JP4123557B2 - 熱間スラブプレス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1パスで高圧下が可能な熱間スラブプレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2本のワークロール間で圧延材を圧延する通常の圧延機では、噛込角の限界から、通常25%前後の圧下率が限度である。そのため、高圧下(例えば約250mm厚から30〜60mm厚までの圧下)を単一の通板(1パス)で圧延することはできず、3〜4基の圧延機をタンデムに配置したタンデム圧延や、圧延材を往復動させて圧延するリバース圧延が行われるが、圧延ラインが長くなる等の問題がある。
【0003】
一方、1パスで高圧下が可能な圧延手段として、プラネタリミル、ゼンジマーミル、クラスターミル等が提案されている。しかし、これらの圧延手段では、小径ロールが高速で被圧延材に当たるため、衝撃が大きく、ベアリング等の寿命が短く、量産型設備には適さない等の問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
更に、従来の幅圧下プレスを厚圧下に適用したプレス装置が提案されている(例えば、特公平2−014139号、特開昭61−222651号、特開平2−175011号、等)。
例えば、特開平2−175011号の「走間サイジングプレス装置」は、図6に示すように、被成形材料搬送ラインZの上方と下方、あるいは左方と右方に回転軸2を配設し、この回転軸2の偏心部に所要の形状のロッド3のボス部を嵌合するとともに、ロッド3の先端部に被成形材料搬送ラインと対峙するように配設した金型4を連結したものであり、回転軸2を回動させ、回転軸の偏心部に嵌合したロッド3を介して金型4を被成形材料1の上下両面に圧下させて被成形材料の厚さを減ずるようになっている。
【0005】
しかし、この高圧下手段では、▲1▼圧延材を搬送しながら圧下する走間プレスが困難であり、▲2▼装置が複雑で構成部品が多い、▲3▼プレス荷重を受けて摺動する部位が多い、▲4▼高荷重,高サイクルには不向きである、等の問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、▲1▼圧延材を搬送しながら圧下する走間プレスが可能であり、▲2▼構成部品が少なく、構造がシンプルであり、▲3▼プレス荷重を受けて摺動する部位が少なく、▲4▼高荷重及び高サイクルでの稼働ができる熱間スラブプレス装置を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明によれば、被圧延材の上下に対向して配置され回転駆動される上下の駆動偏心軸と、該駆動偏心軸の偏心部が嵌合する穴を有する上下の同調偏心軸と、該同調偏心軸に一端部が摺動自在に嵌合し他端部が互いに回動自在に連結された上下の圧下フレームと、上下の圧下フレームの一端部に被圧延材に対向して取り付けられた上下の金型と、前記同調偏心軸を回転駆動する第1の駆動装置と、前記駆動偏心軸を回転駆動する第2の駆動装置と、を備え、
前記同調偏心軸の中心は前記偏心部の中心から偏心しており、
前記同調偏心軸は、前記第1の駆動装置により回転駆動されると、前記偏心部のまわりを回転し、
上下の駆動偏心軸の回転により上下の金型を開閉させ、金型による圧下時に上下の同調偏心軸及び上下の駆動偏心軸をそれぞれ第1及び第2の駆動装置で回転駆動することで、圧下フレームのライン方向速度と被圧延材のライン方向速度を同調させて被圧延材を圧下する、ことを特徴とする熱間スラブプレス装置が提供される。
【0008】
上記本発明の構成によれば、駆動軸を回転すると、上下の偏心軸が固定軸のまわりを回転し、この偏心軸の回転により、上下の金型はそれぞれ円運動をしながら開閉する。また、金型による圧下時に同調偏心軸により圧下フレームのライン方向速度と被圧延材を同調させて、上下の金型により被圧延材を圧下しながらライン方向に移動することができる。この圧下量は、偏心軸の偏心量で決まり、噛込角等に制限されずに高圧下が可能である。
【0009】
また、プレス荷重を受けるのは固定軸のまわりを回転する偏心軸(二重偏心軸)のみであり、連結部には圧下フレームに作用するモーメントを打ち消すだけの相対的に小さい荷重のみが作用し、かつ上下の圧下フレームに作用するモーメントが互いに打ち消し合うので、更に小さい荷重しか作用しない。従って、構成部品が少なく、構造がシンプルででき、プレス荷重を受けて摺動する部位が少なく、高荷重及び高サイクルで稼働することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明による熱間スラブプレス装置を備えた圧延設備の構成図である。この図において、本発明の熱間スラブプレス装置10の下流側には、ルーパー装置6が設けられ、更にその下流側に仕上圧延機5が設置される。ルーパー装置6は、被圧延材を弛ませて保持し、熱間スラブプレス装置10と仕上圧延機5のライン速度差により生じるたるみ分を滞留させるようになっている。
【0011】
図2は、図1の熱間スラブプレス装置の正面図であり、図3は、図2のA−A線における断面図である。図2及び図3に示すように、本発明の熱間スラブプレス装置10は、被圧延材1の上下に対向して配置され駆動装置20bにより回転駆動される上下の駆動偏心軸15と、駆動偏心軸15のまわりを回転する上下の同調偏心軸13と、同調偏心軸13に一端部14aが摺動自在に嵌合し他端部14bが互いに回動自在に連結された上下の圧下フレーム14と、上下の圧下フレーム14の一端部に被圧延材に対向して取り付けられた上下の金型18と、を備える。なお、この図で11は、本体フレームである。
【0012】
また、図3に示すように、上下の駆動偏心軸15の回転により上下の金型18を開閉させ、金型18による圧下時に同調偏心軸13により圧下フレーム14のライン方向速度と被圧延材のライン方向速度を同調させて被圧延材を圧下するようになっている。
【0013】
更に同調偏心軸13の外周面には歯車が設けられ、駆動装置20aにより回転駆動される駆動軸12に取り付けられた小歯車12aにより回転駆動されるよになっている。なお、図3に示すように、駆動装置20a,20bと各軸とは、ユニバーサルジョイント等で連結してもよく、或いは図示しない差動装置により駆動してもよい。
【0014】
また、この実施形態において、金型18と圧下フレーム14の間には、高さ調整板24が挟持され、この高さ調整板24の厚さを変えることにより金型18の高さを調整するようになっている。
【0015】
図4は、金型の軌跡を模式的に示す図であり、(A)は、金型18と圧下フレーム14の全体の軌跡、(B)は金型18のみの軌跡を示している。また、図5は同調偏心軸の回転角度θに対する金型18の上下変位を示している。図4及び図5に示すように、駆動軸12を回転すると、上下の同調偏心軸13が駆動偏心軸15のまわりを回転し、この同調偏心軸15の外周面はその偏心量eの2倍の直径を有する円運動を行い、これに追従して上下の圧下フレーム14は、左端部14bがライン方向に前後しながら、右端部14a(図2で)が上下動する。従って、図4(B)に示すように、上下の金型18は、同調偏心軸12aの偏心量eの2倍の直径を有する円運動を行いながら開閉する。
【0016】
また、図5に示すように、駆動偏心軸15の偏心量Eと同調偏心軸13の偏心量eを合成した速度分布において、速度パターンを変えることで疑似等速範囲を変えることができる。また、この圧下量は、同調偏心軸13の偏心量eで決まり、噛込角等に制限されずに高圧下が可能である。更に、被圧延材1を圧下しながら同調駆動装置16により搬送するので、走間プレスが自由にできる。
【0017】
更に、プレス荷重を受けるのは駆動偏心軸15のまわりを回転する同調偏心軸13(二重同調偏心軸)のみであり、連結部14c及び同調駆動装置16には圧下フレーム14に作用するモーメントを打ち消すだけの相対的に小さい荷重のみが作用し、かつ上下の圧下フレーム14に作用するモーメントが互いに打ち消し合うので、更に小さい荷重しか作用しない。従って、構成部品が少なく、構造がシンプルででき、プレス荷重を受けて摺動する部位が少なく、高荷重及び高サイクルで稼働することができる。
【0018】
なお、図4(B)に示すように、金型18は、圧下時(図の二点鎖線)に平行部18aが互いに平行になるように、開放時(図の実線)では、圧下フレーム14に対して僅かに傾斜して取り付けられている。この場合、1サイクルで圧下する領域は、図に斜線で示す部分となる。
【0019】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0020】
【発明の効果】
上述したように、本発明の熱間スラブプレス装置は、▲1▼圧延材を搬送しながら圧下する走間プレスが可能であり、▲2▼構成部品が少なく、構造がシンプルであり、▲3▼プレス荷重を受けて摺動する部位が少なく、▲4▼高荷重及び高サイクルでの稼働ができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱間スラブプレス装置を備えた圧延設備の構成図である。
【図2】図1の熱間スラブプレス装置の正面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】金型の軌跡を模式的に示す図である。
【図5】同調偏心軸の回転角度θに対する金型18の上下変位図である。
【図6】従来の高圧下手段の構成図である。
【符号の説明】
1 被成形材料(被圧延材、スラブ)
2 回転軸
3 ロッド
4 金型
5 仕上圧延機
6 ルーパー装置
10 熱間スラブプレス装置
11 本体フレーム
12 駆動軸
調偏心軸
14 圧下フレーム
15 駆動偏心軸
16 同調駆動装置
18 金型
20 駆動装置

Claims (1)

  1. 被圧延材の上下に対向して配置され回転駆動される上下の駆動偏心軸と、該駆動偏心軸の偏心部が嵌合する穴を有する上下の同調偏心軸と、該同調偏心軸に一端部が摺動自在に嵌合し他端部が互いに回動自在に連結された上下の圧下フレームと、上下の圧下フレームの一端部に被圧延材に対向して取り付けられた上下の金型と、前記同調偏心軸を回転駆動する第1の駆動装置と、前記駆動偏心軸を回転駆動する第2の駆動装置と、を備え、
    前記同調偏心軸の中心は前記偏心部の中心から偏心しており、
    前記同調偏心軸は、前記第1の駆動装置により回転駆動されると、前記偏心部のまわりを回転し、
    上下の駆動偏心軸の回転により上下の金型を開閉させ、金型による圧下時に上下の同調偏心軸及び上下の駆動偏心軸をそれぞれ第1及び第2の駆動装置で回転駆動することで、圧下フレームのライン方向速度と被圧延材のライン方向速度を同調させて被圧延材を圧下する、ことを特徴とする熱間スラブプレス装置。
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