JP4214438B2 - エアジェットルームにおけるエア式把持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、緯糸をエア流により把持するエアジェットルームにおけるエア式把持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアジェットルームによる製織は、通常、緯糸測長貯留装置で貯留、測長された緯糸を緯入れ後、筬打ち、切断するという各工程を繰返して為される。
緯入れは、メインノズルや経糸杼口途中に設けたサブノズルから噴射されるエア流により推進力を得た緯糸が、経糸杼口内を高速で飛走し、経糸の杼口出口まで到達して、緯糸測長貯留装置の緯糸係止ピン等により緯糸の引出し解舒が阻止されて完了する。このとき、高速で飛走する緯糸が急停止させられるから、緯糸には慣性力により張力が作用し、緯糸は伸された状態となる。
【0003】
また、これに続いて行われる筬打ちによっても、緯糸は引張られ伸される。これは、メインノズルが筬を保持するスレイ上に載置されていると、メインノズルと筬とが共に揺動するのに対して、緯糸測長貯留装置等は揺動しないため、緯糸測長貯留装置等とメインノズルとの間の距離は筬打ちにより延び、連なる緯糸が引張られるからである。
この筬打ちの直後に緯糸の切断が行われると、その緯糸に作用していた張力は急激に解放されて緯糸は縮もうとし、いわゆる切断ショックと呼ばれる反動が緯糸に発生する。この切断ショックがメインノズル側の緯糸に伝達され、例えば、緯糸がメインノズルから糸抜け等を起し得る。
【0004】
この糸抜けを防止するために、緯入れ用エア噴射を行わないときにエア微噴射を行って切断ショックを低減させることも従来から提案されていたが(例えば、特開平5−272033号公報、特開平5−279940号公報、特開平5−287639号公報等)、過剰なエア微噴射は、緯糸の撚り戻りや表面に飾糸を伴う緯糸の損傷を招く虞がある。そこで、過剰なエア微噴射を避けつつ糸抜けを防止するために、緯糸を把持する機械式把持装置やエア式把持装置をメインノズル入口側に設けることが提案されてきた。例えば、特開平11−107123号公報や特開平11−200193号公報(図10参照)等にその開示がある。
【0005】
また、エアジェットルームではメインノズルの複数化がよく行われ、最近では2本を越えるエアジェットルームも多い。メインノズルを複数化して、多色の緯糸を使用すれば、色柄模様の織布も製織可能となる。また、同色の緯糸を使用した場合でも、メインノズル数が多いと、エアジェットルームの稼働率向上を図れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述の特開平11−107123号公報に開示された機械式把持装は慣性重量が大きく、高速で揺動するメインノズル入口側に設けるとエアジェットルームの高速化が妨げられ、好ましくない。加えて、機械式把持装置は構造が複雑でコンパクト化を図り難く、メインノズルの配置数、配置間隔、配置角度等が制限的になり、設計自由度が狭くなる。
また、4本のメインノズルに対応したエア式把持装置が特開平11−200193号公報に開示されているが、このエア式把持装置では図10に示すように、独立した2本の糸把持用エア供給管路3が中央に配設されているため、メインノズル7の入口側の間隔が延びてしまう。これにより、隣接するメインノズル7のなす角度(配置角度)が大きくなり、緯糸Yの噴出(緯入れ)角度を適切に設定し難くなる。
【0007】
なお、図10に示すように4本のメインノズルを上下左右略均等に配列せず、一直線上に配列すると、両端のメインノズルの配置角度が著しく大きくなり、緯糸Yの噴出(緯入れ)方向をより設定し難くなる。
本発明のエアジェットルームにおけるエア式把持装置は、このような事情に鑑みてなされたものである。つまり、エア式把持装置とメインノズルとを複数備えるエアジェットルームにおいて、メインノズルを適切に配設できるエア式把持装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤した結果、複数のエア式把持装置の把持用エア排出孔を共通のエア排出路に連通させることを思いつき、本発明のエアジェットルームにおけるエア式把持装置を開発するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明のエアジェットルームにおけるエア式把持装置は、上下左右に4本以上配列され、経糸の杼口内に緯糸を緯入れするために緯入れ用エア噴射を行うメインノズルと、それぞれの該メインノズルの入口側に一体的に配設され該緯糸と交差し該緯糸を屈曲させて把持すべく噴射される把持用エアの流れる把持用エア通路へ把持用エア供給孔から把持用エア排出孔に向けて把持用エア噴射を行うエア式把持装置と、を備えるエアジェットルームにおいて、
前記エア式把持装置は、前記把持用エア排出孔が前記把持用エア供給孔よりも前記メインノズルの横断面方向中央側に配置され、それぞれの前記把持用エア通路が把持用エア噴射の方向を重ねず配設され、少なくとも2以上の前記把持用エア排出孔が共通して連通するエア排出路を前記把持用エア排出孔より前記メインノズルの横断面方向中央側に備えることを特徴とする。
【0010】
エアジェットルームがエア式把持装置を複数備える場合、それぞれの作動タイミングは当然異なる。このため、各エア式把持装置にエアを供給する把持用エア供給孔はそれぞれ独立して設けられ、通常、他の把持用エア供給孔と連通させない。
しかし、把持用エア排出孔は、把持用エア供給孔と事情が異なる。つまり、ある把持用エア排出孔が他の把持用エア排出孔とエア排出路を介して連通していも、それらの把持用エア噴射の方向が重ならない限り問題は生じない。具体的には、ある把持用エア排出孔から排出されたエアが他の把持用エア排出孔内へと逆流せず、共通のエア排出路から排出されるため、他のエア式把持装置での緯糸の把持に支障を与えることはない。
【0011】
そして、少なくとも2以上の把持用エア排出孔を共通のエア排出路に連通させてそこからエアを排出するようにしたので、各エア式把持装置のエア排出側において省スペース化を図ることができた。
この結果、複数のメインノズルの適切な配設と複数のエア式把持装置の適切な作動との両立を図れるエアジェットルームにおけるエア式把持装置を提供できた。
【0012】
ここで、本発明のエアジェットルームにおけるエア式把持装置は、エア式把持装置の本体となる把持基体を必ずしも共通にする必要はなく、各エア式把持装置ごとに独立していても良い。また、エア排出路も管状である必要はなく、把持基体表面に設けた溝でも良いし、独立した把持基体と把持基体との間の僅かな隙間でも良い。
【0013】
もっとも、前記エア式把持装置が、前記エア排出路を略中央に配設した共通の把持基体を備えると、好適である。
これにより、複数のエア式把持装置の省スペース化と複数のメインノズルの配設自由度の向上とを一層図れる。
【0014】
また、全ての前記把持用エア排出孔が、共通の前記エア排出路に連通すると、より好適である。
これにより、エア排出路が一つでも良くなり、複数のエア式把持装置の省スペース化と複数のメインノズルの配設自由度の向上に加えて、エア式把持装置の製作コスト低減を図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明の第1の実施形態であるエアジェットルームについて、図1〜図5を用いて説明する。
図1に示すエアジェットルームは、4色の緯糸Y1、Y2、Y3、Y4を経糸Wの杼口内にそれぞれ独立して緯入れできるようになっている。緯糸をY1、Y2、Y3、Y4と区別したが、緯糸Y1、Y2、Y3、Y4は同色でも良い。いずれにしても、緯糸数の増加により、エアジェットルームの稼働率や高機能化を図れる。
【0016】
図1に示すように、緯糸Y1、Y2、Y3、Y4は、それぞれ緯糸チーズ110、210、310、410から供給され、巻付方式の緯糸測長貯留装置120、220、320、420の糸巻付面(測長バンド)121、221、321、421に巻付け貯留される。この巻き付けは、糸巻付管122、222、322、422を巻付モータ123、223、323、423により回転駆動することにより行われる。
【0017】
糸巻付面121、221、321、421からの緯糸Y1、Y2の引出し解舒と引出し解舒阻止は、その近傍にある緯糸係止ピン124a、224a、324a、424aが出没して糸巻付面121、221、321、421と係合・離間することによりが行われる。これにより、緯入れされる緯糸Y1、Y2、Y3、Y4の測長がなされる。
なお、緯糸係止ピン124a、224a、324a、424aは、電磁ソレノイド124、224、324、424により駆動され、電磁ソレノイド124、224、324、424の励消磁は、織機制御コンピュータC(図4)により制御される。織機制御コンピュータCは、糸巻付面121、221、321、421近傍に設けられた反射式光電センサーの緯糸解舒検出器125、225、325、425から送信される解舒検出信号と織機主軸に設けられたロータリエンコーダ19(図4)から送信される織機回転角度検出信号とに基づいて電磁ソレノイド124、224、324、424の制御を行っている。
【0018】
緯糸Y1、Y2、Y3、Y4は、それぞれ、緯糸測長貯留装置120、220、320、420からタンデムノズル130、230、330、430内に導かれる。タンデムノズル130、230、330、430は、メインノズル140、240、340、440による緯入れを補助するために設けられている。緯糸Y1、Y2、Y3、Y4は、さらにメインノズル140、240、340、440内に導かれる。メインノズル140、240、340、440とタンデムノズル130、230、330、430は、緯入れのための緯入れ用エア噴射を所定タイミングで行い、緯糸Y1、Y2、Y3、Y4の切断前後でエア微噴射を行う。このエア微噴射により、切断後の緯糸の姿勢が安定に保持され、次回の緯入れへスムーズに移行される。
なお、緯糸チーズ110、210、310、410、緯糸測長貯留装置120、220、320、420、タンデムノズル130、230、330、430は図示しない機台に固定されているが、メインノズル140、240、340、440と筬520とは共にスレイ530上に固定され筬打ち毎に高速で揺動する。
【0019】
次に、メインノズル140、240、340、440と、その入口側(上流側)に設けられたエア式把持装置150、250、350、450とについて、図2、図3および図4を用いて説明する。図2および図3に示すように、メインノズル140、240、340、440は、各メインノズル毎に経糸Wの杼口内に向けた所定の角度が付与されていると共に左右上下に略均等に配設されている。図2は、その上側に位置するメインノズル140、340とエア式把持装置150、350との断面図であり、図3は、図2のA−A断面図である。なお、図2中のA−Aは各メインノズルに対する直角方向の切断を示す。図4には、メインノズルとエア式把持装置とを含むエアジェットルーム全体の制御システムについて、緯糸Y1系統を中心に示した。
ここで、緯糸Y1、Y2、Y3、Y4の各系統の基本的構成は共通するため、以下では、緯糸Y1系統のエア式把持装置等の構成や制御を一例に取上げて説明する。これに対応して、図2、図3および図4には、主に、緯糸Y1系統に対応した符号を付すこととした。
【0020】
図2に示すように、メインノズル140は、ノズルボディ148と、ノズルボディ148の筒内に嵌入結合された加速管145と、ノズルボディ148の筒内に螺合されたスレッドガイド146と、スレッドガイド146をノズルボディ148に固定するためのロックナット147とからなる。
【0021】
スレッドガイド146の入口側にはセラミック製の摺接ガイドピース142が嵌合固定されている。スレッドガイド146の先端側(下流側)には小径部146aが形成されている。この小径部146aの中間に複数の位置決めフィン146bが周方向に配設されている。位置決めフィン146bの外周端はノズルボディ148の内周壁に当接している。これにより、スレッドガイド146はノズルボディ148に対して安定に保持されている。
加速管145は、ノズルボディ148に嵌合された基管145aと、基管145aに嵌合連結された細管145bとからなる。
【0022】
スレッドガイド146の小径部146aの先端側は基管145aの入口管内に入りこんでおり、小径部146aの外周壁面と基管145aの内周壁面との間でテーパ状のエア流路が形成されている。メインノズル140は、緯入れ用エア供給管路32(図4)から供給された圧縮エアを、図示しないノズルボディ148のエア供給口→ノズルボディ148内の内周壁面と小径部146aの外周壁面との間のエア流路→基管145a内→細管145b内を順次経過させて、緯入れ用エア噴射を行う。そして、この緯入れ用エア噴射により、小径部146aの先端部146cより下流側の加速管145内にある緯糸Y1がエア流による推進力を付与され、経糸Wの杼口内に高速で導かれる。
【0023】
また、メインノズル140がエア微噴射を行う場合も、緯入れ用エア噴射と同様の経路をたどって圧縮エアが噴射されるが、圧縮エアはカットブロー用エア供給管路34(図4)からメインノズル140に供給される。
なお、タンデムノズル130もメインノズル140と共通の基本的構造を備え、緯入れ用エア供給管路24(図4)から圧縮エアが供給されて緯入れ用エア噴射を行い、また、微噴射用エア供給管路26(図4)から圧縮エアが供給されてエア微噴射を行う。
【0024】
エア式把持装置150は、メインノズル140の入口側(上流側直近)に配設され、把持基体158と把持ノズル151とスレッドガイド146に配設された把持用エア通路149とを基本的な構成とする。図2、図3に示すように、本実施形態のエア式把持装置150、250、350、450は共通の把持基体158にそれぞれ設けられている。なお、本実施形態ではノズルボディ148と把持基体158とが一体となっている。
【0025】
図2および図3に示すように、把持基体158は略直方体状の一体ブロックからなる。把持基体158はノズルボディ148と共通であるため、メインノズル140のスレッドガイド146等が上下左右略均等に内設されている。そして、把持基体158の左右側面(図3)には、糸把持用エア供給管路53(図4)から供給された圧縮エアを噴射(把持用エア噴射)する把持ノズル151等が上下にそれぞれ設けられている。但し、図3の右側面に設けられた把持ノズル151、251は斜め上方に向けられており、左側面にけられた把持ノズル351、451は斜め下方に向けられている。
【0026】
把持ノズル151の取付け方向に沿って、把持基体158には把持用エア供給孔157が形成され、さらにその延長上に把持用エア排出孔156が形成されている。また、エア流が把持用エア供給孔157と把持用エア排出孔156との間を挿通すると共に緯糸Y1と交差するように、スレッドガイド146には把持用エア通路149が貫設されている。さらに、把持基体158の略中央上下方向(図3)には、把持用エア排出孔156に連通し、把持用エア排出孔156から排出されたエアを大気中に放出するためのエア排出路155が設けられている。
そして、把持ノズル151から把持用エア噴射が行われると、スレッドガイド146内の緯糸Y1の通路を横切るように、把持用エア供給孔157→把持用エア通路149→把持用エア排出孔156→エア排出路155とエアが流れる。このエア流によりスレッドガイド146内を挿通する緯糸Y1は、把持用エア供給孔157から把持用エア排出孔156に向う方向(図3のR1方向)に屈曲させられ、緯糸Y1が把持される。なお、図3中の矢印は、排出されたエアの流れを概念的に示したものである。
【0027】
エア式把持装置150について説明したが、エア式把持装置250、350、450についても同様であり、それらの把持用エア排出孔もエア排出路155に連通している。そして、エア式把持装置250、350、450で噴射されたエアもエア排出路155を通じて大気中に放出される。このとき、図3に示すように、エア式把持装置150、250、350、450の各把持用エア排出孔から排出されるエア流の方向(把持用エア噴射の方向)R1、R2、R3、R4はそれぞれ重ならない。このため、例えば、把持用エア排出孔156から排出されたエアが隣接する把持用エア排出孔356から侵入して把持用エア供給孔357の方向へ逆流し、エア式把持装置350の緯糸Y3の把持に悪影響を与える、ようなことはない。
また、本実施形態では中央にエア排出路155を一つ備えるだけなので把持基体158をコンパクトにでき、メインノズル140、240、340、440の入口側の間隔が過大にならない。このため、メインノズル140、240、340、440の配設自由度が高く、緯入れ角度の調整が容易となる。
【0028】
次に図4および図5を参照しつつ、本実施形態のエアジェットルームによる緯入れ制御等について、緯糸Y1系統を例にとり説明する。
図4に示すように、メインノズル140には、緯入れ用エア噴射を行うための緯入れ用エア供給管路32と、エア微噴射を行うためのカットブロー用エア供給管路34と、メインノズル140内に緯糸Y1を挿通させる際に使用する糸通し用エア供給管路36とが並列して接続されている。緯入れ用エア供給管路32上には電磁開閉弁38が介在し、カットブロー用エア供給管路34上には電磁開閉弁40が介在し、糸通し用エア供給管路36上には手動式の開閉弁42が介在する。メインノズル140へ緯糸Y1を糸通しする際には、開閉弁42が開かれる。
【0029】
エア式把持装置150には、圧縮エアを供給するための糸把持用エア供給管路53が接続されている。そして、糸把持用エア供給管路53上には電磁開閉弁55と圧力調整弁57とが設けられている。
タンデムノズル130には緯入れ用補助エア噴射を行うための緯入れ用エア供給管路24及びエア微噴射を行うための微噴射用エア供給管路26が並列接続されている。緯入れ用エア供給管路24上には電磁開閉弁28が介在されており、微噴射用エア供給管路26上にはスピードコントロールバルブ30が介在されている。スピードコントロールバルブ30はタンデムノズル130におけるエア微噴射の強さを調整するためのものである。
【0030】
次に、緯糸Y1を例に取上げ、本実施形態のエアジェットルームの作動を説明する。
織機制御コンピュータCは電磁開閉弁28、38を励消磁制御し、タンデムノズル130とメインノズル140とはそれぞれ、緯入れ用補助エア噴射と緯入れ用エア噴射とを行う。そして、緯入れされた緯糸Y1は、筬打ち直後に電磁カッター60によって切断分離される。この切断前の所定時期に織機制御コンピュータCは電磁開閉弁55を励磁制御して、糸把持用エア供給管路53からエア式把持装置150にエアを供給する。そして、緯糸Y1はエア式把持装置150でエア流により屈曲、把持される(以下、この把持を「エアグリップ」と呼称する)。
【0031】
さらに、これらの各タイミングについて、図5を用いて詳しく説明する。なお、本実施形態では、織機1回転毎に緯糸Y1、Y2、Y3、Y4がその順序で交互に緯入れされることを想定した。そして、緯糸Y1と他の緯糸との関係を示すために、緯糸Y1の次に緯入れされる緯糸Y2の各種タイミングを一例として取上げて、図5に併せて示した。従って、図示していないが、緯糸Y3、Y4の各タイミングも緯糸Y1、Y2の各タイミングと同様である。また、波形は連続的に順次繰返されるものとする。
【0032】
また、図5に示した波形M1は、メインノズル140の緯入れ用エア噴射を制御する電磁開閉弁38の励消磁を表し、波形T1はタンデムノズル130の緯入れ用補助エア噴射を制御する電磁開閉弁28の励消磁を表し、波形A1はエア式把持装置150へのエア供給を制御する電磁開閉弁55の励消磁を表す。なお、波形M2、T2、A2は、緯糸Y2系統に関するものである。図5において、0°は筬打ちタイミングを、θcは電磁カッター60による切断タイミングを、θwは緯糸Y1の緯入れ完了タイミングをそれぞれ示す。
【0033】
まず、エアグリップ開始タイミングθa1からエアグリップ解除タイミングθa2(図5)までの間、織機制御コンピュータCは電磁開閉弁55を励磁制御する。この間エア式把持装置150は把持用エア噴射を行い続け、緯糸Y1を屈曲させつつエアグリップしている。そして、エアグリップ解除タイミングθa2で織機制御コンピュータCは電磁開閉弁55を消磁制御し、エア式把持装置150は緯糸Y1のエアグリップを解除する。
【0034】
緯糸Y1のエアグリップが解舒された後、緯入れ用エア噴射開始タイミングθm1で、織機制御コンピュータCは電磁開閉弁38を励磁制御し、メインノズル140は緯入れ用エア噴射を開始する。これと略同期して、織機制御コンピュータCは電磁ソレノイド124を消磁して緯糸係止ピン124aを引込ませ、緯糸Y1の引出し解舒を許容する。こうして緯糸Y1の緯入れが開始される。緯入れ用エア噴射開始タイミングθm1に続く緯入れ用補助エア噴射開始タイミングθt1で、織機制御コンピュータCは電磁開閉弁28を励磁制御し、タンデムノズル130は緯入れ用補助エア噴射を開始してメインノズル140による緯入れを補助する。
【0035】
それから所定進角後、緯入れ用補助エア噴射終了タイミングθt2で、織機制御コンピュータCは電磁開閉弁28を消磁制御し、タンデムノズル130は緯入れ用補助エア噴射を終了する。これに続く緯入れ用エア噴射終了タイミングθm2で、織機制御コンピュータCは電磁開閉弁38を消磁制御し、メインノズル140は緯入れ用エア噴射を終了する。なお、メインノズル140による緯入れ用エア噴射が終了した後も、筬520に平行して設けられた緯入れガイドにサブノズル510からエア噴射が順次行われており、このエア流により緯糸Y1は経糸Wの杼口出口まで高速で導かれる。
【0036】
そして、織機制御コンピュータCは、緯糸解舒検出器125から送信された緯糸Y1の解舒検出信号に基づいて電磁ソレノイド124を励磁制御し、緯糸係止ピン124aを突出させ、緯糸Y1の引出し解舒を阻止する。これにより、緯糸Y1の緯入れが完了する(緯入れ完了タイミングθw)。
【0037】
緯入れ完了後、エアグリップ開始タイミングθa1で織機制御コンピュータCは電磁開閉弁55を励磁制御し、エア式把持装置150は緯糸Y1をエアグリップする。このエアグリップがされている状態で、筬打ち(筬打ちタイミング0°)、電磁カッター60による切断(切断タイミングθc)がなされ、エアグリップは次回の緯糸Y1の緯入れに先行するエアグリップ解除タイミングθa2まで継続される。
【0038】
なお、図示していないが、電磁開閉弁40も織機制御コンピュータCにより励消磁制御され、メインノズル140はカットブロー用エア供給管路34からエア供給を受け、切断タイミングθcの前後にわたってエア微噴射を行う。ちなみに、タンデムノズル130は、スピードコントロールバルブ30を介して微噴射用エア供給管路26からエアが供給され続けるため、エア微噴射は緯入れ用補助エア噴射直後から行われている。
【0039】
本発明のエア式把持装置の第2実施形態を図6に示す。この実施形態は、図3に示した把持基体158を把持基体658に変更したもので、把持基体658は把持基体158のエア排出路155を上下2つに区画した第1エア排出路655aと第2エア排出路655bとを備える。その他、図3の第1実施形態と同一構成のものには同一の符号を付して図6に示した。
これにより、エア排出路155の省スペース化を図りつつ、エア式把持装置150、350とエア式把持装置250、450とでエアの排出を別経路とすることができる。一つのエア排出路に連通する把持用エア排出孔数を減少させることにより、エアの排気干渉を抑制し易い場合もある。
【0040】
本発明のエア式把持装置の第3実施形態を図7に示す。この実施形態は、図3に示した把持基体158を把持基体758に変更したもので、把持基体758は、把持用エア供給孔757や把持用エア排出孔756等をエア排出路155に対して略直角に配設したところが把持基体158と異なる。なお、図3の第1実施形態と同一構成のものには同一の符号を付すと共に、スレッドガイド146は省略して図7を示した。
【0041】
本発明のエア式把持装置の第4実施形態を図8に示す。この実施形態は、図3に示した把持基体158を把持基体858に変更したものである。把持基体858は、略正方形状のブロックで、その略中央にメインノズル長手方向に延びる貫通孔が形成され、この貫通孔がエア排出路855となっている。さらに、把持基体858の4隅に把持ノズル151、251、351、451を配設した。この把持ノズル151、251、351、451の向きに対応して把持用エア供給孔857、把持用エア排出孔856等が形成されている。そして、把持ノズル151、251、351、451の把持用エア噴射の方向R1、R2、R3、R4がそれぞれ重ならないように、把持用エア供給孔857、把持用エア排出孔856等は位置している。なお、図3の第1実施形態と同一構成のものには同一の符号を付して図8に示した。
この第4実施形態も第1実施形態と同様に、把持基体858をコンパクトにでき、複数のメインノズルを適切に配置できる。
【0042】
本発明のエア式把持装置の第5実施形態を図9に示す。図2の第1実施形態と同一構成のものには同一の符号を付して図9に示した。この実施形態は、第1実施形態のエア式把持装置150で、スレッドガイド146に設けていた把持用エア通路149(図2)を、把持用エア通路949に変更したものである。図9に示すように、この把持用エア通路949は、スレッドガイド946と糸ガイド942との間に形成された把持基体958中の僅かな空間からなる。この糸ガイド942は把持基体958の上流側面に固着されており、スレッドガイド946の入口側に対向配置されている。なお、メインノズルの組付け性を考慮して、ノズルボディ948と把持基体958とは別体構造とした。
【0043】
その他、図2、図9に示したエア式把持装置150では、把持用エア排出孔156を単に貫通孔としたが、複数の細孔としても良い。また、網や通気性のあるモケットを設けても良い。エアグリップの際に屈曲した緯糸Y1がそれらに当接して、把持がより確実に行われるからである。
また、上述した実施形態では4本のメインノズル(4つのエア式把持装置)を備えたエアジェットルームを想定したが、それ以外の場合でも本発明を適用できることに変わりはない。即ち、メインノズルとエア式把持装置とをそれぞれ2つ以上備えるエアジェットルームに本発明を適用することができる。
【0044】
また、エアジェットルームが複数のエア式把持装置を備える場合に、それら全ての把持用エア排出孔がエア排出路に連通している必要はない。少なくとも2以上の把持用エア排出孔がエア排出路に連通していれば十分である。
また、前述の実施形態では、このエア排出路155を凹状溝としたが、上下方向に延びた貫通孔としても良く、貫通孔の形状は円形状でも方形状でも良い。
また、前述の第1エア排出路655aと第2エア排出路655bとの形態も、溝でも貫通孔でも良く、また(半)円形状でも方形状でも良い。
また、前述のエア排出路855を貫通孔とせず、メインノズル140、240、340、440の緯入れ用エア噴射に影響を与えない上流側にのみ開口したエア排出路855としても良い。
さらに、前述のエア式把持装置150と同構造のエア式把持装置をタンデムノズル130の入口付近に追加して、緯糸Y1の把持を強化しても良い。
【0045】
【発明の効果】
本発明のエアジェットルームにおけるエア式把持装置によれば、複数のエア式把持装置の把持用エア排出孔を共通のエア排出路に連通させてエアを排出するようにしたので、エア式把持装置の省スペース化を図ることができた。そして、各エア式把持装置の作動を妨げずに複数のメインノズルを適切に配置することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるエアジェットルームを示す概要図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるエア式把持装置の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態であるエア式把持装置の図2に示したA−A断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態であるエアジェットルームの制御システムを示す概念図である。
【図5】本発明の第1実施形態であるエア式把持装置の作動タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態であるエア式把持装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態であるエア式把持装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態であるエア式把持装置を示す断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態であるエア式把持装置を示す断面図である。
【図10】従来技術を示す断面図である。
【符号の説明】
120 緯糸測長貯留装置
140 メインノズル
150 エア式把持装置
157 把持用エア供給孔
156 把持用エア排出孔
155 エア排出路
Claims (3)
- 上下左右に4本以上配列され、経糸の杼口内に緯糸を緯入れするために緯入れ用エア噴射を行うメインノズルと、
それぞれの該メインノズルの入口側に一体的に配設され該緯糸と交差し該緯糸を屈曲させて把持すべく噴射される把持用エアの流れる把持用エア通路へ把持用エア供給孔から把持用エア排出孔に向けて把持用エア噴射を行うエア式把持装置と、
を備えるエアジェットルームにおいて、
前記エア式把持装置は、前記把持用エア排出孔が前記把持用エア供給孔よりも前記メインノズルの横断面方向中央側に配置され、
それぞれの前記把持用エア通路が把持用エア噴射の方向を重ねず配設され、
少なくとも2以上の前記把持用エア排出孔が共通して連通するエア排出路を前記把持用エア排出孔より前記メインノズルの横断面方向中央側に備えることを特徴とするエアジェットルームにおけるエア式把持装置。 - 前記エア式把持装置は、前記エア排出路を略中央に配設した共通の把持基体を備える請求項1記載のエアジェットルームにおけるエア式把持装置。
- 全ての前記把持用エア排出孔は、共通の前記エア排出路に連通する請求項1または2記載のエアジェットルームにおけるエア式把持装置。
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