JP4209096B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電荷像現像用トナーに関する。詳しくは本発明は、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法において従来一般に広く用いられてきた静電荷像現像用トナーは、スチレン/アクリレート系共重合体のような結着樹脂に、カーボンブラックや顔料のような着色剤、帯電制御剤及び/または磁性体を含む混合物を押出機により溶融混練し、ついで粉砕・分級することによって製造されてきた。しかし、このような溶融混練/粉砕法で得られる従来のトナーは、トナーの粒径制御に限界があり、実質的に10μm以下、特に8μm以下の平均粒径のトナーを歩留まり良く製造することが困難であり、今後電子写真に要求される高解像度化を達成するためには十分なものとは言えなかった。
【0003】
また、低温定着性を達成するために、混練時に低軟化点のワックスをトナー中にブレンドする方法が提案されている。しかし、混練/粉砕法においては固結性に悪影響を及ぼすので5%程度のブレンドが限界であり、十分な低温定着性能を示すトナーを得ることができなかった。
特開昭63−186253号公報には、粒径制御の問題点を克服し、高解像度を達成するために乳化重合/凝集法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0004】
特開2001−27821号公報においては、上記の乳化重合/凝集法によるトナーの製造方法においてワックスをブレンドすることが試みられたことが記載され、該方法では凝集工程に入れられるワックスの量に限界があり、低温定着に関して充分な改良効果が認められないとして、シード乳化重合によって実質的にワックスを内部に包含した構造を有するトナーが提案されている。しかしながら、これら公報には低融点物であるワックスを多量に含有した際に悪化すると考えられる固結性については言及されていない。実際、低温定着性の良いトナーを見いだしたとしても固結性に代表される保存安定性が獲得できねば産業上の利用価値はないと言わねばならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、固結性を悪化させることなく低温定着性能が改善された新規のトナーを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、結着樹脂成分に対して相溶性の異なる2種のワックスを共存させて重合体粒子を作製するという全く新しい手法を用いることにより、上記課題が解決されることを見いだして本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明の要旨は、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含む、重合法により得られる静電荷像現像用トナーにおいて、該結着樹脂として重合させたいモノマー成分に該ワックスを含有させたい量(あるいは添加したい含有量を含む範囲)添加し、これを加熱して実際の乳化重合あるいは懸濁重合の温度で塊状重合を進行させ、モノマー成分の重合転化率が100%になった時点で、その重合温度のままで目視確認した際、反応液が透明であるところの結着樹脂に相溶するワックス(以下「ワックスA」という)と、同様にして上記目視確認した際、反応液が濁っているところの結着樹脂に相溶しないワックス(以下「ワックスB」という)とを、該トナー中に共に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー、に存する。
【0008】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に相溶するワックスは、トナーの外壁近傍にもワックスが存在することとなり、相溶しているがゆえに結着樹脂の軟化点を低下させ、固結性を悪化させる反面、同じ理由で低温から溶解して低温定着性能を頗る向上させる。これに対し、結着樹脂に相溶しないワックスは、内部に閉じこめられるのでトナー外壁近傍のワックス存在確率が下がり、ある程度加熱されないと表面性状を変えることはない。よって、結着樹脂に相溶するワックスを多量に入れた場合には固結性(ブロッキング性)を悪化させることとなり、他方、結着樹脂に相溶しないワックスは多量に入れねば低温定着性を改善するに至らないが、双方を同時に含有させることにより、これまでにない低温定着性と固結性とのバランスを獲得するに至ったのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤及びワックスを含み、必要に応じ、帯電制御剤、その他の添加剤を含むことが出来る。また、本発明に用いられるトナーは、乳化重合/凝集法、懸濁重合法等の湿式重合法により製造される。
【0010】
中でも、溶融混練/粉砕法ではなしえないような粒径分布を得るためには、乳化重合/凝集法が好ましい。更に乳化重合/凝集法であれば、懸濁重合法ではなしえないトナーの円形度を適宜制御できるという利点もある。
トナーに用いられる結着樹脂は従来公知のものを含む広い範囲から選択することができる。好ましくは、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれらの樹脂のアクリル酸共重合体等のスチレン系ポリマー、飽和もしくは不飽和ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー等を挙げることができる。また、上記結着樹脂は単独で使用するには限らず2種以上を併用することもできる。
【0011】
乳化重合/凝集法でトナーを製造する場合には、少なくともスチレンを共重合成分とし、これに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル等の少なくともいずれかを共重合成分として用いるのが好ましい。
着色剤は、無機顔料または有機顔料もしくは有機染料のいずれでもよく、またはこれらの組み合わせでもよい。これらの具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタとしてキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンとしてフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。
【0012】
これらの内、シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122が好ましく用いられる。
【0013】
着色剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を添加してもよい。
帯電制御剤としては、従来公知の化合物を使用することができる。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
帯電制御剤の添加量は結着樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。本発明に用いられるトナーには、ワックスを添加することが必須である。これまでの考え方ではワックスは、離型性を付与するために添加されていた。しかし、本発明においてはこのワックスの役割は低温定着性能に関し2通りに分けて考えられる。一つは、結着樹脂に相溶し重合終了時に結着樹脂中に均一に分散した形で存在しているもの、もう一つは、結着樹脂に相溶せず重合終了時に結着樹脂内部に閉じこめられた形で存在するものの2種である。前者は、多量に入れると表面にむき出しとなっている結着樹脂そのものの軟化点を下げ、固結性に直接的に悪影響を与える反面、表面近傍にも存在するために低温度から離型性に効果を発揮する。一方、後者の結着樹脂内部に閉じこめられたワックスはこの反対であり、表面近傍には多量に存在できないために低温度からの離型性には効果を発揮しないが、固結性は悪化させないというものである。これら2種のワックスを併用することにより固結性と低温定着性能の双方を満足させることを見いだして本発明に到達したのである。
【0015】
上記の、結着樹脂に相溶するワックスと結着樹脂に相溶しないワックスとの区別であるが、次に示す方法でこれらを分類することができる。重合させたいモノマー成分に含有させたいワックスを含有させたい量(あるいは添加したい含有量を含む範囲)添加し、これを加熱して実際の乳化重合あるいは懸濁重合の温度で塊状重合を進行させる。この際、速やかにモノマーの転化率を上げる目的で、結着樹脂及びワックスの合計に対し1重量部未満の開始剤などを用いるとよい。モノマー成分の重合転化率が100%になった時点で、その重合温度のままで目視確認し、反応液が濁っている場合は結着樹脂に相溶しないワックス(「ワックスB」)とし、反応液が透明なものは結着樹脂に相溶するワックス(「ワックスA」)とする。ただし、添加したいワックス量範囲を含む上記相溶性実験をして、そのワックス含有量の両端が同じ結果である場合には、そのワックス含有量範囲内もその両端と同じであるとみなすことができる。モノマー成分とワックス種及びワックス含有量と温度(重合温度)とにより、結着樹脂に相溶するかしないかが決定されることとなるが、具体的には次に示すワックスなどから、モノマー成分に応じ上述の手法により2種類のワックスを選択して使い分ければよい。ワックスAまたはBとなる成分としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸とより得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、または部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
【0016】
これらのワックスの中で定着性を改善するためには、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出してべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る。
【0017】
また、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとして具体的には例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好ましく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。
【0018】
しかし何れにしても、結着樹脂に相溶するものとしないものとの分類は必ず行わねばならない。また、ワックスの含有量については、結着樹脂とワックスとの合計について、結着樹脂に相溶するワックス(ワックスA)の重量%をX軸に、結着樹脂に相溶しないワックス(ワックスB)の重量%をY軸とした場合、Y=0、Y=35、X=0、及びY=−3.487×X+55.526の各直線で囲まれる範囲内で、結着樹脂及びワックス中にワックスA及びワックスBを共に含む範囲が好ましい。更に好ましい範囲としては、ワックスAの重量%をX軸に、ワックスBの重量%をY軸とした場合、Y=−1.010×X+30.101、Y=−27.778×X+32.778、Y=−0.544×X+5.5444、及びX=10の各直線で囲まれる範囲内で、結着樹脂及びワックス中にワックスA及びワックスBを共に含む範囲である。最も好ましい範囲は、ワックスAの重量%をX軸に、ワックスBの重量%をY軸とした場合、Y=−1.010×X+30.101、Y=−27.778×X+32.778、Y=−0.544×X+5.544、及びX=3の各直線で囲まれる範囲内で、結着樹脂及びワックス中にワックスA及びワックスBを共に含む範囲である。これらの範囲から原点方向に外れると低温定着性能が発揮できずらい傾向にあり、他方、原点から遠い方向へ外れると固結性を悪化させる一因となる。双方のワックスに下限値がある理由は、これよりも少ないと存在意義がなくなることであり、上限値はワックスAはトナーの外壁近傍にも存在するため固結性を悪化させてしまうためであり、ワックスBは外壁近傍の存在確率が下がるためである。
【0019】
次に、湿式重合法によるトナーの製造について説明する。
乳化重合/凝集法では、重合体一次粒子の分散液に着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜制御することによってこれらを凝集してトナーを製造する。
上記乳化重合に用いる乳化剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤の中から選ばれる乳化剤が挙げられる。
【0020】
カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロリド、ドデシルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルピリジニウムクロリド、ドデシルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等があげられる。
また、アニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石けん、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等があげられる。
【0021】
さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等があげられる。これらの界面活性剤の内、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0022】
懸濁重合法では、重合性単量体に着色剤、帯電制御剤、ワックス等を混合し、ディスパーザー等の分散機を用いて分散処理を行い、この分散処理後の単量体組成物を水混和性媒体の中で適当な攪拌機を用いてトナー粒径に造粒し、その後、重合性単量体を重合させてトナーを製造する。
懸濁安定剤を用いる場合には、重合後にトナーを酸洗浄することにより容易に除去できる、水中で中性又はアルカリ性を示すものを選ぶことが好ましい。さらに、粒度分布の狭いトナーが得られるものを選ぶことが好ましい。これらを満足する懸濁安定剤としては、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの懸濁安定剤は、ラジカル重合性単量体に対して通常、1〜10重量部使用する。
【0023】
湿式重合法に用いられる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。例えば、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、又はレドックス系開始剤などを使用することができる。
【0024】
これらの内、乳化重合/凝集法ではレドックス系開始剤が好ましく、懸濁重合法ではアゾ系開始剤が好ましい。
上記方法によりトナーを製造した後に、ポリマー乳化液、着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を添加してトナー表面を被覆することにより、カプセル構造を持つトナーとしてもよい。
【0025】
次に、本発明の好ましいトナーの製造法である乳化重合/凝集法について更に詳細に説明する。
乳化重合/凝集法によりトナーを製造する場合、通常、重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。
即ち、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、帯電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて体積平均粒径3〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて、これに樹脂微粒子等を付着させ、必要に応じて、粒子凝集体あるいは樹脂微粒子が付着した粒子凝集体を融着させ、こうして得られたトナー粒子を洗浄、乾燥して製品のトナー粒子を得る。
○重合体一次粒子
乳化重合/凝集法に用いられる重合体一次粒子としては、好ましくはガラス転移温度(Tg)が40〜80℃であり、平均粒径は通常0.02〜3μmのものである。この重合体一次粒子は、モノマーを乳化重合することにより得られる。
【0026】
本発明の特徴の一つは、重合体一次粒子が結着樹脂に対して相溶性の異なる2種のワックスを含むことである。重合体一次粒子が2種のワックスを含む構造である限り、その作製方法は特に限定されないが、好ましくはワックス微粒子をシードとしてモノマー混合物をシード乳化重合することによって得られる。乳化重合をするに当たっては、逐次、ブレンステッド酸性基(以下、単に「酸性基」ということがある)を有するモノマーもしくはブレンステッド塩基性基(以下、単に「塩基性基」ということがある)を有するモノマー、及び、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基をいずれも有しないモノマー(以下、「その他のモノマー」ということがある)とを添加することにより重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えてもよいし、予め複数のモノマーを混合しておいてから添加してもよい。更に、モノマーの添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。乳化剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
【0027】
本発明で用いられるブレンステッド酸性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有するモノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有するモノマー等があげられる。
【0028】
また、ブレンステッド塩基性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0029】
また、これら酸性基を有するモノマー及び塩基性基を有するモノマーは、それぞれ対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
このような、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの、重合体一次粒子を構成するモノマー混合物中の配合率は、好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、また、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの内では、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
【0030】
その他のモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミドを挙げることができる。この中で、特にスチレン、ブチルアクリレート等が特に好ましい。
【0031】
更に、重合体一次粒子に架橋樹脂を用いる場合、上述のモノマーと併用される架橋剤としては、ラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることが可能である。
【0032】
好ましくはラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、更に、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
このような、多官能性モノマーのモノマー混合物中の配合率は、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上であり、また、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0033】
これらのモノマーは単独、または混合して用いられるが、その際、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となることが好ましい。ガラス転移温度が80℃を越えると定着温度が高くなり過ぎたり、OHP透明性の悪化が問題となることがあり、一方、重合体のガラス転移温度が40℃未満の場合は、トナーの保存安定性が悪くなる場合がある。
【0034】
重合開始剤は、モノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができるが、そのような連鎖移動剤の具体的な例としては、t―ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等があげられる。連鎖移動剤は単独でも2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5重量%用いられる。
【0035】
乳化重合は、上記のモノマー類を水と混合し、重合開始剤の存在下、重合させるが、重合温度は通常50〜150℃、好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜100℃である。
こうして得られた重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02〜3μmの範囲であり、好ましくは0.05〜3μm、更に好ましくは0.1〜2μmであり、特に好ましくは0.1〜1μmである。なお、平均粒径は、例えば日機装社製マイクロトラックUPAを用いて測定することができる。粒径が0.02μmより小さくなると凝集速度の制御が困難となり好ましくない。また、3μmより大きいと凝集して得られるトナー粒径が大きくなりやすく、3〜8μmのトナーを製造するには不適当である。
○着色剤
乳化重合/凝集法では、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子を混合し、混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とするが、着色剤は、乳化剤(前述の界面活性剤)の存在下で水中に乳化させてエマルションの状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径としては、0.01〜3μmが好ましい。
【0036】
着色剤の使用量は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部である。
○ワックス
乳化重合/凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記界面活性剤)の存在下に分散してエマルジョン化したワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。2種のワックスを併用する方法として、予め2種のワックスを混合した後に乳化したエマルジョンを用いてもよいし、別々に作製したエマルジョンを混合して用いてもよい。
【0037】
ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在下にモノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を作製し、これと着色剤粒子を凝集させる場合とがある。
このうち、ワックスをトナー中に高度に均一に分散させるには、ワックス微粒子分散液を上記の重合体一次粒子の作製時、すなわちモノマーの重合時に存在させるのが好ましい。
【0038】
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01〜3μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2μm、特に0.3〜1.5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えばホリバ社製LA−500を用いて測定することができる。ワックスエマルジョンの平均粒径が3μmよりも大きい場合には凝集時の粒径制御が困難となる傾向にある。また、エマルジョンの平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には、分散液を作製するのが困難である。
○帯電制御剤
乳化重合/凝集法において帯電制御剤を含有させる方法として、重合体一次粒子を得る際に、帯電制御剤をワックスと同時にシードとして用いたり、帯電制御剤をモノマー又はワックスに溶解又は分散させて用いたり、重合体一次粒子及び着色剤と同時に帯電制御剤一次粒子を凝集させて粒子凝集体を形成したり、重合体一次粒子及び着色剤を凝集させて、ほぼトナーとして適当な粒径となった後に、帯電制御剤一次粒子を加えて凝集させることもできる。
【0039】
この場合、帯電制御剤も乳化剤(前述の界面活性剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルション(帯電制御剤一次粒子)として使用することが好ましい。
○混合工程
本発明の製造法の凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックスなどの配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得るのが好ましい。
【0040】
また、ワックスは、重合体一次粒子に内包化されたもの、すなわち、ワックスをシードとして乳化重合した重合体一次粒子を用いることにより、トナーに含有させることが好ましく、この場合は、重合体一次粒子に内包化されたワックスと、内包化されていないワックス微粒子とを併用して用いることもできるが、更に好ましくは、実質的に全量のワックスを重合体一次粒子に内包化された形で用いるものである。
○凝集工程
上記の各粒子の混合分散液を凝集工程で凝集して粒子凝集体を作製するが、この凝集工程においては、1)加熱して凝集を行う方法、及び2)電解質を加えて凝集を行う方法、がある。
【0041】
加熱して凝集を行う場合、凝集温度として具体的には、50℃〜Tgの温度範囲(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)であり、Tg−10℃〜Tg−5℃の範囲が好ましい。上記温度範囲であれば、電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させることができる。
また、加温して凝集を行う場合、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程が連続的に行われ、その境界は曖昧となる場合があるが、Tg−20℃〜Tgの温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなすこととする。
【0042】
凝集温度は所定の温度で少なくとも30分保持することにより所望の粒径のトナー粒子とすることが好ましい。所定の温度までは一定速度で昇温してもよいし、ステップワイズに昇温してもよい。保持時間は、Tg−20℃〜Tgの範囲で30分以上、8時間以下が好ましく、1時間以上、4時間以下が更に好ましい。このようにすることによって、小粒径であり、粒度分布のシャープなトナーを得ることが出来る。
【0043】
また、混合分散液に電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機の塩、無機塩のいずれでもよいが、好ましくは1価あるいは2価以上の多価の金属塩が好ましく用いられる。具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。
【0044】
電解質の添加量は、電解質の種類によっても異なるが、通常は混合分散液の固形成分100重量部に対して、0.05〜25重量部が用いられる。好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
電解質添加量が上記範囲より著しく少ない場合には、凝集反応の進行が遅くなり、凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が3μm以下となるなどの問題を生じる傾向にある。また、電解質添加量が上記範囲より著しく多い場合には、急速で制御の困難な凝集となりやすく、得られた粒子凝集体の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形の物になるなどの問題を生じる傾向にある。
【0045】
また、混合分散液に電解質を加えて凝集を行う場合には、凝集温度は5℃〜Tgの温度範囲が好ましい。
○その他の配合成分
次に、本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー粒子を形成するのが好ましい。
【0046】
なお、上述した帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後、樹脂微粒子を加えてもよい。
この樹脂微粒子は、乳化剤(前述の界面活性剤)により水または水を主体とする液中に分散してエマルションとして用いるが、トナーの最外層に用いる樹脂微粒子は、ワックスを含まないものが好ましい。また、シード乳化重合法でワックスを含有させる場合は必ずしも必須ではないが、ワックスと重合ラテックスとを別々に作製し、凝集を行う場合には必須となる。これは、シード重合の場合、ワックスBはポリマー粒子内に完全に囲いこまれる構造を取るが、別々に作製した場合はワックスBが外壁に存在する確率が高くなってしまうため、これをワックスを含まない樹脂で被覆するためである。また、この樹脂微粒子を加えた場合の前記ワックスの含有量(以後、WAX重量%という)の計算は次の通りとする。便宜的に上に述べる樹脂微粒子と結着樹脂とワックスとを分けて次のように考える。樹脂微粒子/(ワックス+結着樹脂)が5重量%以下である場合は、そのWAX重量%はワックス/(結着樹脂+ワックス)×100とし、樹脂微粒子は分母にも分子にも関与しないものとして無視する。樹脂微粒子/(ワックス+結着樹脂)が5重量%を越える場合は、もはや結着樹脂の存在も無視することはできないので、WAX重量%は、ワックス/(結着樹脂+ワックス+樹脂微粒子)×100とする。
【0047】
樹脂微粒子としては、好ましくは体積平均粒径が0.02〜3μm、更に好ましくは0.05〜1.5μmであって、前述の重合体一次粒子に用いられるモノマーと同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができる。
粒子凝集体に樹脂微粒子を被覆してトナーを形成する場合、樹脂微粒子に用いられる樹脂は、架橋されているものが好ましい。
○熟成工程
乳化重合/凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体(トナー粒子)の安定性を増すためにTg+20℃〜Tg+80℃(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)の範囲で凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましい。また、この熟成工程では上記の温度範囲に1時間以上保持するのが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。この熟成工程は、通常1〜24時間であり、好ましくは1〜10時間である。
【0048】
熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいはその他の物理凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は、互いに融着しており、好ましくはほぼ球形となっている。なお、この様なトナーの製造方法によれば、一次粒子が凝集した状態の葡萄型、融着が半ばまで進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
○洗浄・乾燥工程
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。
【0049】
このようにして、体積平均粒径が3〜8μmと比較的小粒径のトナーを製造することができる。しかもこうして得られたトナーは、粒度分布がシャープで、高画質及び高速化を達成するための静電荷像現像用トナーとして適したものである。
本発明のトナーには、流動性や現像性を制御する為に公知の外添剤を添加しても良い。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種無機酸化物粒子(必要に応じて疎水化処理する)、ビニル系重合体粒子等が使用できる。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.05〜5重量部の範囲が好ましい。
【0050】
本発明のトナーは、2成分現像剤、マグネタイト含有トナー等の磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤に適用することができる。
2成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。
【0051】
キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが、10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用するのが好ましい。
【0052】
トナーの粒子径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、典型的にはベックマン・コールター社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター マルチサイザーIIが用いられる。
本発明のトナーは、体積平均粒径(Dv)が好ましくは3〜8μmである。体積平均粒径は4〜8μmがより好ましく、4〜7μmが更に好ましい。体積平均粒径が大き過ぎると高解像度の画像形成に適さず、小さ過ぎると粉体としての取り扱いが困難となる。
【0053】
トナーの円形度としては、50%円形度が0.9〜1であるものが好ましい。但し、50%円形度とは、典型的にはシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、式:円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長)/(粒子投影像の周長)、より求められた値の50%における累積粒度分布値に相当する。
【0054】
更に、本発明のトナーの好適な粒度分布を達成するためには、乳化重合/凝集法が特に好ましい。粒度分布がシャープなトナーである方が、着色剤や帯電制御剤等がより均一に分布して帯電性が均一となり、高精細な画像を形成するのに有利である。
具体的には、本発明の画像形成方法及び装置においては、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.3、であるものが用いられる。Dv/Dnの値としては、1.25以下が好ましく、1.20以下が更に好ましい。また、Dv/Dnの下限値は1であるが、これは、全ての粒径が等しいことを意味し、製造上困難であるので、1.03以上が好ましく、1.05以上が更に好ましい。
【0055】
また、トナーは微細な粒子(微粉)が少ないのが好ましい。微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性が向上し、着色剤や帯電制御剤等が均一に分布して帯電性が均一となりやすい。
微細な粒子を測定するには、例えば、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000が好適に用いられる。
【0056】
本発明においては、フロー式粒子像分析装置による0.6〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が全粒子数の15%以下であるトナーを用いるのが好ましい。これは、微細な粒子が一定量より少ないことを意味しているが、0.6〜2.12μmの粒子の数は10%以下が更に好ましく、5%以下が特に好ましい。また、該微粒子の下限は特になく、全く存在しないのが最も好ましいが、それは製造上困難であり、通常0.5%以上であり、好ましくは1%以上である。
【0057】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、これは一例を示したものであり、本発明はこれに制約されるものではない。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、WAX重量%とは、前述した結着樹脂、樹脂微粒子及びワックスの系に含まれるワックスの重量濃度に関する値である。平均粒径、低温定着温度、及び固結性は、それぞれ下記の方法により測定した。
<平均粒径>
重合一次粒子の平均粒径は日機装社製マイクロトラックUPA(以下「UPA」と略す)で測定し、トナーの平均粒径はコールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(以下「コールターカウンター」と略す)により測定した。<50%円形度>
東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、下記式(I)より求められた値の50%における累積粒度値に相当する円形度を用いた。
【0058】
【数1】
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長)/(粒子投影像の周長) (I)
【0059】
<低温定着温度>
未定着のトナー像を担持した記録紙を用意し、加熱ローラの表面温度を一定温度に保ち、定着ニップ部に搬送し、排出された時の定着状態を観察した。加熱ローラーの温度を80℃から5℃きざみで上げていき定着時に加熱ローラにトナーのオフセットが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度に到達した時の温度を低温定着温度とした。即ち、より低温で記録紙に接着するものは低温定着性能がよいこととなり、表−1〜3にはその温度を記載すると同時に、この温度が140℃以下のものは3点、140℃以上のものは−3点として判定の基準とした。定着機の加熱ローラは、芯金としてアルミニウム、弾性体層としてJIS−A規格によるゴム硬度3゜のジメチル系の低温加硫型シリコーンゴム1.5mm厚、離型層としてPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)50μm厚が用いられており、直径は30mm、日本ゴム協会規格SRIS 0101に準拠して測定される定着ローラ表面のゴム硬度は80である。シリコンオイルの塗布なしで、ニップ幅は4mmで評価した。定着速度は30mm/sで実施した。
【0060】
<固結性>
現像用トナー10gを円筒形の容器に入れ、20gの荷重をのせ、50℃の環境下に5時間放置した後トナーを容器から取り出し、上からいくらの荷重をかけることで円筒形の形態が崩れるかを確認した。即ちより低荷重で崩れるものほど、固結性、言い換えれば保存安定性に優れたものとなる。表−1〜3には、崩れた際の荷重を示すと同時に、この荷重が200g以下のものに3点、200gを超え230g以下のものに2点、230gを超えるものに0点を与えて判定の基準とした。
【0061】
<総合判定>
表−1〜3には各々、低温定着温度で得た点数と固結性で得た点数を合計し、合計が6点で最も良いものを◎とし、次いで5点のものに○、次いで実用に耐えうる限界として3点のものに△をつけ、3点に満たない(実用に耐えないバランス)ものに×を示した。
【0062】
(ワックスAとワックスBとの分類)
ステアリン酸ステアリルを主体とするエステル混合物(ユニスターM9676、日本油脂製)を「ワックス1」とした場合、組成比がスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸/ワックス1=80/20/3/0.5及びスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸/ワックス1=80/20/3/15(単位は部)の各溶液に0.3部のt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂製)を加え、90℃として8時間放置した。この反応液を90℃で目視観察すると双方とも透明であり、また固形分濃度を測定すると100%であったことより、このワックスは上記の範囲内(0.5〜15部)でワックスAであると分類した。
【0063】
ペンタエリスリトールのステアリン酸テトラエステルを主体とするエステル混合物(ユニスターH476D、日本油脂製)を「ワックス2」とした場合、組成比がスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸/ワックス2=80/20/3/0.5及びスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸/ワックス2=80/20/3/50(単位は部)の各溶液に0.3部のt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂製)を加え、90℃として8時間放置した。この反応液を90℃で目視観察すると双方とも不透明であり、また固形分濃度を測定すると100%であったことより、このワックスは上記の範囲内(0.5〜50部)でワックスBであると分類した。
【0064】
実施例1
(ワックス分散液−1)
脱塩水68.33部、ステアリン酸ステアリルを主体とするエステル混合物(ユニスターM9676、日本油脂製)(以下、「ワックス1」という)とペンタエリスリトールのステアリン酸テトラエステルを主体とするエステル混合物(ユニスターH476D、日本油脂製)(以下、「ワックス2」という)との1:28の混合物30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオゲンSC、第一工業製薬製、有効成分66%)1.67部を混合し、高圧剪断をかけて乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。UPAで測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は260nmであった。
【0065】
(重合体一次粒子分散液−1)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液−1 29WAX重量%、10%ネオゲンSC水溶液1.0部、脱塩水430部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液1.6部、8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0066】
【表1】
[モノマー類]
スチレン 80部(5530g)
アクリル酸ブチル 20部
アクリル酸 3部
テトラクロロブロモメタン 0.45部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.8部
[乳化剤水溶液]
10%ネオゲンSC水溶液 1部
脱塩水 25部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後、冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径は196nmであった。
【0067】
(樹脂微粒子分散液)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積60リットル、内径400mm)に10%ネオゲンSC水溶液5部、脱塩水372部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、8%過酸化水素水溶液1.6部、8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0068】
【表2】
[モノマー類]
スチレン 88部(6160g)
アクリル酸ブチル 12部
アクリル酸 2部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
[乳化剤水溶液]
15%ネオゲンSC水溶液 2.5部
脱塩水 24部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後、冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径は83nmであった。
【0069】
(着色微粒子分散液)
ピグメントブルー15:3の水分散液(EP−700 Blue GA、大日精化製、固形分35%)を用いた。UPAで測定した体積平均粒径は150nmであった。
(現像用トナーの製造−1)
【0070】
【表3】
重合体一次粒子分散液−1 100部(71g:固形分として)
樹脂微粒子分散液 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6.7部(固形分として)
10%ネオゲンSC水溶液 0.5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0071】
反応器(容積1リットル、バッフル付きアンカー翼)に重合体一次粒子分散液と10%ネオゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を滴下した(固形分として0.6部)。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに6分かけて58℃に昇温した。その後コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.1μmになった時点で、樹脂微粒子分散液、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.07部)の順に添加し、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。10%ネオゲンSC水溶液(固形分として3部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して3.5時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー(トナー−1)を得た。
【0072】
このトナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを0.6部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー−1)を得た。
(トナーの評価−1)
現像用トナーのコールターカウンターによる体積平均粒径は7.8μm、個数平均径は6.9μmであり、50%円形度は0.97であった。
また、低温定着温度は130℃で○であり、固結性も140gで○であった。
これらの結果を表−1に示す。
【0073】
実施例2
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=1.5:16とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を17.5WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を409部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0074】
実施例3
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=2:6とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を8.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を393部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0075】
実施例4
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=5:4とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を9.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を394部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0076】
実施例5
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=5:24とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を29.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を430部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0077】
実施例6
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=9:2とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を11.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を398部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0078】
実施例7
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=9:12とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を21.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を416部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0079】
実施例8
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=9:20とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を29.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を430部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−1に示す。
【0080】
実施例9
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=1:35とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を36.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を442部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−2に示す。
【0081】
実施例10
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=5:30とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を35.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を440部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−2に示す。
【0082】
実施例11
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=13:2とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を15.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を405部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−2に示す。
【0083】
実施例12
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=9:25とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を34.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を439部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−2に示す。
【0084】
実施例13
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=13:12とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を25.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を423部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−2に示す。
【0085】
実施例14
ワックス分散液を作製する際、ワックス1:ワックス2=13:20とし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を33.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を437部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−2に示す。
【0086】
比較例1
ワックス分散液を作製する際、ワックス2のみとし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を6.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を389部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−3に示す。
【0087】
比較例2
ワックス分散液を作製する際、ワックス2のみとし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を16.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を407部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−3に示す。
【0088】
比較例3
ワックス分散液を作製する際、ワックス2のみとし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を28.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を428部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−3に示す。
【0089】
比較例4
ワックス分散液を作製する際、ワックス1のみとし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を2.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を382部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−3に示す。
【0090】
比較例5
ワックス分散液を作製する際、ワックス1のみとし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を5.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を387部にしたこと以外は実施例1と同じ容量で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−3に示す。
【0091】
比較例6
ワックス分散液を作製する際、ワックス1のみとし、重合体一次粒子を作製する際、上記ワックス分散液を9.0WAX重量%とし、モノマー類を滴下する前に仕込んでおく脱塩水を394部にしたこと以外は実施例1と同じ要領で実施した。得られた重合体一次粒子のUPAでの体積平均径とこれを用いて実施例1と同じ手法で作製したトナーのコールターカウンターでの体積平均径・個数平均径・50%円形度・低温定着温度とその判定・固結性とその判定を表−3に示す。
【0092】
【表4】
Figure 0004209096
【0093】
【表5】
Figure 0004209096
【0094】
【表6】
Figure 0004209096
【0095】
【発明の効果】
実施例に示された結着樹脂に相溶するワックスと相溶しないワックスとの組合せという新しい手法で発案された本発明のトナーは、これまで二律背反性を有していた固結性と低温定着性能の双方を満足することができ、産業上の利用価値は大きいものである。

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含む、重合法により得られる静電荷像現像用トナーにおいて、該結着樹脂として重合させたいモノマー成分に該ワックスを含有させたい量(あるいは添加したい含有量を含む範囲)添加し、これを加熱して実際の乳化重合あるいは懸濁重合の温度で塊状重合を進行させ、モノマー成分の重合転化率が100%になった時点で、その重合温度のままで目視確認した際、反応液が透明であるところの結着樹脂に相溶するワックス(以下「ワックスA」という)と、同様にして上記目視確認した際、反応液が濁っているところの結着樹脂に相溶しないワックス(以下「ワックスB」という)とを、該トナー中に共に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含む、重合法により得られる静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂とワックスとの合計について、該結着樹脂として重合させたいモノマー成分に該ワックスを含有させたい量(あるいは添加したい含有量を含む範囲)添加し、これを加熱して実際の乳化重合あるいは懸濁重合の温度で塊状重合を進行させ、モノマー成分の重合転化率が100%になった時点で、その重合温度のままで目視確認した際、反応液が透明であるところの結着樹脂に相溶するワックス(「ワックスA」)の重量%をX軸に、同様にして上記目視確認した際、反応液が濁っているところの結着樹脂に相溶しないワックス(「ワックスB」)の重量%をY軸とした場合、Y=0、Y=35、X=0、及びY=−3.487×X+55.526の各直線で囲まれる範囲内で、結着樹脂及びワックス中にワックスA及びワックスBを、該トナー中に共に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  3. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含む、重合法により得られる静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂とワックスとの合計について、該結着樹脂として重合させたいモノマー成分に該ワックスを含有させたい量(あるいは添加したい含有量を含む範囲)添加し、これを加熱して実際の乳化重合あるいは懸濁重合の温度で塊状重合を進行させ、モノマー成分の重合転化率が100%になった時点で、その重合温度のままで目視確認した際、反応液が透明であるところの結着樹脂に相溶するワックス(「ワックスA」)の重量%をX軸に、同様にして上記目視確認した際、反応液が濁っているところの結着樹脂に相溶しないワックス(「ワックスB」)の重量%をY軸とした場合、Y=−1.010×X+30.101、Y=−27.778×X+32.778、Y=−0.5444×X+5.544、及びX=10の各直線で囲まれる範囲内で、結着樹脂及びワックス中にワックスA及びワックスBを、該トナー中に共に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  4. ワックスが高級脂肪酸エステル系ワックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 結着樹脂を構成する重合体一次粒子がワックス微粒子をシードとした乳化重合によって得られたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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