JP4211113B2 - 幅圧下プレス方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動重量の軽減と簡潔な機構を使用して衝撃荷重と振動を減少可能な幅圧下プレス方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の縦型圧延機によるスラブの幅圧延では、2本の縦ロールによるスラブ先端幅部の噛み込みの圧下量は、縦ロールがほぼ固定されているため、先端幅摩擦角以上の噛み込み角(通常縦ロールの外径900mmの場合に幅圧下量は約35mm,噛み込み角は20度前後が限度)がとれない問題があり、噛み込み幅圧下量は小さく制約されている。そのため、幅圧下量を増すには縦ロールの外径を大きくする必要が生ずるが、大型の設備となり設備費が増大する問題点がある。
【0003】
縦型圧延機による幅圧下量の限界を解決するために近年、所定の傾斜角度を有する金型で一度に大きな幅圧下量(例えば、約350mm)を確保できるスラブ幅圧下プレスが使用されている。このスラブ幅圧下プレスには、スラブを停止させて間欠的にスラブ幅圧下プレスを行うスタート・ストップ式幅圧下プレスと、スラブを一定速度で搬送して連続的にスラブ幅圧下プレスを行うフライング式幅圧下プレスがある。
【0004】
スタート・ストップ式幅圧下プレスは、例えば特開昭60−166101号の「スラブ幅減少方法」が提案されている。この方式は、図9に模式的に示すように、幅圧下プレス装置1が、スラブ2を挟んで形成されたハウジング3と、ハウジング3の内側両端に取付けられ、内部にウォーム5、ウォームホイール6、及び、これらの回転力を直線方向の幅減少量に変換するスクリュー7からなるケーシング4とで形成される。更に、スクリュー7は、シリンダ8を固定したガイド9をスラブ2の板幅方向に移動する。シリンダ8は、ピストン10によって移動可能な工具支持台11に連結され、工具支持台11にプレス工具12が固定されている。また、ハウジング3のスラブ送り方向(この図で左右)の両側近傍には、ピンチロール13、14が配置されている。このスラブ幅減少方法は、押圧動作と開放動作をするプレス工具12が幅方向に開いた状態でピンチロール13によってスラブ2が送り込まれ、スラブ2を停止させて次のプレス工具12の閉じる過程で所定の板幅に減少する押圧加工を行う。その後にプレス工具12を開いた状態でスラブ2をピンチロール14を作動させて送り出す。このようにスラブ幅減少加工をスラブの搬送と停止を繰り返して間欠的にスラブ板幅を減少させている。
【0005】
一方、フライング式幅圧下プレスは、例えば特開平9−168805号の「幅圧下プレス」が提案されている。この幅圧下プレス装置16は、図10に模式的に示すように、スラブ2を幅圧下する金型17がローラ18によって前後運動ができるように支持されたスライダー19の内部にスィーベル20を介してスクリュー21が固定され、更にスクリュー21にナット22が螺合され、このナット22を包むようにナットケース23が設けられスライダー19の内側を摺動する。ナットケース23は、コネクティングロッド24の先端の球面部分を受ける球面座25が固定されている。このコネクティングロッド24には、偏心量Eだけ偏心したクランク軸26が軸受27を介して嵌合されている。この装置によるスラブ幅減少手段は、モータ28を回転してベベルギア29、29とギア30、31を介して偏心したクランク軸26を回転し、偏心したクランク軸26の回転をコネクティングロッド24で往復運動に変換し、この往復運動を前後運動を可能とするスライダー19を介して金型17に伝達して、金型17の前後(この図で上下)の往復運動と共に、図示しない金型17を有したスライダー19をスラブ2の搬送方向に揺動する揺動装置と連動させ、金型走間機構の使用によってスラブの搬送、停止を繰り返すことなく、常に定速で連続的に幅圧下をフライング(走間)式で行なえるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開昭60−166101号(図9)の手段では、▲1▼大型の重量部品であるスクリュー、シリンダ、ガイド、ピストン及び工具支持台等から構成されているため構造が複雑となり、設備費が高くなる、▲2▼これらの重量部品のスラブへの移動重量(いわゆる移動Mass)が大きく、衝撃荷重や振動が大きくなる、▲3▼スラブの停止と加速を交互に行う必要があるため、プレス時間がかかり、▲4▼更に、スラブ搬送用のピンチロールがプレス前後に必要となる、等の問題点があった。
【0007】
一方、特開平9−168805号(図10)では、▲1▼大型の重量部品であるクランク軸、コネクティングロッド、スライダー及び揺動装置等から構成されているため構造が複雑で、設備費が高くなる、▲2▼これらの重量部品のスラブへの移動Massが大きいため、衝撃荷重が大きくなる、▲3▼スラブを一定速度で搬送できるが揺動装置が必要で、大きなスライダーを揺動するためにスラブ搬送方向の振動が発生する、等の問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、▲1▼スラブを停止させることなく、常に可変速度で搬送させながら幅圧下する走間プレスが可能であり、▲2▼構成部品が少なく構造をシンプル化でき、▲3▼スラブに当たる移動Massを小さくして、衝撃荷重や振動を小さくでき、▲4▼揺動方向の荷重や振動を小さくできる幅圧下プレス方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明によれば、スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有する主クランク軸と、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、を備え、金型フレームの側面に配置される金型でスラブ板幅を幅圧下する幅圧下プレスを用いた幅圧下プレス方法であって、スラブを一定のテーブル送り速度で移動させ、次に金型でスラブを噛み込みができる速度までテーブル送り速度を減速させ、次に金型でスラブを噛み込み始めたら主クランク軸によるプレス加工速度に合わせてテーブル送り速度を加速させ主クランク軸の1/4サイクル未満の部分で偏心量分のプレスを行い、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス方法が提供される。
【0010】
上述の本発明によれば、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームの側面に配置される金型を用いて、▲1▼スラブを一定のテーブル送り速度で移動させ、▲2▼次に金型でスラブを噛み込みができる速度までテーブル送り速度を減速させ、▲3▼次に金型でスラブを噛み込み始めたら主クランク軸によるプレス加工速度に合わせてテーブル送り速度を加速させ主クランク軸の1/4サイクル未満の部分で偏心量分のプレスを行い、▲4▼常にスラブを搬送させながら幅圧下を行う。従って、従来のフライング式が常に定速で幅圧下及び金型の揺動を行っているのに対して、本発明では幅圧下及び金型の揺動を可変で行ない得るので、構造が簡単にできる。一方、スタート・ストップ式が、スラブを停止、幅圧下、搬送、停止、幅圧下、搬送を繰り換えすのに対して、本発明では速度変化はあるが停止作業を発生することはなく常に走間で行うので、プレス時間を含んで全ての作業効率を良好にできる。また、主クランク軸の1/4サイクル未満の部分で偏心量分のプレスを行うので、揺動方向に発生する荷重を小さくし、振動を減少できる。
【0011】
また、本発明によれば、スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有して片側2本かつ並設する主クランク軸と、2本の主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、金型フレームの側面に配置される金型と、主クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、上下軸箱をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置と、主クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、を備え、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス装置が提供される。
【0012】
本発明の構成によれば、スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有して片側2本かつ並設する主クランク軸と、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、金型フレームの側面に配置される金型と、主クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱とを設けた。従来スタート・ストップ式で使用していた大型で重量部品のガイド、ピストン、工具支持台及びピンチロール等やフライング式で使用していた大型のスライダーとコネクティングロッド及び別体構造の揺動装置を廃止して、代わりに偏心自在に揺動する金型フレームを使用したので、スラブに当たる移動Massを小さくし、衝撃荷重や振動を減少できる。また、構成部品を少なし、構造をシンプル化する。更に、従来別体構造であった揺動装置を廃止し、片側2本かつ並設する主クランク軸の中央部近傍に設けた偏心部の偏心量で揺動させたので、揺動方向に発生する荷重を小さくし、振動を減少できる。また、2本の主クランク軸を使用したので、スラブの幅圧下時に発生する圧下荷重を2本の主クランク軸に嵌着される軸受で均等に分担でき、シンプルな構造にできる。更に、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームにより常にスラブを搬送させながら走間で幅圧下できる。
【0013】
更に、前記位置調整装置は、ハウジング内を貫通し上下の軸箱を支持する圧下ネジと、圧下ナットと、ウォームと、ウォームホイールと、歯車機構と、電動機とからなる。この構成により、スラブの幅圧下量に合わせて軸箱を介して主クランク軸の板幅方向の前進・後退を迅速かつ容易に調整でき、従って金型間の位置調整が短時間にできる。
【0014】
また、前記回転駆動装置は、ハウジングに配置した電動機と、電動機の回転力を主クランク軸に揺動自在に伝える自在継手とからなる。この構成により、ハウジングに固定された電動機や図示しない減速機等によって発生される回転力を自在継手(ユニバーサル・ジョイント)を使用して、どの位置にあっても揺動自在で確実に主クランク軸に伝達できる。
【0015】
また、前記回転駆動装置は、軸箱に取付けた駆動用電動機と、ハウジング上をスラブ幅方向に軸箱を移動自在な車輪とからなる。前述のハウジングからの回転駆動装置とは異なる方式である。すなわち、上軸箱に直接回転駆動用の電動機を取付けても主クランク軸を回転駆動できる。この結果、ハウジングの形状をコンパクトにできる。また、軸箱に車輪を取付けてハウジング上を軸箱を介して主クランク軸をスラブ幅直角方向に前進・後退して走行できる。
【0016】
更に、対向する金型間でスラブの上下面を押さえる押えロールを配置する。この構成により、幅圧下によるスラブのバックリングの発生を防止できる。
【0017】
また、本発明の第2の実施形態によれば、スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有する主クランク軸と、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、金型フレームの側面に配置される金型と、金型フレームの横面に配置され金型フレームと一体的に揺動する接続フレームと、接続フレームに内蔵されて主クランク軸と並設かつ中央部近傍に偏心部を有する副クランク軸と、主クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、副クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、主クランク軸の上下軸箱をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置と、主クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、副クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、を備え、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス装置を提供する。
【0018】
上述の2本の並設する主クランク軸を使用した場合に幅圧下時に発生する圧下荷重を均等に分担させたのに対して、本発明の構成によれば、1本の主クランク軸に嵌着される軸受で幅圧下時に発生する全圧下荷重を受け持ち、偏心荷重の発生を防止できる。一方、主クランク軸より細い副クランク軸は、位置決めを受持ちスラブを搬送させながら幅圧下する金型の揺動位置を確認している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明による幅圧下プレス装置の第1実施形態を示す全体構成図である。図2は、図1のA−A矢視図である。図3は、図1のB−B矢視図である。図1において、本発明の幅圧下プレス装置40は、スラブ搬送ラインPを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有して片側2本かつ並設する主クランク軸42と、2本の主クランク軸42を介して偏心自在に揺動する金型フレーム43と、金型フレーム43の側面に配置されスラブ44の板幅を幅圧下する入側に傾斜角度θと平行部を有する一対の金型45と、主クランク軸42を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱46、47と、主クランク軸42の上下軸箱46、47をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置48と、主クランク軸42を回転自在に駆動する回転駆動装置49とを備え、スラブ44を搬送する自走式でスラブ搬送ラインPを構成するテーブルローラ50を囲んで床面51に固定されたハウジング52内に前記の各部品を内蔵しかつ取付けた状態で配置されている。
【0021】
また、図1乃至図3に示すように主クランク軸42の中央部近傍に所定の偏心量Eを設けた偏心部41の外径は、偏心自在に揺動する金型フレーム43に設けた貫通孔57の内径との間に幅圧下時に発生する圧下荷重を負担する軸受58を回転自在に嵌着し保持されている。なお、本発明ではスラブ44を挟んで片側2本(両側で計4本)の並設した距離L1を保持する主クランク軸42を使用しているので、圧下荷重を2本で均等に分担するため、主クランク軸42を小型でシンプルな構造にできる。更に、従来別体構造であった揺動装置を廃止し、片側2本かつ並設する主クランク軸の中央部近傍に設けた偏心部の偏心量Eで揺動させたので、揺動方向に発生する荷重を小さくし、振動を減少できる。なお、偏心部を有した主クランク軸42を使用しているので、スラブ44は搬送、停止を繰り返すことなく可変ではあるが常に連続的に幅圧下を行うことができる。更に、従来のフライング式で使用していた大型のスライダーとコネクティングロッド及び別体構造の揺動装置を廃止し、代わりにこれらを一体化して偏心自在に揺動するコンパクトな金型フレーム43を使用したので、スラブ44に当たる移動Massを小さくして、衝撃荷重や振動を減少できる。また、従来のスタート・ストップ式で使用していた大型で重量部品をなすガイド、ピストン、工具支持台及びピンチロール等を使用しないため、スラブ44に当たる移動Massを小さくすると共に、構成部品を少なくでき構造をシンプル化できる。
【0022】
また、主クランク軸42を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱46、47内径と主クランク軸42の外径の間には、夫々軸受53、54が回転自在に嵌着されている。
【0023】
図1と図2に示すように、上下軸箱46、47をスラブ44の板幅方向に位置を設定して調整する位置調整装置48は、ハウジング52内を貫通し上下の軸箱46、47を夫々支持する圧下ネジ60と、ハウジング52内に内蔵し圧下ネジ60と螺合する圧下ナット61と、ウォーム62と、ウォームホイール63と、支持台64に取付けた歯車機構(本図では傘歯車)65と、カップリング66と、電動機67と,同調軸68とから構成されている。従って、スラブ44の幅圧下量に合わせて軸箱46、47を介して主クランク軸42の板幅方向の前進・後退を迅速かつ容易に調整でき、金型45間の位置調整を短時間にできる。なお、上下軸箱46、47の夫々の側面にはライナー55が取付けられ、一方このライナー55と所定の隙間を保持した対面の位置のハウジング52の側面にもライナー56が取付けられて、これらのライナー55、56間で上下軸箱46、47を介して主クランク軸42を摺動自在としている。
【0024】
また、図1において、主クランク軸42を回転自在に駆動する回転駆動装置49は、ハウジング52の上部フレーム70の下面に配置した電動機71と、電動機71の回転力を主クランク軸42に揺動自在に伝える自在継手(ユニバーサル・ジョイント)72とからなる。この構成により、ハウジング52の上部フレーム70に固定された電動機71や図示しない減速機等によって発生される回転力をユニバーサル・ジョイントを使用して、どの位置にあっても揺動自在で確実に主クランク軸42に伝達することができる。
【0025】
また、図1において、主クランク軸42を回転自在に駆動する別の回転駆動装置49は、上軸箱46に直接取付けた駆動用電動機75と、ハウジング52上をスラブ幅方向に上軸箱46を介して主クランク軸42を移動自在な車輪76で行う。前述のハウジング52の上部フレーム70からの回転駆動装置とは異なる方式であるすなわち、上軸箱46に直接回転駆動用の電動機75を取付けても主クランク軸42を回転駆動できる。この結果、ハウジングの形状をコンパクトにできる。また、軸箱に車輪を取付けてハウジング上を軸箱を介して主クランク軸をスラブ幅方向に前進・後退して走行できる。
【0026】
また、図1乃至図3において、対向する金型45間でハウジング52の中央部近傍に取付けた油圧シリンダ77のロッド先端部に、スラブ44の上下面を押さえる押えロール78が配置されている。この構成により、幅圧下の際にスラブ44に発生するバックリングを防止できる。
【0027】
図4は、本発明による幅圧下プレス装置の第2実施形態を示す平面図である。図5は、図4のC−C矢視図である。
上述の第1実施形態では、同一形状で同一寸法の2本の主クランク軸42を使用して幅圧下を行っているのに対して本発明では、形状は略同一だが、寸法の相違する主クランク軸と副クランク軸の2本のクランク軸を使用している。
【0028】
図4と図5に示すように、本発明の幅圧下プレス装置80は、スラブ搬送ラインPを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有する主クランク軸42と、主クランク軸42を介して偏心自在に揺動する金型フレーム81と、金型フレーム81の側面に配置されスラブ44の板幅を幅圧下する入側に傾斜角度θと平行部を有する一対の金型45と、金型フレーム81の横面に配置され金型フレーム81と一体的に揺動する接続フレーム82と、接続フレーム82に内蔵されて主クランク軸42と距離L2を保持して並設かつ中央部近傍に偏心部を有する副クランク軸83と、主クランク軸42を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱46、47と、副クランク軸83を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱84、85と、主クランク軸42の上下軸箱46、47をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置48と、主クランク軸42を回転自在に駆動する回転駆動装置49と、副クランク軸83を回転自在に駆動する回転駆動装置86とを備え、スラブ44を搬送する自走式でスラブ搬送ラインPを構成するテーブルローラ50を囲んで床面51に固定されたハウジング87内に前記の各部品を内蔵しかつ取付けた状態で配置されている。なお、その他の部品構成は第1実施形態と略同一である。
【0029】
上述の第1実施形態では、2本の同一形状で並設する主クランク軸42の軸受52で幅圧下の際に発生する圧下荷重を2本で均等に分担させたのに対して、本発明では圧下荷重は、主クランク軸42に嵌着される軸受で全て負担して偏心荷重の発生を防止している。一方、この主クランク軸42だけでは金型45の位置が不明となるため、主クランク軸42より細く小型の副クランク軸83を使用して位置決めをさせて、スラブ44を搬送させながら幅圧下する金型45の揺動位置を確認している。
【0030】
次に、図1、図2、図6と図7により本発明の幅圧下方法を説明する。なお、図6は、本発明の幅圧下サイクルを示す模式図であり、図7は、本発明の幅圧下方法を示す模式図である。本発明の方法は、スラブ搬送ラインPを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部41を有する主クランク軸42と、主クランク軸42を介して偏心自在に揺動する金型フレーム43と、金型フレーム43の側面に配置される金型45を用いて、以下のステップで行う。
▲1▼まず、板幅W1のスラブ44をテーブルローラ50の上を停止させることなく一定のテーブル送り速度で移動させ、▲2▼次に金型45でスラブ44を噛み込みができる速度までテーブル送り速度を減速させ、▲3▼次に金型45でスラブ44を噛み込み始めたら主クランク軸42によるプレス加工速度に合わせてテーブル送り速度を加速させ主クランク軸42の1/4サイクル未満の部分となる最小速度のプレス開始位置aから最大速度のプレス終了位置b間のプレス範囲で板幅W2に形成する偏心量E分のプレスを行い、▲4▼常にスラブ44を停止させることなく搬送させながら可変速度で幅圧下を行う。
従って、従来のフライング式が常に定速で幅圧下及び金型の揺動を行っているので装置が大型になるのに対して、本発明では幅圧下及び金型の揺動を可変速度で行こな得るので、構造を簡単にできる。一方、スタート・ストップ式が、スラブを停止、幅圧下、搬送、停止、幅圧下、搬送を繰り換えすのに対して、本発明では可変速度ではあるが停止作業を発生することはなく常に走間で行うので、プレス時間を含んで全ての作業効率を良好にできる。また、主クランク軸の1/4サイクル未満の部分でプレスを行うので、揺動方向に発生する荷重を小さくし、振動を減少できる。
【0031】
図8は、本発明による幅圧下プレス装置の第3実施形態を示す模式図である。この図において、(A)は2本の主クランク軸42が、材料流れ方向に直角に並んで設置され、(B)は2本の主クランク軸42が、斜め方向に並んで設置されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。この構成によっても、第1,第2実施形態と同様に機能することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0032】
【発明の効果】
上述したように本発明の幅圧下プレス方法及び装置によれば、スラブを停止させることなく常に可変速度で搬送させながら可変速度で幅圧下する走間プレスが可能であり、構成部品を少なくして構造をシンプル化でき、スラブに当たる移動Massを小さくして、衝撃荷重や振動を小さくすると共に揺動方向の荷重や振動を小さくできる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による幅圧下プレス装置の第1実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】本発明による幅圧下プレス装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図5】図4のC−C矢視図である。
【図6】本発明の幅圧下サイクルを示す模式図である。
【図7】本発明の幅圧下方法を示す模式図である。
【図8】本発明による幅圧下プレス装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図9】従来のスタート・ストップ式幅圧下プレスを示す模式図である。
【図10】従来のフライング式幅圧下プレスを示す模式図である。
【符号の説明】
1、16、40、80 幅圧下プレス装置
2、44 スラブ
3、52、87 ハウジング
4 ケーシング
5、62 ウォーム
6、63 ウォームホイール
7 スクリュー
8 シリンダ
9 ガイド
10 ピストン
11 工具支持台
12 プレス工具
13、14 ピンチロール
17、45 金型
18 ローラ
19 スライダー
20 スィーベル
21 スクリュー
22 ナット
23 ナットケース
24 コネクティングロッド
25 球面座
26 クランク軸
27、53、54、58 軸受
28 モータ
29 ベベルギア
30、31 ギア
41 偏心部
42 主クランク軸
43、81 金型フレーム
46、47 上下軸箱
48 位置調整装置
49、86 回転駆動装置
50 テーブルローラ
51 床面
55、56 ライナー
57 貫通孔
60 圧下ネジ
61 圧下ナット
64 支持台
65 歯車機構(傘歯車)
66 カップリング
67、71 電動機
68 同調軸
70 上部フレーム
72 自在継手(ユニバーサル・ジョイント)
75 駆動用電動機
76 車輪
77 油圧シリンダ
78 押えロール
82 接続フレーム
83 副クランク軸
84、85 上下軸箱
P スラブ搬送ライン
E 偏心量
θ 傾斜角度
W1、W2 板幅
a プレス開始位置
b プレス終了位置
L1、L2 距離

Claims (8)

  1. スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有する主クランク軸と、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、を備え、金型フレームの側面に配置される金型でスラブ板幅を幅圧下する幅圧下プレスを用いた幅圧下プレス方法であって、
    スラブを一定のテーブル送り速度で移動させ、次に金型でスラブを噛み込みができる速度までテーブル送り速度を減速させ、次に金型でスラブを噛み込み始めたら主クランク軸によるプレス加工速度に合わせてテーブル送り速度を加速させ主クランク軸の1/4サイクル未満の部分で偏心量分のプレスを行い、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス方法。
  2. スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有して片側2本かつ並設する主クランク軸と、2本の主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、金型フレームの側面に配置される金型と、主クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、上下軸箱をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置と、主クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、を備え、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス装置。
  3. 前記位置調整装置は、ハウジング内を貫通し上下の軸箱を支持する圧下ネジと、圧下ナットと、ウォームと、ウォームホイールと、歯車機構と、電動機とからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の幅圧下プレス装置。
  4. 前記回転駆動装置は、ハウジングに配置した電動機と、電動機の回転力を主クランク軸に揺動自在に伝える自在継手とからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の幅圧下プレス装置。
  5. 前記回転駆動装置は、軸箱に取付けた駆動用電動機と、ハウジング上をスラブ幅方向に軸箱を移動自在な車輪とからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の幅圧下プレス装置。
  6. 対向する金型間でスラブの上下面を押さえる押えロールを配置する、ことを特徴とする請求項2に記載の幅圧下プレス装置。
  7. スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有する主クランク軸と、主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、金型フレームの側面に配置される金型と、金型フレームの横面に配置され金型フレームと一体的に揺動する接続フレームと、接続フレームに内蔵されて主クランク軸と並設かつ中央部近傍に偏心部を有する副クランク軸と、主クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、副クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、主クランク軸の上下軸箱をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置と、主クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、副クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、を備え、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス装置。
  8. スラブ搬送ラインを挟んで対向配置され中央部近傍に偏心部を有して片側2本かつ材料流れ方向に直角又は斜め方向に並んで設置する主クランク軸と、2本の主クランク軸を介して偏心自在に揺動する金型フレームと、金型フレームの側面に配置される金型と、主クランク軸を上下とスラブ幅直角方向に支持しかつスラブ幅方向に移動自在な上下軸箱と、上下軸箱をスラブ幅方向に位置調整する位置調整装置と、主クランク軸を回転自在に駆動する回転駆動装置と、を備え、常にスラブを搬送させながら幅圧下する幅圧下プレス装置。
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