JP4209007B2 - アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル製造用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロパンまたはイソブタンをアンモニアおよび酸素と気相接触させるアンモ酸化反応に用いる酸化物触媒、およびこれを用いるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロピレンまたはイソブチレンをアンモニアおよび酸素と気相接触させるアンモ酸化反応によってアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する方法が良く知られているが、近年、プロピレンまたはイソブチレンに替わってプロパンまたはイソブタンをアンモニアおよび酸素と気相接触させるアンモ酸化反応によってアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する方法が着目されており、種々の新規触媒および反応方法が提案されている。
【0003】
プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応において、化学量論的には、反応したアンモニアのモル量と反応したプロパンまたはイソブタンのモル量は等しくなる。言い換えれば、反応したプロパンまたはイソブタンに対する反応したアンモニアのモル比は1である。しかし、一般的にアンモ酸化反応の原料のひとつであるアンモニアは、アンモ酸化反応の間、目的生成物であるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルやアセトニトリル、青酸等の副生物に転化されるだけでなく、酸化によって窒素に分解される。このことは、Applied Catalysis A General(vol.157,PP.143−172,1997)にも開示されている。
【0004】
このため、プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いられる従来の触媒は、アンモ酸化反応の間、アンモニアの副生物への転化や窒素への分解が多いと、プロパンまたはイソブタンを基準にしたアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの収率(以下、プロパンまたはイソブタン基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率とする。)低下だけでなく、アンモニアを基準にしたアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの収率(以下、アンモニア基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率とする。)低下を引き起こすという問題点を有していた。
【0005】
プロパンまたはイソブタン基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率は、供給する原料アンモニアを供給するプロパンまたはイソブタンのモル量より多くする、即ち、供給するプロパンまたはイソブタンに対する供給アンモニアのモル比を1より大きくする方法によって、増加させることができる。
しかし、言うまでもなく、この方法ではアンモニアが過剰に供給されるため、アンモニア基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率が更に減少し、原料アンモニアの利用効率も更に低下する。
【0006】
アンモニアの価格は、プロパンまたはイソブタンとほぼ同等であるため、プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応における供給アンモニアの量を増やすと、アンモ酸化反応によるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの全体的な製造コストが増加する。
一方、供給アンモニアの量を減らすと、アンモニア基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率は増加する。しかし、従来の触媒は、供給アンモニアの量を減らすと、プロパンまたはイソブタン基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率が激減するという問題点を有していた。そのため、従来はプロパンまたはイソブタン基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率をほとんど損なうことなく、アンモニア基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率を向上させることは不可能であった。
【0007】
よって、プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応による効率的かつ経済的なアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造の為には、プロパンまたはイソブタン基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率をほとんど損なうことなく、アンモニア基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率を向上させるために、アンモ酸化反応中のアンモニアの副生物への転化や窒素への分解をできる限り抑制することが非常に有効であった。
【0008】
プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いられる触媒や製法については、多くの提案がなされている。
例えば、Mo−V−Nb−Teを含む酸化物触媒が、米国特許第5、049、692号公報、米国特許第5、231、214号公報、米国特許第5、472、925号公報、特開平7−144132号公報、特開平8−57319号公報および特開平8−141401号公報などに開示されている。
【0009】
また、欧州特許第767164A1号公報には、Mo−V−Sb−X系酸化物触媒が記載されており、成分XとしてNb、Ta、W、Ti、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、B、In、Ce、アルカリ金属およびアルカリ土類金属が挙げられている。
上記先行技術のうち、米国特許第5、049、692号公報、特開平7−144132号公報、特開平8−57319号公報および特開平8−141401号公報には、触媒を構成する元素として、Mo−V−Nb−Te以外の元素も挙げられているが、Mo−V−Nb−Te以外の元素を含む触媒をプロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いた具体例は記載されていない。
【0010】
また、米国特許第5、231、214号公報は、Mo−V−Nb−Te−X系酸化物触媒が記載されており、成分XとしてMg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、Tl、In、Ti、Zr、Hf、Ta、Cr、Mn、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、Sn、Pb、As、Sb、Bi、LaおよびCeが挙げられているが、実施例として記載されているのは、Mn、Ni、Mg、Fe、Sn、Co、Al、Ca、Ba、Sb、Bi、Zn、Ta、W、Cr、Ti、Pdである。
【0011】
これらの公報に開示された触媒は、未だ、プロパンまたはイソブタン基準のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル収率が不十分なだけでなく、アンモニア基準の収率がさらに不十分であった。
一方、米国特許第5、472、925号公報は、2種類の触媒を開示している。1つはMo−V−Te−X複合酸化物(ここで成分X=Nb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Sb、Bi、BおよびCe)からなる触媒(以下、触媒Aとする。)で、もう1つは、触媒Aの複合酸化物に、Sb、Bi、Ce、B、Mn、Cr、Ga、Ge、YおよびPbの特定の元素群から選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む化合物を後から添加混合してなる酸化物触媒(以下、触媒Bとする。)である。
【0012】
該公報では、触媒Aとして、Mo−V−Nb−Teの4元素から成る酸化物触媒を用いた例が記載されているが、この場合、プロパンまたはイソブタンに対するアンモニアの供給モル比を下げると、アンモニア基準のニトリル収率は向上するものの、その向上率が不十分である上に、プロパンまたはイソブタン基準のニトリル収率が大幅に低下するという問題点を有していた。
【0013】
また、触媒Bとして、Mo−V−Te−Nb−OとSb2O4との混合触媒を用いた場合には、アンモニアのプロパンに対するモル比を下げても、プロパン基準のアクリロニトリル収率が向上する例や、プロパン基準のアクリロニトリル収率は低下するが、アンモニア基準の収率は大きく向上する例が記載されている。
しかし、該公報記載の技術には、上記触媒Bを得るために、複雑で扱いにくい製法を必要とするという問題点があった。具体的な触媒製法は、Mo−V−Te−Nbを含む酸化物をタブレットに成形後、粉砕・分級して、窒素ガス流通下で焼成し、更に粉砕して得られる微小粒体にSb2O4を混合し、得られた混合物をタブレットに成形し、次いで、これを粉砕・分級して、最後に、得られた分級粉体を窒素ガス流通下に焼成して混合触媒Bを得るというものである。よって、この様な複雑な製法を必要とする触媒Bは商業的な点から非常に不利なものであった。
【0014】
以上の点から、プロパンまたはイソブタン基準のニトリル収率をほとんど損なうことなく、アンモニア基準のニトリル収率を大きく向上でき、かつ、容易に製造できる改良されたアンモ酸化用触媒の開発が切望されていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、プロパンまたはイソブタン基準のニトリル収率をほとんど損なうことなく、アンモニア基準のニトリル収率を大きく向上できる、即ち、原料アンモニアの効率的な利用と原料のプロパンまたはイソブタンの効率的な利用を同時に達成することのできるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル製造用の新規な酸化物触媒を提供することである。
【0016】
更に本発明の第2の目的は、上記の優れた触媒を用いて、プロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化反応させ、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化反応に用いる触媒について鋭意検討した結果、TeおよびSbから選ばれる少なくとも1種類以上の元素、Mo、V、Nb、そして、Yb、Dy、Er、Pr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびScから選ばれる少なくとも1種以上の元素からなる酸化物を触媒として用いることによって、上記課題が解決されることを見いだし、本発明をなすに至った。
【0018】
即ち、本発明は、
(1)プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化反応に用いる触媒であって、下記の一般組成式で表されることを特徴とする酸化物触媒、
Mo1VaNbbXcZdEeOn (1)
(式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分ZはYb、Dy、Erから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分EはPr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびScから選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの原子比を表し、aは0.1≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦0.1、eは0≦e≦0.1、d+eは0.001≦d+e≦0.1、そしてnは構成金属の原子価によって決まる数である。)
(2)成分XがTeである(1)に記載の酸化物触媒。
(3)成分ZのMo1原子当たりの原子比dが、0.001≦d≦0.1である(1)または(2)に記載の酸化物触媒。
(4)成分ZがYbである(1)〜(3)のいずれかに記載の酸化物触媒。
(5)該酸化物触媒が、触媒構成元素の酸化物とシリカの全重量に対し、SiO2換算で20〜60重量%のシリカに担持されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の酸化物触媒。
(6)プロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化反応させ、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造するにあたり、下記の一般組成式で示される酸化物触媒を用いることを特徴とするアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法、
Mo1VaNbbXcZdEeOn (1)
(式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分ZはYb、Dy、Erから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分EはPr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびScから選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの原子比を表し、aは0.1≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦0.1、eは0≦e≦0.1、d+eは0.001≦d+e≦0.1、そしてnは構成金属の原子価によって決まる数である。)
(7)成分XがTeである酸化物触媒を用いることを特徴とする(6)に記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
(8)成分ZのMo1原子当たりの原子比dが、0.001≦d≦0.1である酸化物触媒を用いることを特徴とする(6)または(7)に記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル製造方法。
(9)成分ZがYbである酸化物触媒を用いることを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
(10)該酸化物触媒が、触媒構成元素の酸化物とシリカの全重量に対し、SiO2換算で20〜60重量%のシリカに担持されていることを特徴とする(6)〜(9)のいずれかに記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法に関するものである。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化物触媒は下記の一般組成式で表されるものである。
Mo1VaNbbXcZdEeOn (1)
(式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分ZはYb、Dy、Erから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分EはPr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびScから選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの原子比を表し、aは0.1≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦0.1、eは0≦e≦0.1、d+eは0.001≦d+e≦0.1、そしてnは構成金属の原子価によって決まる数である。)
Mo1原子当たりの原子比a〜eはそれぞれ、0.2≦a≦0.6、0.05≦b≦0.5、0.05≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1、0.001≦e≦0.1、0.005≦d+e≦0.05が好ましい。原子比d、eについては、更に0.005≦d≦0.05、0.005≦e≦0.05が好ましい。
【0020】
式(1)中の成分XはTeが好ましい。成分ZはYbであることが好ましい。
本発明の酸化物触媒は、シリカ担持触媒であっても良い。本発明の酸化物触媒がシリカ担持触媒の場合、高い機械的強度を有するので、流動床反応器を用いたアンモ酸化反応に好適である。シリカ担体の含有量は、触媒構成元素の酸化物とシリカ担体から成るシリカ担持酸化物触媒の全重量に対して、SiO2換算で20〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。
【0021】
本発明の酸化物触媒には、上記以外の元素から選ばれる成分Qが含まれていても何ら問題はない。例えば、W、Cr、Ta、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、P、Biおよびアルカリ土類金属等から選ばれる少なくとも一種以上の元素が含まれてもよい。本発明の酸化物触媒が成分Qを含む場合、成分Qの含有量は、Mo1原子当たりの原子比で0.1以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の酸化物触媒を製造するための成分金属の原料は特に限定されないが、例えば、下記の化合物を用いることができる。
MoとVの原料は、それぞれ、ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]とメタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]を好適に用いることができる。
【0023】
Nb、Te、Sbの原料としては、それぞれ、ニオブ酸、ニオブの無機酸塩およびニオブの有機酸塩、テルル酸、アンチモン酸化物を用いることができる。
ニオブの原料に関しては、特にニオブ酸が良い。ニオブ酸はNb2O5・nH2Oで表され、ニオブ水酸化物または酸化ニオブ水和物とも称される。
中でも、特願平9−222041号に記載されている様に、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4、アンモニア/ニオブモル比が2以下のNb原料液を用いることが好ましい。
【0024】
成分Z(Yb、Dy、Er)及び成分E(Pr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびSc)の原料は、これら元素の有機酸塩、硝酸塩、塩化物などを用いることができる。特に酢酸塩および硝酸塩が好ましい。
成分Qを含む場合は、原料として、これら元素の硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩などを用いることができる。
【0025】
本発明の酸化物触媒は、一般的な方法で調製することができる。例えば、(1)原料混合液の調合工程、(2)工程(1)で得られた原料混合液を乾燥し、触媒前駆体を得る工程、(3)工程(2)で得られた触媒前駆体を焼成する工程の3つの工程を経て製造することができる。
以下に、工程(1)〜(3)からなる本発明の酸化物触媒の好ましい調製例を説明する。
(工程1:原料調合工程)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウムおよびテルル酸の混合液(A)を調製する。
【0026】
アンチモンを用いる場合は、メタバナジン酸アンモニウム水溶液に三酸化二アンチモン粉末を分散したスラリーをリフラックス条件下に加熱して得た液に、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを添加し、場合に応じて、更にテルル酸を添加して混合液(A’)を調製する。
ニオブ酸とシュウ酸を水中で加熱撹拌して混合液(B)を調製する。
【0027】
酸化物触媒の成分Z(Yb、Dy、Er)及び/または成分E(Pr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびSc)の原料化合物(例えば酢酸イッテルビウム)を含む混合液(C)を調製する。
更に、本発明のアンモ酸化用触媒が成分Qを含む場合は、成分Qの硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩などを水に溶解して混合液(D)を調製する。
【0028】
目的とする組成に合わせて、混合液(A)または混合液(A’)、混合液(B)、混合液(C)、混合液(D)を好適に混合して、原料調合液を得る。
本発明のアンモ酸化用触媒がシリカ担持触媒の場合、シリカゾルを含むように原料調合液が調製される。シリカゾルの添加は、上記原料混合液の調製の間、いつ行われてもかまわない。
【0029】
このようにして得られる原料調合液は均一な溶液の場合もあるが、大抵はスラリーである。
(工程2:乾燥工程)
原料調合工程で得られた原料調合液を噴霧乾燥法によって乾燥させ、乾燥粉体を得る。噴霧乾燥法における噴霧化は遠心方式、二流体ノズル方式または高圧ノズル方式を採用することができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。熱風の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。
(工程3:焼成工程)
乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成することによって酸化物触媒を得る。焼成は窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの実質的に酸素を含まない不活性ガス雰囲気下、好ましくは、不活性ガスを流通させながら、500〜700℃、好ましくは550〜650℃で実施する。焼成時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜8時間である。
【0030】
焼成は、回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用いて行うことができる。焼成は反復することができる。
焼成工程の前に、乾燥粉体を大気雰囲気下または空気流通下で200〜400℃、1〜5時間で前焼成することも好ましい。
このようにして製造された酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンをアンモニアおよび酸素と気相接触反応させて、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する。
【0031】
プロパンまたはイソブタンとアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。
供給酸素源として空気、酸素を富化した空気または純酸素を用いることができる。更に、希釈ガスとしてヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素などを供給してもよい。
【0032】
反応に供給するアンモニアのプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.8〜1.0である。本発明の酸化物触媒をプロパンまたはイソブタンのアンモ酸化に用いる場合は、従来の酸化物触媒を用いる場合に比べて相対的に小さい該モル比を適用することが可能である。
反応に供給する酸素のプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.1〜6、好ましくは0.5〜4である。
【0033】
反応温度は350℃〜500℃、好ましくは380℃〜470℃である。
反応圧力は0.5〜5atm、好ましくは1〜3atmである。
接触時間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜5(sec・g/cc)である。本発明において、接触時間は次式で決定される。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)
ここで
W=充填触媒量(g)
F=標準状態(0℃、1atm)での原料混合ガス流量(Ncc/sec) T=反応温度(℃)
である。
【0034】
反応方式は、固定床、流動床、移動床など従来の方式を採用できるが、反応熱の除去が容易な流動床反応器が好ましい。
また、本発明の反応は、単流式であってもリサイクル式であってもよい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の酸化物触媒について、触媒の調製実施例およびプロパンの気相接触アンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造実施例を用いて説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれら実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例および比較例において、アンモニアのプロパンに対する供給比率(R)は次式で定義される。
【0036】
R=(供給したアンモニアのモル数)/(供給したプロパンのモル数)
更に、プロパンのアンモ酸化反応の成績は、次式で定義されるプロパン基準のアクリロニトリル収率(Y(C3))、アンモニア基準のアクリロニトリル収率(Y(NH3))を指標として評価した。
Y(C3)(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
Y(NH3)(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したアンモニアのモル数)×100
【0037】
【実施例1】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Yb0.01Onで示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水1700gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を374.12g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を84.56g、テルル酸〔H6TeO6〕を117.11g加え、攪拌しながら約60℃に加熱、溶解した後、約30℃まで冷却して混合液A−1を得た。
【0038】
水500gにNb2O5として76.6重量%を含有するニオブ酸を51.11g、シュウ酸二水和物〔H2C2O4・2H2O〕を100.29g加え、攪拌しながら約60℃に加熱し溶解させたのち、約30℃まで冷却した混合液B−1を得た。
水280gに酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕8.89gを加え、攪拌しながら約60℃に加熱、溶解した後、約30℃まで冷却して溶解させた混合液C−1を得た。
【0039】
得られた混合液B−1及びC−1を混合液A−1に攪拌しながら順次添加し、原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の乾燥粉体を得た。乾燥機の入口温度は240℃、そして出口温度は145℃であった。
【0040】
得られた乾燥粉体を大気雰囲気下、275℃で2時間、前焼成して酸化物を得た。得られた酸化物85gを直径1インチのSUS管に充填し、150Ncc/minの窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒1gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下で混合ガスを接触時間1.0(sec・g/cc)で通過させ、気相接触アンモ酸化反応を行った。
【0041】
なお、混合ガスの組成はプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1.2:2.8:12のモル比(アンモニアのプロパンに対するモル比R=1.2)であった。
次いで、混合ガスの組成がプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1.0:2.8:12のモル比(R=1.0)になるように混合ガスを変えた以外は、上記と同じ反応条件で引き続きプロパンのアンモ酸化反応を行った。
【0042】
最後に、混合ガスの組成がプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.8:2.8:12のモル比(R=0.8)になるように混合ガスを変えた以外は、上記と同じ反応条件で引き続きプロパンのアンモ酸化反応を行った。
R=1.2、1.0、0.8のそれぞれの条件で得られた反応ガスの一部を分析し、得られた結果をY(C3)およびY(NH3)の2つの指標で評価した。結果を表1に示す。
【0043】
【比較例1】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Onで示される酸化物触媒を酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕を用いなかった以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例1と同じ条件下でプロパンの気相接触アンモ酸化反応を行った。得られた結果を表1に示す。
【0044】
また、表1記載の結果をもとにして、実施例1及び比較例1におけるY(C3)とY(NH3)の関係を図1に示した。
【0045】
【実施例2】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Dy0.015Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸ジスプロシウム〔Dy(CH3COO)3・4H2O〕を13.01g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒1gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下で混合ガスを接触時間1.0(sec・g/cc)で通過させ、気相接触アンモ酸化反応を行った。
【0046】
なお、混合ガスの組成はプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1.0:2.8:12のモル比(アンモニアのプロパンに対するモル比R=1.0)であった。
次いで、混合ガスの組成がプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.8:2.8:12のモル比(R=0.8)になるように混合ガスを変えた以外は、上記と同じ反応条件で引き続きプロパンのアンモ酸化反応を行った。
【0047】
R=1.0、0.8のそれぞれの条件で得られた反応ガスの一部を分析し、得られた結果をY(C3)およびY(NH3)の2つの指標で評価した。結果を表2に示す。
【0048】
【実施例3】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Er0.015Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸エルビウム〔Er(CH3COO)3・4H2O〕を13.16g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0049】
【実施例4】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Pr0.011Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸プラセオジム〔Pr(CH3COO)3・2H2O〕を8.20g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0050】
【実施例5】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Eu0.012Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸ユウロピウム〔Eu(CH3COO)3・3H2O〕を9.68g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0051】
【実施例6】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Gd0.015Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸ガドリニウム〔Gd(CH3COO)3・4H2O〕を12.84g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0052】
【実施例7】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Tb0.012Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸テルビウム〔Tb(CH3COO)3・4H2O〕を10.32g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0053】
【実施例8】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Ho0.011Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウムに代え酢酸ホルミウム〔Ho(CH3COO)3・4H2O〕を9.59g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0054】
【実施例9】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Tm0.012Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸ツリウム〔Tm(CH3COO)3・4H2O〕を10.57g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0055】
【実施例10】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Lu0.013Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、酢酸ルテチウム〔Lu(CH3COO)3・3H2O〕を11.12g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0056】
【実施例11】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Sc0.005Onで示される酸化物触媒を、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3COO)3・4H2O〕に代え、硝酸スカンジウム〔Sc(NO3)3・4H2O〕を3.19g用いた以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0057】
【比較例2】
(触媒の調製)
組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Yb0.20Onである触媒を、酢酸イッテルビウムの使用量を177.86gとし、酢酸イッテルビウムを溶解する水の量を3600gとした以外は実施例1と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例2と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表2に示す。
【0058】
【実施例12】
(触媒の調製)
30重量%のSiO2に担持された、組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Yb0.015Onで示されるシリカ担持酸化物触媒を次のようにして調製した。
水2400gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を521.60g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を117.90g、テルル酸〔H6TeO6〕を163.28g加え、攪拌しながら約60℃に加熱、溶解した後、約30℃まで冷却して混合液A−2を得た。
【0059】
水680gにNb2O5として76.6重量%を含有するニオブ酸を71.26g、シュウ酸二水和物〔H2C2O4・2H2O〕を165.73g加え、攪拌しながら約60℃に加熱し溶解させた後、約30℃まで冷却した混合液B−2を得た。
水50gに硝酸イッテルビウム〔Yb(NO3)3・4H2O〕18.99gを加え、攪拌しながら約60℃に加熱し溶解させた後、約30℃まで冷却した混合液C−2を得た。
【0060】
得られた混合液B−2、混合液C−2及びSiO2換算でシリカ含量30重量%のシリカゾル1000gを混合液A−2に攪拌しながら順次添加し、原料調合液を得た。
この調合液を実施例1と同様に乾燥、焼成してシリカ担持酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径25mmの流動床バイコールガラス反応管に、得られたシリカ担持酸化物触媒45gを充填した。反応温度440℃、反応圧力常圧下で混合ガスを接触時間3.0(sec・g/cc)で通過させ、気相接触アンモ酸化反応を行った。
【0061】
なお、混合ガスの組成はプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1.0:2.8:12のモル比(アンモニアのプロパンに対するモル比R=1.0)であった。
次いで、混合ガスの組成がプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.8:2.8:12のモル比(R=0.8)になるように混合ガスを変えた以外は、上記と同じ反応条件で引き続きプロパンのアンモ酸化反応を行った。
【0062】
R=1.0、0.8のそれぞれの条件で得られた反応ガスの一部を分析し、得られた結果をY(C3)およびY(NH3)の2つの指標で評価した。結果を表3に示す。
【0063】
【比較例3】
(触媒の調製)
30重量%のSiO2に担持された、組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Onで示されるシリカ担持酸化物触媒を硝酸イッテルビウム〔Yb(NO3)3・4H2O〕を用いなかった以外は実施例12と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られたシリカ担持酸化物触媒を用いて、実施例12と同様にしてプロパンのアンモ酸化反応を行った。得られた結果を表3に示す。
【0064】
【実施例13】
(触媒の調製)
30重量%のSiO2に担持された、組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Yb0.02Onで示されるシリカ担持酸化物触媒を、硝酸イッテルビウム〔Yb(NO3)3・4H2O〕の使用量を25.32g用いた以外は実施例12と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例12と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表3に示す。
【0065】
【実施例14】
(触媒の調製)
30重量%のSiO2に担持された、組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Dy0.015Onで示されるシリカ担持酸化物触媒を、硝酸イッテルビウム〔Yb(NO3)3・4H2O〕に代え、硝酸ジスプロシウム〔Dy(NO3)3・5H2O〕を19.32g用いた以外は実施例12と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例12と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表3に示す。
【0066】
【実施例15】
(触媒の調製)
30重量%のSiO2に担持された、組成式がMo1V0.34Nb0.14Te0.24Er0.015Onで示されるシリカ担持酸化物触媒を、硝酸イッテルビウム〔Yb(NO3)3・4H2O〕に代え、硝酸エルビウム〔Er(NO3)3・5H2O〕を19.53g用いた以外は実施例12と同様にして調製した。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた酸化物触媒を用いて、実施例12と同じ条件下でプロパンのアンモ酸化反応を行った。結果を表3に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
本発明の触媒により、高いアンモニア基準の収率で、しかも、プロパンまたはイソブタンに対するアンモニアの供給モル比を下げても、プロパンまたはイソブタン基準のニトリル収率を維持しながら、アンモニア基準のニトリル収率を大きく向上させて、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造することができるため、原料アンモニアの効率的な利用と原料のプロパンまたはイソブタンの効率的な利用を同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1のプロパン基準のアクリロニトリル収率(Y(C3))とアンモニア基準のアクリロニトリル収率(Y(NH3))の相関関係を示したものである。
【符号の説明】
A、B、C:実施例1におけるY(C3)の値に対するY(NH3)の値をプロットしたもの
A’、B’、C’:比較例1におけるY(C3)の値に対するY(NH3)の値をプロットしたもの
Claims (10)
- プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化反応に用いる触媒であって、下記の一般組成式で表されることを特徴とする酸化物触媒;
Mo1VaNbbXcZdEeOn (1)
(式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分ZはYb、Dy、Erから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分EはPr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびScから選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの原子比を表し、aは0.1≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦0.1、eは0≦e≦0.1、d+eは0.001≦d+e≦0.1、そしてnは構成金属の原子価によって決まる数である。) - 成分XがTeである請求項1に記載の酸化物触媒。
- 成分ZのMo1原子当たりの原子比dが、0.001≦d≦0.1である請求項1または請求項2に記載の酸化物触媒。
- 成分ZがYbである請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物触媒。
- 該酸化物触媒が、触媒構成元素の酸化物とシリカの全重量に対し、SiO2換算で20〜60重量%のシリカに担持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物触媒。
- プロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化反応させ、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造するにあたり、下記の一般組成式で示される酸化物触媒を用いることを特徴とするアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法;
Mo1VaNbbXcZdEeOn (1)
(式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分ZはYb、Dy、Erから選ばれる少なくとも1種以上の元素、成分EはPr、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、LuおよびScから選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの原子比を表し、aは0.1≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦0.1、eは0≦e≦0.1、d+eは0.001≦d+e≦0.1、そしてnは構成金属の原子価によって決まる数である。) - 成分XがTeである酸化物触媒を用いることを特徴とする請求項6に記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
- 成分ZのMo1原子当たりの原子比dが、0.001≦d≦0.1である酸化物触媒を用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル製造方法。
- 成分ZがYbである酸化物触媒を用いることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
- 該酸化物触媒が、触媒構成元素の酸化物とシリカの全重量に対し、SiO2換算で20〜60重量%のシリカに担持されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
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