JP3999622B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。詳しくは本発明は、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。さらに詳しくは、本発明は流動性及び帯電特性が良好であると共に長期の品質安定性に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法で可視画像を形成させる場合には、まず感光体ドラム上に静電潜像を形成させ、次いでこれをトナーにより現像した後、転写紙などに転写させ、熱等により定着させて可視画像を形成させる。
従来、一般的に用いられているトナーは、種々の方法で製造された結着樹脂及び着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕、分級することによりトナーを得る方法、いわゆる溶融混練粉砕法によって製造されている。
【0003】
一般にプリンターや複写機が具備すべき性能として、高画質化があり、それを達成するためには、トナーの平均粒子径が3〜8μm程度と小さく、かつ粒度分布が狭いことが必要であるとされる。
溶融混練粉砕法で得られたトナーにおいては、製造時にトナーの粒径を制御することが難しく、平均粒径が3〜8μmの範囲の粒子径の小さいトナーを製造すると、必然的に所望粒径以下の微粉が多量に生成され、これを分級工程で排除することは困難であるという問題点があった。
【0004】
溶融混練粉砕法の上記問題点を改善する方法として、水系媒体に重合性単量体、着色剤、重合開始剤等の混合液を懸濁分散させ、トナー粒径に造粒した後に重合させてトナー粒子を得る懸濁重合法(特公昭51−14895号公報等)が、また、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中に重合性単量体を分散させて攪拌下に重合性単量体を重合させ、得られた重合体エマルジョンに着色剤及び必要により帯電制御剤等を添加して凝集させ、得られた凝集粒子をさらに熟成させてトナー粒子を形成する乳化重合凝集法(特開昭63−186253号公報等)が、提案されている。これらの湿式重合法と呼ばれる製造方法でトナーを得る場合には、粒子径の制御が容易であるので、小粒子径で粒度分布の狭いトナーが得られ、高画質性に優れたトナーを得ることができる。また、粉砕工程がないので、低軟化点の樹脂を使用することができ、低温定着性も改善することができるなどの利点がある。
【0005】
上記のように一般に湿式重合法によって製造されたトナーでは低温定着が可能であるが、他方でトナー貯蔵時にブロッキングが生じ易いという問題点もあって、流動性の改善という課題がある。
上記の流動性の外にも、種々の性質の改善への努力がなされているが、その手法の一つは、目的に応じてトナー粒子に流動化剤、帯電制御剤等の各種添加剤を添加し混合してトナー粒子の表面に付着させることであり、一般に外添処理と呼ばれている。
【0006】
外添処理の一つとして、トナーの流動性を向上させ、感光体ドラム上にトナーが付着する、いわゆるフィルミング現象を防止するために、トナーにフッ素系樹脂微粉末を混合することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−332231号公報。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
外添処理は広く知られ、外添処理によって性能の改善されたトナーが広範に市販されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、一般に外添処理によってトナー粒子の表面に付着させられた添加剤(以下、外添剤という)は、トナーの長時間にわたる使用の過程で摩擦力、押圧力などの外力を受け続けることにより、トナーの表面から引き剥がされたり、あるいは逆にトナーの表面から内部に押し込まれるなどの変化を被り、この変化に起因してトナーの流動性、帯電性等の性質が変化して、トナーの経時的な品質劣化を招いていることが判明した。
【0009】
また、上記のフッ素系樹脂微粉末による外添処理についても、本発明者らの検討によれば、逆帯電性トナーの顕著な増加が見られ、実用に耐えないものであることが判明した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決する方法を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、フッ素系樹脂のトナー粒子中での含有形態を制御することにより、上記問題点を解決し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する乳化重合凝集法により製造されたトナー粒子からなり、該トナー粒子がフッ素原子含有ポリマーを含有し、かつ該フッ素原子含有ポリマーがトナー粒子の表面より内部に多く存在することを特徴とする静電荷像現像用トナー、に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子からなり、該トナー粒子がフッ素原子含有ポリマーを含有し、かつ該フッ素原子含有ポリマーがトナー粒子の表面よりも内部に多く存在することを特徴としている。
【0013】
先ず、上記トナー粒子について説明する。トナー粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤を含むことが出来る。また、上記トナー粒子の製造法は限定されないが、好ましくは懸濁重合法、乳化重合凝集法等の湿式重合法、より好ましくは乳化重合凝集法により製造される。
【0014】
上記結着樹脂は従来公知のものを含む広い範囲から選択することができる。好ましくは、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれらの樹脂のアクリル酸共重合体等のスチレン系ポリマー、飽和ポリエステル系ポリマー、不飽和ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー等を挙げることができる。また、結着樹脂は単独での使用には限られず、2種以上を併用することもできる。
【0015】
乳化重合凝集法でトナーを製造する場合には、少なくともスチレンを共重合成分とし、これに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルの少なくともいずれかを共重合成分として用いるのが好ましい。
上記着色剤としては、例えば無機顔料、有機顔料及び有機染料が挙げられ、これらを単独であるいは混合して用いることができる。具体例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料などの、公知の染顔料が挙げられる。フルカラートナーの場合には、イエロー用としてはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料を、マゼンタ用としてはキナクリドン、モノアゾ系染顔料を、またシアン用としてはフタロシアニンブルーを、それぞれ用いるのが好ましい。
【0016】
これらの内、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122、シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、が好ましく用いられる。
【0017】
着色剤の添加量は、通常、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部の範囲が好ましい。
上記トナー粒子には、帯電量向上または帯電安定性付与のために、帯電制御剤を添加してもよい。該帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
帯電制御剤の添加量は、通常、結着樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
上記トナー粒子には、離型性付与のため、ワックスを添加することが好ましい。ワックスとしては、離型性を有するものであれば使用可能である。
具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸とから得られる多価アルコールのカルボン酸フルエステルまたは部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
【0019】
これらのワックスの中で、定着性改善の観点からは、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。融点が低すぎるとトナーの定着後にワックスが表面に露出しててべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る。
【0020】
また、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとして具体的には、例えばベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。該エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好ましく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。
【0021】
上記ワックスは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する際の定着温度によりワックス化合物の融点を適宜選択することも好ましい。
トナー中のワックスの添加量は、通常、0.1〜40%、好ましくは1〜40%、より好ましくは5〜35%、さらに好ましくは7〜30%である。
【0022】
本発明のトナーは、上記の、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子が、フッ素原子含有ポリマーを含有すること、並びに該フッ素原子含有ポリマーがトナー粒子の表面よりも内部に多く存在することを特徴としている。
本発明のトナーに含有させるフッ素原子含有ポリマーとしては、フッ素原子を含有するモノマーの重合体が挙げられ、その種類は特に限定されないが、例えばテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルエチルアクリレート、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、モノ(パーフルオロアルキルエチル)マレエート、モノ(パーフルオロアルキルエチル)イタコネート等のフッ素原子含有モノマーの単独重合体又は共重合体、或いはフルオロカーボンオイル等が挙げられる。上記の中では、テトラフルオロエチレンの単独重合体であるポリテトラフルオロエチレンが好適に用いられる。
【0023】
トナー中のフッ素原子の含有量は、通常、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
上記のフッ素原子含有ポリマーをトナー粒子の表面よりも内部に多く存在させる方法は、特に限定されず、後述するようにトナーの製造法の適当な製造段階において上記フッ素原子含有ポリマーを導入(供給)して、最終的に得られるトナー粒子中の内部に偏った位置にフッ素原子含有ポリマーが存在するようにする方法が挙げられる。
【0024】
フッ素原子含有ポリマーはトナー中に粒子として存在し、その粒径は、通常、50nm以上、好ましくは70nm以上、より好ましくは90nm以上であり、また、通常、2000nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。
次に、本発明の静電荷像現像用トナーを製造する方法について説明する。
【0025】
本発明のトナーを構成するトナー粒子の製造法は限定されないが、好ましくは懸濁重合法、乳化重合凝集法等の湿式重合法、より好ましくは乳化重合凝集法により製造される。
以下、湿式重合法による本発明のトナーの製造法について説明する。
懸濁重合法においては、重合性単量体に着色剤、帯電制御剤、ワックス等を混合し、ディスパーザー等の分散機を用いて分散処理を行い、この分散処理後の単量体組成物を水混和性媒体の中で適当な攪拌機を用いてトナー粒径に造粒し、その後、重合開始剤の存在下に重合性単量体を重合させてトナーを製造する。
【0026】
懸濁安定剤を用いる場合には、重合後にトナーを酸洗浄することにより容易に除去することができるように、水中で中性又はアルカリ性を示すものを選ぶことが好ましい。さらに、粒度分布の狭いトナーが得られるものを選ぶことが好ましい。これらを満足する懸濁安定剤としては、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
懸濁安定剤は、ラジカル重合性単量体100重量部に対して通常1〜10重量部使用することができる。
上記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。例えば、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド又はレドックス系開始剤などを使用することができる。これらの内ではアゾ系開始剤が好ましい。
【0028】
懸濁重合法においてフッ素原子含有ポリマーをトナー粒子の表面よりも内部に多く存在させる方法としては、例えば、予め重合性単量体にフッ素原子含有ポリマーを混合しておき、ディスパーザー等の分散機を用いて分散処理したものを重合させる方法、或いは重合性単量体を重合させた重合体粒子の表面にフッ素原子含有ポリマーの微粒子を付着させ、さらに重合性単量体及び/又は重合体一次粒子などで被覆する方法、等が挙げられる。
【0029】
乳化重合凝集法においては、先ず、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中に重合性単量体を分散させ、攪拌下に重合性単量体を重合させる乳化重合によって重合体一次粒子を製造し、得られた重合体一次粒子の分散液に着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜制御することによってこれらを凝集してトナーを製造する。
【0030】
上記乳化重合に用いる乳化剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
【0031】
また、アニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石けん、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
【0032】
これらの界面活性剤の内、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
上記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。例えば、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド又はレドックス系開始剤などを使用することができる。これらの内ではレドックス系開始剤が好ましい。
【0033】
乳化重合によって得られた重合体一次粒子の分散液に、着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜制御することによってこれらを凝集してトナーを製造する。
上記方法によりトナーを製造した後に、ポリマー乳化液、着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を添加してトナー表面を被覆することにより、カプセル構造を持つトナーとしてもよい。
【0034】
次に、本発明の静電荷像現像用トナーを製造するためのより好ましい方法である乳化重合凝集法について更に詳細に説明する。
乳化重合凝集法によるトナーの製造方法は、通常、乳化重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、及び洗浄・乾燥工程、の各工程から構成されている。
即ち、乳化重合により重合体一次粒子を製造し、得られた重合体一次粒子を含有する分散液に着色剤、荷電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて体積平均粒径3〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて該粒子凝集体を融着させ、得られたトナー粒子を洗浄及び乾燥して製品のトナー粒子を得るのである。
【0035】
乳化重合をするに当たっては、逐次、ブレンステッド酸性基(以下、単に酸性基ということがある)を有するモノマー、ブレンステッド塩基性基(以下、単に塩基性基ということがある)を有するモノマー、及び、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基のいずれをも有しないモノマー(以下、その他のモノマーということがある)を添加することにより重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えてもよいし、予め複数のモノマーを混合しておいてから反応系に添加してもよい。更に、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤などと混合して調整した乳化液として添加することもできる。乳化剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系を使用することができる。
【0036】
上記酸性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有するモノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有するモノマー等が挙げられる。
また、塩基性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0037】
また、これら酸性基を有するモノマー及び塩基性基を有するモノマーは、それぞれ対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
このような、酸性基を有するモノマー又は塩基性基を有するモノマーの、重合体一次粒子を構成するモノマーの混合物中での配合率は、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、また、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。酸性基を有するモノマー又は塩基性基を有するモノマーの内では、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
【0038】
その他のモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等のアクリル酸アミド類を挙げることができる。これらの中で、スチレン、ブチルアクリレート等が好ましい。
【0039】
さらに、重合体一次粒子を架橋樹脂とする場合、上記のモノマー類と併用される架橋剤としては、ラジカル重合性の多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。上記の中では、ラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートがより好ましい。
【0040】
このような多官能性モノマーの、モノマー混合物中での配合率は、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上であり、また、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。
これらのモノマーは単独でまたは混合して用いられるが、その際、得られる重合体のガラス転移温度が40〜80℃となることが好ましい。ガラス転移温度が80℃を越えると定着温度が高くなりすぎたり、OHP透明性の悪化が問題となることがあり、一方、重合体のガラス転移温度が40℃未満の場合は、トナーの保存安定性が悪くなる場合がある。
【0041】
重合開始剤は、モノマーの添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤の具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独でもまたは2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して通常0〜5重量%用いられる。
【0042】
乳化重合は、上記のモノマー類を水と混合し、重合開始剤の存在下で重合するが、重合温度は通常50〜150℃、好ましくは60〜120℃、より好ましくは70〜100℃である。
上記乳化重合で得られた重合体一次粒子は、体積平均粒径が通常0.02〜3μmの範囲であり、好ましくは0.05〜3μm、より好ましくは0.1〜2μmであり、さらに好ましくは0.1〜1μmである。平均粒径が0.02μmより小さくなると凝集速度の制御が困難となる。また、3μmより大きいと凝集して得られるトナー粒子径が大きくなりすぎやすく、粒径3〜8μmのトナーを製造するのには不適当となる。
【0043】
乳化重合凝集法では、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とするが、着色剤は、乳化剤(前記乳化重合に用いるのと同様の乳化剤)の存在下で水中に乳化させてエマルジョンの状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径としては、0.01〜3μmが好ましい。
【0044】
着色剤の使用量は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部である。
乳化重合凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記乳化重合に用いるのと同様の乳化剤)の存在下に分散してエマルジョン化してワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。
【0045】
ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在下に(即ちワックス微粒子をシードとして)モノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を生成させ、これと着色剤粒子とを共凝集させる場合とがある。
【0046】
このうち、ワックスをトナー中により均一に分散させるためには、ワックス微粒子分散液を上記の重合体一次粒子の製造時、即ちモノマーの重合時に存在させるのが好ましい。
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.3〜1.5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えばホリバ社製LA−500等の公知の装置を用いて測定することができる。ワックスエマルジョンの平均粒径が3μmよりも大きい場合には凝集時の粒径制御が困難となる傾向にある。また、エマルジョンの平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には、分散液を作製するのが困難である。
【0047】
乳化重合凝集法においてフッ素原子含有ポリマーをトナー粒子の表面よりも内部に多く存在させる方法としては、例えば、フッ素原子含有ポリマーをシードとするシード乳化重合によって得られたフッ素原子含有ポリマーを内包するポリマーの分散液を、凝集工程において凝集成分として使用して上記重合体一次粒子の分散液と共に凝集してトナー粒子を生成させる方法、或いは該トナー粒子をさらに上記重合体一次粒子の分散液と共に凝集して、より内部にフッ素原子含有ポリマーが存在するトナー粒子を生成させる方法、等が挙げられる。
【0048】
乳化重合凝集法において荷電制御剤を含有させる方法としては、重合体一次粒子を得る際に、荷電制御剤をワックスと共にシードとして用いたり、荷電制御剤をモノマー又はワックスに溶解又は分散させて用いたり、重合体一次粒子及び着色剤と同時に荷電制御剤一次粒子を凝集させて粒子凝集体を形成したり、重合体一次粒子及び着色剤を凝集させて、ほぼトナーとして適当な粒径となった後に、荷電制御剤一次粒子を加えて凝集させたりする方法が挙げられる。
【0049】
この場合、荷電制御剤も乳化剤(前記乳化重合に用いるのと同様の乳化剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルジョン(荷電制御剤一次粒子)として使用することが好ましい。
上記凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて荷電制御剤、ワックスなどの配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ荷電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが好ましい。
【0050】
また、ワックスは、重合体一次粒子に内包化されたもの、即ちワックスをシードとして乳化重合して得られた重合体一次粒子を用いることによりトナーに含有させることが好ましく、この場合、重合体一次粒子に内包化されたワックスと内包化されていないワックス微粒子とを併用して用いることができるが、より好ましくは、実質的に全量のワックスを重合体一次粒子に内包化された形で用いるものである。
【0051】
凝集工程においては、上記の各粒子の混合分散液を凝集して粒子凝集体を作製する。この凝集の方法としては、主として(1)加熱して凝集を行う方法、及び(2)電解質を加えて凝集を行う方法、がある。
加熱して凝集を行う場合、凝集温度は通常、50℃〜Tgの範囲(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)であり、(Tg−10℃)〜(Tg−5℃)の範囲が好ましい。上記温度範囲であれば、電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させることができる。
【0052】
また、加熱して凝集を行う場合、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程とが連続的に行われ、その境界が曖昧となる場合があるが、(Tg−20℃)〜(Tg+10℃)の温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなす。
凝集は、所定の温度で少なくとも30分保持することにより所望の粒径のトナー粒子とすることが好ましい。所定の温度までは一定速度で昇温してもよいし、段階的に昇温してもよい。保持時間は、(Tg−20℃)〜(Tg+10℃)の範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下がより好ましい。このようにすることによって、小粒径でかつ粒度分布のシャープなトナーを得ることが出来る。
【0053】
また、混合分散液に電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでもよいが、好ましくは1価又は2価以上の多価の金属塩が用いられる。具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。
【0054】
電解質の添加量は、電解質の種類によっても異なるが、通常は混合分散液の固形成分100重量部に対して、0.05〜25重量部が用いられる。好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
電解質添加量が上記範囲より著しく少ない場合には、凝集反応の進行が遅くなり、凝集反応後も粒径1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が3μm以下となるなどの問題を生じる傾向にある。また、電解質添加量が上記範囲より著しく多い場合には、急速で制御の困難な凝集となりやすく、得られた粒子凝集体の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形のものになるなどの問題を生じる傾向にある。
【0055】
また、混合分散液に電解質を加えて凝集を行う場合には、凝集温度は5℃〜(Tg+10℃)程度の温度範囲が好ましい。
上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー粒子を形成するのも好ましい。なお、上述した荷電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に荷電制御剤を加えた後に樹脂微粒子を加えてもよい。
【0056】
上記樹脂微粒子は、乳化剤により水または水を主体とする液中に分散してエマルジョンとして用いるが、トナーの最外層に用いる樹脂微粒子は、ワックスを含まないものが好ましい。
樹脂微粒子としては、好ましくは体積平均粒径が0.02〜3μm、より好ましくは0.05〜1.5μmであって、前述の重合体一次粒子に用いられるモノマーと同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができる。
【0057】
粒子凝集体に樹脂微粒子を被覆してトナーを形成する場合、樹脂微粒子に用いられる樹脂は、架橋されているものが好ましい。
乳化重合凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体(トナー粒子)の安定性を増すために、該粒子凝集体を(Tg+20℃)〜(Tg+80℃)(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)の温度範囲で処理して、凝集した粒子間の融着を起こさせる熟成工程を加えることが好ましい。熟成工程では上記の温度範囲に1時間以上保持するのが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。この熟成工程は、通常1〜24時間であり、好ましくは1〜10時間である。
【0058】
熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電気的凝集又はその他の物理凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は、互いに融着しており、好ましくはほぼ球形となっている。なお、このようなトナーの製造方法によれば、一次粒子が凝集した状態の葡萄型、融着が半ばまで進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
【0059】
上記の各工程を経ることにより得られた粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離して粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。
このようにして、体積平均粒径が通常3〜8μmと比較的小粒径のトナーを製造することができる。しかもこうして得られたトナーは、粒度分布がシャープで、高画質及び高速化を達成するための静電荷像現像用トナーとして適したものである。
【0060】
本発明の静電荷像現像用トナーには、外添剤を添加する必要性は比較的小さいが、流動性や現像性を微妙に制御するために公知の外添剤を少量添加することもできる。この場合の外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種無機酸化粒子(必要に応じて疎水化処理する)、ビニル系重合体粒子等が使用できる。外添剤の添加量は、トナー粒子100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲が好ましい。
【0061】
本発明の静電荷像現像用トナーは、2成分系現像剤、マグネタイト含有トナー等の磁性1成分系現像剤、及び非磁性1成分系現像剤に適用することができる。
2成分系現像剤として用いる場合、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質、又はそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。この場合、キャリアの被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
キャリアの平均粒径には、特に制限はないが、通常10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。キャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用するのが好ましい。
トナーの粒径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、典型的にはベックマン・コールター社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター マルチサイザーIIが用いられる。
【0063】
本発明の静電荷像現像用トナーは、体積平均粒径(Dv)が通常3〜8μmであり、4〜8μmが好ましく、4〜7μmがより好ましい。体積平均粒径が大きすぎると高解像度の画像形成に適さず、小さすぎると粉体としての取り扱いが困難となる。
トナーの円形度としては、50%円形度が0.9〜1であるものが好ましい。ここで、50%円形度とは、典型的には東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、式:円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長)/(粒子投影像の周長)、により求められた円形度についての累積分布の累積度数50%における円形度である。
【0064】
本発明の静電荷像現像用トナーは、粒度分布がシャープである方が、着色剤や帯電制御剤等がより均一に分布して帯電性が均一となり、高精細な画像を形成するのに有利である。そのような好適な粒度分布を達成するためには乳化重合凝集法が有利である。
上記の粒度分布として具体的には、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.3であるものが好ましい。Dv/Dnの値は、1.25以下がより好ましく、1.20以下がさらに好ましい。Dv/Dnの下限値は1であるが、これば、全ての粒径が等しいことを意味し、事実上製造が困難であるので、1.03以上が好ましく、1.05以上がより好ましい。
【0065】
また、本発明のトナーは微細な粒子(微粉)が少ないのが好ましい。微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性が向上し、着色剤や帯電制御剤等が均一に分布して帯電性が均一となりやすい。微細な粒子の含有量を測定するには、例えば、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000が好適に用いられる。
【0066】
微細な粒子の含有量に関しては、フロー式粒子像分析装置による0.6〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が全粒子数の15%以下であるトナーを用いるのが好ましい。0.6〜2.12μmの粒子の数は10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。微細な粒子の含有量の下限は特になく、全く存在しないのが最も好ましいが、それは事実上製造が困難である。微細な粒子の合計数は、通常0.5%以上であり、好ましくは1%以上である。
【0067】
【実施例】
次に本発明の具体的態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」は、特記する以外は「重量部」を表す。
なお、測定は以下の方法に従った。
【0068】
(1)平均粒径
ラテックス及びエマルジョンの平均粒径は日機装社製マイクロトラックUPA(以下、UPAと略記する)で測定し、トナーの平均粒径はコールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(以下、コールターカウンターと略記する)により測定した。
【0069】
(2)50%円形度
東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、下記式より求められた円形度についての累積分布の累積度数50%における円形度を用いた。
【0070】
【数1】
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長)/(粒子投影像の周長)
(3)帯電量
キャリアとしてパウダーテック(株)製F−100を使用し、トナーとキャリアとの重量比1:19の混合物20gを容量30mlのガラス製サンプル瓶に入れ、タイテック(株)製レシプロシェーカーにて500rpmの振動数にて30分間振とうした後、東芝ケミカル(株)製ブローオフ帯電量測定装置にて下記条件で帯電量を測定した。
【0071】
【表1】
ブロー条件:1kgf×20秒
スクリーン:400メッシュ
他方、ホソカワミクロン(株)製E−spartアナライザーにて逆極性トナー量を測定した。
【0072】
(4)凝集度
ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターTypePT−Eを用い、その取扱い説明書に記載の方法に従って測定した。
(5)画像濃度
日本平版機材(株)製画像濃度測定装置X−rite900シリーズを用い、その取扱い説明書に記載の方法に従って測定した。
【0073】
(6)感光体かぶり
5%チャートを10枚実写した後、感光体の非画像部に残っているトナーを住友スリーエム(株)製スコッチメンディングテープ(18mm幅×10cm)にて取り、白紙上に貼り付けた。貼り付けたメンディングテープ10ヶ所の平均色相と白地部分10ヶ所の平均色相との色差を感光体カブリとした。
【0074】
[実施例1]
(ワックスエマルジョン)
脱塩水68.33部、ペンタエリスリトールのステアリン酸テトラエステルを主体とするエステル混合物(日本油脂製、ユニスターH476D)30部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬製、ネオゲンSC、有効成分66%)1.67部を混合し、高圧剪断をかけて乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。UPAで測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は260nmであった。
【0075】
(PTFEエマルジョン)
旭硝子フロロポリマーズ社製PTFEエマルジョン(製品名アフロンPTFEAD1、ポリテトラフロオロエチレン含有量60重量部、分散剤3.0重量部及び水37重量部のエマルジョン)を使用した。
(ワックス内包シードラテックス)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積3リットル)にワックスエマルジョン51.5部及び脱塩水348部を仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
【0076】
その後、下記のモノマー類及び乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて、それぞれ添加し、さらに60分保持した。
【0077】
【表2】
(モノマー類)
スチレン 77部(334.6g)
アクリル酸ブチル 23部
アクリル酸 2.0部
テトラクロロブロモメタン 0.63部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
(乳化剤水溶液)
10%ネオゲンSC水溶液 2部
脱塩水 66.5部
(開始剤水溶液)
8%過酸化水素水溶液 18.9部
8%アスコルビン酸水溶液 18.9部
重合反応終了後、冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径は204nmであった。また固形分濃度は19.5重量%であった。
【0078】
(着色剤微粒子分散液)
ピグメントブルー15:3の水分散液(大日精化製、EP−700 BlueGA、固形分35%)を用いた。UPAで測定した体積平均粒径は150nmであった。
(PTFE内包シードラテックス)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積3リットル)にPTFEエマルジョン53.2部、10%ネオゲンSC水溶液3.0部及び脱塩水484部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液1.6部、8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。
【0079】
その後、下記のモノマー類及び乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて、それぞれ添加し、さらに30分保持した。
【0080】
【表3】
(モノマー類)
スチレン 76部(390g)
アクリル酸ブチル 24部
アクリル酸 3.0部
テトラクロロブロモメタン 0.45部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.9部
(乳化剤水溶液)
10%ネオゲンSC水溶液 1部
脱塩水 25部
(開始剤水溶液)
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後、冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径は151nmであった。また固形分濃度は19.5wt%であった。
【0081】
(現像用トナーの製造−1)
【0082】
【表4】
ワックス内包シードラテックス 90部(204g:固形分として)
着色剤微粒子分散液 5.0部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0083】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスと着色剤微粒子分散液を仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.5部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに10分かけて53℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.1μmになった時点で、PTFE内包シードラテックス5部、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.07部)の順に添加し、10分かけて55℃に昇温して30分保持した。10%ネオゲンSC水溶液(固形分として10部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子1を得た。
【0084】
トナー母粒子1のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.8μm、個数平均径は6.9μmであり、FPIA−2000で測定した50%円形度は0.97であった。こうすることによりトナー母粒子の最外殻から平均して25〜125nmの深さにPTFE濃度が最も高くなる領域が存在し、表面近傍には実質的にPTFEが存在しないこととなる。また、SEM(反射型電子顕微鏡)で表面観察をしたところ、表面は平滑であることが確認された。
【0085】
得られた青色のトナー母粒子1の粉体100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製、R812)をヘンシェルミキサーにて0.2部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー1)を得た。
(現像用トナーの評価−1)
現像用トナー1を用いて、帯電量、逆帯電性トナー量、凝集度、画像濃度及び感光体かぶり、並びに5000枚印刷後の画像濃度及び感光体かぶりを評価し、結果を表−1に記載した。
【0086】
[実施例2]
ワックス内包シードラテックス、PTFE内包シードラテックス及び着色剤微粒子分散液として実施例1と同じものを使用し、下記のようにして現像用トナーを製造した。
(現像用トナーの製造−2)
【0087】
【表5】
ワックス内包シードラテックス 90部(204g:固形分として)
PTFE内包シードラテックス 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0088】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスとPTFE内包シードラテックスとを仕込み、均一に混合した後、着色剤微粒子分散液を仕込み、更に均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.5部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに10分かけて53℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.5μmになった時点で、10%ネオゲンSC水溶液(固形分として10部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後、冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子2を得た。
【0089】
トナー母粒子2のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.6μm、個数平均径は6.8μmであり、FPIA−2000で測定した50%円形度は0.97であった。こうすることによりトナー母粒子の最外殻から25nm以上の深さに実質的に直径100nm程度のPTFE粒子が均一に分散し、表面近傍には実質的にPTFEが存在しないこととなる。また、SEM(反射型電子顕微鏡)で表面観察をしたところ、表面は平滑であることが確認された。
【0090】
得られた青色のトナー母粒子2の粉体100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製、R812)をヘンシェルミキサーにて0.2部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー2)を得た。
(現像用トナーの評価−2)
現像用トナー2を用いて、帯電量、逆帯電性トナー量、凝集度、画像濃度及び感光体かぶり、並びに5000枚印刷後の画像濃度及び感光体かぶりを評価し、結果を表−1に記載した。
【0091】
[実施例3]
ワックス内包シードラテックス、PTFE内包シードラテックス及び着色剤微粒子分散液として実施例1と同じものを使用し、下記のようにして現像用トナーを製造した。
(現像用トナーの製造−3)
【0092】
【表6】
ワックス内包シードラテックス 75部(204g:固形分として)
PTFE内包シードラテックス 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0093】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスとPTFE内包シードラテックスとを仕込み、均一に混合した後、着色剤微粒子分散液を仕込み、更に均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.35部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに8分かけて52℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が6.9μmになった時点で、ワックス内包シードラテックス15部、次いで硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.15部)を滴下した。その後、5分かけて54℃に昇温し、50%体積径が7.6μmになった時点で10%ネオゲンSC水溶液(固形分として10部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後、冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子3を得た。
【0094】
トナー母粒子3のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.6μm、個数平均径は6.8μmであり、FPIA−2000で測定した50%円形度は0.97であった。こうすることにより、トナー母粒子の最外殻から270nm以上の深さに実質的に直径100nm程度のPTFE粒子が均一に分散し、表面近傍には実質的にPTFEが存在しないこととなる。また、SEM(反射型電子顕微鏡)で表面観察をしたところ、表面は平滑であることが確認された。
【0095】
得られた青色のトナー母粒子3の粉体100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製、R812)をヘンシェルミキサーにて0.2部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー3)を得た。
(現像用トナーの評価−3)
現像用トナー3を用いて、帯電量、逆帯電性トナー量、凝集度、画像濃度及び感光体かぶり、並びに5000枚印刷後の画像濃度及び感光体かぶりを評価し、結果を表−1に記載した。
【0096】
[比較例1]
ワックス内包シードラテックス及び着色剤微粒子分散液として実施例1と同じものを使用し、下記のようにして現像用トナーを製造した。
(PTFEパウダー)
実施例1で使用したのと同じPTFEエマルジョンを凍結乾燥し、PTFEパウダーを得た。
【0097】
(現像用トナーの製造−4)
【0098】
【表7】
ワックス内包シードラテックス 93.5部(212g:固形分として)
着色剤微粒子分散液 5.0部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0099】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスと着色剤微粒子分散液とを仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.5部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに13分かけて54℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.5μmになった時点で、10%ネオゲンSC水溶液(固形分として10部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後、冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子4を得た。
【0100】
トナー母粒子4のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.8μm、個数平均径は6.9μmであり、FPIA−2000で測定した50%円形度は0.97であった。ここで得られたトナー母粒子4の98.5部に対し、PTFEパウダー1.5部をヘンシェルミキサーで付着させた。これをSEM(反射型電子顕微鏡)で表面観察をしたところ、粒子の周りに繊維状に絡みついたPTFEが観察された。
【0101】
上記のPTFEパウダーを付着させたトナー母粒子4の粉体100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製、R812)をヘンシェルミキサーにて0.2部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー4)を得た。
(現像用トナーの評価−4)
現像用トナー4を用いて、帯電量、逆帯電性トナー量、凝集度、画像濃度及び感光体かぶり、並びに5000枚印刷後の画像濃度及び感光体かぶりを評価し、結果を表−1に記載した。
【0102】
[比較例2]
ワックス内包シードラテックス及び着色剤微粒子分散液として実施例1と同じものを使用し、下記のようにして現像用トナーを製造した。
(現像用トナーの製造−5)
【0103】
【表8】
ワックス内包シードラテックス 95.0部(212g:固形分として)
着色剤微粒子分散液 5.0部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0104】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスと着色剤微粒子分散液とを仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.5部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに13分かけて54℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.5μmになった時点で、10%ネオゲンSC水溶液(固形分として10部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後、冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子5を得た。
【0105】
トナー母粒子5のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.8μm、個数平均径は6.9μmであり、FPIA−2000で測定した50%円形度は0.97であった。また、SEM(反射型電子顕微鏡)で表面観察をしたところ、表面は平滑であることが確認された。
トナー母粒子5の粉体100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製、R812)をヘンシェルミキサーにて0.2部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー5)を得た。
【0106】
(現像用トナーの評価−5)
現像用トナー5を用いて、帯電量、逆帯電性トナー量、凝集度、画像濃度及び感光体かぶり、並びに5000枚印刷後の画像濃度及び感光体かぶりを評価し、結果を表−1に記載した。
[比較例3]
ワックス内包シードラテックス及び着色剤微粒子分散液として実施例1と同じものを使用し、下記のようにして現像用トナーを製造した。
【0107】
(現像用トナーの製造−6)
【0108】
【表9】
ワックス内包シードラテックス 95部(212g:固形分として)
着色剤微粒子分散液 5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0109】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスと着色剤微粒子分散液とを仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.5部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに13分かけて54℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.5μmになった時点で、10%ネオゲンSC水溶液(固形分として10部)を添加してから35分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後、冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子6を得た。
【0110】
トナー母粒子6のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.8μm、個数平均径は6.9μmであり、FPIA−2000で測定した50%円形度は0.97であった。また、SEM(反射型電子顕微鏡)で表面観察をしたところ、表面は平滑であることが確認された。
トナー母粒子6の粉体100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製、R812)をヘンシェルミキサーにて2.0部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー6)を得た。
【0111】
(現像用トナーの評価−6)
現像用トナー6を用いて、帯電量、逆帯電性トナー量、凝集度、画像濃度及び感光体かぶり、並びに5000枚印刷後の画像濃度及び感光体かぶりを評価し、結果を表−1に記載した。
[比較例4]
ワックス内包シードラテックス、PTFEエマルジョン及び着色剤微粒子分散液として実施例1と同じものを使用し、下記のようにして現像用トナーを製造した。
【0112】
(現像用トナーの製造−7)
【0113】
【表10】
ワックス内包シードラテックス 93.5部(204g:固形分として)
着色剤微粒子分散液 5部(固形分として)
PTFEエマルジョン 1.5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0114】
反応器(容積2リットル、バッフル付きアンカー翼)にワックス内包シードラテックスと着色剤微粒子分散液とを仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.5部)を滴下した。その後、攪拌しながら20分かけて50℃に昇温して1時間保持し、さらに10分かけて53℃に昇温した。その後、コールターカウンターにて粒径測定を実施し、50%体積径が7.4μmになった時点で、PTFEエマルジョンを添加した。すると凝集液全体がゲル化してしまい、粒子の粉体を得ることができなかった。
【0115】
従って、このサンプルは評価できなかった。これを乾燥させてTEMで観察したところ、ゲル中で粒子の周りを繊維状のPTFEが取り囲んでいる様子が確認された。
以上の結果をまとめて表−1に示す。ただし、表−1においてワックス内包シードラテックス、PTFE内包シードラテックス、PTFEエマルジョン及び着色剤微粒子分散液の比率は、全て固形分としての重量比率である。
【0116】
【表11】
Figure 0003999622
【0117】
【発明の効果】
本発明の静電荷像現像用トナーは、帯電性が高く、逆帯電性トナーの割合が少なく凝集度も低いため、初期の画像濃度が高くしかもカブリが少ない。更にこれまでのように多量の外添剤を必要としないため、外添剤由来の経時変化も少なく、初期に得られる性能を長く持続することが可能である。

Claims (8)

  1. 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する乳化重合凝集法により製造されたトナー粒子からなり、該トナー粒子がフッ素原子含有ポリマーを含有し、かつ該フッ素原子含有ポリマーがトナー粒子の表面より内部に多く存在することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. フッ素原子含有ポリマーがポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. トナー粒子がワックスを含む、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. トナー粒子が、フッ素原子含有ポリマーをシードとするシード乳化重合により得られた重合体の分散液を凝集成分として使用する乳化重合凝集法により得られたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー
  5. トナー粒子が、ワックスをシードとするシード乳化重合により得られた分散液を凝集成分として使用する乳化重合凝集法により得られたことを特徴とする請求項1〜 4 のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー
  6. トナー粒子が、フッ素原子含有ポリマーを含有する重合体の分散液と共に、ワックスを包含し得る、結着樹脂の重合体一次粒子含有分散液及び着色剤微粒子含有分散液から選ばれる少なくとも一種を水中で凝集させ、得られた粒子凝集体にさらにワックスを包含し得る、結着樹脂の重合体一次粒子含有分散液を凝集させて得られた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー
  7. トナー粒子が、ワックスを包含し得る、結着樹脂の重合体一次粒子含有分散液及び着色剤微粒子含有分散液を水中で凝集させ、得られた粒子凝集体をさらにフッ素原子含有ポリマーのシード乳化重合により得られた重合体の分散液と共に凝集させて得られたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. ワックスを包含し得る、結着樹脂の重合体一次粒子含有分散液が、ワックスをシードとするシード乳化重合により得られた分散液であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
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