JP4165724B2 - 板厚圧下プレス装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラブを搬送しながら板厚を圧下する板厚圧下プレス装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スラブの圧延には粗ミルが用いられている。圧延されるスラブは5m〜12mの短尺スラブで、所定の厚みにするため、粗ミルを複数台設けたり、スラブを前進、後進させて圧延をするリバース圧延を行っている。また図5に例示する圧下プレスを用いられることも考えられている。この図はクランクとコンロッドを用いた例であり、スラブ1を挟んで上下に設けられた金型2にはコンロッド3を介してクランク4が接続され、金型2を上下に揺動して圧下する。スラブ1はピンチロール6と搬送テーブル7により搬送される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
連続鋳造設備による長尺スラブが用いられるようになり、後続する圧延装置に連続的にスラブを搬送することが要望されている。粗ミルで粗圧延する場合、かみ込角限界(約17°)があり、1回の圧延での減厚代Δtは50mm程度である。スラブは連続しているため、リバース圧延はできず、所望の厚みにするためには粗ミルを複数台直列に設けるか、1台の場合は作業ロール径を大幅に大きくする必要がある。このような大径の粗ミルを製作することは設計及びコスト上困難であり、大径となると低速圧延となりロールの冷却が困難なためロール寿命が短くなる。またクランクとコンロッドを用いた圧下プレスは、圧下時もスラブを搬送するためにピンチロールで引き出すようにして搬送するためピンチロールに大きな負担がかかり、装置全体が大きくなり、振動やコスト面で問題が多い。
【0004】
この問題点を解決するために、本願発明の発明者等は、先に「厚み圧下プレス」を創案し出願した(特願平10−42328号、未公開)。この装置は、図6に示すように、スラブ1を挟んで上下に設けられた金型2と、各金型ごとに設けられ金型を上下および前後に揺動させるスライダー8と、このスライダーを駆動する駆動装置とを備え、前記スライダーは、スラブ幅方向に中心軸を有する円孔が設けられた本体8aと、この円孔に嵌合する第1軸9aとこの第1軸より小径の第2軸9bで第1軸と中心軸をずらして構成されたクランク9とを有し、この第2軸が前記駆動装置で回転駆動されるものである。
この構成により、第2軸が回転すると第1軸は第2軸の軸心を中心にクランク動作を行い、嵌合した円孔により本体8aに上下、前後動を与える。これによりスライダー8は金型を圧下し、かつ圧下中は金型に前進運動を与えることができるので、スラブ1は圧下されつつ前進(スラブ流れ方向)作用を受けるので連続的な圧下動作が可能になる。また、この発明はスラブ1の上下両方から金型2で圧下するので、大きな圧下量を与えることができる。
【0005】
しかし、上述した特願平10−42328号の厚み圧下プレスでは、クランク0をライン方向に間隔を隔てて配置するため、必要な金型寸法に比べてライン方向の必要長さが長くなり、必要スペースが大きい問題点があった。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、ライン方向の必要長さを短縮することができ、かつスラブを搬送しながら高い圧下率で板厚を圧下することができる板厚圧下プレス装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、スラブ(1)を挟んで上下に対峙して設けられた1対の金型(2)と、各金型ごとに設けられ金型をスラブに向かって前後させる揺動装置(10)とを備え、該揺動装置は、スラブ送り方向に斜め又は垂直に位置しかつ互いに間隔Lを隔てた1対の円孔(12a)を有するスライダー(12)と、前記円孔内で回転する偏心軸(14)とを有し、該偏心軸は円孔の中心軸Aを中心に円孔内で回転する第1軸(14a)と、該第1軸と偏心量eを隔てた中心軸Bを中心に回転駆動される第2軸(14b)とからなる、ことを特徴とする板厚圧下プレス装置が提供される。
この構成によれば、スライダー(12)の1対の円孔(12a)内で回転する2つの偏心軸(14)が、スラブ送り方向に斜め又は垂直に位置するので、ライン方向に平行に設置した場合に比較してライン方向の必要長さを短縮することができる。特に、斜めに配置した場合には、2つの偏心軸に作用する圧下力を均等にすることができ、ライン方向長さの短縮と、各偏心軸での均等負荷とを同時に達成することができる。また、スラブ送り方向に垂直に配置した場合には、内側の偏心軸での負荷を大きく設定することができ、外側の偏心軸を小型化することができる。
【0008】
また、本発明によれば、上記の板厚圧下プレス装置を用いた板厚圧下プレス方法であって、スラブを金型で圧下するプレス時にスラブを金型による送り速度に同期させ、スラブが金型から離れる非プレス時に所定のサイクル速度を得られる一定速度でスラブを送り、ことを特徴とする板厚圧下プレス方法が提供される。この方法により、前後のスラブ搬送速度に合わせた搬送ができ、ライン全体を連続的に操業することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態の構成を示す図である。この図に示すように、本発明の板厚圧下プレス装置は、スラブ1を挟んで上下に対峙して設けられた1対の金型2と、各金型2ごとに設けられ金型2をスラブ1に向かって前後させる揺動装置10とを備える。
【0010】
図1に示すように、揺動装置10は、スラブ送り方向に斜めに位置しかつ互いに間隔Lを隔てた1対の円孔12aを有するスライダー12と、円孔12aの内側で回転する偏心軸14とを有する。
偏心軸14は、円孔12aの中心軸Aを中心に円孔内で回転する第1軸14aと、この第1軸14aと偏心量eを隔てた中心軸Bを中心に回転駆動される第2軸14bとからなる。第2軸14bは、図示しない軸受で回転支持され、図示しない回転駆動装置で回転駆動されるようになっている。
【0011】
金型2の内部には冷却水を供給し冷却する。なお外部からも冷却水をかけるようにしてもよい。金型2はスライダー12に金型受け11を介して着脱可能に取付けられる。金型2の下流側にはピンチロール16が設けられスラブ1の搬送速度を制御している。ピンチロール16の入側または出側にはテーブルローラ7が設けられ、圧延材を搬送する。なお、図1において、Aは第1軸軸心、Bは第2軸軸心を表す。
【0012】
図2は、本発明の第2実施形態の構成を示す図である。この図において、スライダー12の1対の円孔12aが、スラブ送り方向に対して垂直に位置し、従って、1対の偏心軸14もスラブ送り方向に対して垂直に位置している。その他の構成は、図1と同様である。
【0013】
次に動作について説明する。図3はスライダー12の1サイクルの動作を示し、図4はその1サイクル中のスラブ速度を示す。図3において、1サイクルはt1〜t2〜t3〜t4〜t1と移動し、t2を挟んでta〜tbの期間で圧下が行われる。図4において、スラブ1の搬送速度はピンチロール16により制御される。この速度は、スラブ1を金型2で圧下するプレス時(圧下期間)にスラブ1を金型2による送り速度に同期させ、スラブ1が金型2から離れる非プレス時には、所定のサイクル速度を得られるように一定速度でスラブを送るように制御される。すなわち、圧下中はスライダー12の前進速度に合わせてスラブ1を搬送し、それ以外では通常搬送速度とする。通常搬送速度としては、1サイクルのスラブ移動距離が金型2の圧下長さより長くない距離となるようにし、さらに下流側の装置に適した速度が選ばれる。このような移動距離とすることにより、前のサイクルの圧下長さと次のサイクルの圧下長さとが多少ラップするようになり、適切な圧下が行われる。
【0014】
図3及び図4のt1においてスライダー12は、上方に中間的に上がり、最も後方に移動した位置にある。t2においては、圧下状態を示し、前後方向には中間位置にある。t3においては、上方に中間的に上がり、前後方向には最も前進した位置にある。t4においては、最も上昇した位置にあり、前後方向には中間位置にある。スライダー12はこのように、t1〜t2〜t3の期間は矢印で示すように前進しており、圧下時のt2周辺で最大速度になる。故に圧下時、このスライダー12の速度に合わせてピンチロール16によりスラブ1を搬送することにより、圧下時にも圧下に最適の速度で連続的に搬送することができる。
【0015】
上述した本発明の構成によれば、スライダー12の1対の円孔12a内で回転する2つの偏心軸14が、スラブ送り方向に斜め又は垂直に位置するので、ライン方向に平行に設置した場合に比較してライン方向の必要長さを短縮することができる。特に、図1に示したように、斜めに配置した場合には、2つの偏心軸に作用する圧下力を均等にすることができ、ライン方向長さの短縮と、各偏心軸での均等負荷とを同時に達成することができる。また、図2に示したように、スラブ送り方向に垂直に配置した場合には、内側の偏心軸での負荷を大きく設定することができ、外側の偏心軸を小型化することができる。
【0016】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、金型とこれを圧下するとともに前後動するスライダーを設けることにより、スラブを圧下しながら搬送することができ、圧延作業を連続的に実施することができる。また、ライン方向の必要長さを短縮することができ、かつスラブを搬送しながら高い圧下率で板厚を圧下することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態の構成を示す図である。
【図3】スライダーの1サイクルの動作を示す図である。
【図4】スラブの1サイクルの移動速度を示す図である。
【図5】クランクとコンロッドを用いた圧下プレスを示す。
【図6】本発明者等による先行出願の構成図である。
【符号の説明】
1 スラブ
2 金型
3 コンロッド
4 クランク
6 ピンチロール
7 搬送テーブル(テーブルローラ)
8 スライダー
8a 本体
9 クランク
9a 第1軸
9b 第2軸
10 駆動装置
11 金型受け
12 スライダー
12a 円孔
14 偏心軸
14a 第1軸
14b 第2軸
16 ピンチロール
Claims (2)
- スラブを挟んで上下に対峙して設けられた1対の金型と、各金型ごとに設けられ金型をスラブに向かって前後させる揺動装置とを備え、該揺動装置は、スラブ送り方向に斜め又は垂直に位置しかつ互いに間隔Lを隔てた1対の円孔を有するスライダーと、前記円孔内で回転する偏心軸とを有し、該偏心軸は円孔の中心軸Aを中心に円孔内で回転する第1軸と、該第1軸と偏心量eを隔てた中心軸Bを中心に回転駆動される第2軸とからなる、ことを特徴とする板厚圧下プレス装置。
- 請求項1に記載の板厚圧下プレス装置を用いた板厚圧下プレス方法であって、
スラブを金型で圧下するプレス時にスラブを金型による送り速度に同期させ、スラブが金型から離れる非プレス時に所定のサイクル速度を得られる一定速度でスラブを送り、ことを特徴とする板厚圧下プレス方法。
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