを希釈して使用することも可能である。
【0181】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキは、光重合の際に、光重合開始剤を併用することなく硬化塗膜などを形成できる。従って、本発明の活性エネルギー線硬化性インキを使用することにより、従来の光重合開始剤が原因で発生していた硬化時の悪臭、硬化塗膜の黄変、悪臭がなく、且つ硬化塗膜からの溶出物量を低下させることができるので、とりわけ、消費者が直接、手に触れる、平版インキ、フレキソインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、OPワニス、クリヤーコーティングなどのインキ分野;紙塗工剤分野や木工用塗料分野;金属缶用塗工剤や金属印刷用インキ分野;CDやDVDなどのプラスチックの保護コートやレーベル印刷分野;軟包装フィルム塗工剤;レーベル用塗工剤及びそれらの印刷インキ;感熱紙、感熱フィルム用塗工剤及びそれらの印刷インキ;食品包装材用塗工剤及びそれらの印刷インキ、などの用途に有用である。
【0182】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、それぞれ、「重量部」及び「重量%」を表わすものとする。
【0183】
(合成例1)
滴下ロート、冷却管及び攪拌機を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、6−アミノカプロン酸65.5g及び酢酸400mlを仕込み、室温にて攪拌しながら、無水マレイン酸49.0g及び酢酸300mlからなる溶液を滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間攪拌を続けた後、反応を終了させた。生じた沈殿をろ取し、メタノールから再結晶させてN−カプロン酸マレアミン酸111gを得た。
【0184】
次に、ディーンスターク型分留器及び攪拌機を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、N−カプロン酸マレアミン酸45.8g、トリエチルアミン40.4g及びトルエン500mlを仕込み、生成する水を除去しながら1時間、還流温度で反応を続けた。反応混合物からトルエンを留去して得た残留物に、0.1N塩酸を加えてpH2に調整した後、酢酸エチル100mlで3回抽出した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、酢酸エチルを減圧留去して得た粗生成物を水から再結晶させてマレイミドカプロン酸の淡黄色結晶19gを得た。
【0185】
<マレイミドカプロン酸の物性値>
1H NMR(核磁気共鳴スペクトル)(400MHz,ジメチルスルホキシド(DMSO)−d6):
12.1ppm(s,1H,COOH)、7.0ppm(s,2H,−C=C−)、
3.4ppm(t,2H,−CH2−)、2.1ppm(t,2H,−CH2−)、
1.5ppm(m,6H,−CH2CH2CH2−)
【0186】
IR(赤外線吸収スペクトル):
3170cm-1(−COOH)、1710cm-1(C=O)、830cm-1、
696cm-1(−C=C−)
【0187】
元素分析(CHN):
計算値;C56.8%、H6.16%、N6.30%
分析値;C56.8%、H6.20%、N6.50%
【0188】
(合成例2〜合成例4)
合成例1と同様にして、11−アミノウンデカン酸、2−マレイミド−2−メチル酢酸及びマレイミド酢酸を得た。
【0189】
<マレイミドウンデカン酸の物性値>
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):
12.1ppm(s,1H,COOH)、7.0ppm(s,2H,−C=C−)、
3.4ppm(t,2H,−CH2−)、2.1ppm(t,2H,−CH2−)、
1.4〜1.6ppm(m,16H,−CH2−)
【0190】
IR:
3170cm-1(−COOH)、1710cm-1(C=O)、830cm-1、
696cm-1(−C=C−)
【0191】
元素分析(CHN):
計算値;C64.1%、H8.19%、N4.98%
分析値;C63.9%、H8.22%、N5.02%
【0192】
<2−マレイミド−2−メチル酢酸の物性値>
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):
7.1ppm(s,2H,−C=C−)、4.8ppm(q,1H,−CH−)、
1.5ppm(q,3H,−CH3)、
【0193】
IR:
3170cm-1(−COOH)、1746cm-1、1710cm-1(C=O)、
831cm-1、697cm-1(−C=C−)
【0194】
元素分析(CHN):
計算値;C49.7%、H4.14%、N8.28%
分析値;C49.5%、H4.38%、N8.02%
【0195】
<マレイミド酢酸の物性値>
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):
7.0ppm(s,2H,−C=C−)、4.1ppm(s,2H,−CH2−)
【0196】
IR:
3170cm-1(−COOH)、1750cm-1、1719cm-1(C=O)、
831cm-1、696cm-1(−C=C−)
【0197】
元素分析(CHN):
計算値;C46.5%、H3.87%、N9.03%
分析値;C46.2%、H4.05%、N8.70%
【0198】
(合成例5)
冷却管及び攪拌子を備えた容量100mlのナス型フラスコに、36%ホルムアルデヒド水溶液33.3g及びマレイミド19.4gを仕込み、100℃で1時間還流した。反応終了後、反応混合物を約25mlに濃縮することによって生成した沈殿物をろ別した。沈殿物を約120mlの2−プロパノールから再結晶させてN−ヒドロキシメチルマレイミドの白色結晶14.2gを得た。
【0199】
<N−ヒドロキシメチルマレイミドの物性値>
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):
6.7ppm(s,2H,−HC=CH−)、6.2ppm(t,1H,−OH)、
4.8ppm(d,2H,−CH2−)
【0200】
IR:
3390cm-1(OH)、1708cm-1(C=O)、
696cm-1(−CH=CH−)
【0201】
元素分析(CHN):
計算値;C47.2%、H3.94%、N11.0%
分析値;C47.1%、H3.85%、N10.8%
【0202】
(合成例6)
無水マレイン酸49g、エタノールアミン30.5gをそれぞれ150mlのアセトンに溶解し、滴下ロート、冷却管及び攪拌機を備えた容量1Lの3つ口フラスコに2つの滴下ロートから等量づつ滴下し、氷冷下に攪拌した。滴下は5時間かけ、滴下終了後、更に2時間攪拌を続けた。反応終了後、アセトンを減圧留去し、残留物を酢酸エチルから再結晶させてヒドロキシエチルマレアミド酸48gを得た。
【0203】
次に、冷却管及び攪拌機を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、ヒドロキシエチルマレアミド酸31.6g、無水酢酸204g及び酢酸ナトリウム10gを加え、60℃で5時間攪拌した。反応終了後、酢酸及び無水酢酸を減圧留去し、残査をクロロホルムで抽出した。抽出液を濃縮して析出した結晶を濾別した。
【0204】
さらに、冷却管及び攪拌機を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、上記の結晶18.3g、メタノール250ml及びp−トルエンスルホン酸・1水和物を加え、8時間還流した。反応終了後、メタノールを減圧留去して得られた残査を希アルカリアルコールで洗浄し、乾燥させた後、トルエンから再結晶させてN−ヒドロキシエチルマレイミドの白色結晶18.3gを得た。
【0205】
<N−ヒドロキシエチルマレイミドの物性値>
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):
7.0ppm(s,2H,−HC=CH−)、4.8ppm(t,1H,−OH)
3.5ppm(m,4H,−CH2−)
【0206】
IR:
3390cm-1(OH)、1708cm-1(C=O)、
696cm-1(−CH=CH−)
【0207】
元素分析(CHN):
計算値;C51.1%、H4.96%、N9.93%
分析値;C50.9%、H4.98%、N9.75%
【0208】
(合成例7)
ディーンスターク型分留器を備えた容量200mlのナス型フラスコに、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学株式会社製の「PTGL1000」、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する。)によるポリスチレン換算値:数平均分子量2,100、重量平均分子量5,000)20g、合成例1で得たマレイミドカプロン酸9.8g、p−トルエンスルホン酸1.2g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.06g及びトルエン15mlを仕込み、240トル(torr)、80℃の条件で生成する水を除去しながら4時間攪拌しながら反応を続けた。反応混合物をトルエン200mlに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。有機相を濃縮して、式(4)
【0209】
【化8】
【0210】
で表わされるマレイミド誘導体ES1の淡黄色液体18gを得た。
【0211】
<マレイミド誘導体ES1の物性値>
IR:
1733cm-1、1710cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0212】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.1ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
3.3〜3.5ppm(m,−O−CH2−)、
2.3ppm(t、4H,−CO−CH2−)、
1.5〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0213】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm(N−C=O)、
134ppm(−CH=CH−)、69.1〜70.8ppm(−O−CH2−)、
37.5ppm(N−CH2−)、33.6ppm(−CH2−C=O)、
34.0ppm、24.3ppm、23.0ppm(−CH2−)、
【0214】
元素分析(CHN):
計算値;C63.6%、H10.9%、N2.0%
分析値;C64.5%、H9.70%、N2.0%
【0215】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,400、重量平均分子量3,400
【0216】
(合成例8)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量1,000のポリメチルペンタンジオールアジペート(株式会社クラレ製の「クラポールP−1010」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量2,700、重量平均分子量4,700)20gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(5)
【0217】
【化9】
【0218】
で表わされるマレイミド誘導体ES2の淡黄色液体17gを得た。
【0219】
<マレイミド誘導体ES2の物性値>
IR:
1737cm-1、1709cm-1(C=O)、828cm-1、696cm-1(C=C)
【0220】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.1〜4.4ppm[m,−(C=O)−O−CH2−]、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
2.1〜2.4ppm[m,−O−CH2−、−(C=O)−CH2−、
−CH 2−CH(CH3)−]、
1.2〜1.9ppm[m,−CH2−、CH2−CH(CH3)−]、
1.0〜1.1ppm(m,−CH3)
【0221】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
172〜173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、62.1ppm(−O−CH2−)、
41.4ppm[CH2−CH(CH3)−]、38.2ppm(N−CH2−)、
33.8〜35.1ppm[−CH2−(C=O)]、
24.3〜30.1ppm(−CH2−)、
26.5ppm[CH2−CH(CH3)−CH2]、
19.5〜21.5ppm(−CH3)
【0222】
元素分析(CHN):
計算値;C61.3%、H7.91%、N2.01%
分析値;C58.7%、H7.70%、N1.70%
【0223】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量880、重量平均分子量1、100
【0224】
(合成例9)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量1,000のグリセリンのプロピレングリコール変性物(三洋化成株式会社製の「サンニックスGP1000」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量2,100、重量平均分子量2,100)13.3gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(6)
【0225】
【化10】
【0226】
で表わされるマレイミド誘導体ES3の淡黄色液体17gを得た。
【0227】
<マレイミド誘導体ES3の物性値>
IR:
1710cm-1(C=O)、831cm-1、696cm-1(C=C)
【0228】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,6H,−CH=CH−)、
5.0ppm[m,3H,−(C=O)−O−CH]、
3.3〜3.5ppm(m,N−CH2−、−O−CH2−)、
2.3ppm[t,6H,−(C=O)−CH2−]、
1.3〜1.7ppm(m,−CH2−)、1.1〜1.2ppm(m,−CH3)
【0229】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm(N−C=O)、
134ppm(−CH=CH−)、72.8〜77.5ppm(−O−CH)、
69.5〜71.8ppm(−O−CH2−)、37.6ppm(N−CH2−)、
34.2ppm[−CH2−(C=O)]、
28.2ppm、26.2ppm、24.4ppm(−CH2−)、
16.8〜17.2ppm(−CH3)
【0230】
元素分析(CHN):
計算値;C60.8%、H8.6%、N2.6%
分析値;C62.2%、H9.8%、N2.0%
【0231】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量2,300,重量平均分子量2,400
【0232】
(合成例10)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量4,000のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学株式会社製の「PTGL4000」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量18,000、重量平均分子量22,000)80gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(7)
【0233】
【化11】
【0234】
で表わされるマレイミド誘導体ES4の淡黄色液体48gを得た。
【0235】
<マレイミド誘導体ES4の物性値>
IR:
1735cm-1、1712cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0236】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.1ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
3.3〜3.5ppm(m,−O−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.5〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0237】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、69.1〜70.8ppm(−O−CH2−)、
37.5ppm(N−CH2−)、33.6ppm[−CH2−(C=O)]、
34.0ppm、24.3ppm、23.0ppm(−CH2−)
【0238】
元素分析(CHN):
計算値;C65.7%、H11.0%、N0.6%
分析値;C64.4%、H10.3%、N0.8%
【0239】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量13,000,重量平均分子量16,000
【0240】
(合成例11)
合成例7において、マレイミドカプロン酸9.8gに代えて、合成例2で得たマレイミドウンデカン酸12.5gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(8)
【0241】
【化12】
【0242】
で表わされるマレイミド誘導体ES5の淡黄色液体22gを得た。
【0243】
<マレイミド誘導体ES5の物性値>
IR:
1733cm-1、1710cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0244】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.1ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
3.3〜3.5ppm(m,−O−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.5〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0245】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、69.1〜70.8ppm(−O−CH2−)、
37.5ppm(N−CH2−)、33.6ppm[−CH2−(C=O)]、
34.0ppm、24.3ppm、23.0ppm(−CH2−)
【0246】
元素分析(CHN):
計算値;C66.5%、H10.0%、N1.84%
分析値;C67.7%、H9.03%、N2.01%
【0247】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,600、重量平均分子量3,500
【0248】
(合成例12)
ディーンスターク型分留器を備えた容量200mlのナス型フラスコに、トリメチロールプロパンのトリエチレンオキシド変性物11.2g、合成例1で得たマレイミドカプロン酸35g、p−トルエンスルホン酸1.6g、2,6−tert−ブチルp−クレゾール0.08g及びトルエン15mlを仕込んだ以外は、合成例7と同様にして、式(9)
【0249】
【化13】
【0250】
で表わされるマレイミド誘導体ES6の黄色液体30gを得た。
【0251】
<マレイミド誘導体ES6の物性値>
IR:
1736cm-1、1705cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0252】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,6H,−CH=CH−)、
4.0ppm(t,6H,−C=O−O−CH2−)、
3.3〜3.5ppm(m,N−CH2−、O−CH2−)、
2.3ppm[t,6H,−(C=O)−CH2−]、
1.6〜1.7ppm(m,12H,−CH2−)、
1.5ppm(q,2H,C−CH2−)、1.3ppm(m,6H,−CH2−)、
0.89ppm(t,3H,−CH3)
【0253】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、70.8ppm、69.0ppm、
63.6ppm(−O−CH2−)、40.6ppm(C)、
37.5ppm(N−CH2−)、33.9ppm[−CH2−(C=O)]、
28.2ppm、26.2ppm、24.3ppm、23.0ppm(−CH2−)、
7.3ppm(−CH3)
【0254】
元素分析(CHN):
計算値;C59.6%、H6.98%、N4.97%
分析値;C59.3%、H6.75%、N5.23%
【0255】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量970、重量平均分子量1,200
【0256】
(合成例13)
冷却管及び攪拌機を備えた容量100mlの3つ口フラスコに、ビスフェノールAエピクロルヒドリン付加物(大日本インキ化学工業株式会社製の「エピクロン840S、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量465、重量平均分子量510)23.8g、2,6−tert−ブチルp−クレゾール0.10g及び2−メチルイミダゾール0.02gを仕込み、窒素気流下90℃にて攪拌しながら、合成例1で得たマレイミドカプロン酸29.5gを3時間かけて添加した。4時間後、酸価がほぼ0になった時点で反応を終了し、式(10)
【0257】
【化14】
【0258】
で表わされるマレイミド誘導体ES7の淡黄色液体50gを得た。
【0259】
<マレイミド誘導体ES7の物性値>
IR:
3460cm-1(OH)、1705cm-1(C=O)、830cm-1、
696cm-1(C=C)
【0260】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
7.1ppm(d,4H,O−Ph)、6.8ppm(d,4H,Ph−)、
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.0〜4.3ppm(m,8H,O−CH、OH、O−CH2−)、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.6〜1.7ppm(m,12H,−CH2−)、
1.3ppm(m,6H,−CH3)
【0261】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、156ppm、143ppm、128ppm、
114ppm(Ph)、72.8ppm(C−OH)、68.7ppm、68.4ppm、
65.3ppm(−O−CH2−)、37.5ppm(N−CH2−)、
33.5ppm[−CH2−(C=O)]、33.8ppm、28.1ppm、
26.1ppm、24.3ppm(−CH2−)、31.0ppm(−CH3)
【0262】
元素分析(CHN):
計算値;C63.8%、H6.27%、N3.81%
分析値;C62.1%、H6.01%、N3.52%
【0263】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,400、重量平均分子量1,500
【0264】
(合成例14〜15)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量250のポリテトラメチレングリコール(ビー・エー・エス・エフ・ジャパン社製の「ポリ(Poly)THF250」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量440、重量平均分子量470)5gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(11)
【0265】
【化15】
【0266】
で表わされるマレイミド誘導体ES8の淡黄色液体6gを得た。
【0267】
同様にして、マレイミドカプロン酸に代えて、合成例4で得たマレイミド酢酸を用いて式(12)
【0268】
【化16】
【0269】
で表わされるマレイミド誘導体ES9を得た。
【0270】
<マレイミド誘導体ES8の物性値>
IR:
1733cm-1、1706cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0271】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.1ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
3.4〜3.5ppm(m,−O−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.3ppm、1.6〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0272】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、
64.1ppm、70.1〜70.7ppm(−O−CH2−)、
37.6ppm(N−CH2−)、34.0ppm[−CH2−(C=O)]、
24.4〜28.2ppm(−CH2−)
【0273】
元素分析(CHN):
計算値;C57.9%、H7.83%、N4.61%
分析値;C59.3%、H7.50%、N3.90%
【0274】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,000,重量平均分子量1,100
【0275】
(合成例16)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、トリエチレングリコール(関東化学株式会社製、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量158、重量平均分子量161)3.0gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(13)
【0276】
【化17】
【0277】
で表わされるマレイミド誘導体ES10の淡黄色液体6gを得た。
【0278】
<マレイミド誘導体ES10の物性値>
IR:
1735cm-1、1712cm-1(C=O)、829cm-1、696cm-1(C=C)
【0279】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.2ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.6ppm(m,8H,−O−CH2−)、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.3ppm、1.6〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0280】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、
63.4ppm、69.1〜70.8ppm(−O−CH2−)、
37.5ppm(N−CH2−)、33.8ppm[−CH2−(C=O)]、
24.2ppm、26.1ppm、28.1ppm(−CH2−)
【0281】
元素分析(CHN):
計算値;C58.2%、H6.72%、N5.22%
分析値;C58.0%、H6.58%、N5.28%
【0282】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量485,重量平均分子量488
【0283】
(合成例17)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、2エチレンオキシド変性水添ビスフェノールA(新日本理化株式会社製の「リカレジンHEO−20」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量570、重量平均分子量660)6.5gを用いた以外は、合成例6と同様にして、式(14)
【0284】
【化18】
【0285】
で表わされるマレイミド誘導体ES11の淡黄色液体12gを得た。
【0286】
<マレイミド誘導体ES11の物性値>
IR:
1732cm-1、1707cm-1(C=O)、829cm-1、696cm-1(C=C)
【0287】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.2ppm[m,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.6〜3.8ppm(m,−O−CH2−,−O−CH−)、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.1〜2.0ppm(m,−CH2−,−CH−)
0.7ppm(m,6H,−CH3)
【0288】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、
63.3−73.7ppm(−O−CH2−,−O−CH−)、
37.6ppm(N−CH2−)、
24.0−43.0ppm[−CH2−,−CH−,−CH2−(C=O)]、
20.3−20.5ppm(−CH3)
【0289】
元素分析(CHN):
計算値;C65.5%、H8.12%、N3.92%
分析値;C64.0%、H8.40%、N2.70%
【0290】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,100,重量平均分子量1,200
【0291】
(合成例18〜19)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、ペンタエリスリトールのテトラ(エチレンオキシド)変性物(日本乳化剤株式会社製の「PNT−40」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量490、重量平均分子量530)3.1gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(15)
【0292】
【化19】
【0293】
で表わされるマレイミド誘導体ES12の淡黄色液体9.5gを得た。
【0294】
同様にして、マレイミドカプロン酸に代えて、マレイミド酢酸を用いて、式(16)
【0295】
【化20】
【0296】
で表わされるマレイミド誘導体ES13を得た。
【0297】
<マレイミド誘導体ES12の物性値>
IR:
1732cm-1、1706cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0298】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,8H,−CH=CH−)、
4.1ppm[m,8H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.4−3.8ppm(m,N−CH2−,−O−CH2−)、
2.3ppm[m,8H,−(C=O)−CH2−]、
1.3〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0299】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、63.3〜70.9ppm(−O−CH2−)、
37.5ppm(N−CH2−)、33.8ppm[−CH2−(C=O)]、
24.2−28.1ppm(−CH2−)
【0300】
元素分析(CHN):
計算値;C58.7%、H6.64%、N5.17%
分析値;C57.4%、H6.60%、N4.60%
【0301】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,400,重量平均分子量1,500
【0302】
(合成例20)
合成例7において、マレイミドカプロン酸9.8gに代えて、合成例3で得た2−マレイミド−2−メチル酢酸7.0gを用い、かつ、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学株式会社製の「PTG650SN」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量1,200、重量平均分子量1,600)13gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(17)
【0303】
【化21】
【0304】
で表わされるマレイミド誘導体ES14の淡黄色液体19gを得た。
【0305】
<マレイミド誘導体ES14の物性値>
IR:
1745cm-1、1718cm-1(C=O)、831cm-1、697cm-1(C=C)
【0306】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.8ppm(q,2H,N−CH2−)、
4.2ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.4〜3.5ppm(m,−O−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.6〜1.7ppm(m,−CH2−,−CH3)
【0307】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
171ppm[N−(C=O)]、169ppm[−(C=O)−O]、
134ppm(−CH=CH−)、
65.7ppm、70.0〜70.8ppm(−O−CH2−)、
47.5ppm(N−CH2−)、25.3−26.9ppm(−CH2−)
15.1ppm(−CH3)
【0308】
元素分析(CHN):
計算値;C62.0%、H8.45%、N2.94%
分析値;C59.9%、H9.00%、N1.90%
【0309】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量2,100、重量平均分子量2,500
【0310】
(合成例21)
合成例7おいて、マレイミドカプロン酸9.8gに代えて、マレイミド酢酸6.8gを用い、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学株式会社製の「PTG650SN」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量1,200、重量平均分子量1,600)13gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(18)
【0311】
【化22】
【0312】
で表わされるマレイミド誘導体ES15の淡黄色液体18gを得た。
【0313】
<マレイミド誘導体ES15の物性値>
IR:
1750cm-1、1719cm-1(C=O)、831cm-1、698cm-1(C=C)
【0314】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.8ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.3ppm[s,4H,N−CH2−(C=O)−]、
4.2ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.4ppm(m,−O−CH2−)、1.6〜1.7ppm(m,−CH2−)
【0315】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
170ppm[N−(C=O)]、167ppm[−(C=O)−O]、
134ppm(−CH=CH−)、
65.7ppm、70.0〜70.7ppm(−O−CH2−)、
38.6ppm(N−CH2−)、25.4−26.5ppm(−CH2−)
【0316】
元素分析(CHN):
計算値;C61.3%、H8.27%、N3.03%
分析値;C58.3%、H7.50%、N1.80%
【0317】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量2,100、重量平均分子量2,500
【0318】
(合成例22〜23)
合成例7において、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール20gに代えて、数平均分子量600のポリエチレングリコール(関東化学株式会社製、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量655、重量平均分子量686)12gを用いた以外は、合成例7と同様にして、式(19)
【0319】
【化23】
【0320】
で表わされるマレイミド誘導体ES16の淡黄色液体15gを得た。
【0321】
また、同様にマレイミド酢酸と数平均分子量300のポリエチレングリコール(関東化学株式会社製)を用いて、式(20)
【0322】
【化24】
【0323】
で表わされるマレイミド誘導体ES17を得た。
【0324】
<マレイミド誘導体ES16の物性値>
IR:
1735cm-1、1712cm-1(C=O)、829cm-1、696cm-1(C=C)
【0325】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.2ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.6ppm(m,−O−CH2−)、
3.5ppm(t,4H,N−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.6ppm(m,8H,−CH2−)
1.4ppm(m,4H,−CH2−)
【0326】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、
63.4ppm、69.1ppm、70.5ppm(−O−CH2−)、
37.6ppm(N−CH2−)、33.9ppm[−CH2−(C=O)]、
24.3ppm、26.2ppm、28.2ppm(−CH2−)
【0327】
元素分析(CHN):
計算値;C55.6%、H7.67%、N2.8%
分析値;C54.9%、H7.88%、N2.6%
【0328】
GPC(ポリスチレン換算):
数平均分子量1,060,重量平均分子量1,080
【0329】
(合成例24)
冷却管及び撹拌機を備えた容量100mlの3つ口フラスコに、水添ビスフェノールAエピクロルヒドリン付加物(新日本理化(株)製の「HBE−100」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量360、重量平均分子量390)23.8g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.10g及び2−メチルイミダゾール0.02gを仕込み、窒素気流下90℃にて撹拌しながら、マレイミドカプロン酸29.5gを3時間かけて添加した。4時間後、酸価がほぼ0になった時点で反応を終了し、式(21)
【0330】
【化25】
【0331】
で表わされるマレイミド誘導体ES18の黄色液体50gを得た。
【0332】
<マレイミド誘導体ES18の物性値>
IR:
3460cm-1(OH)、1705cm-1(C=O)、834cm-1、
696cm-1(C=C)
【0333】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
5.3ppm[s,2H,−(C=O)O−CH−]、
4.2ppm(m,2H,O−CH−)
4.0ppm(s,2H,−OH)、
3.5〜3.8ppm(m,O−CH2−,N−CH2−)、
2.3ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
1.6〜1.7ppm(m,−CH2−,−CH−)、
1.2〜1.3ppm(m,−CH2−)
0.7ppm(s,6H,−CH3)
【0334】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm[−(C=O)−O]、171ppm[N−(C=O)]、
134ppm(−CH=CH−)、79.2ppm[−(C=O)O−CH−]、
65.6ppm、68.8ppm、69.0ppm(−O−CH2−,−O−CH−)、
37.6ppm(N−CH2−)、33.9ppm[−CH2−(C=O)]、
32.6〜24.4ppm(−CH2−,−CH−)、20.6ppm(−CH3)
【0335】
元素分析(CHN):
計算値;C63.8%、H6.27%、N3.81%
分析値;C65.3%、H6.58%、N3.34%
【0336】
GPC(ポリスチレン換算):
数平均分子量780、重量平均分子量850
【0337】
(合成例25〜26)
ディーンスターク型分留器を備えた容量200mlのナス型フラスコに、テトラヒドロフルフリルアルコール(関東化学株式会社製)7.1g、6−マレイミドカプロン酸14.8g、p−トルエンスルホン酸0.8g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.04g及びトルエン15mlを仕込み、240トル(torr)、80℃の条件で生成する水を除去しながら4時間攪拌しながら反応を続けた。反応混合物をトルエン200mlに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。有機相を濃縮して式(22)
【0338】
【化26】
【0339】
で表わされる6−マレイミドカプロン酸テトラヒドロフルフリルエステル(ES19)の淡黄色液体10gを得た。
【0340】
同様にして、式(23)
【0341】
【化27】
【0342】
で表わされる2−マレイミド酢酸テトラヒドロフルフリルエステル(ES20)を得た。
【0343】
<ES19の物性値>
IR:
1733cm-1、1705cm-1(C=O)、829cm-1、696cm-1(C=C)
【0344】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,2H,−CH=CH−)、
4.1ppm(t,2H,−(C=O)−O−CH2−)、
4.0ppm(m,1H,−COO−CH2−CH−O−)
3.7〜3.9ppm(m,2H,−CH−O−CH 2 −)
3.5ppm(t,2H,N−CH2−)、
2.3ppm(t,2H,−CH2−CO−)、
1.9〜2.0ppm(m,4H,−CH−CH 2 −CH 2 −)、
1.5〜1.7ppm(m,4H,−CH2−)、
1.3ppm(m,2H,−CH2−)
【0345】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
173ppm(−(C=O)−O−)、171ppm(N−C=O)、
134ppm(−CH=CH−)、
76.5ppm(−COO−CH2−CH−O−)、
68.4ppm(CH−O−CH2−)、
66.4ppm(−COO−CH2−)、37.6ppm(N−CH2−)、
33.9ppm(−CH2−C=O)、26.5ppm(−O−CH2−CH2−)、
28.0ppm、25.6ppm、24.3ppm(−CH2−)、
【0346】
元素分析(CHN):
計算値;C61.0%、H7.17%、N4.74%
分析値;C60.6%、H7.20%、N4.70%
【0347】
マススペクトロメトリーによる分析(以下、MS(EI/MS)と略記する。)
結果:
M+;295
【0348】
(合成例27)
滴下ロート、冷却管及び攪拌機を備えた容量300mlの4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート8.9g、ジブチルチンジラウレート0.03g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.06g及びメチルエチルケトン10mlを仕込み、窒素気流下60℃にて攪拌しながら、重量平均分子量1,000のテトラメチレングリコール(保土谷化学株式会社製の「PTGL1000」、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する)によるポリスチレン換算値:数平均分子量2,100、重量平均分子量5,000)20gを滴下ロートから1時間かけて滴下した。NCO%が理論値(5.40%)に達した後、窒素気流下、同温度にてN−ヒドロキシメチルマレイミド5.1gを1時間かけて加え、3時間後、IRでイソシアネート由来の2,250cm-1の吸収がなくなったことを確認した上で、反応を終了した。反応混合物を濃縮して式(24)
【0349】
【化28】
【0350】
で表わされるマレイミド誘導体UR1の淡黄色液体28gを得た。
【0351】
<マレイミド誘導体UR1の物性値>
IR:
1724cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0352】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
6.8ppm(s,4H,−CH=CH−)、
5.5ppm[s,4H,−NH(C=O)O−CH2−N]、
4.0ppm[m,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.4ppm(m,−O−CH2−)、1.5〜1.7ppm(m,−CH2−)、
0.8〜1.1ppm(m,CH3)
【0353】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
169ppm[N−(C=O)]、155ppm[NH−(C=O)O]、
135ppm(−CH=CH−)、69.1〜70.8ppm(−O−CH2−)
【0354】
元素分析(CHN):
計算値;C64.1%、H8.91%、N5.30%
分析値;C62.5%、H9.26%、N4.96%
【0355】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量3,400、重量平均分子量8,100
【0356】
(合成例28)
合成例27において、イソホロンジイソシアネート8.9gに代えて、2,4−トリレンジイソシアネート7.0gを用いた以外は、合成例27と同様にして、式(25)
【0357】
【化29】
【0358】
で表わされるマレイミド誘導体UR2の淡黄色液体25gを得た。
【0359】
<マレイミド誘導体UR2の物性値>
IR:
1724cm-1(C=O)、830cm-1、696cm-1(C=C)
【0360】
1H NMR(400MHz,CDCl3):
7.2ppm(d,2H,Ph)、7.1ppm(s,2H,Ph)、
7.0ppm(d,2H,Ph)、6.8ppm(s,4H,−CH=CH−)、
5.5ppm[s,4H,−NH(C=O)O−CH 2−N]、
4.0ppm(m,4H,−O−CH2−)、2.2ppm(s,6H,−CH3)、
1.5〜1.7ppm(m,4H,−CH2−)
【0361】
13C NMR(100MHz,CDCl3):
169ppm[N−(C=O)]、158ppm[NH−(C=O)O]、
115〜138ppm(芳香環炭素)、135ppm(−CH=CH−)、
69.1〜70.8ppm(−O−CH2−)、
【0362】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量2,900、重量平均分子量6,400
【0363】
(合成例29)
冷却管及び攪拌機を備えた容量300mlの4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート9.4g、ジブチルチンジラウレート0.03g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.06g及びメチルエチルケトン10mlを仕込んだ後、窒素気流下45℃にて攪拌しながら、N−ヒドロキシエチルマレイミド8.5gを1時間かけて徐々に添加した。NCO%が理論値(14.2%)に達した後、窒素気流下60℃にて数平均分子量1,000のグリセリンのプロピレングリコール変性物(三洋化成株式会社製の「サンニックスGP1000」、GPCによるポリスチレン換算値:数平均分子量2,100、重量平均分子量2,100)20gを2時間かけて加え、3時間後、IRでイソシアネート由来の2,250cm-1の吸収がなくなったことを確認した上で、反応を終了した。反応混合物を濃縮して式(26)
【0364】
【化30】
【0365】
で表わされるマレイミド誘導体UR3の透明粘稠液体19gを得た。
【0366】
<マレイミド誘導体UR3の物性値>
IR:
1710cm-1、1727cm-1(C=O)、829cm-1、696cm-1(C=C)
【0367】
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,6H,−CH=CH−)、
4.9ppm(t,6H,N−CH2)、
4.2ppm、3.8ppm[m,−(C=O)−O−CH2−]、
3.4〜3.6ppm(m,−O−CH2−)
14〜1.7ppm、1.1ppm(m,−CH2−、−CH3)
【0368】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
169ppm[N−(C=O)]、156ppm[NH−(C=O)O]、
134ppm(−CH=CH−)、69.5〜71.1ppm(−O−CH2−)
36.5、33.0、31.8ppm(N−CH2)
17.0〜27.8ppm(−CH2−、−CH3)
【0369】
GPCによる分子量分布分析結果(ポリスチレン換算):
数平均分子量7,900、重量平均分子量12,000
【0370】
(合成例30〜31)
合成例22と同様にして、ジエチレングリコール ビスマレイミドプロピオネート(ES21)及びブタンジオール ビスマレイミドアセテート(ES22)を合成した。ES21及びES22は室温で固体であった。
【0371】
<マレイミド誘導体ES21の物性値>
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.7ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.2ppm[t,4H,−(C=O)−O−CH2−]、
3.8ppm(t,4H,N−CH2−)、3.7ppm(t,4H,−O−CH2−)、
2.6ppm[t,4H,−(C=O)−CH2−]、
【0372】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
171ppm[N−(C=O)]、170ppm[−(C=O)−O]、
134ppm(−CH=CH−)、70.4ppm[−(C=O)−O−CH2−]、
68.9ppm(−O−CH2−)、33.5ppm(N−CH2−)、
32.7ppm[−CH2−(C=O)]、
【0373】
<マレイミド誘導体ES22の物性値>
1H NMR(300MHz,CDCl3):
6.8ppm(s,4H,−CH=CH−)、
4.3ppm(s,4H,N−CH2−)、
4.1ppm[t,4H,−(C=O)O−CH2−]、
1.6ppm(m,4H,−CH2−)
【0374】
13C NMR(75MHz,CDCl3):
170ppm[N−(C=O)]、167ppm[−(C=O)−O]、
135ppm(−CH=CH−)、63.8ppm(−O−CH2−)、
38.7ppm(N−CH2−)、28.2ppm(−CH2−)
【0375】
(試料調整方法及び評価方法)
硬化性、耐溶剤性、鉛筆硬度、ゲル分率、接着性、臭気などの試験方法は以下の通りである。
【0376】
(1)組成物の粘度
E型粘度計を用いて25℃の粘度又はハーケ社製(Haake)のレオメーターを用いて30℃の粘度を測定した。
【0377】
(2)印刷適性評価方法
▲1▼標準的印刷適性の評価
標準的印刷適性は、下記のように硬化性を評価した。
印刷インキ(顔料分散系):スポイトにインキを0.2cc(インキ展色量2.5g/m2)とり、その組成物をRIテスター(豊栄精工株式会社製)によりポリエステルタック紙に展色した。その展色物を、高圧水銀灯(アイ・グラフィックス株式会社製);120W/cmを用い、45mJ/cm2又は90mJ/cm2の照射強度で硬化性を評価した。
【0378】
OPワニス:スポイトにインキを0.2cc(インキ展色量2.5g/m2)とり、RIテスター(豊栄精工株式会社製)でアート紙に展色し、硬化させたのを原反とした。その原反にOPニス0.2cc(OPニスの展色量2.5g/m2)をRIテスターで展色した。その展色物を、高圧水銀灯(アイ・グラフィックス株式会社製);120W/cmを用い、45mJ/cm2又は90mJ/cm2の照射強度で硬化性を評価した。
【0379】
クリヤーコーティング :スポイトに墨インキを0.2cc(インキ展色量2.5g/m2)とり、RIテスター(豊栄精工株式会社製)でアート紙に展色し、硬化させたのを原反とした。その原反にクリヤー0.4cc(クリヤーの塗布量5g/m2)をRIテスターで展色した。その展色物を、高圧水銀灯(アイ・グラフィックス株式会社製);120W/cmを用い、45mJ/cm2又は90mJ/cm2の照射強度で硬化性を評価した。
【0380】
これらの硬化膜に関し、硬化性(塗膜が硬化するのに必要な照射エネルギー行で表わす)、耐溶剤性、鉛筆硬度、ゲル分率及び臭気を評価した。
【0381】
▲2▼金属缶用塗工剤あるいは金属印刷用インキ用適性の評価
金属缶用塗工剤あるいは金属印刷用インキ用適性は上記▲1▼のアート紙又はポリエステルタック紙をアルミラミネート紙に変える以外は同様にして、硬化性及び硬化膜特性を評価した。
【0382】
▲3▼金属用クリヤーコーティング適性の評価
金属用クリヤーコーティング適性は下記のように行い、硬化性を評価した。
即ち、バーコーター#4にてフィルムラミネート鋼板又は処理アルミ板に塗布した。これを、160W/cmのガリウム封入UVランプ1灯下を40m/分の速度で通過させ、硬化したものを硬化性;良とした。
その後、密着性、鉛筆硬度、加工性及び臭気を評価した。
【0383】
▲4▼スクリーンインキ適性の評価
調整したスクリーンインキを、大日本インキ化学工業(株)が販売するCD専用スクリーン印刷機にて印刷タクト1.5秒の速さでCD上に連続印刷し、スクリーン印刷機に設置されたフュージョン社製紫外線ランプ(Dランプ)により紫外線を照射して、CD上に膜厚約10μmの硬化皮膜を得た。この時、硬化したものを硬化性;良とした。CDは大日本インキ化学工業(株)製の紫外線硬化性保護膜剤「ダイキュアクリアーSD2200」を塗布した日本電気ホームエレクトロニクス(株)製のCDを用い、印刷面として、CDのレーベル印刷が行われる保護膜塗布面とDVDと同一基材であるポリカーボネート樹脂面の両面を用いた。
【0384】
硬化膜特性は、硬化膜の鉛筆硬度、臭気及び硬化塗膜中のエタノール抽出成分量を評価した。
【0385】
(3)耐溶剤性
硬化皮膜上をメチルエチルケトン(MEK)をしみこませた脱脂綿でこすり、硬化皮膜が溶解剥離するまでの往復回数を示すことにより、耐溶剤性を評価、硬化性の指標にした。
【0386】
(4)鉛筆硬度
JIS K−5400−6−14に基づき測定した。
【0387】
(5)ゲル分率
ガラス板から剥離した硬化皮膜(重量;W1 )を、メチルエチルケトン中で、80℃、3時間還流した後、100℃で1時間乾燥後に秤量(重量;W2 )し、ゲル分率(%)=100×(W1−W2)/W1を求めた。
【0388】
(6)密着性
塗膜に×印をカッターでいれ、セロテープ剥離試験を行い塗膜が基板に密着しているか試験する。評価は剥離しなければ○。剥離すれば×とした。
【0389】
(7)加工性
JIS K−5400−6−13−3に基づき折曲げ試験T法により折曲げ塗膜に亀裂のはいる長さを示した。亀裂が入る距離が長ければ長いほど加工性不良となる。
【0390】
とした。
【0391】
(8)エタノール抽出成分量
スライドグラス板上全面に上記のスクリーンインキを約10μmの膜厚で塗布し、120W/cmの出力のアイグラフィック社製メタルハライドUVランプを用い、5m/分の速度で紫外線を照射して硬化皮膜を得た。得られたスライドグラスを印刷面が完全に浸漬する状態で20mlのエタノールに浸して24時間放置し、印刷皮膜からエタノールに溶けだした成分量をエタノール溶液の紫外線吸収スペクトルを測定して求めた。280〜360nmにおける吸収極大の吸光度をエタノール抽出成分とした。
【0392】
(9)臭気
高圧水銀灯により紫外線を照射した直後の硬化皮膜の臭気を10人で測定した。その時の臭気を点数評価した
評価基準
5:全く臭気無し
4:臭気は若干有るが暫くすれば無くなる。
3:臭気は有るが暫くすればかなり少なくなる。
2:気になる臭気あり。
1:悪臭
【0393】
(実施例1〜44、比較例1〜12)
標準的印刷適性として印刷インキ、OPワニス及びクリヤーコーティング特性を評価した。印刷インキはポリエステルタック紙上に展色し、上記の方法で硬化特性を評価した。OPワニスはアート紙上に、まず、インキを展色し、硬化させた後、OPワニスを展色して硬化特性を評価した。クリヤーコーティングの場合は、アート紙上に展色、硬化した墨インク上に展色し、硬化特性を評価した。
【0394】
(実施例1〜4)
表1に示した処方に従って、マレイミド誘導体ES19(合成例25)又はES20(合成例26)をベースとし、他のマレイミド誘導体との組み合わせからなるクリヤーコーティングを調製した。この時、レベリング剤「L−7604」(日本ユニカー社製)1.0%を添加した。これらの硬化特性を評価した結果を表1にまとめて示した。
【0395】
【表1】
【0396】
(実施例5〜8)
表2及び表3に示した処方に従って、マレイミド誘導体ES8(合成例14)、ES9(合成例15)又はES13(合成例19)をベースとし、マレイミド基と共重合性を有する化合物との組み合わせからなるクリヤーコーティングを調製した。この時、レベリング剤「L−7604」(日本ユニカー社製)1.0%を添加した。これらの硬化特性を評価した結果を表2及び表3にまとめて示した。
【0397】
実施例1〜4のマレイミド誘導体のみで構成した組成物では、硬化皮膜の臭気は全く無く、また、マレイミド誘導体とアクリル系化合物から構成した組成物(実施例5〜8)においても臭気は全く無いかあっても気にならない程度であった。これに対して、後掲したアクリル系化合物及び光開始剤(イルガキュアー184)2%で構成した比較例1〜4の場合には、硬化皮膜の臭気が甚だしく、本発明の効果が明らかである。
【0398】
【表2】
【0399】
【表3】
【0400】
<表2及び表3中の化合物の説明>
TPGDA;トリプロピレングリコールジアクリレート
EOTMPTA;エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
GPTA;プロピレンオキシド変性グリセリントリアクリレート
TMPTA;トリメチロールプロパントリアクリレート
【0401】
(比較例1〜4)
表4に示した処方に従って、アクリル系化合物をベースとし、光開始剤として「イルガキュアー184」2%、レベリング剤「L−7604」(日本ユニカー社製)1.0%を添加して、クリヤーコーティングを調製した。これらの硬化特性を評価した結果を表4にまとめて示した。
【0402】
【表4】
【0403】
(実施例9〜16)
表5及び表6に示した処方に従って、マレイミド誘導体単独あるいは他のマレイミド誘導体との組み合わせからなるOPワニスを作製した。この時、レベリング剤「L−7604」(日本ユニカー社製)1.0%添加した。これらの硬化特性を評価した結果を表5及び表6にまとめて示した。
【0404】
【表5】
【0405】
【表6】
【0406】
(実施例17〜24)
表7及び表8に示した処方に従って、マレイミド誘導体ES13(合成例19)を主成分としたアクリレートとの組み合わせからなるOPワニスとした。この時、レベリング剤「L−7604」(日本ユニカー社製)1.0%添加した。これらの硬化特性を評価した結果を表7及び表8にまとめて示した。
【0407】
【表7】
【0408】
【表8】
【0409】
<表7及び表8中の化合物の説明>
CBA;エチルカルビトールアクリレート
M101;エチレンオキシド変性フェノールアクリレート
M110;エチレンオキシド変性クミルフェノールアクリレート
PEG400DA;ポリエチレングリコール(平均分子量400)ジアクリレート
HDDA;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
飽和ポリエステル:トリメチロールプロパンとイソフタル酸からなるポリエステル
【0410】
(比較例5〜8)
比較のため、表9に示した処方に従って、アクリル系化合物をベースとし、光開始剤「イルガキュアー184」5%及びレベリング剤「L−7604」(日本ユニカー社製)1.0%を添加してOPワニスを調製した。これらの硬化特性を評価した結果を表9にまとめて示した。
【0411】
比較例5〜8で得たOPワニスは、実施例9〜24のマレイミド誘導体を主成分としたOPワニスと比較して、臭気が著しいのが明らかであり、マレイミド誘導体を主成分としたOPワニスが優れていることが明らかである。
【0412】
【表9】
【0413】
<表9中の化合物の説明>
PETA;ペンタエリスリトールトリアクリレート
エポキシアクリレート;大日本インキ化学工業(株)製の「ユニディックV−550」;エピクロルヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート
【0414】
(実施例25〜40)
表10、表11、表12及び表13に示した処方に従って、マレイミド誘導体を主成分とする印刷インキを調製した。これらの硬化特性を評価した結果を表10、表11、表12及び表13にまとめて示した。
【0415】
【表10】
【0416】
【表11】
【0417】
【表12】
【0418】
【表13】
【0419】
<表10〜表13中の化合物の説明>
黄顔料:大日本インキ化学工業(株)製の「シムラー・ファスト・イェロー(SYMULER FAST YELLOW)G TF235−D」
紅顔料:大日本インキ化学工業(株)製の「シムラー・ブリリアント・カーミン(SYMULER BRILLIANT CARMINE)6B 320」
藍顔料:大日本インキ化学工業(株)製の「ファストゲン・ブルー(FASTOGEN BLUE)TGR−A」
カーボンブラック:三菱化学社製の「カーボンラーベン1060」
CaCO3;竹原化学社製の「SA300」
ワックス;日本精蝋社製のポリエチレンワックス
【0420】
(比較例9〜12)
比較のため、表14に示した処方に従って、アクリレートを主成分とし、光開始剤「イルガキュアー184」5%を添加して印刷インキを調製した。これらの硬化特性を評価した結果を表14にまとめて示した。
【0421】
比較例9〜12で得た印刷インキは、実施例25〜40のマレイミド誘導体を主成分とした印刷インキと比較して、臭気が著しいのが明らかであり、マレイミド誘導体を主成分とした印刷インキが優れていることが明らかである。
【0422】
【表14】
【0423】
<表14中の化合物の説明>
PETTA;ペンタエリスリトール テトラアクリレート
DPHA;ジペンタエリスリトール ヘキサアクリレート
【0424】
(実施例41〜44)
表15に示した処方に従って、ES8(合成例14)又はES9(合成例15)をベースとし、他のマレイミド誘導体を配合してなる印刷インキを調製した。硬化特性を評価した結果を表15にまとめて示した。
【0425】
【表15】
【0426】
<表15中の化合物の説明>
CA1;トリエチレングリコール ビスカーボネート ビスエチルマレイミド(USP4,675,414号明細書に記載の室温で固体の化合物)
MID;N,N’−4,9−ジオキサ−1,12−ビスマレイミドドデカン(「ポリマー プレプリンツ(Polymer Preprints)」第37巻第348〜349頁(1996年)に記載の室温で固体の化合物)
【0427】
表15に示した結果から、マレイミド誘導体を主成分とした印刷インキは、比較例1〜12の印刷インキと比較して、硬化性に優れ、且つ、臭気が少なく、印刷インキとして優れていることが明らかである。
【0428】
(実施例45〜52)
表16及び表17に示した処方に従って、金属缶用塗工剤あるいは金属印刷用インキを調製した。金属缶用塗工剤あるいは金属印刷用インキは、アルミラミネート上に印刷インキを展色し、実施例1〜44と同様にして、硬化特性の評価を行った。その結果を表16及び表17にまとめて示した。
【0429】
【表16】
【0430】
【表17】
【0431】
<表16及び表17中の化合物の説明>
黄顔料:大日本インキ化学工業(株)製の「シムラー・ファスト・イェロー(SYMULER FAST YELLOW)4181F」
紅顔料:大日本インキ化学工業(株)製の「シムラー・ブリリアント・カーミン(SYMULER BRILLIANT CARMINE)6B 320」
藍顔料:大日本インキ化学工業(株)製の「ファストゲン・ブルー(FASTOGEN BLUE)TGR−L」
墨顔料;主成分、カーボンブラック:三菱化学社製の「カーボンラーベン1060」
【0432】
表16及び表17に示した結果から、実施例45〜52で得た金属缶用塗工剤あるいは金属印刷用インキは、比較例1〜12で得た印刷インキと比較して、硬化性に優れ、且つ、臭気が無く、金属缶用塗工剤あるいは金属印刷用インキとして優れていることが明らかである。
【0433】
(実施例53〜60)
表18及び表19に示した処方に従って、金属缶用クリヤーコーティングを調製した。なお、調製したクリヤーコーティングの粘度は、いずれも200〜1000mPa・sの範囲内であった。金属缶用クリヤーコーティングは、フィルムラミネート鋼板又は処理アルミニウム板に塗布して、硬化特性の評価を行った。硬化性はいずれも良であった。その他の結果を表18及び表19にまとめて示した。
【0434】
(比較例13)
表20に示した処方に従って、金属缶用クリヤーコーティングを調製した。なお、調製したクリヤーコーティングの粘度は、200〜1000mPa・sの範囲内であった。金属缶用クリヤーコーティングは、フィルムラミネート鋼板又は処理アルミニウム板に塗布して、硬化特性の評価を行ない、その結果を表20に示した。
【0435】
【表18】
【0436】
【表19】
【0437】
【表20】
【0438】
<表18〜表20中の化合物の説明>
DVE−3;トリプロピレングリコールジビニルエーテル
Irg184;イルガキュアー184
【0439】
実施例53〜60で得た金属缶用クリヤーコーティングは、比較例13で得た金属缶用クリヤーコーティングと比較して、硬化性に優れ、且つ、臭気が無く、金属缶用クリヤーコーティングとして優れていることが明らかである。
【0440】
(実施例61〜72)
表21〜表23に示した処方に従って、スクリーンインキを調製した。なお、調製したスクリーンインキの粘度は、1〜5Pa・sの範囲内であった。スクリーンインキは、ポリカーボネート性CD−ROMのレーベル印刷が行われる保護膜塗布面及びDVDと同一基剤であるポリマーボネート樹脂面にスクリーン印刷し、スクリーンインキ適性を評価した。硬化性はいずれも良であった。結果を表21〜表23にまとめて示した。
【0441】
(比較例14〜16)
表24に示した処方に従って、スクリーンインキを調製した。なお、調製したスクリーンインキの粘度は、1〜5Pa・sの範囲内であった。スクリーンインキは、ポリカーボネート性CD−ROMのレーベル印刷が行われる保護膜塗布面及びDVDと同一基剤であるポリマーボネート樹脂面にスクリーン印刷し、スクリーンインキ適性を評価した結果を表24にまとめて示した。
【0442】
【表21】
【0443】
【表22】
【0444】
【表23】
【0445】
【表24】
【0446】
<表21〜表24中の化合物の説明>
第2成分;「ユニディックV−4200」(大日本インキ化学工業(株)製のウレタンジアクリレート)
第3成分;「アロニクスM101」東亞合成株式会社製のオリゴエステルアクリレート)
無機充填剤;土屋カオリン社製の「カオリン」と富士シリシア社製の「サイリシア740」を7:3の重量比で配合したもの
レベリング剤;信越シリコーン社製のシリコーンオイル
光重合開始剤;チバスペシャルティー社製の「イルガキュア184」、同社製の「イルガキュア907」、同社製の「イルガキュア819」及びビーエーエスエフ社製の「ルシリンTPO」を重量比で5:1:1:1で混合したもの
Abs;吸光度を示す。
【0447】
比較例14〜16と比較して、本発明のスクリーンインキは硬化性に優れ且つ無臭であり、硬化塗膜の抽出物が少ないなど、スクリーンインキとして優れていることが明らかである。
【0448】
【発明の効果】
本発明の活性エネルギー線硬化性インキは光開始剤の不存在下であっても、通常の光照射量で硬化し、しかも、臭いの無い硬化皮膜を形成することができる。更に、紙上の印刷、金属上の印刷、CD及びDVDなどのプラスチック上へのスクリーン印刷等に有用である。
Claims (13)
- 一般式(1)
- R11及びR12は、各々独立して、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリールアルキレン基及びシクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる炭化水素結合であり、G1及びG2は各々独立して−COO−又は−OCO−で表わされるエステル結合であり、R2が、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、水酸基を有するアルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が(a)エーテル結合及び(b)エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた平均分子量100〜100,000の(A)(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基あるいは(B)(ポリ)エステル連結鎖又は(ポリ)エステル残基であるマレイミド誘導体を含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- R2が、 炭素原子数2〜24の直鎖アルキレン基、炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基、水酸基を有する炭素原子数2〜24のアルキレン基及び/又はアリール基を含む繰り返し単位からなる平均分子量100〜100,000の(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基であるマレイミド誘導体を含有する請求項2記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- R2が、 炭素原子数2〜24の直鎖アルキレン基、炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基及び/又は水酸基を有する炭素原子数2〜24のアルキレン基を含む繰り返し単位からなる平均分子量100〜100,000の(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基であるマレイミド誘導体を含有する請求項2記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- マレイミド基と共重合性を有する化合物を含有する請求項1〜4の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- マレイミド基と共重合性を有する化合物が(b−1)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物及び(b−2)ビニルエーテル基を有する化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物である請求項5記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- 活性エネルギー線が紫外線であり、照射量が100mJ/cm2以下で硬化する、R11及びR12は、各々独立して、炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、G1及びG2は各々独立して−COO−又は−OCO−で表わされるエステル結合であり、R2が、 炭素原子数2〜6の直鎖アルキレン基、炭素原子数2〜6の分枝アルキレン基及び/又は水酸基を有する炭素原子数2〜6のアルキレン基を含む繰り返し単位からなる平均分子量100〜1、000の(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)エーテル残基であるマレイミド誘導体を含有する請求項1〜6にいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- 白色顔料、黄色顔料、紅色顔料、藍色顔料又は墨色顔料を含有し、粘度が1〜100Pa・sの範囲にあり、印刷に用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- 界面活性剤を含有し、粘度が1〜50Pa・sの範囲にあり、オーバープリントワニスに用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- 非反応性樹脂を含有する請求項8又は9記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- 界面活性剤を含有し、粘度が100〜1000mPa・sの範囲にあり、クリヤーコーティングに用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インキ。
- 活性エネルギー線硬化性インキを印刷し、活性エネルギー線を照射して当該インキを硬化させて印刷物を得る方法において、当該インキとして、請求項1〜11のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インキを用いることを特徴とする硬化方法。
- 活性エネルギー線が紫外線である請求項12記載の方法。
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