JPH0318028Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、生産能率の向上を可能ならしめた対
向型走間プレス装置に関するものである。

［従来の技術］ 鋼片を成形する鋼片成形装置の一つとして対向
型プレスが知られている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上述の対向型プレスでは、鋼片
を部分的に圧下する金型が近接、離反を単に繰返
すようになつているだけであり、圧下後の鋼片は
別途に設けた送り装置によつて送り、停止を繰返
しているため、送り装置に大きな加減速が加わり
機械寿命が短縮されると共に作業能率が悪いとい
う問題があつた。

本考案は上述の実情に鑑み、機械寿命を長期に
すると共に生産能率を著しく向上させた対向型走
間プレス装置を提供することを目的としてなした
ものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、鋼片の幅方向両側部に、縦向きの第
一軸を回転自在に配設し、該第一軸の第一偏心部
に、鋼片幅方向へ向けて水平配置したコネクテイ
ングロツドを嵌合し、該コネクテイングロツドの
先端に、鋼片の幅方向側部に対向するよう金型が
取付けられたスライドを連結し、前記鋼片の幅方
向両側部に、鋼片の長手方向へ往復移動し得るよ
う走行ガイドブロツクを配設し、該走行ガイドブ
ロツクに、前記スライドを鋼片の幅方向側部に対
し近接、離反し得るよう装着し、前記第一軸の第
二偏心部或いは前記第一軸とは異なる回転可能な
第二軸の偏心部に走行ガイドブロツク押引部材を
連結し、該走行ガイドブロツク押引部材を前記第
一軸或いは第二軸とは異なる回転可能な第三軸の
偏心部を介して前記走行ガイドブロツクに、該走
行ガイドブロツクが鋼片長手方向へ往復移動し得
るよう連結したものである。

［作用］ 第一軸が回転すると、スライドは、コネクテイ
ングロツドを介して鋼片幅方向へ進退動すると共
に第一軸及び第三軸、或いは第二軸及び第三軸の
回転により、走行ガイドブロツクを介して鋼片長
手方向へ往復移動するため、金型は平面的に見て
楕円軌跡を描きつつ鋼片の幅圧下が行われる。こ
の際金型は往動時に鋼片と同期して移動する。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面を参照しつつ
説明する。

第１図〜第４図は本考案の一実施例である。

鋼片１の幅方向両側部に鋼片１を挾むようにし
てハウジング２を立設し、ハウジング２の鋼片１
長手方向前後部に、左右のハウジング２を接続す
るよう鋼片１の幅方向へ延びるハウジング３を配
設し、ハウジング２，３をタイボルト４及びナツ
ト５により締結して一体構造とする。

ハウジング２の上下部に軸受６を嵌合し、該軸
受６に縦向きのクランク軸（第一軸）７を回転自
在に支持せしめ、該クランク軸７の上端にギア８
を固着し、ハウジング２の両側所要位置に配設し
た電動機９の出力軸を、ベベルギア１０，１１及
びピニオン１２を備えた減速機１３の入力軸に接
続し、ピニオン１２を前記ギア８に噛合し、左右
の減速機１３を２本のクランク軸７が同期して回
転するようエコライザ軸（第二軸）１４により連
結する。

クランク軸７の偏心部（第一偏心部）７ａに、
鋼片１側へ延びるコネクテイングロツド１５を嵌
合せしめ、該コネクテイングロツド１５の中空部
に、ウオーム１７によつて回転駆動し得るように
したウオームホイール１６を嵌合すると共にナツ
ト１８を嵌合、固定せしめ、ウオームホイール１
６の回転によりウオームホイール１６と一緒に回
転し得るようにしたスクリユー軸１９をウオーム
ホイール１６中空部に嵌入し、スクリユー軸１９
の雄ねじ部をナツト１８の雌ねじ部に螺着し、ス
クリユー軸１９はウオームホイール１６により回
転させられることにより軸線方向へ進退動して鋼
片１に対して近接、離反し得るようにする。

前記ハウジング３のウインド部３ａに、鋼片１
の長手方向へ延びる案内部材２０を固着し、該案
内部材２０に鋼片１の長手方向へ往復移動し得る
ようにした走行ガイドブロツク２１を嵌合せし
め、走行ガイドブロツク２１に、案内部材２０の
側面に当接し走行ガイドブロツク２１の移動によ
り転動し得るようにした竪型の案内ローラ２２を
取付け、走行ガイドブロツク２１の前面若しくは
後面側部に走行ガイドブロツク２１の走行機構の
ためのブラケツト２３を固着する。

前記クランク軸７の偏心部（第二偏心部）７ｂ
にコネクテイングロツド２４を嵌合せしめ、該コ
ネクテイングロツド２４の先端に水平に延びるレ
バー３９の一端を連結せしめ、レバー３９の中途
部をハウジング３の前面若しくは後面側部に固着
したブラケツト４０に回動自在に支持せしめ、レ
バー３９の他端をリンク４１に連結し、該リンク
４１を前記ブラケツト２３に連結する。而して、
コネクテイングロツド２４及びレバー３９並にリ
ンク４１により走行ガイドブロツク押引部材を形
成する。

走行ガイドブロツク２１に鋼片１の長手方向に
対して直交する方向へ貫通する中空部を設け、該
中空部に鋼片１長手方向に対して直交する方向へ
摺動し得るようにしたスライド２５を嵌合せし
め、該スライド２５に鋼片１を圧下成形するため
の金型２６を着脱可能に装着し、スライド２５に
前記スクリユー軸１９側へ向つて開口した中空部
を設け、該中空部に圧下成形時の衝撃を受けるた
めの保護板２７及び座２８を嵌合せしめ、前記ス
クリユー軸１９の先端に一体的に固着した球状或
いはかまぼこ状の圧力受け２９を前記座２８に回
動自在に嵌合せしめる。

ハウジング３の上下部にフレーム３０，３１を
装着し、該フレーム３０，３１の上下面に縦型の
押えロール用シリンダ３２，３３を配設し、該押
えロール用シリンダ３２，３３のピストンロツド
３２ａ，３３ａ先端にブラケツト３４，３５を取
付け、該ブラケツト３４，３５に、鋼片１を上下
から押えるための水平な上下押えロール３６，３
７を回転自在に支持せしめる。

なお、図中３８は圧力受け２９が座２８から抜
けないよう押えるストツパである。

上記構成であるから、圧下成形時にはウオーム
１７を駆動してウオームホイール１６を回転させ
る。そうすると、ウオームホイール１６によつて
スクリユー軸１９が回転させられ、スクリユー軸
１９はナツト１８に螺着されているため、スクリ
ユー軸１９は回転しつつ鋼片１の長手方向に対し
て直角方向へ進退動し、このため、スライド２５
が走行ガイドブロツク２１に対して摺動し、左右
の金型２６，２６間の間隙が鋼片１の幅寸法に対
応した所定の間隙に調整される。又押えロール用
シリンダ３２，３３が作動されて上押えロール３
６が下降し、下押えロール３７が上昇して上下押
えロール３６，３７の間隙が調整される。

金型２６，２６間の間隙が調整され、鋼片１が
上下押えロール３６，３７によつて押えられた
ら、電動機９を駆動すると共に図示してない送り
装置を駆動して鋼片１を移動させる。そうする
と、減速機１３のピニオン１２を介してギア８が
回転し、ギア８の回転によりクランク軸７が第２
図及び第３図に示すＯ点を中心として回転し、ク
ランク軸７の回転により偏心部７ａに嵌合された
コネクテイングロツド１５が鋼片１に対して近
接、離反する往復運動を行ない、又同時にクラン
ク軸７の回転により偏心部７ｂに嵌合されたコネ
クテイングロツド２４が鋼片１の長手方向に対し
て往復運動を行ない、レバー３９がブラケツト４
０の支持点を中心として水平面内を鋼片１の長手
方向に対して往復運動を行ない、このためリンク
４１を介して走行ガイドブロツク２１が鋼片１の
長手方向へ往復移動する。従つて、金型２６は平
面的に見ると第４図に示すような楕円軌跡ａを描
きつつ回動し、鋼片１は連続的に移動しつつ、圧
下成形される。

第５図は本考案に使用する走行ガイドブロツク
の走行機構の他の例であり、左右２本のクランク
軸７が同期して回転するよう左右の減速機１３を
連結したエコライザ軸１４（第１図参照）の中途
部に偏心部１４ａを設け、該偏心部１４ａにコネ
クテイングロツド４２を連結し、ハウジング３の
前面若しくは後面に固着したブラケツト４３に上
下方向へ延びるレバー４４の中途部を回動自在に
支持せしめ、前記走行ガイドブロツク２１の前面
若しくは後面に固着したブラケツト４５にリンク
４６を連結し、前記レバー４４の上端を前記コネ
クテイングロツド４２に、又前記レバー４４の下
端を前記リンク４６の先端に連結する。而して、
コネクテイングロツド４２及びレバー４４並にリ
ンク４６により走行ガイドブロツク押引部材を形
成する。

電動機９が駆動されると前述と同様にしてコネ
クテイングロツド１５が鋼片１に対して近接、離
反する方向へ往復運動を行ない、又同時にエコラ
イザ軸１４が回転することによりエコライザ軸１
４の偏心部１４ａに嵌合されているコネクテイン
グロツド４２が鋼片１の長手方向へ往復運動を行
ない、レバー４４がブラケツト４３の支持点を中
心として垂直面内を鋼片１の長手方向に対して往
復運動を行ない、このためリンク４６を介して走
行ガイドブロツク２１が鋼片１の長手方向へ往復
運動する。従つて、この場合も金型２６は平面的
に見て第４図に示すような楕円軌跡ａを描きつつ
回動し、鋼片１は連続的に移動して圧下成形され
る。

金型の送り速度は金型２６が圧下成形時に鋼片
１を挾持するから鋼片１の移動速度と同期させる
必要がある。そこで第３図、第５図の例ではレバ
ー３９或いは４４のブラケツト４０或いは４３支
持部のピンを偏心させ駆動することにより同期さ
せるようにする必要がある。この場合には、第３
図及び第５図並に第６図に示すように、レバー３
９或いは４４支持部のピン（第三軸）４７に偏心
部４７ａを設け、ピン４７の一端にピン（第三
軸）駆動用の電動機４８を連結する。

この場合、第１図等に示すクランク軸７を前述
のように駆動すると共にピン４７を電動機４８に
よつて例えばクランク軸７の回転角速度の約ｎ倍
の回転角速度で駆動する。そうすると、走行ガイ
ドブロツク２１はクランク軸７の偏心により第７
図イに示すような速度で鋼片１の長手方向へ往復
移動すると共にピン４７の偏心により第７図ロに
示すような速度で鋼片１の長手方向へ往復移動
し、クランク軸７の偏心部７ｂの偏心及びピン４
７の偏心によつて全体としては第７図ハに示すよ
うに近似等速往復移動を行う。従つて近似等速往
復移動を加圧成形時に行わさせ、鋼片１の送り装
置と走行ガイドブロツク２１の同期を容易に行わ
させることができる。

第７図イ〜ハの例では、ピン４７の回転角速度
は、クランク軸７の回転角速度の３倍（ｎ＝３）
であり、近似等速往復移動を行う場合の振幅ｙ
と、近似等速往復移動を行わない振幅Ｙは次のよ
うになる。

ｙ＝１−Cos30゜＝0.133975 Ｙ＝Sinθ＋0.133975Sin3θ ただし、θはクランク軸７或いはピン４７の回
転角度である。

又、近似等速往復運動を行う範囲Ａは、上述の
例の場合、クランク軸７の1/2回転につき60度に
なる。

上述のように鋼片１を移動させつつ圧下成形す
れば、生産能率は飛躍的に向上すると共に急激な
鋼片の送り、停止の繰返しがないため機械に無理
が生じずその寿命が延び、しかも、安定したプレ
スが可能となる。

第８図は本考案に使用する走行ガイドブロツク
の走行機構の更に他の例で、揺動偏心軸（第二
軸）４９を走行ガイドブロツク２１の前面若しく
は後面側部に設け、コネクテイングロツド（走行
ガイドブロツク押引部材）５０により、走行ガイ
ドブロツク２１に枢支させた偏心ピン（第三軸）
５１と前記揺動偏心軸４９とを連結し、揺動偏心
軸４９と偏心ピン５１を電動機５４で駆動される
減速機５５の出力軸に連結したスピンドル５２，
５３により駆動するようにしたものである。斯か
る構成とすると、鋼片１の送り速度と走行ガイド
ブロツク２１の移動速度を容易に同期させること
ができる。

第９図は本考案に使用する走行ガイドブロツク
の走行機構の更に又他の例で、揺動偏心軸（第二
軸）４９にコネクテイングロツド（走行ガイドブ
ロツク押引部材）５０連結部の偏心部と位相が
180度ずれた偏心部を設け、該偏心部にラツクバ
ー５６の一端を枢支せしめ、走行ガイドブロツク
２１に枢支させた偏心ピン５１にピニオン５７を
固着し、該ピニオン５７を前記ラツクバー５６に
設けたラツクに噛合させている。このように、ラ
ツクバー５６とピニオン５７の組合わせにより、
揺動偏心軸４９によつて偏心ピン５１を駆動する
こともできる。

なお、本考案は上述の実施例に限定されるもの
ではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内で
種々変更を加え得ること、等は勿論である。

［考案の効果］ 本考案の対向型走間プレス装置によれば、鋼片
と金型を同期させて移動させつつ圧下成形ができ
るため、生産能率が著しく向上し、又送り装置の
頻繁な起動、停止が不要となるため機械寿命も延
びる、等種々の優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の対向型走間プレス装置の一実
施例の説明用正面図、第２図は第１図の一部破断
の平面図、第３図は本考案の対向型走間プレス装
置に使用する走行ガイドブロツクの走行機構の一
例の説明図、第４図は本考案の対向型走間プレス
装置により圧下成形する場合の金型の移動軌跡の
説明図、第５図は本考案の対向型走間プレス装置
に使用する走行ガイドブロツクの走行機構の他の
例の説明図、第６図は第３図及び第５図の方向
矢視図、第７図イ，ロ，ハは第３図、第５図、第
６図の走行機構により走行ガイドブロツクが往復
移動する場合の速度を示すグラフ、第８図は本考
案の対向型走間プレス装置に使用する走行ガイド
ブロツクの走行機構の更に他の例の説明図、第９
図は本考案の対向型走間プレス装置に使用する走
行ガイドブロツクの走行機構の更に又他の例の説
明図である。 図中１は鋼片、７はクランク軸（第一軸）、７
ａは偏心部（第一偏心部）、７ｂは偏心部（第二
偏心部）、１４はエコライザ軸（第二軸）、１５は
コネクテイングロツド、２１は走行ガイドブロツ
ク、２４はコネクテイングロツド、２５はスライ
ド、２６は金型、３９はレバー、４１はリンク、
４２はコネクテイングロツド、４４はレバー、４
６はリンク、４７はピン（第三軸）、４７ａは偏
心部、４９は揺動偏心軸（第二軸）、５０はコネ
クテイングロツド（走行ガイドブロツク押引部
材）、５１は偏心ピン（第三軸）を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼片の幅方向両側部に、縦向きの第一軸を回転
   自在に配設し、該第一軸の第一偏心部に、鋼片幅
   方向へ向けて水平配置したコネクテイングロツド
   を嵌合し、該コネクテイングロツドの先端に、鋼
   片の幅方向側部に対向するよう金型が取付けられ
   たスライドを連結し、前記鋼片の幅方向両側部
   に、鋼片の長手方向へ往復移動し得るよう走行ガ
   イドブロツクを配設し、該走行ガイドブロツク
   に、前記スライドを鋼片の幅方向側部に対し近
   接、離反し得るよう装着し、前記第一軸の第二偏
   心部或いは前記第一軸とは異なる回転可能な第二
   軸の偏心部に走行ガイドブロツク押引部材を連結
   し、該走行ガイドブロツク押引部材を前記第一軸
   或いは第二軸とは異なる回転可能な第三軸の偏心
   部を介して前記走行ガイドブロツクに、該走行ガ
   イドブロツクが鋼片長手方向へ往復移動し得るよ
   う連結したことを特徴とする対向型走間プレス装
   置。